R-1

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***第1話 予告 少女が詠ったのは一つの福音 それは始まりの詩 誰もが夢見るところへの詩 *第1話 「うたかたに詠われる始まりの福音(インジール)」   うたかた=唄方(歌う事を専門とする人)/泡沫(儚く消えやすい事の例え) ***Opening 1 2years ago 陰謀まみれの支部の状態にうんざりし、ラバーカは夜中、一人支部を飛び出す。 都市の城門を文字通り通り抜けるも、行き先を決めれず一人城壁にもたれかかりずるずると座り込む。 そうして、しばらくした頃。 「やっぱり行く当てがないんじゃないか」 と、ラザックに声をかけられる。 「べ、べつにそういうわけじゃ……っ!!」 成り行き。そう、これはただの成り行き。 2人はラザックの提言で雑芸人の支援組織、『道々の絆』を頼りに旅を始めるのだった。 ラバーカは支部の暗い部分を知っているとして最初は追手を差し向けられたものの、所詮は享受者としては初心者。数カ月もすればそれも治まり、何事もなく旅を続けた。 惰性で2年。 そこそこに客に楽しんでもらえる見世物ができるようになり、『道々の絆』からの勧めもあってコンテストに出てみることにした。 ***Opening 2 10years ago 両親が所属するキャラバンの行商に各地へと連れられるソルーシュ。 どこにでもありそうな小さな集落。ありふれた光景の広場の市場。 いつものように地元の子供たちと一緒になって遊んでいた。 不意に声が聞こえた。 奇妙な旋律。だけど、心魅かれる不思議な詩。 声の方へと足を向けると、深くフードを被った吟遊詩人がいた。 ソルーシュはその吟遊詩人の前に座り、その詩を聴くたった一人の客となった。 詩が途切れ、吟遊詩人が少年に気が付く。 「君には、私の声が聞こえるのか?」 「うん!凄い詩だね!!」 「君が……そうか。  ならば詠って聞かせよう。この世界の、このゲヘナの詩を。  さぁ、よく聞いてみなさい――」 吟遊新人は詠った。ゲヘナの各地の詩を。 伝承の痕跡を抱くシェオール、幻想の海を掲げるファーユ、人の欲望に満ちたカリュオン…… 魔物が闊歩する砂漠、無慈悲な荒野、幻獣が住む峻厳なる山、慈悲深き大いなる河…… 黒き薔薇が咲く園、楔になった磔の天使、燃える巨樹、天使を奉じる里…… 詩人の詩が終わり、雑踏の気配が戻る。 どうやら極度の集中状態にあったようだ。 幾百もの景色を旅し、何時間も詩を聞いていたような気がしたが、さして時間は経っていない様だった。 「――素晴らしい、君は全ての世界を見たのだね?」 「うん!」 「では、最後に古の物語を歌おう。  忘れられし王国を、失いし天と地を  かつて世界には太陽と呼ばれるものがあった。」 「太陽?」 そう言って、少年は空を指差す。 そこには、焼け付けるような光を放つ光の帯、このゲヘナでの昼を作りだす光源があった。 「いや、あれは光帯だ。太陽は、そう、光の点のようなものだ」 「点?」 「そうだ、地上には眩く光る太陽があった――」 詩人が紡ぐ言葉に耳を傾ける少年ソルーシュ。 「――『地上』について、私からは何も言うことができない。  だが、少年――」 吟遊詩人が両手を広げ、言葉を続ける。 「――真実は、全てはそこにある。  君がそこにたどり着いた時、白夜の果てに世界は君と一つになるだろう。  そして、新たな詩が紡がれるだろう――」 何を言われているのかは良くわからなかった。 だが、詩人の詩は、言葉はとても印象強く少年の心に刻まれた。 ふいにさっきまで遊んでいた子供たちから声をかけられる。 「ソルーシュー??何処行ったー?」 「ん? あ、こっちだ!」 ソルーシュは子供たちの方に手を挙げた。 「今、この人の……」 子供たちに吟遊詩人の事を言おうと振り返ると、そこには誰もいなかった。 はじめからそこには誰もいなかったかのように。 ***Opening 3 6years ago 起伏に富んだ地形、豊かな緑。白く美しい神殿を抱く小さな集落。 神殿の中には美しい花が咲き乱れ、その中で一人の少女が花飾りを作って遊んでいる。 黒い髪に褐色の肌の少女。白くふわふわとした可愛らしい服を着ている。 そこに1匹の砂鼠が迷い込んできた。どうやら怪我をしているらしい。 少女はそれを見て、その砂鼠に向かってにこりと微笑む。 すると、どうだろうか。 見る間に砂鼠の怪我が癒えていく。 「イシュタル様! またそのようにっ!!」 それを近くにいた侍女に見つかってしまったようだ。 「で、でも怪我をしていたら、治してあげなきゃ」 「そうですが、みだりに力を使ってはならないと……」 「怪我を治すことは悪い事なの?」 「そうではありませんが……」 言葉に詰まる侍女。 「ねぇ、そろそろお勤めの時間じゃない?」 「そうですね。あぁ、そういえばイシュタル様。今日、珍しくキャラバンがこの里に着ましたのよ」 「キャラバン?」 「えぇ、きっと珍しいものを沢山持ってきている事でしょう。今晩にもこちらに着てくれるでしょう」 「それは楽しみね」 夜、宴が催されさまざまな品が出される。全て少女が知らない世界から来たもの。 そんな楽しい夜はすぐに過ぎ、またいつものように長閑で平穏な朝を迎える。 一方、少年はまたいつものように子供たちと遊んでいた。 「神殿は勝手に入っちゃいけないんだよっ!」 だが、そう言われるとますます好奇心が湧いてくる。 この里で一番きれいな建物に入ってみようと、塀を乗り越える事に決めた。 渋る子供たちを駆り立て、踏み台になってもらい自分の身長よりも高かった塀を乗り越える。 が、上ったと思った瞬間バランスを崩して塀の内側へと落っこちてしまった。 「大丈夫かソルーシュ~??」 と、声をかけられたのと同時に、塀の向こうで大人のどなり声がしてくる。 「お前らっ!! 何をしているんだ! ここは入っちゃならんといつも言っているだろう!!」 「うゎぁ~~~~っ」 バタバタと走っていく足音。どうやら一人置いてきぼりになってしまったようだ。 どうしようか。起き上がって辺りをきょろきょろと見渡していると、どうやら外での騒ぎが中にも伝わったらしく、少々あわただしい気配がする。 「ねぇ、あなた大丈夫?」 びくっと少年が驚いて声のした上を見上げると、綺麗な女の子が自分の方を見ている。 見つかった! そう思って逃げようとするが、少女は思いがけない言葉を口にする。 ---- naw 雑芸術のコンテストで賑わう都市スィフル。多くの人々が集っていた。 ---- 間奏曲=モーツァルト~レクイエム Sanctus 四行詩の1個目はこの歌詞のまま使用。ただの趣味でした。
***第1話 予告 少女が詠ったのは一つの福音 それは始まりの詩 誰もが夢見るところへの詩 *第1話 「うたかたに詠われる始まりの福音(インジール)」   うたかた=唄方(歌う事を専門とする人)/泡沫(儚く消えやすい事の例え) ***Opening 1 2years ago 陰謀まみれの支部の状態にうんざりし、ラバーカは夜中、一人支部を飛び出す。 都市の城門を文字通り通り抜けるも、行き先を決めれず一人城壁にもたれかかりずるずると座り込む。 そうして、しばらくした頃。 「やっぱり行く当てがないんじゃないか」 と、ラザックに声をかけられる。 「べ、べつにそういうわけじゃ……っ!!」 成り行き。そう、これはただの成り行き。 2人はラザックの提言で雑芸人の支援組織、『道々の絆』を頼りに旅を始めるのだった。 ラバーカは支部の暗い部分を知っているとして最初は追手を差し向けられたものの、所詮は享受者としては初心者。数カ月もすればそれも治まり、何事もなく旅を続けた。 惰性で2年。 そこそこに客に楽しんでもらえる見世物ができるようになり、『道々の絆』からの勧めもあってコンテストに出てみることにした。 ***Opening 2 10years ago 両親が所属するキャラバンの行商に各地へと連れられるソルーシュ。 どこにでもありそうな小さな集落。ありふれた光景の広場の市場。 いつものように地元の子供たちと一緒になって遊んでいた。 不意に声が聞こえた。 奇妙な旋律。だけど、心魅かれる不思議な詩。 声の方へと足を向けると、深くフードを被った吟遊詩人がいた。 ソルーシュはその吟遊詩人の前に座り、その詩を聴くたった一人の客となった。 詩が途切れ、吟遊詩人が少年に気が付く。 「君には、私の声が聞こえるのか?」 「うん!凄い詩だね!!」 「君が……そうか。  ならば詠って聞かせよう。この世界の、このゲヘナの詩を。  さぁ、よく聞いてみなさい――」 吟遊新人は詠った。ゲヘナの各地の詩を。 伝承の痕跡を抱くシェオール、幻想の海を掲げるファーユ、人の欲望に満ちたカリュオン…… 魔物が闊歩する砂漠、無慈悲な荒野、幻獣が住む峻厳なる山、慈悲深き大いなる河…… 黒き薔薇が咲く園、楔になった磔の天使、燃える巨樹、天使を奉じる里…… 詩人の詩が終わり、雑踏の気配が戻る。 どうやら極度の集中状態にあったようだ。 幾百もの景色を旅し、何時間も詩を聞いていたような気がしたが、さして時間は経っていない様だった。 「――素晴らしい、君は全ての世界を見たのだね?」 「うん!」 「では、最後に古の物語を歌おう。  忘れられし王国を、失いし天と地を  かつて世界には太陽と呼ばれるものがあった。」 「太陽?」 そう言って、少年は空を指差す。 そこには、焼け付けるような光を放つ光の帯、このゲヘナでの昼を作りだす光源があった。 「いや、あれは光帯だ。太陽は、そう、光の点のようなものだ」 「点?」 「そうだ、地上には眩く光る太陽があった――」 詩人が紡ぐ言葉に耳を傾ける少年ソルーシュ。 「――『地上』について、私からは何も言うことができない。  だが、少年――」 吟遊詩人が両手を広げ、言葉を続ける。 「――真実は、全てはそこにある。  君がそこにたどり着いた時、白夜の果てに世界は君と一つになるだろう。  そして、新たな詩が紡がれるだろう――」 何を言われているのかは良くわからなかった。 だが、詩人の詩は、言葉はとても印象強く少年の心に刻まれた。 ふいにさっきまで遊んでいた子供たちから声をかけられる。 「ソルーシュー??何処行ったー?」 「ん? あ、こっちだ!」 ソルーシュは子供たちの方に手を挙げた。 「今、この人の……」 子供たちに吟遊詩人の事を言おうと振り返ると、そこには誰もいなかった。 はじめからそこには誰もいなかったかのように。 ***Opening 3 6years ago 起伏に富んだ地形、豊かな緑。白く美しい神殿を抱く小さな集落。 神殿の中には美しい花が咲き乱れ、その中で一人の少女が花飾りを作って遊んでいる。 黒い髪に褐色の肌の少女。白くふわふわとした可愛らしい服を着ている。 そこに1匹の砂鼠が迷い込んできた。どうやら怪我をしているらしい。 少女はそれを見て、その砂鼠に向かってにこりと微笑む。 すると、どうだろうか。 見る間に砂鼠の怪我が癒えていく。 「イシュタル様! またそのようにっ!!」 それを近くにいた侍女に見つかってしまったようだ。 「で、でも怪我をしていたら、治してあげなきゃ」 「そうですが、みだりに力を使ってはならないと……」 「怪我を治すことは悪い事なの?」 「そうではありませんが……」 言葉に詰まる侍女。 「ねぇ、そろそろお勤めの時間じゃない?」 「そうですね。あぁ、そういえばイシュタル様。今日、珍しくキャラバンがこの里に着ましたのよ」 「キャラバン?」 「えぇ、きっと珍しいものを沢山持ってきている事でしょう。今晩にもこちらに着てくれるでしょう」 「それは楽しみね」 夜、宴が催されさまざまな品が出される。全て少女が知らない世界から来たもの。 そんな楽しい夜はすぐに過ぎ、またいつものように長閑で平穏な朝を迎える。 一方、少年はまたいつものように子供たちと遊んでいた。 「神殿は勝手に入っちゃいけないんだよっ!」 だが、そう言われるとますます好奇心が湧いてくる。 この里で一番きれいな建物に入ってみようと、塀を乗り越える事に決めた。 渋る子供たちを駆り立て、踏み台になってもらい自分の身長よりも高かった塀を乗り越える。 が、上ったと思った瞬間バランスを崩して塀の内側へと落っこちてしまった。 「大丈夫かソルーシュ~??」 と、声をかけられたのと同時に、塀の向こうで大人のどなり声がしてくる。 「お前らっ!! 何をしているんだ! ここは入っちゃならんといつも言っているだろう!!」 「うゎぁ~~~~っ」 バタバタと走っていく足音。どうやら一人置いてきぼりになってしまったようだ。 どうしようか。起き上がって辺りをきょろきょろと見渡していると、どうやら外での騒ぎが中にも伝わったらしく、少々あわただしい気配がする。 「ねぇ、あなた大丈夫?」 びくっと少年が驚いて声のした上を見上げると、綺麗な女の子が自分の方を見ている。 見つかった! そう思って逃げようとするが、少女は思いがけない言葉を口にする。 「こっちの部屋、おいでよ」 ---- naw 雑芸術のコンテストで賑わう都市スィフル。多くの人々が集っていた。 ---- 間奏曲=モーツァルト~レクイエム Sanctus 四行詩の1個目はこの歌詞のまま使用。ただの趣味でした。

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