26話
「松本・・・すげぇな・・・」
男子8番 斉藤 浩介(さいとう こうすけ)は、驚きの声を上げた。
学校最凶の男子6番 工藤 無頼(くどう ぶらい)。
それを倒したのは、突然現れた女子15番 松本 茜(まつもと あかね)だった。
「はぁ・・・、何であたしがこんなこと・・・」
茜は、構えていた鉄パイプを下ろすと、デイバッグを担ぎ直した。
「それじゃ、あたし行くから」
じゃっ! と手を挙げ、去ろうとする。
「お、おい! ちょっと待てよ。これ、どうするんだ?」
浩介は、無頼を指差し、茜を引き止める。
「ん? 生きてるんじゃない?」
後頭部に大きなこぶを作り、うつ伏せに倒れ、ぴくりともしない無頼。
浩介は、そっと近づき、生死を確かめてみる・・・息はしてるようだ。
「いやいや、そうじゃなくって・・・」
「ん、縛って、その辺に転がせとけば?」
「お、おう」
ベルトを使おうと思い、無頼のベルトを外そうとした。
「ん、本格的ね。よくわからないけど」
「いつの時代だよ・・・・」
無頼は、荒縄をベルト代わりにしていた。
荒縄は、非常に硬く縛られており、外すのに手間取る。
茜は塀に寄りかかり、その光景をボーっと眺めてた。
辺りは、日が暮れかけてきた頃だった。
最終更新:2012年01月04日 16:55