第二話「二人の秘密」
獄牙の本拠地である巨大な高層ビルの最上階。そこに前回、凛たちに敗れた
ゴルドスが冷や汗を流しながら、両膝、両足を床に尽き、ひれ伏している。
その先には作りが豪華なテーブルを挟んで両脇に、片方は紫色の長い髪をし、
白い肌、スレンダーな女、もう片方はショートカットの黒髪でスタイルの良い、
肌は小麦色をした長身の女。
ゴルドスが冷や汗を流しながら、両膝、両足を床に尽き、ひれ伏している。
その先には作りが豪華なテーブルを挟んで両脇に、片方は紫色の長い髪をし、
白い肌、スレンダーな女、もう片方はショートカットの黒髪でスタイルの良い、
肌は小麦色をした長身の女。
そして彼女たちの間には、椅子に腰掛けた髪が床につくほど長く、どこか神秘的な
印象を受ける美女の姿が。彼女は鋭い眼光でゴルドスを見据える。
「……それで、お前はバイオモンスターを倒されたばかりか逃げ帰ってきたということか」
「い、いえ!あの女たちが、妙な拳法を使って変身までするような奴でしたから
幽覇様にご報告をと…」
「危険だと思うのならば、その場で早々に処分せい!貴様は獄牙の面汚しだ。毒花、やれ」
印象を受ける美女の姿が。彼女は鋭い眼光でゴルドスを見据える。
「……それで、お前はバイオモンスターを倒されたばかりか逃げ帰ってきたということか」
「い、いえ!あの女たちが、妙な拳法を使って変身までするような奴でしたから
幽覇様にご報告をと…」
「危険だと思うのならば、その場で早々に処分せい!貴様は獄牙の面汚しだ。毒花、やれ」
幽覇が手を軽く振ると隣にいた、白い肌の女がゴルドスにゆっくりと歩み寄る。
「獄牙に出来損ないはいらないの…ゴルドス、あなたはここで死になさい」
「ぐっ…くそぉ、死んでなるものかぁぁぁ!!」
逆上した大男は毒花に殴りかかるが軽く避けられ、すれ違いざまに額に指が突き刺される。
「獄牙に出来損ないはいらないの…ゴルドス、あなたはここで死になさい」
「ぐっ…くそぉ、死んでなるものかぁぁぁ!!」
逆上した大男は毒花に殴りかかるが軽く避けられ、すれ違いざまに額に指が突き刺される。
「ごぉ、がぁ…!」
「愚か者は…死ね」
指を抜くとゴルドスは仰向けに倒れ、同時に光を放ち、肉の一欠けらも残さず爆発し、消滅した。
その様子を見ていた長身の女は、軽く笑いながら口笛を吹く。
「ヒュー!毒花、ダイナミックな殺り方するじゃない♪」
「パリア…あなたも今度やってみれば?きっと、癖になるわよ…?」
「愚か者は…死ね」
指を抜くとゴルドスは仰向けに倒れ、同時に光を放ち、肉の一欠けらも残さず爆発し、消滅した。
その様子を見ていた長身の女は、軽く笑いながら口笛を吹く。
「ヒュー!毒花、ダイナミックな殺り方するじゃない♪」
「パリア…あなたも今度やってみれば?きっと、癖になるわよ…?」
二人の会話を聞きながら、幽覇は指令を出す。
「そこまでにしろ二人とも。ゴルドスの言っていた拳法使い…我らに覚えのあるものかもしれぬ」
その言葉に、二人は真面目な表情となり
「まさか…聖覇流拳法…!?」
「しかし、この街にあった聖覇の道場は以前潰したはずです。もう、それの使い手など…まさか!?」
「そこまでにしろ二人とも。ゴルドスの言っていた拳法使い…我らに覚えのあるものかもしれぬ」
その言葉に、二人は真面目な表情となり
「まさか…聖覇流拳法…!?」
「しかし、この街にあった聖覇の道場は以前潰したはずです。もう、それの使い手など…まさか!?」
パリアの言葉に、静かに頷く幽覇。
「そうだ…そのまさかだ。あの、小娘たちが帰ってきたということだ」
そういって、幽覇は後ろの窓から連春の街並みを眺める。
「(聖覇姉さま……あなたの娘たちも、後を追わせてやるぞ…)」
「そうだ…そのまさかだ。あの、小娘たちが帰ってきたということだ」
そういって、幽覇は後ろの窓から連春の街並みを眺める。
「(聖覇姉さま……あなたの娘たちも、後を追わせてやるぞ…)」
その頃、凛たちは大悟のうちの店で食事を取っていた。シャニーは丁寧に食べてるなか
凛は、手当たり次第に皿に盛られている春巻きやザーサイを食している。
それを呆れ顔で見ている大悟。
「凛お姉ちゃん、よく食べるなぁ…」
「ん?食事は生き物の三大欲求だからな!いっぱい食べとかないと」
凛は、手当たり次第に皿に盛られている春巻きやザーサイを食している。
それを呆れ顔で見ている大悟。
「凛お姉ちゃん、よく食べるなぁ…」
「ん?食事は生き物の三大欲求だからな!いっぱい食べとかないと」
食事が終わると、ナプキンでごしごしと口を拭いた凛が口を開く。
「……それじゃ、あたしたちのことを話そうか」
「大悟君、私たちは、五年前まではここ連春で暮らしていたのよ…」
「そうなんだ…で、どうしてしばらくここを離れてたの?」
「離れていたというか、離れざるを得なかったというか……」
「……それじゃ、あたしたちのことを話そうか」
「大悟君、私たちは、五年前まではここ連春で暮らしていたのよ…」
「そうなんだ…で、どうしてしばらくここを離れてたの?」
「離れていたというか、離れざるを得なかったというか……」
────九年前の連春。
凛は交通事故で両親を失い天涯孤独の身となっていた。行く宛もなく
拾ったパンを食べ、ボロボロの傘で雨風を凌ぐ。涙を流しながら油の臭いのする
毛布を羽織って寝る。そんな悲惨な毎日を送っていたが、ある日、彼女を見つめる
緑色の長い髪を流し、それでいて穏やかな目つきをしている女性が現れた。
彼女は体育座りで、縮こまっていた凛に話しかける。
凛は交通事故で両親を失い天涯孤独の身となっていた。行く宛もなく
拾ったパンを食べ、ボロボロの傘で雨風を凌ぐ。涙を流しながら油の臭いのする
毛布を羽織って寝る。そんな悲惨な毎日を送っていたが、ある日、彼女を見つめる
緑色の長い髪を流し、それでいて穏やかな目つきをしている女性が現れた。
彼女は体育座りで、縮こまっていた凛に話しかける。
「あなた、毎日ここで?お父さんとお母さんは?」
「……死んじゃった」
「…そう、か。…私ね、この街で道場を開こうと思ってるの。あなた、一緒に来ない?
こんなところでの生活では大変でしょう?ちゃんと寝るとこ、食べるとこが必要なはずよ」
その誘いの言葉に戸惑い気味の凛。
「でも、あたし…そんなお金持ってないし…」
「……死んじゃった」
「…そう、か。…私ね、この街で道場を開こうと思ってるの。あなた、一緒に来ない?
こんなところでの生活では大変でしょう?ちゃんと寝るとこ、食べるとこが必要なはずよ」
その誘いの言葉に戸惑い気味の凛。
「でも、あたし…そんなお金持ってないし…」
そんな彼女に優しく微笑みかける。
「そんなのはいらないわ。だって、これからは私があなたのお母さん代わりになるから…」
そういって、彼女は凛を優しく抱きしめる。
「…私の名前は、聖覇。あなたのお名前は?」
「あたし…あたしは凛。陽凛明…」
「そんなのはいらないわ。だって、これからは私があなたのお母さん代わりになるから…」
そういって、彼女は凛を優しく抱きしめる。
「…私の名前は、聖覇。あなたのお名前は?」
「あたし…あたしは凛。陽凛明…」
こうして、凛と聖覇との共同生活が始まった。聖覇は凛を時に厳しく、時に優しく
まさに娘同然に育て、凛もまた幼くして両親を亡くし、思い出の少ない彼女ににとって、
聖覇は次第に本当の母親だと感じ始めていた。
聖覇の開いた道場は初めの頃こそ、女の開いた道場だのなんだの言われ、なかなか
門下生が集まらなかったが、娘であり、初の門下生でもある凛は聖覇の下で
メキメキとその腕を上げていき、その噂を聞きつけた者は揃って道場に入門してくる。
まさに娘同然に育て、凛もまた幼くして両親を亡くし、思い出の少ない彼女ににとって、
聖覇は次第に本当の母親だと感じ始めていた。
聖覇の開いた道場は初めの頃こそ、女の開いた道場だのなんだの言われ、なかなか
門下生が集まらなかったが、娘であり、初の門下生でもある凛は聖覇の下で
メキメキとその腕を上げていき、その噂を聞きつけた者は揃って道場に入門してくる。
そんなある日、聖覇流拳法の道場に一人の少女がやってきた。色白で黄金のロングヘア。
彼女はゆっくりと道場の門を開け、中の様子を覗き見する。まだ稽古の時間ではないが、代わりに
朝稽古をしている凛の姿が見られる。凛は五枚に重ねられた氷柱に手刀を振り下ろし、一撃で全ての氷を割った。
彼女はゆっくりと道場の門を開け、中の様子を覗き見する。まだ稽古の時間ではないが、代わりに
朝稽古をしている凛の姿が見られる。凛は五枚に重ねられた氷柱に手刀を振り下ろし、一撃で全ての氷を割った。
「す、すごい……!」
「ん?……あなたもうちに入門したい人?」
声を上げた少女に気づき、凛はそちらに振り向いて問いかける。
「う、うん。私、シャニー・ハリソンっていうの。あなたは?」
「あたしは陽凛明。凛でいいよ。よろしく!」
「凛……じゃあ、私もシャニーって呼んで。あなたってすごいのね。私と同じぐらいなのに
あんなたくさんの氷を一度に割るなんて」
シャニーにそう言われると、凛は軽く首を振る。
「そんなことないよ。これもシャニーも聖覇流を習えば出来るようになるさ」
「本当?……私、この道場に通うのが楽しくなりそう」
「ん?……あなたもうちに入門したい人?」
声を上げた少女に気づき、凛はそちらに振り向いて問いかける。
「う、うん。私、シャニー・ハリソンっていうの。あなたは?」
「あたしは陽凛明。凛でいいよ。よろしく!」
「凛……じゃあ、私もシャニーって呼んで。あなたってすごいのね。私と同じぐらいなのに
あんなたくさんの氷を一度に割るなんて」
シャニーにそう言われると、凛は軽く首を振る。
「そんなことないよ。これもシャニーも聖覇流を習えば出来るようになるさ」
「本当?……私、この道場に通うのが楽しくなりそう」
それが、凛とシャニーが初めて出会った日。彼女はハリソン財閥の令嬢であったが、
お嬢様暮らしが退屈になり、刺激を求めての入門であった。しかし、一見軽い動機ながら
そのやる気は本物で拳法を習い始めたのは凛よりも遅かったが、武の才能があったのか、
凛に負けず劣らずな力を身につけていった。お互い切磋琢磨して腕を磨き、
二人は次第に親友であり良きライバルとなっていった。
お嬢様暮らしが退屈になり、刺激を求めての入門であった。しかし、一見軽い動機ながら
そのやる気は本物で拳法を習い始めたのは凛よりも遅かったが、武の才能があったのか、
凛に負けず劣らずな力を身につけていった。お互い切磋琢磨して腕を磨き、
二人は次第に親友であり良きライバルとなっていった。
凛が強力な拳技を扱うのに対し、シャニーはそれほど腕力や握力が伸びなかった。
だが、代わりに彼女は脚力が非常に強く、本人もそれを極めていこうと考え、毎日稽古に励んでいた。
修行時代のある日、シャニーはジュースの瓶を5本、台の上に並べている。
「シャニー、そんなもん並べてどうするんだ?」
「うふふ、見てて凛」
瓶を並べ終わると、シャニーは聖覇流の呼吸法で息を整え、眼前の瓶へと気を集中させる。
そして次の瞬間、目にも留まらぬ速さで鋭く回し蹴りを瓶に向かって放つ!
まもなく、瓶の飲み物が詰まっていない上部だけ綺麗に切れ落ちる。瓶も倒れるどころか、揺れすらしていない。
「おおー!やるじゃねぇか、シャニー!」
「ふふ、私だってこれぐらいはね」
だが強制的に瓶を開けたことで、彼女は直後、聖覇にこっ酷くしかられたとか……。
だが、代わりに彼女は脚力が非常に強く、本人もそれを極めていこうと考え、毎日稽古に励んでいた。
修行時代のある日、シャニーはジュースの瓶を5本、台の上に並べている。
「シャニー、そんなもん並べてどうするんだ?」
「うふふ、見てて凛」
瓶を並べ終わると、シャニーは聖覇流の呼吸法で息を整え、眼前の瓶へと気を集中させる。
そして次の瞬間、目にも留まらぬ速さで鋭く回し蹴りを瓶に向かって放つ!
まもなく、瓶の飲み物が詰まっていない上部だけ綺麗に切れ落ちる。瓶も倒れるどころか、揺れすらしていない。
「おおー!やるじゃねぇか、シャニー!」
「ふふ、私だってこれぐらいはね」
だが強制的に瓶を開けたことで、彼女は直後、聖覇にこっ酷くしかられたとか……。
だが、平和な時間は長くは続かなかった。凛とシャニーが十二歳の頃、今日もいつも通り
稽古と組み手。組み手をする時の二人の表情はとても楽しそうであった。
凛が拳を突き出せば、シャニーは回し蹴りでそれを相殺し、
シャニーが飛び蹴りを繰り出せば、凛は上手く足を掴み投げ飛ばすも、シャニーはひらりと空中で
回転しながら着地する。完全にその実力は互角であった。
「はい、それまで!二人ともよくここまで腕を上げたわね」
「そ、そうですかぁ?なんだかお師匠様にそう言われると嬉しいです」
「ふふん、だってお母さんの教え方が上手いんだもん。あたしたちだって強くなるよ!」
そう褒め称える聖覇に、シャニーは照れくさそうにし、凛は自慢げに胸を張っている。
稽古と組み手。組み手をする時の二人の表情はとても楽しそうであった。
凛が拳を突き出せば、シャニーは回し蹴りでそれを相殺し、
シャニーが飛び蹴りを繰り出せば、凛は上手く足を掴み投げ飛ばすも、シャニーはひらりと空中で
回転しながら着地する。完全にその実力は互角であった。
「はい、それまで!二人ともよくここまで腕を上げたわね」
「そ、そうですかぁ?なんだかお師匠様にそう言われると嬉しいです」
「ふふん、だってお母さんの教え方が上手いんだもん。あたしたちだって強くなるよ!」
そう褒め称える聖覇に、シャニーは照れくさそうにし、凛は自慢げに胸を張っている。
そんな二人に微笑みかける聖覇。ふと時計を見ると時刻は既に夕方を回っていた。
「あら、もうこんな時間か…私はお買い物に行ってくるから、二人は遊んでいなさい」
そう言って聖覇は街へと向かっていった。
「あら、もうこんな時間か…私はお買い物に行ってくるから、二人は遊んでいなさい」
そう言って聖覇は街へと向かっていった。
夕焼け空の下、聖覇が歩いている最中、彼女は何かに気づいたのか、ふと足取りを止める。
彼女の背後に長髪の女が腕を組みながら立っている。
その両隣には彼女を守る立ち居地で女の姿が。
「……幽覇、言ったはずです。私はあなたの軍門には降らないと」
「聖覇姉さま、どの道、この街は私の物となるのです。素直に私の下へ来たほうが
可愛い教え子たちを傷つけないで済みますよ?」
彼女の背後に長髪の女が腕を組みながら立っている。
その両隣には彼女を守る立ち居地で女の姿が。
「……幽覇、言ったはずです。私はあなたの軍門には降らないと」
「聖覇姉さま、どの道、この街は私の物となるのです。素直に私の下へ来たほうが
可愛い教え子たちを傷つけないで済みますよ?」
「お黙りなさい!私はそのようなことは許しません。それに、あなたが求めているものが
この街にはあったとしても、あなたには力を貸すことはないでしょう」
その言葉に、やれやれと呆れた表情でいる幽覇。
「仕方ない…例え姉と言えど、私に敵対するなら…今、ここで消す!毒花、パリア、
あなたたちは下がっていなさい」
両隣の女が数歩後ろへと下がり、姉妹はまっすぐに対峙する。
この街にはあったとしても、あなたには力を貸すことはないでしょう」
その言葉に、やれやれと呆れた表情でいる幽覇。
「仕方ない…例え姉と言えど、私に敵対するなら…今、ここで消す!毒花、パリア、
あなたたちは下がっていなさい」
両隣の女が数歩後ろへと下がり、姉妹はまっすぐに対峙する。
「幽覇…あなたでは私には勝てない…もう何度もやりあってわかっているはずです」
「それは今までの結果でしょう?だが、今回は違う。必ずあなたに勝つ」
何者も入り込めない空気が漂い始め、二人は構えを取る。
一陣の風が吹きすさぶと、同時に両者が攻撃を繰り出し、眩い閃光が辺りに走った。
「それは今までの結果でしょう?だが、今回は違う。必ずあなたに勝つ」
何者も入り込めない空気が漂い始め、二人は構えを取る。
一陣の風が吹きすさぶと、同時に両者が攻撃を繰り出し、眩い閃光が辺りに走った。
道場では帰りが遅い聖覇のことが心配でならない凛とシャニーの姿が。
「シャニー、お母さんいくらなんでも遅すぎじゃないかなぁ…?」
「お師匠様に限って寄り道なんてしないだろうしね…探しに行こう!」
頷くと、二人は聖覇を探しに飛び出していった。
「シャニー、お母さんいくらなんでも遅すぎじゃないかなぁ…?」
「お師匠様に限って寄り道なんてしないだろうしね…探しに行こう!」
頷くと、二人は聖覇を探しに飛び出していった。
しばらくして、二人が路地裏にやってくると、そこには傷だらけで倒れている
聖覇の姿と、それを見下すような視線で見つめる三人の女の姿が。
「お師匠様!?」
「お母さん!!」
「……くっ……凛、シャニー……」
二人が駆け寄り、聖覇を起こそうとする。そして凛は女たちを睨みつける。
聖覇の姿と、それを見下すような視線で見つめる三人の女の姿が。
「お師匠様!?」
「お母さん!!」
「……くっ……凛、シャニー……」
二人が駆け寄り、聖覇を起こそうとする。そして凛は女たちを睨みつける。
「お前ら……よくもお母さんを!!」
「許さないわ!」
激昂する二人の少女の姿を見て、ほくそ笑む幽覇。
「お前たちが、お弟子さんってわけか…まあ、私が相手をするまでもないだろう。
毒花、パリア、適当に甚振りなさい」
「許さないわ!」
激昂する二人の少女の姿を見て、ほくそ笑む幽覇。
「お前たちが、お弟子さんってわけか…まあ、私が相手をするまでもないだろう。
毒花、パリア、適当に甚振りなさい」
その言葉を聞き、毒花は凛と、パリアはシャニーと対峙する。そしてそれを見た
聖覇は小さく首を振る。
「に、逃げなさい…凛、シャニー…!」
しかし、その言葉を聞かずに二人は敵に向かって修行の力を発揮しようとした。
だが、二人の怒りは届かなかった…相手の女たちは二人よりも速く、強かった。
聖覇は小さく首を振る。
「に、逃げなさい…凛、シャニー…!」
しかし、その言葉を聞かずに二人は敵に向かって修行の力を発揮しようとした。
だが、二人の怒りは届かなかった…相手の女たちは二人よりも速く、強かった。
毒花は凛の正拳突きを軽く受け止め、逆に鳩尾に重い一撃を浴びせる。
「ぐがぁ…!うぅ……」
「どうしたの…師匠の仇を討つのではないの?情けないお顔が晒されているよ…?」
冷淡に述べる毒花は続けて凛を何度も蹴り、殴る。凛は声にならない叫び声をあげる。
「ぐがぁ…!うぅ……」
「どうしたの…師匠の仇を討つのではないの?情けないお顔が晒されているよ…?」
冷淡に述べる毒花は続けて凛を何度も蹴り、殴る。凛は声にならない叫び声をあげる。
パリアはシャニーの飛び蹴りを受けとめ、投げ飛ばし、馬乗りで拳の連打を浴びせた。
「あぐっ!うぁぁぁ…!」
「確か、あなたってハリソン財閥のお嬢様だったかしら?ふふ、可愛いお顔が
台無しねぇ、腫れあがっちゃって…でも、そういうのが私、ゾクゾクするのよねぇ」
残酷な笑みを浮かべながら攻めを止めず、シャニーは泣き叫ぶ…。
「あぐっ!うぁぁぁ…!」
「確か、あなたってハリソン財閥のお嬢様だったかしら?ふふ、可愛いお顔が
台無しねぇ、腫れあがっちゃって…でも、そういうのが私、ゾクゾクするのよねぇ」
残酷な笑みを浮かべながら攻めを止めず、シャニーは泣き叫ぶ…。
それからのことを二人はよく覚えていない。いつ一方的な攻撃が終わったのか、
聖覇はどうなったのか、分かっているのはボロボロで牢屋の中で倒れているということ。
「……シャニー、生きてる…?」
横になったまま、なんとか声を出し、相棒の安否を確かめる。
「…ええ、なんとかね……凛、手も足も出なかったね…」
「ダメだった…お母さんの、仇取れなかった…うぅ…えぐ……」
聖覇はどうなったのか、分かっているのはボロボロで牢屋の中で倒れているということ。
「……シャニー、生きてる…?」
横になったまま、なんとか声を出し、相棒の安否を確かめる。
「…ええ、なんとかね……凛、手も足も出なかったね…」
「ダメだった…お母さんの、仇取れなかった…うぅ…えぐ……」
泣き出す凛に、シャニーは寄り添って慰めようとする。だが、彼女も涙は止まらない。
その時、こつこつと足音が聞こえだした。それはだんだんこちらへと向かってくる。
「…凛…シャニー……!」
「お母さん!?」
「お師匠様!?」
その時、こつこつと足音が聞こえだした。それはだんだんこちらへと向かってくる。
「…凛…シャニー……!」
「お母さん!?」
「お師匠様!?」
それは二人と同じく、ボロボロな姿の聖覇であった。彼女は気を集中させ、鉄格子を
破壊して、二人に寄ると、もう残りわずかな気を二人に与えて傷を回復させる。
「お母さん、どうして…?」
「なんとか、隙を見て脱出してきたのよ…凛、シャニー、あなたたちに、これを託すわ」
そういって、徐に懐から巻物を取り出す。
破壊して、二人に寄ると、もう残りわずかな気を二人に与えて傷を回復させる。
「お母さん、どうして…?」
「なんとか、隙を見て脱出してきたのよ…凛、シャニー、あなたたちに、これを託すわ」
そういって、徐に懐から巻物を取り出す。
「私でも、あの幽覇を止めることが出来なくなった以上、連春は幽覇の者となるわ…。
そして私たちの道場も間違いなく潰されるでしょう…だからあなたたちは最後の希望。
これを持って、日本の東雲道場に向かいなさい。そこで、この巻物に従って修行して、
いつか、必ず幽覇を……」
「で、でも、お母さんが勝てなかったあいつらにどうやって……」
「大丈夫。巻物にある戦姫転生という術を覚えれば、あなたたちは格段に強くなれる……!
妹の幽覇を打倒することは、若いあなたたちにしか出来ないことなの……さあ、早く逃げて……」
そう言って、聖覇は二人に逃げるようにする。
そして私たちの道場も間違いなく潰されるでしょう…だからあなたたちは最後の希望。
これを持って、日本の東雲道場に向かいなさい。そこで、この巻物に従って修行して、
いつか、必ず幽覇を……」
「で、でも、お母さんが勝てなかったあいつらにどうやって……」
「大丈夫。巻物にある戦姫転生という術を覚えれば、あなたたちは格段に強くなれる……!
妹の幽覇を打倒することは、若いあなたたちにしか出来ないことなの……さあ、早く逃げて……」
そう言って、聖覇は二人に逃げるようにする。
「そんな、逃げるならお母さんも一緒に!」
訴える凛に首を振る聖覇。
「私はもう……それに、必ず追っ手が来る。だから私はそれを食い止めるために残るわ…」
「お師匠、様…!!」
「…速く行きなさいっ!!」
訴える凛に首を振る聖覇。
「私はもう……それに、必ず追っ手が来る。だから私はそれを食い止めるために残るわ…」
「お師匠、様…!!」
「…速く行きなさいっ!!」
踏み出せずにいる二人を怒鳴りつける聖覇。二人は何度か振り返りながら、外へと
脱出していく。彼女たちが囚われていたのは街の中央の巨大なビルだったようだ。
港に到着すると、一瞬ビルの方から光が走ったのが見えた。まるで命が弾けたかのような。
脱出していく。彼女たちが囚われていたのは街の中央の巨大なビルだったようだ。
港に到着すると、一瞬ビルの方から光が走ったのが見えた。まるで命が弾けたかのような。
「お師匠様ぁ……!くっ……うあぁぁぁ……!!」
「うぅ…泣く、な、シャニー……!お母さんの仇を、いつか必ず討つために、あたしたちは
強く、強くなってここに帰ってくるんだから……!」
だが、自身もそれを抑えることは出来ずにいる凛。だが、瞳には決意の炎が宿っていた。
こうして二人は育った連春を離れ、日本で修行を積むこととなった。
「うぅ…泣く、な、シャニー……!お母さんの仇を、いつか必ず討つために、あたしたちは
強く、強くなってここに帰ってくるんだから……!」
だが、自身もそれを抑えることは出来ずにいる凛。だが、瞳には決意の炎が宿っていた。
こうして二人は育った連春を離れ、日本で修行を積むこととなった。
─────話を聞いた大悟は、二人の過去に驚愕してばかりだ。
「俺、なんて言えばいいか分かんないけど…大変だったんだね…」
「気にしないで、大悟君。…お師匠様の言った通り、幽覇はこの街を支配していたわ。
だから私たちは彼女を倒し、この街も救ってみせる…」
「そのために身につけてきた聖覇流拳法なんだからね」
二人はその瞳に強い意志を宿している。
「俺、なんて言えばいいか分かんないけど…大変だったんだね…」
「気にしないで、大悟君。…お師匠様の言った通り、幽覇はこの街を支配していたわ。
だから私たちは彼女を倒し、この街も救ってみせる…」
「そのために身につけてきた聖覇流拳法なんだからね」
二人はその瞳に強い意志を宿している。
そんな中、唐突に外から轟音が響き渡った。
「!?…シャニー、行くよ!」
「OK!大悟君、ここで大人しくしててね」
「う、うん。気をつけてね」
心配する大悟に軽く微笑み頷くと二人は飛び出していった。
「!?…シャニー、行くよ!」
「OK!大悟君、ここで大人しくしててね」
「う、うん。気をつけてね」
心配する大悟に軽く微笑み頷くと二人は飛び出していった。
商店街方面でバイオモンスターが一つの店を潰しているのが見える。
さらに逃げ惑う人々の姿も。それを見た凛とシャニーは同時に変身する!
「「戦姫転生!!!」」
変身が終わると、一気に凛は拳を、シャニーは脚を突き出し、攻撃する。
不意打ちを食らった敵はそのまま横に倒れる。凛が続けざまに気を集中させる。
「気功弾!!」
反撃の隙を与える間もなく、敵を撃破した。圧倒的且つ、一瞬の戦いであった。
「「押忍!!!」」
さらに逃げ惑う人々の姿も。それを見た凛とシャニーは同時に変身する!
「「戦姫転生!!!」」
変身が終わると、一気に凛は拳を、シャニーは脚を突き出し、攻撃する。
不意打ちを食らった敵はそのまま横に倒れる。凛が続けざまに気を集中させる。
「気功弾!!」
反撃の隙を与える間もなく、敵を撃破した。圧倒的且つ、一瞬の戦いであった。
「「押忍!!!」」
だがその直後、背後から乾いた拍手が聞こえてくる。
「いやいや、お見事お見事…以前よりは強くなったみたいね、お嬢さんたち?」
「でも…それでも幽覇様はおろか、私たちにも勝てない…」
紫色の長髪と白い肌の女、黒髪の小麦色の肌の女、この二人を忘れるわけは無い。
「いやいや、お見事お見事…以前よりは強くなったみたいね、お嬢さんたち?」
「でも…それでも幽覇様はおろか、私たちにも勝てない…」
紫色の長髪と白い肌の女、黒髪の小麦色の肌の女、この二人を忘れるわけは無い。
「毒花に…」
「パリア!」
二人を睨みつける凛とシャニー。だが、向こうから闘気は感じられない。
「残念だけど、今日はあなたたちの相手をする時間はないのよねぇ。というか
どれだけ強くなったか、確かめに適当にモンスター放っただけだし」
「パリア!」
二人を睨みつける凛とシャニー。だが、向こうから闘気は感じられない。
「残念だけど、今日はあなたたちの相手をする時間はないのよねぇ。というか
どれだけ強くなったか、確かめに適当にモンスター放っただけだし」
「くっ、それだけのためにあんな真似を!?」
「許せない!」
そのために、罪も無い人を苦しめ、破壊行動を行った二人に怒りが込み上げる二人。
だが、そんなことなど何とも思っていない様子の毒花とパリア。
「許せない!」
そのために、罪も無い人を苦しめ、破壊行動を行った二人に怒りが込み上げる二人。
だが、そんなことなど何とも思っていない様子の毒花とパリア。
「ふふ、まああなたたちが獄牙を瓦解させるほどのことをやってみせれば、
幽覇様も相手をしてくださるかもね。それじゃ、またね~♪」
「だけど……あなたたちも師匠と同じ道を歩むだけ…死にたくなかったら、早く
この街から逃げた方がいいわよ…?」
そういって、二人は霧のように姿は解け、消えていった。
幽覇様も相手をしてくださるかもね。それじゃ、またね~♪」
「だけど……あなたたちも師匠と同じ道を歩むだけ…死にたくなかったら、早く
この街から逃げた方がいいわよ…?」
そういって、二人は霧のように姿は解け、消えていった。
とりあえずは敵を退けた二人。その表情は決意の炎が改めて宿っていた。
「あたしたちは絶対に、この街を救う…!そしてお母さんの仇を討つ!」
「幽覇、首を洗って待っていなさい…!」
街の中央に聳える巨大ビルに、いや、幽覇に向かってそう語る二人であった。
「あたしたちは絶対に、この街を救う…!そしてお母さんの仇を討つ!」
「幽覇、首を洗って待っていなさい…!」
街の中央に聳える巨大ビルに、いや、幽覇に向かってそう語る二人であった。
次回予告「連春の人々は二人の救世主が現れたことに喜びの声を上げる。
だが、卑劣な獄牙の罠が凛とシャニーに襲い掛かる…街に拳の唸り声が響き渡る…!」
だが、卑劣な獄牙の罠が凛とシャニーに襲い掛かる…街に拳の唸り声が響き渡る…!」
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