事件発生編 いつものように登校し、いつものように授業を受ける。そしていつものように昼食に……とはならなかった。 「あれ?」 「どうしたのよ、こなた。さっきから挙動がおかしいわよ」 「今日、○ーソンで買って机の上に置いたはずのチョココロネが無い」 「えっ? 泉さん、それはもしかして盗まれたってことですか!?」 「みゆき、それは無いわよ。」 かがみがきっぱりと否定する。 「あんた、先に食べたんじゃないの? それとも買い忘れたとか」 「いや、鞄の中にチョココロネの袋は入ってないし、ちゃんと○ーソンのレシートもあるよ」 といって鞄の中身とレシートを見せる。 「ええ? じゃあ、一体どうなったって言うのよ」 「盗まれた以外に何があると言うのかね」 「見た目は子供、頭脳は大人。その名も、名探偵コナ○! とか言うんじゃないでしょうね」 「犯人は……お前だ!」 「そっちかよ」 「女子高生繋がりだヨ」 こんなことでざわ‥ざわ‥しているとき、こなたの腹の虫が鳴いた。 「うう……お腹がすいたよう……でも食べるものが牛乳しか無い……」 「泉さん、私のお弁当でよければどうぞ。私には少し多いので……」 「はう~。みゆきさんは闇に舞い降りた天使だヨ~」 「闇に舞い降りるのは天才だろうが」 「いただきまーす」 すでに食べ始めているこなた。 「おまっ……もう少し感謝というものをだな」 「いいんですよ、かがみさん。私はちょっとお弁当の量が多いかなって思ってたので」 「ほんと、みゆきって人がよすぎよね」 「それはそれで、ネタにしやすいというものだけどね。ごっそーさま。みゆきさん、ありがとね。」 食事時間―――約五分 「早っ! って、なんであんたはもずくを残してんだよ」 「いやー、もずくは苦手でさあ」 「あんたねえ、礼儀ってもんを知りなさいよ、れ・い・ぎ!」 食べ物には何かとこだわりを持つかがみ 「まあまあ、落ち着いてくださいかがみさん。韓国では、『こんなにも出していただいてうれしいです』と言う意味で、少しごはんを残すそうですよ」 「……あのね、みゆき。ここは日本よ? 韓国じゃないの。だから、守るのは日本のマナーじゃないといけないのよ」 「かがみ、いちいちそういうことに気を配っていたら、面白い人生は送れないよ」 「う、うるさいなっ!」 「まずは状況を整理しない?全員にアリバイはあるけど、犯行推定時刻だけでも割り出しましょうよ。」 1.こなたは四時限目の体育がはじまるまでは、机の上にチョココロネを置いた。 2.机に置いたのはチョココロネだけで、牛乳は置いていなかった。 3.体育は男女合同だから、クラス内の人間はほぼ不可能、 4.体育に見学者はいなかった。 「で、こなたはすぐ着替えて教室を飛び出したわけか」 「うん、そうだよ」 「わたしたちは、五分くらいして教室を出たよ。そのときは誰も教室にはいなかったよ」 「うん、で、鍵はかけたの?」 「…………」 何も言わないつかさとみゆき。 「正直に言いなさいよ。かけたの?かけなかったの?」 「……かけわすれちゃった」 「お恥ずかしながら……」 二人とも、鍵をかけ忘れていたようだ。 「鍵はかかっていなかった、って言うことは、少なくとも生徒はこの空白の五分間にチョココロネを盗んだことになるわね」 「そういうことだね。教師なら、四時限目はずっと入れることになるね」 「まあ、三時限目の先生も関わってくるんじゃない?」 「そういえば、三時限目は世界史だったよ」 「黒井先生は容疑者1ね……」 「四時限目の休み時間に教室にいなかった人も容疑者になるよ。そんなことよりかがみ、そろそろ教室戻ったらどうかな」 「そうするよ。とりあえず、私はみさおと峰岸にあたってみるよ。あの二人は休み時間に教室ににいなかったからね」 「じゃあ、かがみよろしく頼むね。私は先生とゆーちゃんとみなみちゃんに聞いてみるよ」 「それじゃあ、また放課後ね」 まずかがみは、みさおたちに事情聴取することにした。 「ねえ、みさお。四時限目の休み時間はどこに行ってた?」 「あやのと図書室に行ってたよ。なんでいきなりそんなこと聞くんだい?」 「図書室行ってたときに、途中で席外さなかった?」 「いーや、ぜんぜん。っていうか、本探しだけで時間費やしちまったよ」 「じゃあ、休み時間、図書室からは出てないってこと?」 「おねーさんもあやのも席外して無いよっ! 今度はそっちが質問に答える番DA☆ZE。どうしてそんなこと聞くんだい?」 「じつはさあ、こなたの昼食が盗まれて、犯人探しをしているんだ」 「なにっ! それはおもしろそうだ! 一緒に犯人を」 「あんたには関係の無い話よ。むしろ、勉強に精を出したら?」 「わかってるってば…… あやのー、柊が冷たいよう」 (無駄足だったか……どうやら、この二人は関係ないみたいね) 放課後、四人とも皆集まっていた。 「よし、集まったわね。こなた、何か情報収集できた?」 「うん。みなみちゃんは、ゆーちゃんを保健室につれてく時に黒井先生とすれ違ったそうだよ。」 「う~ん…… 具体的な会話内容は思い出せない?」 「そうだなあ、からくり人形か何か無い?」 「なんでそんなものがいるんだ。」 「いや、ただの人形でいいケドね」 「こなちゃん、このケロロ人形使って」 つかさはこなたにケロロ人形を渡す。 「よーし、じゃあ、いきます!」 ――――――こなたの人形劇―――――― 「お、ゆーちゃんにみなみちゃん。いいとこにいたね」 「あ、お姉ちゃん。こんなところで、何してるの?」 「いや、ちょっと食後にちょっとふらつこうと思って。ゆーちゃんたちは?」 「私はみなみちゃんと保健室から教室に……」 「いつから保健室にいたの?休み時間は何をしていたかな?」 「四時限目がはじまったときかな。休み時間はみなみちゃんたちと話しをしていたよ。」 「……私がゆたかを保健室に連れて行った…… 具合が悪くなっていたから同行した……」 「でも、なんでいきなりそんなことを?」 「実は、私の昼食が盗まれたみたいで、盗んだ犯人を捜しているんだ」 「えっ!? 大変じゃんお姉ちゃん!」 「……つまり、あなたの昼食のチョココロネを盗んだ人がこの校内にいる……ということですか」 「そういうこと。それと、先生は容疑者だから、報告しないでいるんだ。それと、ゆーちゃん達は何か知らないかと思ってさ」 「そういえば、保健室に行く途中に黒井先生とすれ違ったよ。なんか急いでいたみたいだった。」 「なぬ!? それは重要証言だ! ゆーちゃん、みなみちゃん、ありがとおぉぉぉ……」 ――――――終―――――― 「こなちゃん、腹話術上手いね」 「なあ、これ劇じゃないだろ。それに、趣旨変わってないか?」 「まあ、これが私が交わした会話だよ。このあと、黒井先生にちょっと話を聞きにいこうと思うんだけど……」 「はいはい。で、みゆきは何かあった?」 「お恥ずかしながら、私もみなみさんと話をしたのですが、事件のことも話さずアリバイも聞かず、 ただ今日のお弁当について話し合っただけで……何も収穫はございませんでした。すみません」 「やっぱりみゆきさんらしいね」 「みゆき。今の話、本当?」 「ええ、それ以外何も話してなくて……」 かがみは、何かを考えている。 「まあ、関係ない話ならたくさんあるよ。最近、ひよりが漫画の中で泥棒のトリック考え付いたり、パティが」 たった今、かがみの中で何かが結びついた。 (そうか!あの人が犯人か!) 「こなた、犯人がわかったわ」 「え? 本当?」 「本当よ! 犯人は……ゴニョゴニョ」 「えっ……」 「それしか考えられないわ」 「どうかなあ~」 「いくわよ!」 「わかったよ~。せめて犯人を指差すのは私にやらせてくれない?」 「……勝手にしなさい」 事件解決編 かがみは、事件の犯人を断定した。おそらく、間違ってはいないだろう、自身はある。 かがみたちは、一年D組の教室へ入っていった。放課後だからか、人は少なかった。 「あ、お姉ちゃん、どうしたの?」 「犯人がわかったんだよ、ゆーちゃん。」 こなたが小さく呟く。 「えっ?」 そしてこなたが腕を上げて…… 「犯人は……お前だ!」 こなたの指先には、岩崎みなみ、その人がいた。 「な、何を言ってるのお姉ちゃん! みなみちゃんはそんなことするわけ無いよ!」 「まず、どうして犯人がみなみさんなのかを説明するわ。まず、こなたとの会話ね。どうして盗まれたものがチョココロネだと知っているの?」 「!」 こなたとみなみが驚きの表情を見せる。 「それに、あなたはみゆきとの会話で弁当を持ってきていることがわかるわ。すると、当然チョココロネは食べることを後回しにするはず。 なら、あなたの鞄もしくは机の中に……」 かがみはみなみの机の中を探り始める。すると、中からビニール音がした。 「ほら。チョココロネがでてきた。」 「!!」 みなみは驚愕している。 「それに、あなたにはアリバイが無いの。保健室から教室に戻ってくるまで10分はかかるわ。当然、急げば3Bの教室から盗むことは可能…… あなたの身長なら、怪しまれる可能性は少ないわ」 「いくらそれはなんでも無いよ! みなみちゃんは人から誤解されやすいから、別の誰かが……」 「なら、みなみさん以外に四時限目に教室から抜け出した人がいるの?」 「そ、それは……」 「……そう、私がやりました」 「みなみちゃん!?」 「やっぱりね」 「そんな、みなみちゃんが……」 「ゆたかちゃん、ちょっと聞いて。ここからは、ちょっと強引になるけど、聞いてくれる?」 「……はい」 「この計画を練ったのはみなみさん、あなたでは無いわね?」 「……」 みなみは黙っている。 「あなたなら、こんなことする理由が無いもの。でも、こんなトリックを考え付くのはあなたよ、田村さん」 「えっ!?」 「あなたは、泥棒のトリックを思いついたらしいじゃない。このトリックを実現できるか確かめたかったからみなみさんにやらせた、といったところね。 もちろん、これはあくまで私の憶測にしか過ぎないわ。間違っているならあなたに謝るわ。どうなの?」 「すごいっス、柊かがみ先輩。よくワカったっスね」 「ま、まあ、たまに推理小説とかも読むから……ね?」 「そのとおりッス。わたしが計画を練って、みなみさんに頼んだっス。でも、小早川さんの具合が悪くなったのは偶然っスよ。」 「田村さん……」 「でも、かがみ先輩。一つだけ、わかって無い部分があるっスよ」 「へ?」 「実は、泉先輩も共犯っス」 「はぁ!?ちょ、ちょっとこなた、それ本当!?」 「ひよりん、いくらなんでも早くバラしすぎだヨ。まあ、共犯と言っても教室の鍵を持っていったこと、盗みやすいようにチョココロネを 机の上に置いたことなんだけど。みゆきさんもつかさも、鍵をかけ忘れたと勘違いしてくれたからわかんなかったのかもね」 「じゃあ何?最初っから自作自演だったってこと?」 「そういうことっス」 「……何なの、この脱力感」 エピローグ 「で、いままでのも全部演技だったってワケ?」 「うん。そうだよ」 「でもすごいよ、こなちゃん。役者になれるよ。」 「つかさ、褒めても、何も出ないヨー」 「まったく、誰のせいだと思ってんのよ」 「まあ、かがみの推理が凄いことは凄いヨ」 「ほ、褒めても何もでないわよ!」 「人のセリフ、パクらないで欲しいナ……」 「う、うるさいっ!」 こうして、いつもの日常が過ぎていくのでした。