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医療問題 > 業務上過失致死罪

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業務上過失致死罪

医療行為が刑事事件として扱われる可能性のあるのはどんな場合でしょう?
故意による犯罪は問題外ですから、医師が「通常の医療」を行い、結果が不幸な事態になった場合に問われる可能性のある罪は「業務上過失致死傷罪」になります。
参考:業務上過失致死罪とは(ろくろくびさんのまとめサイト「まとめてみる」)
では現実的に罪になる可能性はそんなに高いのか?という点に関して議論のあるところです。モトケン先生のエントリには以下のような記述があります、
犯罪とは、「構成要件」に該当し、「違法」かつ「有責」な行為と定義されています。
・・・
医療行為は原則として犯罪の構成要件に該当すると言ってよいものです。
しかし、医師が医療行為をしたからといって逮捕されたり起訴されて有罪になったりするわけではありません。それは、医師の治療行為は、それが構成要件に該当するとしても正当業務行為として違法性が阻却されると説明されるからです。
つまり医師の治療行為が正当業務行為である限り犯罪では有りません。
問題は医師が、医師にとっての「通常の医療」を行っている時に、司法がそれを「正当業務行為」と判断してくれるか?という事です。
妥当性があるかないかの判断が難しい、または難しい場合が多い、というのは医療側の一般的意見としてあるのです。典型的な場合をあげれば、もともと死にそうな人に対して医療行為を行った場合に、その医療行為が妥当なものであったかななかったかは、患者が死んだという結果だけからは判断できない高度に専門的な判断になります。

医療側からの刑事免責の主張をどう理解すべきか(2008/07/12)(モトケン先生のエントリ)

業務上過失致死罪の成立

「業務上過失致死」という罪名を聞いてしまうと、ミスして不幸な結果が起これば犯罪者になるのか?との疑問が湧くのは当然ですが、成立するのは
  • 過失行為の有無
  • 過失行為と結果の因果関係
の二つが認められた場合だけです。

過失行為の成立

さらに過失行為が成立するには以下の4点を満たす必要があります
  1. 客観的予見可能性がある
  2. 予見義務違反がある
  3. 客観的回避可能性がある
  4. 回避義務違反がある
無罪事案においては、
  • 予見可能性・回避可能性のレベルで否定される(可能だったという立証がない)場合
  • 予見可能性・回避可能性とも認められることを前提に、予見義務または回避義務が否定される場合
それぞれ、それなりに見当たります。

fuka_fuka さんのコメントより

予見可能性

予見、つまり予想出来えたかという事です。

予見義務

予想できた可能性があったとしても義務があったか、つまり通常の医師なら普通に予測できることであったか無かったかということです。
回避可能性
「回避可能性」とは、ソリティアでいえば、「絶対どうやってもクリアできない配列ではないこと」です。

fuka_fuka さんのコメントより
つまりスーパードクターなら不測の事態を回避できると思われる場合は「回避可能性]があった、ということです。
回避義務
「回避義務違反があったかどうか」は、やり方次第ではクリアできる配列であったことを前提に、「時間内にクリアできなかったこと」が、「不良会社員の標準レベルからみてありえないほどヘタだったかどうか」です。

fuka_fuka さんのコメント

結果回避可能性が肯定されれば、回避義務も肯定される。…が、すべて回避義務「違反」か、というと、そうではない。回避義務に「違反したかどうか」は、程度の判断です。

fuka_fuka さんのコメント
こちらは普通の医師が普通に医療行為を行った時に回避できるものかどうかという事です。

過失行為の判断

上記4項目を満たすかどうかを判断する、という事は、「普通の医師」が「普通の医療」を行った時に不幸な結果を起こさずにすんだかを判断する、という事であると考えて良さそうです。

因果関係の成立

そして、例え過失行為があったとしても、それが責任を問われている「不幸な結果」と因果関係が無いのなら当然罪に問われることはありません
輸血ミス、その後死亡(2008/12/24):エントリ本文より

 ミスと死亡との因果関係が認められないということになりますと、業務上過失致死として起訴されることはなさそうです。
 大野病院事件判決の前後を問わず、起訴されない事案だと思います。
 「結果が悪ければ犯罪者として起訴される。」と今でも思っている医師がいると思いますので紹介しました。

判断内容のフロー(まとめ)

●医療行為による不幸な結果の発生
 ↓
●過失行為の有無?
 次の4点を満たす必要がある
 1.客観的予見可能性がある
 2.予見義務違反がある
 3.客観的回避可能性がある
 4.回避義務違反がある
 ↓
【無し】→刑事責任無し
 ↓
【有り】
 ↓
●過失行為と不幸な結果の因果関係がある?
 ↓
【無し】→刑事責任無し
 ↓
【有り】
 ↓
  • <業務上過失致死罪の成立>の可能性

判断のフロー(まとめ)

●警察が業務上過失致死罪の可能性の判断(判断内容のフロー参照)
 ↓
【無し】→刑事責任無し
 ↓
【有り】
 ↓
  • 検察官に送致
 +逮捕しての送致 →身柄送検
 +逮捕しないで送致→書類送検

●検察が業務上過失致死罪の可能性の判断(判断内容のフロー参照)
 ↓
【無し】→嫌疑不十分(不起訴)
 ↓
【有るが極めて軽微】→起訴猶予(不起訴)
 ↓
【有り】
 ↓
  • 業務上過失致死罪で起訴

●裁判での判断(判断内容のフロー参照)
裁判所が、検察と被告人(弁護人)の意見を戦わせた上で判断を下す
 ↓
【無し】→無罪
 ↓
【有り】
 ↓
  • 業務上過失致死罪で有罪

刑事免責主張に関する私なりのまとめ(2008/07/29)エントリ本文より

まず、医師が刑事責任を問われるプロセスを簡単に説明します。

 ある手術において、ある行為が原因になって不幸な結果(例えば患者の死亡)が生じたとします。業務上過失致死罪を念頭において考える順番を示してみますが、

 まず、その行為が過失行為と言えるかどうかが問題になります。
 過失と言えなければそれで終わりです。その医師には何の刑事責任も生じません(故意はないというのが前提です。)

 その行為が過失行為と言える場合には、次にその過失行為と死亡との因果関係が問題になり、因果関係がなければ業務上過失致死罪は成立しませんから、この場合も医師に刑事責任は生じません。

 因果関係があれば、犯罪の成否の問題としては業務上過失致死罪が成立するということになります。

 ところで、このような過失の有無とか因果関係の有無といのは、常に誰が見ても一見して明らかというものではなく、誰かが「過失がある。」とか「因果関係が認められる。」と言うように、事実認定(過失犯の場合は認定というより評価というべき場合が多いのですが)というプロセスを経てその存否が判断されます。

 ここで誰が判断するのかという問題が生じるわけですが、通常はまず警察官が捜査をして判断します。
 そして捜査が尽くされたと判断した場合(多くの場合まだまだ不十分ですが)に事件を検察官に送致します。
 逮捕した上送致することを身柄送検、逮捕しないで送致することを書類送検と言ったりします。
 但し、次に述べるように、送致後には検察官の判断が控えていますので、警察の送検と起訴というのは必然性がないということです。
 送検されても起訴されない事件はゴマンとあります。

 事件を受理した検察官は、あらためて過失の有無や因果関係の有無などを判断して、怪しい場合は嫌疑不十分として不起訴にします。
 検察官が、過失はある、因果関係もある、というふうに犯罪が成立すると判断したとしても、その過失が極めて軽微であるような場合には、検察官において、起訴猶予という不起訴処分をする場合があります。
 この場合は、検察官は、医師について犯罪は成立するが刑事責任は問わないという判断をしたことになります(但し、検察審査会の問題が残ります。)。

 検察官が、医師の刑事責任を問うべきであるという判断をした場合は、その医師を業務上過失致死罪で起訴することになります。
 起訴されますと、裁判官が犯罪の成否の判断を行うことになります。
 裁判官が、過失も因果関係もあると判断すれば有罪です。
 どちらか、または両方ないと判断すれば無罪です。
 ただし、いずれにしもて判決が出るまで(確定するまで)は被告人です。

過失犯理論

過失犯理論のさらなる理解のため
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fuka_fuka さんのコメントより


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  • 「予見可能性」「回避可能性」を検索していて、ここに辿り着きました。 -- (井本雅利) 2013-03-17 12:33:16

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