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第2話 - (2007/05/02 (水) 00:33:03) の1つ前との変更点

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地響きがする。 ”それ”は木々の枝をへし折りながら姿を現した。 身の丈は4mを超え、その身体は筋肉というよりは岩の塊のように思えた。 下アゴは突き出し、そこから天に向かって二本の牙が生えている。 男は後ずさりながら、その巨体の肩に見覚えのある鳥を見つけた。 巨人は男の目の前まで来ると崩れるように音を立てて座った。 あぐらをかいた巨人の膝の上に鳥が降りてくる。 「すまん、驚かせてしまったかな。”これ”はワシの手下の人食い鬼じゃ。」 「ヒ・・・ヒトクイオニ?・・・」 男はその場に腰を抜かして崩れた。 「安心せい。コヤツは菜食主義者じゃ。肉には興味ない。」 心なしか鳥が意地悪く笑っているように見えた。 「さて、自己紹介をせんとな。コヤツはウズヌル。数少ない人食い鬼の生き残りじゃ。んで、ワシの名はシムルグ。この辺りを仕切っておる。」 男はなんとか落ち着きを取り戻し、座りなおした。 目の前で次々起こる事態に正気を失わない辺り、この男の環境適応能力を物語っている。 「オレの名は・・・・・・思い出せない。」 「うむ、名まで忘れたか。」 男と鳥は考え込んだ。 「思い出すまで仮の名が必要じゃな。どじゃ、ワシに名付けさせてくれんかの。」 「ああ、頼む。」 男はあっさり任せた。 とりあえず名がないとなにかと不便だろうし、他人に付けて貰った方が受け入れやすいと感じたようだ。 「ルース・ファ・ムルグってのはどじゃ?」 (なげぇなぁ。ま、いっか。) 「ああ、有り難く使わせてもらうよ。ルース・ファ・・・なんだっけ・・・」 「ムルグじゃ。ワシの名からもじっとる。」 「あ、なるほどね。」 「ルース!ようこそ、この世界へ!」 巨人が初めて声を発した。 野太い、腹に響く声だ。 「よ、よろしく・・・ウズヌル・・・・・・だっけ?」 顔を引きつらせながら、見た目とは違う滑らかで知的な喋り方をする巨人に驚いた。 巨人は頷きながら立ち上がった。 「もうすぐ日が暮れる。続きは家で話しましょう。」 そう言うと巨人は林の中へ分け入った。 シムルグがルースの肩に飛んできて、ウズヌルの後を追うよう言った。 言われるがままルースは駆け足でウズヌルを追いかけた。 (・・・歩くの速ぇ~!) #center(){[[前へ>第1話]]
地響きがする。 ”それ”は木々の枝をへし折りながら姿を現した。 身の丈は4mを超え、その身体は筋肉というよりは岩の塊のように思えた。 下アゴは突き出し、そこから天に向かって二本の牙が生えている。 男は後ずさりながら、その巨体の肩に見覚えのある鳥を見つけた。 巨人は男の目の前まで来ると崩れるように音を立てて座った。 あぐらをかいた巨人の膝の上に鳥が降りてくる。 「すまん、驚かせてしまったかな。”これ”はワシの手下の人食い鬼じゃ。」 「ヒ・・・ヒトクイオニ?・・・」 男はその場に腰を抜かして崩れた。 「安心せい。コヤツは菜食主義者じゃ。肉には興味ない。」 心なしか鳥が意地悪く笑っているように見えた。 「さて、自己紹介をせんとな。コヤツはウズヌル。数少ない人食い鬼の生き残りじゃ。んで、ワシの名はシムルグ。この辺りを仕切っておる。」 男はなんとか落ち着きを取り戻し、座りなおした。 目の前で次々起こる事態に正気を失わない辺り、この男の環境適応能力を物語っている。 「オレの名は・・・・・・思い出せない。」 「うむ、名まで忘れたか。」 男と鳥は考え込んだ。 「思い出すまで仮の名が必要じゃな。どじゃ、ワシに名付けさせてくれんかの。」 「ああ、頼む。」 男はあっさり任せた。 とりあえず名がないとなにかと不便だろうし、他人に付けて貰った方が受け入れやすいと感じたようだ。 「ルース・ファ・ムルグってのはどじゃ?」 (なげぇなぁ。ま、いっか。) 「ああ、有り難く使わせてもらうよ。ルース・ファ・・・なんだっけ・・・」 「ムルグじゃ。ワシの名からもじっとる。」 「あ、なるほどね。」 「ルース!ようこそ、この世界へ!」 巨人が初めて声を発した。 野太い、腹に響く声だ。 「よ、よろしく・・・ウズヌル・・・・・・だっけ?」 顔を引きつらせながら、見た目とは違う滑らかで知的な喋り方をする巨人に驚いた。 巨人は頷きながら立ち上がった。 「もうすぐ日が暮れる。続きは家で話しましょう。」 そう言うと巨人は林の中へ分け入った。 シムルグがルースの肩に飛んできて、ウズヌルの後を追うよう言った。 言われるがままルースは駆け足でウズヌルを追いかけた。 (・・・歩くの速ぇ~!) #center(){[[前へ>第1話]]}

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