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脳外科医へのインタビュー - (2005/12/28 (水) 10:51:59) の編集履歴(バックアップ)


軽度三角頭蓋とその治療について、実際に多くの発達障害の子ども達をご覧になっている「沖縄ツアー代理店の脳外科医(仮名)」にお話を伺うことが出来ました。
これまで、下地医師以外の口から語られることの無かった軽度三角頭蓋に関する事実が、客観的で身近な視点から初めて明かされます。

「沖縄ツアー代理店の脳外科医」には、当HP上で内容を公開する前提でお話を伺っていますが、訪れた方からの意見・質問などへの返事は一切致しませんし、当HPサポートメンバー(SMC)からの介入もありません。(HP内への反響の書き込みは自由に出来ます。ただし、誹謗・中傷・目に余る発言がある時は削除させて頂く場合があります)

当HPは、知りえた事実だけを客観的に伝えることを目的としており、掲載される話題については、いかなる対象からも評価されるべきものではないということをご理解頂いた上でご覧下さい。
なお、ご協力下さった脳外科医には、心からの感謝と敬意を表します。

+++脳外科医へのインタビュー+++

N=脳外科医 I=インタビュアー

I:先生は、軽度三角頭蓋とその治療について初めて耳にされた時、脳外科医としてどのように思われましたか?                     
N:下地先生から脳外科同門の学術集会で聞かされましたが主に印象に残ったのは小児科医からの批判でした。やっかいな治療だなと正直思いました。                           I:やっかいですか。確かに、批判・否定的な意見が少なくありませんが、それでは先生からご覧になって一体何が問題だと思われますか?                           
N子どもには自主決定権がないこと、この手術が子どもには決して低侵襲ではない事、何よりエビデンス・・・つまり、この手術が有効というはっきりとした証拠がないことでしょうね。                                    
I
:ご指摘の点はよく理解できますが、考えてみると一人の医師だけで解決できる問題ではないという印象を受けますね。
I:それでは、この疾患に深く関わると思われる脳外科医・特に小児脳外科医の間での軽度三角頭蓋の認知度は高いと思われますか?それとも低いのでしょうか?
N異常に低いと思います。
I:その原因はどこにあると思われますか?
N小児脳神経外科自体が非常にマイナーな分野であることだと思います。
I:そんな中、先生は軽度三角頭蓋に携わるようになったということですが、これまでに実際にどれくらいの人数のお子さんをご覧になりましたか?
Nすでに80人位を診察させて頂きました。
I:その発達障害児の中に、軽度三角頭蓋だと診断される子どもの割合は、大体どれくらい居るのでしょうか?
Nおよそ70%程度です。
Iそれらの子供達全員ではないとしても、手術を受けたお子さんをご覧になって手術前より「良くなった」と実感されたことがありますか?
Nあります。全く効果がないと思ってる手術経験のある医師は私が知っている限りいないと思います。
Iそうなんですか。それでは逆に、手術をしない方が良かったのでは?と思うお子さんは居ますか?
N自分ではそのようなお子さんの術前、術後を見たことがありません。
I:なるほどわかりました。それでは次に、先生にこそお答え頂きたいという質問をさせて下さい。
I:治療の現場はこれまで一箇所に限定され情報も限られていたのですが、先生も実際手術に立ち会われて、外から見ただけではわからない軽度三角頭蓋特有の症状・所見というものがあるとすれば、どういうものかをぜひ教えて下さい。
N頭蓋骨が異常に固いこと、骨の中を通る静脈が拡張していること。それから、頭蓋縫合の下の脳膜(硬膜)にくびれが目立つこと。脳圧計測で、思ったより脳圧が高いことなどがそれです。
I:脳圧が高い傾向にあるということは、下地先生の論文にもありますが、それ以外のお話については公に聞いたことがありません。とても興味深く思います。
I:ところで話は変わりますが、手術を希望して病院を訪れて来る親についてどのように思われているのか、正直な印象をお話下さい。
N苦労され、よく勉強されているなと感心させられます。ただこの手術はいいから受けてみなさいという答えは期待しないで下さい。
I:おっしゃる通りだと思います。親はまず冷静になって話を聞く必要があると感じます。
I:それでは、一方で軽度三角頭蓋について熱心に治療をしている下地先生について、どのような印象をお持ちですか?
N下地先生は患者さえ良くなればそれでいいという強い信念を持った方です。何とか支えたいと思っています。
I:なるほど胸に響くお話ですが、本来はそれこそが医療の原点だと思います。この場合は脳外科医同士ということになりますが、前向きな議論を同じ土俵上でして欲しいと、患者の立場としては願わずに居られません。今後に期待します。
I:ここで少し突っ込んだお話になりますが、ズバリ!この手術は有効な治療法だと思われますか?
N有効な方もいると思いますがすべての方に効果がない点が問題です。客観的に一度評価されるべきです。
I:同感です。これまでは下地先生お一人しか携わっていなかったことから評価スケールにも限界があったような気がします。今後は色々な分野から客観的な評価が実現して欲しいと思います。
I:ところで先ほど、手術が「有効な方もいる」とおっしゃいましたが、その根拠をお話下さいますか。
Nそれは、脳圧が高いと思われる傍証を持った子が多いことや、前頭葉機能の基本、緊張感・人との交わり・こらえ性などに困難が見られる子どもさんが多いということです。これらは前頭葉機能の障害に基づく症状が主と考えられるからです。
I:なるほど前頭葉の機能ですか。術後にそれが改善した時、結果として機能障害による症状の改善を見ることがあるという想定ですね。ただし、それが全ての対象に当てはまるわけではないという、先の問題点の指摘に通じるわけですね。
I:それでは最後に、今後この治療法が医学的なコンセンサスを得ることがあるとしたら、その条件とはどういうものになると思われますか?今後の展望などについても、思いつくことがありましたらお話下さい。
N自閉症と三角頭蓋という観点が間違っています。原因不明の発達障害のお子さんの中に、頭蓋骨早期癒合症に近い頭蓋骨の形をした子がいる事、そして脳圧を測ったら高いことから頭蓋拡大術が適応になる子がいると考えれば脳外科的には理論の破綻がなく、倫理学的にも問題はないのではないでしょうか。ただし、この理論が臨床的に正しいと言うことは証明されなければなりませんね。
I:ありがとうございます。先生の見解はよく理解できました。今後の事態の進展が待たれる所ですね。今回お話を伺っている中では、将来どういう結論が出るにせよ、関わっている方々の努力は、発達障害の原因を解明する為の一助になるだろうと思わされました。
I:障害児を持つ親としては、この治療についての賛否両論が延々と入り混じったとしても、最後に目指すものはひとつであると信じるしかありません。「子どもが良くなること」  こそ、共通の願いになると思います。
貴重なお話をどうもありがとうございました。