第14話 いきものの記録

「第14話 いきものの記録」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
第14話 いきものの記録」を以下のとおり復元します。
アキラ「業界の噂によると、ミゼットシリーズが発売禁止になったのは、隠し撮りや、盗み聞きに悪用できるからだそうです」

フミエ「あたしはパン!絶対にパン!」

アキラ「ぼくはどっちでもいいよ〜」

フミエ「ダメ、あんたもパン」

フミエ父「日本人は、ご飯に納豆!」

フミエ「嫌!納豆食べろって言うなら、これからパンしか食べないわよ?これでもう納豆は食べさせられないわよね〜。パンに納豆なんてありえないもの」

アキラ「ぼく毎日パンなんて嫌だよ〜」

フミエ「あんたもパンにしなさーい」

フミエ母「まーた屁理屈言って。じゃあ文恵は夏休みの間ずーっとパン」

アキラ「えー。毎日なんて嫌だよー」

フミエ「子供じゃあるまいし、ワガママ言わないのー」


フミエ母「文恵、アキラー、夏休みだと思って、いつまでも寝てないの」

フミエ「あー。毎日パンじゃ飽きるわー」

フミエ母「ほらみなさい。ママの言った通りでしょう?」

フミエ「なんかさー、もっといいもの食べさせようよー。可愛い子供にはさー」

フミエ母「自分で言ったんでしょう? 残さず食べないと、大きくなれないわよ。はい、あなた」

フミエ父「ホラみろ。だからパパみたいに、ご飯にしておけばよかったんだ」

フミエ「アキラ、これあげる」

アキラ「んっ!んーん!んっ!」

フミエ「残さず食べないと、大きくなれないわよ。ごちそうさまー!」

アキラ「んー!んー!んー!」


アキラ「これはミゼット。ぼくが飼っている小さな電脳ネコです。親指くらいの大きさで、ちょっとした特技があります。普通のペットマトンは見た映像や聞いた音声を記録できません。プライバシーや著作権上の理由だそうです。でも、このミゼットだけは、それを回避できるパッチが流出してしまい、録画や録音ができます。もちろん、ぼくもパッチを当てています。だから、サッチーに見つかったら、即座に消去されてしまいます。でもこいつは賢いし、すばしっこいから、そんなヘマはしません。もちろん、この品種は発売禁止になっています。今も飼っているぼくは、とてもラッキーです。だって……
こういう映像を残せば、いざという時、姉をやり込めることが出来るからです。これがぼくの姉、文恵です。今日は、姉とその友達の生態の記録を紹介したいと思います。
あ、申し遅れました。ぼくがアキラ。小学校4年生です。
姉は慎重120。体重27キロです。6年生にしては小さいです」

フミエ「最近増えたわよねー、球ちゃん」

ヤサコ「球ちゃん?」

フミエ「知らないの?球体だから球ちゃん。で、仕事は何?」

ヤサコ「あ。ペットが壁の中に入っちゃったの。穴があったんだけど……すぐに消えちゃったの」

フミエ「ふーん……」

ヤサコ「あの、私小此木優子って言うの。よろし…」

フミエ「えいっ。ふう……空間が古いわね……。料金は200メタだけどいい?」

ヤサコ「メタ?メタって何?」

フミエ「あんたメタバグも知らないの?ほら、さっき渡した……」

ヤサコ「ああ……」

フミエ「そうそれ。それでちょうどです」

アキラ「姉は非常にガメつい性格です。特にメタバグが枯渇してからというもの、ぼくやミゼットが見つけてきたクズバグも、すぐに巻き上げます」

フミエ「そすてこいつが……このミッションの主役よ」

アキラ「これはオヤジ。姉のしもべです。オヤジはちょっと変わったペットマトンで、古い空間での耐久性が、とても強いのです」

フミエ「仕事だオヤジ!あたはメタタグを貼って!」

アキラ「メガばあだけにもらったメタタグだけでは、長持ちしないような古い空間に潜って、メタバグを取ってきます。メタバグは、出処不明の電脳物質で、子供の間でだけは、通貨の価値があります。この人はヤサコさん。この間、大黒市に引っ越してきた、すごくいい人です。本名は優しい子、と書いて優子なんだけど、それを訓読みしてヤサコ、ってニックネームです。全然関係ありませんが、ぼくは、優しい女の人ってすごく憧れてしまいます」

ヤサコ「ごめんね、遅れちゃって」

ヤサコ「うっ……デンスケ!」

フミエ「ハァハァ……わあ!」

ヤサコ「今度は何!?」

フミエ「いよいよ、サッチーのお出ましだわ!」

サッチー「ぼくサッチー、よろしくね」

アキラ「これはサッチー。大黒市が最近導入した強力なウィルス駆除ソフトです。でも、すごく馬鹿なので、普通の電脳ペットやいたずら道具を持っている子供にも、容赦なくフォーマット光線を撃ってきます。あ。フォーマット光線というのは、ぼくが勝手につけた名前なのですが、光線をあびると、ペットマトンは死んでしまうし、メガネのユーザーは、メガネサーバーに入っているOSの情報を壊されてしまい。OSの自動修復が始まると、お年玉2年分くらいが強制的に引き落とされちゃいます。姉は対抗手段として、額からビームを発射するソフトをインストールしています。もっとも、サッチーは命じられた仕事をしているだけなので、罪はありません。姉の逆恨みです。ちなみに、郵政局のサッチーは学校や神社に入れません。なぜなら、学校は文部局、神社は文化局の管轄だからです。縦割り行政さまさまです。」

ヤサコ「勉強になるわー。って京子!」

キョウコ「うんち!」

ヤサコ「逃げて!」

ハラケン「待て!」

アキラ「この人は、ハラケンさんです。ハラケンさんはぼけっとした感じで、4年生のぼくから見ても頼りない人です。それなのに、驚くべきペットを飼っていたのです。そう、あれはバス墓場にメタバグ狩りに行った時でした」

ハラケン「待て!」

フミエ「ハラケン!」

ハラケン「おすわり。お手。さあ、今のうちに逃げよう!ぼくの言うことを聞くのは1分だけなんだ」

ヤサコ「あ、あなた一体……」

フミエ「何者なの……」

アキラ「あろうことか、サッチーはハラケンさんのペット、正確にはハラケンさんのおばちゃんのペットだったのです。でもこれは大した事件ではありません」

フミエ「あんた!ダイチに!駅ビルのこと!チクったろう!」

アキラ「許してお姉ちゃーん!」

ヤサコ「お姉ちゃん!?」

フミエ「そう、我が愚弟、アキラよ」

アキラ「一生の中で、一番嫌な思い出です。トラウマになりそうです。ぼくは、将来検事か弁護士になって、そして姉を訴えて、必ず有罪にしてやります。こういう映像を全部残しておいて、裁判の証拠として効果的に使ってやるのです。ミゼットがいて、本当によかった」

TV「えー、という訳で、違法に盗撮盗聴された音や映像は、裁判の証拠としては、使えません」

アキラ「使えません……うっ、なんだってー!」

アキラ「今日は、朝から本当にうつです」

復元してよろしいですか?