48話
「矢島か・・・」
「園川・・・」
「誰か殺したか?」
「ああ、殺したさ」
「なら、殺されても文句ねぇな」
「その理屈だと、テメェも殺されても文句ねぇって事だよな?」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
男子17番 矢島 急須(やじま きゅうす)と女子4番 園川 真希(そのかわ まき)――二人がそれだけ言葉を交わすとすぐさま殺し合いが始まった。
『ズダンッッ!!』
真希のレミントンが轟音を起こす。
『バンッ』
矢島は、木陰に身を隠して、デリンジャーで応戦する。
数秒後、レミントンが火を噴き、再び身を隠しやり過ごす矢島。
「オラアァッ!!」
再びデリンジャーを撃ち、ボウガンから矢を発射する。
「痛ッ!」
矢が真希の左肩に刺さる。
警戒した真希が、矢島同様に木陰に身を隠した。
そして、痛みを堪えて次の手を考える。
(いってぇ・・・・突撃か、待ち構えるか・・・ロクな作戦が浮かばない・・・ダメかな、こりゃ・・・・いてて)
「園川ァ! このままやっても良い事ないと思わないか!?」
突然の矢島の呼び掛け。
その言葉に、真希は面喰う。
「俺は取り敢えずダチの仇を取りたい。テメェの相手はその後でしてやるぜ! 今から3つ数える! オーケーなら、黙ってどっか行け! 戦闘続行なら、一発そのショットガンをぶっ放してみてよ! いくぜ!? いち!!」
それは、矢島からの取引だった。
(単細胞の矢島が取引だって・・・?)
その普段では有り得ない矢島の提案にやはり面喰う真希。
「にぃ!!」
(だけど、それは悪くない取引だ。態勢も整えられるし、何より肩が痛んでしょうがない・・・)
真希は、戦闘中止の意志をもって銃口を下ろした。
「さんっ!!」
真希と矢島は、ゆっくりとその場を離れるのだった。
最終更新:2012年01月05日 18:17