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ベン・ジョンソン - (2008/01/31 (木) 19:33:43) のソース

*ベン・ジョンソン&br()&size(12){&italic(){(Ben Jonson)}}&br()&size(12){(1572~1637)}
**略歴
 [[シェイクスピア]]のライバルとみなされ、そして次の時代を担ったのがこのベン・ジョンソンである。彼は&bold(){大学才人}らとは違い、[[シェイクスピア]]を敬愛し、また互いに満足に教育を受けていないことから、共感めいたものもあったのかもしれない。彼は独学で劇作を学んだが、その知識の質と量においては、[[シェイクスピア]]を凌駕した。後に[[シェイクスピア]]のことを「ラテン語はあまり知らず、ギリシア語はもっとお粗末&italic(){(small Latin and less Greek)}」だったと言えるほどである。しかし、演劇自体が斜陽の時代を迎えており、次第に衰退していく運命にあった。
*作品
 特にローマ喜劇から受けた影響が大きく、後に彼の作品にもそれが表れている。そういった古典からの伝統の継承と構成の完璧さという点では、ライバルにはない特徴であったが、後世の評価では[[シェイクスピア]]の圧勝となっている。それはジョンソンの喜劇が&bold(){気質喜劇}だったことにある。彼の劇の登場人物たちはすべてある気質の典型であり、例えば憂鬱気質、あるいはほら吹きといったように、個人というよりも気質を代表した役割であって、確かに分かりやすいのだがどうしても血肉のある人間としての魅力に欠けるのである。またもう一つ両者の大きな違いは[[シェイクスピア]]が歴史上の人物や異国を舞台とした劇を書いたのに対し、ジョンソンは当時のロンドンの市民や社会現象を舞台の上に上げた点である。ここでもジョンソンんは分かりやすいが、逆に[[シャイクスピア]]は観客が知らないことを扱ったことで、その奔放な創造力を遺憾なく発揮できた。
 ジョンソンの作品で最も有名なのは『十人十色』&italic(){(Every Man in his Humour,1598)}で、これが処女作に当たるが、これのヒットが彼を喜劇作家の道へと導くことになった。典型的な&bold(){気質喜劇}で、それぞれの登場人物は各々の気質を代表している。『ヴォルポーニ,1605』t&italic(){(Volpone)}はヴォルポーニ(イタリア語で狐)とモスカ(蝿)が協力して悪巧みをするが、実は他方は独り占めしようと画策しており、結局両者が破滅する、という物語。この欲に目がくらんだ者を舞台上で笑いものにし、それによって悪を裁くという理念は、ローマ喜劇からの伝統である。『錬金術師』&italic(){(The Alchemist,1610)}は当時流行していた錬金術を扱ったもの。後にコールリッジが「世界文学の中で完全なプロットを持つ三作品」の一つに選んだ(残りの二つは『オイディプース王』(ソポクレース)と『トム・ジョーンス』(フィールディング))。

&bgcolor(yellowgreen){[[戻る>年表]]}