ID:G2cdPTco氏:そこにいた彼方

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ID:G2cdPTco氏:そこにいた彼方 - (2008/05/02 (金) 20:49:24) の編集履歴(バックアップ)


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 目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。
 もう、あと五分だけ……左手をやみくもに動かし、半ばひっぱたくようにそれを黙らせ
た。
 ……ああ、静かになった。これで幸せなまどろみを満喫できる――

「こなた、もう起きなさい」

 昨日遅くまで起きてて寝足りないんだよ、お願いだからあと少し……。

「……もう、またゆうべも夜更かししてネットゲームでもやってたのかしら」

 そうそう、珍しく黒井先生の方から狩りに付き合えって言ってきてさ。私は明日も学校
あるからって止めたんだよ? でも先生酔っ払ってたみたいで……。
 シャッとカーテンを引く音。同時に朝の日差しがまぶたを突き刺す。

「んん……」

 たまらず、毛布の中に頭を引っ込ませる。だけどそれすらも剥ぎ取られてしまった。

「起きるよー……」
「ご飯冷めちゃうわよ。早く顔洗ってきなさい」
「うん――」

 その人の気配が消える。開けっ放しのドアからみそ汁の匂いが入り込んでくる。
 ……仕方ない、起きよう。お腹もすいたし。

「あ、おはようお姉ちゃん」
「おはようこなた」
「おはよー」

 お父さんとゆーちゃんがテーブルに着いている。
 もう二人とも食べ終わる寸前。私はかなり寝坊したらしかった。

「……あれ? ゆーちゃんがご飯作ったの?」
「え? もしかしてお姉ちゃん寝ぼけてる?」
「へ……だって、」

 かたん、とおかずが乗ったお皿が目の前に置かれる。
 えちょっ、一体誰が――不意に現れた「その人」を確かめるため、はっと振り返る。

「おはよう、こなた。あんまり時間ないんだから急ぎなさいね」
「あ――う、うん……」

 目を疑った。
 まさか。いるはずのない人が、いる……。

「かなた、コーヒー淹れてくれるか?」
「ええ、少し待っててね」

 お父さん、なんで「いるのが当たり前」な反応をしてるの?
 ゆーちゃんも様子が普段とまったく変わらない。

「……おかーさん」
「うん? どうしたの?」

 ……お母さん、も。
 まるで昔からずっと変わらずここにいたような自然さ。

「ううん、なんでもない……」

 白いご飯に玉ねぎのみそ汁、卵焼き、ほうれん草のおひたし、焼き魚。
 とても普通でとても家庭的な朝ご飯が私の前に並んでいる。
 お母さんが作った、朝ご飯。

 何気なしにすすったみそ汁は私が作るものより少し塩気が薄くて、すごくおいしかった。


 かがみもつかさもみゆきさんも普段とちっとも変わらなかった。
 いつもと違うのはお母さんがいることだけ。

 お母さんが、いる。

「こなちゃん、なんだか元気ないけどどうしたの?」
「ん……え? そう?」
「あぁわかった。どうせ遅くまでゲームやりすぎて眠いとか言うんでしょ」
「いや、そーいうわけじゃないけど……」

 夢、なのかな。
 漫画でよくやってるように、自分の頬をすこし引っ張ってみる。

「おいおい、何ベタなことやってんのよ」
「……痛い」
「そりゃそうでしょ。何、寝ぼけてんの?」

 寝ぼけてるわけでもない。鞄の中には確かにお母さんが作ったお弁当が入っている。

「なんか、夢と現実の区別がつかなくなっちゃった人の気持ちが少しわかったみたいな?」
「なにげに危ない発言してんなよ……」

 だけどこれは「そういう風に思い込む」とかそんな話じゃない。それなんてL5?
 私がいるのはそんな絵空事とは無縁な現実。ありえないことはありえないと言い切れる
世の中に住んでいる。

 ……お母さんがいることだって「ありえない」。
 ありえないことなんだけど確かに「いる」。

 正直言って、お母さんがいるのはすごく嬉しい。
 物心つく前にいなくなってしまった、ずっと会いたかったけど会えなかった人がいる。
 嬉しくないわけがない。
 でも――お父さんとゆーちゃんと三人であの家に住んでいるのが私の日常のはずなのに、
なぜこんな突然別世界のような場所に来てしまったんだろう。

 そんなことをずっと考えていたせいで、普段以上に授業は頭に入らない。
 気がつけば既に帰りのHRになってしまっていた。

「泉さん、大丈夫ですか? なんだか今日はずっと上の空でしたが……」
「え、いやなんでもないよ。大丈夫大丈夫。……あ」

 黒井先生が教室を出て行こうとしている。

「ごめんちょっと待ってて、黒井先生と話あるから!」

 二人を残し、先生を追いかけて私も教室を出る。階段近くで引き止めることができた。

「なんや泉、昨日の狩りの話か?」
「そうじゃなくて……先生、うちのお母さんに会ったことあります?」
「何寝言いっとるんや? 先月三者面談で学校来たやないか」

 ああ、やっぱりそうなのか。
 お母さんは「昔から変わらずにずっといる」ことになっているんだ。
 ……ますますわからなくなってくる。これがパラレルワールドとか言うものなのか?
 そんなこと、現実にあるはずないのに。

「それにしても泉家は母娘そっくりやんなあ。柊姉妹よりよっぽど双子っぽいわ」
「はは、そーですね……」
「こなちゃーん、帰ろー」
「あーごめんつかさ、私今日早く帰りたいから先行くね! それじゃ先生さよーなら!」
「おう、気をつけて帰りやー」

 帰り道を走るなんて今まで数えるほどもなかった気がする。
 とにかくお母さんと話がしたい。その一心だった。

「ただいま!」

 お父さんの靴がない。ゆーちゃんもまだ帰っていないらしい。
 そして、居間には朝と変わらずお母さんがいる。

「おかえり、今日は早かったのね」
「うん。お父さんは?」
「お仕事の原稿渡しに行ってるわよ」
「そっか」

 鞄を置き、お母さんの隣に腰を下ろす。

「お茶飲む?」
「うん」

 私がそう答えるとお母さんはポットに手を伸ばし、急須にお湯を入れる。
 棚から湯のみを取り出しお茶を注ぎ、私の前に置く。
 そんな一連の動作すら私には新鮮でいとおしく思える。

「はい」
「ありがと」

 熱いお茶に息を吹きかけて冷ましながら、ちらちらとお母さんの顔を覗き込んでしまう。

「どうしたの?」
「……お母さん、老けたよね」
「え゙っ……」

 あ、今ちょっとひどいことを言っちゃったかもしれない。

「や、なんていうかそういう意味じゃなくてさ。ほら、あの写真と比べて――」

 棚の上に飾られた写真立てを指差す。

「あれ?」

 だけど、そこに飾られていたのは私が生まれた頃に撮られたものではなかった。
 私とお父さんとゆーちゃんとゆい姉さん、そしてお母さん。どこか公園のような場所で
五人が笑っている、そんな写真。

「昔の写真、飾ってなかったっけ」
「すごく昔だからちょっと恥ずかしいってそう君が言うから、最近撮った写真に替えたんじゃない」
「そう、だっけ」

 ようやく飲める温度になってきたお茶を一口含む。

「お母さん」
「うん?」
「お母さん……だよね?」

 顔をきょとんとさせる。……そりゃそうだ、自分でも何を言ってるのかよくわからない。

「どうしたの? 今日はなんだか少し変よ?」

 私が変なのか、それともこのパラレルワールドが変なのか?
 ……いや、もうなんでもいい。これが現実だって言うなら喜んで受け入れたい。

「……夢、見たんだ」
「夢? どんな?」

「お母さんが私を産んですぐに死んじゃって、ずっとお父さんと二人で暮らす夢。ゆーち
ゃんが陵桜に受かってうちに来るのも、誰と友達になってるとかも同じなんだけど……。
お母さんだけがいない、夢」

 お母さんは少し複雑そうな表情だった。……夢の中でとは言え、娘に死んだことにされ
ているんだから当たり前かもしれない。
 だけど、お母さんの言葉は予想とは違っていた。

「それ……夢じゃないのかもしれないわね」
「え?」
「お医者様にね、『子供を産んだらあなたの体が持ちませんよ』って何回も言われてて。
そう君にも聞かれたわ、本当に産むのかいって」

 ああ、いつかお父さんから聞いたかもしれない。

「でもね、私はずっと産むの一点張りだった。こなたを産んで、三人で暮らしたいって本
気で願ってたからきっと今こうしていられるのね」

 本気で願ってたから……か。

「夢の中のお母さんはそれを諦めちゃったのかな」
「こなたを産んで気が抜けちゃったのかもね。こなたとそう君のこと信じてるから、ああ
もう大丈夫だって」
「……ん」

 それでも――いくら信じてもらってても、お母さんがいないのは寂しかった。

「お母さん……」

 だけど、お母さんは今ここにいる。

「お母さんはお母さんだよね? 幽霊なんかじゃないよね?」
「何言ってるの。ほら、足だってついてるでしょ」
「うん……」

 気がついたら私はお母さんの首に抱きついていた。
 暖かくて優しくて、だけどずっといなかったお母さんがいる。

「もう……いつまで経っても甘えんぼなんだから。変なところばっかりそう君に似て」

 そう言いながら、お母さんは私をそっと抱きしめてくれた。
 記憶の隅にすら残っていなかったお母さんの暖かさが嬉しくて、目の奥が熱い……。

「こなた……泣いてるの?」
「泣いてない……」
「……そう」


「えっと、ただいま……」

 !?

 突然聞こえたその声に、ばっとお母さんから離れ、振り向く。

「ゆ、ゆーちゃん……いつからいたの?」
「ちょっと前……何回か言ったんだけどね、ただいまって」
「全然気がつかなかったわ……」
「私着替えてくるね……」

 ゆーちゃんが気まずそうに居間を出ようとする。

「ちょちょちょちょっと待った! これはだねゆーちゃんその……」
「う、ううん。お邪魔しちゃったのは私の方だし」
「違うんだってば! 『お姉ちゃん意外に甘えんぼなんだ』とかそういうの考えないで!」
「そんなこと思ってないよ、ただ……」
「ただ?」
「お姉ちゃん、すごく幸せそうだったなって」

 不意に出てきたその言葉に、言い訳しようという気があっという間に薄れてしまった。
 本当のことだから、私は正直にこう答える。

「……うん。私、今幸せだよ」


 夜、晩ご飯を食べ終わった後の団らん時。私は思い切って提案した。

「ねえ、土日にみんなで出かけない?」
「ん? そりゃいいけど……こなたがそんなこと言い出すなんて珍しいな」
「どこに行くの?」
「ゆい姉さんの都合が合うならちょっと遠出して動物園とかさ」
「あ、上野動物園行きたい!」
「じゃあ腕によりをかけてお弁当作らないとね」
「私、ゆいお姉ちゃんに電話して聞いてみるよ!」

 行く場所はどこでもよかった。

 ただ、写真を撮りたい。
 お母さんとみんながいる、あんな写真を私も撮りたい。
 あの写真に写っている私がうらやましかった。
 きっとあの私はお母さんがいることの大切さとかをわかってないはずだから。

 この幸せを、思い出に残したい。

「ゆいお姉ちゃん明日大丈夫だって!」
「よし、明日は上野動物園! 二人とも早めに寝とくんだぞ!」
「うん!」

 ……とは言われたものの、毎晩二時、三時頃まで平気で起きている私のような人間にと
っては早寝なんてできるようなものでもなく。
 結局いつものようにネトゲに精を出してしまっていた。

 んー……ちょっと小腹が空いたかも。
 クラメンに“食料確保してくる!”と告げ、私は居間へ向かう。

 深夜一時、お父さんも明日に備えて早く寝たようだった。
 もちろん居間は真っ暗だったけど、目が暗闇に慣れていたから何かにけつまづくことも
なく冷蔵庫までたどり着く。

「あ、チョコパイあるじゃん。これにしよ」

 黒井先生ごひいきどころのチョコパイを一個、いや二個手に取る。
 ついでに麦茶も持っていこうか。そう思いコップを求めて台所へと――

「誰? そこで何してるの?」
「ひっ!?」

 心臓が跳ね上がる。
 ……あれ? この声。

「な……なんだ、お母さんじゃん」
「こなた? それはこっちのセリフよ……」

 声の主……お母さんが電気を点ける。

「明日は早いんだからあんまり夜更かししちゃダメよ?」
「いやっ、そう思ってたんだけどなかなか寝付けなくてさぁ」
「……夜食も用意して寝る気ゼロなのに?」
「うっ……」

 くす、とお母さんが笑う。

「チョコパイ、私にも一個ちょうだい」
「うん。麦茶飲む?」
「お願い」

 二つのコップに麦茶を注ぎ、テーブルに置く。私はまたお母さんの隣に座った。
 ふと壁掛けのカレンダーに目が留まる。赤い日付が二日間続いている。

「あー、明日秋分の日なんだ」
「そうね」
「なんかさ、祝日が土曜日に来ると損した気分になるよ」
「振替休日がないから?」
「そうそう。同じ休みなんだから土曜の祝日にも振替休日くれたっていいじゃん?」
「ふふ、ちょっとわかるかも。……って言っても私は主婦だし、そう君のお仕事には曜日
ってあんまり関係ないから祝日のありがたみも薄れちゃうけどね」

 程よく冷えたチョコパイを頬張る。お母さんが隣にいると、何でもいつもよりおいしく
感じる。

「お母さん」
「なに?」
「ご飯、おいしかったよ」
「本当? そう言ってもらえると作る甲斐があるわ」
「お父さんがたまに『料理の味もかなたに似てきたなあ』って言うけど全然そんなことなかった」

「料理、教えることもできなかったわね……」

 ……これは、

「今朝のみそ汁、すごくおいしかった。あれって何か隠し味とか入ってる?」
「気づいた? 実はね……」

 やっぱり、夢なんだ。

「なるほど、言われてみれば確かにそれっぽい味……あとみその分量もだ」
「そう君はおみそ汁は薄めが好きだから」
「初めて作った時も『こなたが俺にみそ汁を~!』ばっかでさ、味はこうした方がいい、
とか全然言ってくれなくて」
「私の時も最初はそればっかりだったわ。そう君、ちっとも変わってないのね」

 料理の話の他にも、お母さんもティモテをやらされたとか色々……一時間くらいは話し
ていたと思う。
 話の種が尽きはじめてきた頃、お母さんは呟いた。

「……ごめんね、こなた。私、明日の動物園は行けないの」
「……うん」

 わかっていた。
 明日は秋分の日で、彼岸の中日。
 多分、これはその特別な日を前にお母さんが見せてくれた一日限りの奇跡。

「行きたかった」

 もしもお母さんが生きていたらという、夢。

「私もこなたと一緒に動物園に行きたかった。運動会を見に行きたかった。受験の応援だ
ってしたかった……!」

 お母さんが泣いてる。私も、きっと泣いている。

「ごめんねこなた、何もしてあげられなくて……ダメなお母さんでごめんね……」

 涙がぼろぼろ、止まらない。

「ダメじゃないよ……お母さんは料理うまいし優しいし……私の、誇れるお母さんだよ!」

 私の体を抱きしめる暖かい腕。今まで知らなかった、お母さんの温もり……!

「やだ……ずっと一緒にいたいよ……」
「私だってこなたとずっと一緒にいたい……」
「おかーさ……っ、うああああっ!」
「こなた……ううっ……」

 ……お母さんの胸にすがって、本当に子供みたいに泣いた。

 違う、私は子供だから。私とお母さんの間に流れるはずの時間がずっと止まったままだ
ったから。
 お母さんの前で泣けたことも嬉しかった。

「……そろそろ、寝ましょう?」
「寝たら、お母さんいなくなっちゃうの?」
「……ごめんね」
「ううん、ちゃんとわかってるから」

 五人で撮った写真が目に留まる。

「ねえ、あの写真もらっていい?」
「うん。大丈夫よ」

 お母さんがすっと腰を上げ、コップや包装の後片付けを始める。
 その間に私は写真立てを手に取り、そっと胸に抱く。

「さ、こなた」
「……うん」

 お母さんは微笑んでいた。
 泣き腫らした顔だったけど、すごく綺麗だった。

 だから私も笑う。
 きっとお母さん以上に泣き腫れがひどい顔だろうけど、それでも笑おう。


「またね、お母さん」「またね、こなた」



 こんこん、とノックの音が聞こえる。

「お姉ちゃん、起きて! もうすぐゆいお姉ちゃん来ちゃうよ!」
「んん……ん?」

 そうか、動物園に行くんだ。

「おっけー、今起きた……ゆーちゃん下で待っててー」
「うん……二度寝しちゃダメだよ!」
「大丈夫大丈夫ー」

 ばさっと毛布をはねのけ、上半身をゆっくり起こす。

「……あれ、何持って寝てたんだろ」

 ずっと抱いて寝ていたらしい。……写真立て?

「あ――」

 私と、お父さんと、ゆーちゃんと、ゆい姉さん。
 そしてもう一人、お母さんが写っている。みんな笑顔でピースをしていた。

 夢じゃなかったんだ。

 机にそれを置き、居間へと向かう。

「おはよ、お姉ちゃん」
「こなた、早く寝なさいって言ったのにちゃっかりチョコパイ二個も食べてまったく……」
「おはよー。ねえ、みそ汁作っていい?」
「え、朝ご飯トーストなのに?」
「いいからいいから」

 夢だけど、夢じゃない。
 夢と現実の狭間で見た、幸せなひととき。

「どう?」
「すごい、おいしい!」
「……こなた、どこでこの味覚えた?」
「なんて言うかなー、おふくろの味に目覚めたみたいな!」
「本当にかなたが作る味にそっくりだ……」
「あ、お母さん夢に出てきたんだよ」
「なにッ!? かなたのやつ、俺の夢枕にはちっとも出てきてくれやしないのに……」

 あ――ありがとうって言ってない。

「おっはー! 準備できてるー!?」
「ゆい姉さん、おはよー。みんな準備万端だよ」
「よろしい! 早速いこーっ!」
「お姉ちゃんいつにもましてテンション高いね……」
「あ、動物園の前にお墓参り行こ」
「ほぇ? いいけど?」
「ああ、今日は秋分の日だったな――」

 まだまだそっちには行けないけど、ずっと見守っててね。
 たまには昨日みたいに帰ってきてくれると嬉しいな。

「よし、カメラスタンバイ完了! さあ並んだ並んだ!」
「このへん?」
「うん、そこ! いくよー、五、四、三……」
「はい、チーズ!」


 あ、あの写真はお父さんたちには見せない方がいいよね。きっとびっくりするだろうし。
 私とお母さんだけの秘密だね。


「泊まりにきたよー」
「おーっす」
「こなちゃんいらっしゃーい」
「今日は私がみそ汁作ってあげるから!」
「は? なんでいきなり……しかもみそ汁?」



 ありがとう、お母さん。
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