魔女っ子&変身ヒロイン創作スレ-まとめ-

第二話『ジャンヌ、リングに稲妻走らせる!』

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第二話『ジャンヌ、リングに稲妻走らせる!』


地球を覆った電磁の網は、いつしか消えてなくなり、世界は…新たな姿を見せる。

アリス・ブロウニングがキッカーケ星人を全滅させたあの日。奴らの作ったという爆弾を
誤って起動させちゃったアリス。大爆発というレベルじゃねーぞと、みるみるうちに
爆風は地球上に広がった。地球終了と言う感じなぐらいに。

しかし、地球はもとより、間近で爆発を受けたアリスにも傷一つつかずに、爆発は収束していった。
だが、代わりに…アリスたちのいた世界は、並行世界がいくつも融合したカオスなせ界へと
変わっていたのだ!ただ、意外なまでに大きな混乱は起こらず、他の世界の組織である、
地球統一政府と地球防衛軍が協力し合い、混乱を防ぎ、治安維持に当たっていた。


「……ということらしいですわ」
説明は地の文に任せて、アリスはソファーの上で寝転びながら、ジャンヌに伝えた。
「ということって…ねえ、アリスちゃん。これってものすごくヤバいことをアリスちゃんは
してしまったんじゃ…?そもそももっと段階を追って説明すべきなんじゃ…」
「もうジャンヌったら。いいじゃないですの。世界がどうなろうと、わたくしとあなたの間の
愛には何にも変わることはないのですから」
「あ、愛って……」
「とにかく、ほら、ここで一緒に眠りましょう?」
アリスの強引な誘いに、ジャンヌは結局断れず、一夜を供に…性的な意味ではない。

「それでは、今回のお話の始まりですわぁ~」


とにかく、なんやかんやで世界が大きく変化しているなか、地球の外から
招かれざるお客様が現れていた。
彼らの母艦内の中心にある大きな大きなルーム。よくある地球の様子を
簡単に見ることが出来る巨大モニターと、それをよく見ることが出来る玉座っぽいの。
その玉座に座っているウェーブのかかった金髪ロングヘアーの赤い瞳の女を中心に
その両隣には活発そうな顔をした緑色のショートヘアの髪をした女、
そして大人しそうな紺色の同じくショートヘアの髪をした女が立っている。

「ついに地球に到着したのね…長かったこと」
「オハミル様、何故このような辺境の星にやってきたんです?遠くて侵略価値も無さそうですが…」
と、紺色髪の女が中央の金髪女の名を呼びながら聞こうとする。
「そんなの決まっていましてよ。地球の文化って素晴らしいけど、地球人如きには
もったいないでしょう?私たちで独り占めして差し上げますのよ!分かったかしら、ヒユロカさん?」
「は、はぁ……」
前回のキッカーケ星人と同じく、やはり理由としてはくだらないのであった。

「イチリユさん、進路を地球のアメリカという国に向けなさい」
「はぁい、了解!でもアメリカに何があるんです?」
イチリユと呼ばれた活発な緑髪の少女が聞くと、オハミルは手を顎に当てる。
「おーほっほっほ!!私たち、自慢の生物兵器……それのテストにちょうどいい場所を
見つけましてね……今から殴りこみをしますのよ」
彼女たちの乗った母艦はアメリカ・サンフランシスコへと向かって大気圏突入を始めた。

さてさて、そんなことを知るよしもないアリスたち。ある日、ジャンヌがアリスの屋敷へと
やってきた。その表情はやけににこやかだ。
「こんにちは、アリスちゃん!」
「あら、いらっしゃいジャンヌ。あなたから来るなんて珍しいですわね?」
「えへへ。あのね、アリスちゃん。今度、これ見に来てほしいんだけど…」
と、アリスにジャンヌは一枚のチケットを手渡す。

「こ、これは…!」
「そう、あたしの試合のチケットだよ。先輩とタッグ組むことになったの!」
ジャンヌが渡したチケット、それは自分のレスリングの観戦券。
「久々に試合ですのね。だけど…大丈夫ですの?」
「大丈夫って何が?」
「何がって…あなた今までの試合でもいつも泣かされてるじゃないですの」
ジャンヌ・シャルパンティエ。プロレスをやってるくせに本人の性格は至って
気が弱く、暴れることは好まない。なんでプロレス選手になったのかが不思議なのである。


───試合前日。愛しの彼女が心配なアリスはジャンヌの所属しているプロレス団体の
練習を見に行くことに。
ジムの中に入ると、先輩の指導を受けながら、練習をしているジャンヌの姿が。
「こんにちはですわ」
「おう、アリスのお譲ちゃん。元気してるか?」
呼びかけるとジャンヌを指導していた先輩であるダイアナが返事をする。

「ええ、おかげさまで。ダイアナさん、ジャンヌはどうなんですの?」
とにかくアリスはジャンヌが心配でしょうがない。こんなことを聞いたのも
心配なのはもちろん、ジャンヌはデビュー戦からほとんど黒星続きで、
専らアイドルレスラー状態だからだ。
あまりにいいヤラれっぷりに逆にファンはついているが。
「いや、あいつは素質はあるんだよ。技の飲み込みも早いし、腕力も強い。ただ……」
「ふえぇぇ~~~~んっ!!!」

と、視線を移した直後にジャンヌは突然、泣き出した。
「ジャンヌ、どうしたんですの!?」
「痛いよぉぉ~~っ!!」
サンドバックを殴った際に変な打ち方をしたのか、手をブラブラさせて痛みから逃れようとしていた。
「……根性が足りない上に、優しすぎるんだよなぁ」

「ひぐぅ…ごめんなさい……ダイアナさん、ジャンヌちゃん…」
涙を拳で拭いながら上目使いで二人を見つめる。
「ああ!ジャンヌッ!大丈夫大丈夫…この可愛ささえあれば、あなたは私にとっては最強よ!!」
泣いてるジャンヌに寄り添うと頭をなでながら彼女を抱きしめるアリス。

速攻で別の世界に行ったアリスをダイアナは、そっと別の方へと動かすと、ジャンヌの
頭を撫で始める。
「ひっく、えぐぅ……ダイアナさん、あたしどうしたら強くなれるのかな…?」
「ジャンヌ、リングには神様がいるんだ。その神様に強くなりたい…!って願いながら
練習をしてごらん。そうすれば強い漢女にもなれる、頑張れジャンヌ」
「……う、うん!ありがとうダイアナさん!」
慰めになっているのかどうか怪しいが、ジャンヌは何故か納得して、泣き止むと再び練習を再開した。
ちなみにアリスは未だに別世界にワープしたままである。

その夜。ジャンヌは夕食代わりに、帰り道の途中にあった牛丼屋『すきなんや』で
大好きな牛丼を食べることにした。
「牛丼♪牛丼♪おじさん、牛丼の大盛りをください!」
「あいよ!」
ジャンヌの注文に元気よく返事をした店のおじさんは、すぐに大盛り牛丼を用意する。

「ジャンヌちゃん、明日は試合なんだって?頑張ってな!」
「うん、そうなんだ。ありがとうおじさん!」
牛丼を受け取ると、すぐに食べ始める。五分と経たずに、あっという間に完食したジャンヌ。
その口の周りには米粒が二、三粒ついたままである。

「ふう~おいしかった!ご馳走様、おじさん!えーと…380円だっけ」
「ああ、今日はおじさんの驕りでいいよ!明日の試合で頑張って勝ってくれよ!」
「ええ、いいの?……ありがとう、また食べに来るよ」
気前のいいおっさんに、ジャンヌは申し訳なさを感じさせずに敢えて元気に
お礼をして店から出て行った。

「うん、みんな応援してくれてるんだもん。明日の試合は絶対泣かないように頑張ろう!」
帰り道で明日に向けて気合を入れなおすジャンヌ。と、その時であった。
突然、目の前に黄金に輝く光が現れ、ジャンヌの目を眩ませる。
「きゃあっ!!な、なに…なんなの!?」
怯えて、今さっきの誓いをすぐに忘れたかのように涙目になるジャンヌ。

ただ、光は優しげに、温かみのある声で彼女に話しかけてきた。
「怖がらせてすまない、少女よ」
「ふえぇぇ……あ、あなた誰なんですかぁ?」
「私は、そうリングの神様…!」
「ええ!?もしかしてダイアナさんの言ってた神様ってあなたなんですかぁ?」
涙目だったジャンヌは、一気に尊敬の眼差しへと変わり、神様を見つめだす。

「そう、私こそリングの神様である。君のヘタレながらもプロレスに掛ける思いと
牛丼が好きなところに心打たれた。だから私は、君に強くなれるおまじないを
掛けてあげようと思ってね」
多少、馬鹿にしたニュアンスがありながらも、神様は光を纏った手をジャンヌに
向かって伸ばし始める。そしてその腕が彼女の頭の上まで来ると、黄金の光は
そのままジャンヌに向かって流れ始めた。

「あ、あのう……これは?」
「強くなるための力を授けているのだ。これで屁のツッパリはいらなくなる!」
言葉の意味はわからないがすごい自信で語る神様の腕から光の流出が止まると腕を引っ込めた。
「これでよし。よいか、少女よ。強くなるために立ち向かう勇気を持てよ。そして牛丼を
食べることを忘れるな。私のオススメは大盛りよりも1、5盛り丼だ。それでは、さらばだ!」
聞いてもいないのにオススメを紹介した神様は、そのまま背景に溶け込むように消え去った。

「バイバイ、神様……それにしても強くなったのかなぁ?」
消えてく光に手を振って見送ると、すぐさま両手を見つめ首を傾げた。
「いや!自信を持たなきゃ!明日試合なんだし、速く帰って今日は寝なきゃ!」
パンパンと両頬を叩くと、早々に家路へと急ぐのであった。

―――翌日
ついに迎えた試合当日。ジャンヌは体調こそ万全だが、やはり試合の時間が近づくに連れ
緊張が高まり、深呼吸をして落ち着こうとしていた。
「ジャンヌ、大丈夫だ。お前はちゃんと成長している、今回の相手なら勝てる!」
リンコス姿に着替えたダイアナがジャンヌの頭を撫でた。
「う、うん。あたし頑張るよダイアナさん!」

会場の客席はすでに埋め尽くされており、その中にはアリスも特等席でリングを見つめている。
そして、ようやく試合開始の時間となり、リング中央に司会の男が上がった。
「レディースエ~ンドジェントルメーン!!ただいまより、60分三本勝負のタッグマッチを行います!
赤コォーナァァーッ!!ダイアナ・モーガン&ジャンヌ・シャルパンティエ!!」
司会の紹介と同時に入場してくるダイアナ、そしてジャンヌ。彼女のリングコスチュームは
ヒラヒラのついた桃色の可愛らしい水着である。その姿に会場は熱気に包まれ、歓声が飛び交う。
「きゃああーーー!!ジャンヌ~!!頑張ってぇぇぇ!!!」
アリスも周りに負けないほどの大声でジャンヌに歓声を浴びせた。それに気づいてか
ジャンヌもアリスの方に向かって軽く手を振る。

「続きまして…青コォーナァァァーッ!!ソフィア・アンマリー&エレナ・ヒューイット!!」
ジャンヌたちの対戦相手がテーマ曲に合わせて入場してくる……そう思われて、会場も
また新たな歓声を響き渡らせようとしている。
と、思われたその時、突然会場の照明が消え失せ、周りは騒然となる。

「ん?こんなことは聞いてないぞ…おーい、どうしたんだ?」
司会が暗闇の中から声を発し、どうしたのか確認しようとする。
だが、その答えが出る前に、照明は再び輝きを取り戻した。
「なんだ、ただの故障か何かだったのか……うわぁっ!?」
光が灯され、再び仕事に戻ろうとする司会の目に飛び込んできたのは…

ジャンヌたちの対戦相手であるソフィアとエレナが血塗れでリングに倒れている光景であった。
それを会場中が確認すると、一瞬にして悲鳴が巻き起こる。
同時に、本来彼女たちが入ってくる方の花道から甲高い笑い声を上げながら
三人の女が入場してくる。

「地球の格闘技選手の実力とはこの程度なのかしら?期待外れですわね」
「なんなんだあんたら?殴りこみでも掛けにきたのかい?」
会場がどよめく中、ダイアナはあくまで冷静に片割れの金髪の女に向かって切り出した。
「あら、違いますわ。私、プロレスなどには興味はございませんもの」
「じゃ、じゃあなんでこんな酷いことを!」
いつもなら泣き出しそうな状況でもジャンヌは勇気を出して聞き出す。

「地球の文化を根こそぎ奪うか、私流に塗り替える…それが私の目的ですわ。
私たちは別の銀河系からやってきたイーロエ・クジツマ・オトラース。
そう、この国風にIKOとでも略してくださいな。私は女王であるオハミル」
「あたしはイチリユだ」
「私はヒユロカと申します。地球の皆さんには申し訳ありませんがただいまより、
このプロレスも私たち流に変えさせていただきます」
そう言うと紺色髪の少女は指をパチンと鳴らした。

すると煙を纏いながら、ブルドックのような顔をし、体型はゴリラのように
たくましい女が現れた!ただ、女と判断する材料は見た目の通り少ない。
一応、ここでは女性と明言しておこう。彼女はリングに上がり、血塗れ二人組みを場外へ投げ捨てる。
「ブルコング!あの向こう側の二人組みを倒してしまいなさい!」
「へっ!少しは楽しませてくれよ?さっき血祭りに挙げたのは1分持たなかったからよ」
ブルコングと呼ばれた怪人女はダイアナとジャンヌの方へと向く。

「さっきから聞いてりゃ勝手なことばかり言いやがって!ここはあたしらプロレスラーが
戦い、お客さんを楽しませる場所。エイリアンだかなんだか知らないが、すぐに土下座させてやる!」
ダイアナは勇ましく、ブルコングに向かってファイティングポーズを取る。
一方のジャンヌはと言うと…。

「ジャンヌ、ビビるな。向こうの好き勝手させていいのか?」
「うう…ダイアナさん……あんな恐い人と戦うなんてあたしには無理だよぉ……」
相も変わらずヘタレな発言をして、ダイアナの影に隠れるようにして震えている。
そんなジャンヌを尻目に、ため息を吐くダイアナ。
「仕方ない……行くよ、ゴリラ女!あたしがあんたの相手をしてやる!」

ダイアナは素早く回し蹴りを放ち、ブルコングのわき腹を狙う!
ヒットから間もなく、逆水平チョップを連続で当てていく。だが、相手は退屈そうに欠伸をかいた。
「ふぁぁ……つまんないねぇ、もっとすごい攻撃を見せてくれよ」
「くっ、なめるなぁ!!」

挑発に血を上らせ、ダイアナはハイキックを放ち、続いてドロップキックを浴びせていく!
打撃と飛び技なら、団体内でも右に出るものはいないダイアナの猛攻が続く。
並みのレスラーならもう立ち上がれないほどの……だが、ブルコングは相変わらず
余裕奈表情のままであり、ダイアナの息が切れ始める。

「く……なんだ、こいつは…!?」
「もう終わりかい?それじゃあ、今度はこっちの番だな」
「ぐはぁ!?」
ダイアナを掴むとニーリフトを叩き込み、続いて彼女を高く抱え上げ、ジャンヌに
向かって投げ飛ばした!

「きゃああっ!!だ、ダイアナさん!!」
「じゃ、ジャンヌ……ひ、ぐあ……」
一瞬にしてゴリラ女の攻撃でダイアナはダウンしてしまった。ジャンヌも、ダイアナの
身体をぶつけられた衝撃が全身に走る。

「さて、今度はお前だな、可愛いお嬢ちゃん」
「あ…あ……!」
「ジャンヌ!!変……身っ!!」
腰が抜けて、どうしようもないジャンヌのピンチを見ていられなくなったアリスは
リング上に飛び上がりながらバトルスーツ姿に変身した!

「アリスちゃん!」
「な、なんですのあなた!」
オハミルが思わず声を上げる。
「わたくしはアリス・ブロウニング。よくもわたくしの可愛いジャンヌに手を挙げましたわね。
IKOだかなんだか知りませんけど、あなた方はわたくしが始末しますわ!」
「ふん、来るなら来な!どうなっても知らないぜ」

ディメンジョンメーザーを取り出し、レーザーソードにすると、果敢に斬りかかって行く。
だが、アリスの放つ斬撃をブルコングは意外なまでに軽やかに回避してしまう。
「プロレスは反則なんえようあることらしいと聞いたからな、武器でもなんでも
結構だけどよ……これじゃ武器があってもなくてもかわらないぜ!!」
「なにっ!?ああああ!!」
ブルコングが延髄蹴りを繰り出し、アリスに直撃!その衝撃でディメンジョンメーザーが
吹き飛ばされてしまう。

「いいですわよブルコング!潰してしまいなさい!」
「はい、オハミル様。それじゃあ遊びは終わりだぁぁ!!」
「ぐっ……うあああぁぁぁぁっ!!!」
隙を逃さず、ブルコングはアリスを抱くようにして掴むと、そのまま凄まじい腕力を
利用し、押し潰そうとする。いわゆるベアハッグだ!これには堪らずアリスも悲鳴を上げた。


「アリスちゃん!!……リングの神様!あたしに力を授けるって言ったよね!?だったら今ください!」
苦しむアリスを見て、ジャンヌは心から強く願う。その時だった…!
突然、ジャンヌの周りから光が放たれそれは彼女を包み込んでいく。
その光は一瞬、周りに衝撃を走らせ掴み挙げられてたアリスを解放させる。
「じゃ、ジャンヌ…?」
光に飲まれていくジャンヌの姿を、アリスは不思議そうに見つめていた。

「ここはいったい…」
周りを見渡すジャンヌの頭に声が響き渡ってくる。いわゆるテレパシーという奴だ。
『ジャンヌよ……今こそ、お前に与えた私の力を発動する時だ!』
「ふぇ!?この声は…神様?でも、どうやって?」
『強くなりたい、誰かを助けたい、そうもっと心に強く念じろ』
「は、はい!」

目を瞑り、先ほどまで以上に強く念じ始める。すると、ジャンヌ自身から、新たに光が
解き放たれていく!水着のようなリンコスは消し飛び、一度、その抜群のスタイルの
裸体を披露すると、すぐに纏われた光が新たなコスチュームを形成していく。
首辺りから股までくっきりとボディラインを見せつけるようにレオタードが纏われる。
色は寒色系の青。背中は開いており、さらにリストバンドとプロレスシューズが
装着された。アイドルレスラーな格好から、本格派女子レスラーの姿へと変身を遂げたのだ!

「こ、これが、あたし……?」
「うむ、見事な変身だったぞ、ジャンヌよ!」
「あ、ありがとう神様……って、あぁぁ~~!!」
ジャンヌは突然悲鳴を上げた。というのも、神様が鼻血を垂らしていたからだ。顔よく見えないけど。
「こ、このエッチ!スケベ!!変態!!!」
「うっ…ぎゃあああぁぁ!!」
思わずジャンヌは神様を殴り飛ばしてしまった。少し間を置いてハッとなった
ジャンヌは申し訳無さそうな表情になる。

「あ…ご、ごめんなさい神様。やりすぎちゃった…」
「い、いや、いい……私の見込みは間違いではなかったようだ。さあ行け!ジャンヌ!
君の友達や先輩、お客さんを助けにいくのだ!」
「はい!!」
光は消え失せ、変身したジャンヌは会場へと瞬時に戻った。

「ジャンヌ!!どうしたんですの、その格好は?」
「リングの神様があたしにくれたの……アリスちゃん、あたしも頑張って戦うよ!」
「ふん、生意気な!あたしの力を受けきれるものか!」
ジャンヌは勇ましく立ち向かおうとする……かと思われた。
しかし、ブルコングに威嚇された瞬間、すぐに顔面蒼白になってしまう。

「ひぃぃっ!?いやぁぁ~~~!!恐いよぉぉぉぉぉぉ!!!」
変身してもなんのその、ビビり症が治るわけじゃなかった。すぐに後ろを向いて
逃げ出そうとしてしまう。

「こ、こらジャンヌ!逃げないで戦わないと!」
倒れていたダイアナが叱咤するが、滝のように涙を流しながら逃げ惑うジャンヌには聞こえない。
「へっ!所詮は弱虫か!潰れちまいな!!」
ブルコングはラリアットをジャンヌに向かって放つ。角度といいスピードといいジャンヌが
逃れられるものではない。完璧に決まってしまったと誰もが思った…。

「な、なに!?」
「うぇぇ~~ん!!こっちこないでくださぁぁぁ~~~~いっ!!!!」
ラリアットしてきた腕をジャンヌは無意識のうちに掴み投げ飛ばした。
周りが呆然とするなか、続いてジャンヌはやはり泣きながら相手を掴み、抱え挙げた。
見た目の可愛さからは想像も出来ないほどの怪力でブルコングは軽々と持ち上げられる。
「あっちいってぇぇぇぇーーーーーっ!!!」
勢いをつけてパワーボムを繰り出し、ブルコングをマットに向かって強烈に叩きつけた。

さらによろよろと立ち上がろうとするブルコングの膝の上に足をかけ、回し蹴りを放つ。
いわゆるシャイニングウィザードだ。
「うわぁぁぁん!!」
「ぐ……がはっ!」
堪らず、ブルコングはリングにうつ伏せでダウンした。

「ジャンヌ!すごいじゃないですのあなた!」
「あ、あれ……アリスちゃん?…ふぇ!こ、これどうしたの!?」
「どうしたのって、あなたがやったんじゃないですの」
「あ、あたしが……?無我夢中で何が何だかわからないよ」
だが、まだ戦いは終わらない。ブルコングはしつこく再び立ち上がる。

「くっそ……こんなガキに倒されてたまるかってんだ!」
「いやぁぁ!!まだ来るのぉっ!?」
突撃してくるブルコングに、顔を背けるジャンヌ。
「ジャンヌ!!フランケンシュタイナーだ!!」
「…!?は、はい!!」

体当たりが決まるかと思われた瞬間、ジャンヌは背後からのダイアナの指示を受け
飛び上がり、足でブルコングの頭を挟み込む!そしてそのまま反り返りながら
勢いを利用してブルコングを投げ飛ばした!
「ぐあああぁぁっ!!」
マットに叩きつけられ今度こそ完全にダウンするブルコング。
すると、その身体が発光しだし、醜い顔や肌がドロドロに溶けた姿へと変わっていく。

「まさか、ブルコングをここまで叩きのめすとは驚きですわ…でしたが、真の姿を
現した彼女には勝てませんわよ!」
なおも、ジャンヌたちに襲い掛かる元ブルコングのモンスター。
その光景にジャンヌはおろか、会場中が悲鳴を上げる。

「ふぇぇ…!もうやだよぉ……!」
なおも襲い掛かる相手に、嫌気が差して、泣き言を言い出すジャンヌ。
しかし、そんな彼女の頭にまたリングの神様の声が響き出す。

『ジャンヌよ!私の与えた力はそんなものではない!真の力を発揮するのだ!』
「い、いったい、何があるの?」
『よいか……これを使え!!』
「ええ?これを使うの?」
「何をゴチャゴチャ言ってますの!ブルコング!やってしまいなさい!!」
ブツブツ呟いているジャンヌに向かって怪物が腕を振り上げ突撃してくる。

「もう!!今度こそ冥土に行ってくださぁぁい!!!!」
叫ぶジャンヌの腕に光を纏って現れたそれは―――超巨大ハンマーである。
1000万tとか書いてあり、それを勢いをつけ振り降ろした!
「グギャ!!!」
短くも痛々しい悲鳴を上げ、ハンマーの下敷きとなったブルコングは今度こそ倒され
―――ミンチより酷くなった。あまりに凄惨な光景に会場中も、IKOも、ダイアナも、
アリスも、そして殺った本人であるジャンヌも絶句していた。

「ぷ、プロレスじゃ…ない」
ダイアナがぼそりと呟いた。しばしの沈黙が流れた後、ようやく我に帰ったIKOのオハミルは
悔しそうにハンカチを噛みだす。
「きぃぃぃぃ!!よくも私たち自慢のブルコングを!!お、覚えてなさぁぁぁぁいっ!!」
「ああ!オハミル様待ってください!!」
「そ、それでは地球の皆様、今後ともよろしくお願いします」
オハミルが走って会場から逃げていくと、その後をイチリユが追い、ヒユロカは
会場中に一言挨拶してから去っていった。

会場中が今の連中はいったい…といった雰囲気に包まれていた。
だがその直後、一斉に大歓声が沸き起こり、ジャンヌはダイアナに頭を撫でられた。
「すごかったじゃないか、ジャンヌ!」
「あ、ありがとうダイアナさん!あたし、リングの神様からこの力をもらったの!」
「昨日の話してやったあれか……まさか本当にいるとは…冗談だったのに」
「あれ?ダイアナさん、なんか言った?」
「い、いやぁ、なんでもない」
ボソっと呟くダイアナだが、すぐに咳払いをして再びジャンヌの方を向く。

「でもな、ジャンヌ。今回はエイリアンが相手だったからともかく、実際の試合の時は
変身は無しだぞ、明らかにズルだからな」
「はぁい!ベビーフェイスだもん!そんなことはしないよ!」
ジャンヌの言葉を聞き、うんうんと頷くダイアナ。

「ジャンヌッ!本当に良い戦いでしたわ!あなたの変身記念に今日はわたくしの屋敷で
パーティーをしましょう!」
「そ、そんなぁ、悪いよアリスちゃん」
「いいからいいから。すぐに手配しますわ。ダイアナさんもいかがです?」
「おっ、あたしもいいのかい?それじゃ、ジャンヌ、せっかくだからお言葉に甘えないか」
「う~ん…じゃ、じゃあ、アリスちゃんご馳走になるね!」
「はぁーい!ああもう、なんて可愛い笑顔…!」

存分にジャンヌの笑顔に惚れ惚れすると、アリスは携帯を取り出しすぐに屋敷に連絡をした。
正式な試合はしてないのに、会場中はとにかく盛り上がっていたその一方で……。
花道に倒れていたソフィアとエレナがそのまま、口を開いた。
「エレナ、生きている?」
「ええ、なんとかね……」
「完全に忘れ去られているわね、私たち……誰も救急車も何も呼んでないみたいだし」
「くっ……次こそ、あたしらが、せっかくだから赤い血の雨降らせてみせるわよ…」
二人が乾いた笑いをすると、同時にまたバタリと寝た。とりあえず、台詞がないまま退場より
マシだと、少しでも気持ちを妥協させてから。



解説コーナー
「はぁい、解説お姉さんです。今回は冒頭でいきなりいろんな世界が融合しちゃったわ。
でもそんなことが起きても特に誰もあまり気にしていないみたいね。と、言うより
その辺の描写が面倒なだけなのかも…ううん、なんでもないわ!
でもスパ○ボZとかディ○イドとかナ○カプの影響は間違いなく受けているわね。
さてさて、キャラクターはジャンヌ・シャルパンティエちゃんね。彼女の国籍はフランス。
名前はジャンヌ・ダルクにあやかって付けられたんだけど、本人は気弱でビビりでヘタレという
どうしようもない有り様よ。それなのに格闘技好きでプロレスやってるんだから不思議よね。
戦うときはやはりプロレス技全般が格闘スタイル。パワー技、投げ技、関節技、飛び技と
だいたいの技は使えるみたい。あと、どこから10000万tハンマーを呼び出して相手を
叩き潰すことも出来る…ってプロレスじゃないわね、これ」


次回予告
「ジャンヌ・シャルパンティエですぅ!あわわ…あのブルコングさん、ミンチより
酷いことになっちゃいました……まあ、そんなことよりも、あたし、最近誰かの
視線を強く感じるんです。でも、アリスちゃんじゃないみたいなの。そもそもアリスちゃんなら
あたしを見るなりハグしてくるし…。
次回『鈴音、メリケン修行の旅!』って、鈴音誰ですかぁ!?」


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