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より読み易い小説を目指して。<br> <br> 作:<b><font color="#008000">G4</font></b><br> <hr> <font color="#0000AA">Act0.「Prologue.」 (プロローグ)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 17:56:59</font><br> <br> もういいよ、やめてくれ。<br> 届かない、この言葉。<br> 神に抗う、君の姿。<br> もう何も無い、あの街。<br> <br>           *<br> <br> 時はわからない。<br> それはそれは、昔を語る人がいないからだ。<br> 場所もわからない。<br> それはそれは、地図なんて何処にもないからだ。<br> 目の前に座っている君もわからない。<br> 今君を見つけた僕にはわからない。君はどこから来たんだ?<br> いつからここにいたんだ?此処の事、何か知ってる?<br> 君は一体何だ?<br> 君はこの世界に何をしようというんだ?<br> 君は神なのか?悪魔か?それとも狂人?<br> そして君は、僕に一体何を施してくれるんだ ――?<br> <br>           *<br> <br> 何があったんだっけ。<br> 僕、何をしていたっけ。あの時、あの場所で。<br> 君はいつからいたっけ。<br> この場所にはいないけど。<br> <br> <br> <br>      Under Nightmare City<br> <hr> <font color="#0000AA">Act1.「The life to me.」 (我に生を)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 17:57:37</font><br> <br> 神は私達に場所をお与えになられた。<br> なんとも哀れな私達に、場所をお与えになられたのだ。<br> 上と下の、2つの世界。<br> 君ならどちらに行きたい?<br> <br>           *<br> <br> 気付いた時には僕はここにいた。<br> 路地裏、暗くて荒っぽい場所であった。<br> 静けさが空気と同じ位にあった。周囲には壁。<br> 恐怖や不安。マイナス的な要素が僕の中に入り込んできた様であった。<br> どうしたのかな。おかしくなってしまったのかな。僕。<br> <br> 寒さに震えた手を見ると、おかしい。根本的におかしい。<br> 僕の眼、狂っているのだろうか。手が青すぎる。<br> 青の中にどこか明るさが入っているような色。水色に似ている。<br> ああ、身体まで変になってしまったようだ。畜生。<br> 科学では証明できそうに無い、この身体。どうしてくれようか。<br> それでも、感覚というものは存在するようだ。<br> 寒気がするのは感覚があるということを証明している。<br> まったくもって奇妙だなぁ。はぁ。<br> <br> とりあえず、この状況を打破するべく、頭の中に知恵を張り巡らす。<br> 人が、いや動物が生きるためには水が必要となってくる。<br> 水と空気と最低限の食料だろうか。誰でもわかることだ。<br> ……このビルが立ち並ぶ街には動物なんていそうにない。<br> 食料は無理か?人肉を喰らうか?人はいるのか?<br> 疑問ばかりで混乱する。あれも駄目、これも駄目。キリが無い。<br> <br> 近くを歩いてみた。誰かいないものか。何十mか進むと、この静けさを破る、<br> 綺麗で、どこか悲しく響くような歌が聴こえてきた。<br> 歌の持ち主を探し、走る。自分以外の人がいたら嬉しいものだ。<br> 辿り着いた先は交差点。角の方から聴こえてくる。<br> 振り向くとそこには一人の少女が歌っていた。さっきから聴こえていた歌だった。<br> 外見は猫が人間サイズになった感じで、見ると、裸でも服があるわけでもなさそうだ。<br> ボロボロで一瞬汚らわしいイメージとは裏腹に彼女の眼は澄んでいて、<br> 何故か少し悲しげな雰囲気を漂わせていた。<br> 彼女は歌う。何にも囚われてないように、自由に歌う。<br> それはまるで、檻から逃げ出した鳥みたいだった。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act2.「Intersection and eclipse of the moon.」 (交差点と月食)</font> <font color= "#333333">2005/04/13(水) 17:58:24</font><br> <br> 彼女が歌い終わる。<br> 彼女は体育座りから立ち上がり、僕の方を見る。<br> 「あなた、だれ?」<br> 当然の質問ではある。<br> 答えておかねば。彼女に向かい、言う。<br> 「タカラです。た・か・ら。」<br> 「た・か・ら?」<br> 聞き返してくる。<br> 僕は言う。彼女に解かり易いように、ゆっくりと。<br> 「そうです。『タカラ』です。 ……貴方のお名前は?」<br> 名前も知っておきたい。話をするにも。<br> 彼女は少し思い詰めてから言う。<br> 「わたし、『でぃ』。で・ぃ。」<br> 「そうですか。貴方の名前は『でぃ』さんですね。」<br> こくりと頷く彼女。<br> さっきから思っていた疑問を全てぶつけたいところではあるが、<br> 彼女が相手だと言い辛いものがある。<br> 彼女にぶつけてしまえばどうなることやら。あわわ。<br> 欲を抑えろ、抑えろ、抑えろ。他に人がいるかも知れないじゃないか!<br> その人に疑問をぶつければいい!彼女に言うのは酷だ!<br> <br> 交差点の真ん中に向かって歩く。<br> 深呼吸をして、空を見上げてみる。夜だった。<br> 路地裏の方では空は見なかったな。<br> 星は見えない。月が見える。ん、あれは…<br> <br> 「こわい…。」<br> 彼女がポツリと言う。<br> だが僕にはその声はポツリとは聴こえなかった。<br> 存在感が在りすぎるその言葉を僕は信じた。<br> 信じてしまった。彼女の為。自分の為。<br> <br> 街はどんどん塗られていく。<br> 黒より黒い、闇の色へと。<br> その中に塗られてしまった『真実』があるはず ――<br> <br> 月なんかの光じゃ足りない、<br> もっと明るい、真実まで照らせる ――<br> <br> <br>   ―― 真実を照らすヒカリを求め ――<br> <br> <br> こんな暗闇に満ちた、いかれた世界、<br> 彼女が居ていい場所じゃない ――<br> <br> <br>   ―― このイツワリの街を出よう ――<br> <br> <br> きっと君を、<br> いや、必ず ――<br> <br> <br>      ―― 必ずキミを護るから ――<br> <br> <br> 交差点の真ん中。<br> 僕は彼女の手を掴んで走る。<br> トンネルが見える。つき抜けろ。<br> 「この街を…出てやる。元の世界に帰りたいんだ!」<br> 夜空には皆既月食が赤黒い光を漏らしていた。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act3.「Somewhere in this town.」 (この街のどこかで)</font> <font color= "#333333">2005/04/13(水) 17:59:00</font><br> <br> 高層ビルの屋上で、微笑する男。<br> その雰囲気は楽しげで、怖い笑いをしていた。<br> それはまるで、これから起こることを予期しているかのような。<br> <br> 何から説明したらいいか、わからない。<br> 気付いた時には追いかけられてた。<br> なら、逃げるしかないだろ?と、言うより逃げたくなるだろ?<br> こんな筋肉質の高い、普通の成人男性を遥かに超える大きさの鶏が走ってきたら。<br> 「+激しくスピードアップ希望+」<br> 汗だくになりながら俺は言う。<br> 現在トラックの上。運転手は道端で出会ったサラリーマン。心優しき赤の他人。<br> 鶏との距離を測るため、もう一度後ろを見る。<br> まだ追いかけてくる鶏。徐々に近づいて来ている感じがする。<br> 最初より増えている。その数4羽。捕まったらどうなることやら。<br> 顔が青ざめた感じがする。もはや他人事では無いのだ。<br> 俺は元々無類の忍者好きだった。<br> 忍者とは俺の憧れだった。この歳になっても。<br> その夢は叶ったのだ。この街に来た瞬間から。<br> 顔は少々悪いと思うが、まぁ気にしないでおこう。<br> <br> 何故この街にいたのか分からない。<br> 何時からこの街にいたのかも分からない。<br> だが夢は叶ったのだ。それだけで十分だった。<br> 神よ…そんな存在があるなら、俺はあんたを一生恨むよ。<br> 俺の夢を潰しやがって。畜生が。<br> トラックを運転しているいい歳のサラリーマンは黙って運転を続けていた。<br> <br> <br> <br> 大きなバイク音が響く。<br> 両側は壁の一方通行。そんな道を、2つの影が鬼ごっこ。<br> 1つはバイクに乗りながら、ごみバケツを蹴散らし走る。<br> もう1つは壁をジャンプしながら…、表現が悪いな。<br> まぁアクションゲームで御馴染みの、壁ジャンプを想像してくれれば、それで結構だ。<br> その壁ジャンプを両側の壁で繰り返しながら追いかけているのだ。<br> 両手には光ったナイフ。いや、光で出来たナイフ。<br> 逆手持ちにして、掛け声を掛けながら振り回している。<br> 掛け声の言葉を聞くと、狂人に思えるかも知れない。<br> いや、狂人なのだ。手から光のナイフを出すなんて。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act4.「Each fight.」 (それぞれの戦い)</font> <font color= "#333333">2005/04/13(水) 17:59:25</font><br> <br> 鉄の上を走る音。そう、ここは電車の上。<br> 男が走っている。緑色のフサフサした毛が特徴的だ。刀を持っている。<br> 向かう先には、口が変な奴。奴も黙って見ている気はない。<br> 何かを持っているかのようなポーズを取る。<br> 次の瞬間、手が光った。そして、その手には百合が握られていた。<br> そして彼は走る。そして激突、パワーとパワーの勝負。<br> もう止まらない。<br> <br> <br> <br> 橋を渡る。大きな橋だ。<br> 彼女はまだ戸惑っている様子である。<br> だけど後戻りは出来ない。戻ったって ――<br> <br> 影が被さる。<br> 上を見た。<br> 誰かが落ちてくる。<br> 飛び降り自殺か?<br> 違う。雰囲気的に違う。<br> これは、この様子は ――<br> <br> 「殺すつもりなのかっ!?」<br> 急いで飛び退ける。<br> 急降下してきた黄色い奴は橋に激突した。<br> 瓦礫が飛ぶ。煙が舞う。<br> 煙の中に見えた一つの影。<br> 理不尽だ。絶対にありえない。<br> <br> まだ生きてやがる。<br> <br> その手には赤い血のような光の大剣。<br> ビルの屋上にいたアイツ。<br> <br> 「我に従え、さもなくば抗え…」<br> <br> そんなことを微かに聴いた。<br> <br> <br> <br> 薄暗い建物の中、二人は黙っていた。<br> 一人は得体の知れない、奇妙な奴。<br> もう一人はまるでアンパンマンのような姿。<br> ばれないように身体を伏せている。<br> 避難民なのだ。この人達は。<br> 殺されるのだ。アイツらに関わったら。<br> でもいつか、殺されるのだ。絶対に。<br> <br> この街に明日は無い。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act5.「At the conclusion. 1」 (決着の時、1)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 17:59:54</font><br> <br> バイクは走る。<br> どこまでも、とはいかないが。<br> <br> 狂人は追い続けていた。<br> 彼しか眼に入っていないのだろう。彼以外は何の反応も示さない。<br> 携帯が鳴る。バイクに乗った彼の懐から。<br> 運転しながら取り出し、会話をする。スピードは落とさない。<br> 携帯を戻すと、彼は吹っ切れたようにスピードを上げた。<br> 狂人は気にしない。彼を追うのはやめない。光のナイフもそのままだ。<br> 裏路地から抜け出す。ビルが立ち並ぶ道路に出た。<br> そのまま道路を走っていく。狂人も走る。恐ろしいほどのスピードで。<br> もう一度携帯を出し、会話。狂人はナイフを振り下ろす。<br> <br> ガンアクションみたいな、際どい一瞬。<br> スクリーンを所狭しと激しく動くような映画が好きな人なら、この瞬間はたまらないだろう。<br> ナイフは地面に突き刺さる。アスファルトを貫くほどの力。<br> 当たったら一溜まりも無い。なんて奴だろう。<br> すぐにナイフを抜いて、こちら目掛けて突進してくる。<br> バイクの男は口元に笑みを浮かべる。もうすぐなのだ。決着は。<br> ビル街の中でも一際大きいビル。その1階目掛けてタイヤを回す。<br> <br> ガラスが割れる音。<br> ガラスの破片が落ちる音。<br> 埃が大半を占める床に跡を残し、止まるバイク。<br> 急ブレーキの音は1階中に響き渡る。<br> そして、タイヤの跡の上に現れた一人の少女。いや、幽霊。<br> 体中傷だらけ。足は無い。その手にはグロック。<br> 突進してくる狂人に向かい、銃口を向ける。<br> 少女は引き金に人差し指を掛け、力強く引いた。<br> 銃声が響き、銃弾が狂人目掛け飛んでいく。<br> その銃弾は右足に当たる。少しスピードを落としてしまう狂人。<br> 更にまた銃声が響く、2発目、3発目…。<br> 全てが足に当たり、少女を目の前にした時にはもう、あの恐ろしき勢いなどなかった。<br> 足に来るかなりの痛みによって狂人は倒れる。殺せなかったまま。<br> 息切れと銃声がまだ響いている中、少女は素早くリロードして構える。<br> 銃弾の行き先は、狂人の脳天。<br> <br> ―― 少女は引き金に人差し指を掛け、力強く引いた。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act6.「At the conclusion. 2」 (決着の時、2)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 18:00:22</font><br> <br> 刀と百合はぶつかり合う。<br> この、止まらぬ電車の上で。<br> <br> 傷一つ無い両者。<br> 様々な方向から攻撃する刀。<br> その攻撃全てを防御する百合。<br> この進展の無い戦いが一瞬にして変わる。<br> <br> 刀での攻撃は、外してしまうと隙が大きい。<br> だから、1発を確実に当てなければならないのだ。<br> 今までは運良くガードされているが、外したらもう駄目だったかもしれない。<br> 刀を正眼に構えている彼は、そんな事を思いつつ、戦闘に専念していた。<br> <br> <br> いやあ、実に面白い。<br> 敵の悪足掻きとは実に面白い。<br> 見ているだけでも、相手をしても。<br> 刀を正眼に構えている男を40mほど先から見ている男は、そう呟く。<br> その呟きも風に流され、もう聴こえない。男は眼を細くして、<br> 百合を何回か手の上で回し、構え直す。本気だ。<br> 叶わない願いを持つなよ、糞野郎。<br> <br> <br> 刀が宙を舞い、電車の上を転がって行く。<br> 百合を持った男は、電車の端に立つ。<br> そして、無様に電車の端を掴んで生き延びている男を見ている。<br> 勝ち誇った眼で、余裕の眼で、見下していたのだ。<br> <br> 決着の時は来た。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act7.「Horrific killer on bridge.」 (橋の上の殺人鬼)</font> <font color= "#333333">2005/04/13(水) 18:00:50</font><br> <br> ありえない。<br> 不可能だ。<br> <br> 夢なら覚めてくれよ。<br> <br> <br> <br> 身体の上に乗っている瓦礫を払い除ける。<br> 物凄いパワーで背中を蹴られた衝撃と、壁に当たった衝撃。<br> それに加え、その衝撃によって崩れ落ちてくる瓦礫。<br> 普通なら死んでもおかしくないだろう。そう、普通なら。<br> だけど今、僕には意識があるし、身体も動かせる。<br> ありえない事ばかりだよ。此処は。<br> <br> <br> <br> 「そこを通らせてください。」<br> 言ったのはこれだけだったか。<br> その直後、彼は僕の後ろに回り、蹴りを放った。<br> その蹴りの尋常じゃない衝撃に、僕は吹き飛ばされた。<br> 橋の向かい側にある壁の方に当たり、それからも自然の追い討ち。<br> しかし、蹴りだけでこんなに吹き飛ぶものでは無い筈だ。<br> おかしい。おかしすぎる。何から何までも…。<br> <br> 頭の中で、思考を止めた時には、僕は立っていた。<br> その手には近くにあったバス停の看板。<br> 何も知らない人がこれを見たら、どんな感想をくれるだろうか。<br> 多分、僕は場違いだとか言われそうだな。<br> ……ああもう、どうでもいいや。<br> 僕は彼女を守るんだろ。<br> ここで躓いてどうする、タカラ!<br> <br> 今まで気体のようだった決意と言うものは、既に固体になっていた。<br> <br> <br> バス停の看板だとかこの世界はありえないだとか敵が強すぎるだとか場違いだとか、<br> これは夢だとか死んでしまうだとか自分の損得だとか今の僕は何も知らないだとか、<br> <br> <br> ―― そんな事はどうでもいいんだよ。僕は彼女を守る。それだけでいいんだよ。<br> <br> 「そんな事はどうでもいいんだよ。僕は彼女を守る。それだけでいいんだよ。」<br> <hr> <font color="#0000AA">Act8.「Result theory.」 (結果論)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 18:01:28</font><br> <br> 重いバス停の看板を、軽々と操る僕。<br> 血のように赤い光の剣を、慣れた手つきで扱うアイツ。<br> そんな戦争を、悲しき眼で止めようとしている彼女。<br> <br> 看板がアスファルトに当たる。<br> アイツはかなり高い所から剣を振り落として来る。<br> もう看板など軽く感じてしまう僕は、速やかに避ける。<br> 剣はアスファルトを貫いていた。やはり恐ろしい。<br> さっきからこういう事が続き、一向に進展が無い。<br> 彼女は逃げずに戦いを見ている。<br> <br> アイツは橋の上の方に飛躍した。<br> またか。ワンパターンだ。まるでコンピューターみたいだ。<br> とは言え、自分はあんな高い所には行けない。無理だ。<br> 行ける方法は…あるんだな。これが。<br> アイツはまた落下してきた。外すとまた飛躍しようとする。<br> 僕はその瞬間を見逃さない。チャンスなのだ。<br> 僕はアイツの足を掴んだ。足が地面から離れた瞬間に。<br> アイツはそのまま飛躍してしまう。いや、止めようが無かったのだ。<br> 予想外の行動だからか、何故だろうか。<br> まあいい。これで上に上がれた。ここからはこっちの番 ――?<br> <br> <br> <br> 海が揺れる。<br> 激しい波が起こる。<br> それから少し経った。<br> 落ちた時は激しかった波紋も、もう静かになっている。<br> 身体にはいつの間にか傷がたくさん。<br> 周りには水が。しょっぱい水だ。ここは海?<br> <br> …思い出した。僕は攻撃をまともに喰らい、海に落とされたんだ。<br> ……ははっ。彼女を守るとか言って、結局守れなかったな。ははは。<br> ………ダサいな、僕。駄目駄目人間だ、僕。何も出来なかったな、僕。<br> <br> そろそろ息苦しくなってきた。<br> <br> 『―― ― ――― ?』<br> <br> 誰だ?何を言ってるんだ?<br> <br> 『それが望んだ結末なのか?』<br> <br> 望んじゃいない、望んでたのは ――<br> <br> 脳裏に浮かべた風景。<br> 僕はアイツを倒し、彼女と一緒に元の世界へ戻る場面。<br> 望んでたのは ――<br> <br> <br> <br> 傷は癒え、体中の臓器は活動を再開。<br> そして眼を覚ました僕。その手には青い剣が。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act9.「Short, long adventure.」 (短いようで長かったアドベンチャー)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 18:01:57</font><br> <br> 海を引き裂き、僕は蘇った。<br> 今の僕には、何もかもが出来る気がする。<br> いや、既に出来ているのだ。海の中を飛躍だなんて、出来る筈が無い。<br> 軽やかに着地し、青い剣を振るう。<br> その攻撃は赤い剣でも抑えきれない強さで、アイツを向かい側へと吹き飛ばしてしまう、<br> そんな強大な力があった。休む間も無く、僕は彼女の手を掴む。<br> 「行こう。元の世界へ。」<br> <br> <br> <br> 随分経ったであろうか。<br> 街の周囲を囲っている壁を抜けた所。<br> そこに今、僕達はいた。<br> 砂漠が見える。朝焼けが見える。<br> ひんやりとした空気を感じる。<br> そして、冒険は終わってしまう。<br> <br> 砂漠の中に見えた看板。丁度矢印の形をしている。<br> その方向に進んでみる。元の世界に戻れると思いながら。<br> ふと後ろを見ると、彼女は下を向いている。<br> 「…さぁ、早く行こう。」<br> 僕は呼びかける。<br> しかし、彼女は動じなかった。<br> そして、彼女は下を向いたまま喋った。<br> 「ありがとう…。でも私は一緒に行けない…。」<br> 僕はその時、この意味がよく分からなかった。<br> 「何を…」<br> 何を言ってるんだ?そう言いかけた時だった。<br> 彼女は今までとは違う、力強い声で訴えた。<br> <br> 「来ないで!」<br> <br> 僕と彼女との間に壁が現れた。<br> 大きく、越えられない壁。<br> 僕はただ、呆然と見ているしかなかった。<br> 「早く…行きなさい…」<br> 彼女の声が聴こえる。<br> 泣いている。彼女は泣いている。<br> 僕は彼女の言うとおりに、壁に背を向け、走り出してしまった。<br> 「すぐ戻るから…、」<br> 「待ってろ、」<br> 僕の身体の周りを、炎が覆う。<br> 「きっとキミを救い出してみせる。」<br> <br> <br> 壁の向こう。<br> 彼女の後ろに影がある。<br> 赤い剣を持った男が後ろに。<br> そして男は剣を振りかざし、<br> それと同時に彼女は光の弓を作り出して構えた。<br> 彼女の眼には涙が。<br> <br> 「さようなら。」<br> <hr> <font color="#0000AA">Act10.「The war ended, and I obtained solitude.」 (戦争は終わり、僕は孤独を得た。)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 18:02:33</font><br> <br> 気付いた時には僕はここにいた。<br> カプセルの中。機械の音声が聞こえてくる。<br> あれは夢だったのか?<br> 疑問を残しながら、カプセルの外へと出る。<br> モニターに夢中になっていた科学者が僕に気付き、集まってくる。<br> その時、脳に大量の情報を埋め込まれた感じがした。<br> <br> …そして思い出した。<br> 全てを。さっきまでいた場所が「夢街下層部」。<br> 思い出したよ。今になってさ。<br> 次に僕は科学者達が見ていたモニターに釘付けになってしまった。<br> <br> 友達が死んでいく。<br> 「……っぁ…ァっ…、」<br> 声が出ない。<br> 「…ァァ、あっああア…、」<br> 友達はAIによって消されていく。<br> 避難民も、抗う奴も、皆全てだ。<br> 「嗚呼ああアアあ亞ァ阿!!」<br> モニターが赤色に染まっていく。<br> 嫌というほど、赤色に。<br> 「Pi- ジッケンタイ№9、シボウカクテイ。」<br> 「黙れぇっェッ!!」<br> 狂った声を出す。<br> 「Pi- ジッケンタイ№17、シボウカクテイ。」<br> 「五月蝿いィっ!!」<br> 吐き気がして来る。<br> 「Pi- ジッケンタイ№4、シボウカクテイ。」<br> 「止めてくれっェ!!」<br> もう嫌だ。<br> <br> 「Pi- AIプログラム、Dデリート。」<br> <br> D?<br> ディー?<br> でぃ?<br> まさか。<br> 嘘だ。嘘に決まって…<br> モニターを見た。<br> さっきまで俺がいた砂漠には、赤い無残な死体がポツンとあった。<br> その容姿は、まさしく彼女であった。<br> 光の弓は消えていく。彼女も消えていく。<br> <br> 終わった。<br> 何もかも。全てが。<br> <br> 街にはもう廃墟が残るだけで、<br> 存在意味を無くしたAI達は消えていく。<br> 何も無い。何もかも無い。<br> <br> もう何も無い、あの街。<br> <br> <br> <br> もう何も無い、あの街。<br> <hr> <font color="#0000AA">Act11.「Epilogue」 (エピローグ)</font> <font color="#333333">2005/04/13(水) 18:03:07</font><br> <br> その後、僕は一生残る傷跡を胸に抱える。<br> この忌々しい記憶。7年前だったか。<br> そして今の僕はというと、本当の夢の街を目指し、計画している。<br> 彼らの犠牲を無駄に出来ないから。<br> <br> 大規模な事件を起こしてしまった、この「夢街下層部」計画と、<br> それと同じように行われた計画、両方とも試作の段階であり、まだ未完成であった。<br> 僕はこのテストを受ける事になり、こうして夢街下層部へと来た訳だ。<br> 試作段階なので、バグは起こる。僕の場合は記憶喪失だ。<br> もっとも、夢街下層部内だけでの事だが。<br> <br> もう一つの計画でも、同じようなことが起こったらしい。<br> AI達の反乱。これは反省点とも言えよう。<br> 両方合わせて死者22名という事故を起こしてしまったのだから。<br> <br> 余談だが、もう一つの計画の名は、「夢街上層部」計画というらしい。<br> 同じ事故が起こり、同じ死者数であったという。<br> <br> まぁそれはそれで、別の話になるのだが。<br> <hr> <font color="#0000AA">あとがき。</font> <font color= "#333333">2005/04/13(水) 18:03:40</font><br> <br> 気分転換に小説に挑戦。<br> 気分転換はいいね。うん。気分転換一番好きかも。<br> さて、今回の元ネタはこちら↓<br> <a href= "http://clairvoyance.hp.infoseek.co.jp/nightmare.html">http://clairvoyance.hp.infoseek.co.jp/nightmare.html</a><br> <a href= "http://sakots.pekori.jp/bbs/test/read.cgi?bbs=anage&amp;key=1105358085&amp;st=325&amp;to=325&amp;nofirst=false"> http://sakots.pekori.jp/bbs/test/read.cgi?bbs=anage&amp;key=1105358085&amp;st=325&amp;to=325&amp;nofirst=false</a><br> <br> 本家のと違ってキャラがアレだから使い辛い場面がてんこ盛り。うは。<br> 気付く人は気付く事~。<br> ・タカラとでぃ以外名前が出ていない。<br> ・偽モナの武器が百合に。<br> ・台詞少ない。<br> ・微かにNCと関わりがある。エピローグ以外で。<br> ・バッドエンド?<br> <br> 二つ目は絵板で見かけて、どうせモナの武器名前知らねーし、、、<br> ってことで百合にしちゃいました。<br> んで、サブタイトルはエキサイト翻訳を頼りに…うわ何をするやめくぁwせdrftgyふじこlp<br> 英語苦手なのにねー。こんな事普通はねー。 lllorz<br> <br> 説明の所、より読み易い小説を目指して、<br> と書いてありますが、どうでしたか?<br> <br> 後、長編の方じゃまずかったら、言ってください。<br> 誤字脱字とかもあったら報告お願いします。<br> それでは。<br> ―――――y―――――――――――――<br>      ∧ G4<br>     ミ,,゜Д゜彡ノシ<br>     '゛"´~`"゛`<br>
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