【上田明也の探偵倶楽部16~good apple~】
「ただいまー。」
『組織』の物かと思われる尾行を撒きながら移動したので
明日の家に帰る頃にはすでに夕暮れ時になっていた。
明日の家に帰る頃にはすでに夕暮れ時になっていた。
「おかえりなさい委員長、ご飯にします?お風呂にします?」
「おかえりおにいちゃん!」
鍵を開けてドアを開くと穀雨と晶が迎えてくれた。
「ご飯については死ぬから喰わねえ。」
「ひっどーい!」
明日がぶつぶつと文句を言っているが俺はそれを無視して風呂に向かうことにした。
「お兄ちゃん、あんまり晶お姉ちゃんを虐めちゃ駄目だよ!」
「良いんだよ、むかしこいつに虐められたから……って穀雨ちゃん、それどうした?」
「おかえりおにいちゃん!」
鍵を開けてドアを開くと穀雨と晶が迎えてくれた。
「ご飯については死ぬから喰わねえ。」
「ひっどーい!」
明日がぶつぶつと文句を言っているが俺はそれを無視して風呂に向かうことにした。
「お兄ちゃん、あんまり晶お姉ちゃんを虐めちゃ駄目だよ!」
「良いんだよ、むかしこいつに虐められたから……って穀雨ちゃん、それどうした?」
俺は穀雨の手に持っている物を見て驚いた。
それは通常ならあり得ない、神話にでも出てきそうな美しく輝く黄金の林檎だった。
それは通常ならあり得ない、神話にでも出てきそうな美しく輝く黄金の林檎だった。
「林檎のお兄ちゃんに貰ったの!」
「林檎?」
「今日食料品買いに行ったら都市伝説と出会ってねえ。
なんかの縁だと言ってくれたんだよ、それ。」
「ふぅん………。」
ああいう珍しい物を見ると持っておきたくなる。
昔から珍品を集めるのは好きだったのだ、空になった珍しい酒瓶だとかプレミアの付いた切手だとか。
「あげようか?」
だから、明日晶の提案はとても魅力的に思えた。
「林檎?」
「今日食料品買いに行ったら都市伝説と出会ってねえ。
なんかの縁だと言ってくれたんだよ、それ。」
「ふぅん………。」
ああいう珍しい物を見ると持っておきたくなる。
昔から珍品を集めるのは好きだったのだ、空になった珍しい酒瓶だとかプレミアの付いた切手だとか。
「あげようか?」
だから、明日晶の提案はとても魅力的に思えた。
「そうだな、貰っておこうか。
吉静ちゃん、それ頂戴。」
ゆっくりと彼女の林檎に手を伸ばす。
「駄目ー!」
「え………。」
だが、穀雨は林檎を俺に渡そうとはしなかった。
吉静ちゃん、それ頂戴。」
ゆっくりと彼女の林檎に手を伸ばす。
「駄目ー!」
「え………。」
だが、穀雨は林檎を俺に渡そうとはしなかった。
良い根性してるじゃないかこの餓鬼。
いつもは可愛がっている穀雨ちゃんだったが、
悪魔に囁かれたように、ふと、彼女に対して悪意が沸いてしまった。
しかし俺はいい大人だ。そんな簡単に怒ったりはしない。
いつもは可愛がっている穀雨ちゃんだったが、
悪魔に囁かれたように、ふと、彼女に対して悪意が沸いてしまった。
しかし俺はいい大人だ。そんな簡単に怒ったりはしない。
「なんで駄目なんだい?」
とりあえず理由を聞いてみよう。
「だってお兄ちゃんさっき晶お姉ちゃんに意地悪したもん!
ちゃんとごめんなさいしなきゃ駄目だよ!
お姉ちゃんは頑張って料理してたんだよ!」
とりあえず理由を聞いてみよう。
「だってお兄ちゃんさっき晶お姉ちゃんに意地悪したもん!
ちゃんとごめんなさいしなきゃ駄目だよ!
お姉ちゃんは頑張って料理してたんだよ!」
ああ、それか。
この子は俺達のことあんまり知らないからなあ……。
さてさてどう言った物か?
この子は俺達のことあんまり知らないからなあ……。
さてさてどう言った物か?
「ああ、吉静ちゃんそれなら良いんだよ。
別に委員長とはこういう事をいつも言い合っているだけだから。」
「でもお姉ちゃんすっごい料理が上手なんだよ!
だから不味くないもん!お兄ちゃんはお姉ちゃんに意地悪してる!」
穀雨はすっかりへそを曲げてしまった。
困った物だ。
別に委員長とはこういう事をいつも言い合っているだけだから。」
「でもお姉ちゃんすっごい料理が上手なんだよ!
だから不味くないもん!お兄ちゃんはお姉ちゃんに意地悪してる!」
穀雨はすっかりへそを曲げてしまった。
困った物だ。
「とにかくお兄ちゃんはちゃんとお姉ちゃんに謝って!」
たかだか6才の子供に説教を喰らってしまった。
上田明也一生の不覚である、なんて。
俺が言葉を選んでいると明日が思わぬことを言い始めた。
「違うんだ、吉静ちゃん。実はお兄ちゃんの愛情表現はあの悪口なんだ。」
「愛情表現って何?」
「好きだよ、ってことを伝える為の行動かな?」
それはちょっと待ってーーーーーー!?
俺は心の中でずっこけた。
たかだか6才の子供に説教を喰らってしまった。
上田明也一生の不覚である、なんて。
俺が言葉を選んでいると明日が思わぬことを言い始めた。
「違うんだ、吉静ちゃん。実はお兄ちゃんの愛情表現はあの悪口なんだ。」
「愛情表現って何?」
「好きだよ、ってことを伝える為の行動かな?」
それはちょっと待ってーーーーーー!?
俺は心の中でずっこけた。
「待て、明日。俺は人を虐めて楽しむ趣味はない。」
「もーう、照れなくて良いんだぜ?
私が悲しそうな顔を見るのが好きな癖に、本当にドSなんだから!」
「ちょっ、待て!子供の前でSとかMとか駄目!」
「まったく、性犯罪者のくせして何を言っているんだか?」
「おにいちゃーん、SとかMってなぁに?
あとセーハンザイシャって………」
ふっ、どうやら最悪の事態が発生してしまったようだ。
明日姉弟め、揃いも揃って俺に刃向かうか。
「もーう、照れなくて良いんだぜ?
私が悲しそうな顔を見るのが好きな癖に、本当にドSなんだから!」
「ちょっ、待て!子供の前でSとかMとか駄目!」
「まったく、性犯罪者のくせして何を言っているんだか?」
「おにいちゃーん、SとかMってなぁに?
あとセーハンザイシャって………」
ふっ、どうやら最悪の事態が発生してしまったようだ。
明日姉弟め、揃いも揃って俺に刃向かうか。
「あれだよ、ポテトとかドリンクのサイズ。
お兄ちゃんは辛い物は好きなんだけど沢山食べられなくてねえ……。」
「あー、委員長子供に嘘を教えたー。」
「うっせぇ!まだコウノトリとかキャベツ畑とか信じていたいお年頃だろうが!」
「お兄ちゃん、わたしに嘘ついたの?」
穀雨の目が疑惑の色に染まる。
どうやらこちらの形勢の方が若干不利らしい。
俺は一旦風呂場に逃げ込むことにした。
お兄ちゃんは辛い物は好きなんだけど沢山食べられなくてねえ……。」
「あー、委員長子供に嘘を教えたー。」
「うっせぇ!まだコウノトリとかキャベツ畑とか信じていたいお年頃だろうが!」
「お兄ちゃん、わたしに嘘ついたの?」
穀雨の目が疑惑の色に染まる。
どうやらこちらの形勢の方が若干不利らしい。
俺は一旦風呂場に逃げ込むことにした。
「ちっくしょう……。なんでこんな目に遭わなきゃならないんだ。」
ぼやく。
浴室には丁度良い感じの湯加減になっていたお風呂が用意されていた。
浴室はアメリカのホームドラマで良く見るユニットバスではなく、ちゃんと日本の家のそれと同じ造りになっている。
ただし浴槽はかなり広い。
明日が作る時に特別に注文したのだろうか?
あれ、そういえば明日の奴プロのライダーやっているんだよな。
この年でニューヨーク近郊にマイホームか。
ずいぶん立派な物だ。
俺とは大違いである。
浴室には丁度良い感じの湯加減になっていたお風呂が用意されていた。
浴室はアメリカのホームドラマで良く見るユニットバスではなく、ちゃんと日本の家のそれと同じ造りになっている。
ただし浴槽はかなり広い。
明日が作る時に特別に注文したのだろうか?
あれ、そういえば明日の奴プロのライダーやっているんだよな。
この年でニューヨーク近郊にマイホームか。
ずいぶん立派な物だ。
俺とは大違いである。
「あーあ、なんで俺ってばこんな状況になっているんだろうね。
本当だったら今頃司法試験の勉強なりで忙しいはずなのに………。」
「なんですか、貴方らしくないですね。」
「うん、そう思う。
あくまで俺は学校町を、否、日本を震撼させた極悪非道の犯罪者なのであって……。」
本当だったら今頃司法試験の勉強なりで忙しいはずなのに………。」
「なんですか、貴方らしくないですね。」
「うん、そう思う。
あくまで俺は学校町を、否、日本を震撼させた極悪非道の犯罪者なのであって……。」
って、あれ?
「サンジェルマン、なんでお前はここに居る。」
「そりゃあだって私はエブリデイエブリタイム貴方とかの傍に居ますから。」
「ナニソレコワイ。」
「そりゃあだって私はエブリデイエブリタイム貴方とかの傍に居ますから。」
「ナニソレコワイ。」
俺の隣にはタオルを頭に乗せた金髪碧眼の青年が座っていた。
「いやー、しっかし良い湯じゃないですか。」
「俺もそれはそう思うんだけどさ。あまり急に出てこられると怖いかなーって……。」
「なんですか、折角パートナーを自分の都市伝説で殺しかけた癖に、
アメリカで女の家に転がり込んで自分が拾った子供預けている友人を、
親切にも見捨てることなく会いに来てやったというのに。
今日はそんな貴方に良いニュースと悪いニュースを持ってきました。
どっちから聞きます?」
「俺もそれはそう思うんだけどさ。あまり急に出てこられると怖いかなーって……。」
「なんですか、折角パートナーを自分の都市伝説で殺しかけた癖に、
アメリカで女の家に転がり込んで自分が拾った子供預けている友人を、
親切にも見捨てることなく会いに来てやったというのに。
今日はそんな貴方に良いニュースと悪いニュースを持ってきました。
どっちから聞きます?」
やれやれ、困った物だ。
そう言われてしまうと反論の一つも出来やしない。
そう言われてしまうと反論の一つも出来やしない。
「じゃあ、良いニュースから。」
「オーケー、それじゃあ素晴らしいニュース。
メルさんが復活しました。
貴方の攻撃によって受けたダメージも癒えましたし都市伝説同士の戦いにも耐えられるはずです。」
「そいつぁグッドニュース。
で、悪いニュースは?」
「オーケー、それじゃあ素晴らしいニュース。
メルさんが復活しました。
貴方の攻撃によって受けたダメージも癒えましたし都市伝説同士の戦いにも耐えられるはずです。」
「そいつぁグッドニュース。
で、悪いニュースは?」
サンジェルマンはこの上なくにこやかに微笑む。
やめて欲しい、怖い。
やめて欲しい、怖い。
「明日、貴方は組織の黒服Kと戦って……掘られます。」
「え゛?」
「掘られます。ラプラスの悪魔による精密な予知で結果が既に出ています。
逃げれば良いんでしょうけどそしたらそれはそれで大変なことになります。」
「どうなるんだ……?」
「追いかけて掘られます。」
なんだ、どのみち掘られるんじゃないか。
「え゛?」
「掘られます。ラプラスの悪魔による精密な予知で結果が既に出ています。
逃げれば良いんでしょうけどそしたらそれはそれで大変なことになります。」
「どうなるんだ……?」
「追いかけて掘られます。」
なんだ、どのみち掘られるんじゃないか。
「なんとかそれを回避……。」
「しかし、それを回避する方法があります。」
「すぐに教えろ。」
俺はどちらかというと純愛タイプなので始めては大好きな人にと決めているのだ。
「貴方が拾った娘、穀雨吉静でしたっけ?
あの子が今持っている林檎、あれが大事なのですよ。」
「あれか?都市伝説の気配はしたがそんなにすごい物だとは………。」
「貴方の目は節穴ですか?あれは出自を神代に遡る物凄い都市伝説なんですよ。」
成る程、何も知らないのに無性に欲しくなった俺の直感はなんて素晴らしいのだろう。
自分を賞賛しながら俺は話を聞き続ける。
「しかし、それを回避する方法があります。」
「すぐに教えろ。」
俺はどちらかというと純愛タイプなので始めては大好きな人にと決めているのだ。
「貴方が拾った娘、穀雨吉静でしたっけ?
あの子が今持っている林檎、あれが大事なのですよ。」
「あれか?都市伝説の気配はしたがそんなにすごい物だとは………。」
「貴方の目は節穴ですか?あれは出自を神代に遡る物凄い都市伝説なんですよ。」
成る程、何も知らないのに無性に欲しくなった俺の直感はなんて素晴らしいのだろう。
自分を賞賛しながら俺は話を聞き続ける。
「あの都市伝説の名前は『黄金のリンゴ』、欲深き者達に争いを呼び起こす都市伝説です。」
ああ、ギリシャ神話のあれか。
あれ………?
「……都市伝説じゃないよね?」
「しらねえよ、あるもんはあるんだもの。」
神話って何よ神話って。
どう考えてもおかしいだろう。
ていうかそれよりいつもの口調じゃないよサンジェルマン。
ああ、ギリシャ神話のあれか。
あれ………?
「……都市伝説じゃないよね?」
「しらねえよ、あるもんはあるんだもの。」
神話って何よ神話って。
どう考えてもおかしいだろう。
ていうかそれよりいつもの口調じゃないよサンジェルマン。
「それを俺が手に入れないと不味いの?」
「不味いって言うか、掘られます。」
掘られるのは、嫌だ。
「不味いって言うか、掘られます。」
掘られるのは、嫌だ。
「じゃああれか。俺は素直にごめんなさいとでも言ってあのリンゴをゲットしなきゃならないのか。」
サンジェルマンは俺の言葉を聞くと意外そうな顔をする。
「え?」
「え?」
なんだ、そんな顔でこっちを見るな。
サンジェルマンは俺の言葉を聞くと意外そうな顔をする。
「え?」
「え?」
なんだ、そんな顔でこっちを見るな。
「素直に奪い取れば良いじゃないですか。
貴方ともあろう人がそんな常識的なこと考えるんですか?」
「な……、いやそれは不味いかなって。」
「貴方だったら子供から林檎の一つや二つ奪うのも訳ないでしょ?」
まったく、こいつの中で俺はどれだけ鬼畜認定受けているのだ。
貴方ともあろう人がそんな常識的なこと考えるんですか?」
「な……、いやそれは不味いかなって。」
「貴方だったら子供から林檎の一つや二つ奪うのも訳ないでしょ?」
まったく、こいつの中で俺はどれだけ鬼畜認定受けているのだ。
「そんなことはしねえよ、俺だって人並みに人並みな常識くらい持っている。」
「知ってて無視するのが貴方の良いところだ。だというのに始めて会った時から少し変わりましたね。」
「変わった?良いじゃないか、変わることは素晴らしい。
流れる水は腐らないよ。」
口先ばかりのことを言って誤魔化す。
誰を?
自分の変化、それを恐れているのは誰だ?
「知ってて無視するのが貴方の良いところだ。だというのに始めて会った時から少し変わりましたね。」
「変わった?良いじゃないか、変わることは素晴らしい。
流れる水は腐らないよ。」
口先ばかりのことを言って誤魔化す。
誰を?
自分の変化、それを恐れているのは誰だ?
「腐らないね、果物は腐りかけが美味しいんですが。」
「そりゃお前の趣味だ。」
「まぁね。」
さて、そろそろ風呂から上がるか。
「そりゃお前の趣味だ。」
「まぁね。」
さて、そろそろ風呂から上がるか。
「お前も人の家の風呂に勝手に入ってないでさっさとあがれよ?」
「ああ、そうさせてもらおう。ところで背中流そうか?」
「断固遠慮する。俺の背中は幼女か……、いや、やっぱ幼女専用。」
そう言うと俺は浴室を出て身体を拭くことにした。
「ああ、そうさせてもらおう。ところで背中流そうか?」
「断固遠慮する。俺の背中は幼女か……、いや、やっぱ幼女専用。」
そう言うと俺は浴室を出て身体を拭くことにした。
「委員長、夕ご飯出来てるよ。」
「ああ、ありがとう。今行くよ。」
ドアの向こうから明日の声が聞こえる。
「そういえば何作ったんだ?」
「うーん、酢豚。それとエビフライ。」
こいつは驚いた。
どちらも俺の大好物じゃないか。
「ああ、ありがとう。今行くよ。」
ドアの向こうから明日の声が聞こえる。
「そういえば何作ったんだ?」
「うーん、酢豚。それとエビフライ。」
こいつは驚いた。
どちらも俺の大好物じゃないか。
「お前、俺の好物知ってたっけ?」
「昔好きだって言っていたじゃないか。」
そういえばそんなことあったな、覚えていたのか。
「覚えていてくれたのか、ありがとうよ。」
「委員長は好きな物じゃないと食べられないだろ?」
「まぁな。」
「昔好きだって言っていたじゃないか。」
そういえばそんなことあったな、覚えていたのか。
「覚えていてくれたのか、ありがとうよ。」
「委員長は好きな物じゃないと食べられないだろ?」
「まぁな。」
明日晶はなんだかんだで、気を遣ってくれる。
だがあいつの気の遣い方は何か自分の後ろめたさを隠すような気がしてならない。
あいつは家族との付き合いが上手く行ってないらしいし、
多分こうやって誰かと過ごしていた方が気が紛れるのだろう。
と、言うと彼女は本当に怒り出すから言わないのだが。
だがあいつの気の遣い方は何か自分の後ろめたさを隠すような気がしてならない。
あいつは家族との付き合いが上手く行ってないらしいし、
多分こうやって誰かと過ごしていた方が気が紛れるのだろう。
と、言うと彼女は本当に怒り出すから言わないのだが。
「じゃあ先に行ってるよ。」
「あ、ちょっと待って。」
「どうした?」
「さっきは済まなかった、お前がそこまで真面目に料理しているとは思わなかったんだ。いつものようにカップラーメンの類かと……。」
「ふふ、子供の言う事なんて真に受けないで良いのに。」
ドアの向こうで解らなかったが明日晶は悪戯っぽく笑っていた、気がする。
意外と可愛い奴だ。
「あ、ちょっと待って。」
「どうした?」
「さっきは済まなかった、お前がそこまで真面目に料理しているとは思わなかったんだ。いつものようにカップラーメンの類かと……。」
「ふふ、子供の言う事なんて真に受けないで良いのに。」
ドアの向こうで解らなかったが明日晶は悪戯っぽく笑っていた、気がする。
意外と可愛い奴だ。
さてさて食後。
明日の作る料理は意外なことに美味しかった。
いつの間に練習したのだろう?
俺がそんなことを思っていると穀雨がゆっくりと近づいてきた。
明日の作る料理は意外なことに美味しかった。
いつの間に練習したのだろう?
俺がそんなことを思っていると穀雨がゆっくりと近づいてきた。
「はい、お兄ちゃん。」
黄金の林檎だ。
「お、くれないんじゃなかったのか?」
「お姉ちゃんに謝ったんでしょ?じゃああげる。」
「そうか、ありがたく貰っておくよ。」
「もう意地悪しちゃあ駄目だよ?」
黄金の林檎だ。
「お、くれないんじゃなかったのか?」
「お姉ちゃんに謝ったんでしょ?じゃああげる。」
「そうか、ありがたく貰っておくよ。」
「もう意地悪しちゃあ駄目だよ?」
意地悪しちゃ、駄目か。
駄目と言われると無性にやりたくなってしまうのが俺の悪い癖だ。
「いや、その通りだな。次から気をつけるよ。」
「そうだよ!」
しかし俺の口からたった今、出たのはそんな感情とはまったく逆の言葉だった。
駄目と言われると無性にやりたくなってしまうのが俺の悪い癖だ。
「いや、その通りだな。次から気をつけるよ。」
「そうだよ!」
しかし俺の口からたった今、出たのはそんな感情とはまったく逆の言葉だった。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「いや、なんでもない。」
動揺が顔に出てしまったのだろうか?
穀雨が俺を心配している。
気持ちを落ち着かせたくて俺が二階の部屋に行こうとすると付いてきた。
「済まない、ちょっと一人にさせてくれ。」
そのまま歩き去る。
なんだか俺らしくない。
あんな善良な事言うなんて俺じゃない。
「いや、なんでもない。」
動揺が顔に出てしまったのだろうか?
穀雨が俺を心配している。
気持ちを落ち着かせたくて俺が二階の部屋に行こうとすると付いてきた。
「済まない、ちょっと一人にさせてくれ。」
そのまま歩き去る。
なんだか俺らしくない。
あんな善良な事言うなんて俺じゃない。
「どうした委員――――――、行っちゃった。」
「ごめん、穀雨を任せた。」
明日が洗面所から出てきた。
会話しなくて済むように急いで通り過ぎる。
「お姉ちゃん、なんかお兄ちゃんの様子がおかしいの。」
「いつものことだよ。」
「ごめん、穀雨を任せた。」
明日が洗面所から出てきた。
会話しなくて済むように急いで通り過ぎる。
「お姉ちゃん、なんかお兄ちゃんの様子がおかしいの。」
「いつものことだよ。」
二人の声が後ろから聞こえる。
だがそれに構わずに俺は二階に上がり、ベッドの中に倒れ込んで頭を抱えた。
「らしくないねえ。」
流れる水は腐らない。
でも流れる水の行く先は誰にも解らない。
それはなんて恐ろしい事なんだろう。
俺はため息を一つ吐くと瞳を閉ざした。
【上田明也の探偵倶楽部16~good apple~】
だがそれに構わずに俺は二階に上がり、ベッドの中に倒れ込んで頭を抱えた。
「らしくないねえ。」
流れる水は腐らない。
でも流れる水の行く先は誰にも解らない。
それはなんて恐ろしい事なんだろう。
俺はため息を一つ吐くと瞳を閉ざした。
【上田明也の探偵倶楽部16~good apple~】