52話
――山小屋の中での惨劇が起こってから何時間が経ったろうか。
男子9番 須崎 史々(すざき ふみふみ)は、そんなどうでもいい事を考えていた。
初めて人を殺し、彼は呆然としていた。
夜が明けて、あの人を馬鹿にしたようなBGMが流れてきた。
「YOー! 僕の可愛い生徒たちー! おはようございまーす! よく眠れましたかー?」
「ふざやがって・・・クク」
面白くもない来栖谷の言葉を聞いて、須崎は乾いた笑いを浮かべる。
「死亡者を発表しますYOー? いいですかー? 耳の穴をかっぽじってよく聞いて下さいねー?」
「グォッホン!」と咳払いし、
「女子18番 門田 照焼
女子13番 浜本 りな
女子16番 美作 不二子
女子12番 野村 澄子
男子20番 輪島 光太郎
男子7番 梢 俊夫
男子4番 川井 潤
男子19番 螺川 旋
女子1番 愛沢 由希
男子11番 谷 露文
女子19番 門田 成美
女子20番 弓場崎 ハナ
男子18番 横井 保
男子3番 織川 洋
女子3番 唐沢 幸子
男子14番 野村 仁
- 以上16人が死にました! 沢山殺されちゃいましたねー! 沢山死んじゃいましたねー! あと15人でーす!」
「・・・15人? 結構減ってるな・・・この夜に・・・いや、夜だからこそ不意打ちで一網打尽に出来たりしたってか? ・・・俺みたいに」
須崎は再び笑う。
自虐的な笑いだ。
「ちなみに螺川くんは1人で6人も殺した成績優秀なコでしたが、殺されちゃいましたねー!」
「螺川が―――?」
(あいつは剣道かなんかやってて確かに強そうなヤツだったからな・・・6人も・・・派手にやり過ぎたのか・・・馬鹿なヤロウだぜ・・・・)
(しかし、天道は生きてるのか・・・鬱陶しい野郎だ・・・愛沢が死んだのは勿体ないが・・・)
「それでは引き続き、みんな頑張ってねー! そんじゃねー!」
『プッン』
放送が終わる。
「愛沢は天道が殺したのか・・・? それとも・・・いや、トロそうな女だったからな・・・天道を倒すにはやっぱり銃が必要か・・・こんな剣じゃまた返り討ちに逢いそうだし、やっぱ銃が欲しいぜ」
須崎は、殺した仁から奪った食料を口に運びながら、これからの事を考える。
最終更新:2012年01月05日 23:53