13話
「んもぅ―――なんでついてくるのよぅ―――うざい!」
女子1番 愛沢 由希(あいざわ ゆき)は、逃げていた。
「待てって! 一緒に居ようぜ!」
後ろから、追ってくるのは 男子9番 須崎 史々(すざき ふみふみ)だ。
何となく女子を見るいやらしい須崎の目付き―――由希は、それが以前から苦手だった。
クラスの女子の間でもそれが嫌いだというものも居たようだ。
由希が途方に暮れていたとき、須崎が声をかけてきたのだが、由希は、どうしても、この男と一緒に居る気にはなれなかった。
「ぜぇ―――ぜぇ―――」
いい加減疲れた。
(あたしの支給された武器―――銃だった―――けど、どうしても使うのが躊躇われた。)
(等くん・・・助けてよぅ・・・もぅ・・・)
チラリと後ろを振り向くと―――
「オラァ! 止まれよー!」
須崎が剣(須崎の支給武器 サーベル:西洋の剣で、元々馬に乗って戦うために、軽く出来ているため、刃の部分は極めて細い。色々と種類があるようだが、須崎の持ってるのは、直刀型のもの。刺突に適している。)を振り回している。
目がとても怖い。
(駄目―――捕まりたくない)
しかし、由希の体力は限界だった。
取り立てて、運動は得意でないし、部活もやってない。
(何か、格闘技とかやってれば良かったかな・・・)
今更、自分の運動不足が悔やまれる―――
『ドン!』
突然人影が現れ、由希とぶつかった。
最終更新:2012年01月04日 09:11