36話


「ジュン!!!!」
さっきまで、赤みのあった潤の顔が青白く染まってゆく。
パンを食べた途端だった。
「ど、毒か!? 吐け!吐けよお!!」
頭の悪い俺でもわかる。ぶんぶんと潤の身体を揺さぶる。
しかし、潤は吐き出そうともしない。
「くそお!!吐き出せええ!!!」
次は、自分の人差し指と中指を潤の喉奥に突っ込んだ。
餌付くような反応を見せると、潤は思いっきり吐き出す・・・それは、真っ赤な血だった。
「ううっ!」
もう不安で泣き出していた。
このゲームで、俺達二人が生き残ったら、俺が死んで潤を生かす、そう思った。
潤は頭のいいやつだ。優しいし、女にももてる。
それなのに・・・なんでコイツが死ぬんだ?
潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。
潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死ぬ。潤が死・・あ・・・。




やがて、揺さぶろうが、話しかけようが、叩こうが、全く反応を見せなくなった潤を見る急須の目は、怒りとも悲しみとも取れぬ炎を宿しており、
「おぉおおぉりぃいいいいいぃかぁああああああああああぁわぁああああああああああああ!!!!!!!」
彼の絶叫は島を包んだ。


「いやあ、悲劇は繰り返すって、よく言うよねー」
この島のBRを掌る本部である廃校舎奥の一室で、担当教官の来栖谷銀(くるすだに ぎん)は、スナック菓子を摘まみつつ、あくびをした。
「ねむ・・・そろそろ、お休み前の放送の頃かなー?」



男子4番 川井 潤(かわい じゅん)死亡  残り24人
最終更新:2012年01月04日 16:59