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1日目(初日) - (2009/05/07 (木) 22:22:17) の1つ前との変更点

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幸一「ふあぁぁぁ~~」 幸一「む~昨日は少し本を読みすぎたかな、すげぇ眠い…」 「しっかし、7月なのに随分暑いな~30度は超えてるぞ」 オレの名前は「桜井 幸一」 この道の先にある『泉学園』に通う学生だ 昔と違い現在の7月の平均気温は25度前後と暑い この道を挟んだ泣亜川の向こう岸では 軍の戦闘機が1マイルを目指し飛び立っていく所である 幸一「あ!散香だ、しかもあれはⅡタイプだな…凄え~」 散香マークⅡ… 機動性とトップスピードに優れ空軍が常用している 単体での撃ち合いや集団戦闘にも向いている オールマイティーな機体だ 幸一「あんな機体に何時か乗りたいな…って流石に無理か」 歩き出そうとしたその先に何かが映る 1人の少女がぼんやりと空を見上げていた 幸一「うちの制服着てる、あんな子居たかな…」 すると彼女も視線を感じたのかこっちを振り返る 幸一「わっ…」 綺麗なショートカットで小柄な顔立ち@ 思わず見とれてしまいそうになってしまう\ 幸一「あ、やべっ」 いささか気まずくなり視線をそらして その場から逃げるように去った 学校へ向かいながら考え事をしていた 幸一「あの子も… 散香を見てた…のかな?」 通り去る時も一瞬彼女を見たが その時は幸一を気にせず空を見ていた ********************************************************************* 教室へ着くと時計は8時20分を指していた予鈴まで後5分ほどである 「よう!桜井、今日はギリギリだな、珍しい」 勢い良く声をかけてきたのは同じクラスの「峯岸 俊樹」皆からは通称「トッシー」と呼ばれている 「おはようトッシー、相変わらず朝から元気だな~」 「まぁオレから元気をとっちまったらトッシーじゃないもんな」 峯岸は軽く胸を張ってみると右手でバンと叩き誇らしげな表情を見せた 2人が話しているうちに予鈴が鳴る 「やっば~!早く用意しないと」 幸一は急いで教科書や筆記用具を用意すると机へ強引に押し込んだ しかし予鈴の8時25分を過ぎても一向に担任の教師は来ない 「あれ、おっかしいな。もうとっくに25分過ぎてるぞ」 峯岸は席を立つとドアの向こうを覗きだす 「おいトッシー!止めておけって、五十嵐に見つかったらまた雷が落ちるぞ」 五十嵐とは幸一や峯岸のクラスの担任の教師である 「大丈夫、ちっと職員室覗いて来るぁ」 そう言うとさっと教室を出て行く 「アイツ…この前も同じような事して職員室に呼ばれたくせに」 そうは言いながら幸一も何時までたっても来ない担任を不思議に思っていた 五十嵐と言う教師は真面目で時間にはキッチリと教室に来る人間だ それがもう10分を過ぎようと言うのにまったく来る気配が無いのである しばらくして峯岸が戻ってきた 「おいおい!ビッグニュースだぞ!」 教室に入るなり今にも叫び出しそうな勢いで話し出す 「え、どうしたの?」 クラスの女子たちも気になる様だ 「今職員室に行ったんだがよ、中に外人が居た!」 「外人?マジ?!英語の教師とかじゃなくて?」 クラスメイトが聞き返すが峯岸は首を大きく横に振る 「違うって、あんなにちっこい教師がいるかよ!オレ達と年は同じ位だし」 その言葉に幸一の心は大きく揺れた (ま、まさかあの子…さっき川に居た…) 「とにかくヤベェんだって…」 「何がやばいんだ?峯岸」 峯岸が後ろを振り向くと五十嵐がドアに腕を乗せて立っていた 「せ、先生…おはようございます」 今にも雷が落ちそうな口調で五十嵐が話す 「峯岸、お前さっき職員室を覗いていたろ。そんなに職員室が好きなら休み時間に来い たっぷり説教してやるからな!」 「そんな~」 峯岸は泣きそうな顔をしながら席に着く 「皆、遅くなってすまない。話しは峯岸から聞いただろう」 「先生、転校生ですか?」 女子が五十嵐に質問する 「ああそうだ。今日よりこのクラスに転向してきた「霧島 レン」さんだ」 「レンだって~やっぱり外人なのかな?」 「でも霧島って事はハーフか?」 クラス全体がざわつき出すが五十嵐の一言で治まる 「さっ霧島さんも中に入って」 「…はい」 ドアの向こうから静かな声が聞こえるとゆっくりレンは中に入ってきた (やっぱりあの子だ!泣亜川に居た…転校生だったのか、どうりで見たこと無いと思った) 「凄え!メッチャ可愛いじゃん」 「…やば、マジ綺麗なんだけど…」 またもやクラスがざわめき出す 「コラ!静かにしないか、全員職員室に行きたいのか」 「スイマセン!」 五十嵐は一息つくと説明の続きを始める 「霧島さんはこっちの街に来てから間もない、分からない事も多いだろうからしっかり教えてあげてくれよ」 「はい!任せてください」 峯岸が机から立ち上がり大きく右手を上げた 「分かったから席に着け」 五十嵐は呆れた様子で教卓の上に名簿を置いた 「そうだな、席は…桜井」 「え!?は、はい!」 急に呼ばれたため幸一は少し間の抜けた返事をしてしまった 「今返事をした男子の隣の席に座ってくれ」 (ちょっとまってよ!どうしよう) 確かに隣の席は空席であったが幸一の内心はそれどころではなかった レンは頷くと幸一の方へ歩き出した 「霧島さん良かったら後で学校案内しようか?」 峯岸が間髪入れずにレンに話しかける しかしレンはクビを僅かに横に振り再び席へ歩く 「イエー!トッシー振られてやんの」 「うっせ!アホ!」 レンがゆっくりイスに座り席に着くと五十嵐が幸一に向かって話す 「あ~桜井、霧島さんには教科書がまだ届いていないから届くまで見せてあげてくれないか」 「…はい」 「それじゃ授業を始めるぞ」 そう言うと教科書を出す 「君、さっき泣亜川に居たでしょ?」 教科書を見せながらこそっとレンに話しかける しかしレンは黙って教科書を見つめたままで幸一に答える気は無いみたいだ (コイツ…一体何なんだよ) 幸一は怒りを覚えながらも教科書のページをめくる 次のページの下の方に幸一が描いた飛行機の絵があった (うわっ!やば) 幸一は慌てたが今更急いで消すわけにもいかず顔を真っ赤にしながらも何事も無かったかのように見せた レンの表情を見ると明らかに教科書の内容ではなくその飛行機の絵を見ているのが幸一にも分かった (み、見るなよー!) 心では必死に叫ぶもレンの視線は一向に変わる気配は無かった 幸一の頭が凍りつく、次のページにもその次にも飛行機の絵を描いていたからだ 内心このページで終わってくれと思ったが授業が終わる頃には全部の絵を見られていた ホームルームが終わると何人かのクラスメイトに連れられレンは姿を消す (結局終わっても1言も話さなかったな…一体何を考えてるんだろう) 幸一はカバンを持つと校舎を出てグランドの奥にある裏山に向かった 学校の裏山には使われていない格納庫と僅かな滑走路がある そこに自分の飛行機を置いていた、勿論学校には許可を取っている 放課後は一帯をフライトするのが幸一の楽しみであった 格納庫の扉をゆっくりと開けると中に1台の飛行機がある 「ミラー、今日も頼むよ」 M-16ミラー…今より20年ほど前のタイプで未だドップラー・レーダーも装備していない 動いている目標に電波を当てると、その反射波の周波数が音波と同じく変化する現象をドップラー効果という これを利用して反射波の周波数が変化していれば動いている目標、変化しなければ背景(地上)という識別を行うことが出来る エンジンも旧式で加速までに時間が掛かり操作性も鈍いが強度は硬く空圧に強い、ある意味存在自体がプレミア物なのである これは父が乗っていた機体で幸一も幼少の時からよく同乗させてもらっていた 空を愛していていた父…しかし開発者として過度な仕事に倒れ 再び空を飛ぶ事は無く幸一が中学に上がる頃この世を去った、言わばこのミラーは父の形見だ 機体を撫でながら奥の机に座る 机の周りには色々な機械が山積みになっている いくつかのモニターに目を通しながらフライトスーツの用意をしていた時に扉の方に人影が見えた 「…誰?」 幸一には検討がつかなかった、何故ならココに人はほとんど来ないから 現れたのは金髪の転校生…霧島レンだった 「霧島さん、どうしてココに」 「やっぱり君も飛行機、好きなんだね…」 幸一は驚いた、初めて自分に対してきちんと口を利いてくれたのだから 「うん、でも…君もって言う事は霧島さんも好きなの」 レンは返事をせずにジッとミラーを見つめる その顔はとても真剣で澄んだ眼をしていた、幸一はその顔に1瞬見惚れてしまう (やっぱり可愛い…) 「飛べるの?」 レンの質問に慌てて答える 「もちろん飛べるよ、今はあまり見ない旧型だけど全然元気だし」 幸一がそう答えるとレンは階段を上がりコクピットに向かう 「え!?ちょっとまって!飛ぶ気?!」 「それ以外に何に見える?」 あくまでレンは涼しい顔で坦々と答えた 「ダメだって!コイツは普通じゃないんだから、オートフライトなんて付いてないし、それに…」 まったく聞く耳を持たずに上り続けるレンに駆け足で幸一が近づく 「霧島さん!ここの滑走路は他と比べて短いし風にも癖があるんだ!だからちゃんと見ないと」 幸一が上を見上げた瞬間レンのスカートの中が丸見えになる 「…」 (み、見えちゃった…すげぇ) 自分の心臓がまるで別物の様にバクバクと音を立てているのがよく分かった (バレてないよな…) 背中に寒気が走る レンはコクピットに入ると周りの機材に目を通し本格的にフライトの準備を始めた 「古い機体のわりには随分綺麗…大切に使っているんだ…」 「え?」 この言葉にまた驚く、座って少し見ただけで分かるほどミラーは優しくない 今の機体はオート機能やサーチシステム、レーダーもこのミラーとは全く形が違う 飛行機乗りと言っても全ての機体を自由に動かす事は難しい。特に旧型の機体は操作性が段違いに難しく 乗り手によっては動かし方も分からない者もいるくらいなのだ 最近乗り始めた者や若いパイロットでは乗りこなせない、幸一だって幼少の頃から同乗していなければ まともに乗ることすらままならなかったはずである しかし今乗っているのは自分と同じ年の同級生で、なおかつ女性なのだから 常識ではまずありえない事態だ、放っておけば大事件にもなりかねない 色々考えているうちにレンはエンジンを難なく起動させ右翼左翼の微調整を行いプロペラを回転させる (う、ウソだろ?!こんなのって…) 「良い音…馴染みも早い」 シートに寄りかかるとレンは大きく深呼吸した 「…この感覚」 ブオォォォォと凄い音を立ててミラーの準備が完了し、ゆっくり動き始める 「扉を開けて」 レンが幸一に向かって話す 「ダメだよ!フライトスーツだって着てないのに」 「じゃあこのまま職員室に行って先生に話しても良いんだよ 転向初日にスカートの中覗かれましたってね。どうする?桜井君、ふふっ」 (うっ、しっかりバレてるじゃん!クソー!) 「どうなっても知らないからな!」 幸一は走ってもう片方の扉を急いで開ける 「大丈夫なんだよね?何かあったらもうここに置いておく事はできなくなるから」 「心配無いよ、少し流すだけだから…」 レンは少し笑って見せるとミラーの回転数を一気に上げて加速させた 「グッドラァック!!」 目の前を飛び立つミラーに精一杯の声で幸一は叫んだ 「本当に浮上できるのかな…今日は風の調子も不安定なのに」 心配をよそにミラーは急浮上をし、あっという間に大空へ舞い上がる 「す、凄い…完全に風を読んでる!?」 空を飛ぶ者にとって風を読むという事はとても大事だ、風力に逆らって行動したならば動きは制限され エネルギーの消費も大きい。 どれだけ風を自分の味方につけるか、流れに乗れるかがパイロットの腕の見せ所なのだ しかし、そう簡単に身に付くもではない。豊富な経験と風を読むセンスが求められる 「本当に霧島さんはココで飛ぶのが初めてなのかな?」 幸一が不思議に思うのも無理はない、飛び慣れた自分ですら毎回風の動きや天候の変化など細かくチェックした 上でフライトしている、しかし今飛んでいる彼女は恐らく初めて飛ぶ場所で何の用意もせず、あろうことか フライトスーツを着ないで風を読み飛んだ…旧式の操作すら一般では分からないような機体で 「一体どうなってるんだ?!」 考えれば考えるほど頭の中は混乱してゆく。だがそれは更なる衝撃の前触れに過ぎない事を後になって実感した 綺麗な旋回をするとやがて彼女を乗せたミラーは急上昇を始める 「え…」 幸一は思わず声を出す、今居る高度は大体1400M辺りだ。そこから更に急上昇したらすぐ1800Mを超えてしまう 高度18(6000ft)以上は軍の許可が下りなければ上がってはいけない、そんな誰もが知っている法律を 彼女は知らないんじゃないのか?幸一は慌てて倉庫の横にあるモニターを見つめる 「今の高度は…1460M!?マズイ!本当に超えちゃうよ」 焦る幸一をよそに高度が上がる。 「1690…1733…1771っもう駄目だ!」 次の瞬間ミラーはピタリと空に止まった、見ていた幸一にはあまりにも印象的でしばらく忘れられない光景となる プロペラが止まり機体が傾く、高度は…1796M 「エンジンを切ったのか!?何してるんだよ!」 フライト中にエンジンを切る…それがどれだけ危険な行為か、分かりやすく言うならスキーのジャンパーが飛んだ 瞬間に両足のスキー板を外したのと同じである。もちろんそのまま着地できるはずも無い ニュートンの万有引力に従いミラーは物凄い加速で今度は地上を目指す 「駄目だ、ぶつかる…」 幸一の背筋が凍りつく、見ていられなくなり両目をつぶった (もう終わりだ!!霧島さんは死んじゃう!!) 一瞬で世界が終わるような絶望感が幸一の頭を支配した … … …(アレ?!) 何秒ほど経っただろうか、幸一が予想していた大きな爆発音は聞こえない 恐怖と疑問にかられながらも恐る恐る目を開けて空を見る 「?!」 そこには先程と何も変わらない空、何も変わらない風、そしてゆっくり旋回しながらこっちに向かうミラーの姿があった (何で!何で墜落しなかったんだ!?) 幸一には言葉が見つからなかった…今そこにある現実がまるでスクリーンを見ているように感じた 唖然とする幸一よそにミラーは見事なまでの動きを見せ滑走路に戻ってきた (僕が目をつぶっていたのはおよそ2、3秒…その間に一体何があったんだ) この時幸一は軽いパニックになっていた。 シュゥゥゥゥ!! プロペラの回転が遅くなりミラーは定位置できっちり停止する コックピットからレンが降りてくる姿を幸一はただ呆然と見つめていた 「ありがと…」 レンはミラーのキーを幸一に向かって投げたが焦点の定まっていない彼は取る事ができず顔にぶつけてしまう 「痛ぇ!」 しかしその痛みで幸一は我にかえる事ができた 「あ…ごめん、大丈夫?」 レンが幸一に近づいた瞬間、幸一は思わず一歩後退してしまった 「!!」 レンの眼が少し鋭くなるがしばらくしてゆっくりまぶたを閉じた 幸一はその間何を話して良いか分からなくなっていた 「やっぱり…君も同じなんだね」 レンは振り向くと校舎の方へ戻って行く しかし幸一にはそんな彼女を止める言葉が見つからない 彼女の姿が無くなるまで幸一はじっと見つめていた 片付けを済ませ帰路の最中に幸一はずっとレンの事を考えていた 何もかもが衝撃的だったあの放課後、そして最後の言葉… 「君も同じ…かどういう意味なんだろ」 ふと空を見上げると散香が夕闇の空に輝いていた
幸一「ふあぁぁぁ~~」 幸一「む~昨日は少し本を読みすぎたかな、すげぇ眠い…」 「しっかし、7月なのに随分暑いな~30度は超えてるぞ」 オレの名前は「桜井 幸一」 この道の先にある『泉学園』に通う学生だ 昔と違い現在の7月の平均気温は25度前後と暑い この道を挟んだ泣亜川の向こう岸では 軍の戦闘機が1マイルを目指し飛び立っていく所である 幸一「あ!散香だ、しかもあれはⅡタイプだな…凄え~」 散香マークⅡ… 機動性とトップスピードに優れ空軍が常用している 単体での撃ち合いや集団戦闘にも向いている オールマイティーな機体だ 幸一「あんな機体に何時か乗りたいな…って流石に無理か」 歩き出そうとしたその先に何かが映る 1人の少女がぼんやりと空を見上げていた [[シーン01]] 幸一「うちの制服着てる、あんな子居たかな…」 すると彼女も視線を感じたのかこっちを振り返る 幸一「わっ…」 綺麗なショートカットで小柄な顔立ち@ 思わず見とれてしまいそうになってしまう\ 幸一「あ、やべっ」 いささか気まずくなり視線をそらして その場から逃げるように去った 学校へ向かいながら考え事をしていた 幸一「あの子も… 散香を見てた…のかな?」 通り去る時も一瞬彼女を見たが その時は幸一を気にせず空を見ていた ********************************************************************* 教室へ着くと時計は8時20分を指していた予鈴まで後5分ほどである 「よう!桜井、今日はギリギリだな、珍しい」 勢い良く声をかけてきたのは同じクラスの「峯岸 俊樹」皆からは通称「トッシー」と呼ばれている 「おはようトッシー、相変わらず朝から元気だな~」 「まぁオレから元気をとっちまったらトッシーじゃないもんな」 峯岸は軽く胸を張ってみると右手でバンと叩き誇らしげな表情を見せた 2人が話しているうちに予鈴が鳴る 「やっば~!早く用意しないと」 幸一は急いで教科書や筆記用具を用意すると机へ強引に押し込んだ しかし予鈴の8時25分を過ぎても一向に担任の教師は来ない 「あれ、おっかしいな。もうとっくに25分過ぎてるぞ」 峯岸は席を立つとドアの向こうを覗きだす 「おいトッシー!止めておけって、五十嵐に見つかったらまた雷が落ちるぞ」 五十嵐とは幸一や峯岸のクラスの担任の教師である 「大丈夫、ちっと職員室覗いて来るぁ」 そう言うとさっと教室を出て行く 「アイツ…この前も同じような事して職員室に呼ばれたくせに」 そうは言いながら幸一も何時までたっても来ない担任を不思議に思っていた 五十嵐と言う教師は真面目で時間にはキッチリと教室に来る人間だ それがもう10分を過ぎようと言うのにまったく来る気配が無いのである しばらくして峯岸が戻ってきた 「おいおい!ビッグニュースだぞ!」 教室に入るなり今にも叫び出しそうな勢いで話し出す 「え、どうしたの?」 クラスの女子たちも気になる様だ 「今職員室に行ったんだがよ、中に外人が居た!」 「外人?マジ?!英語の教師とかじゃなくて?」 クラスメイトが聞き返すが峯岸は首を大きく横に振る 「違うって、あんなにちっこい教師がいるかよ!オレ達と年は同じ位だし」 その言葉に幸一の心は大きく揺れた (ま、まさかあの子…さっき川に居た…) 「とにかくヤベェんだって…」 「何がやばいんだ?峯岸」 峯岸が後ろを振り向くと五十嵐がドアに腕を乗せて立っていた 「せ、先生…おはようございます」 今にも雷が落ちそうな口調で五十嵐が話す 「峯岸、お前さっき職員室を覗いていたろ。そんなに職員室が好きなら休み時間に来い たっぷり説教してやるからな!」 「そんな~」 峯岸は泣きそうな顔をしながら席に着く 「皆、遅くなってすまない。話しは峯岸から聞いただろう」 「先生

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