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 ※[[第一部>h4-25]]から数ヶ月後
 
 
 怜「はぁ…」
 
 怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…)
 
 怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね)
 
 怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…)
 
 怜(…)
 
 怜(…ないか)
 
 怜「はぁ…」
 
 竜華「心ここにあらずって感じやね」
 
 怜「竜華か…」
 
 竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス
 
 怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」
 
 竜華「考えとるんやろ?」
 
 怜「はい」
 
 竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」
 
 怜「急に何言っとるん?」ジトー
 
 竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」
 
 怜「ふむむ…してないわ」
 
 竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」
 
 竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」
 
 竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス
 
 怜「なななに?からかうなや///」
 
 竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」
 
 怜「うん、分かっとるんやけどな…」
 
 怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」
 
 竜華「今更やな…」
 
 怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」
 
 竜華「『また会える気がする』」キリッ
 
 怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ
 
 竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」
 
 怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」
 
 竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」
 
 怜「思わん」キッパリ
 
 竜華「即答やん…」
 
 怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」
 
 竜華「知らんがな」
 
 怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」
 
 竜華「えっ」
 
 怜「帰りにハガキ買うてこ…」
 
 竜華「いや、ほんまに送る気かい」
 
 竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」
 
 怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」
 
 竜華「重症やな…」
 
 怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」
 
 竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」
 
 怜「そこをなんとか」
 
 竜華「いや、うちに言われても」
 
 ---------
 
 ~授業中~
 
 怜「はぁ…」ボー
 
 古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」
 
 怜「えっ」
 
 古典先生「次、詠んで下さーい」
 
 竜華(…しゃーないなあ)ポイッ
 
 ポテッ
 
 『20番』メモッ
 
 怜(竜華、恩に着るで)
 
 怜「えーと」
 
 怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」
 
 古典先生「はい、では意味ですが」
 
 古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」
 
 怜(!)
 
 古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」
 
 怜(身を尽くしても…か)
 
 怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…)
 
 怜「先生!」
 
 古典先生「はい?」
 
 怜「先生ありがとう!」
 
 古典先生「えっ、な、なにがですか?」
 
 怜「私、進むべき道が見えたような気がします」
 
 古典先生「はぁ、頑張って下さいね」???
 
 ざわ…
      ざわ…
 
 竜華(なにか思いついたんかな?)
 
 ---------
 
 怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」
 
 竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ
 
 竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」
 
 怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」
 
 怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」
 
 竜華「ほな頑張らんとな」クスッ
 
 怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ)
 
 怜(私頑張るで、京ちゃん!)
 
 ---------
 
 ~数日後~
 
 
 怜「ロン!」ハァハァ
 
 ……
 
 怜「ツモ!」フラフラ
 
 ……
 
 竜華「怜、少し休み」
 
 セーラ「最近無茶しすぎやで」
 
 怜「せやけど、私頑張らんと」
 
 竜華「ちょっと焦りすぎやろ」
 
 怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」
 
 セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」
 
 竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」
 
 怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」
 
 怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」
 
 セーラ「…」
 
 竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」
 
 怜「大丈夫やから、ほっといてや…」
 
 ……
 
 怜「ロン!」フラフラ
 
 ……
 
 怜「ツモ!」フラフラ
 
 怜「まだまだ…」ハァハァ
 
 怜(あ…)クラッ
 
 バタンッ
 
 竜華「怜!」
 
 セーラ「き、救急車!」
 
 ---------
 
 ~病室~
 
 竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」
 
 セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」
 
 怜「…」
 
 竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」
 
 怜「…うるさいな」
 
 セーラ「え?」
 
 竜華「怜?」
 
 怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」
 
 セーラ「怜、ちょっとそれは…」
 
 竜華「…は?」
 
 竜華「もっぺん言ってみ」
 
 竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」
 
 竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」
 
 竜華「今のは聞き捨てならんで!」
 
 セーラ「竜華…」
 
 怜「…」
 
 竜華「…」
 
 竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」
 
 ガラガラ…バンッ!
 
 セーラ「…」
 
 怜「…」
 
 セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」
 
 怜「…」
 
 セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」
 
 セーラ「けど、オレや竜華は違う」
 
 怜「…」
 
 セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」
 
 怜「…知ってたよ」
 
 セーラ「…」
 
 怜「…ずっと見てたもん」
 
 セーラ「せやな」
 
 怜「ごめんな…ほんまごめん」
 
 セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ
 
 セーラ「それより竜華に謝らんと」
 
 セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」
 
 怜「せやな…それも知ってたわ」
 
 怜「明日、謝らんとな…」
 
 セーラ「せやな!」
 
 怜「うん」
 
 セーラ「んじゃー帰るわ!」
 
 怜「うん。ありがとうな」
 
 スタスタ…ピタッ
 
 セーラ「怜」
 
 怜「うん?」
 
 セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ
 
 怜「うん!」
 
 ガラガラ…ピシャ
 
 怜(そうや、メール)
 
 怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…)
 ---------
 
 ~深夜~
 
 怜(眠れへん…)
 
 怜(竜華、まだ起きとるかな…)
 
 怜(やっぱりメールでも…)
 
 グッ
 
 怜(あれ…?)
 
 怜(手に…力が入らへん…)
 
 ドクンッ!
 
 怜「うっ!」カハッ
 
 怜(あかん、発作が…)
 
 怜(ナースコールを…)
 
 ポロッ
 
 怜(…っ!)
 
 怜(掴めん…!)
 
 怜「…ぁ」ハァハァ
 
 怜(はよ、押さんと…)ブルブル
 
 ポロッ
 
 怜(…っ!)
 
 怜(だめや、押せへん…)
 
 怜「…ぅぅ」カハッ
 
 怜(…もうあかん)
 
 怜(腕、上がらなくなってもうた…)
 
 怜(はは…罰が当たったんやな…)
 
 ……………
 
 怜(セーラ…)
 
 怜(一緒に全国行けなくてごめん)
 
 …………
 
 怜(竜華…)
 
 怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん)
 
 ………
 
 怜(京ちゃん…)
 
 怜(もう逢えへん…)
 
 怜(ごめんな)
 
 ……
 
 …
 
 フワッ
 
 
 怜(…)
 
 怜(…キンモクセイ…?)
 
 怜(…キンモクセイの匂い)
 
 
 『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』
 
 
 怜(…)
 
 怜(そうや…)
 
 怜(私キンモクセイやった…!)
 
 ググッ
 
 怜(枯れて…)ハァハァ
 
 怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ
 
 ズズッ
 
 怜(手が使えんなら…)ハァハァ
 
 怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ
 
 ズズッ
 
 怜(生きたる…!)ハァハァ
 
 ガッ
 
 ピピッ
 
 ……
 
 「オンジョージサーン ドーシマシター?」
 
 「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」
 
 ==================
 
 
  あれ?ここ、どこやろ?
 
  見た事無い所…公園?
 
 
 「京ちゃーん」
 
 
  私の声や
 
 
 「京ちゃん、どこー?」
 
 
  ああ、これ夢やな
 
  夢の中でまで京ちゃん探しとるとか…
 
 
 『♪』タッタッタ
 
 
  あ、これが天使ってやつやろか?
 
  綺麗な金髪の、可愛い女の子…
 
 
 『どーしたの?もう帰るの?』
 
 
  もう、お空に帰るってこと…?
 
  ついにお迎えが来たんか…
 
 
 
 
 「うん、帰るで、京華」
 
 『はーい、ママ♪』
 
 
  え、ママって…私…?
 
  …キョウ…カ…
 
 
 ==================
 
 竜華「怜!怜っ!」
 
 怜「あれ、竜華」
 
 竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ
 
 怜「私どうなったん?お迎えは…」
 
 竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」
 
 怜「そか、心配かけてごめんな…」
 
 竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」
 
 怜「誰やろ…?」
 
 竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」
 
 怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ
 
 怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」
 
 怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」
 
 竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」
 
 怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」
 
 竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」
 
 怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ
 
 竜華(あんま笑えんわそれ…)
 
 怜「あ、そうや、キンモクセイ」
 
 竜華「キンモクセイ?」
 
 怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」
 
 竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」
 
 怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」
 
 竜華「危機一髪やったんか…」
 
 怜「うん…」
 
 竜華「じゃあ…」
 
 竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」
 
 怜「えっ?」
 
 竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ
 
 怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ
 
 アハハハハ
 
 
  それから私は、一巡先が見えるようになった
 
 
 ---------
 
 ~数日後~
 
 セーラ「怜ー!頑張れー!」
 
 竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」
 
 
  あの時の夢は
 
  死の淵で見た幻かも知れへんけど
 
 
 怜「リーチ」
 
 セーラ「いっけー!」
 
 
 
  あれが私の
 
 
  一巡先の未来に
 
 
  なりますように!
 
 
 
 怜「ツモ!」
 
 
 おわり
 
 
 補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ
 
 
 そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ
 ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…?
 
 
 おまけ
 
 看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」
 
 京太郎「えっ」
 
 京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど)
 
 京太郎(流石にもう退院してたか)
 
 京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ)
 
 看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」
 
 京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ
 
 看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」
 
 京太郎「ははっ、ありがとうございます」
 
 …
 
 京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?)
 
 京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…)
 
 『♪』タッタッタッタ
 
 京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ
 
 京太郎(あれ、いない)
 
 京太郎(気のせいだったのかな?)
 
 
 フワッ
 
 
 京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ)
 
 京太郎(…って、今春なのにそりゃないか)
 
 京太郎(気のせい気のせい)ハハハ…
 
 
 『キノセイキノセイ♪』
 
 
 おわり
 
 怜外伝・第二部 おまけ2
 
 怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」
 
 看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」
 
 怜「そですか…」
 
 竜華「…」
 
 看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ
 
 竜華「あ、はい、さいならー…」
 
 怜「…」
 
 竜華「…」
 
 怜「そ…」フルフル
 
 竜華「と、怜…」
 
 竜華(あかん、なんて声かけたらええか…)
 
 怜「それって両想いってことやろか」グッ
 
 竜華「えっ」
 
 怜「えっ」
 
 竜華「そ、そーやろか?」
 
 怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」
 
 竜華「東京なん?」
 
 怜「や、知らんけど、標準語やったし…」
 
 竜華「判断基準それだけ?」
 
 怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ
 
 竜華「…」
 
 怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」
 
 怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」
 
 竜華「そ、そやね…」
 
 竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…)
 
 怜「竜華」
 
 竜華「は、はい!」
 
 怜「勝って絶対に東京行こうな」
 
 竜華「!」
 
 竜華「もちろん!」
 
 怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや)
 
 怜(東京に行けばきっと逢える…よね?)
 
 おわり
 
 
+※[[第三部>h4-25b]]
 
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