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「どーこーいってたんだこのどたわけぇぇぇっ!!」
「ほ、ほっぺた、ちぎれる、ちひれるぅぅぅっ!!」
少し落ち着いた後、大樹は葵を折檻していた。
「停電起きたときに探したのよ! 取調室にも居ないし!
あいつらと戦って怪我でもしたんじゃないかって心配したのよ!」
「えへへ、心配してくれたんだー」
「ニヤニヤすんなうつけがぁぁぁぁ!!」
「むぐぅッ!! 鼻、もげる、もへるぅぅーっ!!」
「……ったく。ホントなにやってたのよ」
「うーんと……」
大樹が捜索していた間、葵が何をやっていたかはすぐにわかった。
葵は先の女子トイレに戻りたいと言い出し、しぶしぶそうしてやる。
入り口に脱出時には気が付かなかった荷物が置いてあった。
大樹のスポーツバックだった。
名古屋駅で放置して以降、しばらくぶりだ。
そういえば押収したって刑事さんが言ってたっけ。
「……これ探してたの?」
「うん。名駅で逃げたときからずっと気になってたから。
ほら、置いて来ちゃったの半分私のせいだし。
大事なものが入ってたら大変かなって思って……」
「お前なぁ……。
荷物と安全とどっちが優先かもわからないの?」
「うぅ……。くすん、ごめんなさい」
大樹はスポーツバックを背負った。
「……──でもまあ、お礼言う」
「ふぇ?」
中からういろうを取り出して口に含む。
念願のういろうだ。
葵がバックを取り戻してくれなかったら、もうしばらくは食べられなかっただろう。
「〝ありがと〟」
「……、おぉー」
「なによ、おーって」
「大樹ちゃんがちゃんとお礼を言った。
はじめてかも」
「そ、そうだっけ?」
そういえばそうかもしれない。
葵には何度も感謝はしているが、言葉にしたことはなかった。
意地っ張りだからなぁ。
少し反省していると、頭に葵の手の平が伸びてきた。
「えへへー、大樹ちゃん、ちょっと成長したね」
っと、よしよしをされる。
「やだ、もー……葵ったら──、」
大樹は頬を染め、恥ずかしそうに葵の頭を鷲掴みした。
「なーんーでーお前が上から目線なんだナメてんのかうつけがああああ!!」
「眼はダメ、お願い眼だけは許してぇぇぇぇぇぇぇッ!!
──ギャッ!! ギャァァァァァァァァァァァ!!」
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