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小ネタ 116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 16:02:42.81 ID:E/pWI/qQo あー…… 愛宕ネキ改め、愛宕プロの話 123 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/26(土) 19:47:54.55 ID:gGd+khcM0 『愛宕洋榎、関西大阪ライガーズに入団!』 ウィークリー麻雀TODAYの表紙を飾ったそんな記事。 たまたま本屋で見かけたから手に取ってみたけれど、えっと、誰だっけ? 愛宕さん、愛宕さんといえば……ああ、確かインハイで竹井先輩をボコった人だっけか。 まあ一応読んでみようか。 『宮永照の指名が競合するのを回避しようと愛宕に接触するチームが多い中、ライガーズは最初から愛宕を指名するつもりでいた』 『愛宕もその想いに応えたのか、関西のチーム以外の指名なら受けないと表明。結果的にライガーズが一本釣りする形になった』 『愛宕は野球の巨人阪神のように、麻雀でも東京大阪戦を名物試合にしたいと語った。彼女の今後の活躍が期待される』 ……ほー。かっけぇなー。なんというか、うん、男らしい。 こういう選手になりたいもんだ。 「あれ、須賀君何読んでるの?」 あ、竹井先輩。いやね、姫松の中堅だったあの人がウィークリー麻雀TODAYに載ってたんですよ。 先輩も見ます? ほら、これ。 「……へぇ、洋榎がねぇ。今度試合を観てあげなくちゃ」 --- 118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 16:12:07.09 ID:zGNIOZ0go OB竹井が清澄麻雀部を襲撃 144 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/27(日) 14:42:18.37 ID:mhwcopYz0 いつも通り俺達が練習に励んでいると、急に部室の扉が開いた。 「はぁ~い♪ 皆、久しぶりねー」 『…うげっ』 一年生の男子部員の声がハモる。おいお前ら、万が一聞かれてたら酷い目に遭うぞ。 地元の大学に進んだ竹井先輩は、講義の時間が空いているときにこうしてよく部室に来てくれるのだ。 しかしまあ、こう、一言で言い表すなら「魔性の女」というのがぴったりな彼女に、俺達は毎度してやられている。 「須賀君、今失礼なこと考えたでしょ」 うげっ。 「京太郎さんざまぁ」 「身から出た錆……」 いや、竹井先輩はいつも「結果的には」俺達のためになることをしてくれてるんだけどね? その過程で多分に彼女の趣味嗜好によるあれやこれやが挟み込まれるのが問題なだけであって。 「よーし決めたわ、今日のイケニエは須賀君ね」 へーへー、分かりましたよぅ。 今日は一体、何をするんです? --- 236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:11:52.41 ID:NSJDhpdLo はやりん29歳 247 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/02(土) 15:35:32.81 ID:+mfyNJ//0 ●はやりん29歳 『……それではっ、はやりんから重大発表がありますっ☆』 たまの休日。和をデートに誘う勇気もなく俺は自宅で寝そべりながらぼーっとテレビを見ていた。 17歳男子としてこれはどうなんだと思わなくもないが、麻雀番組見てるから、まあ、部活動の一環ってことで。 普段は終始明るい雰囲気で初心者向けの麻雀講座をやっている瑞原プロの番組だが、 今日はなんだか雰囲気が違うようだ。……というより、そりゃ流石に変わらなきゃおかしいよな。 いくらおもち最強と俺の脳内で名高い瑞原プロとはいえ、 流石に(29)にもなってこの路線は「うわキツ」と言わざるを得ない。 とかなんとか思ってたら。 『……最近、私のことをアイドル路線で売ってるだけの色物プロと勘違いしてるボクたちが多いみたいなので~』 テレビの画面越しですら冷や汗をかいたほどのプレッシャー。 これが……トッププロのオーラ。 『今年一年、はやりんはプロ雀士としての活動に専念したいと思いますっ☆』 『高校出たての新人プロちゃんも、色々実績のある先輩プロさんも、まとめてかかってきやがれーってことで、よろしくっ☆』 ……今年のプロリーグは、ひと波乱ありそうだ。 なんだったら、和を観戦に誘ってもいいかもしれない。 どうせそんな勇気は出せないだろうなという情けない自覚と共に、 俺の休日は至極平和に過ぎていくのであった。 ……プロリーグの試合って、テレビだとどのチャンネルでやってるんだろ? --- 237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:13:02.82 ID:RTfUTX/Ho のどっちの父親 娘に男ができたのではないかと悶々 素行調査する 249 :もいっこ、小ネタ! ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/02(土) 15:38:23.21 ID:+mfyNJ//0 ●のどっちの父親  娘に男ができたのではないかと悶々  素行調査する ……最近、娘の様子がおかしい。 まさか本当に全国優勝するとは思っていなかったが、まあ、それはいいとしよう。娘の人生は娘の人生だ。 私個人が麻雀のことを好意的に見ることは今後もないだろうが、親として認めてやるくらいはすべきだろう。 しかし最近、娘が帰ってくる時間が遅くなった。 インターハイが終わったから、しばらくは部活動も短縮されると言っていたはずなのに、だ。 ……それはいいとしよう。 どうやら娘に男が出来たらしい。 用があって部屋を訪れたら(恐らくは最近流行りのスカイプか何かだろう)男の声がしたのだ。 しかもやたらと親しげな口調でだ。我が娘ながら愛想のいいほうではない和が、だ。 ……まあ、男が出来ること自体はいいとしよう。 いずれは起きる事態だ。 しかし、相手の男が本当に娘に相応しいのかどうか。これは大きな問題だ。 まさかとは思うが男も麻雀をやっていたりするのではないだろうな。 もしそうなら私は絶対に認めないぞ。 そう決意を固めていたところに、家の電話が鳴る。 娘の携帯からだ。 『もしもし……あ、お父様。部活の友人に夕食に誘われたので……今日は帰りが遅くなります。それでは』 ……。 ああ、部活の友人が男か女かには触れていないな。 だがしかし、電話越しに確かに男の声が聞こえたな。 音質の問題があるから絶対そうだとは言い切れないが、 聞いた感じではボイスチャットの男と同一人物だろうな。 ………………………まずは、身辺調査からだろうな。 ここに娘の親離れを認められない男の独り相撲が始まった。 なお、麻雀部員だということ以外文句のつけようがなかった模様。 --- 238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:13:20.62 ID:m0f42jImo 京太郎と和の誕生日デートして 273 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:46:49.20 ID:FSCUQByd0 ●京太郎と和の誕生日デートして さーて、部活部活。もうすぐ俺達も三年生だ。一日たりとも無駄にはできねーからな。 そう思って定めた練習開始時間よりかなり早くに部室に向かったのだが、流石にまだ誰もいない。 携帯で部員からの連絡を確認した後でネット麻雀を始めたところで、和が現れた。 「おはようございます。早いんですね、京太郎君」 お、和か。おはよう。流石に早く来すぎたと自分でも思ってるところさ。 真面目君と女子が三人、風邪で欠席らしい。この時期だから健康には気をつけなきゃな。 「そうですか……まあ、人数的には問題ないでしょう。今日も頑張りましょうね」 おうとも、と返事をしたところで残る部員達がぞろぞろと現れた。 よっし、それじゃ練習開始なー。 ……お、もう昼か。よし、じゃあ今日は上がり。各自帰っていいぞ。 「いや駄目っすよ。まさかここまで全く触れもしないとは思ってませんでした」 ん? 俺なんか忘れてたっけ? 嘘だろ、部長に就任してから予定だけはきっちり確認するようにしてるぞ。 「だめだこいつはやくなんとかしないと」 「自分の誕生日忘れる人って実在したんですね」 誕生日? ……あぁっ、そーいやそーだな。完っ全に忘れてたよ。 この年になって誕生日なんてそうそう祝ってもらうもんでもないしな。 「去年ハンカチあげたじゃないですか」 ああっ、それはちゃんと覚えてるって和! 今でもそのハンカチ使ってるんだから! 「京太郎さんもげろ」 「京太郎さん爆発しろ」 黙れ双子っ! そーいうのは今から二週間ほど後に世間を賑わすだろう優男どもに言ってやるべき言葉だろ! (私去年チョコあげたし優希ちゃんも和ちゃんも染谷先輩も竹井先輩もあげてたけど黙っておいたほうがよさそうだな) --- 274 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:49:01.16 ID:FSCUQByd0 「ま、とにかく! 京太郎さんの誕生日を口実に騒ごうってことで、一年組でちょっとした企画をしたんですよ」 「だから帰られると困るんですけど、なんか用とかあるんですか?」 お、おう。ありがとう。別に外せない用事はないから大丈夫だけど……。 「よっし! んじゃ王様ゲームやりますよー」 うおえええっ!? 駄目なやつだろそれ! 至極まっとうなはずの俺の意見は無情にも却下され、王様ゲームが始まった。 「特別ルール。普通は何番と何番が○○しろ、ですが今回は京太郎さんと何番が○○しろ、と命令すること」 「まあ京太郎さんの誕生日なのに京太郎さんが関わらない命令とか出てもおもんねーし」 おいそれ俺にものっそい不利なルールじゃねぇか! お前らやっぱり騒ぎたいだけだろ、俺の誕生日祝う気ないだろ! こんな滅茶苦茶なルールの王様ゲームに女子の一年や咲、優希までノってきたことを、 俺はこの時点で疑っておくべきだったのかもしれない。 ……そう、イカサマだ。 (王様以外のくじは全部『1』になってる……) (そして京ちゃんと和ちゃん以外、私達はみんな仕掛け人……) (俺達の中の誰かが王様になった瞬間……) (京太郎さんの命脈は尽き果てるのだ……!) 『王様だーれだっ!』 「お、俺だっ!」 うげ、双子弟! 考え得る限り最悪の奴が王様になりやがった! さてどう出る……このお調子者が普通の命令をしてくるとは思えないが……。 「京太郎さんと1番は今から二人でデートに行くこと!」 ファッ!? おい、1番が男だったらどうしてくれるんだ! 俺はせっかくの誕生日をホモホモしい苦い思い出で塗り潰さなきゃいけなくなるのか!? 「え、えっと、京太郎君……」 ん? どうした、和。 「1番、私……です」 よくやった双子弟ォォォォォォォ!!! そんな本音はおくびにも出さないが、マジでよくやった双子弟。 俺、今日という日が終わったら死んでもいいや。 --- 275 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:51:07.89 ID:FSCUQByd0 お前ら絶対ついてくんなよ! 尾行とかしてたら後が怖いぞ! 咲、優希! こいつら見張っててくれよな! 頼んだからな! 「京太郎さん必死過ぎてわろす」 「任せといて、京ちゃん(何を任せるのかは言ってない)」 「心配しなくていいじぇ(尾行しないとは言ってない)」 ……なーんか不穏な雰囲気があるような気もするけど。 正直、和とデート出来るなら多少のマイナスは甘んじて受け入れるつもりがあるぞ、俺は。 それじゃ、行こうか和。 「いいんですか? 罰ゲームにしては少々やりすぎな気もしますが」 和がいいんだったら、俺はいいさ。 和が嫌なんだったらこのまま家まで送るよ。 「……はぁ。まあ、京太郎君の誕生日ですし、せっかくだからどこかに出かけましょうか」 そう来なくっちゃ! とはいえ、特に行きたい場所もねーよなぁ。 ゲーセンでも行く? 「いいですよ。それじゃ、行きましょうか」 さて、ついたぞ。 この無駄なやかましさ、実にゲーセン。 さーてなんか二人で遊べそうなものはっと……。 「……」 えーと、おーい、和? 状況を説明しよう。場所、クレーンゲーム。中身、エトペンのストラップ。 和がその場から動かない。 これは男を見せるしかあるまいよ。 っし、じゃあまずはこいつから行くかー。 「いいんですかっ!」 あぁもう可愛いなあもう! ヤバい、俺は着々と駄目なほうの道に進んでる気がする。 ともかく、まずは500円投入。500円で6回出来るタイプの良心的なやつだから多分これで取れるだろ。 ……ぃよっし! 案外早く取れたな。 「エトペン……!」 和の目が輝いている。プレイ回数は残り二回。 これはもしかするともしかするぞ……ぃよっしゃあ二個目ゲットー! やった、和とお揃いだー! ほい和、こっちお前のな。 「あ、ありがとうございます……!」 あぁもうああもう、エトペンストラップごときで喜びすぎだろ和! なんなの! 俺だけを萌え殺す娘さんなの!? 「き、京太郎君、大丈夫ですか?」 ああごめん和、気にしないで。 俺の理性が決して負けられない戦いに臨んでただけだから。 次どこ行く? 見たところ、ここではこれ以上やることもなさそうだけど。 「んー。そうは言いましても、私も急には思いつきません」 んじゃ飯でも食いに行くか。よく考えたら食ってねえや。 どこ行きたい? ファミレスでもなんでもいいけど。 「あ、じゃあこの前連れてってくれた、あそこ……あの、ハンバーガー食べるところがいいですっ」 あー、ナクドね。オッケーオッケー、全然いいよ。 俺としては、いいとこのお嬢さんにあんなジャンクフード食わしていいもんかどうか悩むところだけど。 「♪」 ……まぁ、この機嫌のよさそうな和を止める勇気なんて、俺にはないし。 いいんじゃないかね。 276 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:52:57.45 ID:FSCUQByd0   そんなこんなで和と二人っきりというシチュエーションを全力全開で堪能した俺が、帰宅後に携帯を確認すると。 大量の画像添付メールが、見知らぬアドレスから送られてきていた。 え、何これは……と思いつつ開いてみると。 そこには揃いのエトペンストラップを持った見覚えのある少年少女の姿や。 向かい合って座りナクドのセットを食ってる見覚えのある少年少女の姿や。 商店街に繰り出して互いの服を選び合ってる見覚えのある少年少女の姿や。 お互いが選んだマフラーをつけて並んで歩く見覚えのある少年少女の姿があって。 …………………………………うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!??!?!??   --- 239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:13:41.27 ID:PunxP+cJo >>144のイケニエの内容を詳しく 315 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/07(木) 19:40:17.98 ID:h5oedpI80 ●>>144のイケニエの内容を詳しく はーぁ、余計なこと言うもんじゃねーな。 また俺が竹井先輩の生贄だよ。 まぁその道中に麻雀の小話とか聞けるし、練習の相手もしてくれるし、 決して無駄な時間ではないんだけど。ないんだけれども。 それでもちょっと、これはやりすぎじゃありませんかね竹井先輩。 前が見えねーっす。荷物多すぎ。 「だらしがないわねー須賀君。いい男がその程度で音を上げちゃ駄目よ」 視界を塞ぐほどの大荷物を一方的に抱えさせられて、 それでもにこやかな笑顔を振りまくのがいい男だってんなら、 俺はいい男じゃなくていいです。 「ま、和が考える『いい男』はまた違うでしょうしねー」 なんでそこで和が出てくるんですかっ! 全く誰相手でもこっちのペースで話せることなんてほとんどない俺だけど、竹井先輩だけは敵に回したくねーや。 こうして毎度毎度生贄にされてる辺り、どっかで敵に回してるんだろうけど。 わっかんねー。 「ふっふーん。いやぁ、やっぱり荷物持ちがいると買い物捗るわねー」 まぁ、この大量の荷物の八分の一くらいは部の買い出しも兼ねてるわけですし、文句は言いませんが。 ……これだと結局俺が雑用係続けてるみたいなもんだよなぁ。はぁ。 「ブーたれないっ。美穂子なんてキャプテンになってからも自分で雑用を買って出てたんだから」 それは既に何度も聞きましたよ。 そういう話は自分でやってから言ってください。 「最近つれなくなってきたわねぇ須賀君」 つれないというか、釣られないというか。 「やっぱり先生に似たのかしら?」 ……どんだけ和の話したいんですか、あんたは。 やっぱり、何年経っても、竹井先輩が分からない。 --- 240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:14:27.79 ID:J+jvly7w0 アラフォーとデート 354 :あんまりむしゃくしゃしたから小ネタやるわ ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/10(日) 21:49:57.54 ID:yKXvNrCz0 ●アラフォーとデート 「突撃、隣の高校生雀士! 司会は敏腕アナウンサー、福与恒子でお送りいたしまーす♪」 「相方はいつも通り、私小鍛治健夜が務めさせていただきます。今日は誰を訪ねるんでしょうか」 「今回の相手はなんと! インハイ個人戦初出場! 魔王と名高い宮永咲選手を擁する清澄の男子選手、須賀京太郎選手ですよ!」 「魔王とか言わないであげて!?」 「というわけで既に須賀君には出て来ていただいていまーす!」 「うえぇ!? ちっとも訪ねてないけどいいの!? 呼び出しちゃってるけどいいの!?」 「いいんじゃなーい? ぶっちゃけ交渉とかアポとかは私の管轄じゃないので分かんないわー」 「一ヶ月前に連絡があったからちゃんと今日は練習休みにしておいたんで、大丈夫ですよ」 「現役アナウンサーよりも高校生のほうが人間出来てるんだけど!?」 「もう、こーこちゃんと一緒にいるとツッコミ疲れるよ……」 「アラフォーだからね、ちょっとしたことで疲れても仕方ないね」 「アラサーだよ!」 「おぉ、生コント」 「お恥ずかしいところをお見せしてごめんね……」 「そいじゃまあ、街に繰り出そうかー」 355 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/10(日) 21:51:24.19 ID:yKXvNrCz0 突撃、隣の高校生雀士。 ウィークリー麻雀TODAYなんかで話題になってる高校生雀士を(ちゃんと事前にアポを取って)訪ね、 プロ雀士と交流してもらうという趣旨でお送りする全国ネットの人気番組である。 この番組の特徴は宮永照や原村和のような既に有名な選手ではなく一見埋もれがちになる地味な選手を発掘することで、 特に二年生の選手を訪ねるときは来年のインハイに期待できる選手が出てくると玄人ファンの間でまことしやかに囁かれている。 そんなわけで、結局のところ残った記録は団体戦予選一回戦敗退と個人戦決勝リーグ敗退でしかなかったとはいえ、 先鋒として驚異の成績を叩き出した京太郎にお呼びがかかったのはまあ不自然なことではなかった。 「……とはいえ、俺別に強豪校のエースの人とか、ウチの和と違ってこういう経験ないんですけど……緊張するなぁ」 「ははは、気にしないで大丈夫だよ。ぶっちゃけこの番組地元自慢とかして終わりみたいなもんだし」 「こうして散歩でもしながらお話を聞かせてくれたらそれでオッケーなところあるからさ」 田舎の街を三人で歩く様子を撮影しているだけというまた珍妙な番組だが、 プロ雀士とアナウンサーのコンビ漫才だけでも最低限番組としての体は成しているので良し、らしい。 「須賀君は麻雀始めてどれくらいなの? あれだけの活躍をするのに一年生の頃は特に名前を見なかったのも気になるな」 「麻雀始めたのは高校からですね。恥ずかしながらルールも全然知らなくて……去年は個人戦に出て、予選でトバされて終わりでした」 「高校から! っはー、信じらんないねー。すこやんはいつからだっけ。三十年くらい前?」 「直接表現しなくても言ってること一緒だよ! アラサーだよ!」 「はは……まあ、いい先生がいてくれたのが救いでした。おかげでこれだけ強くなれたので、俺の先生には感謝してます」 「先生ねー。調べたところによると清澄の麻雀部は顧問はいても監督はいなかったはずだけど」 「んでもって男子部員も須賀君から見ると後輩しかいなかったはずだよね。これは気になるなー」 「しまった!? 余計なこと言った!」 (すこやん、楽しそうじゃん。いや須賀君背ェ高いしイケメンだしまあ私も楽しいけど……) 「……じゃ、来年こそは全国、かな?」 「そりゃ勿論ですよっ」 「ふふっ、なら本当に全国出場決めたらお姉さんがご褒美をあげよう」 「気の長い話ですねー。多分俺忘れてますよそれ」 (……お願いだから、犯罪だけはやめてよねすこやん……) --- 367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 22:19:11.02 ID:Br4jvfyGo のどっちにラキスケ なお満更でもない模様 371 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/10(日) 22:44:29.09 ID:yKXvNrCz0 ●のどっちにラキスケ  なお満更でもない模様 「ふあぁ~あ~……おはよう、和……」 「おはようございます、京太郎君」 世界麻雀U20大会に召集され、大会に向けた合宿に参加した京太郎。 清澄からは他にも和と咲が参加しているし、インターハイで見かけた顔もいる。 なお、世界大会編がこのSSで描かれる予定はないので悪しからず。 「なんつーか、しんどい。時差?」 「落ち着いてください、ここは日本です」 基本的に京太郎は朝が強いほうではないため、試合本番には程遠いこの時点では全く気合いが入っていないようだ。 反対に和は既に準備万端。今から試合ですと言われても対応できそうな佇まいである。 たぶんその辺の差がこの不幸な事故を生んだのだろう。 「ふあ~ぁぁあ……」 「もう京太郎君、いい加減目を覚ましてください」 「わかってる……ふあぁ~……うげっ!?」 何かに躓いてすっ転ぶ京太郎。 隣を歩いていた和は当然それを助けようとするが、 流石に体格差やあれこれ的にそれは無理だった。 ドンガラガッシャ―ン!! 「なんだ!?」 「何事だ!?」 「すげェ音したぞ!」 フロア中に鳴り響く騒音! 集まる代表選手たち! そこで彼らが見たものは! 『……!?』 期待の男子選手須賀京太郎(が転ぶのを助けようとしたが体重差で引っ張られ自分も転んでしまったがために彼)を 押し倒して(いるようにしか見えないうえに不幸な事故の結果)キスまでしている有名アイドル雀士原村和の姿であった! 「あっ…(察し)」 「これは(須賀を)教育やろなあ」 「これは(原村を)教育やろなあ」 「京ハギじゃないんですか(憤怒)」 「大松「ハギ京だろ」」 「なんでホモが湧いてるんですかねえ……」 現場を目撃した選手の反応は様々であったが、とりあえず。 「……目、覚めましたか」 「……これ以上なく、はい」 当初の目的は達成できたということで、二人は無理矢理納得するしかなかった。 --- 241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:15:26.43 ID:8zA+sIWqo 久、部室ロッカーに潜入し部を様子見する なお京太郎にバレる模様 411 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/15(金) 13:58:39.00 ID:VW2Ii3OR0 ●久、部室ロッカーに潜入し部を様子見する  なお京太郎にバレる模様 竹井久は面白いことが大好きである。 例えば麻雀でなら他の誰もしないような待ちで和了ることに至上の喜びを覚えるし。 誰も思いつかないような練習方法で後輩の実力が上がった時など身体が震えた。 清澄高校麻雀部を引退してOGとなってからも、その趣味は変わっていない。 (さーて、今日は講義が早めに終わったから顔を出してみたけど……普通に行っても面白くないわよね) どうせ練習に参加するなら、何かしら部員を驚かせたい。 それ自体には全くもって意味などないのだが、まあ、趣味なのだから仕方がない。 他人に迷惑をかけていないのなら、趣味に口出しをすることはないだろう。 竹井久の場合は、わりと迷惑をかけたりもするのだが。 ……まあ、越えちゃいけないラインだけは弁えてる人なので、大丈夫だろう。 たぶん、まあ、きっと。 (そーだっ、ロッカーの中に隠れて、皆が練習し始めたところでしれっと出てくとかどうかしら) うん、中々いい案だろう。 普段は外から入っていっては一部の男子部員にうげっと言われるけれど、 ならば中から突然現れたらどうなるのか。うん、面白そう。 よーしそうと決まれば実践よ! と、意気揚々とロッカーに入り込んでから数分、喋り声が聞こえ始めた。 そろそろか。いやでも、いきなり出ても面白くないわね。 しばらく待っていましょう。 皆が部室に集まって少し話して、さあ練習ってところで出るのが一番面白そうね。 「そーいえば京太郎さん、今日は竹井先輩来るんすよね」 「そだなー。まぁお前ら失言だけはすんなよ」 「うっす。それよか、今日は何を仕掛けてくると思います?」 「んー?」 可愛い後輩たちのその質問に、何故か須賀君が答えを言い澱む。 ……ん? まさか今こっち見なかった? 気のせいよね? 「そだなー、あの竹井先輩ならまさか既に部室に入り込んで隠れてるとか、そんな古典的なことはしねーだろうなー」 えっ。 「そっすかねー。むしろありそうじゃねーっすか? なんかこう、部室掃除するかーってロッカー開いたらドーンみたいな」 「おいおい、あの竹井先輩だぞ? もっと俺達には思いもつかないようなことをしてくるにきまってるさ」 ちょっ!? 「それもそうっすねー。んじゃ練習始めますかー」 「おーう。竹井先輩が来た時に恥ずかしくないように皆で上手くなるぞー、おー!」 『おー!』 出てくに出てけないじゃないのよもぉぉおお!? --- 242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:15:45.90 ID:fOs3TQ7Co 京太郎の誕生日プレゼントにタコスを作るタコス 413 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/15(金) 13:59:48.65 ID:VW2Ii3OR0 ●京太郎の誕生日プレゼントにタコスを作るタコス 「優希ちゃーん。京ちゃんの誕生日プレゼント、どうする?」 「ん? タコスにするつもりだじぇ」 「……えっ? 聞き間違えたのかな、もう一回お願いできるかな?」 「タコス作るつもりだじぇ」 「……えっ?」 「ものっ凄い失礼な反応された気がするけど、心の広い私は許してあげるじぇ」 「いやな、最近の京太郎にはタコス作れとか頼み辛いし?」 「あー、まぁ最近の京ちゃん普通に戦力だしねえ」 「気付いたら自作してたじぇ」 「そこで自作しようって考えに至るあたり、流石だと思うよ」 「そういうもんか?」 「私は手元の本を読みつくしても自分で小説を書こうって考えには至らないと思う」 「それはまた話が違うと思うじょ」 「……ほいっ、とりあえず出来たじょ。味見してみる?」 「あ、貰う貰う~。いただきまーす」 「……あっ、美味しい……」 --- 243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 00:15:56.64 ID:Hv91Q2Zm0 和と新婚生活 415 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/15(金) 14:01:15.81 ID:VW2Ii3OR0 ●和と新婚生活 「っくぁあ~……おはよ、和」 「おはようございます、京太郎君。朝ごはん、出来てますよ」 「ありがと……いただきます」 「いただきます」 「……ふぅ、ご馳走様。それじゃ、今日も頑張ってくるよ」 「ええ、いってらっしゃい」 ――ちゅっ。 「須賀君、調子はどう?」 「課長。問題ありません、順調です」 「あ、仕事のほうじゃなくて。新婚生活っ」 「あ、聞いちゃいますかそこ。相変わらずですね竹井さん」 「そりゃもうね~。まさか本当にくっつくとは思ってなかったもの♪」 「あんたホントいい趣味してますね……いやですね、本当ヤバいっす。和の嫁力ハンパないですね」 「あ、やっぱり? 高校の頃からあの子は化けると思ってたのよ」 「なんかもう同じもん食っても味が違うんですよ。昼に炒飯食って晩に和が炒飯作ってたら、俺喜びますからね」 「そこまでか」 「そこまでっすね。なんかもう、愛が違う」 「寒い、っていうか思った以上に惚気がウザい」 「いやいやマジなんですって。なんなら今度ウチ来ます?」 「あ、行く行く♪」 --- 506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 19:56:02.78 ID:yMV6BVu2o 倒れた京ちゃんに膝枕する和の接吻未遂事件 531 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:26:01.51 ID:qurHBH7Y0 書き上がり次第投下していくスタイル 目指せ明日の晩までに小ネタ9個制覇(白目) ●倒れた京ちゃんに膝枕する和の接吻未遂事件 (本編のifとなります) インターハイ男子個人戦本選一回戦。 その後京太郎は滞在中のホテルまで何とか辿り着くもそこで意識を失ってしまう。 「お、俺達で冷えピタとか色々買ってくるんで原村先輩京太郎さんのことよろしくお願いします!」 そう言ったのは確か双子の弟のほうだったか。 何も部員全員が出ていく必要はまるでなかったのだが、 余りに焦っていた和は特に疑問に思わず彼らを見送った。 「京太郎、君」 幸い大事には至らなかったようで、京太郎は和の膝の上で規則正しく寝息を立てている。 ……麻雀を教え始めたあの頃、彼がここまで強くなると誰が予想したろうか。 ずぶの素人であった彼が、二年間の研鑽を経て全国区でその実力を認められるまでになると。 「……頑張りましたね、京太郎君」 現在に至るまでに彼が積んできた努力を、乗り越えてきた葛藤を想像すると。 とても彼のことが愛おしくなって。……同時に、ここまで無茶をする彼に、無性に腹が立って。 「お願いだから、お願いですから……あまり、心配させないで……」 ふと気付くと、眠りこける京太郎の頬に、一滴の涙が落ちていて。 それを自覚してしまったせいで、涙が止まらなくなって。 「京太郎君……っ」 絞り出すような声と共に思い出されるのは、今まで彼と過ごしてきた日々。 いつだって、彼は彼女の隣にいた。 いつだって、彼は彼女と笑い合っていた。 そして、ようやく、彼女は自分の想いに気付く。 「……あー。そっか」 「私、京太郎君のことが――」 ようやくのこと自覚した、止められない想い。 彼への愛情や、心配や、そんなあれこれが綯交ぜになったその想いを表現するために、 彼女が取った行動は―― 「……ん?」 「――ッ!?」 (あっ……危ない危ない危ない! 何をしようとしてたんですか私は! 何をしようとしてたんですか私は! 彼はたった今倒れてたばかりなんですよ!? そんなことしてる場合じゃないし寝かせてあげなきゃいけないですし! なのに起きちゃいましたし! なんで起きるんですかもう……じゃなくて! っていうか皆帰りがやけに遅いですし! 全くこの緊急時に皆何をやってるんですか……じゃなくて!! 一体何をしようとしてたんですか私はっ!!) 「あの……のど、か?」 「あっ、いやそのですね! 京太郎君が倒れたっていうから、その、心配でですね、あの、えっとあうあうあう……!」 「あのだな……凄い有難いんだけど、ずっと膝枕ってのは恥ずい……」 「はぅうっ!?」 532 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:26:36.70 ID:qurHBH7Y0 「……京ちゃんったら、ほんとタイミング悪いなぁ……」 「全くだじぇ。これだから犬は」 「弟よ、録画は」 「パーペキ。あとでメールに添付して皆に送るわ」 「……お前らなぁ」 「そんなこと言って、真面目君もしっかり見てるじゃない」 「……はぁ。あ、膝枕やめた……」 --- 510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:18:34.92 ID:49jRA89y0 麻雀部員からみた京和、で男女別で一本ずつ。 534 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:27:49.28 ID:qurHBH7Y0 ●●麻雀部員からみた京和、で男女別で一本ずつ 「和ー、ここってどうすりゃ良かったんだ? なんかどうやっても振り込んでた気がするんだけど」 「えっとですね、ここは……」 部室で見る、いつもの光景。原村先輩に教えを請う京太郎さん。 勿論牌譜の研究やデジタル打ちの研鑽に終わりがないことは分かっているけど、 それでも京太郎さんは人を頼らなければならないほど間違った打ち方はしていないと思う。 それでもあの人が原村先輩を頼る理由なんて、分かり切っているのだけど。 ……つーか、多分、原村先輩以外の部員全員が、分かってると思うんだけど。 いい加減くっついてくれねーかなこの二人。見ててムカつく。二流のラノベじゃないんだから。 「ほー。そういうやり方もあるのね」 「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」 「おう。ありがとな、和」 俺には、どう見てもフラグ立ってるようにしか見えないんだけどなぁ。 ほんと、京太郎さんって……。 「……おいなんだ双子兄、その表情は」 「べっつにー? 相変わらず京太郎さんはヘタレだなぁと」 「んだとコラァ!」 535 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:28:34.24 ID:qurHBH7Y0 「和ー、ここってどうすりゃ良かったんだ? なんかどうやっても振り込んでた気がするんだけど」 「えっとですね、ここは……」 部室で見る、いつもの光景。原村先輩に教えを請う須賀先輩。 見慣れた風景だけど、やっぱり中学時代の原村先輩とはなんだか違う気がする。 物腰が柔らかくなったというか、なんというか。 片岡先輩も同じようなことを言っていたし、多分そういうことなんだろう。 ……だからこそ、未だにこの二人が恋愛関係でないというのには驚かされる。 須賀先輩がヘタレ、というか乙女気質なのも多分にあるのだろうけど、 中学時代を知っている身としては、やっぱり原村先輩が鈍感すぎるんじゃないかなと思う。 「ほー。そういうやり方もあるのね」 「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」 「おう。ありがとな、和」 私は、というか多分部員皆、いわゆる「両片想い」の状態なんじゃないかなと思っているけど。 というか絶対そうなんだろうけど。凄くちょっかいを出したいくらい、見ててもどかしいんだけど。 「ほー。そういうやり方もあるのね」 「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」 「おう。ありがとな、和」 まあ、見てて楽しいので、これはこれでいいんじゃないかな、と思う。 せめて高校を出るまでにはくっついてほしいものだけれど。 「……裕子ちゃん? どうかしましたか」 「いーえ、なんでもっ」 面白くないから、絶対にアドバイスとかはしてあげないけど。 --- 515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:31:53.44 ID:GfwOpnf2o 京ちゃんの着替えシーンに遭遇するのどっちで 544 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:34:07.66 ID:qurHBH7Y0 ●京ちゃんの着替えシーンに遭遇するのどっち 合宿。 学校の施設にしては無駄に豪華な合宿所を使ってやるアレである。 一年生の頃は無駄に広い和室に一人取り残され随分寂しい思いをしたものだが、 今年の俺には後輩がいる。あの和室も荷物と俺達とで随分埋まり狭くなった。 もう何も恐くない! そんなわけで合宿をやってるんだが、アレだ。 女子勢に対して男子勢が朝に弱すぎる(女子には咲という鉄壁の寝坊助がいるけど)。 そこで和に頼んで、朝起こしてもらうことにした。 恥を忍んで、というやつだ。 翌日。 ……あれ、案外早くに目が覚めたぞ。 和に起こしてもらうという罪悪感が俺を覚醒させたに違いないな! よーし、さっさと着替えて朝食の準備でも手伝いに行くかね。 そう考えた俺はさっさと寝巻を脱ぎ捨てて着替えを探す。 ……あれ、着替え着替え……鞄の下のほうに潜り込んでんのか。 めんどくせぇな、鞄引っ繰り返すか。 どさどさっ。がらがらっ。 あれ? カバンの中身が散らかる音に重なって何か音がしたような……。 「~~~~~~――――――ッッッ!!?」 ビシィイッ!! 凄まじい勢いで襖が閉まる。……え、そもそもなんで襖開いてたの? あとなんか閉まりかけた襖からピンク色が見えたの気のせいかな? ……気のせいであってください、お願いします。 気のせいじゃなかったらガチ凹みするかんな! 誰に言うでもなく叫ぶ俺。 叫び声に反応して起き始める後輩たち。 急いで服を着る俺。 ……その日一日、和は俺と目を合わせてくれなかった。 俺はその晩、枕を涙で濡らした。 --- 516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:36:09.93 ID:eTblm1YA0 タコス星人に洗脳されて貧乳好きになってしまった京太郎 果たして和は失われてしまった京太郎のおもちへの情熱を取り戻すことができるのか 次回予告「のどっち大勝利!」 こんな感じで 546 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:35:54.33 ID:qurHBH7Y0 ●タコス星人に洗脳されて貧乳好きになってしまった京太郎  果たして和は失われてしまった京太郎のおもちへの情熱を取り戻すことができるのか  次回予告「のどっち大勝利!」 「文化祭ィ?」 「そうっ。お前のような雀キチは覚えてないかもしれないがね、今は文化祭の季節なんだよ」 「そういやそーだったな。あと雀キチ言うなし」 「とにかく、お前ら麻雀部組が来ない内に、結構話は進んでるんだよ」 「ほー。まぁ話し合いに参加してなかった俺らにも責任はあるし、大体のことなら協力するぞ」 「そうか。実はオリジナルの劇をやろうという案が有力なんだが」 「やめとけ! それ絶対爆死する奴だぞ! 中学の時にそれでエラい空気になってた奴がいるの俺知ってるぞ!」 「問題は劇の内容じゃなくて出演者だからいいんだ」 「……まぁ、和に可愛いカッコさせれば大体の奴は納得するか……」 「特にお前とかな。ちなみに主人公が原村さんでヒロインがお前、ラスボスが片岡さんの予定」 「ファッ!?」 「うぅ……なんでこんなことに」 「勇者俺が魔王タコスに負けて行方不明、王女和が勇者を取り返すために旅立つ……まぁ筋書きは面白そうだけどさ」 「のどちゃんの格好はなんか本格的でずるいじぇ。私なんていつものマントだじょ」 「それよかストーリーだよ……俺なんかものっそい最低男になってんじゃねーか」 「ウダウダ言わない! 大道具小道具のほうが辛いんだぞ!」 「お前は好き勝手書いただけだよな脚本家!!」 『勇者スガ……私のことを思い出してください! あの楽しかった日々を! 私達の約束を!』 \原村さんかわええええ/ \やばいぞあの格好/ \衣装班呼んで来い、褒めて遣わす/ 『し、知らないね! あんたみたいに無駄な脂肪を抱えた女のことは! 幼児体型最高!』 \須賀しね/ \須賀爆発しろ/ \オイ、須賀血ィ吐いてんぞ!?/ \アレ大丈夫なのか!?/ \身体が台詞を受け付けなかったんだろうな……/ 『……お、王女ノドカ! スガの洗脳を解いて欲しければ私を倒して見せるんだな!』 \片岡さん可愛い/ \魔王のコスプレ最高/ \くぎゅううううううううううううううううう/ 『……い、いいでしょう! 私には古くから続く王家の使命があるような気がしていましたが、勇者スガとの婚約の前では些事!』 『さあ来るんだじょ、実はこのマントには特に意味はないんだじぇ――!!』 (俺が出演する意味あったんかなこれー……?) --- 518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:41:48.52 ID:NaGt0G8oo 京太郎と一緒に休日に出かけたりする回数が、部内で一番少ないことに気付いたのどっち どうにかして一緒に過ごそうとする 548 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:37:38.87 ID:qurHBH7Y0 ●京太郎と一緒に休日に出かけたりする回数が、部内で一番少ないことに気付いたのどっち  どうにかして一緒に過ごそうとする 一年生の秋からこっちはずっと京太郎君と過ごしていたものですが、最近そうでもなくなってきました。 後輩たちへの指導にそれなりの時間が取られるのと、京太郎君が部長に就任したことが大きいのでしょう。 ……練習が終わった後、お礼と称して色々連れまわしてくれたの、楽しかったんですけど。 最近はそうやって遊びに行くこともすっかりなくなってしまったような。 あ、あれ、そう思うとなんだか無性に寂しいというか……あれ……? 「京太郎さーん、練習終わったらゲーセン行きません?」 「おー、いいぞー。音ゲーでもやるか」 「いいっすね。今日こそ七段受かりますよー」 ……ってあれっ? 部長の仕事とか関係なく、普通に京太郎君は他の人と遊びに行ってるような……。 えっ、なんででしょう、凄く寂しいんですけど。うぅ……。 こ、こうなったら! なんとしてでも近日中に京太郎君を遊びに誘ってみせます! 549 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:38:24.59 ID:qurHBH7Y0 チャレンジ初日。 あっ、あの、京太r…… 「京太郎さんちょっといーすかー? 聞きたいことあるんすけど」 「別にいいけど。場所移す?」 「あっ、そーしてください。喫茶店でも行きましょう」 「奢らねーからな。……咲も呼ぶかー」 ……あうぅ。 チャレンジ二日目。 京太郎くーん。あの、ちょっといいですk…… 「い・ぬーっ! タコス、タコスの作り方を教えるじぇ!」 「こないだ基本的な作り方は教えたろ!? あれ以上何を教えりゃいいの!?」 「私の作ったタコスの味が京太郎の作ったタコスの味に追いつくまで、だじぇ!」 「あ゛ーっ、分かった分かった! 荷物まとめてくるから待ってろ!」 うぅう……。 チャレンジ、三日目。 あのっ! きょ、京太郎君っ……。 「あ、ムロちゃんマホちゃーん。ちょっといいかー?」 「はい、大丈夫ですよ」 「はいはーいっ」 ……ぐすっ、うぅううう……。 チャレンジ四日目……もう心が折れそうです……。 ……いやでも、毎晩一緒にネト麻するのは続けてますし。 あぁでも、京太郎君が遊びに誘ってくれるのはそのお礼だったはずなのに……。 ……うぅ。めげちゃ駄目です。発想を変えましょう。 今日は部活がお休みの日! 流石に失敗しないはず! あ、あのー……きょうたろうくーん……。 「あっ、和! 探したぞ!」 ふえっ!? えっ、あの……。 「ほらほら、早く部室行くぞっ」 えっ、ちょ、京太郎君! いきなり手を繋いでどうするつもり……! 「到着っ! それじゃお姫様、部室へようこそ!」 550 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:38:57.60 ID:qurHBH7Y0 京太郎君が扉を開く。 部室は普段と違ってカラフルに彩られていて。 『ハッピーバースデー和ちゃん(のどちゃん)(原村先輩)(和)!!』 ……ふえっ? えっ、あの、え……? 「いやぁ、苦労したぞ。和にここまで悟らせないのは」 「苦労した甲斐はあったけどね。驚いた顔の和ちゃんなんてそうそう見られないし」 「原村先輩! 男子部員一同からのプレゼントです! エトペンのグッズ買い漁ってきました!」 「のどちゃーん、私特製のタコスを喰らうがいいじぇーっ!」 「作ったの7割方俺だけどね……」 えっ、えっ、あの、え……? そっか、私の誕生日……。 最近京太郎君が私を誘ってくれなかったのは、こういうわけだったんですね。 ……なんだか、悩んでたのが馬鹿みたい。 「えっ……と、どうかな、和。俺からのプレゼント。去年和から貰ったのとお揃いの柄のハンカチ、なんだけど……」 ふふっ。すっごく嬉しいですよ、京太郎君! --- 519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:45:54.04 ID:/pi/xUOio 京太郎が五人に分裂したらどうなる・どうするかを 部員それぞれに聞いてみた 554 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/20(水) 19:27:15.58 ID:cpjzzPHT0 ●京太郎が五人に分裂したらどうなる・どうするかを  部員それぞれに聞いてみた 「京ちゃんがが五人に分裂したら?」 「なんか雑誌の心理テスト的なんであったんすよ。面白そうだったんで」 「んー、そうだなぁ。多分私が学食に行く回数が多くなるね」 「その心は?」 「日替わりのレディースランチ」 「あぁ~……」 「京太郎が五人に分裂したら?」 「ええ。ちょっとした心理テストです」 「んー。とりあえず五人にそれぞれ違う味のタコスを作らせるじぇ!」 「知ってた」 「京太郎が五人に分裂したらぁ?」 「ちょっとした心理テストみたいなもの、ってことで」 「そうじゃなあ。そんなにいるなら一人くらいウチにバイトに来てほしいのう」 「……京太郎さんにメイド服着せる気ですか?」 「まさか。執事服着せるに決まっちょるよ」 「いいですね、それ。本人に交渉してみましょうか」 「須賀君が五人に分裂したら?」 「あ、やっぱいいです」 「何よ、聞いておいて」 「雑用が捗る、と言うだろうことは想像に難くないので」 「京太郎君が五人に分裂したら?」 「はい、ちょっとした心理テストみたいなものです」 「うーん……そうですねぇ。そうしたら、毎日忙しくなりますね」 「忙しく? 京太郎さんが五人いたら、むしろ雑用全部終わらせてくれそうですけど」 「皆に麻雀教えて、皆と遊びに行かなきゃいけませんから」 「原村先輩……」 --- 528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 21:32:39.69 ID:rzND0bKN0 部活動の様子を後輩視点で 556 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/20(水) 19:29:58.35 ID:cpjzzPHT0 ●部活動の様子を後輩視点で 「はいっ、集合!」 須賀先輩がぱんぱんと手を叩く。 竹井先輩を真似たらしい練習開始の合図だ。 「今日は一年組はひたすら特打ち。和は半荘ごとに指導を頼む。咲と優希はネト麻。今日のノルマは半荘5回な」 「んで俺は学生議会言って部費の話した後、備品の買い出し行ってくるわ」 いや、須賀先輩! 部長に買い出しに行かせるわけにはいきませんよ! 俺らで分担して行ってきますって、買い出しくらい。 「ばーか、練習が必要なのはお前らだろ? 集中モードの俺から直撃の一回でも取ってから言うんだな」 ぐぐぅっ。 そう言われると反論できないんですけど! 「いーじゃん、せっかく京太郎さんが行くって言ってくれてんだし甘えようぜ」 全く、お前らはなぁ……。 分かりました。けど先輩、明日は俺と打ってください。 「わーったわーった。ほいじゃ練習開始っ」 不真面目だからではないことは知ってるけど、須賀先輩はこうして練習を抜けることが多い気がする。 俺達のためを思ってやってくれていることだとは分かっても、なんとなく納得がいかない。 先輩にとっても次のインターハイが最後なのに、こんな調子でいいんだろうか。 ……俺が須賀先輩が自宅でネット麻雀とスカイプを駆使して原村先輩と個人練習に勤しんでいるのを知るのは、 これからもう少ししばらく先のことだった。なんというか、もう、うん。 双子じゃないけど、いい加減くっついてくれないかなこの二人。 --- 529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/18(月) 21:39:52.35 ID:yMV6BVu2o 後輩にバレンタインチョコを貰ってデレデレしてる京太郎に嫉妬しながらもチョコを渡す和 558 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/20(水) 19:32:24.93 ID:cpjzzPHT0 ●後輩にバレンタインチョコを貰ってデレデレしてる京太郎に嫉妬しながらもチョコを渡す和 今日は2月14日、バレンタインデー。 小学校・中学校時代はなんというかこう、クラスがざわめきだったりしたものだけど、高校ではもうそんなことはない。 大体みんな「貰えねーし、知ってるし。むしろ俺らそれを話のネタにしてるくらいだし」ってなもんである。 だが俺は違う! 競技人口数億人を超える超大人気知的スポーツ麻雀! その麻雀部に入っているのだからそりゃもう俺も大人気! ……ってわけではないんだけど。 まあとりあえず、部員からはチョコが貰えるので嬉しい。 そんなわけで期待に胸を膨らませながら登校する。 道中、(リボンの色から判断するに後輩の)見知らぬ女子からチョコを貰った。 「去年の県大会、須賀先輩の活躍見てました! 今年は全国行けるように祈ってますね!」 だそうだ。これは思わずにやけざるを得ない。 そうか、一回戦負けでも見てくれてる人は見てくれてるもんなんだなー。 なんかちょっと幸せ。 そんなこんなで学校に到着。下駄箱を開けると手紙付きでチョコが入っていた。 「去年の県大会見ました! 麻雀部の活躍に期待してます!」 だってさ。それなら、実際に勝って全国に行った咲あたりに渡すのが筋だと思うけど。 でもまあチョコ貰って悪い気はしないよな! うん、ちょっと幸せ。 そして教室に行く。机の引き出しのなかにまたもチョコレート。 わざわざ朝早くに来て設置してくれたんだろうか。 「県大会見ました! 麻雀してる時の須賀先輩、格好良かったです!」 なーんて。そこまで言ってくれるとこっちも嬉しくなってくるね。 そういえば女子部員の後輩たちも、集中モードの俺は格好いいって言ってたっけ。 自分でその様子を見れないのが残念だぜ……なんてな。 例の友人が嫉妬するふりをしつつおちゃらけてきたので、俺は思いっきり自慢しかえしてやったのだった。 放課後。 バレンタインだろうとなんだろうと部活は部活、最後の大会に向けて練習に励むのだ。 けどまぁ、練習後に何をやろうが、校則に反しない限りそれは皆の勝手だよね。 「須賀せんぱーい、一年の皆でチョコ作ってきたんですよー」 「勿論一年男子組のぶんもあるよー」 「やっふー! ムロさん達ったら大天使ー!」 ははは後輩ども、はしゃぎすぎるなよー。 「京太郎さんこそ、終始口元緩んでるの気付いてるんですよー?」 うっへっへ、今日はもう人生最多のチョコ量を誇る日だからな。 そりゃもう俺史上ベストバレンタインデーだ。機嫌だってよくもなるさ。 もう俺には怖いものなんざ一つも……ぞくぅぅううっ!? えっ、何これ!? 合同合宿で衣さんと透華さんを同時に相手取ったとき並の圧力を感じ…… 「……京太郎君?」 の、和……いや、はい、あのですね、確かにちょっと年甲斐もなくはしゃいでしまったけど、 ちゃんと部活動は真面目にやりましたよ? 本当ですよ? ネト麻で半荘2回に後輩相手に半荘3回打ったけど一回も振り込んでないんですよ? 「はぁっ。チョコレートを貰えるのがそんなに嬉しい事なんでしょうか……」 小声でそーいうこと言うのやめてくれっ! 抉られる! 心が抉られる! そりゃ嬉しいよ、テンション上がるよ男の子だもの。 和が隣の席にいるのにはしゃいじゃったのはちょっと不愉快だったかもしれねーけど…… 「……それはいいんですけどっ。はい、京太郎君」 えっ? 「チョコレートですっ。味の保証は、できませんけど」 ……うわっ。超嬉しい、超幸せ。 去年は市販品だったのに今年は手作り! やっほーい! もう俺今日死んでもいいぞーっ! 今年はベストどころか、モストバリュアブルなバレンタインデーになりそうだ。 [[前編へ>京太郎「俺のサクセスストーリー」]]|[[後編へ>京太郎「俺のサクセスストーリー」:後編]]
小ネタ 116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 16:02:42.81 ID:E/pWI/qQo あー…… 愛宕ネキ改め、愛宕プロの話 123 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/26(土) 19:47:54.55 ID:gGd+khcM0 『愛宕洋榎、関西大阪ライガーズに入団!』 ウィークリー麻雀TODAYの表紙を飾ったそんな記事。 たまたま本屋で見かけたから手に取ってみたけれど、えっと、誰だっけ? 愛宕さん、愛宕さんといえば……ああ、確かインハイで竹井先輩をボコった人だっけか。 まあ一応読んでみようか。 『宮永照の指名が競合するのを回避しようと愛宕に接触するチームが多い中、ライガーズは最初から愛宕を指名するつもりでいた』 『愛宕もその想いに応えたのか、関西のチーム以外の指名なら受けないと表明。結果的にライガーズが一本釣りする形になった』 『愛宕は野球の巨人阪神のように、麻雀でも東京大阪戦を名物試合にしたいと語った。彼女の今後の活躍が期待される』 ……ほー。かっけぇなー。なんというか、うん、男らしい。 こういう選手になりたいもんだ。 「あれ、須賀君何読んでるの?」 あ、竹井先輩。いやね、姫松の中堅だったあの人がウィークリー麻雀TODAYに載ってたんですよ。 先輩も見ます? ほら、これ。 「……へぇ、洋榎がねぇ。今度試合を観てあげなくちゃ」 --- 118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 16:12:07.09 ID:zGNIOZ0go OB竹井が清澄麻雀部を襲撃 144 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/01/27(日) 14:42:18.37 ID:mhwcopYz0 いつも通り俺達が練習に励んでいると、急に部室の扉が開いた。 「はぁ~い♪ 皆、久しぶりねー」 『…うげっ』 一年生の男子部員の声がハモる。おいお前ら、万が一聞かれてたら酷い目に遭うぞ。 地元の大学に進んだ竹井先輩は、講義の時間が空いているときにこうしてよく部室に来てくれるのだ。 しかしまあ、こう、一言で言い表すなら「魔性の女」というのがぴったりな彼女に、俺達は毎度してやられている。 「須賀君、今失礼なこと考えたでしょ」 うげっ。 「京太郎さんざまぁ」 「身から出た錆……」 いや、竹井先輩はいつも「結果的には」俺達のためになることをしてくれてるんだけどね? その過程で多分に彼女の趣味嗜好によるあれやこれやが挟み込まれるのが問題なだけであって。 「よーし決めたわ、今日のイケニエは須賀君ね」 へーへー、分かりましたよぅ。 今日は一体、何をするんです? --- 236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:11:52.41 ID:NSJDhpdLo はやりん29歳 247 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/02(土) 15:35:32.81 ID:+mfyNJ//0 ●はやりん29歳 『……それではっ、はやりんから重大発表がありますっ☆』 たまの休日。和をデートに誘う勇気もなく俺は自宅で寝そべりながらぼーっとテレビを見ていた。 17歳男子としてこれはどうなんだと思わなくもないが、麻雀番組見てるから、まあ、部活動の一環ってことで。 普段は終始明るい雰囲気で初心者向けの麻雀講座をやっている瑞原プロの番組だが、 今日はなんだか雰囲気が違うようだ。……というより、そりゃ流石に変わらなきゃおかしいよな。 いくらおもち最強と俺の脳内で名高い瑞原プロとはいえ、 流石に(29)にもなってこの路線は「うわキツ」と言わざるを得ない。 とかなんとか思ってたら。 『……最近、私のことをアイドル路線で売ってるだけの色物プロと勘違いしてるボクたちが多いみたいなので~』 テレビの画面越しですら冷や汗をかいたほどのプレッシャー。 これが……トッププロのオーラ。 『今年一年、はやりんはプロ雀士としての活動に専念したいと思いますっ☆』 『高校出たての新人プロちゃんも、色々実績のある先輩プロさんも、まとめてかかってきやがれーってことで、よろしくっ☆』 ……今年のプロリーグは、ひと波乱ありそうだ。 なんだったら、和を観戦に誘ってもいいかもしれない。 どうせそんな勇気は出せないだろうなという情けない自覚と共に、 俺の休日は至極平和に過ぎていくのであった。 ……プロリーグの試合って、テレビだとどのチャンネルでやってるんだろ? --- 237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:13:02.82 ID:RTfUTX/Ho のどっちの父親 娘に男ができたのではないかと悶々 素行調査する 249 :もいっこ、小ネタ! ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/02(土) 15:38:23.21 ID:+mfyNJ//0 ●のどっちの父親  娘に男ができたのではないかと悶々  素行調査する ……最近、娘の様子がおかしい。 まさか本当に全国優勝するとは思っていなかったが、まあ、それはいいとしよう。娘の人生は娘の人生だ。 私個人が麻雀のことを好意的に見ることは今後もないだろうが、親として認めてやるくらいはすべきだろう。 しかし最近、娘が帰ってくる時間が遅くなった。 インターハイが終わったから、しばらくは部活動も短縮されると言っていたはずなのに、だ。 ……それはいいとしよう。 どうやら娘に男が出来たらしい。 用があって部屋を訪れたら(恐らくは最近流行りのスカイプか何かだろう)男の声がしたのだ。 しかもやたらと親しげな口調でだ。我が娘ながら愛想のいいほうではない和が、だ。 ……まあ、男が出来ること自体はいいとしよう。 いずれは起きる事態だ。 しかし、相手の男が本当に娘に相応しいのかどうか。これは大きな問題だ。 まさかとは思うが男も麻雀をやっていたりするのではないだろうな。 もしそうなら私は絶対に認めないぞ。 そう決意を固めていたところに、家の電話が鳴る。 娘の携帯からだ。 『もしもし……あ、お父様。部活の友人に夕食に誘われたので……今日は帰りが遅くなります。それでは』 ……。 ああ、部活の友人が男か女かには触れていないな。 だがしかし、電話越しに確かに男の声が聞こえたな。 音質の問題があるから絶対そうだとは言い切れないが、 聞いた感じではボイスチャットの男と同一人物だろうな。 ………………………まずは、身辺調査からだろうな。 ここに娘の親離れを認められない男の独り相撲が始まった。 なお、麻雀部員だということ以外文句のつけようがなかった模様。 --- 238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:13:20.62 ID:m0f42jImo 京太郎と和の誕生日デートして 273 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:46:49.20 ID:FSCUQByd0 ●京太郎と和の誕生日デートして さーて、部活部活。もうすぐ俺達も三年生だ。一日たりとも無駄にはできねーからな。 そう思って定めた練習開始時間よりかなり早くに部室に向かったのだが、流石にまだ誰もいない。 携帯で部員からの連絡を確認した後でネット麻雀を始めたところで、和が現れた。 「おはようございます。早いんですね、京太郎君」 お、和か。おはよう。流石に早く来すぎたと自分でも思ってるところさ。 真面目君と女子が三人、風邪で欠席らしい。この時期だから健康には気をつけなきゃな。 「そうですか……まあ、人数的には問題ないでしょう。今日も頑張りましょうね」 おうとも、と返事をしたところで残る部員達がぞろぞろと現れた。 よっし、それじゃ練習開始なー。 ……お、もう昼か。よし、じゃあ今日は上がり。各自帰っていいぞ。 「いや駄目っすよ。まさかここまで全く触れもしないとは思ってませんでした」 ん? 俺なんか忘れてたっけ? 嘘だろ、部長に就任してから予定だけはきっちり確認するようにしてるぞ。 「だめだこいつはやくなんとかしないと」 「自分の誕生日忘れる人って実在したんですね」 誕生日? ……あぁっ、そーいやそーだな。完っ全に忘れてたよ。 この年になって誕生日なんてそうそう祝ってもらうもんでもないしな。 「去年ハンカチあげたじゃないですか」 ああっ、それはちゃんと覚えてるって和! 今でもそのハンカチ使ってるんだから! 「京太郎さんもげろ」 「京太郎さん爆発しろ」 黙れ双子っ! そーいうのは今から二週間ほど後に世間を賑わすだろう優男どもに言ってやるべき言葉だろ! (私去年チョコあげたし優希ちゃんも和ちゃんも染谷先輩も竹井先輩もあげてたけど黙っておいたほうがよさそうだな) 274 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:49:01.16 ID:FSCUQByd0 「ま、とにかく! 京太郎さんの誕生日を口実に騒ごうってことで、一年組でちょっとした企画をしたんですよ」 「だから帰られると困るんですけど、なんか用とかあるんですか?」 お、おう。ありがとう。別に外せない用事はないから大丈夫だけど……。 「よっし! んじゃ王様ゲームやりますよー」 うおえええっ!? 駄目なやつだろそれ! 至極まっとうなはずの俺の意見は無情にも却下され、王様ゲームが始まった。 「特別ルール。普通は何番と何番が○○しろ、ですが今回は京太郎さんと何番が○○しろ、と命令すること」 「まあ京太郎さんの誕生日なのに京太郎さんが関わらない命令とか出てもおもんねーし」 おいそれ俺にものっそい不利なルールじゃねぇか! お前らやっぱり騒ぎたいだけだろ、俺の誕生日祝う気ないだろ! こんな滅茶苦茶なルールの王様ゲームに女子の一年や咲、優希までノってきたことを、 俺はこの時点で疑っておくべきだったのかもしれない。 ……そう、イカサマだ。 (王様以外のくじは全部『1』になってる……) (そして京ちゃんと和ちゃん以外、私達はみんな仕掛け人……) (俺達の中の誰かが王様になった瞬間……) (京太郎さんの命脈は尽き果てるのだ……!) 『王様だーれだっ!』 「お、俺だっ!」 うげ、双子弟! 考え得る限り最悪の奴が王様になりやがった! さてどう出る……このお調子者が普通の命令をしてくるとは思えないが……。 「京太郎さんと1番は今から二人でデートに行くこと!」 ファッ!? おい、1番が男だったらどうしてくれるんだ! 俺はせっかくの誕生日をホモホモしい苦い思い出で塗り潰さなきゃいけなくなるのか!? 「え、えっと、京太郎君……」 ん? どうした、和。 「1番、私……です」 よくやった双子弟ォォォォォォォ!!! そんな本音はおくびにも出さないが、マジでよくやった双子弟。 俺、今日という日が終わったら死んでもいいや。 275 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:51:07.89 ID:FSCUQByd0 お前ら絶対ついてくんなよ! 尾行とかしてたら後が怖いぞ! 咲、優希! こいつら見張っててくれよな! 頼んだからな! 「京太郎さん必死過ぎてわろす」 「任せといて、京ちゃん(何を任せるのかは言ってない)」 「心配しなくていいじぇ(尾行しないとは言ってない)」 ……なーんか不穏な雰囲気があるような気もするけど。 正直、和とデート出来るなら多少のマイナスは甘んじて受け入れるつもりがあるぞ、俺は。 それじゃ、行こうか和。 「いいんですか? 罰ゲームにしては少々やりすぎな気もしますが」 和がいいんだったら、俺はいいさ。 和が嫌なんだったらこのまま家まで送るよ。 「……はぁ。まあ、京太郎君の誕生日ですし、せっかくだからどこかに出かけましょうか」 そう来なくっちゃ! とはいえ、特に行きたい場所もねーよなぁ。 ゲーセンでも行く? 「いいですよ。それじゃ、行きましょうか」 さて、ついたぞ。 この無駄なやかましさ、実にゲーセン。 さーてなんか二人で遊べそうなものはっと……。 「……」 えーと、おーい、和? 状況を説明しよう。場所、クレーンゲーム。中身、エトペンのストラップ。 和がその場から動かない。 これは男を見せるしかあるまいよ。 っし、じゃあまずはこいつから行くかー。 「いいんですかっ!」 あぁもう可愛いなあもう! ヤバい、俺は着々と駄目なほうの道に進んでる気がする。 ともかく、まずは500円投入。500円で6回出来るタイプの良心的なやつだから多分これで取れるだろ。 ……ぃよっし! 案外早く取れたな。 「エトペン……!」 和の目が輝いている。プレイ回数は残り二回。 これはもしかするともしかするぞ……ぃよっしゃあ二個目ゲットー! やった、和とお揃いだー! ほい和、こっちお前のな。 「あ、ありがとうございます……!」 あぁもうああもう、エトペンストラップごときで喜びすぎだろ和! なんなの! 俺だけを萌え殺す娘さんなの!? 「き、京太郎君、大丈夫ですか?」 ああごめん和、気にしないで。 俺の理性が決して負けられない戦いに臨んでただけだから。 次どこ行く? 見たところ、ここではこれ以上やることもなさそうだけど。 「んー。そうは言いましても、私も急には思いつきません」 んじゃ飯でも食いに行くか。よく考えたら食ってねえや。 どこ行きたい? ファミレスでもなんでもいいけど。 「あ、じゃあこの前連れてってくれた、あそこ……あの、ハンバーガー食べるところがいいですっ」 あー、ナクドね。オッケーオッケー、全然いいよ。 俺としては、いいとこのお嬢さんにあんなジャンクフード食わしていいもんかどうか悩むところだけど。 「♪」 ……まぁ、この機嫌のよさそうな和を止める勇気なんて、俺にはないし。 いいんじゃないかね。 276 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/04(月) 21:52:57.45 ID:FSCUQByd0   そんなこんなで和と二人っきりというシチュエーションを全力全開で堪能した俺が、帰宅後に携帯を確認すると。 大量の画像添付メールが、見知らぬアドレスから送られてきていた。 え、何これは……と思いつつ開いてみると。 そこには揃いのエトペンストラップを持った見覚えのある少年少女の姿や。 向かい合って座りナクドのセットを食ってる見覚えのある少年少女の姿や。 商店街に繰り出して互いの服を選び合ってる見覚えのある少年少女の姿や。 お互いが選んだマフラーをつけて並んで歩く見覚えのある少年少女の姿があって。 …………………………………うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!??!?!??   --- 239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:13:41.27 ID:PunxP+cJo  >>144のイケニエの内容を詳しく 315 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/07(木) 19:40:17.98 ID:h5oedpI80 ●>>144のイケニエの内容を詳しく はーぁ、余計なこと言うもんじゃねーな。 また俺が竹井先輩の生贄だよ。 まぁその道中に麻雀の小話とか聞けるし、練習の相手もしてくれるし、 決して無駄な時間ではないんだけど。ないんだけれども。 それでもちょっと、これはやりすぎじゃありませんかね竹井先輩。 前が見えねーっす。荷物多すぎ。 「だらしがないわねー須賀君。いい男がその程度で音を上げちゃ駄目よ」 視界を塞ぐほどの大荷物を一方的に抱えさせられて、 それでもにこやかな笑顔を振りまくのがいい男だってんなら、 俺はいい男じゃなくていいです。 「ま、和が考える『いい男』はまた違うでしょうしねー」 なんでそこで和が出てくるんですかっ! 全く誰相手でもこっちのペースで話せることなんてほとんどない俺だけど、竹井先輩だけは敵に回したくねーや。 こうして毎度毎度生贄にされてる辺り、どっかで敵に回してるんだろうけど。 わっかんねー。 「ふっふーん。いやぁ、やっぱり荷物持ちがいると買い物捗るわねー」 まぁ、この大量の荷物の八分の一くらいは部の買い出しも兼ねてるわけですし、文句は言いませんが。 ……これだと結局俺が雑用係続けてるみたいなもんだよなぁ。はぁ。 「ブーたれないっ。美穂子なんてキャプテンになってからも自分で雑用を買って出てたんだから」 それは既に何度も聞きましたよ。 そういう話は自分でやってから言ってください。 「最近つれなくなってきたわねぇ須賀君」 つれないというか、釣られないというか。 「やっぱり先生に似たのかしら?」 ……どんだけ和の話したいんですか、あんたは。 やっぱり、何年経っても、竹井先輩が分からない。 --- 240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:14:27.79 ID:J+jvly7w0 アラフォーとデート 354 :あんまりむしゃくしゃしたから小ネタやるわ ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/10(日) 21:49:57.54 ID:yKXvNrCz0 ●アラフォーとデート 「突撃、隣の高校生雀士! 司会は敏腕アナウンサー、福与恒子でお送りいたしまーす♪」 「相方はいつも通り、私小鍛治健夜が務めさせていただきます。今日は誰を訪ねるんでしょうか」 「今回の相手はなんと! インハイ個人戦初出場! 魔王と名高い宮永咲選手を擁する清澄の男子選手、須賀京太郎選手ですよ!」 「魔王とか言わないであげて!?」 「というわけで既に須賀君には出て来ていただいていまーす!」 「うえぇ!? ちっとも訪ねてないけどいいの!? 呼び出しちゃってるけどいいの!?」 「いいんじゃなーい? ぶっちゃけ交渉とかアポとかは私の管轄じゃないので分かんないわー」 「一ヶ月前に連絡があったからちゃんと今日は練習休みにしておいたんで、大丈夫ですよ」 「現役アナウンサーよりも高校生のほうが人間出来てるんだけど!?」 「もう、こーこちゃんと一緒にいるとツッコミ疲れるよ……」 「アラフォーだからね、ちょっとしたことで疲れても仕方ないね」 「アラサーだよ!」 「おぉ、生コント」 「お恥ずかしいところをお見せしてごめんね……」 「そいじゃまあ、街に繰り出そうかー」 355 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/10(日) 21:51:24.19 ID:yKXvNrCz0 突撃、隣の高校生雀士。 ウィークリー麻雀TODAYなんかで話題になってる高校生雀士を(ちゃんと事前にアポを取って)訪ね、 プロ雀士と交流してもらうという趣旨でお送りする全国ネットの人気番組である。 この番組の特徴は宮永照や原村和のような既に有名な選手ではなく一見埋もれがちになる地味な選手を発掘することで、 特に二年生の選手を訪ねるときは来年のインハイに期待できる選手が出てくると玄人ファンの間でまことしやかに囁かれている。 そんなわけで、結局のところ残った記録は団体戦予選一回戦敗退と個人戦決勝リーグ敗退でしかなかったとはいえ、 先鋒として驚異の成績を叩き出した京太郎にお呼びがかかったのはまあ不自然なことではなかった。 「……とはいえ、俺別に強豪校のエースの人とか、ウチの和と違ってこういう経験ないんですけど……緊張するなぁ」 「ははは、気にしないで大丈夫だよ。ぶっちゃけこの番組地元自慢とかして終わりみたいなもんだし」 「こうして散歩でもしながらお話を聞かせてくれたらそれでオッケーなところあるからさ」 田舎の街を三人で歩く様子を撮影しているだけというまた珍妙な番組だが、 プロ雀士とアナウンサーのコンビ漫才だけでも最低限番組としての体は成しているので良し、らしい。 「須賀君は麻雀始めてどれくらいなの? あれだけの活躍をするのに一年生の頃は特に名前を見なかったのも気になるな」 「麻雀始めたのは高校からですね。恥ずかしながらルールも全然知らなくて……去年は個人戦に出て、予選でトバされて終わりでした」 「高校から! っはー、信じらんないねー。すこやんはいつからだっけ。三十年くらい前?」 「直接表現しなくても言ってること一緒だよ! アラサーだよ!」 「はは……まあ、いい先生がいてくれたのが救いでした。おかげでこれだけ強くなれたので、俺の先生には感謝してます」 「先生ねー。調べたところによると清澄の麻雀部は顧問はいても監督はいなかったはずだけど」 「んでもって男子部員も須賀君から見ると後輩しかいなかったはずだよね。これは気になるなー」 「しまった!? 余計なこと言った!」 (すこやん、楽しそうじゃん。いや須賀君背ェ高いしイケメンだしまあ私も楽しいけど……) 「……じゃ、来年こそは全国、かな?」 「そりゃ勿論ですよっ」 「ふふっ、なら本当に全国出場決めたらお姉さんがご褒美をあげよう」 「気の長い話ですねー。多分俺忘れてますよそれ」 (……お願いだから、犯罪だけはやめてよねすこやん……) --- 367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 22:19:11.02 ID:Br4jvfyGo のどっちにラキスケ なお満更でもない模様 371 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/10(日) 22:44:29.09 ID:yKXvNrCz0 ●のどっちにラキスケ  なお満更でもない模様 「ふあぁ~あ~……おはよう、和……」 「おはようございます、京太郎君」 世界麻雀U20大会に召集され、大会に向けた合宿に参加した京太郎。 清澄からは他にも和と咲が参加しているし、インターハイで見かけた顔もいる。 なお、世界大会編がこのSSで描かれる予定はないので悪しからず。 「なんつーか、しんどい。時差?」 「落ち着いてください、ここは日本です」 基本的に京太郎は朝が強いほうではないため、試合本番には程遠いこの時点では全く気合いが入っていないようだ。 反対に和は既に準備万端。今から試合ですと言われても対応できそうな佇まいである。 たぶんその辺の差がこの不幸な事故を生んだのだろう。 「ふあ~ぁぁあ……」 「もう京太郎君、いい加減目を覚ましてください」 「わかってる……ふあぁ~……うげっ!?」 何かに躓いてすっ転ぶ京太郎。 隣を歩いていた和は当然それを助けようとするが、 流石に体格差やあれこれ的にそれは無理だった。 ドンガラガッシャ―ン!! 「なんだ!?」 「何事だ!?」 「すげェ音したぞ!」 フロア中に鳴り響く騒音! 集まる代表選手たち! そこで彼らが見たものは! 『……!?』 期待の男子選手須賀京太郎(が転ぶのを助けようとしたが体重差で引っ張られ自分も転んでしまったがために彼)を 押し倒して(いるようにしか見えないうえに不幸な事故の結果)キスまでしている有名アイドル雀士原村和の姿であった! 「あっ…(察し)」 「これは(須賀を)教育やろなあ」 「これは(原村を)教育やろなあ」 「京ハギじゃないんですか(憤怒)」 「大松「ハギ京だろ」」 「なんでホモが湧いてるんですかねえ……」 現場を目撃した選手の反応は様々であったが、とりあえず。 「……目、覚めましたか」 「……これ以上なく、はい」 当初の目的は達成できたということで、二人は無理矢理納得するしかなかった。 --- 241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:15:26.43 ID:8zA+sIWqo 久、部室ロッカーに潜入し部を様子見する なお京太郎にバレる模様 411 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/15(金) 13:58:39.00 ID:VW2Ii3OR0 ●久、部室ロッカーに潜入し部を様子見する  なお京太郎にバレる模様 竹井久は面白いことが大好きである。 例えば麻雀でなら他の誰もしないような待ちで和了ることに至上の喜びを覚えるし。 誰も思いつかないような練習方法で後輩の実力が上がった時など身体が震えた。 清澄高校麻雀部を引退してOGとなってからも、その趣味は変わっていない。 (さーて、今日は講義が早めに終わったから顔を出してみたけど……普通に行っても面白くないわよね) どうせ練習に参加するなら、何かしら部員を驚かせたい。 それ自体には全くもって意味などないのだが、まあ、趣味なのだから仕方がない。 他人に迷惑をかけていないのなら、趣味に口出しをすることはないだろう。 竹井久の場合は、わりと迷惑をかけたりもするのだが。 ……まあ、越えちゃいけないラインだけは弁えてる人なので、大丈夫だろう。 たぶん、まあ、きっと。 (そーだっ、ロッカーの中に隠れて、皆が練習し始めたところでしれっと出てくとかどうかしら) うん、中々いい案だろう。 普段は外から入っていっては一部の男子部員にうげっと言われるけれど、 ならば中から突然現れたらどうなるのか。うん、面白そう。 よーしそうと決まれば実践よ! と、意気揚々とロッカーに入り込んでから数分、喋り声が聞こえ始めた。 そろそろか。いやでも、いきなり出ても面白くないわね。 しばらく待っていましょう。 皆が部室に集まって少し話して、さあ練習ってところで出るのが一番面白そうね。 「そーいえば京太郎さん、今日は竹井先輩来るんすよね」 「そだなー。まぁお前ら失言だけはすんなよ」 「うっす。それよか、今日は何を仕掛けてくると思います?」 「んー?」 可愛い後輩たちのその質問に、何故か須賀君が答えを言い澱む。 ……ん? まさか今こっち見なかった? 気のせいよね? 「そだなー、あの竹井先輩ならまさか既に部室に入り込んで隠れてるとか、そんな古典的なことはしねーだろうなー」 えっ。 「そっすかねー。むしろありそうじゃねーっすか? なんかこう、部室掃除するかーってロッカー開いたらドーンみたいな」 「おいおい、あの竹井先輩だぞ? もっと俺達には思いもつかないようなことをしてくるにきまってるさ」 ちょっ!? 「それもそうっすねー。んじゃ練習始めますかー」 「おーう。竹井先輩が来た時に恥ずかしくないように皆で上手くなるぞー、おー!」 『おー!』 出てくに出てけないじゃないのよもぉぉおお!? --- 242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:15:45.90 ID:fOs3TQ7Co 京太郎の誕生日プレゼントにタコスを作るタコス 413 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/15(金) 13:59:48.65 ID:VW2Ii3OR0 ●京太郎の誕生日プレゼントにタコスを作るタコス 「優希ちゃーん。京ちゃんの誕生日プレゼント、どうする?」 「ん? タコスにするつもりだじぇ」 「……えっ? 聞き間違えたのかな、もう一回お願いできるかな?」 「タコス作るつもりだじぇ」 「……えっ?」 「ものっ凄い失礼な反応された気がするけど、心の広い私は許してあげるじぇ」 「いやな、最近の京太郎にはタコス作れとか頼み辛いし?」 「あー、まぁ最近の京ちゃん普通に戦力だしねえ」 「気付いたら自作してたじぇ」 「そこで自作しようって考えに至るあたり、流石だと思うよ」 「そういうもんか?」 「私は手元の本を読みつくしても自分で小説を書こうって考えには至らないと思う」 「それはまた話が違うと思うじょ」 「……ほいっ、とりあえず出来たじょ。味見してみる?」 「あ、貰う貰う~。いただきまーす」 「……あっ、美味しい……」 --- 243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 00:15:56.64 ID:Hv91Q2Zm0 和と新婚生活 415 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/15(金) 14:01:15.81 ID:VW2Ii3OR0 ●和と新婚生活 「っくぁあ~……おはよ、和」 「おはようございます、京太郎君。朝ごはん、出来てますよ」 「ありがと……いただきます」 「いただきます」 「……ふぅ、ご馳走様。それじゃ、今日も頑張ってくるよ」 「ええ、いってらっしゃい」 ――ちゅっ。 「須賀君、調子はどう?」 「課長。問題ありません、順調です」 「あ、仕事のほうじゃなくて。新婚生活っ」 「あ、聞いちゃいますかそこ。相変わらずですね竹井さん」 「そりゃもうね~。まさか本当にくっつくとは思ってなかったもの♪」 「あんたホントいい趣味してますね……いやですね、本当ヤバいっす。和の嫁力ハンパないですね」 「あ、やっぱり? 高校の頃からあの子は化けると思ってたのよ」 「なんかもう同じもん食っても味が違うんですよ。昼に炒飯食って晩に和が炒飯作ってたら、俺喜びますからね」 「そこまでか」 「そこまでっすね。なんかもう、愛が違う」 「寒い、っていうか思った以上に惚気がウザい」 「いやいやマジなんですって。なんなら今度ウチ来ます?」 「あ、行く行く♪」 --- 506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 19:56:02.78 ID:yMV6BVu2o 倒れた京ちゃんに膝枕する和の接吻未遂事件 531 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:26:01.51 ID:qurHBH7Y0 書き上がり次第投下していくスタイル 目指せ明日の晩までに小ネタ9個制覇(白目) ●倒れた京ちゃんに膝枕する和の接吻未遂事件 (本編のifとなります) インターハイ男子個人戦本選一回戦。 その後京太郎は滞在中のホテルまで何とか辿り着くもそこで意識を失ってしまう。 「お、俺達で冷えピタとか色々買ってくるんで原村先輩京太郎さんのことよろしくお願いします!」 そう言ったのは確か双子の弟のほうだったか。 何も部員全員が出ていく必要はまるでなかったのだが、 余りに焦っていた和は特に疑問に思わず彼らを見送った。 「京太郎、君」 幸い大事には至らなかったようで、京太郎は和の膝の上で規則正しく寝息を立てている。 ……麻雀を教え始めたあの頃、彼がここまで強くなると誰が予想したろうか。 ずぶの素人であった彼が、二年間の研鑽を経て全国区でその実力を認められるまでになると。 「……頑張りましたね、京太郎君」 現在に至るまでに彼が積んできた努力を、乗り越えてきた葛藤を想像すると。 とても彼のことが愛おしくなって。……同時に、ここまで無茶をする彼に、無性に腹が立って。 「お願いだから、お願いですから……あまり、心配させないで……」 ふと気付くと、眠りこける京太郎の頬に、一滴の涙が落ちていて。 それを自覚してしまったせいで、涙が止まらなくなって。 「京太郎君……っ」 絞り出すような声と共に思い出されるのは、今まで彼と過ごしてきた日々。 いつだって、彼は彼女の隣にいた。 いつだって、彼は彼女と笑い合っていた。 そして、ようやく、彼女は自分の想いに気付く。 「……あー。そっか」 「私、京太郎君のことが――」 ようやくのこと自覚した、止められない想い。 彼への愛情や、心配や、そんなあれこれが綯交ぜになったその想いを表現するために、 彼女が取った行動は―― 「……ん?」 「――ッ!?」 (あっ……危ない危ない危ない! 何をしようとしてたんですか私は! 何をしようとしてたんですか私は! 彼はたった今倒れてたばかりなんですよ!? そんなことしてる場合じゃないし寝かせてあげなきゃいけないですし! なのに起きちゃいましたし! なんで起きるんですかもう……じゃなくて! っていうか皆帰りがやけに遅いですし! 全くこの緊急時に皆何をやってるんですか……じゃなくて!! 一体何をしようとしてたんですか私はっ!!) 「あの……のど、か?」 「あっ、いやそのですね! 京太郎君が倒れたっていうから、その、心配でですね、あの、えっとあうあうあう……!」 「あのだな……凄い有難いんだけど、ずっと膝枕ってのは恥ずい……」 「はぅうっ!?」 532 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:26:36.70 ID:qurHBH7Y0 「……京ちゃんったら、ほんとタイミング悪いなぁ……」 「全くだじぇ。これだから犬は」 「弟よ、録画は」 「パーペキ。あとでメールに添付して皆に送るわ」 「……お前らなぁ」 「そんなこと言って、真面目君もしっかり見てるじゃない」 「……はぁ。あ、膝枕やめた……」 --- 510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:18:34.92 ID:49jRA89y0 麻雀部員からみた京和、で男女別で一本ずつ。 534 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:27:49.28 ID:qurHBH7Y0 ●●麻雀部員からみた京和、で男女別で一本ずつ 「和ー、ここってどうすりゃ良かったんだ? なんかどうやっても振り込んでた気がするんだけど」 「えっとですね、ここは……」 部室で見る、いつもの光景。原村先輩に教えを請う京太郎さん。 勿論牌譜の研究やデジタル打ちの研鑽に終わりがないことは分かっているけど、 それでも京太郎さんは人を頼らなければならないほど間違った打ち方はしていないと思う。 それでもあの人が原村先輩を頼る理由なんて、分かり切っているのだけど。 ……つーか、多分、原村先輩以外の部員全員が、分かってると思うんだけど。 いい加減くっついてくれねーかなこの二人。見ててムカつく。二流のラノベじゃないんだから。 「ほー。そういうやり方もあるのね」 「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」 「おう。ありがとな、和」 俺には、どう見てもフラグ立ってるようにしか見えないんだけどなぁ。 ほんと、京太郎さんって……。 「……おいなんだ双子兄、その表情は」 「べっつにー? 相変わらず京太郎さんはヘタレだなぁと」 「んだとコラァ!」 535 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 00:28:34.24 ID:qurHBH7Y0 「和ー、ここってどうすりゃ良かったんだ? なんかどうやっても振り込んでた気がするんだけど」 「えっとですね、ここは……」 部室で見る、いつもの光景。原村先輩に教えを請う須賀先輩。 見慣れた風景だけど、やっぱり中学時代の原村先輩とはなんだか違う気がする。 物腰が柔らかくなったというか、なんというか。 片岡先輩も同じようなことを言っていたし、多分そういうことなんだろう。 ……だからこそ、未だにこの二人が恋愛関係でないというのには驚かされる。 須賀先輩がヘタレ、というか乙女気質なのも多分にあるのだろうけど、 中学時代を知っている身としては、やっぱり原村先輩が鈍感すぎるんじゃないかなと思う。 「ほー。そういうやり方もあるのね」 「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」 「おう。ありがとな、和」 私は、というか多分部員皆、いわゆる「両片想い」の状態なんじゃないかなと思っているけど。 というか絶対そうなんだろうけど。凄くちょっかいを出したいくらい、見ててもどかしいんだけど。 「ほー。そういうやり方もあるのね」 「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」 「おう。ありがとな、和」 まあ、見てて楽しいので、これはこれでいいんじゃないかな、と思う。 せめて高校を出るまでにはくっついてほしいものだけれど。 「……裕子ちゃん? どうかしましたか」 「いーえ、なんでもっ」 面白くないから、絶対にアドバイスとかはしてあげないけど。 --- 515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:31:53.44 ID:GfwOpnf2o 京ちゃんの着替えシーンに遭遇するのどっちで 544 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:34:07.66 ID:qurHBH7Y0 ●京ちゃんの着替えシーンに遭遇するのどっち 合宿。 学校の施設にしては無駄に豪華な合宿所を使ってやるアレである。 一年生の頃は無駄に広い和室に一人取り残され随分寂しい思いをしたものだが、 今年の俺には後輩がいる。あの和室も荷物と俺達とで随分埋まり狭くなった。 もう何も恐くない! そんなわけで合宿をやってるんだが、アレだ。 女子勢に対して男子勢が朝に弱すぎる(女子には咲という鉄壁の寝坊助がいるけど)。 そこで和に頼んで、朝起こしてもらうことにした。 恥を忍んで、というやつだ。 翌日。 ……あれ、案外早くに目が覚めたぞ。 和に起こしてもらうという罪悪感が俺を覚醒させたに違いないな! よーし、さっさと着替えて朝食の準備でも手伝いに行くかね。 そう考えた俺はさっさと寝巻を脱ぎ捨てて着替えを探す。 ……あれ、着替え着替え……鞄の下のほうに潜り込んでんのか。 めんどくせぇな、鞄引っ繰り返すか。 どさどさっ。がらがらっ。 あれ? カバンの中身が散らかる音に重なって何か音がしたような……。 「~~~~~~――――――ッッッ!!?」 ビシィイッ!! 凄まじい勢いで襖が閉まる。……え、そもそもなんで襖開いてたの? あとなんか閉まりかけた襖からピンク色が見えたの気のせいかな? ……気のせいであってください、お願いします。 気のせいじゃなかったらガチ凹みするかんな! 誰に言うでもなく叫ぶ俺。 叫び声に反応して起き始める後輩たち。 急いで服を着る俺。 ……その日一日、和は俺と目を合わせてくれなかった。 俺はその晩、枕を涙で濡らした。 --- 516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:36:09.93 ID:eTblm1YA0 タコス星人に洗脳されて貧乳好きになってしまった京太郎 果たして和は失われてしまった京太郎のおもちへの情熱を取り戻すことができるのか 次回予告「のどっち大勝利!」 こんな感じで 546 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:35:54.33 ID:qurHBH7Y0 ●タコス星人に洗脳されて貧乳好きになってしまった京太郎  果たして和は失われてしまった京太郎のおもちへの情熱を取り戻すことができるのか  次回予告「のどっち大勝利!」 「文化祭ィ?」 「そうっ。お前のような雀キチは覚えてないかもしれないがね、今は文化祭の季節なんだよ」 「そういやそーだったな。あと雀キチ言うなし」 「とにかく、お前ら麻雀部組が来ない内に、結構話は進んでるんだよ」 「ほー。まぁ話し合いに参加してなかった俺らにも責任はあるし、大体のことなら協力するぞ」 「そうか。実はオリジナルの劇をやろうという案が有力なんだが」 「やめとけ! それ絶対爆死する奴だぞ! 中学の時にそれでエラい空気になってた奴がいるの俺知ってるぞ!」 「問題は劇の内容じゃなくて出演者だからいいんだ」 「……まぁ、和に可愛いカッコさせれば大体の奴は納得するか……」 「特にお前とかな。ちなみに主人公が原村さんでヒロインがお前、ラスボスが片岡さんの予定」 「ファッ!?」 「うぅ……なんでこんなことに」 「勇者俺が魔王タコスに負けて行方不明、王女和が勇者を取り返すために旅立つ……まぁ筋書きは面白そうだけどさ」 「のどちゃんの格好はなんか本格的でずるいじぇ。私なんていつものマントだじょ」 「それよかストーリーだよ……俺なんかものっそい最低男になってんじゃねーか」 「ウダウダ言わない! 大道具小道具のほうが辛いんだぞ!」 「お前は好き勝手書いただけだよな脚本家!!」 『勇者スガ……私のことを思い出してください! あの楽しかった日々を! 私達の約束を!』 \原村さんかわええええ/ \やばいぞあの格好/ \衣装班呼んで来い、褒めて遣わす/ 『し、知らないね! あんたみたいに無駄な脂肪を抱えた女のことは! 幼児体型最高!』 \須賀しね/ \須賀爆発しろ/ \オイ、須賀血ィ吐いてんぞ!?/ \アレ大丈夫なのか!?/ \身体が台詞を受け付けなかったんだろうな……/ 『……お、王女ノドカ! スガの洗脳を解いて欲しければ私を倒して見せるんだな!』 \片岡さん可愛い/ \魔王のコスプレ最高/ \くぎゅううううううううううううううううう/ 『……い、いいでしょう! 私には古くから続く王家の使命があるような気がしていましたが、勇者スガとの婚約の前では些事!』 『さあ来るんだじょ、実はこのマントには特に意味はないんだじぇ――!!』 (俺が出演する意味あったんかなこれー……?) --- 518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:41:48.52 ID:NaGt0G8oo 京太郎と一緒に休日に出かけたりする回数が、部内で一番少ないことに気付いたのどっち どうにかして一緒に過ごそうとする 548 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:37:38.87 ID:qurHBH7Y0 ●京太郎と一緒に休日に出かけたりする回数が、部内で一番少ないことに気付いたのどっち  どうにかして一緒に過ごそうとする 一年生の秋からこっちはずっと京太郎君と過ごしていたものですが、最近そうでもなくなってきました。 後輩たちへの指導にそれなりの時間が取られるのと、京太郎君が部長に就任したことが大きいのでしょう。 ……練習が終わった後、お礼と称して色々連れまわしてくれたの、楽しかったんですけど。 最近はそうやって遊びに行くこともすっかりなくなってしまったような。 あ、あれ、そう思うとなんだか無性に寂しいというか……あれ……? 「京太郎さーん、練習終わったらゲーセン行きません?」 「おー、いいぞー。音ゲーでもやるか」 「いいっすね。今日こそ七段受かりますよー」 ……ってあれっ? 部長の仕事とか関係なく、普通に京太郎君は他の人と遊びに行ってるような……。 えっ、なんででしょう、凄く寂しいんですけど。うぅ……。 こ、こうなったら! なんとしてでも近日中に京太郎君を遊びに誘ってみせます! 549 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:38:24.59 ID:qurHBH7Y0 チャレンジ初日。 あっ、あの、京太r…… 「京太郎さんちょっといーすかー? 聞きたいことあるんすけど」 「別にいいけど。場所移す?」 「あっ、そーしてください。喫茶店でも行きましょう」 「奢らねーからな。……咲も呼ぶかー」 ……あうぅ。 チャレンジ二日目。 京太郎くーん。あの、ちょっといいですk…… 「い・ぬーっ! タコス、タコスの作り方を教えるじぇ!」 「こないだ基本的な作り方は教えたろ!? あれ以上何を教えりゃいいの!?」 「私の作ったタコスの味が京太郎の作ったタコスの味に追いつくまで、だじぇ!」 「あ゛ーっ、分かった分かった! 荷物まとめてくるから待ってろ!」 うぅう……。 チャレンジ、三日目。 あのっ! きょ、京太郎君っ……。 「あ、ムロちゃんマホちゃーん。ちょっといいかー?」 「はい、大丈夫ですよ」 「はいはーいっ」 ……ぐすっ、うぅううう……。 チャレンジ四日目……もう心が折れそうです……。 ……いやでも、毎晩一緒にネト麻するのは続けてますし。 あぁでも、京太郎君が遊びに誘ってくれるのはそのお礼だったはずなのに……。 ……うぅ。めげちゃ駄目です。発想を変えましょう。 今日は部活がお休みの日! 流石に失敗しないはず! あ、あのー……きょうたろうくーん……。 「あっ、和! 探したぞ!」 ふえっ!? えっ、あの……。 「ほらほら、早く部室行くぞっ」 えっ、ちょ、京太郎君! いきなり手を繋いでどうするつもり……! 「到着っ! それじゃお姫様、部室へようこそ!」 550 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/19(火) 19:38:57.60 ID:qurHBH7Y0 京太郎君が扉を開く。 部室は普段と違ってカラフルに彩られていて。 『ハッピーバースデー和ちゃん(のどちゃん)(原村先輩)(和)!!』 ……ふえっ? えっ、あの、え……? 「いやぁ、苦労したぞ。和にここまで悟らせないのは」 「苦労した甲斐はあったけどね。驚いた顔の和ちゃんなんてそうそう見られないし」 「原村先輩! 男子部員一同からのプレゼントです! エトペンのグッズ買い漁ってきました!」 「のどちゃーん、私特製のタコスを喰らうがいいじぇーっ!」 「作ったの7割方俺だけどね……」 えっ、えっ、あの、え……? そっか、私の誕生日……。 最近京太郎君が私を誘ってくれなかったのは、こういうわけだったんですね。 ……なんだか、悩んでたのが馬鹿みたい。 「えっ……と、どうかな、和。俺からのプレゼント。去年和から貰ったのとお揃いの柄のハンカチ、なんだけど……」 ふふっ。すっごく嬉しいですよ、京太郎君! --- 519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:45:54.04 ID:/pi/xUOio 京太郎が五人に分裂したらどうなる・どうするかを 部員それぞれに聞いてみた 554 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/20(水) 19:27:15.58 ID:cpjzzPHT0 ●京太郎が五人に分裂したらどうなる・どうするかを  部員それぞれに聞いてみた 「京ちゃんがが五人に分裂したら?」 「なんか雑誌の心理テスト的なんであったんすよ。面白そうだったんで」 「んー、そうだなぁ。多分私が学食に行く回数が多くなるね」 「その心は?」 「日替わりのレディースランチ」 「あぁ~……」 「京太郎が五人に分裂したら?」 「ええ。ちょっとした心理テストです」 「んー。とりあえず五人にそれぞれ違う味のタコスを作らせるじぇ!」 「知ってた」 「京太郎が五人に分裂したらぁ?」 「ちょっとした心理テストみたいなもの、ってことで」 「そうじゃなあ。そんなにいるなら一人くらいウチにバイトに来てほしいのう」 「……京太郎さんにメイド服着せる気ですか?」 「まさか。執事服着せるに決まっちょるよ」 「いいですね、それ。本人に交渉してみましょうか」 「須賀君が五人に分裂したら?」 「あ、やっぱいいです」 「何よ、聞いておいて」 「雑用が捗る、と言うだろうことは想像に難くないので」 「京太郎君が五人に分裂したら?」 「はい、ちょっとした心理テストみたいなものです」 「うーん……そうですねぇ。そうしたら、毎日忙しくなりますね」 「忙しく? 京太郎さんが五人いたら、むしろ雑用全部終わらせてくれそうですけど」 「皆に麻雀教えて、皆と遊びに行かなきゃいけませんから」 「原村先輩……」 --- 528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 21:32:39.69 ID:rzND0bKN0 部活動の様子を後輩視点で 556 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/20(水) 19:29:58.35 ID:cpjzzPHT0 ●部活動の様子を後輩視点で 「はいっ、集合!」 須賀先輩がぱんぱんと手を叩く。 竹井先輩を真似たらしい練習開始の合図だ。 「今日は一年組はひたすら特打ち。和は半荘ごとに指導を頼む。咲と優希はネト麻。今日のノルマは半荘5回な」 「んで俺は学生議会言って部費の話した後、備品の買い出し行ってくるわ」 いや、須賀先輩! 部長に買い出しに行かせるわけにはいきませんよ! 俺らで分担して行ってきますって、買い出しくらい。 「ばーか、練習が必要なのはお前らだろ? 集中モードの俺から直撃の一回でも取ってから言うんだな」 ぐぐぅっ。 そう言われると反論できないんですけど! 「いーじゃん、せっかく京太郎さんが行くって言ってくれてんだし甘えようぜ」 全く、お前らはなぁ……。 分かりました。けど先輩、明日は俺と打ってください。 「わーったわーった。ほいじゃ練習開始っ」 不真面目だからではないことは知ってるけど、須賀先輩はこうして練習を抜けることが多い気がする。 俺達のためを思ってやってくれていることだとは分かっても、なんとなく納得がいかない。 先輩にとっても次のインターハイが最後なのに、こんな調子でいいんだろうか。 ……俺が須賀先輩が自宅でネット麻雀とスカイプを駆使して原村先輩と個人練習に勤しんでいるのを知るのは、 これからもう少ししばらく先のことだった。なんというか、もう、うん。 双子じゃないけど、いい加減くっついてくれないかなこの二人。 --- 529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/18(月) 21:39:52.35 ID:yMV6BVu2o 後輩にバレンタインチョコを貰ってデレデレしてる京太郎に嫉妬しながらもチョコを渡す和 558 : ◆NZD.UFKqaQTc [saga]:2013/02/20(水) 19:32:24.93 ID:cpjzzPHT0 ●後輩にバレンタインチョコを貰ってデレデレしてる京太郎に嫉妬しながらもチョコを渡す和 今日は2月14日、バレンタインデー。 小学校・中学校時代はなんというかこう、クラスがざわめきだったりしたものだけど、高校ではもうそんなことはない。 大体みんな「貰えねーし、知ってるし。むしろ俺らそれを話のネタにしてるくらいだし」ってなもんである。 だが俺は違う! 競技人口数億人を超える超大人気知的スポーツ麻雀! その麻雀部に入っているのだからそりゃもう俺も大人気! ……ってわけではないんだけど。 まあとりあえず、部員からはチョコが貰えるので嬉しい。 そんなわけで期待に胸を膨らませながら登校する。 道中、(リボンの色から判断するに後輩の)見知らぬ女子からチョコを貰った。 「去年の県大会、須賀先輩の活躍見てました! 今年は全国行けるように祈ってますね!」 だそうだ。これは思わずにやけざるを得ない。 そうか、一回戦負けでも見てくれてる人は見てくれてるもんなんだなー。 なんかちょっと幸せ。 そんなこんなで学校に到着。下駄箱を開けると手紙付きでチョコが入っていた。 「去年の県大会見ました! 麻雀部の活躍に期待してます!」 だってさ。それなら、実際に勝って全国に行った咲あたりに渡すのが筋だと思うけど。 でもまあチョコ貰って悪い気はしないよな! うん、ちょっと幸せ。 そして教室に行く。机の引き出しのなかにまたもチョコレート。 わざわざ朝早くに来て設置してくれたんだろうか。 「県大会見ました! 麻雀してる時の須賀先輩、格好良かったです!」 なーんて。そこまで言ってくれるとこっちも嬉しくなってくるね。 そういえば女子部員の後輩たちも、集中モードの俺は格好いいって言ってたっけ。 自分でその様子を見れないのが残念だぜ……なんてな。 例の友人が嫉妬するふりをしつつおちゃらけてきたので、俺は思いっきり自慢しかえしてやったのだった。 放課後。 バレンタインだろうとなんだろうと部活は部活、最後の大会に向けて練習に励むのだ。 けどまぁ、練習後に何をやろうが、校則に反しない限りそれは皆の勝手だよね。 「須賀せんぱーい、一年の皆でチョコ作ってきたんですよー」 「勿論一年男子組のぶんもあるよー」 「やっふー! ムロさん達ったら大天使ー!」 ははは後輩ども、はしゃぎすぎるなよー。 「京太郎さんこそ、終始口元緩んでるの気付いてるんですよー?」 うっへっへ、今日はもう人生最多のチョコ量を誇る日だからな。 そりゃもう俺史上ベストバレンタインデーだ。機嫌だってよくもなるさ。 もう俺には怖いものなんざ一つも……ぞくぅぅううっ!? えっ、何これ!? 合同合宿で衣さんと透華さんを同時に相手取ったとき並の圧力を感じ…… 「……京太郎君?」 の、和……いや、はい、あのですね、確かにちょっと年甲斐もなくはしゃいでしまったけど、 ちゃんと部活動は真面目にやりましたよ? 本当ですよ? ネト麻で半荘2回に後輩相手に半荘3回打ったけど一回も振り込んでないんですよ? 「はぁっ。チョコレートを貰えるのがそんなに嬉しい事なんでしょうか……」 小声でそーいうこと言うのやめてくれっ! 抉られる! 心が抉られる! そりゃ嬉しいよ、テンション上がるよ男の子だもの。 和が隣の席にいるのにはしゃいじゃったのはちょっと不愉快だったかもしれねーけど…… 「……それはいいんですけどっ。はい、京太郎君」 えっ? 「チョコレートですっ。味の保証は、できませんけど」 ……うわっ。超嬉しい、超幸せ。 去年は市販品だったのに今年は手作り! やっほーい! もう俺今日死んでもいいぞーっ! 今年はベストどころか、モストバリュアブルなバレンタインデーになりそうだ。 [[前編へ>京太郎「俺のサクセスストーリー」]]|[[後編へ>京太郎「俺のサクセスストーリー」:後編]]

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