光に包まれていた。 春の陽だまりのような・・・ このまま眠り続けたい。 突然、落ちる感覚に襲われた。 必死に手足をジタバタさせる。 下腹をなにかに掴まれるリアルな感覚。 このままでは地面に激突する。 痛い。怖い。恐怖で思考が止まる。 無闇にもがき続ける。 (嫌だ!死にたくない。) 次の瞬間、目前に真っ青な空が現れた。 まだ、状況が理解できない。 心臓の鼓動が耳に響いている。 手足は硬直している。 体中汗だくだ。 どうやら、夢を見ていたのだと気付く。 だんだん筋肉の緊張が緩んできたので、周りを見渡してみる。 四方は林しか見えない。今いるところだけ木々がないようだ。 水の流れる音が聞こえる。どうやらここは川原らしい。 自分は大きめの平らな石に寝ているらしい。 (・・・ここはどこだ?) 記憶がない。思い出せない。 「ま、思い出せないなら仕方ない。それより汗を流すか。」 かなりいい加減というか、能天気な性格しい。 側の川で顔を洗う。冷たくて気持ちがいい。 顔を拭こうと、自分を見て初めて自分の格好に気付いた。 (・・・スーツ???) どうやら自分の意思で眠った訳でも、ここへ来たわけでもないことに漸く気付いた。 再び自分の記憶に集中してみる。 (だめだ。思いだせん。) あっさり考えるのを諦めた。そうとういい加減な性格らしい。 (さて、なにからするべきか・・・) #center(){[[次へ>第2話]]}