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W・B・イェイツ - (2009/05/28 (木) 19:13:03) の編集履歴(バックアップ)


W・B・イェイツ
(William Butler Yeats)
(1865~1939)

略歴

 アイルランド、ダブリン出身の詩人。父は画家で幼少期から少年期はロンドンで育った。ダブリンに帰ってからは、父に習って絵の勉強をするも文学での才能が目覚しかった。ケルトの古い伝承や伝説に興味を持ち収集し、また故国アイルランドの文芸復興運動に尽力し、文芸協会の設立などを行った。また神秘主義的傾向を強め、秘密結社「黄金の暁教団」(The Golden Done)にも参加したことでも知られている。1923年にはノーベル文学賞を受賞した。

作品

 イェイツをして「20世紀最大の詩人」と呼ぶ批評家は少なくない。しかし一般的によく知られている「イニスフリーの湖島(The Lake Isle of Innisfree)などは美しい詩ではあっても、後期ロマン派的な詩であり、20世紀の詩とは思えない。彼の才能が本当の意味で開花したのは、パウンドと出会ったことによる。怪人物とも言うべき奇矯な振る舞いの多かったパウンドであるが、彼の影響を受けイェイツの詩は新しい詩へと進化することになる。アイルランドの神話、歴史、伝承を骨格としつつも、新しい現代の詩へと生まれ変わったのである。代表的な詩集としては『責任(Responsibilities,1914)、『クールの白鳥(The Wild Swans of Coole,1919)、『(The Tower,1928)などがある。後年は薔薇十時思想などのオカルティズムにのめりこみ、独自の神話体系を詩とした。
 イェイツの詩は常にアイルランドという地方に根ざし、個人的で、時に独り合点であり、その点で普遍性を志向したエリオットとは非常に対照的である。しかしながらその詩には力があり、普遍的な輝きを放っている。