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バゲット作り・ポーリッシュ法 - (2010/01/29 (金) 19:27:09) のソース

バゲット作り・ポーリッシュ法

2009年8月31日 (月)


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「甘くて美味しいフランスパンとバゲット」の記事にコメントくださったHanakoさんへの回答をこちらに。 

コルドンブルーでフランスパンを習うようになってまだ2ヶ月なので、 
今まで習った知識の中からお答えすると(今後また違う理論や製法を習いますので、現時点での知識と実践からお話しすると)、 
バゲットは大きく分けて4種類の作り方がありました。 

一つは天然酵母を使ったバゲット、もう一つは原料をすべて一度に混合してこねて発酵させる方法。発酵生地を混ぜる方法、それに対してポーリッシュ法という、日本語では水種法とか液種法と呼ばれる方法があります。 

全ての材料を混ぜてこねて、一次発酵、ベンチタイム、成形、仕上げ発酵、焼成で出来上がり、という製法は家庭でのパン作りでもおなじみだと思いますし、最近は天然酵母を使ったパン作りをされている方も多いですね。 

これに対して、水分と粉の一部をイーストと合せて軽くこね、一度発酵させてから、残りの粉やそのほかの材料を加えて生地をこね上げる製法がポーリッシュ。 

写真のどろどろしたものが、ポーリッシュ生地です。 
私が習ったポーリッシュ法は、粉全体の1/3量+粉と同量の水+イースト全量をあらかじめ発酵させてから残りの粉に混ぜ込んだ種を作って1次発酵、2次発酵と通常工程を重ねていくやり方です。 
これまでの、発酵生地を混ぜ込む方法よりも弾力が付いて効果的だし、手順も簡単。 

味わいをもっとも重視した製法がポーリッシュ法だと言われています。そして焼成後のもちが良いのが特徴です。焼き上がってからの美味しさが長続きするということ。 

私がコルドンブルーで習ったバゲットは、通常バゲットの材料である粉と水とイースト、塩を混ぜるだけのストレート法で作ったことが一度もありません。 
小麦粉500グラムに対して発酵生地を100グラム加えて作るものが基本です。 

発酵生地は、前日に作ったバゲット生地のことです。 
ポーリッシュ法も発酵生地を使う作り方も、通常のストレート法で作るより、生地の香りや弾力に違いが出て、とっても風味の良いパンが焼き上がります。イーストの量が減らせるし、長時間発酵で小麦の風味が生きて、発酵力が強くなり、生地に艶が出ます。 
発酵生地は冷蔵庫に保管します。冷凍保存も可能です。 

気泡がたくさん入ったバゲットを作るには、イースト量を減らして低温長時間発酵させることがポイントだと思います。今まで学校で作ったバゲットはどれもクラストがすごく香ばしくて美味しく、クラムはしっとり、気泡がたくさん入ったバゲットが焼けました。 

天然酵母の扱いはまだ本格的に習ったことがありませんが、石臼挽きの粉と天然酵母で作ったバゲットが今までで一番美味しいバゲットでした。 

気泡の大きさや入り方は、素人が作る場合、同じレシピで作ってもその都度違うことがありますが、プロがお店で売る商品としてのバゲットを作った場合の気泡について、そのの大きさや入り方で美味しさが左右されるというよりは、単純に製法の違い、ルセットの違いではないかと思います。 
あとは、食べる側の好みでしょうね。 

ハードブレッドを好きな人、本物の味を求めている人、パン作りを学んでいる人は気泡やクープについての知識があるでしょうが、パン屋さんではフランスパン(バゲット)の穴があるとバターやジャムが塗りにくいとクレームをおっしゃるお客様も多いそうですよ。 
確かにスライスしてカナッペなどにする場合、大きな穴だらけですと塗ったりのせたりは大変かもしれませんけれど。 

そういうクレームをつけるお客様は、バゲットのことをフランスパンと呼ぶみたい。 
フランスパン、イコールバゲットなのでしょうね。それか、バゲットではなくバケットと呼ぶ人が多い、というお話をパン屋さんから聞いて、皆で大笑いしたことがあります。 

今までの授業で一番回数を多く作っているのはバゲットなので、 
クラスメイトとはバゲットについて議論する機会が多く、有名なパン屋さんのバゲットを比較したり、クープ(切り込み)や気泡の違いについてよく話すのですが、 
皆一様に、バゲットの気泡は大きく均一でないほうが美味しい、という意見を持っています。 

でも、私たち基礎クラスの生徒は、その気泡をコントロールできるだけの経験と技術がないため、焼き上がったバゲットをカットして切り口を見るまでドッキドキです。 

以前フィリップビゴさんとお話したことがあるのですが、クープは 
工程としても(焼成時生地が膨張する時の抵抗を少なくして、全体が均一によくのびるようにしたり、火通りをよくして、口当たりを軽やかにするためなど必要な工程)、見た目の美しさでも大切だけれど、クープがきれいに出たパンだからといって、、それが必ず美味しいとは限らない、逆にクープがきれいに割れていないからといって美味しくないとも限らないとおっしゃっていました。 


まだ、この配合、この製法で作るとこういうバゲットが焼き上がるという方程式のような結論が出るまで作り込んでいないので、バゲットの気泡について断言できないのですが、パン屋さんに並んでいるバゲットの気泡の違いは、腕の差ではなく製法の違いだと思います。 

Hanakoさんのように小麦の味、香りの違いを感じられるとは、素晴らしいですね。 
私は今の学校に通って、しっかり焼き込んだフランスパンを作って食べて、粉の味の違い、美味しさを実感できるようになりました。 

今回のように改めて製法や配合を見直したり、考える機会を頂くと、自分にとっても復習になり勉強になりました。 
Hanakoさんにはいつも良い刺激を頂き、感謝しております。 

パンはお菓子と違って、シンプルなだけにお天気や環境などにも 
影響されるので、材料の分量、発酵や焼き時間までとても気を遣わなくてはいけませんが、その繊細な部分を調整していく楽しみが魅力でしょうね。 

魅惑のフルーツサンドウィッチにコメントくださったyuu-peaceさん、サンドウィッチを綺麗にカットするコツは、ナイフの扱いです。 

包丁の刃が入る大きさの細長い耐熱性の容器(コップなど)に 
お湯を入れて、カットする前にお湯につけてナイフを温めて、清潔なタオルで水分をしっかり拭いて、すぐにカットします。 
サンドウィッチにナイフを入れるたびに、その作業を繰り返すと断面が綺麗になります。 
ケーキのカットも同じ要領ですよ。お友達との合同お誕生会で綺麗に作れると良いですね♪ 



おいしいもの

[[かなえキッチン : ごはん日記 2009年08月]]