第8話 分かり合う二人
「ッチ、あの時の俺はどうかしていたぜ……七原、川田、アイツらだって被害者だったのにな。
今更、許してくれとは言えないが……だが、せめて俺のように二度目の生があるといいのにな」
眼鏡をかけたガリ勉風の学ランを着た少年、元淵恭一は、生前に殺めたクラスメイトを思い出して、後悔していた。
彼は、もともと、クラスの学級委員を務めており、学業でも優秀な成績を修めていた優等生だった。
だが、バトルロワイアルにおけるクラスメイトとの殺し合いを強要されるシーンで通常の思考がマヒしていたのだ。
一旦、死んでみて、頭を冷やすと、自分の行った行為が如何に愚かなものだったか、彼は痛いほど自責の念に駆られていた。
「……倉元、アイツには殺されてしまったが、むしろ感謝しているくらいだ。
馬鹿野郎だった俺の頭を覚ましてくれたアイツには……」
元淵は、支給品である斧槍(ハルバート)を担ぐ。
「どうせ二度目の生だ……俺は俺の信じる道を進む」
とても中学二年生には見えないような決意を秘めて元淵は、天へ吠える。
「俺は高田を殺す。俺は殺し合いには乗らない!」
「その意気やよしッッ!!」
元淵の咆哮に応えるように、もう一匹の雄が吠えた。
「だ、誰だ!?」
マゲを結い、甲冑、具足といった戦国武将風の凛々しい中年がレミントンショットガンを肩に担ぎ、姿を現す。
「おれは、織田信長、アーチャーのサーヴァントよ!
小僧、おまえの名を名乗るがよい!」
「俺は元淵恭一!!
この殺し合いをぶっ壊す者だ!!」
「気に入った!
ならば、ついてこい!!
俺によい考えがあるのだ!!」
「おお、何か頼りになるおっさんだな!
分かったぜ! よろしくな、織田さん!!」
互いに手を取り合う恭一とアーチャーだった
最終更新:2015年01月26日 23:02