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3スレ目・その5 - (2014/04/18 (金) 04:38:58) の編集履歴(バックアップ)
- 814:◆YloZZbbNXp[sage
saga]:2013/07/09(火) 23:08:28.49 ID:2qjUDRfzo
- >>801です
上条春菜、北川真尋、相川千夏で投下します。
SS初心者のためお見苦しいところが多々あるかと思います、ご容赦ください…
- 815:◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:09:51.21
ID:2qjUDRfzo
私の先輩、上条春菜は眼鏡が大好きな女の子である。
初対面の人にも「まぁまぁ眼鏡どうぞ」と眼鏡を勧めてくる。
「私ね、世界中の人がみんな眼鏡をかければ、世界は平和になると思うんだ」
そんなことを真顔で言う彼女は
口の悪い友人から「眼鏡キチガイ」
略して「メガキチ」なんて呼ばれることもあったらしい。
私自身、彼女の発言にドン引きすることは多々あった。
けれど私にとって彼女は、ちょっと変わっているけれども、優しくて頼れる先輩だったのだ。
…数か月前までは。
- 816 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:10:44.84
ID:2qjUDRfzo
-
――――――――――
春菜「ねえ、真尋ちゃん、知ってる?」
真尋「先輩…またいつもの妄言ですか? もう勘弁してください!」
春菜「もう、全部本当のことだってば。私にはわかるんだよ」
「いい?人間がここまで進化してきたのはね、眼鏡をかけていたからなんだよ!」
「眼鏡の形状は、生物の進化を促す力を持っているんだ!ピラミッドパワーみたいにねっ!」
「ほら、これがその証拠だよ!」
そう言って彼女が差し出してきたのは、高校の生物の時間で見た、ヒトのDNAの構造図。
真尋「…で、これが?」
春菜「見てのとおり…」
「 ヒ ト の D N A の 形 は 無 限 に 連 な っ た 眼 鏡 を 表 し て い る ん だ よ ! 」
――この人は、何を言っているんだろうか…
真尋「ねえ先輩、やっぱり病院行きましょうよ。あの旅行の後から、先輩絶対おかしいですよ!」
春菜「もう、そんなことないってば。真尋ちゃんは心配しすぎだよー」
真尋「はあ…もうどうしたらいいんだろう…」
――――――――――
- 817 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:11:25.92
ID:2qjUDRfzo
-
おそらく、先輩がこんなことになってしまったのは、私が原因だ。
…数か月前、ちょうどあの異変が起こった少し後のことだったろうか。
高校を卒業した春奈先輩と友人達は、春休みを利用してイタリアに旅行に来ていた。
先輩方と仲の良かった私もそれに同行して、皆でイタリア観光を満喫していた。
旅行の最終日前日、私は観光していた古代遺跡近くの露店で
奇妙な石の仮面を見つけた。
その仮面の裏側には不気味な文様がびっしりと刻まれ
またその両目の部分には、奇妙なことに、まるで眼鏡のような装飾品の彫刻がなされていた。
店の主人によれば、古代の遺跡から発掘されたものらしい。
おそらくは観光客向けのガラクタだろうと思ったが
眼鏡好きの春奈先輩ならきっと気に入るだろうと考え、私はそれを購入した。
悲劇は、その日の夜に起きた。
- 818:◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:12:04.91
ID:2qjUDRfzo
-
――――――――――
その日の夜、明日には日本に帰るのだからということで、私たちは酒盛りをしていた。
当然、私も先輩達も未成年だが、イタリアでは16歳からの飲酒が可能である。
初めて飲むお酒の効果で、私たちは浮かれ騒いでいた。
真尋「あっそうだ、私、先輩にプレゼントがあるんですよ」
春菜「ん~?なぁーにぃーまーひろちゃーん?」
先輩A「プレゼント?いいなー見せて見せて~」
真尋「…じゃんっ、これです!」
先輩B「ちょwwwなによこれw」
先輩A「メガネwww仮面にメガネついてるwww」
春菜「ちょっと何これ!すごいかっこいい!」
先輩B「春菜wそれかっこよくないから、むしろ不気味だからwww!」
真尋「土産物屋で売ってて、見た瞬間、これは春菜先輩にあげるしかないって思ったんです!」
先輩A「確かにwwwこれは春菜にあげるしかないwww」
先輩B「ていうか春菜以外誰が喜ぶのよこれww」
春菜「ありがとう、真尋!」
「よ~し…」
「 装 ☆ 着 ! 」
A&B&真尋「wwwwwwwwwwwwwww」
春菜「正義の使者!マスク・ド・メガネ参上!!!」
真尋「先輩ww何やってんですかwww」
先輩B「マスク・ド・メガネww」
先輩A「もうwwやめてwwおなか痛いwww」
――――――――――
- 819 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:12:58.78
ID:2qjUDRfzo
…人間、誰でも酔っぱらうと多少はおかしくなってしまうものだ。
私たちは、夜更け過ぎまでこんな馬鹿騒ぎを続けていたらしい。
気が付くと、ホテルの部屋には朝日が差し込み
室内の惨状を照らし出していた。
床には酒瓶が転がり、ベッドから落としてしまったのか割れているものもある。
また、先輩方も皆床に寝転がっていて、きちんとベッドで寝ていたのは自分だけのようだった。
上条先輩に至っては、昨日の仮面をまだつけたままである。
真尋「うーん…トイレ…」
私は床に転がる酒瓶や毛布をかき分け、洗面所に向かおうとした。
その時、私は不注意から、床で割れていた酒瓶を踏んでしまった。
真尋「あ痛ッ!」
そして、私はその場でよろめいてしまい
あろうことか
床で寝ていた上条先輩の顔面を
「ベチャッ!」
と思いっきり踏んづけてしまったのだ。
- 820 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:13:41.22
ID:2qjUDRfzo
春菜「むーっ!むーっ!」
真尋「うわあああっ!!すすすいません先輩っ、大丈夫ですか!?」
私はあわてて足をどけたが、時すでに遅し
仮面は私の血によって、すっかり汚れてしまっていた。
春菜「もー、なにするのよ…うわ、私まだこれつけてたのか」
真尋「うわあ…本当にすいません先輩、仮面が…」
先輩は起き上がろうとして、先に仮面をはずそうと、仮面に手をかけた。
…その時!
「ガタガタガタガタ…
ジャキィンッ!
ズシュッズシュッズシュッ!」
急に仮面が光り、震えだしたかと思うと…
なんと仮面から無数の針が飛び出し、上条先輩の頭に深々と突き刺さったのだッ!
春菜「うぎゅうっ!?」
真尋「は?え、せん…ぱい…?」
春菜「う…あ…」
先輩はしばらく体を痙攣させたあと
その場で糸が切れたかのように
頭から崩れ落ちてしまった…
真尋「そんな…先輩…」
「い、いやあああああああああああああああ!!!」
- 821 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:14:11.42
ID:2qjUDRfzo
私はすぐさまその場で救急車を呼び、先輩を病院へ連れて行こうとした…
しかし、そのときに奇妙なことが起きた!
救急車がついたときには、先輩の顔についていた仮面は、どこかへと消え去っていたのだ!
そのうえ、仮面の刺さった傷跡さえも、きれいさっぱりなくなっていた…
先輩自身も、自分が仮面をかけて寝ていたことまでは覚えていたが、そのあとの記憶は失くしてしまったらしい。
結局、そのときは私が寝ぼけていたのだろうということで、納得した。
だが、それから日本に帰国して以来、先輩の言動は徐々におかしくなっていったのだった…
- 822 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:15:11.61
ID:2qjUDRfzo
――――――――――
真尋「とにかく先輩、一度病院で診てもらいましょう、私も一緒に行きますから…」
春菜「真尋ちゃんは心配性だなあ、大丈夫だって言ってるの…に…?」
真尋「…先輩?どうかしました?」
春菜「何かが…呼んでる…?」
真尋「先輩、ちょっと先輩!」
春菜「行かなきゃ…行って、守らなきゃ!」
真尋「先輩、どこに行くんですか、待ってください!」
――――――――――
- 823 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:15:41.81
ID:2qjUDRfzo
走り出した先輩を追ってたどり着いたのは、人気のない路地裏。
そこには、腰を抜かした一人の眼鏡をかけた女性と…3体のカースの姿があった!
「ザッケンナコラー!」
「スッゾオラー!」
「ハゲシク前後するドスエエエエエエ!」
千夏「いやっ…こっちに来ないでっ…」
真尋「ちょっと、あれカースじゃないですか!早くヒーローを呼ば…」
春菜「マモル… メガネ… マモル…」
春菜「って先輩!?何やってるんですか!?」
先輩は女性のもとに駆け寄り、彼女とカースの間に立ちふさがった!
そして次の瞬間!
「テメーナメテンジャネーゾッコラー!」
カースの一体が雄叫びをあげて、先輩に襲い掛かった!
真尋「せんぱあああああいっ!」
- 824 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:16:33.37
ID:2qjUDRfzo
「 シュピイイイイイイイイインンンンンン!! 」
その時、先輩のメガネから、すさまじい光がほとばしった!
春菜「そうだ…全部、思い出した…!」
「私の力、そして、私の願い…!」
カースは光によって、先輩に近づくことができないようだった。
謎の光は、やがて先輩の全身を飲み込み、そして…!
春菜「はあああああああああああああああああああ…!」
「 ハァッ!!! 」
光の嵐が止み、そこに立っていたのは
全身をメカニカルなコスチュームに包んだ上条先輩だった!
- 825 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:17:40.17
ID:2qjUDRfzo
春菜「私は眼鏡の戦士…そう、私の名は!」
「 『マスク・ド・メガネ』!!!」
真尋(名前ダサッッ!!)
「私の目的、それは…」
「 全世界の メガネっ娘 を 守ること! 」
真尋(えっ…メガネっ娘限定…?)
春菜「 そして… 全人類、いや、全宇宙の生物を、メガネっ娘化すること!!! 」
真尋(うわあ…何言ってんだこの人…)
春菜「眼鏡とはすなわち、人間の進化の印!」
「人は眼鏡によって火を起こし、眼鏡によって海を渡り、眼鏡によって宇宙へと到達した!」
「全人類が眼鏡をかければ、世界は平和になる!」
「貧困も、争いも、全ては眼鏡によって解決することができるんだ!」
「異星人だろうと、異界人だろうと、悪魔だろうと神様だろうと、人であっても、人でなくても…」
「眼鏡をかければ、みんな、分かり合えるんだ!!!」
- 826 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:18:06.84
ID:2qjUDRfzo
真尋(さ、さっぱり意味が分からない…)
千夏(何なの、この子…?)
春菜「だからこそ…」
「眼鏡っ娘の美しさを、眼鏡をかける喜びを知らないお前たちは…」
「ここで私が成敗するっ!」
先輩がカース達を指さして挑発すると、あっけにとられていたカース達もまた動き出した。
そのうち、先ほど先輩を襲ったカースが、またも触手を先輩に伸ばしてきた!
「テメーアッコラー!ナニサマダッテコラー!」
- 827 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:19:41.63
ID:2qjUDRfzo
春菜「遅いっ!」
「受けてみろ!メガネ・テンプル・カッター!」
先輩の眼鏡のつるがいくつにも分裂して伸び、カースの触手を切り払った!
「テ、テメーコラー!ナンオラー!」
驚くべきことに、先輩の攻撃は、カースを圧倒していた!
- 828:◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:20:15.98
ID:2qjUDRfzo
真尋「くらえ! マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義が一つ!」
「 メガネ真拳大乱舞!!! 」
- 829 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:20:43.47
ID:2qjUDRfzo
「眼鏡キック!」
左足でカースを蹴り飛ばして上空にぶち上げる!
つま先にはいつの間にか装着された硬化メガネ!
「眼鏡パンチ!」
上空のカースの腹へ強烈な右ストレート!
こぶしにはメリケンサックのごとく装着されたチタンフレームメガネ!
「眼鏡ハイキック!」
後ろへ吹っ飛ぶカースへ、追い打ちの右ハイキック!
カースの体にめり込むのは、軽くて硬いカーボンメガネ!
「眼鏡鉄山靠!」
落ちてきたカースの脇腹(?)へ、肩を使った強烈なぶちかまし!
両肩には、流線型の鋭いフレームが自慢のサンバイザー!
「眼鏡とび膝蹴り!」
路地の壁に当たって跳ね返ったカースへ、腰を深く落としてとび膝蹴り!
膝にはスポーツの時も安心、壊れにくい形状記憶フレーム眼鏡!
「眼鏡スルー!」
朦朧として突進してくるカースを、ここはあえてスルーし、反対側の壁に叩きつける!
チラリとスカートから覗くのは、白い靴下に留められた、本家直伝真っ赤なフレームのキュンキュンメガネ!
- 830 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:21:24.38
ID:2qjUDRfzo
「これでとどめだ! 眼鏡ブレーンバスタァァァァ!!!」
壁に突っ込んだカースを引きずり出すと、そのまま両手でカースを掴み、空中で後方へ一回転!
背中と地面でカースを無慈悲にプレス!
颯爽と立ち上がった背中に翻るのは、マント…と見せかけて、無数に連なり編み込まれた細かいメガネ!
- 831 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:21:50.97
ID:2qjUDRfzo
「フ…ザケンナ…コラ…」
容赦ない連続攻撃を受けたカースは、体内の核が砕けてしまったのか、その場で爆発四散!
真尋「つ…強い…」
「っていうか、眼鏡全く関係ないじゃん!?」
千夏「いったい何がどうなって…」
- 832 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:22:41.77
ID:2qjUDRfzo
私と先ほどの眼鏡女性は、路地裏の隅で口をぽかんと開けて、先輩の活躍を見ていた。
しかし、先輩がカースを倒した瞬間、残りの2体のうちの一つが、私たちに向けて触手を放ってきた!
「ハヤクコスル、キンモチイイイイイイイ!!」
千夏「きゃあっ!いやっ!放してっ!」
真尋「あっ、やめろこらっ!ちょっ、どこ触ってんのよ!」
カースの触手は私たちを締め上げ、体をまさぐり始めた!
春菜「真尋っ!今助けに…「コッチミロヤコラー!」
よそ見した先輩を、もう一体のカースが殴り飛ばす!
春菜「ぐぅっ…!」
真尋「先輩っ…この、離せこのぉっ…!」
千夏「いやあぁ、そこはだめぇっ…そんなところっ…」
私は必死で抵抗するが、カースの締め付けは強くまったく振りほどくことができない…
真尋(このままじゃ…!)
- 833 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:24:51.93
ID:2qjUDRfzo
春菜「真尋っ!」
私が最悪の展開を予想しかけたその時、先輩が鋭い声で叫んだ!
春菜「真尋、いい!?集中して、私が今からいうことをよく聞いて!」
「あなたの今かけてるその眼鏡、それはいつ買ったもの!?」
真尋「はぁ!?こんな時に何言ってるんですか!?」
先輩はもう一体のカースと戦いながらも、叫び続ける!
春菜「その眼鏡、あなたがずっと使っているものでしょう!?それは、あなたに力を与えてくれるはずよ!」
「落ち着いて、眼鏡の声を聞くのよ!」
「その眼鏡はずっと、あなたと共に生きてきた!それは既に、あなたの一部ともいえる存在!」
「思い出すのよ、眼鏡を初めてかけた時のことを!眼鏡との日々を!」
- 834 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:25:18.57
ID:2qjUDRfzo
――――――――――
真尋(この眼鏡を、初めてかけた時…)
私は、思い出していた。
自分の普段かけているオレンジ色の眼鏡は
父が、高校の入学祝として買ってくれたものだった。
高校でもスポーツをやりたいといった私に父は
激しく走っても落ちず、汚れにくく、頑丈で軽いこの眼鏡をプレゼントしてくれた。
真尋「うれしいけど、多分、陸上やるときはコンタクトつけることになると思うよ?」
そういった私に、父は
真尋父「まあ、そうだろうな」
「でも、真尋。お父さんは、眼鏡をかけてるおまえが、一番かわいくて、一番好きなんだ」
そう言った後、照れ隠しのように、
真尋父「それに、コンタクトってなんか怖いから、あんまり真尋につけてほしくないんだよ」
と笑いながら言っていたっけ…
――――――――――
- 835 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:25:57.57
ID:2qjUDRfzo
真尋「…はっ!」
気が付くと、私の体を締め付けていた不快な感触は消え去っていた。
真尋「これは…?」
千夏「ううっ…」
私と眼鏡女性を襲っていたカースは、どうやら逃げ出したらしい。
そして、私の、父からもらった大切なメガネは
あたたかくて優しい光を纏い、キラキラと輝いていた…
真尋「もしかして、このメガネが…」
春菜「そう、そのメガネが、真尋ちゃんを守ったの」
真尋「先輩…この、メガネが…」
私は、震える指で眼鏡をはずし、そっと眼鏡を胸に抱きしめた
真尋「…守ってくれて、本当にありがとう」
(…ご主人様のためなら、お安い御用さ…)
真尋「えっ…!」
私は、どこからか声が聞こえた気がして、キョロキョロとあたりを見回した。
- 836 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:26:30.40
ID:2qjUDRfzo
その時、路地裏の入り口に、私たちを襲っていたカースがいるのが見えた。
よろよろとした動きで、どうにかこの場から逃げ出そうとしているようだ!
真尋「先輩っ!あれっ!」
春菜「わかってるよっ!えいっ!」
先輩は自分が戦っていたカースをもう一体のほうにぶん投げて、二体のカースを衝突させた!
「アイエエエエエエエエ!」
「イテッコラー!ザケンナアア!」
二体のカースは絡まりあい、身動きが取れないようだ!
- 837 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:27:06.40
ID:2qjUDRfzo
春菜「今が好機!」
「まずは、 マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義が一つ!」
「 スケルトン・アナライザー! 」
- 838 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:27:34.14
ID:2qjUDRfzo
眼鏡AI『前方7m先、二体の敵性反応有り』
『本時代における知識データを検索… 対象を「色欲」「憤怒」のカースと推定』
『対象の排除方法を検索… 対象内に存在する「核」と呼ばれる部位の破壊が有効と確認』
『対象2体の核の位置を確認 ロックオン完了』
- 839 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:28:19.07
ID:2qjUDRfzo
春菜「よっし! では続いて、 マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義、もう一つ!」
「 ダブル・∞メガネ・ブラスター!!! 」
眼鏡AI『エネルギー充填を開始します』
『 5 4 3 … 』
カウントダウンが開始されると同時に、先輩の眼鏡は、真っ白な輝きを帯びてきた。
その形はまさに、二つのレンズを中心とした、∞の軌道を描いている!
眼鏡AI『 2 1 … 』
真尋「いっけええええええ!せんぱあああああい!」
- 840 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:28:46.04
ID:2qjUDRfzo
眼鏡AI『 0 』
『チャージ完了』
- 841 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:29:44.50
ID:2qjUDRfzo
春菜「くらえ!ダブル・∞メガネ・ブラスター!発射ああああああああああああ!!!」
カース達「「ア、アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」」
先輩の眼鏡から放たれた二本の光線は、二体のカースの一点を貫き…
二体のカースは、爆発四散!
その場で粉々に砕けっ散ったのだった…
- 842 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:30:19.14
ID:2qjUDRfzo
――――――――――
春菜「おーい、真尋ちゃーん。こっちこっち!」
真尋「待ってくださいよせんぱ~い」
千夏「春菜ちゃん、真尋ちゃん、久しぶりね!」
あの日の戦いからしばらくして
私と先輩はあのときの眼鏡女性と知り合いになり
今日は三人で集まって、彼女のおすすめのカフェでお茶をしていた。
ちなみに、彼女の名前は「相川千夏」
カフェ巡りが趣味で、先日も路地裏の隠れ家的名店カフェから帰る途中、カースに襲われていたらしい。
- 843 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:30:44.66
ID:2qjUDRfzo
私たちは、しばらくの間、他愛のない会話を続けていた
春菜「ねっ!ちょっと見て見てよこの娘!」
真尋「なんですかこれ?日○ジャーナル…?」
千夏「櫻井…桃香ちゃん?あら、かわいい娘ね」
春菜「この娘、絶対に眼鏡似合うよ!ああ、眼鏡かけさせてあげたいなあ~」
真尋「…櫻井財閥ってあの黒い噂の絶えないところですよね?」
「確か、この娘が悪魔なんじゃないかなんて噂もあったような…」
千夏「悪魔って…そんな馬鹿な…」
春菜「も~そんなわけないじゃない」
「それに、たとえ悪魔だとしても、眼鏡が似合う子に悪い子はいないよ!」
真尋「…先輩はブレませんね本当に」
- 844 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:32:19.15
ID:2qjUDRfzo
――――――――――
少しした後、先輩が真剣な顔になって話をはじめた
春菜「この前、目覚めた私の力…『マスク・ド・メガネ』についてなんだけど…」
真尋&千夏(本当にその名前で行くんだ…)
春菜「…この力が、なんで私に宿ったのかはわからない」
「真尋ちゃんが話してくれた仮面が関係してるのかもしれないけど、その仮面も無くなっちゃったしね」
「でも、私がしたいことは、はっきりしている」
- 845 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:32:47.83
ID:2qjUDRfzo
「私は、眼鏡をかけている皆を、この力で守りたい」
- 846 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:33:14.83
ID:2qjUDRfzo
真尋「いや先輩、眼鏡限定じゃなくて、できればほかの人々も…」
春菜「あ、うん、ごめん。いやそうだね確かに」
- 847 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:33:40.77
ID:2qjUDRfzo
「まだ、眼鏡をかけてない人々も含めて、すべての人々を、この手で守りたい」
- 848 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:34:09.01
ID:2qjUDRfzo
春菜「それで…お願いがあるんだけど…」
春菜「真尋ちゃん、千夏さん、私に…力を貸してくれないかな?」
先輩は、不安気な顔で私たち二人を見た。
真尋「はぁ…」
「仕方ないですね、先輩には、助けてもらった恩がありますし」
「協力しますよ、春菜先輩」
私は、ニッコリと微笑んで言った。
千夏「私も…」
「私にできることなら、何でも協力させてもらうわ」
「こう見えても大人なんだから、頼りにしてくれていいのよ?」
千夏さんも、胸を張って、そう言ってくれた。
- 849 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:34:53.41
ID:2qjUDRfzo
春菜「二人とも…」
春菜「本当にありがとう、二人が手伝ってくれれば、百人力だよ!」
そして先輩は、ニッコリと笑って
春菜「それじゃあまず、二人の眼鏡を改造しないとねっ!」
…またもとんでもないことを言い出した。
- 850 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:35:19.33
ID:2qjUDRfzo
真尋&千夏「「 えっ…… 」」
春菜「二人は、どんな感じのヒーローになりたい?」
「あっ!もちろん眼鏡は着用必須だよ!」
「三人でがんばって、眼鏡を世界に広めようねっ!」
…私の受難は、まだまだ始まったばかりのようだ。
- 851 :@設定 ◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:37:30.52
ID:2qjUDRfzo
-
上条春菜(マスク・ド・メガネ)
職業
メガネヒーロー・大学生
属性
メガネ
能力
メガネを愛し、メガネに愛される力
詳細説明
普段はちょっと眼鏡が好きすぎる大学生だが、一般人(主に眼鏡をかけている人)
眼鏡をかけている人は大体知り合いらしい…?
が襲われているときは、メガネヒーロー「マスク・ド・メガネ」に変身する
マスク・ド・メガネに変身した春菜は
メガネ格闘術・メガネ魔術・メガネ妖術・メガネ錬金術などに精通しており
メガネによってできるありとあらゆることが可能である。
マスク・ド・メガネ88の眼鏡奥義には、本文中にでてきた以外にも
・メガネで霧を払い仲間との絆を深める。
・メガネをかけて光の巨人に変身する。
・メガネアイドルとしてデビューした後に引退し、優秀なメガネプロデューサーになる。
などの技が存在する。
また、基本攻撃として
・メガネのつるで相手を切り裂く。
・メガネを手裏剣のようにとばして攻撃するor強制的にメガネをかけさせる。
といったこともできる。
関連アイドル
北川真尋、相川千夏
- 852 :@設定 ◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:38:04.59
ID:2qjUDRfzo
- 北川真尋
職業
高校生
属性
メガネ
能力
無し(今のところ)
詳細説明
春菜の後輩の高校生。
春菜とカースの戦いに巻き込まれ、そのとき助けてもらった恩のため、春菜に協力する。
今のところは無能力者だが…
上条勢力のツッコミ担当。
関連アイドル
上条春菜、相川千夏
相川千夏
職業
フリーライター(女性誌にカフェ巡りの記事などを載せている)
属性
メガネ
能力
無し(今のところ)
詳細説明
ごく普通の眼鏡美人。
真尋と同じく春菜とカースの戦いに巻き込まれ
そのとき助けてもらった恩のため、春菜に協力する。
今のところは無能力者だが…
上条勢力の大人の色気担当。
関連アイドル
上条春菜、相川千夏
- 853 :@設定 ◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:39:07.46
ID:2qjUDRfzo
上条勢力
上条春菜を中心に構成される眼鏡集団。
「メガネによる全宇宙の平和」をモットーにかかげている。
(このモットーを本気にしているのは春菜だけだが、彼女はいたって大真面目である)
- 854 :◆Y6loZZb8bNXp[sage saga]:2013/07/09(火) 23:40:14.77
ID:2qjUDRfzo
以上になります…
そして、>>843は風香→千夏で脳内補正お願いします
-
- 859:◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:24:57.68 ID:lAyPV7R4o
-
ちょっと憤怒の街を投下するよー!
- 860:◆yIMyWmls[saga]:2013/07/10(水) 00:26:54.31ID:lAyPV7R4o
- ―
「頑張ってるみたいだね、乃々ちゃん」
目の前で蒼のオーラがふわりと広がり事務所を覆い尽くしたところで消える。
「あれが完成すれば現在何者かによって守られてる病院の奪還も夢じゃないですねぇ~♪」
「それにしても裕美ちゃんとは違って鍛えがいのある力ですぅ~♪」
「…弟子の前で言うことじゃないよね、それ」
「まぁ、それはそれとしてあれがある程度でも形になったら『憤怒の街』には突入しなくっちゃ間に合いませんからぁ~♪」
…間に合わない?
「どういうこと?」
「…GDFのヘリが撃ち落されるニュース映像、見ましたよねぇ~」
「えっと、見たけど…」
「…あの時、憤怒のカースに染まっていないポイントの病院が見えましたけどあれが誰かに守られてるのだとしたらどのくらい持つか分かりませんよぉ?」
- 861 :◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:28:08.31 ID:lAyPV7R4o
-
「残された時間は少ないってこと…?」
「そうじゃなくて私たちのやることは病院を守っている力の維持ですぅ~♪」
「…救出じゃないの?」
救いだしたほうが安全なんじゃ…?
「病院に入院している人たちをどうやって救出するんですかぁ~」
「…病院を『動けない』人たちだって居るんですよぉ~?」
「けが人とか病人とかのこと?」
「…誰かが病院を守っているんだとしたら私たちに出来るのは病院を守っている人を休ませてあげないとですからぁ~♪」
「それじゃあ私たちがするのは病院の維持と病院を守る力の保持ってことかな?」
「もっとも乃々ちゃん含むナチュルスターの三人には重傷の人を連れ帰って貰うので一回病院まで行ったら戻ってもらいますけどねぇ~」
「…そうだね、もし『外側』から憤怒の街を攻めるなら三人の力は必要になると思う…」
- 862 :◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:28:52.07 ID:lAyPV7R4o
- ―
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!!』
暴風と雷がカース達を蹂躙して道を拓く。
『地よッ!力を貸せぇ!!』
急激に成長した草木がカースを握り潰す。
「いつ見ても派手だよね…」
魔法とは大違いだ…。
『氷よ!寄り集まりて塊となれぇ~♪』
仏像みたいな大きさの氷塊が無数に落ちてきて二人が捉え損ねたカースをぐちゃりと嫌な音を立てて潰す。
…訂正、私の魔法とは大違いだ。
「なるべく力を控えてくださいねぇ~♪」
「一体でも多く『憤怒の街』のカースを減らしたほうがいいんじゃないんですか?」
ほたるさんが不思議そうに尋ねる。
- 863 :◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:29:35.84ID:lAyPV7R4o
-
「三人は帰りは重傷者とか優先的に帰さなくちゃ行けない人たちを守りながらだから力はセーブしなくちゃ」
もっとも乃々ちゃんのオーラのお陰である程度強力な個体以外は近寄ってすらこないけど…。
「…け、結構維持って大変なんですけど…」
「これ維持出来なくなったら一気に私たち襲われて大変なことになっちゃいますよぉ~♪」
「ひぅっ!?」
……師匠、乃々ちゃんにプレッシャー掛けるのやめてぇ!
「…あれが病院かな?」
カースの群れが近寄って来ない一帯、これが…。
「結界の力かな?これ……」
「乃々ちゃんの力とはまた別種の結界のみたいですねぇ~♪」
「…あの、正直少し休みたいんですけど……」
「結界の中に入ったみたいですから力切っても大丈夫ですよぉ~♪」
「あはは、ありがとう乃々さん」
ナチュルスターの三人のお陰で魔力も殆ど使わないで済んだな…。
- 864 :◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:30:15.78 ID:lAyPV7R4o
- ―
病院に着いて早々問題が起きました。
「ここだけじゃなくていくつか似たような場所があるっていのは…?」
「…そうすると持ってきた食料だけだとカツカツかもしれませんねぇ~」
「はい、私がここの結界を張ってたんですけど…街の中同士だったら連絡はつくんです…」
「…ど、どうしましょう?」
「他の場所で結界なしで耐えられている人たちは耐性があるのかもしれませんねぇ~」
「…それならまだ手はあるね」
精神汚染を気にしなくていいならカースを物理的に塞げばいい。
「病院以外に生き残ってる人たちの居る場所は分かるかな?」
「は、はい、大体なら……」
結界を張っていた女の人はこの街の地図にいくつかの丸を付けてくれました。
「乃々ちゃん行きますよぉ~♪」
「いぃやぁ~……」
乃々ちゃんを引きずって病院の外に歩いて行くイヴさん。
- 865 :◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:30:47.03 ID:lAyPV7R4o
- ―
「やれるだけやってみましょうかぁ~♪」
「う、うんっ!」
「師弟で合唱魔術なんて燃えるじゃないですかぁ~♪」
「…私は丸着いた箇所全部やるのかと考えたら気が重いよ…」
「行っきますよぉ~♪」
『合唱魔術の発動を宣言する!』
『氷よ!大いなる我が力に従い、全てを覆い隠せ!アイシクルケージ!』
- 866 :◆yIMyWm13ls[saga]:2013/07/10(水) 00:32:00.37 ID:lAyPV7R4o
- 終わり。
病院に閉じ込められるって割りとやばいよねって思った。
・イベント情報
・『憤怒の街』各所に食料と簡単な支給品が届けられました。
・『憤怒の街』から重傷者と重病者を連れてナチュルスターが帰還しました。
・『憤怒の街』のいくつかのポイントが氷の檻で閉ざされました。
-
- 869:◆mtvycQN0i6[sage]:2013/07/10(水) 00:50:41.11ID:l79EpK+Yo
- 乙です
朋ちゃんいきます
- 870:◆mtvycQN0i6[sage]:2013/07/10(水) 00:53:37.32 ID:l79EpK+Yo
-
とある街角に、小さな占い屋がある。
お店の外見は古ぼけて、本当に小さなお店である。
だが、今日も行列ができている。
ここの占いはいたってシンプルである。
客はタロットを一枚引き、それを占い師が見ていろいろ言うのである。
一回100円。
それでも成り立つのは、人気が非常に高いからである。
だが、何故こんなに人気なのか。
それは単純に、占いが当たるからである。ほとんど100%、ひねくれた人が占いを無視した分を引くときっと100%である。
なんと、はるか昔の書物に、この占い師らしき記述も残っているが、定かではない。
代々そっくりの女性が占い師をやっているのか、それとも人ではないのか。
また、その占いの精度ゆえ、多くの人からその身を狙われてもいる。
昔は豪族や貴族から。
今は、宇宙人などから。
- 871 :◆mtvycQN0i6[sage]:2013/07/10(水) 00:54:32.47 ID:l79EpK+Yo
- ━━━━━━━━━
『えっと...じゃあこれで!』
「これは『恋人』ね。きっとその人とは上手くいくわよ。明日あたりアタックしたらどうかしら」
『あ、ありがとうござました!』
「お幸せに」
今日も占いが無事終わった。
今の人の恋もきっと成就して、あたしのところに報告に来るだろう。
その笑顔を見るとこっちも嬉しくなってくる。
さて、そろそろ店じまいをしようかな...
『......』
フードを被った人が立っていた。
「あの、もう今日は占い終わったわよ」
『......』
フードは無言で立っている。
「おかしな人ね...」
ビシュッ
ドゴォン
フードはいきなりあたしに向けてなにかを撃ってきた。
- 872 :◆mtvycQN0i6[sage]:2013/07/10(水) 00:56:00.75 ID:l79EpK+Yo
-
『...?...?』
びっくりしたわ...久しぶりに狙われたわ。
でも、フードもあたしがいきなり消えたから驚いてるみたいね。
それにしても、ちょうど『ⅩⅡ ハングドマン』が出てよかったわ...
『......!!』
でも、すぐにフードは空中に吊られたあたしを見つけ、また撃ってきた。
次のタロットは...これね!
『Ⅰ ザ・マジシャン』
『......!』
弾丸をそらしてやったわ。超能力じゃなくて魔法よ、魔法。
さて、こんどはこちらからよ。
『ⅩⅤⅡ ザ・スター』
フードめがけて岩が飛んでくる。流れ星よ。
『...く...』
フードは逃げようと考えたようだ。これだけ騒いだら、人も来る。そう思ったのね。
でも、逃がすわけにはいかない。
次のタロットは『ⅤⅢ ストレングス』
近くにあった車を投げ、道を塞ぐ。ごめんなさい、あとで弁償します!
- 873 :◆l7mOEUZwGw[sage]:2013/07/10(水) 00:56:38.25 ID:l79EpK+Yo
-
『...う...ちっ』
しまった、路地裏に逃げ込まれた。このあたりは入り組んでるから面倒なのよね。
でも、あたしにはこれがある。このタロットカードが。
『ⅩⅩⅠ ザ・ワールド』
さあ、あたしの世界へ...
━━━━━━━━━
くそ、うわさには聞いていたがあんなにいくつも能力を持ってるとは...
報告しなきゃな...
『そこのフードの人、ちょっといいかしら』
あっ...
- 874 :◆l7mOEUZwGw[sage]:2013/07/10(水) 01:00:43.63 ID:l79EpK+Yo
- ━━━━━━━━
━━━━━━
━━━━
昨日は大変だったわ...お店も直さなきゃいけないし、車も弁償しなきゃ...
あ、今日のあたしの運勢はっと...
- 875 :◆l7mOEUZwGw[sage]:2013/07/10(水) 01:01:13.87 ID:l79EpK+Yo
-
口調おかしくないよね...?
藤居 朋(??)
占い師。良く当たると評判である。
彼女の能力と占いの精度は関係ない。
能力は、『タロットカードに関連したアクションを出せる(一日各一枚ずつ)』
年齢は不詳。
『Ⅰ ザ・マジシャン』
魔法が一回だけ使える。炎も出せる。
『ⅤⅢ ストレングス』
一度だけものすごい力を発揮できる。
『ⅩⅡ ハングドマン』
好きなところに吊るされることができる。頭に血が上る。
『ⅩⅤⅡ ザ・スター』
岩がひとつ流れ星のように飛んでくる。
『ⅩⅩⅠ ザ・ワールド』
自分だけの世界に入ることができ、好きなところからでて、不意打ちなどができる。時は止まらない。
あとは考えてない
-
- 881:◆zvY2y1UzWw[sage saga]:2013/07/10(水) 01:31:52.86ID:KOmlQnYV0
-
さて、イヴさん街に突入前の話を投下しちゃいます…大丈夫かな?
- 882:◆zvY2y1UzWw[sage saga]:2013/07/10(水) 01:32:20.76
ID:KOmlQnYV0
-
イヴ非日常相談事務所。街が憤怒に包まれた翌日、そのドアを叩く客人がいた。
「イヴさーん、今暇かなー?」
パーカーのついた服を着た少女。完全に人間に化けたユズ…喜多見柚だ。
「はいは~い♪今は暇ですよ~」
「その言い方…今以外は暇じゃないって事?憤怒に包まれたあの街関連カナ?」
「いえ、ちょっと能力制御関連でお世話をしている子たちがいるんです~♪今は学校ですけどね~」
…その一人は昼子達と同じ学校に行っているのだが、それをユズは知らない。
- 883 :◆zvY2y1UzWw[sage saga]:2013/07/10(水) 01:32:54.89
ID:KOmlQnYV0
- 「あー学校かー…」
「ユズちゃんは学校に行ってないんですね~?見たところ行ってもおかしくなさそうですけど~?」
「まぁ蘭子様の所に居候するのは隠れてる間だけの予定だったから学校関連は特に記憶操作して無いからね…魔術教師もすることになっているからまだここにいる感じかなー。」
「先生をしてるんですか~こっちでも手伝ってほしい位ですよぉ♪」
そういえば神崎家の夫婦には自分は何歳の何の職業に見えているのだろうか…ニートではない…と思いたい。記憶を植え付けた昼子次第ではあるが。
「うーん、魔力管理の仕事もあるからなぁ…。保留にさせてー」
「OKだったらすぐに連絡くださいね!」
「そんなすぐには…って目的があって来たんだった!雪菜って子、大丈夫そう?」
雪菜…ルシファーに肉体を乗っ取られていた少女。ベルフェゴールの時は気にしていなかったが、さすがに知り合いが保護しているとなると気になるものだ。
- 885:◆zvYyUzWw[sage
saga]:2013/07/10(水) 01:33:28.41 ID:KOmlQnYV0
-
「まだ頻繁に体調を崩してしまうみたいですぅ。自宅へ帰れるほどには回復しましたけど…一人暮らしみたいで少し不安ですねぇ…」
「そっか…」
肉体を他人のそれへ変えてしまう能力。人間の肉体への負担はかなりの物だろう。
「あ、でも雪菜ちゃん魔力を持っていましたから、簡単な魔法を教えてみました♪」
「へー…もともとなのかな?」
「少なくとも自覚はなかったみたいですね~悪魔さんに取りつかれて器ができたのか、自覚が無くても持っていたのかは判断できませんけど~」
「そこまでとなるとアタシにも判断は難しいね…まぁ魔力に善悪無し!使用者がまともなら悪魔のせいで出来た魔力でもいいんじゃない?」
「魔力管理人さんが言うと説得力がありますね~あ、そうそう…ユズちゃん、合唱魔術の事で聞きたいことが…」
「え?何かな?」
- 886:◆zvYyUzWw[sage
saga]:2013/07/10(水) 01:34:02.38 ID:KOmlQnYV0
-
「ええっと…大きな建物を覆い尽くすくらいの氷魔術ってこれで大丈夫ですよね?」
イヴはある本のページを開いて見せた。書かれているのは頑丈な氷の檻で炎すら防ぐ防御魔術だ。
「アイシクルケージ…うん、これなら指定さえ間違えなければ城レベルの建物も守れるよ。…まさか、あの街に行くつもり?」
「…はい。病院が誰かの力で守られているみたいですから~♪お助けしないといけませんよね♪」
「イヴさん…合唱魔術ってことは話に聞いたお弟子さんと二人で行くつもり?危なくない?」
「いえ、5人で行くつもりです~あの子達となら大丈夫ですよ♪」
「イヴさんがそこまで言うなら強いんだろうけど…」
あの時見せてもらったイヴの力はかなりのものだ。それに魔族並…下手すればそれ以上の魔力も保持しているみたいだ。
正直加勢に行きたい。しかし、負の感情へ傾きやすい魔族である以上、あんな感情エネルギーの溜まり場へは近づかない方がいい。
「…無茶、しないでね?」
「はい♪」
今はこれだけしか言えない。
(…でも、人が危険地帯へ行くのに…アタシはどうすればいいんだろう…?)
「…!ちょっと待っててね!」
黒い闇のようなコートを纏い、水晶の杖をバッヂから元の姿に戻すとユズはいったん消えた。
- 887 :◆zvY2y1UzWw[sage saga]:2013/07/10(水) 01:34:42.60
ID:KOmlQnYV0
-
…暫くして、ユズが再び事務所の扉を開いた。
「…えっと…アタシはあそこに行けそうにないけど…!これ、持って行って!いつか役に立つと思う!」
渡されたのは巻物のように巻かれた数枚の羊皮紙と羽ペン。そこには一種の契約が書かれていた。
『魔術管理人ユズは契約を行い、使い魔を託す。確実な信頼者 へ』
相手の名前欄はまだ埋まっていない契約書。
「…アタシの使い魔を一枚につき一体、使い捨てで召喚できる契約書を…3枚。名前を専用の羽ペンで書くとその人が所有者になるよ。」
「いいんですか~?魔法使いの私に魔族のユズちゃんが…」
「契約すれば大体許されるから大丈夫!こき使っていいよ!」
「…じゃあありがたくいただいておきますね~♪」
こうして、死神ユズはちょっと変わった形で憤怒の街に関わることになった。
- 888 :◆zvY2y1UzWw[sage saga]:2013/07/10(水) 01:35:20.25
ID:KOmlQnYV0
- 使い魔譲与の契約書
少し魔力を流すとユズの使い魔ぷちユズを召喚・使役できる紙。
専用の羽ペンで名前を書かないと使えない。
戻すことはできないので召喚したらこき使って大丈夫。
炎・風・水を得意とするぷちユズの物がイヴに託された。
盾に使ってもいいのよ?
- 889 :◆zvY2y1UzWw[sage saga]:2013/07/10(水) 01:36:52.03
ID:KOmlQnYV0
- 以上です
雪菜関連の事書いていたら突入していて、裕美ちゃんの過労死を心配した結果がこれだよ!
名前欄は誰を書いても大丈夫です。こきつかってください。
-
- 892:◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 01:54:26.12
ID:Sscwd73wo
- >>765
「命の所有権」は配下限定に使えるザキなので案外大した事無いです。
「強欲の庭」は軽くチートに片足突っ込んでますけど、まあ、大罪の悪魔の切り札なんで
マンモンは典型的な「能力は強いけど本体はそうでもない」タイプだから
倒される時はあっさり倒されそうだなあって
>>843
逃げろ、ちゃま
いや、やっぱり逃げなくていいや、メガネ見たいし
ちょっと出遅れた感あるけど少しばかり憤怒の街攻略するよー
- 893:◆osdZSo[sage]:2013/07/10(水) 01:55:53.38 ID:Sscwd73wo
-
紗南「無理、無理、無理、無理、無理、無理!!!」
紗南「やっぱ無理ゲーだってば、これぇええ!!!!」
三好紗南は走る、ひたすら走る。
『マテコラアアアアアアアアアアア!!!!!』
『クソガアアアアアアァアアアアアアアア!!!!!!!!』
『ニガスカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
『[ピーーー]ゾぉオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
彼女は現在カースの大群に追われていた。
紗南「いわゆるアクティブな敵に絡まれまくってトレイン状態って奴ね!!」
あくまで運動能力はごく普通の少女である三好紗南が
カースの大群からなんとか逃げ切れているのは、
櫻井桃華から手渡されたシューズのおかげである。
『エアロシューズ』とか何とか言ったか。
重力制御なんたら装置なんて大仰な名前の物体が取り付けられたシューズで、
アンダーワールド産なんだか宇宙産なんだかわからないけど、
簡単に言えばダッシュ力とジャンプ力が飛躍的にアップするシューズであるらしい。
ちなみにモロに機械製品なのだが、
そこは例によって例の如く、マンモンの『物の所有権』によって、結界からの干渉を免れている。
- 894 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 01:57:47.98
ID:Sscwd73wo
-
「簡単に言えばBダッシュが出来るシューズですわ。紗南ちゃま、こう言うのは得意でしょう♪」
とかなんとか笑顔で言いながら、手渡されたのを思い出す。
紗南「そりゃあゲームなら回避ゲーだとか逃走ゲーとかまあまあできるけどさぁあ!!」
紗南「ゲームと現実は区別つけてよねえぇ!!」
憤怒の街に少し近寄れば前から後ろから横から、『憤怒』のカースの歓迎会であった。
「ようこそ、僕らの街へ!君も仲間にならないかい?」とでも言いたげな大歓迎である。
『強欲』の悪魔が紗南に下した命令は
『カースをできるだけ見つけて、情報を集めながら逃げること。』であった。
そして、見つける必要なんてなかった。と言う素敵なオチだ。
だって向こうから集まってくるんだもん。
真後ろからカースの砲撃が飛んでくる。
紗南はそれをジャンプでかわす。
紗南は自身の『情報獲得』で周囲からの攻撃をある程度は知ることができる。
それが遠距離からの攻撃ならば、『エアロシューズ』の力も合わせて
なんとかギリギリ、辛うじて避けることができるのだ。
紗南「ギリギリもいいところだよ!!かすりヒットでも私死ぬからねっ!!」
「極限の状況下でこそ人は進化できるのですわ!紗南ちゃま、応援してますわよ!」
なんて言ってたのも思い出す。
紗南「くそぉ!!絶対にあの悪魔許さないからぁああ!!!」
これほど怒っていても『憤怒』に飲まれないのは、その悪魔に支配されてるせいだとは彼女は知らない。
- 895 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 01:59:28.05
ID:Sscwd73wo
紗南「あっ!!!」
そして三好紗南は停止する。
『コッチカアァアア!!!』
『エモノダァアアア!!!!』
『ヨコセェエエエエ!!!!』
前方から多数のカースがやってきたからだ。
紗南(やばいやばいやばいやばいやばい)
あっと言う間に前後左右囲まれてしまった。
俗に言う四面楚歌である。
『モウニゲラレンゾオォオオオオオオオオオ!!!』
『クラェエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!』
『カカレエエエエエエエエ!!!!』
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
紗南の人生はここまでです。
ゲームで遊んでばかりいないで、
少しは言う事聞いて勉強もしておけばよかったのかな。
紗南「ゲームオーバー・・・・・・か。」
ざんねん!紗南の冒険はここでおわってしまった!
と言う事は無く、その時不思議なことが起こった。
『オラァアア!!』 『グゲッ!?』
紗南「えっ。」
一体のカースが隣のカースを殴ったのである。
- 896 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:00:20.71
ID:Sscwd73wo
-
『ナニスンダテメェエエエ!!』
『テメェガサキニヤッタンダロォオオ!!!』
気がつけば周りのカースはカース同士で争い始めた。
三好紗南のことはすっかり忘れてしまったらしい。
紗南「よくわからないけど、今のうちに!」
三好紗南は飛び上がる!
『エアロシューズ』を使った大ジャンプ!
今ならスーパー配管工にもなれる気がする!
乱痴気騒ぎのカースの群れを跳び越えて、
彼女は見事に逃げ去ったのだった。
- 897 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:01:04.00
ID:Sscwd73wo
- ――
そうして絶体絶命の窮地を乗り越えて、
三好紗南は隣街まで帰ってきたのでした。
紗南「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・。」
桃華「おかえりなさい、紗南ちゃま♪」
紗南(アタシをあの戦場に送り出した元凶たる悪魔は、)
紗南(人の気も知らないで笑顔で出迎えてくれやがりました。)
桃華「お疲れでしょう?喉かわいてますわよね?」
桃華「紅茶飲みます?」
桃華「さっきそこの機械から手に入れましたのよ!」
桃華「コインを入れてボタンを押すだけで紅茶が出てきますの!凄いですわよね!」
紗南が死線をくぐってるあいだ、
この悪魔は自動販売機で、午○ティーを買って感動していたらしい。
紗南(絶対いつか泣かすしっ!)
- 898 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:01:49.44
ID:Sscwd73wo
桃華「そんなに睨まないでくださいません?」
桃華「わたくしとて、あなたばかりに働かせていた訳ではありませんのよ。」
桃華「上を御覧なさいな。」
言われて紗南が上を見れば、
「あほー、あほー」
数羽のカラスが上空を飛んでいた。
紗南「あれが・・・・・・ぜぇ・・・・・・どうしたって言うのさ・・・・・・。」
桃華「あのくらいの下等生物なら、完全にわたくしの支配下に置けますの。」
紗南「・・・・・・。」
桃華「・・・・・・あっ」
桃華「今のはあのカラス達が下等生物って話で、」
桃華「わたくしに支配されてる紗南ちゃまのことじゃありませんわよ?」
紗南「悪意のあるフォローはいらないからっ!」
桃華「あのカラス達の目を使って上空から街の様子を観察していたのですわ。」
紗南「・・・・・・そう言うのってグーグ○アースとかでいいんじゃないの?」
桃華「魔力の流れを見るにはやはり生命の目を通しませんと。」
- 899:◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:03:35.81
ID:Sscwd73wo
桃華「紗南ちゃまのご活躍もちゃんと観察してましたわよ♪」
紗南「本当いい趣味してるよね・・・・・・。」
桃華「そんなに怒らなくてもよろしいですのに。」
桃華「カース達に囲まれた時、わたくし助けて差し上げたでしょう?」
紗南「えっ。」
桃華「予め、わたくしの支配下に置いたカースを紛れさせておいたのですわ♪」
桃華「街の外側のカース達は、『憤怒の街』の元凶たる存在の支配が緩いんですの。」
桃華「それにあの数ですから、わたくしのカースを数体、混ぜておいたところで気づきませんわ。」
桃華「木を隠すなら森の中・・・・・・と言う事ですのよ。」
桃華「紗南ちゃまが囲まれた時、カース同士で争う様に仕向けたのはわたくしの配下ですわ♪」
紗南(・・・・・・助かったのはこの悪魔のおかげなんだろうけど)
紗南(少しもありがたいと思わないなぁ・・・・・・)
紗南(だって)
紗南「アタシがピンチになった元凶アンタじゃん!!」
桃華「ウフ、ごめんあそばせ♪」
- 900:◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:05:21.42
ID:Sscwd73wo
桃華「それはそれとしてですけれど」
紗南「話変えようとしてる!今回、絶対危険手当貰うからね!!」
桃華「考えておきますわ。」
桃華「それより早くデータを見せてくださるかしら。」
紗南「えぇ・・・・・・休憩くらいさせてよ、鬼。」
桃華「仕方ありませんわね・・・・・・端末だけお渡しなさい。」
言われて紗南は携帯ゲーム機を渡す。
紗南「はい。でも操作わかるの?」
桃華「わたくしには『ベルフェちゃまの記憶』がありますから、」
桃華「ある程度の操作の仕方は”覚えて”ますわ。」
桃華「ここをこうしてこんな感じ・・・・・・ですわね。」
『強欲』の悪魔は『ベルフェゴールの記憶』にある様に器用にコマンドを入力し、
携帯ゲーム機に収まった情報の回覧をはじめる。
- 901 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:06:18.49
ID:Sscwd73wo
紗南「お嬢様の中の人の言うとおり、街の外側まわってきたけどさ。」
紗南「やっぱり何処からも簡単には進入できないっぽいよ。」
さきほど三好紗南は『強欲』の悪魔の命令で、
街の外周をグルリと一周してきたのだ。
その結果わかった事は、
街の内部に繋がる道は全て憤怒のカースに占拠されていると言う事。
どの道もウジャウジャとカースが外に向けて溢れていた。
桃華「まあ、地上の進入経路は最初から期待してませんでしたわ。」
そして携帯ゲーム機に収まった情報をある程度読み進めた悪魔は言う。
桃華「やはり・・・・・・。」
- 902 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:07:13.17
ID:Sscwd73wo
-
桃華「大した情報は入ってませんわね。」
紗南「えぇっ!!人がせっかく集めてきた情報にそんなこと言う!」
桃華「あら、今のは少し語弊がありましたわね。」
桃華「ただ、ベルフェちゃまならこれだけで犯人を特定していた。と言う話ですわ。」
紗南「しょうがないじゃん!アタシ能力に目覚めたばかりなんだし!」
桃華「わたくしとしても、紗南ちゃまにそこまでは求めていませんわよ。」
桃華「けれど、」
桃華「期待していた情報はしっかり集めてくださいましたわね。」
桃華「特別報奨ものですわよ。」
紗南「えっ。」
- 903 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:08:21.22
ID:Sscwd73wo
桃華「わたくしが紗南ちゃまに集めさせた情報は、」
桃華「『カースの来歴』」
桃華「つまりは、外側に溢れ出てくるカース達は」
桃華「何処で産まれて、どう言うルートを通って、外側まで出て来たのかですわ。」
桃華「紗南ちゃまは街をグルリと一周したと言う事は、」
桃華「街の外に溢れてくるほぼ全てのカースを見て、その来歴を調べたと言う事ですのよ。」
桃華「そして、その中でも自然発生型ではない、」
桃華「悪魔製、もしくはカースドヒューマン製のカースの来歴は、」
桃華「わたくし達にとって決定的な情報をもたらしますわ。」
紗南「あ、そっか!作られた場所が分かればボスの居場所わかるよね!」
桃華「それほど簡単な話ではありませんけれど、だいたい正解ですわ♪」
- 904 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:10:51.86
ID:Sscwd73wo
-
そうして、しばらく『強欲』の悪魔は携帯ゲーム機を弄くり、
一つのマップを作り上げる。
桃華「ベースはこの街の地図ですわよ。」
桃華「そして7段階に色分けしてる部分が、わたくしがカラスを使って観測した魔力濃度。」
桃華「そしてこの線の集まり、これが紗南ちゃまが集めてきた『カースの通ったルートの情報』ですわ。」
紗南は桃華の持つ携帯ゲーム機を覗き込む。
地図上の街の道には至るところに細い線、そして太い線があった。
太い線は多くのカースが通った道、と言う事だろう。
中には道ではないところを通ってる線もあったが。
桃華「注目するべきなのは線の始点ですわね。」
紗南「カースの発生地点だね。」
確かに見てみれば、
複数の線が、同じ箇所を始点にしている。
それは一目に付かない路地裏だとか、河川の橋の下だとか、地下通路だとか。
紗南「・・・・・・一箇所から産まれたんじゃないんだ。」
- 905 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:12:06.33
ID:Sscwd73wo
桃華「複数の場所からカースを発生させないと、街の占拠なんて到底できませんわよ。」
桃華「ですが、ある程度の偏りがわかればそれで結構ですの♪」
桃華「そうですわね。」
桃華「わたくしの観測した魔力濃度の分布と合わせて考えれば・・・・・・」
桃華「ココかココ、そしてココ」
そう言って強欲の悪魔は画面上の数箇所を指差す。
桃華「あるいはココですわね。」
桃華「全部で4ヵ所と言ったところかしら。」
紗南「もしかしてその中のどれかが?」
桃華「そうですわ。」
桃華「ボスキャラの居場所ですのよ♪」
- 906 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:13:26.01
ID:Sscwd73wo
-
紗南「うぅ・・・・・・あれほど死ぬ思いしたのに、一箇所に特定できないなんて。」
桃華「何を言ってますの。」
桃華「これだけ絞れれば十分ではありませんの。」
桃華「とは言っても、この中にブラフもありそうですわね。」
桃華「このマップを見る限り、この街の支配者は狡猾ですわよ。」
桃華「『突発的な衝動ではなく、何らかの意図をあってこの惨状を作り出した。』と言う事ですわ。」
桃華「なら、そのくらいの用意は当然してますわよ。」
紗南「うげぇ、ボス部屋かと思ったらトラップだったとか洒落にならないよ。」
桃華「ああ、そうそう。紗南ちゃま、わかった事はそれだけではありませんのよ。」
桃華「ここ、見てくださるかしら。」
桃華が指した場所は地図上の空白地帯。
紗南「何も無いじゃん。」
桃華「ええ、ここは”不自然に”カース達の道が無いのですわ。」
桃華「カース達はこの場所を迂回しているでしょう?」
確かに、桃華の言うとおり。
カース達はその場所でわざわざ遠回りをして通り過ぎているようであった。
紗南「どうして?」
桃華「ここに居ますのよ、『カースを浄化できる能力者』が。」
紗南「えっ!!」
- 907 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:15:13.19
ID:Sscwd73wo
-
桃華「他にも、この地図を見れば、カースの発生源が多いところ、少ないところがよくわかりますわ。」
桃華「カースの少ないところからなら比較的進入も楽に出来るでしょうし、」
桃華「カースの多いところには、そこを狙って広範囲の攻撃をすれば大きな成果が、」
紗南「そんなことより!!」
桃華「どうしましたの?」
紗南「助けに行かなきゃ!!」
紗南「浄化の能力者が居るってことは、そこにたくさんの人が生きてるって事じゃん!」
紗南「きっと助けに来てくれるの待ってるよ!」
そう言って駆け出そうとする紗南を
桃華「お待ちなさい。」
桃華は引き止める。
桃華「紗南ちゃま、あなたが今あの街に言って何が出来ますの。」
桃華「あなたの能力では逃げるのがせいぜいで、カースの大群は突破できませんわよ。」
桃華「本当に犬死したいんですの?」
紗南「でも・・・・・・。」
- 908 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:15:52.68
ID:Sscwd73wo
-
桃華「それに紗南ちゃま。わたくし達の目的はあの街の人間を救うことではありませんわよ。」
桃華「財閥の信頼を回復する。それだけですわ。」
桃華「この『攻略マップ』を財閥に持ち帰れば、それはある程度達成できますの。」
桃華「後の事は、今この街に来てるヒーロー達に任せればいいのですわ。」
紗南「・・・・・・わかったよ。」
桃華「あら、素直ですのね♪」
桃華「もっと反抗なさるかと思いましたのに。」
紗南「お嬢様の中の人に逆らっても無駄だしさ。」
紗南「それにアタシ一人じゃ助けに行けないって言うのも本当だし・・・・・・。」
桃華「ウフ♪紗南ちゃま、そんなに気を落さなくてもよろしいですのよ?」
桃華「もしかすると紗南ちゃまのおかげで助かる人間もいるかもしれないのですから。」
この後、財閥から然るべき者達に『攻略マップ』が贈られるが、
それがたった二人の少女によって作られたものだと知る人は少ない。
- 909 :◆6osdZ663So[sage saga]:2013/07/10(水) 02:17:30.68
ID:Sscwd73wo
- おしまい
えっ、財閥が作った地図なんて信用できない?
やだな、櫻井財閥は人類を守ってるホワイトプロダクションですよ^^
『エアロシューズ』
これを はいて Bボタンを おせば ダッシュ が できる ぞ!
『攻略マップ』
財閥が抱える能力者の精鋭達が、死の物狂いで作り出したと言う
『憤怒の街』の攻略マップ。作られた時点でのカースの生息分布がよくわかる。
4箇所の危険地帯と、数箇所の安全地帯が示されている。
なぜかゲームのマッピング風で、宝箱の場所だとか、ワープゾーンの場所も描かれている。
-
- 914:◆Nb6gZWlAdvRp[saga]:2013/07/10(水) 21:03:28.06 ID:wNJHgh5so
- カミカゼ投下ー
前回に引き続き菜々と夕美を借りたよ
- 915:◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:04:02.71ID:wNJHgh5so
-
「はい、今日はここまでです。お疲れ様でした」
トレーナーにレッスンの終了を告げられ、拓海と美世は座り込む。
美世「は~、もうヘトヘトだよ。なかなか慣れないもんだね」
拓海「これなら殴り合いの方がまだ楽だな……」
「休みたいのは分かるけど、次の子が来る前にどいてね。
あと、拓海ちゃんは恥ずかしがって動きがぎこちなくなるのを何とかしてね」
拓海「んなこと言われても、やっぱガラじゃねぇんだよ」
美世「でもやるって言った以上やるしかないよねー」
拓海「そ、そりゃそうだけどよ……」
ぼやきながら立ち上がり、レッスンルームから出ると二人の少女とはち合わせた。
菜々「あ、お疲れさまですー」
夕美「……」
拓海「お、おう。体は大丈夫か?」
菜々「大丈夫もなにも、初めから怪我は無くって周りが騒いだだけですよ?
拓海さんも心配症ですね、この通りナナはピンピンしてるのですっ」
夕美「ナナちゃん、行こう」
夕美は菜々の腕を掴むとレッスンルームへ引っ張っていく。
菜々「えー、もうちょっと話してたっていいじゃないですk」
そのまま、二人の姿はドアの向こうに行ってしまった。
美世「わっかりやすく嫌われてるねー……」
拓海「ああ、そうだな……」
- 916 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:04:39.84
ID:wNJHgh5so
-
_____________
正午。食堂は多くの人で混雑する。
やや出遅れてしまった二人は、運よく空席を見つけ席に着く。
拓海「隣、座るぞ」
夕美「!!」
露骨に嫌な顔をされたが気にしない。他に席が無いんだから仕方ない。
美世「隣いいかな?」
菜々「あ、どうぞー♪」
一方菜々は嫌がるどころか嬉しそうですらある。
拓海「おまえ、菜々から愛想を分けてもらったらどうだ?」
夕美「余計なお世話です」
菜々「二人とも、喧嘩しちゃだめですよー」
美世「ごめんねナナちゃん、うちの相棒口が悪くて」
菜々「いえいえ、夕美ちゃんこそプライベートではちょっとキツくなっちゃうらしくて……」
仲裁からそのまま和やかに菜々と会話する美世に、夕美が恨めし気な視線を送る。
拓海「おい、多分アイドルがしちゃいけない顔になってるぞ」
夕美「ナナちゃんは私の友達なのに……」
拓海「……」
- 917 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:05:22.88
ID:wNJHgh5so
-
夕美の頬をつまむ。
夕美「……あに?(なに?)」
拓海「おおやわらけぇ……っとそうじゃねぇ。
お前は馬鹿か、友達ってのは一人しか作っちゃいけねぇ訳でもねぇだろ。
ナナが他人と仲良くすんのを一々邪険にしてたらナナにも迷惑だぞ、お前はナナに迷惑かけたいのか」
菜々「迷惑かはおいといて、ナナも夕美ちゃんは友達を増やすべきだと思いますよ」
美世「あ、じゃああたしと拓海が友達二号と三号に立候補したげるよ!」
菜々「ありがとうございます! さあ夕美ちゃん、菜々のことでいつまでも嫌ってないで、仲直りに握手して友達になっちゃいましょうよ!」
夕美「え、でも私はナナちゃんだけで充分……」
拓海「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ」
拓海はごねる夕美の手を取り強引に握手する。
拓海「じゃ、これから友達としてよろしくな、夕美」
夕美「うー……よ、よろしく」
渋々といった感じではあるが、夕美が拓海を受け入れたことで菜々の表情がぱあっと明るくなる。
菜々「この後は皆さん暇でしたよね? 仲良くなった記念に早速どこか出かけましょう」
美世「いいね、どこ行く?」
拓海「……わりい、用事ができた。また今度な」
美世「拓海?」
拓海の視線はテレビに向けられている。
そこに映されていたのはナチュラルスターが憤怒の街から人を救出したニュース。
そして避難民の居場所を記された地図が公開されたところだった。
- 918 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:05:54.15
ID:wNJHgh5so
-
_____________
拓海「おいプロデューサー、アタシはあの街に行くからな」
「だめです、許可できません。死にに行くようなものじゃないですか。
急にどうしたんですか、今日までおとなしくしていたのに」
拓海「アタシだってあんな場所で闇雲に動けば死ぬのは分かってたさ。
だけどよ、ついさっきナチュラルスターが救助に成功して、要救助者の居場所が公開された。
闇雲じゃなくなった以上、ここで指くわえて眺めてるなんざ耐えられないんだよ」
「だからといって……」
拓海「アンタの意見は聞いてない。報告に来ただけだからな。
減給だろうが謹慎だろうがかまわねーし、説教なら終わった後でいくらでも聞いてやるよ」
美世「拓海!」
拓海「美世、何言ったってアタシは止まらねえぞ」
美世「分かってるよ。そうじゃなくて……人を運ぶなら車が入り用でしょ? あたしもついてくよ」
拓海「おまえ……怪我しても知らねえからな!」
「二人とも、待ちなさい!」
プロデューサーの制止を無視して、二人は走って行ってしまった。
- 919 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:06:36.45
ID:wNJHgh5so
-
_____________
拓海「おい美世、まだか?」
美世が車の整備をしたいと言ったので、二人はガレージに来ていた。
……が、その整備が中々終わらず、拓海は若干苛立っていた。
拓海「おい、いい加減に……!」
痺れを切らした拓海は、見てしまった。
美世の目の焦点が合っておらず、手は視認できないような速さで動いているのを。
拓海が絶句していると、唐突に手が止まり、
美世「……はっ!?」
美世の意識が戻った。
美世「ねえ拓海、あたし今何してた?」
拓海「ありえねえ速さで改造してた。バイク弄った時の記憶が無いってマジだったんだな、ありゃ異常だ」
美世「そっか……これも能力ってことになるのかな」
拓海「制御できない上に意識飛ぶんじゃ扱い難いにも程があるぞ。
それよりも、能力かどうかは後で調べるなりなんなりすりゃいいんだ、さっさと行くぞ」
美世「うん、おっけー!」
美世は今しがた自分で改造を施した装甲車に乗り込んだ。
・
・
・
- 920 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:07:29.01
ID:wNJHgh5so
-
憤怒の街が目前に迫るその場所は、GDFによって封鎖されていた。
そこからでも道路を埋め尽くすカースの様子は見え、時々こちらにやってきてはGDFと戦闘している。
GDF隊員「はい、ここから先は進入禁止になって……カミカゼ!? アイドルヒーロー同盟から連絡は来てませんが……」
カミカゼ「そりゃそうだ、独断だからな」
GDF隊員「な!? それじゃあここを通すわけには……」
カミカゼ「どけ。二度は言わないぞ」
GDF隊員「う……」
たじろぐ隊員を押しのけて前に進み、カースの群れと対峙する。美世の装甲車も後に続いた。
これだけの数を相手にすれば、下手をすると……いや、下手をしなくともただでは済まないかもしれない。
だが、自分がここで手を拱いていては、中で助けを待つ人々はどうなる?
ナチュラルスターたちだけでは間に合わないかも知れない。それどころか彼女たちも下手を打ってやられる可能性がゼロではない。
自分には戦う力があって、助けを求める人が居るのだ。止まってなど居られない。
カミカゼ「一人でも多く救ってみせる……命に換えてでも!」
- 921 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:08:00.03
ID:wNJHgh5so
≪エネルギー量が規定値を超えました。制限を一部解除します≫
- 922 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:08:32.48
ID:wNJHgh5so
カミカゼの体に変化が起きる。
スーツの各所に隙間が開き、空気の吸入・排出を始めた。
そうして生まれた気流はやがてカミカゼを包むように渦巻く。
カミカゼ・烈風「行くぞっ」
街へ向かって走り出す。
道路を塞ぐカースの群れは、突如迫ってきた外敵に対し一斉に腕や触手を振るう。
一方カミカゼは右手の指を鉤爪状に曲げ、
烈風「断空爪刃!」
そのまま振ると爪の軌跡を追うように風の刃が生じ、自身に迫っていたカースの腕は輪切りになってボトボトと落ち、崩れていった。
続けざまに左手を突き出すと、
烈風「リストツイスト!」
手首の隙間から噴出した風が水平方向に伸びる竜巻となって、カースを吹き飛ばした。
道路にぽっかりと生まれたスペースには一際大きなカースが一体だけ残っていて、周囲のカースは互いが邪魔になってうまく起き上がれない。
カミカゼはその一体に飛び掛ると右腕を高く掲げ、
烈風「真空唐竹割り!」
手刀の一撃で両断した。
それは核を僅かに外していたが、手刀の一閃で生じた気圧差を埋めようと流れ込む風がカマイタチになって核を切り刻む。
カミカゼが作ったスペースに美世が滑り込むと、新手のカースによって再び道路が封鎖された。
見渡す限りの敵、敵、敵。友軍は無し。退路も無し。
早々に窮地に追い込まれたはずなのに、危機感は無く、それどころか無限に戦えると思えるほどにエネルギーが体の奥から沸いてくる。
烈風「近場から行くぞ!」
美世「あいさー!」
二人の進軍が始まった。
了
――次回予告――
美世「新しい力に目覚めてカミカゼの快進撃が始まる!
……と思いきや、そこに立ちふさがる影!
底知れぬ怒りを抱えた少女との闘いで、新たな宿命が産声を上げる!?
次回の特攻戦士カミカゼは、
『憤怒の少女』!
覚悟、完了!」
この番組は、株式会社DeNAとアイドルヒーロー同盟、ゴランノスポンサーの提供でお送りしました。
- 923 :@設定◆Nb6gZWlAdvRp[sage saga]:2013/07/10(水) 21:09:20.25
ID:wNJHgh5so
- カミカゼ・烈風
拓海の覚悟が呼び覚ましたカミカゼのアタックフォーム
一挙手一投足が風を生み、生まれた風は刃となって敵を裂く
耐久性は低下するので敵の攻撃に注意が必要
現段階ではまだ自分の意思でこの姿になることはできない
断空爪刃
烈風専用技
獣の爪を思わせる四本の風の刃で近距離広角を切り裂く
リストツイスト
烈風専用技
手首から竜巻を出す遠距離広範囲技
敵を吹き飛ばす、体勢を崩すといった方面に特化しているため攻撃力に欠ける
真空唐竹割り
烈風専用技
鋭い手刀の後にカマイタチによる追撃がある二段構えの技
カマイタチをかわすのは非常に困難
超☆特殊装甲車
美世の魔改造品第二弾。やっぱり改造中の記憶は無い。
性能は以下の通り。
定員 :5名
最高速度 :170km/h
最大積載荷重:1.5t
走行可能距離:80km/L
ガソリン容量:60L
耐久性 :ロケット弾が直撃してもほぼ無傷
備考 :1MSv/hの放射線が降り注ぐ環境でも走行可能。よく分からないけど魔力や瘴気も放射線と一緒に遮断する。
美世を能力無しから変更
能力名 チューンナップ
車両を改造してオーバーテクな機能を付与する(制御不可)
改造内容を覚えていないため手探りで機能を確認しなければならない、発動のタイミングすら制御できないと難点ばかり
- 924 :◆Nb6gZWlAdvRp[sage]:2013/07/10(水) 21:10:10.32 ID:wNJHgh5so
- 投下終了
やったね夕美ちゃん、友達増えたよ!
カミカゼはこういう覚悟必須な環境だと強いんだよ!
スピードフォームの疾風も考えてるけど技が浮かばない……
あと、美世をロボットに乗せたかったって人が居たよな、素材は用意したよ。
-
- 934:◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:37:30.40ID:wjxkF575O
-
憤怒の街で投下します
- 935:◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:38:10.72ID:wjxkF575O
-
憤怒の街のとある場所
そこは櫻井財閥が作った地図に印された四カ所のカースの発生源の一つ。
そこに一人の女性が憤怒のカースを優しくも--蛇のようにまとわりつくように撫でていた。
「わかるわ」
川島瑞樹。嫉妬の悪魔--レヴィアタンだ。
- 936 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:39:09.74 ID:wjxkF575O
-
『ユルサネェェ!!コロスゥ!!』
「そうね。許さないわよね?殺したいわよね?」
憤怒のカースの怒りの声の一つ一つに優しく答えるも、その答えはカースにまとわりつく呪詛となる。
「わかるわ」
グチュリ……
- 937 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:39:54.62 ID:wjxkF575O
- 「けど」
優しく微笑むその顔は、まるで獲物を今にも丸呑みにしようとする蛇のように……
「それは、誰のモノ?」
『アッ!?』
グチュリ……グチュリ………
- 938 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:40:33.08 ID:wjxkF575O
-
「アナタの言葉は誰のモノ?」
『グッ……ガッ……』
グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ
カースは不気味な音を立てながら苦しみ……
- 939:◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:41:12.92 ID:wjxkF575O
-
「アナタの怒りは誰のモノ?」
『ヤメッ………』
ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクンッ!!
カースの身体は大きく脈打ち始め……
- 940 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:41:57.44 ID:wjxkF575O
-
「アナタの呪いは誰のモノ?」
『ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァ!!!』
ドロッ………
カースの身体は溶け出していく。
- 941 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:43:05.85 ID:wjxkF575O
アナタは誰?
-----------グチャッ!!
- 942:◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:44:46.82 ID:wjxkF575O
わ か る わ ね ?
- 943:◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:46:02.69 ID:wjxkF575O
-
溶けた泥が人の形になっていく。
『うっ……ぁ…い』
その姿
「うる……ぁい…」
その声
「うるさいっ!」
その怒りは……
『≪私≫にきまってる!!』
この憤怒の街の王----岡崎泰葉そのものだった。
- 944 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:47:05.25 ID:wjxkF575O
-
「ふふ、そうね。なら、私は行くわ。≪お留守番≫よろしく」
『わかってる。≪私≫の為だから。アンタは早く消えて』
まるで本物の岡崎泰葉のように、苛立ってる声で瑞樹を追い払う。
「ええ、あと二人も作らないといけないからそのつもりよ」
「頑張ってね。≪お人形さん≫?』
『……アンタも殺す…』
遠ざかり小さくなっていく相手に向かいポツリとそう呟いた。
- 945 :@設定◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:48:32.14 ID:wjxkF575O
- 憤怒の人形
レヴィアタン……川島瑞樹の呪詛により変異した岡崎泰葉の姿をしたカース。
元は岡崎泰葉が作り出したカースの為、性格、声、姿、能力が岡崎泰葉と同じだが、強さは岡崎泰葉よりは劣る。
カースを作り出す事はできないが、他の憤怒のカースに命令する事はできる。
櫻井財閥が作った地図のカースの発生源の4つの内3つに配備されている。
- 946 :◆I2ss/4dt7o[saga]:2013/07/11(木) 01:51:13.27 ID:wjxkF575O
- 以上です。
折角なので、先輩のドッペルカース作りました。
ハズレの場所に設置しておきました!
-
- 947:◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:19:59.44
ID:9N20OfESo
- 乙です
攻略の糸口的なもの投下します GDFとプロダクション借ります
- 948:◆jKjALPDp[sage
saga]:2013/07/11(木) 02:21:06.38ID:9N20OfESo
-
幹部A「どういうおつもりですか司令!」
幹部B「我々が彼らに手を貸すなんてそんな馬鹿なことがあって…」
幹部A「そうです!超能力者ばかりに頼るということは同時に彼らからの反逆リスクが…」
司令「馬鹿なことなんかじゃない。 彼女達…いくつかのプロダクションと協力の依頼をさせてもらう。」
司令「『アイドル』のメディアへの影響力はこの前の死神事件の通りかなりの影響力がある」
司令「我々は過ちを犯した、その過ちを打ち消すには彼女達の力が私は有効だと思っている」
- 949 :◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:22:27.25
ID:9N20OfESo
-
司令「それに今回の事態は今までのカースの事件からの1つの『区切り』だと私は考えている」
司令「我々が失態をやらかしたあの事件だってただ大量のカースが無秩序に街を襲い続けるだけの物だった…」
司令「しかし今現れてる『憤怒の街』はかなり異質な状況になっている」
司令「街の入り口に居座り彼らにとっての外敵を排除するカース、同様に空からの侵入にだってカースが邪魔をしてくる」
司令「大雑把ではあるが彼らがある程度の役割を持ち始めているということだ」
司令「誰かが操っているのか、カースが意思を持ち始めたかは定かではないがな」
司令「この事態はこれ以上放っておくと大変なことになると私は確信している」
司令「そろそろこの防戦一方の状況を打開しなくてはならないんだ!」
- 950 :◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:23:38.32
ID:9N20OfESo
-
司令「その為に外に出てくるカースの排除を我々がすべて受け持ち、強力な『アイドル』と我々が協力し攻め込み、憤怒の街を奴らから奪還する!」
司令「Noとは言わせない、すぐ作戦の準備を…」
大幹部「なるほど中々良い提案ではある」
大幹部「だがな若造、この作戦の失敗はお前の首どころでは無いぞ?下手にアイドルを失いでもすれば連鎖的に我々GDFの崩壊すらありえるからな」
大幹部「まぁ私は賛成させてもらうが、お前にその覚悟があるか?」
司令「勿論だ」
大幹部「理屈も無しにそうやって簡単に頷く、だから貴様は若造なんて言われるんだよ」
大幹部「今回だけのチャンスだと思えよ?貴様の首どころか命までかかってると思え」
大幹部「まぁどちらも既に危険なのは承知しているだろうけどな」
大幹部「君が前まで居た現場と我々『上』は違う よく覚えておきたまえ、私はこれにて退席させてもらう」
幹部AB「「お疲れ様でございます!大幹部様!」」
- 951 :◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:24:04.73
ID:9N20OfESo
-
司令(不本意ながらアイツの言葉に他の幹部は従うだろう…なんとか押し通せたか…)
司令(クソッ…権力に塗れたタヌキ共が…)
司令(未だに前司令の負の遺産は消えていないってことか…)
司令(今の私に必要なのは実績と発言力って事か…)
司令(私は絶対権力に溺れたりはしない…絶対だ…)
- 952 :◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:25:43.71
ID:9N20OfESo
- ――――
詩織「で、私達が護衛班になれ…と言うことですか」
司令「浄化能力者の力があれば私たちの兵器もあの中である程度は使えるだろう…同時に攻撃も出来ればお願いしたい」
司令「それにアイドルとは言え女の子だ…君たちみたいな頼れるお姉さんのような存在が居るだけで彼女たちの負担は減るはずだ…頼む…」
志保「私達そんなお姉さん扱いされるほど年食ってませんからねー!言葉のアヤだってのは分かってますけど!」
椿「アイドルとの共同作戦ですか!少し楽しみです!」
司令「君たちが一時的に所属するプロダクションは後々連絡する、それでは」ブツッ
詩織「今まで私たちの上司だった人が今や総司令か…」
志保「前より余裕が少し無くなってた感じがしますねー」
椿「私達『現場』以外の世界も大変なのかもしれませんね」
- 953:◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:27:12.35ID:9N20OfESo
- プロダクションにて
ピィ「そんなでかい話がウチにも回ってくるとはなぁ…」
ちひろ「どうするんです?社長はどちらにせよピィさんに任せるって言ってますけど?」
ピィ「うーん…危険ではあるな…いくらGDFの護衛アリとはいえ…」
ピィ「しかしこんな綺麗な子達があちらからの護衛班か…」
ちひろ「結構お強いらしいですよ?まぁこんな方々ですら日夜現代兵器で侵略者と戦うなんて世界が違いますよね…」
ピィ「確実にあいつらが聞けば全員賛成するだろうな…」
ピィ「彼女達も行きたがってる…それに耐え切れなくなって誰かが勝手に行かれても困るし…でもやっぱり危ないし…うーん…どうすれば」
- 954:◆j4KjALPDp2[sage saga]:2013/07/11(木) 02:29:10.80
ID:9N20OfESo
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GDF組とプロダクションの顔合わせフラグが立ちました
あと新司令によからぬ気配が
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- 966:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:54:46.55ID:Ttq3HsUK0
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埋めついでの投下ダヨー
- 967:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:55:32.82ID:Ttq3HsUK0
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名も無き星。そこは地球とそんなに変わらない文化や生物の栄えている星でした。
植物は日に日に減り、その星の環境も悪化していきました。
そんなある日、ある科学者が一本の木を植えました。
その木はみるみるうちに成長していきました。
そしてその木と同調するように、様々な植物が急成長しました。
急激な成長をした植物達はどんどん世界を覆い尽くし、大地の約半分がその急成長した植物に覆われました。
その始まりの樹は世界樹と名付けられ、恐れられました。
その世界樹は不思議なことに意思を持っていました。精霊が宿っていたのです。
その精霊も自らを世界樹と呼びました。
- 968 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:56:04.78 ID:Ttq3HsUK0
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世界樹の精霊は、領土を取り戻そうと森を刈りつくそうとする人間とコンタクトを取りました。
「我々の居場所を奪ったのは人間達ではなかったのか?逆の立場になって何か分かったか?」
人間達は植物の化け物を駆逐すべく、森に火を放ちました。
それに抵抗した世界樹の精霊は植物を異常な方向へ進化させ、大地の水分を全て吸い上げたのです。
大地は枯れ、それとは対照的に植物は潤い、火は殆ど効果を失いました。
しかし、世界樹は人間を徹底的に追い詰めました。殆どの植物が肉食と化し、凶暴になったのです。
水分を得るには海の水から塩を抜くか、森のどこかにある湧き水を見つけるか、その危険な植物から果実を得るしか方法はなく、数多の人間が死にました。
こうして大地の約8割は植物の物になったのです。
- 969:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:56:40.10 ID:Ttq3HsUK0
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全てが一段落した後、世界樹の精霊は様々な物に力を与え、配下にしました。
…その一人がユミだったのです。
「世界樹様?どうして人間を駆逐しないのですか?話に聞くほどの害悪なら、滅ぼしてしまえば…」
ユミ含む配下の精霊たちはよく世界樹に聞きました。けれど答えは返ってきませんでした。
そもそもユミ達の姿も人に似せて作られていて、世界樹の真意は全くわかりませんでした。
ある日、ユミは自分の担当区域で二人の人間が森に侵入しているのを発見しました。
鉄の剣を振り、一心不乱に森を進んでいるその姿を見てすぐに殺そうとしましたが、世界樹が駆逐しない理由を知りたかったユミは観察することにしました。
「あった?」
「あった!あれだよ!」
とある木に実った実を見つけると、分厚い布を構えながらそれを切り取る。切り取られた枝から毒を持った樹液が襲い掛かるものの、布で防ぎました。
「よかった~早いうちに見つかって!」
「これで私のお母さんも元気になるよ!」
- 970 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:57:10.18 ID:Ttq3HsUK0
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その時、地面から彼女達の足音に反応した凶暴な肉食植物が飛び出しました。
何とか初撃は回避したものの、その植物は少女たちに狙いを定めていました。
「こ、これ一番危ないっていう…!」
「先に逃げて!アタシがひきつけるから!」
「でも…!」
「親友を置いて死ぬわけないでしょ!早く行きな!」
(…しんゆう?)
聞いたことのない言葉でした。名前というわけでもなさそうです。
「ストップ。ご飯は後であげるからねー」
ユミが声をかけるとたちまち植物は大人しくなりました。
「…だれ?」
「精霊だよ…たしか人間は私たちの事をこう言うんだよね?」
「精霊!?」
人間と話すのは…そもそも世界樹以外と話すのは初めてでした。
- 971 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:57:44.78 ID:Ttq3HsUK0
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「その実をどうするつもり?」
「…お母さんの病気を治すのに必要なんです…!」
「すぐに出ていくからさ!見逃してよ!」
「ふぅん…」
正直どうでもよかったのですが…少しだけ、人間の文化に興味がありました。
「…一個でいいの?」
「へ?」
「一個で足りるのかって事。」
植物達も病気になるのです。進化した植物達は仲間の実を提供してもらい、食らう事で治療してきました。もちろん、一個では足りません。
しかし、少女たちはその重い実を一つしか持てなそうです。一人は剣を振る必要がありますから。
「どうせまた取りに来るんでしょ?そうだ、取引しようよ。」
少女たちは顔を見合わせました。
「毎日その実を一個あげるから、人間の事を教えてよ。」
悪い条件ではありません。少女たちは危険を冒す必要がなくなりますし、ユミも植物達を無意味に刺激しないで済みます。
その日は取りあえず見送り、翌日から植物達を大人しくさせて彼女達の為の道を作りました。
こうして、ユミは少女たちから知識を得たのです。
親友という大切な人の事。昔の人間と植物の関係。いろんな事を知りました。
- 972:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:58:10.41 ID:Ttq3HsUK0
- …少女達の結末?
彼女達は貴重な実を毎日持って帰っていたので悪党に目を付けられ、森から帰る途中で殺されてしまいました。
少女達の亡骸を見つめてユミは呟きました。
「欲にまみれた人間が…一番汚いんだね。」
亡骸は肉食植物が食べてしまいました。二人仲良く。
- 973 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:58:58.97 ID:Ttq3HsUK0
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それから時が過ぎ、ユミは、世界樹によって別の星へ派遣される精霊の一人になりました。
その星の文化を受け入れ、この星に役立つ情報も持ち帰る事。
…そして、その星の文明が植物を亡ぼすと判断した場合、初期化計画を開始する役割なのです。
- 974 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 20:59:32.13ID:Ttq3HsUK0
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時は現在に戻り、拓海達が飛び出していった後、夕美は菜々に問いかけていました。
「友達って…親友って一人じゃないの?」
「えー…ものすごい誤解ですよそれ…」
「そうなの?」
拓海に握られた手を撫でながら夕美は首をかしげました。
「そもそも親友も友達も何人いても問題ないんですよ…」
「…知らなかった。」
「夕美ちゃんの知識は変に偏ってますからねぇ…」
「じゃああの二人も友達?」
「そうですね!友達が多い事はよい事です!」
「…そっか、そうなんだ!」
花の咲くような微笑み。久々にアイドル中以外でも菜々以外の人にも見せられそうです。
- 975 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:00:18.12 ID:Ttq3HsUK0
-
そこにプロデューサーから呼び出しの連絡が入りました。
「…拓海と美世が担当のPの制止も聞かずに例の街に突入した。」
「えっでも指令は…?」
「指令無しの独断だ。そして今、正式に指令が入った。」
渡されたのは地図がプリントされた紙。
「…例の財閥から提供された地図だ。能力者に書かせた物らしい。」
「財閥って櫻井ですよね?信用できるんですか…?」
「今、あそこは信頼を立て直そうとしている。だから逆に信頼できるというわけだ。」
鼻で笑いながらプロデューサーは続ける。
「もっとも、一度轟いた悪名なんて、そう簡単に消えるものじゃないがなぁ…。お前たちも気をつけろよ?一度男の匂いをさせたらファンは一斉にいなくなる。嘘でもな。」
「私は男の人なんて興味ないよー?」
「…そういうのもやめような。誤解を生むからな。」
「?」
- 976 :◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:00:43.48 ID:Ttq3HsUK0
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「それより…印刷したのをわざわざ渡すということは…やっぱり端末使えないんですか?」
「ああ。拓海達の端末の位置把握情報が途絶えた。」
「ああ…やっぱり…」
「それで、拓海達にもこの地図を渡してもらいたい。可能ならば原因となっている者を討伐してくれ。無茶はするなよ。」
「了解しました!ほら夕美ちゃん、行きましょう!」
「うん!」
- 977:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:01:14.99 ID:Ttq3HsUK0
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専用車両に乗せられ、中で変身を終えて街へ向かいます。
「…?夕美ちゃん、その羽なんですか?」
「…あれ?なんでだろう、今まで出せなかったのに…」
変身を終えた夕美の背には、ぼんやりと光を放つ半透明の羽がついていました。
「理由は分からないけど…本来の力に少し近づいてる気がする!」
「…では、菜々も頑張らなくては!おニューな能力は無くても頑張りますよ!」
専用車両の扉が開かれ、目の前には街へ続く道。
「ネオトーキョー並に嫌な感じ…」
「…ここから行けばいいんですね?」
「ここが比較的手薄な道です!お気をつけて!」
「「行ってきます!」」
撮影も行われない、地獄のような街。今そこに二人の異星人が踏み込んでいきました。
- 978:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:01:43.71 ID:Ttq3HsUK0
-
「グオオオオオオオオオオオオオオ!」
「シンデシマエエエエエエエエエ!」
「咲け!」
夕美が地面を足で叩くと、地鳴りのような音と共に母星の肉食植物がカースを食い、核さえ砕きました。
「ギャアアアアアア!」
「すごいすごい!この花が咲いたなんて!」
「ウ、ウサミンスラッシュ!」
少し動揺しつつも菜々も手に刃のような光を纏って敵を切り裂きます。
「人は食べちゃダメ!他の悪そうな物を食べて!」
夕美の命令に従い、肉食植物が地面へ再び潜ります。
「さぁ!まずは友達を探さないとね!」
「ウサミンシールド!…そうですね!まずはあの二人を探しましょう!」
アイドルとして、ヒーローとして、やるべきことがあるのだから。
…難しい事を考えるのはその後にしましょう?
- 979:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:02:50.93 ID:Ttq3HsUK0
- イベント情報
・夕美&菜々が街に突入しました。
・目的は拓海への攻略マップの受け渡し→原因の討伐です。
・夕美の放った肉食植物は根を張ったエリアに指定されたものが近づくと足音などに反応して飛び出してきます。人は襲いません。弱点は触手の中心にある球根です。
・夕美が飛べるようになりました。
・夕美が拓海と美世を友達と認めました。
- 980:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:04:11.13ID:Ttq3HsUK0
- 以上です
友達増えたよ!
肉食植物は○王星から少しアイデアを借りてたり…
-
- 999:◆zvY2y1UzWw[sage]:2013/07/11(木) 21:59:04.25ID:Ttq3HsUK0
-
魔翌力マスターユズ・最終回!
全てを終わらせる時…!
ユズ「ベルフェゴール!この鎌をくらええええええええ!」
ベルフェゴール「さぁ来なよ!実はあたしは死の癒しを受けただけでしぬぞおおおおおおおおお!」
ユズ「うおおおおおおおおお!」
ベルフェゴール「このザ・フジミと呼ばれた大罪の悪魔のあたしが死神ごときにいいいい!」
ルシファー「ベルフェゴールがやられたみたいね♪」
アスモデウス「あの子は大罪の悪魔でも最弱…」
マンモン「死神ちゃまにやられるなんて、悪魔の面汚しですわ…!」
レヴィアタン「わかるわ…」
ユズ「くらえええええええ!」
「「「「「ぐわあああああああああああああ!」」」」」
f 憤怒P「よく来ましたね…魔翌力マスターユズ…」
ユズ(こいつが黒幕…!なんてゲスっぽい魔翌力…!)
憤怒P「貴方に言っておきたいことがあります…サタンの呪いが死の呪いだと思っているようですが…別に死にません。」
ユズ「な、なんだってー!」
憤怒P「そしてこき使っていたカースドヒューマンはなんか憂鬱になっていたので解放しました…あとは私を倒すだけですねぇ…」
ユズ「…なるほどね、じゃあアタシからも一つ!なんか堕天使が襲ってきた気がするけど別にそんなことはなかったよ!」
憤怒P「そうですか」
ユズ「ウオオオオオいくぞおおおおおおおおお!」
憤怒P「さあ来いユズ!」
ユズの勇気が世界を救うと信じて…!
ご愛読ありがとうございました!
次回、「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part4をお楽しみください!
※この内容は特に本編と関係ありません。ご了承ください
- 1000:◆kaGYBvZifE[sage saga]:2013/07/11(木) 21:59:11.19
ID:pFe9QsZg0
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