第19話 「異次元の会話」


「こんにちは、シスター」

 学生服を着た端正な顔立ちの少年が華麗なステップを踏みながら、修道服姿の少女に声を掛ける。

「こんにちは」

 殺し合いという場であるにも関わらずシスターは、穏やかに微笑み挨拶を返す。
 だが、互いの手に持つ武器が双方の殺気を呼び起こす。

 シスターの手には、”青竜偃月刀”という名の大ぶりな薙刀が。
 男子学生は、両手で狙撃ライフルである”ドラグノフ”が握られていた。

 互いに無言のままに相対し、時間だけが静かに過ぎてゆく。
 だが、緊張感だけは相反し、どんどん増えてゆく。

 そんな中、男子学生がふと口を開いた。

「……神はいずこに」

 シスターは、ゆっくりとした口調で語る。

「それは分かりません。
 ですが、救いの手ならば私が差し伸べる事が出来ます」

 シスターは、手に持っていた薙刀を地面に突き立てて、男子学生に微笑みかける。
 それは、彼女にとって戦闘の放棄の合図だった。
 そして、男子学生は、そんな彼女の勇気に応えるだけの度量を持っていた。
 つま先でくるくると回転しながら、ライフル銃を空へ向けて発砲した。

「なんて慈愛に満ちた女性(ひと)なんだ……僕の名前は杜東凍也。
 このダンスをシスター……貴方にささげたい」

「華麗なステップね、凍也くん。
 私は四条 瑠璃子。
 全ては神の御心のままに……」

 そして、ここに新たなるコンビが結成されたのだ。
 どうでもいいが、この〆方これで何度目だろうか。
最終更新:2015年01月26日 23:11