「第二十×章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

第二十×章 - (2007/01/12 (金) 23:07:56) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

第二十×章「再来」 小鳥のさえずりが聞こえる今は朝方。 遥か彼方の山頂から微かに太陽が顔を覗かせている。 街を見渡せる丘の上に、その男はいた。 初夏だというのに黒い外套を着込んだその男は、花を片手に立ちすくむ。 目の前には薄汚れた石碑があり、その横には小さな墓がぽつりと建っている。 微かな朝焼けを背に、男は口を開く。 「まさかな…お前までいなくなるとは思わなかったよ」 男はしゃがみ込んで、手に持った花を墓に供える。 男は墓を見据えたまま言葉を紡いだ。 「えとさんが消え、蛹が去ったこの街で、お前だけが残った。だがそのお前ですら消えてしまうなんて、さ」 吹いた風が水仙の花を揺らした。 「思えば―――ここが始まりの場所だったな」 丘には桜の木が青々と葉を茂らせている。この街を全て見下ろすかのようなこの桜は、この街を開拓した三人の人間が植えたものであるという。 桜の葉に思い出を刻み、花に咲かせては酒と共に過去に耽(ふけ)る。そうしてこの街の人々は刻を重ねて来たのだという。 「あの三人の末裔……最後の一人だったのに」 やりきれない憤りを胸に仕舞い、男はポケットから缶を取り出し、一口飲む。そして

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: