邪知暴虐の王

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邪知暴虐の王 - (2013/04/27 (土) 23:58:29) の編集履歴(バックアップ)


目覚めて早々、キングスライムは激おこぷんぷん丸状態だった。

「なんて無礼な男なんだ! ぼくは王様なんだぞ! こんな戦いに乗るもんか!」

彼は『キング』である。だからエラい。別に何もしてないけど、キングならエラいのだ。
生まれた時からエラかったので、自分は常に上の立場にいて当然だと考えていた。
そんな自分に対して上から目線で「戦い合え」などと言われて、黙っていられるわけがない。
粛正だ! モリーは自らの手で粛正を下してやる! 彼はスタンスを決定した。

「あの野郎、ぶっ殺してやる!」

知性の欠片もない悪態をつきながら、ボヨンボヨンと跳ねて歩く。

……すると、道中の橋の上で鎧に身を包んだ大男と鉢合わせた。
ちょうどいい。この男を家来に引き入れよう。

「おい、そこの侍! 王様であるぼくの部下になれっ!」
「誰に向かって口を利いている? 雑種が……」
「はぁ!?」

鎧の大男の名前はギルガメッシュ。
数多くの名高い武器を求めて旅をする剣豪の魔物である。
強力な武器、すなわち強さこそが彼の求める物であり、強さが無いものは見下す性格だった。
よって、目の前の弱そうなデブなんて、完全に格下だと見なしたのだった。

「おい、貴様の支給品をここに置け。我はせっかく集めた7つの武器を主催者に奪われ、機嫌が悪いのでな」
「お前こそ誰に向かって口を利いてるんだ! 僕は王様なんだぞ!」
「フン、戯言を……。いいだろう、ならば貴様に"格の違い"という物を教えてやろうではないか」
「うるさいぞ! 格も何も、ぼくは王様だって言ってるだろ! 聞けよバカちん!」

憤慨したキングスライムはメラゾーマを唱えた。
巨大な火の玉がキングスライムの頭上に浮かび、それはギルガメッシュ目掛けて放たれる。

ぶわっと火柱が舞い上がり、強い熱風が大地を焦がす。
ギルガメッシュが立っていた位置には、大きな焼け跡だけが残っていた。

「わーっはっはっは!」

それを見てキングスライムは高笑いをした。

「たわけが……」
「へっ?」

刹那、頭上から聞こえた嘲るような声……。
驚いたのも束の間、強烈なかかと落としがキングスライムを頭上から思い切り叩き潰した。

「ピギーッ!」

キングスライムは情けない悲鳴をあげて、肉体を維持できずたちまち液状化していった。

「今のは竜騎士の初歩中の初歩の技、ジャンプだ。
 そのような一撃で力尽きるような貴様如きが王を名乗るなど、呆れを通り越してもはや滑稽だとは思わぬか?」

そう呟いて彼は、キングスライム液の中から戦利品を拾い上げる。
それは細長い長方形の布、いわゆるハチマキだった。
ギルガメッシュはそれを頭に巻くと、その場から立ち去る。

「この程度の相手ばかりであれば、我の優勝など容易いもの……
 最後までこの大地に立つのはただ一人、このギルガメッシュをおいて他にない」

彼はモリーの思惑に従い、他者をなぎ倒して最後まで生き残るつもりでいた。
前述したとおり、彼にとっての格は強さによって決められる。
……つまり、あれほどの力を持つ主催者に対して、多少なりとも畏怖の念を抱いていた。
無論、だからと言って武器を奪われた怒りが収まったわけではない。いずれは主催者に挑みかかるつもりだ。
あくまで、現時点では歯向かわない方が得策だと、そう考えているだけだ。ヘタレではない。決してヘタレではない。

ギルガメッシュは自分の支給品であるくさりがまをくるくると振り回す。
普段使う武器とは全く違うが、武器の扱いに長けている自分ならこれでも十分使っていけるはずだ。
彼は特に根拠も無く、そんな強い自信を抱いた。……はたして、その慢心が今後どう響くのかはまだわからない。


【D-7/橋付近/一日目/昼】

【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:くさりがま@DQ、気合のハチマキ@ポケモン
[所持]:ふくろ(中身なし)
[思考・状況]
基本:勝ち残り狙い
 1:他者に戦いを挑みつつ、支給品を集める
 2:現状じゃ主催者に勝てないと判断

[備考]
オス。強さこそが格だと信条している。高飛車な性格。一人称は「我」。



ドロドロにとろけた状態でキングスライムは泣いていた。
彼に支給された『気合いのハチマキ』で辛うじて死なずに済んだものの、ほぼ瀕死である。
こんな状態じゃ、他の者に止めを刺されて終わってしまうだろう。詰みだ。悔しい。

その時、唐突に優しい光が降り注いだかと思うと、不思議なことに彼の体力はみるみる回復していった。

「な、な、なんだこれ」
「コレデ、モウ大丈夫ダヨ」

そう話しかけたのはタブンネ。ヒーリングポケモンだ。
彼女は得意の癒しの波動で、キングスライムの傷を癒したのだ。
力を取り戻したキングスライムは、形状を整えてタブンネの方を見た。

「き、きみはいったい……?」
「ワタシ、戦イナンテイヤナノ。アナタモ一緒ニ助カル術ヲ探ソウヨ!」

タブンネはニッコリと微笑みかけた。









「はいドーン!!」

キングスライムはタブンネに向かって回転をかけたタックルを放つ。
巨体を思いっきり叩きつけられたタブンネは、全身の骨を砕かれて息絶えた。

「コノ野郎! 王様であるボクに向かってタメ口とか有り得ない! あの世で反省しろっ!」

キングスライムはもう動かないタブンネに向けてそう吐き捨てた。
そして彼はちゃっかり彼女のふくろから支給品である拡声器を拾った。
もはや死体には一瞥もくれずに橋をポヨンポヨンと渡る。
言うまでもなく、彼の心には罪悪感なんてものは一片たりとも無かった


【D-7/橋付近/一日目/昼】

【キングスライム@ドラゴンクエスト】
[状態]:健康、肉体損傷(小)魔力消費(小)
[装備]:なし
[所持]:ふくろ(拡声器@現実)
[思考・状況]
基本:主催者を粛正する
 1:モリーをたおすために下僕を集める
 2:王様であるボクに無礼は許さない

[備考]
オス。キングに生まれたというだけで偉そうにしている。頭が悪い。一人称は「ボク」。



【タブンネ@ポケットモンスター 死亡】



《支給品紹介》
【気合のハチマキ@ポケモン】
頭に巻くと、致命傷を受けても気合で持ちこたえる事がある不思議な道具。

【くさりがま@ドラゴンクエスト】
戦闘用の鎌に、鎖で繋がれた分銅がついた遠近両用の画期的な武器。

【拡声器@現実】
遠くまで容易に声を届かせることが出来る機械。バトロワでは死亡フラグの代名詞。

No.00:オープニング 時系列順 No.:[[]]
No.00:オープニング 投下順 No.:[[]]
キングスライム No.:[[]]
ギルガメッシュ No.:[[]]
タブンネ 死亡