幸一「ん…」
バッ!
幸一「今何時だ!?」
時計を見ると時間は5時20分
幸一「良かった…もう少し寝ようかな」
幸一「・・・」
ここで寝ては最低でもレンの所には間に合わないだろうな
しかし…物凄い眠気だ…
意識に逆らって体は睡眠を取ろうとする
幸一「ぐぐぐ…」
1,2発顔にビンタをしてみる
多少の痛さはあるが神経が起きていないせいもあるのかそれほどの刺激とはならなかった
頑張れ…幸一…
まるでゾンビの様に床を擦りながら下の洗面台へ下りる
バシャバシャ
由紀「あれ、幸ちゃんおはよう」
幸一「…おはよ~」
由紀「まだ寝ていても大丈夫よ」
幸一「いや…ちょっと早く行かなきゃいけないんだ」
由紀「ご飯作ろうか?」
幸一「…いいや、すぐ出るから」
由紀「そう、気をつけてね」
幸一「ああ…」
由紀消える
顔を洗ったせいか意識をはっきりと認識できるようになった
移動 自室
幸一「うし、スケジュール表も持ったな」
忘れ物が無いかどうかの確認をすると家を出た
フェード
移動 道
幸一「ふ~、この時間だと外は気温も低いし風が吹いてて気持いいな」
よく考えてみたらこの時間からバスって走ってるのか?
まぁいいや、とりあえず行こう
フェード
移動 バス内
ガタガタ…
この心地よい揺れが一度目覚めさせた眠気を再び呼び戻す
幸一「何とかバスはあったけど…これは眠くなる…」
フェード
運転手「着きましたよ」
幸一「え?!あ!スイマセン」
バスを降りると病院へ向かう
時間は…7時27分か、まだ1時間近くあるな
ちなみに予鈴は8時30分だ
ここから学校までは今のバスで30分前後で着く
ここも着慣れたもんだな
ガー
病院内にはいると真っ先に藤田さんが見えた
向こうも気がついたらしく軽く手を振るとこっちへ来る
藤田「おはよう幸一君、お迎えかな」
幸一「はい、昨日電話で寝坊するから迎えにきてって」
藤田「あらら~幸一君の家からだとここまで結構時間かかるのにね」
藤田「レンちゃん部屋にいると思うから」
幸一「ありがとうございます」
藤田「もう~幸一君てマメなのね」
幸一「は?」
藤田「良いの良いの、行って」
藤田消える
フェード
移動 レンの部屋
前回はここで開けてあんな事になったんだ、今回はじっくりいこう
コンコン
幸一「レン~おはよう、ちゃんと迎えに来たよ」
アレ…
中からはまったく返事が無く人がいる気配すらしない
幸一「レン?」
呼びなおしてみるがそれでも反応は無い
仕方ない開けてみるか
ガラッ
幸一「おはよ…」
レン「すぅ…すぅ…」
そこにはベッドの上ですやすやと寝息を立てているレンの姿があった
幸一「…寝てるし」
これは起こすべきだろう、いや起こさないとマズイよな時間的に
幸一「レン、起きて」
布団を取ると女の子独特匂いがした
パジャマは白で特に可愛さとかは無い、多分病院の物だろう
幸一「レン!」
レン「ん…ん~」
ゆっくりノビをする、どうやら目覚めたみたいだ
幸一「ねぇもうあんまり時間無いよ」
レン「…ん」
レン「!?」
バッ!
幸一「おわっ!」
レン「何で幸一が居るの!?」
幸一「だってレンが言ったんじゃないか、迎えに来いって」
レン「…そうだっけ」
どうやら自分が言った記憶は無いのか…
だとするとオレがここに居るのは予想外だよな
レン「…変なことしなかったよね」
幸一「し、してないって!それより時間…ほら」
時計は7時48分を指していた
レン「!?」
幸一「だから…」
バシッ!
幸一「ぐあ!」
物凄いスピードで枕が顔面を直撃する
レン「外にいてよ、着替えられないでしょ」
幸一「ご、ごめん」
はうようにして外のイスに座った
幸一「痛って~、オレ朝からボッコボコだな」
藤田「やっほ~」
幸一「藤田さん聞いてくださいよ~」
藤田「どうしたの」
幸一「レンの奴寝てたんですよ」
藤田「あれ、さっき起こしたのになぁ」
幸一「てことは二度寝か…なんて羨ましい」
藤田「ふふっ頑張ってね幸一君」
そう笑顔で微笑む藤田さんはまさに白き天使と呼べるほど綺麗だった
幸一「藤田さん…あの」
藤田「何~?」
幸一「質問しても良いですか」
藤田「レンちゃんの事?」
幸一「いえ…藤田さんのことです」
藤田「私?何だろう、別にいいよ」
幸一「答えにくかったら良いですけど」
幸一「藤田さんて彼氏とか…いるんですか?」
藤田「え?!わ、私?」
幸一「朝からスイマセン…何となく気になったので」
まったくオレは何て答えにくい質問を朝っぱらからしてるんだよ
藤田「…幸一君はどっちだと思う」
幸一「え~と…分かんないですけど、もしいるなら羨ましいなって」
幸一「藤田さんて綺麗だし明るいし優しいし、なんに対しても前向きそうで…」
藤田「やだ~それ褒めすぎだよ、嬉しいけど」
藤田「彼氏はいないよ、幸一君なってくれるの?」
幸一「い、いや…その」
藤田「あははウソウソ、ついからかっちゃった」
幸一「…」
藤田「でもその言葉を言う相手はちょっと違うんじゃないかな~」
幸一「え…」
藤田「私、これから回らなきゃいけないから」
幸一「はい、頑張ってください」
藤田「ありがとね、ちなみにレンちゃんはここを7時55分のバスに乗ってるよ」
手を振ると藤田さんは奥に消えていった
7時55分か…ってもう7時53分じゃないか?!
幸一「レン!まだ?」
レン「黙って待て」
幸一「…はい」
まいったな~遅刻しちゃうよ
ガラッ
レン「…お待たせ」
幸一「急ごう!もう8時過ぎちゃってるから」
レン「8時4分のバスに乗ればギリギリ間に合うから大丈夫」
レンは小さなあくびをしながらバス停に歩く
フェード
プシュ~
レン「間に合った…」
幸一「う、うん」
聖華病院から泉学園までは1本で通っているため何処かで遅れる心配はない
プシュ~
バスは学校へ向かいゆっくり動く
幸一「眠い?」
レン「…うん」
レン「着いたら起こして」
幸一「え?!ずるいよ、オレだって眠いのに」
まるで聞く耳を持たずレンはオレにもたれかかる
幸一「あ…」
数分と経たずしてレンから寝息が聞こえる
正直ドキドキしてまるで眠気は吹き飛んでしまった
シャンプーの匂いなのかな、甘い香りが鼻に入る
出会って結構になるがこれほど近くで彼女を見るのは初めてだ
綺麗な金髪、整った顔立ち、甘い吐息…
自分の腕に微かに当たる胸の感触に神経を集中させる
…気になる
す、少し位触ってもバレないよな…
寝てるんだもんな、無防備すぎるよ…大丈夫…
レンの胸へ手が伸びる
…何考えてるんだ!
自分の事ばっかり、もしここで手を出して彼女の心を傷つけてみろ
トッシーの言ったとおりレンにはオレしかいないんだ
信頼してるからこそ、これだけ無防備になるんだ
一度出した手を止める
そう決意するとさっきまでの気持がスッっと引いていく
幸一「…ごめんね、レン」
そうなんだ…オレがこんなに浮ついちゃ駄目だ
フェード
移動 教室
幸一「何とか間に合った」
峯岸「おっは~って今日は2人で登校か」
レン「…さっき下で会っただけ」
峯岸「ふ~ん」
キンコンカンコン
予鈴だ…本当にギリギリだったけど
フェード
授業中
ふぁ~マジで眠い
何気なく横を見るとレンは完全に寝ていた
幸一(レン…起きろよ)
レン(すぅ…すぅ…)
ウトウト状態のレンをゆする
黒板に書いていた先生がこちらに気がつきそうだ
このままだと寝てるのがバレちゃう
レンを守るんだ
どうしよう!?どうしたらいい
幸一「スイマセン!ちょっとトイレに行ってもいいですか!」
レン「…!?」
先生「お…おお、早く行って来い」
峯岸「何だよ大声出して、そんなに漏れそうなのか?」
生徒「ははは」
クソー恥ずかしすぎるぜ
皆には笑われたがレンが目覚めてる事を確認するとドアを開け教室をでる
さて…別に行きたい訳じゃないからな…適当に時間潰すか
1分ほどして戻るとまわりからクスクスと笑われながら席に着き授業を受ける
レン(…ねぇ)
幸一(何?)
レン(もしかして…助けてくれたの?)
幸一(…別に)
何で素直に「うん」って言わないんだよ…変な所で格好つけるなオレ…
レン(そっか…)
それっきりオレ達は会話をしなかった
フェード
放課後 教室
幸一「ふ~終わった…」
これから楽しい会議だというのに眠気がまったくとれない