12話


「頭をひやすんだな」
そう言うと、男子3番 織川 洋(おりかわ よう)は、去っていった。
彼は、銃声のあったその場は危険だと判断し、女子4番 近藤 留美(こんどう るみ)を背負って移動してくれた。
そして、彼女の目が覚めるまでその場に居てくれたのだった。

「・・・・・・」
ここに今いるのは、留美と 女子6番 園川 真希(そのかわ まき)だけだった。

留美は、先程とうって変わって、ぶるぶると膝を抱えて震えていた。
「ムリだぁ・・・あたしなんか・・・絶対生き残れるはずない・・・うぅ・・・」
小声で、ボソボソと呟いてる。

(さっきの強気がまるでウソみたい。)
呆れ果てて、むしろ憐れに思えてきた。

留美は、もともとクラスでも大人しめの性格だった。休憩時間も本を読んでいるか、たまに2,3人の女友達で固まって話をしている。桜井 夏海も(さくらい なつみ)―――先程、留美が撃ち殺した少女―――その友達の一人だった。

(もともと、そういう性格だったか、このゲームが原因で、おかしくなったかは知らないけど―――)
この状況下に苛ついてしまう。

対して真紀は、バスケ部のレギュラーで副キャプテンを務めていた。
多少不器用だが、真っ直ぐでサバサバした面倒見のよい性格、短く切った髪がそれらをよく象徴していた。

留美に対し、優しくするつもりは無かった―――だが、放っておくことも出来なかった。

「留美・・・・あんたが夏海を殺したことは、事実なんだ。」

『ビクッ』と、留美の動きが止まり、黙り込む。

「―――でも、その事実から目を逸らしちゃ駄目だ。」
真希は、そう言うと立ち上がり、荷物を背負おうとする。極めてゆっくりと―――
「―――じゃあね。」
一瞬目が合う2人―――でも、すぐに留美の方が視線を外す。
そして、留美に背を向け、歩き出そうとした時―――

「―――あの!――私も―――」

「連れて行って。」と言おうとしたのだろう、だが、破裂音と共に留美の頭が吹っ飛んだ。



      女子6番 近藤 留美 死亡 残り33人
最終更新:2012年01月04日 01:57