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    <title>メニュー</title>
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[[結局恋だったから]]    </description>
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    <title>2014/03/25</title>
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    <description>
      「有罪！」

法廷内に判決が響き渡ると、勝利した担当検事の狩魔冥は、無表情で法廷を去った。
アメリカが主戦場の彼女だが、今はここ日本に籍を置き、無敗記録を欲しいままにしていた。
成歩堂龍一弁護士との一連の法廷では、彼女も苦々しい想いをしたが、その経験が彼女を変え、更に強いものとした。

「狩魔検事！おめでとうッス！すごいッスね！」

検事局に戻ると、やたら大声で労う刑事に目もくれず、当然だと言わんばかりの態度で執務室に戻ってしまう。
彼女の予定は詰まっている。一つの法廷が終わったからと言って、一息つく暇などないのだ。

興奮していた刑事は、がっくりと項垂れ、とぼとぼと検事局を後にしようとした。
偶然、入口で刑事が最も信頼し、忠誠を誓う検事と遭遇した。
主席検事、御剣怜侍だ。

「みっ、御剣検事！狩魔検事、勝利ッス！」
「うム、そうか。良かった。」

御剣も興奮することなく、淡々と刑事の報告を聞き、自室へ向かった。

途中、冥の執務室に寄ってドアをノックしたものの、忙しいからと入室すら許されず、しかしこのようなことは茶飯事なので、気にも止めなかった。

刑事に、冥の異変を報告されるまではーー。

その日も冥は勝利した。実に鮮やかな裁判だったという。彼女の放つ優雅で尊大な空気が法廷内を支配したのだろう。彼女はいつもどおりの笑みを浮かべ、両手を広げて彼女特有のお辞儀をした。

その時に、傍聴していた例の刑事が違和感を覚え、御剣の執務室に向かった。

「メイがおかしい？」

「そッス！！何がと聞かれてもうまく説明できないんスけど、今日は鞭を持っていなかったっス！一度も振るってないッス！」

「……それは単に、鞭を使うほどでもなかったのではないか？現に、とてもスピーディーな裁判だったと聞いている。」

「そうかもしれないッス！でも、あと、あの、痩せたような気がしたッス！」

刑事の話によると、両手を広げた際に、「なんとなく」顔も上半身もほっそりしたように見えたそうだ。
狩魔検事は、もともと細身であるから、錯覚かもしれないけれど、と付け加えていた。

「ふム、わかった。確かに最近ハードのようだし、話してみよう。」

そう刑事に伝え、自分の仕事を済ますと、冥の執務室に向かった。向かいながら、仕事の虫のような、ここ最近の冥のことや、そもそもどうして日本に残ったのかなど、異変に関係しそうな節を思い浮かべた。

「メイ、私だ。話がある。入っても良いだろうか？」

ノックをして、続けてそう告げたが、反応がない。スケジュールも確認し、在室のはずだ。仮眠でも取っているのかと思い、諦めて立ち去ろうとした。
その時、

ドサッ！！ガシャン！！

何かが落ちた音、そして割れた音がした。しかし部屋主の声は聴こえてこない。御剣はドアを激しく叩いた。

「メイ！？どうした！？メイ！！」

ロックされていて開かないドアの向こうで何があったのか。御剣は急いでマスターキーを求めて走った。冷静沈着な御剣の珍しい慌てように、人が自然と集まってしまったが、構ってはいられず性急にドアを開けた。

そこには、割れたグラスの破片が散乱し、すぐそばに冥が倒れていた。御剣は駆け寄り、冥の肩を抱き起こした。

「メイ！！」

目を閉じて微かに息をする冥の顔は蒼白で、人形のようだった。御剣は、抱き起こしたその身体の軽さに驚愕していた。

「だっ、誰か救急車を呼べ！！」

ドアの向こうのギャラリーにそう叫び、誰かが「すぐに！」と応答したのを確認すると、御剣は冥を抱き上げてソファに横たえた。やはり、あまりに軽い。まるで、そう、冥が少女だったあの頃のようだ。

救急車はすぐに到着し、御剣は同乗した。そして病院に運ばれると、冥は睡眠薬の飲み過ぎだと診断されたのだった。

途中、ひどく頼りない様子ではあったが、冥は意識を取り戻して、自分の現状に驚いた。そして苦渋の表情を浮かべ、一晩は入院することに同意した。御剣は付き添いを買って出たが、冥は全力で拒んだ。

「あなたに、、、迷惑はかけられないわ。」

こんな時に強がりもないだろうと、御剣も憤りながら食い下がったが、冥も譲らず、これでは休めない、ご家族でないのであればと看護師に退室を促され、渋々帰路に着いたのだった。

翌日、冥は退院が許されたものの、しばらくは静養するようにと念を押された。検事局に連絡を入れると、昨日自分が倒れたのはたいそうな騒ぎであったことを知らされ、こちらでも休むよう促された。
悔しさが込み上げて来たが、致し方なく休養することを何とか受け入れ、病院のエントランスへ向かった。

そこには御剣が腕を組んで、怪訝な顔つきで待っていた。冥の眉間にも皺がよる。

「何かしら？御剣怜侍。」

「送っていく。異議は認めない。」

「必要ないわ。昨日は悪かったわ。もう大丈夫だけれど、医師にも検事局にも休めと言われて、素直に従うわよ。」

「では尚更だ。」

続けて何か言いそうな冥を遮って、強引に手荷物を奪い、駐車場へ向かってしまった。今の冥には、奪い返す力もなく、さっさと先を行く背中に小言を浴びせながら着いて行くほかなかった。

「心配してくれている割には、優しくないのではなくて？」

観念して助手席に座り、文句をつけた。

「こうでもしないと、キミは言うことを聞くまい。」

冥の方を向くでもなく、前を見据えたまま応えるその声には怒りが混じっているように感じて、冥は押し黙った。そのまま会話することなく、車は冥のマンションへ向かった。

「…ありがとう。ここで良いわ。」

マンションの地下駐車場に車が止められ、冥が降りようとすると、手首を掴まれた。

「…こんなに細く…。メイ、何があった？何故睡眠薬など…。」

冥はすぐに手首から御剣の手を払って、至極落ち着いた調子で言った。

「忙しかったからよ。この国の検事は無能ばかり。私が身をもって本物の検事の仕事ぶりを見せてあげたのよ。でも身体に無理していたのね、反省したわ。薬も、短時間で熟睡できるようにと思ったけど、確かに誤解されるわね。」

最もらしいことを、最もらしい顔で淀みなく話す。反省などと、彼女らしくもない一節まで織り込んで、神妙ささえ演出する。
しかし御剣は騙されない。

「私に嘘が通じるとでも？」

「あら、何が嘘なのかしら？」

「何もかもだ。身体に無理をしていたのは確かだろうが、私が訊いているのは、その理由だ。キミが無能な連中のために一肌脱ぐなどあり得ないだろう。それに、やけに詰まった予定を好んで組んでいただろう。」

昨日、付き添うこともできず病院を追い出された御剣は、検事局に戻り、最近の冥の動向を調べた。
傷害や殺人といった重犯罪ばかり、しかも日程も拮抗したものを自ら志願していた。極力、他の検事や刑事、事務官に頼らず、ほとんどを自力でこなしていたという。
これ以上にない、明白で完璧な証拠とロジック。溜め息さえもれるような、彼女の「仕事ぶり」であった。
                 
「…メイ、キミを何年見てきたと思ってる。そんな嘘、見抜けないわけが、」

ないー、そう言い終える前に冥が逆上した。険しい目付きで御
剣を睨み、大声をあげた。



「私を見てきた、ですって！？勝手にいなくなったり、置いていったりしたのは誰かしら！？私の何を知っていると言うのよ！！」

一気に捲し立てられた内容は、御剣にとって耳が痛いところで、思わず硬直した。

「あなたなんかにっ、私のっ…」

言いきれずに、冥はグラリと頭を垂れた。
思わず伸びた、御剣の腕が支える。

「メイ！！大丈夫か！」

しまった、無理をさせたと後悔しても遅く、冥は苦しげな表情で、肩で息をし、それでも御剣を睨んだ。真っ青な顔とは裏腹に、その眼差しは涙を含んで紅く染まっていた。

「…はな…して。もう、、やすみたい、わ。」

そこまで絞るように言って、冥は目を閉じた。涙が一筋、頬を伝った。
意識を失ったわけではなかったが、気力が尽きたのだろう。御剣は、冥の呼吸が少し整うのを待ってから、暗証番号には予測がついたのでオートロックを開け、彼女を抱えあげ、彼女の部屋に向かった。

1歩部屋に入ると、その乱雑さに絶句した。潔癖で整頓の類いが得意な彼女の部屋とは思えない。床に散らばる書類を踏まないようにしながら、寝室に冥を運んで、皺だらけのシーツに彼女を横たえる。
冥は抵抗することもなく、そのまま寝入ってしまったようだ。

それにしても何だこの部屋は。床の書類を拾い上げながら、リビングへ戻り、ローテーブルに書類を置いた。何気なく書類に目を落とすと、飛び込んできた文字に思わず目を疑った。

「殺人検事」

誹謗中傷のファックスだった。慌てて他の書類も見てみると、冥に対する、陰湿極まりない内容ばかり、脅迫とも取れるものもあった。それは、彼女の父親ーー伝説の検事であり、殺人犯ーーに起因したものだとわかった。

中には御剣の名が入ったものもあった。御剣に近づくな、彼に償え、彼によって粛清されろといった内容だ。
冥の父によって殺された、御剣の父と、孤児となった御剣自身を慮ってのことか。

余計なお世話だと呟いて、冥の謎の行動と、この誹謗中傷。このロジックを頭の中で組み立てる。

ーきっと、メイはー

真っ向から戦おうと思ったのだろう。
批判の矢面に立って、堂々と自分のやるべきことをただひたすら遂行する。
あえて重い事件を選び、姑息な手段は使わずとも、狩魔の教えは通用することを証明する。
アメリカでも彼女への風当たりは厳しいが、彼女が残してきた実績は、同僚達からの信頼を厚くしており、日本よりは彼女を守ってくれる環境にある。しかしそれは選ばず、日本で心身に傷を追ってでも戦う。
それが、贖罪。

ロジックが完成し、落ち着いた御剣は、部屋を少しだけ整え、また冥の寝室に向かった。
冥は幼少の頃のように、膝を折って丸くなって寝ていた。小ささに、あぁまだ少女だったなと思い出す。

ベッドに腰掛け、冥を見下ろし、そっと髪を鋤いてやると、冥が「パパ…」と呟いた。
複雑な感情が沸き上がり、この娘も、また独りなのだと思った。

(ご家族でもないのであれば、お引き取り頂いて…)

昨日の看護師の言葉が蘇った。そんなことを言っても、この娘に、すぐ駆け寄ってくれる家族などいないのだ。

「私もだ…。」

そう思った時には声になっていた。眼下の冥は起きたようだった。

「…レイジ…？」

「すまない、起こしてしまったか。悪いが勝手に入室した。」

寝入る前のやりとりを思い出したのか、冥の表情が曇ったが、すぐにふうっと息をついて、上体を起こした。

「…汚い部屋でしょう。」

完璧でない自分の醜態をさらし、開き直ったのか、諦めたのか、冥は穏やかな口調で言った。憂いがこもった声だった。

「いろいろ見てしまったようね。」

中傷の文書、嫌がらせを受けていた事実を御剣が気づかないはずもない。

「あなたの、ご想像のとおりよ。」

そして、ふっと笑い、細くなった手首をさすった。すると、黙って聞いていた御剣の手がのび、掴んだ。
冥に緊張が走った。

「メイ…、家族に、ならないか？」

「は？」

冥は目をしばかせ、心から意味がわからないという顔をした。よく聞き取れなかったのだろうと思った。
しかし、御剣は大真面目だった。

「キミを独りにはさせない。こんな目に遭わせない。」

強く言い切った言葉は聞き間違いようもなかった。ごくりと、冥の喉が鳴った。御剣は続ける。

「キミは以前、私がキミを置いていくと言っていたが、私はあの日以来、キミを置いていったりするものかと誓った。」

あの日ー。
成歩堂龍一に敗れ、帰国の途に着いた空港。そこで見た、狩魔冥の真の姿。御剣にとってはそれこそよく知る、メイという少女の姿だった。

「しかし、私と距離を置こうとしているのはキミではないか？」

冥が日本で法廷に立つと決まって以降、何かと気にかけてきた。しかし、冥は何もかも自分でやろうとし、余計な事するなと言わんばかりであった。
強がりや照れ隠しではない、その強い拒絶にお手上げだった。

「…あなたに、迷惑はかけられないのよ。わかるでしょう。もう昔のように、それこそ家族には戻れないわ。」

「違うぞ、メイ。誰が家族に&quot;戻る&quot;などと言ったのだ。確かに我々は家族同然で過ごしたこともあったが、あくまで兄弟弟子だ。私が言ったのは家族に&quot;ならないか&quot;だ。」

「…あなたの家族を奪った私と？」

その言葉を飲み込むかのように御剣が叫んだ。

「キミをそんな風に思ったことなど一度もない！！真実を知ってからもだ！！第一、キミが奪ったのではない！！」

あまりの形相と剣幕に、冥は震えた。御剣は怒りを露にした。自分も、中傷するような輩と同列に思われたのなら心外にも程がある。

「見くびるな、狩魔冥。……私はキミを守りたいだけだ。」

少しの間の後の言葉は穏やかだった。冥は反らしがちだった視線を御剣に合わせた。そこには精悍な、そして優しい、冥がずっと求めてきた顔があった。

「…わっわたしはっ…」

今にも泣き出しそうな冥は、それをこらえるように肩を震わせている。御剣は冥の手首から手を離し、今度は抱き寄せた。

「メイ、言っただろう。キミのことはずっと見てきた。何もかも、すべて、引っくるめて受け止めたいのだ。だから、キミの心配など不要なのだよ。」

「…っ。レ、イジっ、、私、わたし、」

そして堰を切ったかのように、冥が大声で泣き出した。これが、この過酷な運命を歩む少女の真の姿だ。小さくてか弱い、普通の少女。

「すまなかった、異変に気づいてやれなかった。もう、もう大丈夫だ。」

御剣は、泣きじゃくる冥の背中をさすりながら、昔を思い出していた。人一倍負けず嫌いの少女は、打たれ弱く、泣き虫で、甘えたくても不器用で。でも御剣はすべてを見抜いて、彼女の気が良いように受け入れてきた。きっと、この少女には、素をさらけ出せる場所がない。自分はその場所になり得る、唯一の存在かもしれない。

冥の泣き声が次第に治まり、少し落ち着いた頃、御剣は再び訊いた。今度は囁くように。

「メイ、私と家族にならないか？」

御剣の胸の中で鼻をすすった冥は、しばらく押し黙り、そして俯いたまま呟いた。

「…ねぇ、それさっきも思ったのだけれど、どういう事なの？…あなた、私を養女にでもするつもりなの…？」

想定外の言葉に、御剣は白目を剥いた。冥を抱いていた腕も思わず離れる。それに驚いて、冥が顔をあげた。

「…レイジ？」

心配そうに見つめてくる冥が視界に入り、御剣は気を取り直した。そして、咳払いをひとつして、目の前の無防備な、油断だらけの小さな唇に、自分のそれを落とした。
はじめ触れるように。すぐに押し付けるように。

冥は驚きのあまり抵抗もせず、指先まで硬直させた。一瞬の出来事が永く感じられたかと思うと、自分から離れていった御剣の唇が言った。

「…こういう事だ。」

冥は金縛りにあったかのよう動かない。白い顔に朱色が差したかと思うと、勢いよく御剣の胸に顔を押し付け表情が見えぬようきつく抱きついてきた。

「…レイジ、もしかして、私を…好きなの？」

狩魔冥とは思えない、少女漫画かのような幼い台詞に、御剣は愛しさを覚えた。思わず口角が上がり、でも、笑われていると知ったら少女が憤慨するだろうと思い、気づかれぬように返事をした。

「ああ、メイ、キミのことが好きだ。」

それを聞いた冥は顔をあげて真っ直ぐ御剣を見つめ、今度は腕を首に絡めるように抱きついた。

「レイジっ！」

御剣はようやく胸をなでおろし、自分にしがみつく少女の気が済むまで、ずっと抱き締めていた。

「…じっくり休養をとって、身体の回復に努めるのだぞ。」

(こんなに細くては抱き心地が良くないからな)

邪な気持ちは言葉にせず、飲み込んで微笑んだ。

その日から、冥はしばらく休養し、心身のリフレッシュに専念した。不在になって、いかに冥に依存していたかを痛感した検事局では、次第に冥への嫌がらせはなくなっていった。休暇中の仕事のフォローは御剣が率先した。

後日、顔色も良く、本来の抜群のプロポーションを取り戻した冥が検事局に出勤すると、そこにはバラの花束を抱えた御剣と、例の刑事のほか、多くの同僚が笑顔で待っていた。おかえりなさい、と言う声を聞きながら、御剣から花束を受け取った冥の指には、美しい指輪が輝いていた。     

(おわり)      </description>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/136.html">
    <title>2014/02/09</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/136.html</link>
    <description>
      　私とメイは恋人同士になったが、お互いの仕事ですれ違う生活が続き、恋人らしいことはなにもせず、いつもと変わらぬ生活を送っていた。
　それからしばらく。
　偶然私のアメリカ出張が、メイの家に近いところであった。そのことを伝えたら、うちに泊まればいいと、メイは言った。
　それがどういう意味か、彼女はわかっているのだろうか？
　空港から直接仕事場に行き、終わらせてメイにメールをする。
　自分は家にいるから好きなときに来ればいいという、彼女らしい簡素な返事が妙におかしくて、彼女の家に向かうタクシーの中でニヤニヤしてしまったかもしれない。
　チャイムを押してしばらく待つと、メイが扉を開いた。
　空気が流れて、美味しそうな匂いがあたりに漂う。不覚にも腹がなった。メイがふきだし、子供のように笑う。
　他人がいる場では見ることができない、私の好きな顔だ。
「そういえば食事をするのを忘れていた」
「そうだと思っていたわ」
　姉弟子は弟弟子のことをなんでも知っているようだ。
　食卓にはビーフシチューとパンとサラダが並んでいる。
「メイが作ったのか」
「あら、あなたも私が料理のできない冷徹女だと思っているの？」
　誰かにそう評されたのだろう、とげのある言葉をすぐに否定した。
　彼女の母親も姉もとても料理の上手な人だったし、人一倍負けず嫌いの彼女が脱落することもないだろうから。
　料理に舌鼓をうちながら、他愛もない近況を話す。
　お互い扱っている事件のことは、もちろん話すわけにはいかないので、自然と日本にいる共通の友人の話題になる。
　綾里姉妹や美雲くんの話になると、メイは優しげに目を細める。
　その表情も、私は好きだった。
　食事が終わり、食器を片付けるのを手伝おうとしたら、割られたら困るからという理由で断られた。
　代わりにシャワーをすすめられて、言われたとおりにする。
　彼女らしい、綺麗なバスルーム。花の香りがするシャンプーやボディソープに少々抵抗を覚えたが、使わないわけにはいかない。
　バスルームから出ると、メイはリビングでテレビを見ていた。すでにパジャマに着替えていて、聞けば私が来る前にシャワーは済ませていたのだという。
　テレビに流れていたのはニュースで、今は全米各地の大きな事件を淡々と流している。事故、傷害、交通情報――アナウンサーは綺麗な発音で、内容はききとりやすかった。
　隣に座るとメイがよりかかってくる。いい匂いがした。
「メイ」
　肩に手を回し、反対の手であごを持ち上げてくちづける。
　唇が触れたとたんメイの体が震えたが、抵抗はされなかった。
　私を泊めるということがどういうことか、わかっていたらしい。少し安心した。
　そう思いながらゆっくり、徐々に深くしていくと、自然と押し倒す形になる。
　彼女の表情を伺うと、頬をわずかに上気させて、少し困った顔をしていた。
　その表情がいとおしくて、再びくちづける。
　服越しに体にふれると、緊張しているのか、力が入っていて固まっていた。
　暖めるように触れていくと、少しずつ力が抜けていく。
　驚かせないように服の中に手を入れたつもりだったが、メイの体がびくりと反応して、わずかに浮いた。そして少しあわてたように私の胸板を押す。
「どうした？」
「あの、私…どうしていいのかわからなくて」
　そむけた顔は真っ赤で、声は消え入りそうで。
　安心させたくて、頬に、額に、まぶたにキスを落とす。
　そのまま抱きかかえて、ベッドに連れて行き、横たわらせた。
　そして彼女のパジャマのボタンをはずして、はだけさせる。
　紅色の下着が、白い肌に映えてまぶしい。
　何か問いたげな、そして恥ずかしげな彼女の唇をふさぐ。
　首と、肩と腕をそっと指でなぞり、最後に手をつなぐ。
　メイは握り返してきた。
「どう感じたのか、教えてくれればいい」
「……？」
「くすぐったいとか、ゾクゾクするとか」
　そういってつないでいない手でメイの体に触れた。
　丹念に触れていくと、メイが教えたとおりに感想を口にする。
　ゾクゾクする、といわれた部分を重点的に触れると、だんだんと嬌声が漏れ出す。
　そろそろ頃合だろうか。
　上の下着をはずすと、白い乳房がこぼれだす。
　先端はすでにとがっており、彼女が『感じて』いたことがよくわかった。
　二、三度やわらかさを確かめるためにもんで、そして先端にそっと触れる。
「あぁっ！」
　メイの腰が浮く。
　人差し指で何度もこすると、たまらない声でメイが啼いた。
「気持ちいいのか？」
「わか…わからな……あ…んっ！」
　我慢できなくなり、舐めあげるとメイの声が高くなる。
　この声を聞きたかった。
　しばらく胸の感触を楽しんだ後に解放すると、すっかり惚けた顔をしたメイがいる。
　息が荒く、目じりには涙が浮いている。
　どうしようもなくいとしい。
「今のが気持ちいい、だ」
　教えてキスをすると、メイがおずおずと舌を絡めてきた。
　彼女の足を開かせて、体を割り込ませる。
　太ももから腰へなであげて、肝心の部分へ手を下ろすと、下着越しでもわかるくらいたっぷりとぬれていた。
「んんっ」
　触れた瞬間、メイが顔をそらそうとしたが、逃がさなかった。
　やわらかくて熱いところをすりあげる。
　足が閉じようとしたが、私の体があって無理だった。
　下着をずらして直接触れる。
　せめて唇は解放してやろうと顔を離すと、メイはとたんに顔をそむけた。
「あっ…ああっ、レイジ、そこは…っ！」
「気持ちいい？」
　とがり始めた部分をやさしくはじくと、こぷりと愛液があふれた。
　私の指には充分からみついていて、まず一本、彼女の中に入れる。
「んっ！」
　むろん初めての彼女を乱暴に扱うつもりはない。
　充分にほぐしながら、奥へと入れていく。
　中はたっぷりと愛液に満ちていて、指をわずかに動かすだけであふれていった。
　まぎれもない女の匂い。
　中に入れたい気持ちを押さえつけて、体を下にずらした。
「レイジ…？」
　疑問に思ったのかメイが体を起こそうとしたが、それより前に舌に愛液を絡めさせた。
「ひゃぁ…あっ！」
　なんて甘い声なんだろう。
　とがった実を吸うと、メイの腰がびくびくと震えた。
　中は徐々にほぐれてきて、指を飲み込むようになる。
　指を増やして愛液をかき出すと、みだらな水音が嬌声とともに耳を刺激する。
　入れたい。早く入れたい。
　メイをほぐしてからと我慢しつつ、愛液をすすった。
　指を引き出そうとすると、中にとどまるよう懇願するかのように、きゅうきゅうと絞まった。
　胸の先端をいじるとさらに強く絞まる。
「んっ、気持ち、いい……」
　哀願するかのような彼女の顔に、自制ができなくなる。
　ズボンを下着ごと脱ぎ去って、彼女の中心に当てる。
　軽くこすると、簡単に愛液でぬれた。
「やっ、何…？　あつい…あんっ」
　ぐっと当てて離す、というのを繰り返すと、メイがもどかしげに腰をよじる。
「イヤか？」
　メイは首を振って、手を首に絡めてくる。
「お願い……」
　先端を入れると、メイは顔をしかめた。
　圧迫感が強くなる。
「力を抜いてくれ」
　ささやくとわずかに力が緩まったが、抵抗感は残る。
　仕方あるまい。
　メイは痛いとも嫌だとも言わなかった。
　ただ必死に首にしがみつき、体を震わせている。
　いったんの侵入をとめて、彼女が感じていた場所に触れて、くちづけをする。
　しばらくそうしていると、抵抗感が弱まり、力を入れなくても、ゆっくりとではあるがメイが私を受け入れていった。
　繋がっているのを確かめたくて、体を離すと、半分ほど埋まっていた。
　しかし全部は入っていない。
　入れやすくするため、メイの片足を持ち上げる。
　メイの眉がひそまったが、何をされるのか理解したのか、そのままぎゅっと目を閉じた。
　二、三度出し入れをすると、血の混じった愛液が零れ落ちた。
　力を入れると、ぷつり何かがはじけたような感触がしたあと、メイは最奥まで私を導いた。
「ん…くっ…！」
　苦しそうにするメイだが、それでも私を受け入れてくれることが嬉しくて、くちづけを繰り返す。
　メイの中は、とにかく気持ちがよかった。
　腰に快楽の戦慄が走る。
　先端に欲が溜まる。
　動きたいが、大丈夫だろうか。
　メイが私にしがみつく。
「動いて…」
　その彼女のささやきに、私の中にわずかに残っていた理性は消え去った。
　自分がイクためだけに抜き差しを繰りかえす。
　メイの締め付けは心地よくて、出し入れするたびに、快楽の痺れが体中を駆け巡った。
　彼女のやわらかい胸を掴み、唇をむさぼる。
　メイは健気にもそれに応えて、私を拒否する言葉は絶対に言わなかった。
　たまらなくいとおしい。
　そう思った瞬間、欲望が駆け上がってきた。
　最奥に突き刺して、すべてを注ぎ込む。
　終わった証に、ゆっくりと口付けた。
　涙を指をぬぐうと、メイがうっすらと目をあけた。
「気持ちよかった…？」
　消え入りそうな声で、恥ずかしげに問うメイに、ああと答えて抱きしめた。
　息を整えてからシャワーを浴びて、二人でベッドの中でまどろむ。
　なんともいえない、ふわふわとした気分で、それはメイもそうなのだろう、はにかんで私を見る。
　明日はお互い休みだ。明後日には私は帰ってしまう。
「明日は二人でゆっくり過ごそう」
　耳元でささやくと、くすぐったそうにメイは身をよじる。
　抱きしめると、くすくすと笑いながら、腕の中におさまった。
「行きたいところがあるの」
　どこへ行くのか具体的な場所は言わなかったが、私はわかったとうなずいてキスをした。
　メイはバカと小さく呟いて、そしてそのまま目を閉じる。
　今日は二人とも、いい夢が見られるだろう。    </description>
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    <title>トップページ</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/1.html</link>
    <description>
      *御剣と冥にﾊｱﾊｱする＠Wiki

----

ここは２ちゃんねる「御剣と冥にﾊｱﾊｱするスレ」の保管庫です。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。

現在、誰でも新規ページが作成できるようになっています。
スレに投下された作品の保管をしたい場合はご自由にどうぞ。
荒らし行為などが行われた場合は管理人のみの編集にすることも考えています。
荒らしを行った場合は書き込み禁止の処置をとります。

このページは逆転裁判エロパロスレ＠Wikiを参考にして作成しました。


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【逆転裁判】御剣と冥にﾊｱﾊｱするスレ6【逆転検事】
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/pinknanmin/1298472325/

----

不備などがありましたら、書き込んでください。
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- テスト  -- test  (2010-02-01 22:05:07)
- 「2010/4/21」のページを作成した者です。 &amp;br()SSの投稿日時が4/30だったにもかかわらず間違えてページ名を4/21にしてしまいました。 &amp;br()御手数をおかけしますが、ページ名とメニューのリンクを「2010/4/30」に変更していただけないでしょうか。 &amp;br()どうぞよろしくお願いいたします。  -- 管理者様へ  (2010-09-20 21:15:06)
- 一気に腰を前に突き出して挿入した！ｄ(ﾟ∀ﾟ)O http://cwca.mobi/?url=www.youtube.com/?watch?v=ZmHlkoPa  -- MeRoMero  (2011-10-14 16:44:59)
- 2013/11/05～12/29まで３本をWikiに直接投下した者です。どうしてもスレッドへの書き込みができないため、スレッドへの投下、また、Wikiに投下したことをスレでお知らせすることもできないため、勝手に投下しっぱなしです。もし、内容が不適切、あるいはスレッドへの投下でないため違反等ございましたら今後は行いませんのでご指導ください。問題なければ幸いです。  -- 管理人様へ  (2013-12-29 22:02:41)
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    <dc:date>2013-12-29T22:02:41+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/135.html">
    <title>2013/12/29</title>
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      逆転検事2 ED後のお話です。
美雲と弓彦が登場しますがユミクモ要素はありません。

----
キャリーバッグを引きずりながら、検事局の長い廊下を狩魔冥が歩いている。来日は久々だった。

(今日はレイジに顔だけ見せて、ホテルへ向かいましょう。疲れたわ。)

そう考えながら、目的の男がいる執務室へ向かっていた。すると、廊下にしゃがみこむ二つの人影を見つけた。黒髪を一本に結い上げた少女と、ふわふわした髪から妙な癖毛が出てる青年には、見覚えがあった。2人はボソボソと話しをしているようで、廊下の床に釘付けだった。

「…これはマズい予感がします…！」
「何がだよ？はっ！わかったぞ！誰か踏みつけて滑るからか！」
「…バナナじゃないんですよ、一柳さん…。うーん、マズいなぁ…。」

冥は二人の後ろに立っているのに、2人は気づかないようだ。

「何がマズいのかしら？一条美雲？」

突然の声に、二人はバッと振り向き、見上げた先にあった冥の顔に失礼なまでに驚愕した。

「かっ、狩魔さんっ！あれ？帰国は明日じゃなかったんですか？そうですよね、一柳さん！」
「お？おお。明日だよな。えーと、15日って。」
「…それは、向こうの時間よ、一柳弓彦。あなた、時差ってわかる？」

美雲が残念ともやっぱりとも思える複雑な表情をしたが、弓彦の方は「そんなに時間の差があるのかよ！すげえな！」と、時差そのものに驚いていた。その隙に、二人が見つめていたものを覗きこむ。

「何か落ちているの？」
「あっ！ダメ！！」

美雲の声は一足遅く、冥はその落とし物をさっと拾い上げた。白いヒラヒラした布。ちょうど、1メートル先の執務室にいる男のものだと、検事局の人間、あるいは彼と親しい人間なら誰でもわかる。

「何よ。御剣怜侍のクラバットじゃない。証拠品でもあるまいし、何がマズい…」

まじまじと、手にとったそれを見ながら呟いていた冥の言葉が途切れた。美雲は先手が打てず、大ドロボウとしたことが、と悔いていた。

クラバットにはキラキラ光るピンクともオレンジとも言い難い絶妙な色合いの、色素が付着していた。とても美しく、そして艶やかな色だった。

「…これは、くちべ…」
「クレヨン！そうクレヨンですねっ！やだもう誰がクレヨンなんかね、一柳さんでしょもう！」
「は？俺じゃないぞ？」
「…っ！！」

沈黙が少し続いたが、冥はそれを持ったままなに食わぬ顔で言った。

「これは私から彼に返しておくわ。……大事な証拠品のようだし。それじゃあね。」

踵を返してすぐそこのドアをノックした冥の姿を呆然と見た美雲は、隣できょとんとする弓彦を見て、この存在こそマズいとばかり、弓彦の詰襟をつかんで逃げ去った。

---

「入りたまえ。」

部屋の主の許可が出て、冥は颯爽と入室する。検事・御剣怜侍の執務室だ。

「無事に帰国して何よりだ、メイ。そろそろ着く頃かと思っていた。」

デスクに腰かけたまま、穏やかに迎え入れた彼の顔にはうっすら喜びが浮かんでいるようだった。

「空港まで迎えに行きたかったのだが、すまない。疲れただろう？」

冥はツカツカとデスク前まで歩み寄る。

「…やけに饒舌ね、御剣怜侍。」

浮気をしている男はよく喋る。そんな下世話な知識が冥の脳内を支配していた。
機嫌良く迎えた自分とは打って変わって、怪訝そうな冥を、御剣は不可思議に思う。が、彼女が不機嫌なのは慣れっこである。

「機嫌が悪いようだな。」

やれやれ、せっかく久々に逢えたと言うのに、何か気に入らないことでもあったのか。
そう思いながら、腰をあげた。抱き締めて、気分をなだめてーー。
そんな余裕は瞬時に砕かれた。

冥は先程拾った証拠品をつきつけた。疑惑の色が御剣の目の前に来るように。

「素敵な色ね？」

御剣の目に狼狽の色が浮かび上がった。

「どこで…」
「さっき廊下で大ドロボウと泣き虫が見つけたのを没収したのよ。」

ビシィッ！！
御剣の耳のすぐそばを、鞭がほとばしった。彼の背にあるブラインドが激しく揺れて音を立てた。

「ま、待てメイ！！誤解だ！！違うのだ、その口紅は…」

ビシィッ！！
今度はデスク上に鞭が叩きつけられ、羽ペンが舞うように飛んだ。

「やっぱり口紅なのね？…フケツよ、御剣怜侍。見損なったわ。」

御剣と冥、ふたりは恋人同士だが、アメリカと日本という、途方もない遠距離恋愛な上に両者ともエース検事であり、多忙な日々を過ごしている。世間で言う「恋人同士」のような甘い生活は皆無なのだ。それでも、互いを想う気持ちは強く、こうして年に数回しか逢えなくても、いや、逢えないからこそ、その時間を待ち望み、大切にしている。

(そう思っていたのに…！この日をどれだけ待ち望んでいたか…！)

自分が不在の間に、他の女と。
冥はそう思うと、怒りを通り越して哀しくなった。握りしめていた「浮気の証拠品」に、ぽたっと涙の雫が落ちた。

「…許さない、この私を…裏切って…。」

鞭を避けようとデスクの下に隠れていた御剣が、おそるおそる顔を出すと、うつむいて泣いている冥がいた。

「わぁぁっ！泣くな、メイ！違うのだ！誤解だと言っているだろう！聞け！」

慌てて冥の傍に駆け寄り、抱き締めようとするが、手首だけで操られた鞭が床を叩き、それ以上近づけない。

その様子に、諦めたように御剣はデスクに戻り、引き出しを開けて溜め息をついた。そして再び冥の前まで来た。

「メイ、これを。」

御剣は、リボンのついた小さな箱を持っていた。冥がそれを睨み付けたのを確認すると、リボンをほどき、包装紙を取り払う。
冥は黙ってその様子を見ていた。

口紅だった。美しく品のあるディテールのスティック。宝石のように曇りなく輝いて、でもけして主張しすぎない。

御剣はキャップを外し、スティックをくるくる回して、閉じこもっていた中身を出す。

「この色だろう。素敵な色と言ってもらえて安心した。これはキミへの贈り物だからな。」

冥ははっと顔をあげて御剣を見る。目を見開いて、驚いた表情だ。

「久しぶりだからな、何か贈り物を用意したくてな。でも何が良いのかわからなくて。花や装飾品も考えたのだが、以前にも贈ったろう？」

冥はまだ黙ったままだ。言葉が見つからないのだろう。

「百貨店の前を通った時に、この口紅のポスターが目に入ったのだ。とても気高い外見だろう？しかし色はどことなくまだ可愛らしい。キミにぴったりだと思ったのだよ。」

御剣が言うには、衝動的に化粧品売場まで行ったものの、慣れない雰囲気に飲まれ、色を見ている時に誤ってクラバットをなぞってしまったのだと言う。慌ててこすってしまい、変に広がったため、やむなく外してポケットにしまったのが落ちたのだろうと。

冥はバツが悪そうに、目を泳がせたあと口を開いた。

「そっ、それならそうと…」

言ってくれれば、と言おうとしたが訳を聞かずに責め立てたのは自分だと思い直し、しおらしく謝罪した。

「…悪かったわ。ごめんなさい。」

御剣はようやく胸をなでおろし、今度こそ冥を抱き締める。

「いや、うかつなことをしたな。すまなかった。」

胸の中で冥が言う。

「…せっかくのラッピングも台無しね。」

プレゼントを開ける楽しみを失ってしまったのだ。その瞬間の自分と彼の高揚感を想像すると悔やまれた。先程の御剣の動揺も、サプライズするつもりが台無しになったからだと悟った。しかし御剣は気にしない。

「それよりも、ぜひつけてみてくれないか？」

冥は顔を上げ、「でも、」と言った。そうか既に口紅が塗ってあるのだ。そう理解すると、御剣は冥の顔を両手で包み、口づけた。唇をはさむように、舐めなぞっては吸う。舌を侵入させれば、ゆっくりと絡めとる。長く深く何度でもー。

唇を離すと、もう塗られていた口紅の色はなく、互いの唾液で潤っているだけだった。御剣は、チーフでそれを拭うと、スティックを冥に差し出した。すると冥はそれを手に取ることなく言った。

「…塗って？」

冥が甘えた。少し唇を尖らせて差し出すようにした。不器用な男なので不安もあるが、それよりもこの特別な状況を堪能したかった。

御剣は、力加減がわからず、そーっとその先端を唇につける。くすぐったさに冥がふっと笑うがまた直ぐに口を閉じた。
なんとか全体に塗り終え、一度身体を話して少し離れてその姿を見る。

「思った以上に、キミに似合う。」

とても満足そうに、誇らしくそう言い切った御剣は、またデスクに戻り引き出しから手鏡を取り出して冥の前に差し出す。冥が鏡を見ると、輝く唇に喜びが溢れた。

「かわいい。」

冥が思わず呟いて、その言葉にまた嬉しくなる。しかし冥は慌てて訂正する。

「ちっ、違うのよ！色がかわいいって意味よ！」

自惚れたと勘違いされては困るというわけだ。その様子が既にかわいいとは無意識の成せる技なのか。

御剣はまた冥を抱き締めた。

「…逢いたかった、メイ。」

「私もずっと逢いたかった、ありがとう、レイジ。」

素直になった冥がまた愛しくて、つい口づけてしまった。

「やだ、せっかく塗ったのに。」

気づくと、御剣の唇に色移りしていた。光沢もそのままに。冥はおかしくなって笑ったが、それを返してと、今度は冥から口づけた。2人を幸せが包む。

(美雲に、何もマズいことなかったと教えてあげなくちゃね)

そんな事を考えながら、再び目を閉じて彼の唇を待った。

(おしまい)    </description>
    <dc:date>2013-12-29T21:51:32+09:00</dc:date>
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  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/134.html">
    <title>2013/12/09</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/134.html</link>
    <description>
      逆転検事2ED後の話です


再び検事の道を歩むことを決意した御剣怜侍は、執務室で後処理に追われていた。事件解決から2日が経っていた。ほとんど睡眠らしい睡眠もとっていなかったが、使命感は充実感を伴い、集中力を大いに盛り立てていた。

ドアがノックされ、入室を促すと、現れたのは狼士龍捜査官だった。

「邪魔するぜ、検事さん。」

狼もまた、事後処理の最中であったが、一度西鳳民国に帰国するとのことで、合間を縫って挨拶に訪れたと話した。

「…じゃ、またすぐ会うだろうけど、とりあえず。検事さんも無理すんなよ。」

「あぁ、ロウ捜査官も。わざわざすまなかった。」

出ていこうとした時に、思い出したかのように振り向いた狼が話始めた。

「そういや、アネさんはどこへ？」

アネさんとは、狩魔冥検事のことだ。御剣は、寝耳に水という顔をした。

「いや、、、そう言えば一昨日以来見ていないが、彼女は国際警察との調査中だから、、」

「そうか。いや、あのコロシヤと了賢が対峙した時にさ、横でアネさんが見たこともない顔をしてたんだよ。肩を抑えて、震えてるようだった。気になったんだけど、オレはすぐコロシヤを追いかけて出ちまって。戻ったらアネさんの姿はないし、処理に追われてたらつい忘れててな。」

御剣の心臓が冷たく震えた。
同時に顔から血の気が引き、絶句した。

(ーそうだった…！)

「会えたらよろしく伝えといてくれ、じゃあな。」

狼に返事することもなく、御剣は口を抑えて動揺するだけだった。
2年近くは経つが、冥はコロシヤの襲撃に遭い、肩を撃たれていた。目の前に自分を撃った犯人が現れて、どれだけの恐怖や怒りを感じただろうか。
そんな事に気づきもせず、自分の事でいっぱいだった。1人晴れやかな気持ちになっていた。

こうしていても仕方ない。御剣は、すぐに糸鋸刑事に連絡をし、冥の居所を突き止めるよう指示した。しかし、国際警察との調査の場には現れておらず、宿泊先も今朝、出払ったということだった。

「くそっ！！」

空港か、あるいは成歩堂たちを頼ったかもしれない、葉桜院という可能性もある。御剣は考えられる限りの場所を探したが、夕刻になっても一向に冥は見つからなかった。

出国した形跡もなく、途方に暮れようとしていた時に思い出した。

「まさか…？」

御剣は車を走らせた。まさかと思いつつ、確信もあった。道中、御剣はここ数日のこと、そして冥のことを想った。

(事件の資料を入手するため、狩魔検事は相当の無茶をしたっス！！)

そうだ。事件現場を再現できたのも、美雲くんしか犯人と接触していないというヒントを得たのも、冥のおかげだ。

(私を…また、私を置いていくというの！？)

冥の声がこだまする。どんな気持ちで、検事バッジを棄てた自分のために尽力したのだろうか。
どんな気持ちで、犯人を目の前に耐えたのだろうか。私の推理を、事件の解決を邪魔しないように、自分の恐怖を圧し殺していたのか。

冥が襲撃された時の事も思い出した。頭が真っ白になり、失うかもしれないという恐怖に絶望した。

ーそうだ、私はメイを妹のように思って…

そう考え至ると、胸がチクンと痛んだ。

ー妹？いや、何か違う。

目的地に着いた。郊外の、広い庭園のある洋館。そこは日本での狩魔邸であった。主はおらず、貸してもいないが、管理は行き届いており、美しい佇まいを保っていた。
御剣も、この邸宅で暮らしていた時期があった。バカンスなどで、冥が日本に滞在する時は、共に過ごした。

懐かしさを感じながら、玄関の重厚な扉を押すと簡単に開いた。やはり、と思った。冥はきっとここにいる。

長い廊下を走り、冥の部屋の前で止まり、ノックをしたが返事がない。開けると、確かにそこには冥のスーツケースがあった。しかし姿は見えない。

書斎か、主の部屋かと探し回るが見つからない。最悪のことは連想したくなかったが、キッチンやバスルームにもいなかった。
焦る気持ちのまま、自然と自分にあてがわれた部屋を開けた。

冥がいた。


そこは、御剣が使っていた当時のままで、冥はベッドに横たわっていた。かすかに寝息を立てて、眠っていたが、顔には涙の跡があった。

やっと安堵して、冥の横に腰を下ろしてため息をついた。

ーあぁ、無事だ。良かった。

その時、御剣を支配したのは安堵感だけでなく、感じたことのない愛しさだった。

幼い頃、眠れないのと言って部屋を訪れては、ベッドに寝かしてやったこと。その頃と同じあどけない顔、華奢な身体。こみあげる熱い想いに我慢できず、手を伸ばした。

そこで急に睡魔に襲われた。連日の睡眠不足にこの精神的疲労、そして安堵感。
御剣はそのままベッドに倒れ込み、寝入ってしまった。

***

冥が目を醒ますと、隣には仰向けで無防備に眠る弟弟子の姿があった。一瞬、驚いたものの、想定内のような感覚もあった。

探しに来てくれた嬉しさと、子供っぽいことをして迷惑をかけた自己嫌悪とで、胸がざわつく。

ーこんな風だからいつまでも子供扱いされるのね。

溜め息が自然と出て、御剣を見下ろすと涙が滲んだ。
いつまでも素直になれずにいたら、御剣の心を盗まれてしまった。大ドロボウに。
あの娘のためには検事バッジを棄てた。どれほどの想いで検事になったのか、その過程を見てきた冥には、信じられないどころの話ではなかった。

そして、自分の仇が現れたにも関わらず、御剣は忘れているかのようだった。それが一番つらかった。

「バカが、バカゆえに、バカな期待を…」

自分への発言だった。途中で涙が溢れて両手で顔を覆った。指の間から涙がこぼれ落ちる。
すると突然、御剣の両手が伸びて冥を抱き寄せた。冥は半ば叩きつけられるようなかたちで、御剣の胸に顔をうずめた。しかし御剣は動かず、声も発しない。


「…寝ぼけてっ…誰と勘違いして、いるのよっ…！」

自分の発言に傷つきながら、胸を押し返して起き上がろうとするが、また強い力で戻されてしまう。

ー無意識にこんなことしないで！これ以上惨めな思いは嫌！

涙をこらえて抵抗するが、力でかなうはずもない。
突然、頭の上から声がした。

「…勘違いではない。このはねっかえりが。やっとつかまえた。」

冥の顔が急速に紅くなり、身体まで熱を帯びたかのようだった。それを悟られまいと強気な発言をする。
「なっ、何よ！離しなさいよ！！」

「断る。また逃げられては困るからな。」

「別に逃げたわけじゃないわよ！それに探してくれなんて頼んでないわよ！離しなさい！」

「…君が探してくれと頼んだわけではないが、私は君が突然姿を消したら、探すようにできている。」

「はっ、何よそれ！保護者気分？私は姉弟子よ！」

「…うム。そういう感情かと思っていた。…違ったがな。」

御剣の声のトーンが変わり、冥はドキリとして思わず黙った。身体も金縛りにあったかのように動けない。広くて厚い胸板に顔を押し付けたまま、背中で組まれた腕の重みと、聴こえる二つの鼓動に、ひたすら緊張する。

「…先程、勘違いかと言っていたが、勘違いでも人違いでもない。私が今、抱き締めたいと思って離さないのは、狩魔冥、キミだ。」

冥に衝撃が走り、理解が追い付かない。

ーこの男、何を言っているの？

頭の回転が酷く遅い。声が出ない。
硬直していると、御剣が冥を抱き締めたまま上半身を起こし、対面するかたちになった。視線が重なったのは一瞬で、冥はまた御剣に抱き寄せられた。

「すまなかった。キミの仇が目の前にいたというのに、キミを気遣うことができず、しかも再び取り逃がした…っ」

悔しさが、心底滲んだ声だった。抱き締められている腕も強張っている。

「…キミの肩に、傷を負わせたヤツをっ…」
冥の右肩がうずく。冥も身体を強張らせた。涙をこらえているのだ。
何か言わねば、平気だと、心配なんて不要よ、とー。
しかし、言葉は出てこず、代わりに御剣が続ける。

「…メイ、すまなかった。我ながら不甲斐ないが、もう二度と、危険な目にも、不安な目にも遭わせたりしないと約束させてくれ。」

「メイ、キミへの感情は、愛しい気持ちだと気づいたのだ。」

「…な、んですって…？」

やっと声が出た。間抜けな声であったこと、頭が小刻みに震えていることを自覚した。御剣が冥の肩を掴んで押し離す。再び、視線が重なる。

「私も、よくわからないというか、このような気持ちに経験がないのだ。しかし、キミを想う気持ちは、家族的な、妹のような、そんなものではない。そう気づいた。心配でたまらなかった。見つけた時、どうしようもなく、抱き締めたいと思った。」

冥は混乱の裡にいた。ずっと追い掛けてきた存在が、自分を愛しいと、抱き締めたいと言っているのだ。それなのに、よくわからないとも言っている。生真面目で不器用で、何でこんな男…。

こらえていた涙がぽろぽろと静かに零れると、冥は自制がきかなくなった。

「…私は、レイジが好きよ…」

絞り出すような声が御剣の耳に届いた。

「メイ…！私もキミが好きだ…！」

結局「好き」という言葉すらこちらが教えなければ出てこないような、そんな男だ。それを頭の片隅で残念に思いながら、冥は手を伸ばして御剣の頬を指でなぞった。

「レイジ…本当にバカね…」

そう呟くと、冥はついばむような、軽いキスをした。御剣の唇に、一瞬、柔らかい甘い何かが触れたかと思うと、御剣の中で何かが弾ける音がした。

離れていったそれを、強引に引き戻すかのように御剣は冥の唇を奪った。

「…きゃっ！！」

冥はそのまま押し倒され、むさぼるようなキスの嵐を受ける。優しくも、スマートでもなく、本能がそうさせているかのような、激しく熱い衝撃に、すべてを委ねる他なかった。

「メイ…。」

御剣が一旦、身体を離した。互いの乱れた呼吸が静かな部屋に響いた。
冥は頬を紅く染め、潤んだ瞳で御剣を見つめる。そこには、冷静沈着な検事、狩魔冥は存在せず、ただ一人の少女しかいなかった。しかしそれこそ、御剣がよく知る冥そのものだった。

「このような気持ちが存在するのだな…」

日中、冥を妹のようだと思っていると考えた時に感じた違和感の正体が鮮明に暴かれ、今やそこには女性として愛しているという真実だけが残った。

「…私はとうの昔に知っていたわよ。」

微笑した冥の顔を両手で包み、今度は優しく深く時間をかけてくちづける。吐息が漏れて、声なき声のようだ。
そこで御剣はゆっくり身体を離した。

「さぁ、帰ろう、メイ。」

そう告げると、瞬時に冥の眉間に皺が寄り、驚きと哀しみの目を向けた。そして、冥は両手を伸ばし、御剣の首に絡めた。先程の吐息のような、くぐもった甘い声で囁くように言った。

「イヤよ、レイジ…。」

その熱のこもった視線に、冥の発言の真意を悟った。御剣こそ、ここで帰りたくはないが、傷つけてしまったこと、そして何より気持ちを確認しあって間もないことで、わずかに残った理性で紳士としてふるまったのだった。

「しかし…」

「…もう待つのはイヤ。さっき、もう不安にさせないと言ったじゃない。」

そう言うと、冥は絡めていた両手を降ろして、自身の胸のリボンをほどいた。

「いいのか？」

「…異議なし、よ。」

その言葉を聞くやいなや、冥の手を退けるようにして、ブラウスの胸元に顔を寄せ囁いた。

「承知した。」

御剣はクラバットを外し、床に放ると、そのまま服を脱ぎ捨て、冥のブラウスに手をかけた。不器用ゆえに、小さなボタンを外す動作はもどかしく、しかしそれが冥には焦らされているような感覚を与えた。徐々に露になる白い肌、対照的な黒く大人っぽい下着に、言い様のない興奮を覚える。

完璧だった。普段は指先まで覆うような格好をしているが、その下には彫刻のように美しく白い肌が隠されていた。

思わず動きを止めて、見惚れていると、冥が恥ずかしそうに身体をよじった。その動きで下着のストラップが肩から落ち、また色っぽさが増す。ゆっくりと下着を外し、現れた白い胸に舌を這わす。

右肩に銃創を見つけた。冥ははっとして反射的に隠す。御剣は、悔恨の表情を浮かべたが、すぐに冥の手を取り払って、そこに口付ける。熱い吐息を吹き掛ける。それだけで冥は身震いする。

あまりに甘美。2人は熱を帯び出した。冥は戸惑いながらも、黙って身を委ねていた。御剣も慎重に優しく、愛撫を続けた。

お互いの恋愛事情など知らなかった。2人は常に多忙であったし、冥が御剣に恋人がいるのか気を揉むことはあっても、遠く海を隔てているため、知りようもなかった。一方、御剣は鈍感で、冥を子供だと思っていたため、そのような発想すらなかった。

冥は初めてであった。そうに違いないというか、経験があるなんていうことは更々考えもしなかった。大切に、大切にしなければと思った。その気持ちが緊張となって御剣の指先に伝わり、冥の身体にも伝わる。慎重すぎるとも言える不安げな動きに、冥は思いきって聞いてみた。

「ねぇ、レイジ…。あなたに愛された女性はいるのかしら…？」

御剣は冥の首筋から顔を離し、冥を見て言った。

「いない。先程言ったではないか、こんな気持ちもあるのだな、と。」

冥に幸福が広がった。御剣は、昔から女性からの好意が絶えなかったが、恋人という存在までなし得た女性はいなかったのだ。身体だけの関係など持つような男ではない。いや、それ以前に、色恋沙汰にかまけてる時間などなかっただろう。自分しか、御剣の情欲をかきたてた女はいないのだ。その優越感に、より一層酔いしれる。

「…その、不安かもしれないが、任せて欲しい。」

少し気まずそうに言う御剣に、冥はいたずらに笑う。緊張が温かい空気に変わった。

「安心したわ。」

そう言って腕を御剣の首に絡めた冥は、積極的だった。起き上がって自らキスをし、唇から離れたと思ったら、耳に、頬に、肩に、その甘い唇を押しあてた。御剣は驚いて、されるがままその快感を受け止める。胸板にキスをしながら、冥は御剣の手を取って、自らの腰に誘った。御剣の指に、冥がまとう最後の布地が触れた。座った姿勢だった冥は膝を付いて腰を上げ、惚けたような瞳で真っ直ぐ御剣を見つめた。上気した顔は初めて見る表情で、まだ少女のようで、でも確かに女の顔だった。

御剣はそのまま布地を引き下げ、再び冥を押し倒した。するすると、細い脚から布地が外れて床に落ちた。御剣は、露になったその場所にそっと指を這わせ、感触を得ると、冥に口付けを繰り返す。時に胸を弄り、鎖骨や首筋を攻め、美しいくびれをなぞる。

冥は我慢しているのだろうか、吐息を吐くばかりで声を出さない。

「メイ、声を我慢しなくていいぞ。」

「…やっ。だって…。」

その一言が上擦っていて、感じているのだと安心する。そして耳元で囁く。

「聴きたいのだよ。」

動きを強くすると、あっけなく声は漏れた。

「…あぁっ！…んっ…はぁっ…」

艶のある声が脳内を麻痺させる。御剣は指の動きを早め、少し強引に探る。冥の声に反響するかのように、くちゅりと水音がした。冥は痛みを感じたらしく、目をぎゅっと閉じたままだ。しかし裏腹に蜜は溢れた。

「…メイ、力を抜いて…。耐えきれなかったら、やめるから。」

そう言われて一瞬、身体の強張りを解いたその隙に、御剣は自身をあてがい、侵入を試みた。冥の顔が苦痛に歪み、御剣の背中に爪痕がついた。

「…レッイジッ…！いたいっ…！」

やめようかと思ったが、冥は耐える覚悟で、腕を離さなかった。慎重に押し進めるか、一気に貫くか迷っていると、冥が懇願してきた。

「…レイジ、ちょ、うだい…」                                      
苦しそうにもそう願う冥は、まるで御剣がどこか遠くへ行ってしまうと思っているかのようだった。いじらしさに胸が痛む。

「どこへも行かない。」

そう言って、迷いはあったが、強めに押し進めた。侵入を拒むかのような窮屈さとは矛盾して、御剣はその締め付けに例えようのない快感を得ていた。
冥は、痛いという代わりに、必死で彼の名を呼んだ。

「レイジッ…、あぁぁぁ、レイジ！」

名を連呼され、いよいよ快楽の頂きに到達しようとしていた。もはや気遣えるほどの理性などなかった。

「メイ…、いくぞっ…！」

その刹那。冥の脳裏には初めて御剣と体面した幼い日の思い出が甦った。あの日から、この男の虜。ずっと欲しかった、ただひとつの、宝物。

冥は一筋、静かな涙を流した。

***

荒い呼吸が響いて、御剣の額から汗がすうっと落ちた。身体の熱はまだ冷めないが、徐々に思考を取り戻した。

「…メイ、大、丈夫、か？」

心配そうに尋ねるその声も絶え絶えだった。冥は我に返り、下腹部に鈍痛を覚えながら、大丈夫だと頷いた。それを確かめると、御剣はそのまま冥に倒れこんだ。まだ、肩で息をしている。しばし、静寂が2人を包む。

先に口を開いたのは冥だった。

「…シャワーを浴びなくちゃ…。」

「ム、しかし…。」

「水道も電気も、止めていないのよ…。使えるわ。」

冥は説明した。以前のように、自分が帰国したらいつでも過ごせるように。そして、もしかしたら、御剣がここを尋ねてーー何か必要な資料や文献を探しにーー来ることもあるかもしれない。そう思ったのだと。

「あなたには、忌々しい場所かもしれなくても…私にはあなたとの思い出もあるわ…。」

冥は目を合わせずにそう話し、その様子を見て御剣は諭すように言った。父親を葬り去った男の家ー。何も知らず過ごしていた日々。しかし御剣は顔色ひとつ変えずに言った。

「それは感謝する。私にとっても我が家同然だからな。」

そこには「忌々しい」ことなどないと、言い含められていた。御剣が続ける。

「ここが変わらず残っていたおかげでキミを見つけられたし、シャワーも浴びられる。」

冥が戸惑いながら目を合わせると、優しい瞳が迎えてくれた。冥も思い出した。眠れないのと甘えれば、あの瞳が「仕方ないな」と微笑んで、添い寝をしてくれたことを。それは、アメリカの家でも、そして、この部屋でも。

「今夜はここで一緒に休もう、メイ。」

「ええ。…久しぶりね。」

微笑んだ冥を抱き起こして、2人はもう一度キスをした。甘い甘い、幸せに満ちた口付けのさなか、一瞬、御剣は視界の端に冥の肩の銃創を捉えた。腕を掴んでいた手に力がこもる。

(許すものか、絶対にーー。)

そう固く誓い、犯人への報復の思いを強めた。しかし、その思いは御剣の胸のうちにそっとしまわれた。

今はただ、やっと安らぐ存在を手に入れた、愛を紡ぎ始めたふたりに、どうか温かい時間をーー。

(おわり)    </description>
    <dc:date>2013-12-09T23:07:44+09:00</dc:date>
    <utime>1386598064</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/133.html">
    <title>2013/11/05</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/133.html</link>
    <description>
      逆転裁判５最終話絡みなのでネタバレ注意です。



----
検事局長室には紅茶の香りが充満していた。その上品な空気をかき消すかのように電話が鳴り響いた。
「…わかった、すぐに向かう。」
想定していた内容なのか、男は薄く笑ったあと、紅茶を一口すすって椅子から立ち上がった。
「せっかく君が帰国したというのにすまない。」
ソファに腰かけていた客人に詫びる。客人も立ち上がる。
「構わないわ。私も仕事で来たのだし。それよりも、今の電話、例の弁護士絡みなのでしょう？」
「さすがだな、メイ。そうだ。いよいよあの事件にカタが着きそうだ。」
「久々の現場は、爆破された法廷ってわけね。」
「ふっ。」
「完璧な報告しか要らないわよ。」
客人がしなやかに手持ちの鞭をつきつける。男はまたふっと笑い、一歩、客人ーー彼女に近づくと彼女の顎を優しくすくい、口付けようと顔を寄せた。
すると彼女はいたずらに、そして妖艶な笑みを浮かべて告げた。
「楽しみはとっておくべきではなくて？」
一瞬、男の動きが止まり、そしてすぐに身をそらした。
「そうだな。」
少し残念そうな表情をしたが、すぐに局長の顔に戻った。
「では、行ってくる。」
長めの裾を翻し、眼鏡をかけて部屋を後にする。彼女はひらひらと軽やかに手を振り、見送った。

男ーー検事局長、御剣怜侍が向かった先には旧友である弁護士との久しぶりの対峙、闇に葬り去られそうになった7年前の事件の真相究明、罪人となった部下の検事の救済、そして明らかになった真実の前で真に救われたかつての少女ー実に様々な、濃厚な時間が待っていた。

青天の下で、真実は輝き、そしてそれぞれの想いが交錯する中、長い法廷は終わった。

そして御剣は打ち上げなどを適度にこなし、客人の待つホテルへ向かった。

彼女ーー狩魔冥は自身が滞在するホテルで、来訪した御剣を迎えた。

「お疲れさ…っ！？」
部屋に入るなり御剣は勢いよく彼女の肩を掴んで唇を奪い、そのまま奥の壁まで彼女を押し進めた。壁を背に彼女はもがく。
「ちょっ…レイジっ！…やっ…！」
幾度となく性急なキスが降り注ぎ、身体は自由を奪われる。御剣の手がまさぐるように激しく動き、もはや理性など捨てたかのようだった。

ひとしきり済んだのか、最後に深く口付けて、御剣は冥をきつく抱き締め呟いた。
「メイ…」
冥は呼吸を整え、ただ黙って抱き締め返した。終わったのだ。いや、本当はこれからまた始まるのだ。それでも、この事件がひとつの結果を迎え、そして何より、この8年、何とか弁護士に復帰させようと必死に動いてきた、その男が見事に返り咲いた。御剣にとって、ずっと胸につかえていたものが、取れたのだ。それは冥にとっても同じことだった。

「…レイジ」

2人にはこの事に関して余計な言葉は要らなかった。冥は、肩に顔をうずめる御剣の髪を優しくすいた。その手を御剣に取られる。御剣は手を握ったまま身体を起こし、握っていた手に、もう片方の手も添え、両手で握った。
今度は冥の目を見据える。熱のこもった、でも静かな眼差しだった。

「…区切りがついた、と言える。もちろんこれからが本番だ。しかし、私の中で節目を迎えたのは確かだ。とても…落ち着いた気持ちだ。だから、メイ、、、」

冥はおだやかな目で聞いている。
御剣はもう一度握りしめた冥の手にぎゅっと力を込め、片手を取り払って、冥の手を持ちかえると同時にひざまづいた。冥の手の甲に唇を寄せ、彼女を見上げる。

「メイ、私と結婚して欲しい。」

手を持ち変えられてから、プロポーズを受けるまで、あまりにスマートでそして素早い動きだったため、冥は微動だにできず、ただ目の前の男を見下ろしていた。慟哭が彼女を駆け巡る。

御剣は視線をそらすことなく、様子を伺う。びくんっと冥の手に力が入り、我に返るような表情をした。顔が紅潮したかと思うと、彼女の頬には涙が伝った。

御剣が口を開く。
「…何か異義が？それとも反証か？」
御剣の余裕が伺えた。涙は失態だった。悔しそうな顔をして、御剣の手を振り払って拭う。御剣は立ち上がる。
「なっ何よ！異義ありよっ！そ、そういうことはもっと、雰囲気のある場所とかっ、それにそうよ、ゆゆゆ指輪とか、準備を整えてからっ…！」

すっかり大人の女性になったのに、この娘は変わらない、そう御剣は思った。自分の前ではいつでもこうだ。

「ム。確かに紳士的ではなかったな。ではやり直すか。」

「なっ…べ、別にそんなことは言ってないわ。」

「では返事を聞かせてもらえるか？」

「………」

冥は肩を震わせ、真っ赤な顔で、瞳を潤ませている。御剣が近づき涙を拭ってやると、冥が抱きついてきた。胸に顔を押し当てて、

「…うそよ…、ムードも指輪も要らないわ…レイジが…いれば…」

やっと素直になったかと思うと、ばっと顔を放した冥は充血した瞳でキッと見つめた。

「け、結婚、してあげてもいいわよ！仕方ないわね！！」

声が上擦って、法廷での彼女とはまるで逆転している。
気持ちと態度とが矛盾だらけの愛しい彼女に、御剣は盛大に笑い声をあげて、もう一度抱き締めた。

「……待たせてすまなかった。もう、離れたくないのだ。」
「別にっ…」
胸の中で冥が口を開いたのと同時に畳み掛ける。
「待ってなんかいないわ、か？」
御剣が笑う。
完全に掌握されて、おもしろくないが、冥は今まで味わったことのない、心からの安堵を感じていた。

「メイ、愛している。」
「…私もよ、レイジ。」

夜はまだ明けない。
昼間に約束した「楽しみ」を、永遠の愛を誓った2人が堪能するには充分だった。

【終わり】    </description>
    <dc:date>2013-11-05T23:33:14+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/132.html">
    <title>2013/11/03</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/132.html</link>
    <description>
      　ポトッ、と御剣のポケットから何かが落ちる。
それは鮮やかなピンクの棒付きの飴、のようだった。
なにしろ御剣が慌ててポケットに仕舞い込んだので、冥の目にはその残像があるばかりだ。
「珍しいわね、レイジがそんなモノを持っているなんて」
「む……矢張にもらったのだ」
　友人の名を出すと、彼女は眉を寄せて不快な反応をあらわにする。
「ナゼあの男からそんなものを？　およそレイジには似合わないと言うか……食べるの、ソレ？」
　御剣が飴を舐める姿を思い浮かべ、怪訝な顔をする。
「いやその……私は食べはしないが、トクベツなものだと言って寄越したのだ」
「トクベツ？　とてもそうは見えなかったけど」
　棒付きキャンディーに特別も何もあるのだろうか、と冥は怪しむ。
　何故か御剣は焦りつつ弁明する。
「その、外国製で、味が付いてるということで」
「キャンディーに味が付いているのは当然じゃない」
「そ、そうだ、トクベツな味、らしいのだ」
「トクベツな味？」
　冥はぴくりと反応する。
「ふうん…………レイジは食べないのよね」
「うム。食べるはずがなかろう」
「だったら私に頂戴」
「む、その、コレは……」
　御剣はポケットを押さえて言いよどむ。
トクベツな飴を渡すのが惜しいのだろうか、と冥はさらに興味を示す。
「大の男がそんなモノを舐めるなんておかしいわよ。仕方がないから私がもらってあげるわ」
「む……キミが舐める、というのか？」
「レイジが食べないなら、私が食べるわよ。勿体ないじゃない」
「確かに、メイに食べてもらえるならやぶさかではないが……本当に、欲しいのか？」
「え、ええ……」
　ずいっ、と身を乗り出してくる御剣に一歩退きながらうなずく。
「うむ、食べてくれると言うならやろう。そうだ、キミに食べて欲しいのだ」
　御剣はさらに一歩近づいてくる。その妙な迫力に、冥は嫌な予感を覚えた。
「いえ、やっぱりいいわ。トクベツなものをもらったら悪いもの」
「遠慮するな。元々コレはメイに食べてもらうためにもらったようなモノだからな」
　もう一歩下がったところでソファーに脚を取られて、ドサッと尻をつく。その上に御剣は覆い被さってきた。
「ちょ、ちょっとレイジ！」
「食べて、くれるのだろう？」
　御剣はポケットからピンクの飴を取り出す。
いや違った。飴のように見えたそのビニールを破ると、ピンク色のグミのようなものが現れる。
冥がソレが何だったかと考えているうちに、御剣はズボンのファスナーを下ろし自らの棒にソレを被せていく。
「な………！」
　その正体に気づき目を丸くする冥に棒付きのキャンディー……いや、キャンディー付きの棒を突きつけて、御剣は笑う。
「さあ、じっくりと味わってくれたまえ」    </description>
    <dc:date>2013-11-03T20:02:21+09:00</dc:date>
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    <title>2013/09/03</title>
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    <description>
      愚直な騎士の疾走と追憶




　その日の検事局は珍しく至って穏やかだった。
　上級検事室1202号では御剣怜侍の羽ペンの音だけが軽やかに紙面を踊る。
　部屋の主は時折手を休めて傍らの紅茶を口に運んだ。
　前日まで厄介な公判を抱えてばたばたしていた御剣にとって、この時間はつかの間の安息だった。
　(こんな日がせめて、今日一日だけでも続いてほしいものだ)
　御剣が心の中でそう念じてから、きっかり5秒後。
　そのささやかな願いは騒音と怒声で打ち破られた。

「み、みみ、御剣検事いぃ～！　た、大変ッスうぅぅぅ～!!」
　1キロ先まで聞こえそうな声と、それに負けないくらいの大きな体の持ち主が、無駄に騒音をまき散らしながら部屋の中に駆け込んでくる。
「なんだ。騒々しいぞ、糸鋸刑事。それに部屋に入るときはノックくらいしたまえ。いつも言っているだろう」
　御剣は目の前の大男に視線を向けた。睨まれたカエルのごとく、糸鋸圭介は慌てて敬礼をする。
「はいッ！　すまねッス！　い、いやでもそれどころじゃないッス。大変なんッスよ！」
　しかし今日の糸鋸刑事は挨拶もそこそこに、慌てふためきながら御剣の方へ身を乗り出してきた。
　そのあまりの様子に、御剣の背中に嫌な予感が走る。

「どうした。報告したまえ」
「はいッス！　実は――」

　続けて出てきた言葉は、御剣の心を弾丸のように撃ちぬいた。



　　　******



「御剣検事、は、走るの早いッス!　待ってくださいッス」
　５メートル後ろから糸鋸刑事の情けない声が聞こえてくる。
　しかし今の御剣にはそれに答える暇などなかった。
　持てる限りのスピードで走る御剣の脳内に、先ほどの言葉が巡る。


「狩魔検事が、今日これからお見合いするらしいッス！」

　糸鋸刑事がもたらした言葉はまさに青天の霹靂だった。
　狩魔検事……狩魔冥。お見合い。今日。
　何だそれは。
　思いもよらない報告に、思考が停止する。
「検事局のおエライさん主導で進んでたことらしいッス。狩魔検事は何度も断ったらしいッスが相手側もエラい人ッスから、かなり強い要請で断り切れなくなって……」
　そんな話は一言も聞いていなかった。
　脳が、ロジックをつなぐことを拒否している。

「御剣検事、いいんスか?!　止めなくて！」
　呼吸さえ忘れそうになっている御剣を現実に引き戻したのは、目の前の部下の大声だった。
「……止める？」
「そうッスよ。ジブンは御剣検事のことを良く知ってるつもりッス。だから御剣検事が狩魔検事のことを大切に思ってることもわかってるッス」
　糸鋸刑事は半ば御剣の胸ぐらをつかむような格好で言った。

「このままでいいわけないッスよ。一生後悔するッス！」

　彼はちょっと抜けたところがあるが、常に部下としてそばに控え、大事なところでは年長者としての機転を見せる男だ。
　年上の部下のまっすぐな瞳が、御剣の脳に失いかけた光を充填する。
「今ならまだ間に合うッス！」
　次の瞬間、御剣は椅子を蹴って部屋を飛び出していた。


「ホテルバンドー・インペリアル。ここで間違いないんだな」
　赤い毛氈が敷き詰められた広い廊下を走りながら、少し後ろにいる部下を振り返って聞く。
「はいッス!　ここの離れの藤の間で……！　っととっ、検事、前！」
　糸鋸刑事の警告のおかげで、御剣は障害物に当たる寸前のところで足を止めた。

「お客様！　廊下を全力疾走されては困ります」
　目の前に男が立ちふさがっている。
「退きたまえ。急いでいるのだ」
　無視して通り過ぎようとしたが、男は慌てて御剣を取り押さえた。
「いえ、当ホテルはＶＩＰのお客様も多くいらっしゃいます。走られては多くの方に迷惑がかかりますゆえ、支配人といたしましては……うわああぁぁ！」
　先を急ぎたい御剣と、止めたい男。
　押し問答状態だったが、突然、御剣を押さえていた男が目の前で空に浮いた。
「検事、ここはジブンが止めるッスから、早く狩魔検事のところへ!」
　糸鋸刑事が、男の首根っこを掴みながら叫ぶ。
「すまない。行かせてもらうぞ!」
　御剣はそう言うと、振り返ることなく駆け出した。

「御剣検事いぃ～！　頑張るッスよおぉぉーー！」

　ひときわ大きな声が、御剣の背中を力強く押した。


　　　******


　『藤の間』と彫られた重厚な板に目をやりつつ、少しだけ呼吸を整える。
　すぐそばにあるのは上品な襖だった。
　自分と目標を遮るその薄い板を、御剣は一気に横に引く。
　視界が開けた先に、見たかった顔があった。

「……怜侍？」

　訝しげに自分を見上げるその顔は確かに狩魔冥だった。
　しかし、今日の彼女は髪を結いあげ、薄い水色の地に華麗な花々がちりばめられた日本の伝統衣装をまとっている。
　初めて見る振り袖姿の冥に、御剣は息をのんだ。

「だれだね、君は」
「一体何の用だ！」

　部屋の中は他の者たちの驚きと憤慨の声が飛び交っていたが、どれも頭上を通り過ぎていく。
　御剣はただ、黙って冥を見つめることしかできなかった。
　ここに来たら言おうと思っていたことがいくつもあったはずなのに、顔を見たら気が抜けてしまって何一つ出てこない。
　先に動いたのは冥だった。

「ご苦労だったわね、御剣怜侍」
　冥は突然立ち上がると、御剣のもとへ歩み寄った。　
　なんだ。何が始まるのだ。
　まだ半分呆けている御剣を指し示しながら冥はこう言った。
「彼は私の同僚の検事よ。重要な事件が起こったから、私を呼びに来たのね」
　ね、と言われても……。　
「こんな席を設けてもらったのに残念だけど、そういうわけで私は事件の捜査に行くことになったわ。さ、行くわよ怜侍。現場はどこ？」
　どこ、と言われても……。
「今日の返事は後日お手紙でさせていただくわ。それじゃあ失礼するわね」
「メ、メイ……！　うわっ」
　冥は強引に御剣の腕を取ると、そのまま御剣を引っ張って開け放したままの襖をくぐり抜けた。
　当然ながら『ま、待ちなさい狩魔検事！』とか『見合いはどうするんだ?!』という台詞が背中から追いかけてくる。
　しかし冥はすがすがしいほどそれらを無視して、御剣の腕を掴んだまま歩みを止めなかった。
「メイ、どこへ行くのだ？」
「………黙ってついてきなさい、このバカ！」

　離れから本館に戻り、ロビーのあたりまで来たところで、ようやく腕が解放された。
「メイ、一体、これはどういうつもりなのだ。重要な事件など、何も起きては……」
「どういうつもりですって？　それはこちらの台詞よ、御剣怜侍！」
　御剣の言葉が終わる前に、鼻先に冥の細い指が突き付けられる。
「何故怜侍がここにいるの。そしてなぜ突然あの場に乱入してきたのかしら？」
「そ、それは……」
　事情を説明しようとしたところで、御剣は周囲の視線に気づいた。
　ここはホテルのロビーで、行き交う客や従業員がこちらをちらちら見ている。
　冥もそれに気が付いたようで、突き付けていた指をきまり悪そうに下ろして言った。
「着物の着付けや準備があったから、ホテルに部屋を取ってあるの。そこに行きましょう」


　振り袖姿で歩き慣れない冥をエスコートしながらたどり着いたその部屋は、ホテルの最上階に位置し、洋間のほかに畳敷きの小上りがある広いものだった。
　洋間にはテーブルセットや小型の冷蔵庫、テレビなどがあり、こちらはおそらくリビングのような使い方をするのだろう。
　畳の方は着付けに使用したらしく、着物を掛ける折り畳み式の木枠や薄い箱のようなものが置かれている。
　木枠の方は『衣桁』、箱の方は『衣装盆』と呼ぶのだと、二人分の紅茶を淹れながら冥が言った。
　部屋に備え付けてあるティーバッグの紅茶だったが、温かい飲み物は御剣の心にしばらくぶりの落ち着きを取り戻させてくれる。
　そんな御剣の様子を見て、冥は半ばあきれたように口を開いた。

「まさかお見合いの最中に乱入してくる男がいて、しかもそれが怜侍だなんて、さすがの私も驚いたわ。私がとっさに気を利かせなければ、怜侍は今頃袋叩きに合っていたところよ」
「君が、無理矢理見合いをさせられていると聞いて……つい」
「聞いたって……、ああ、ヒゲからね。全くあのおしゃべり刑事！」
　形の良い眉を吊り上げて、冥は怒りの表情を見せた。
　話が脇道にそれないうちに、御剣は話題を元に戻す。
「君は今日の件をずっと断っていたとも聞いた」
「検事局上層部に昔なじみの検事がいて、その人が仲介人なの。ずっと打診されていたけれど勿論その都度お断り申し上げたわ。
　でも、先方が私の写真を見てどうしてもと。会う前から断るのも失礼だって言われて。あまり無下に却下するのも……」
　冥はそこで言葉を濁した。
　立場がどうであれ、いつも自分の意思をはっきり表明する冥が、なぜか口ごもる。
　御剣の中でロジックがつながった。

「君に見合いの仲介をした上層部の検事。それは多分、君の父親であり、私の師匠でもある狩魔豪にゆかりのある人物か……」
　さっと伏せられた冥の瞳が、御剣の推理は正しいことを証明している。
「パパの件は、本人だけではなく、検事局全体の信頼を地に落とすに値するものだったわ。外部からも内部からも批判が沸いた。実の娘である私が日本で法廷に立つときも、仕方のないことだけれど少し余波はあって……。
　いま上層部にいる検事のうち数人はパパの知り合いで、私のことも良く知ってくれていたから口添えしてくれたのよ。彼らの助けが無かったら私の立場はもっと別のものになっていたかもしれないわ。
　そんな人の頼みを、無下に断ることがどうしてもできなくて……」
「しかし、だからと言って見合いまでしなくてもいいだろう。断ることも可能とはいえ、多くの場合は縁談も絡んでくる話だぞ」
「そうね。でも重要な話だからこそ、断るのも難しいのよ……」
　淡々と事情を説明してはいるものの、冥の言葉にはここ数か月の彼女の迷いや、逡巡する想いが積み重なっていた。
　数か月。いや、もっと。
　その間、自分は何ができたのか。何もできていない。すぐそばにいたのに。

「とにかく、今日あなたが突然部屋に乱入してきた理由はわかったわ。私の身を案じてくれたということだし。お礼も言わなければならないわね」
　冥は軽く溜息をつきながら立ち上がり、窓際へ歩み寄る。
　一歩ごとに、纏った振り袖がつかみどころなく彼女の周りで揺れた。
　テーブルに置かれた２客のティーカップはすっかり冷め、最上階から見える景色はいつの間にか夕暮れに変わっている。
　しばらく窓の外を眺めたあと、冥は不意にこちらを振り返った。
「もし、次にこんなことがあっても、もう気にしなくていいわ」
「……何だって？」
「だから、もし次に私がお見合いをすることになっても、止めに来なくていいと言っているのよ」
「しかし、先ほど自分で断るのは難しいと」
「解っているわよそんなこと。解ってる……。私だってどうしても嫌なときは断るわ」
「断れなかった結果が、今日のこの事態ではないか」
　甘い仮定に事実で対抗すると、冥は押し黙って唇を噛む。
　しばらくの沈黙の後、彼女は目をそらしたまま呟いた。

「……どちらにしろ、怜侍には関係のないことだわ」

「関係ないわけがないだろう！」
　御剣は思わず声を荒らげた。
　そのあまりの剣幕に、冥は目を見開いたまま呆然としている。
　御剣は窓のそばで立ち尽くす冥のもとへ歩み寄り、腕を掴んだ。
　何層かに重なった着物の生地を通してさえ、華奢な身体の感覚が伝わってくる。
「痛っ……、何をするの怜侍」
「聞きたまえ」
　抵抗しようとする冥を一喝した。

「何故、私が今日、君の見合いを壊しに来たのか。いちいち説明した方がいいのだろうか」
「えっ……？」
「糸鋸刑事に話を聞いたときは、この世の終わりかと思ったぞ」
「なっ……何を言ってるの」
　冥の頬がさっと朱に染まった。
　御剣は構わず先を続ける。
「人生を掛けて止めようと思った。止めなければ後悔すると。そうでなければ、こんなに息を乱して、取り乱して、走ってきたりはしない」
　腕を振りほどこうと抵抗していた冥は、いつの間にか身じろぎひとつせず、御剣を見つめていた。
　御剣はもう一方の腕も拘束し、顔を彼女の耳元に寄せて囁くように問う。
「まだ、説明は必要か？」
「……怜侍」

　腕をいったん解放し、背中ごと引き寄せる。
　しかし抱きしめる寸前で、冥は御剣の胸板を軽く押し戻して言った。
「待って。説明……、必要だわ」
　冥の薄いブルーの瞳が、滲むように潤んでいる。
「怜侍の今の気持ち。説明してと言ったら、してくれるの？」
　必死に強気の表情を保ちながらも、涙腺は決壊しそうで。
　そんな彼女がたまらなく愛おしかった。
「……上手く伝わるかどうかはわからないが」
　胸板にかかっていた冥の力がすっと抜ける。
　今度こそ抱きしめた腕の中で、彼女は言った。　
「説明しなさい」

「承知した」
　細い顎に指を絡ませ上を向かせる。
　そのまま目を閉じて、唇を重ねた。


　　　******


　着物の帯を解きながら、畳へ上がり込む。
　帯を解いてしまうと着物の前はあっけなく開き、すべて脱がすのにさほど手間はかからなかった。
　薄い水色の生地の下から露わになった肌の白さに、思わず見惚れる。
　身体じゅうに口付けながら自らも衣服を解き、組み敷いて肌を重ねた。

　初めて会った時、まだ冥は年端の行かない少女で、大切な師匠の娘だった。
　それからいろいろなことがあった。一言では片づけられないほどに。
　顔を合わせれば叱責されたり機嫌を損ねられたり。
　それでも、迷った時に聞きたいのは彼女の言葉で、実際に幾度も助けられた。
　ただのお転婆だと思っていた彼女を、一人の女性だと意識したのはいつだろう。

「やっ」
　白い膨らみの頂上にある突起に触れると、冥の身体がぴくんと上下する。
　触れるのをやめずにいると、冥は眉根を寄せながら、身体を捩った。
　そのたびに身体のひときわ柔らかな部分がなまめかしく揺れ、情欲をかき乱す。　　

　自分が冥のことをどう思っているか。それにはかなり前から結論が出ていた。
　それなのにこんなことになるまで行動に移せなかったのは、ひとえに自分が怠惰だったからだ。
　何の根拠もなく、冥はいつまでも隣にいて、一緒に歩いてくれるという奢りに似た感情があった。
　勝手な妄想に甘えながら、部下に叱咤されるまで何もしようとしなかった。
　でも今この瞬間、すべてを抱きしめながら思う。……このまま手放したくない。

「んっ……はぁっ」
　冥の脚を開いて身体を滑り込ませ、もっと深いところに中指を差し入れると、その唇から甘い声が漏れた。
　少しずつ指を進めると次第に吐息も乱れ始める。
　指を引き出すたびにそこは急速に潤みを帯びていった。
「やっ…んっ」
　冥の片手が、畳を強く引っ掻く。
　御剣は冥の腕を取り、自分の背中に回した。
「こうしていたまえ」
　言いながら、瞳に浮かぶ涙を拭う。
「辛いか？」
　冥は首を横に振る。
「……怜侍」
「何だ」
「爪、立ててしまうかも、しれなくて。背中に。だから……」
　呼吸を乱しながら、何を言うかと思えば。
　御剣の身体から腕を離そうとする冥を、強く抱き寄せる。
「構わない。このままでいろ」

　限界だった。
　腰を引き寄せて挿し込み、ゆっくりと最深部へ向かう。
　感触を確かめながら少しずつ体勢を変え、その位置を探った。

　御剣の動きに合わせて冥は身体をしならせ、背中に回された手に力がこもる。
　その小さな爪が食い込む度に湧き上がるのは、優越感に似た甘美な気持ちだった。
「あぁっ……！」　
　やがて一番敏感な一点を見つけ、御剣はそこを執拗に突いた。
　結合した部分はこの上なく淫靡な水音を立てる。
　切ない声が行為を加速させ、漏れる吐息が心を揺さぶった。
　締め上げられる快感に「くっ」と息を漏らさずにいられない。

　ギリギリまで耐えてから、御剣はすべての理性を手放した。　　　
　それは熱く滾るものとなり、冥の身体の一番深いところに注がれた。


　　　******


　総檜の浴室は、余韻を味わうのに最適すぎるほどの場所だった。
　木の香りを感じながら、浴槽の中で冥を後ろから抱き寄せる。
「ねえ怜侍。私から提案が二つあるの」
　御剣に半分体重を預けながら、冥は言った
「何だろうか」
「一つ目。もし、また、今回みたいに縁談を持ち込まれそうになったら……」
「うム」
　冥がくるりとこちらに顔を向ける。
「怜侍の名前を出してもいいかしら」
「私の名前？」
「ええ。大事な人がいるから、って……」
「……！」

　冥の口から出た『大事な人』という言葉が、自分を指していることに気付いた瞬間、口角が跳ね上がってしまった。
　その響きは思った以上に甘く、御剣の顔を締まりのない表情へと変えてゆく。
　それを必死に抑えつつ、御剣は冥を抱く腕に力を込めた。
「当たり前だろう。私の名前を出して断れるのならば、何百回でも出したまえ」
「じゃあ明日からそうさせていただくわ。次は、二つ目の提案」
「何だ」
　抱きしめたまま促す。
　今日ならば、冥の頼みをいくらでも聞ける自信があった。
「ええ、あのね。二つ目の提案は、もう一人の功労者へ……」




　――数日後。
　ホテルの支配人と小競り合いになった件で始末書を書かされていた糸鋸刑事のもとに、一通の知らせが届いた。
　その知らせを受け取った彼は、天井に届くほど飛び上がって喜んだそうだ。

「ひゃっほぉー！　来月から、ジブンの給料が、ちょっぴり上がるッスよおおお～！！」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（終）　
　
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    <title>結局恋だったから</title>
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      【結局恋だったから】

注意書き
ネタバレになってしまいますがテンプレＮＧ描写があるため注意書き

・愛のない性行為描写がありますが無自覚両想い
・名前もないモブキャラ出演（家の使用人、運転手、冥の同級生など）
・冥ちゃんの誕生日を五月としていますが公式情報ではありません（四月～六月の間であることは確定しているはず）

最後は必ずハッピーエンドさせます。

[[１話 休暇の度に会うのも&gt;http://www21.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/127.html]]
[[２話 体を重ねるのも&gt;http://www21.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/129.html]]
[[３話 二人で出掛けたのも&gt;http://www21.atwiki.jp/mitsumei2ch/pages/130.html]]    </description>
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