第16話 とある酔っ払いの結末


「ウィ~ヒック! 殺し合いだぁ? 馬鹿言ってんじゃねぇよ……ヒック!」

 名も無きの商店街にある酒場、そこでひとりの中年が飲んだくれていた。
 彼こそは、とある雪の降る町で、元・騎士という肩書きを持つロベルト・フォンベルンであった。
 彼は、大層な肩書き、立派な名前とは真逆で、昼間から酒におぼれる”ダメオヤジ”という事で有名な男であった。
 ボサボサの頭に、無精ひげ、酒で赤らんだ顔はだらしなさ爆発である。

「ったく、俺を誰だと思ってやがるンだぁ? ロベルトフォンベルン様だぞォ~~っと……ってもうカラかよ」

 空になった酒瓶を逆さにして、最後の一滴まで飲みきると、ロベルトは立ち上がる。

「この町は天国だぜぇ~~。何つったって、酒は飲み放題だし、幾ら飲んでもとがめるヤツもいないしよぉ~~……ふへへへ」

 そして、彼はご機嫌そうに鼻歌を歌いながら千鳥足で地下にある酒蔵へと入っていった。

 だが、その1分後にロベルトの遺体が転がる事になる。
 べろんべろんに酔っ払った彼は、階段で足を踏み外し落下していった。
 彼の首は奇妙な方向に折れ曲がり、頭も打ったのか、辺りは血だまりになっていた。
 運が悪かったとしかいいようがないとても無様な最後である。



 ロベルト・フォンベルン@とある酔っぱらいの物語     死亡    残り33人
最終更新:2015年01月26日 23:09