\ 「じゃあ改めてこれからどうするか考えようか」 スケさんと姫乃は最初に出会った地点より少し離れた潅木の茂みに移動していた。 あの場所は見晴らしが良すぎて、どこに殺し合いに乗った人間がいるかわからないこの状況では危険だと判断したためである。 近くまで来られればすぐわかるとはいえ、少しでも自分達の身を隠せる場所でゆっくりと話したかったのだ。 隠れるのはあまりにも心もとない場所だが、何もないよりはマシだ。 これでもスケさんの支給品だったロープで周りの枝を縛って集めているので、ある程度の偽装は出来ている。 「まず、最優先することは信頼できる仲間との合流だね。 そのためにこの拡声器をどう使うのが一番いいか考えなくちゃいけない」 「あ、その前にスケさんに聞いていい? スケさんは名簿に知り合いとか載ってなかったの?」 スケさんの言葉をさえぎるように身を乗り出して姫乃が尋ねる。 少し落ち着いたことで、目の前の透明人間自身のことが気になってきたらしい。 「そうだね。俺も姫乃さんの友達のことは名前しか聞いてないし、まずは情報交換をしようか。 親しい友人はいなかったけれど、知り合いならいたよ。この孫悟空とヤムチャとは前に闘ったことがある」 「闘った!? この二人危ない人なの!?」 「違う違う。試合として闘った事があるのさ。残念ながら負けちゃったけどね。 なかなか信頼できる相手だと思うよ。2人ともこの殺し合いには間違っても乗らないだろう。 むしろどこかで人助けとかしてそうだね」 透明だからよくわからないがスケさんは肩をすくめたのだろう。浮いてるように見える首輪が上下する。 姫乃は笑顔でこの同じ殺し合いの場にいる知り合いに思いを馳せるスケさんが見えた気がした。 ただ一度闘った――それだけの相手でほとんど面識もないのだが、スケさんはどこか自信ありげだ。 「そうなんだ・・・・・・よかった。いい人達なんだね。」 「ただ……最初に見せしめで殺された背の低い男を覚えているかい? あいつはクリリンといってこの2人の仲間なんだよ」 この3人と会い、そしてヤムチャと闘ったときのことを思い出す。 3人――特に悟空とクリリンは本当に仲が良かった。親友を失った悲しみはいかばかりなことか。 「あの人の友達」