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生徒会BLSS2 - (2009/06/02 (火) 23:53:16) のソース

*生徒会BLSS2

**合計点<+32>
***タイトル<点数/評価者:コメント>
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#contents
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***ダンゲロス・ルーキーズプロローグSS『続・地獄の新歓タイムパラドックス遠足』<+10/何かの吸い殻:キャラクターたちが心の中でしゃっきりぽんと踊る。これは『至高』と評してもおかしくない>

【登場人物】
白金 虹羽(しろがね こうう)
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/39801/1192345016/116)
木村 沃素(きむら ようそ)
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/39801/1192345016/153)
合体魔人高性能外道アキカン ペプシ月(ライト) カロリーオフ700ml
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/39801/1192345016/155)
武烏 照月(むう てるつく)
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/39801/1192345016/157)



……放課後の校舎。

夕陽で染まる校庭からは運動部の練習の掛け声がかすかに漏れ聞こえてくる。
しかしこの体育倉庫の暗闇で今まさに行われつつある暴虐の前には、
そんな声など、何の慰めにもならない――

「ああっ、白金くん……やめてメカ!
 お願いいつもの白金くんに戻ってほしいメカ……!」

「……おいおい。自分からホイホイついてきて、
 他にどんな事を想像していたんだ?
 もう逃げ場はないぜ。俺の虜にしてやる――――」

「メカカッ!」

言うが速いか、その手が無慈悲に名も無きアキカン(♂)の服を引き裂いた。
抵抗空しく露にされる、アキカンの美しい銀色の素肌。
虹羽の端正な唇が、嗜虐の愉悦に歪む。

「ふふ。中々いい体をしているじゃあないか。
 肌の艶なんか、まったく自分から誘っているようだぜ……っ!」

「あっ……メカッ! 痛ッ……し……白金くん……ッッ!」

まるで獣のような荒々しさで――
虹羽の股間の暗黒剣・無明新月がアキカンを貪っていく。

「た、助けて……メカッ……
 こ……このままだとぼ、僕……ペプシじゃなくてカルピスソーダになってしまうメカ……っ」

「知ってるか? 缶ビールの『一気飲みの方法』
 これから存分に……体に教え込んでやるよ……!」

繰り返される狂気の宴の中、アキカンの意識は徐々に薄れていく。
虹羽はもはや、外道アキカンを遥かに超える超外道であった。

(白金くん……どうして……どうしてこんなドSになってしまったメカ……
 ずっと僕の憧れだった優しい白金くん……
 お……男同士の僕達には……まともに愛し合う事も許されないメカ……?
 ……………………)

「ん? もう終わりか? 意外と早いんだな……!
 ククククククッ……アーッハッハッハッハッハッハ!!!」

もはや答える事のなくなったアキカンを見下ろし、哄笑する虹羽。
だがその人格変貌の秘密は、彼自身ですら知らない。
かけた者を鬼畜にするのではなく、逆に生来の鬼畜を軟弱に変える禁断のアイテム。
それが『逆鬼畜眼鏡』―――

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「そう……この物語はメキシコから発掘された謎の『逆鬼畜眼鏡』にまつわる
 2人の少年の数奇な体験(BL的な意味で)を追う冒険譚である!」

「……ねぇ木村さん。今更突っ込んでも無駄な気がするけど、
 冒頭から変なナレーション入れるのはさすがにどうかと思うな。
 大体何なのさそれ」

「えっ、知らないんですか白金君!
 ここの学園の文ゲイ部部長、新島マリア先輩のBLSSですよ!
 ドS顔のおかげで、さっそく白金君は部内の人気者になったようですね!」

「うわぁ……ここの文芸部だと俺そんな風になってんの?
 そんなキャラ付けされたらシャレにならないよなぁ」

校舎裏の非常階段に腰掛ける2人の会話である。
白ブラウスにロングスカートの少女は、報道部1年の木村沃素。
学ランに刀を携えた華奢な少年は、同じく1年の白金虹羽だ。

「メカカカ 虹羽くん 犯罪者の情報は集まったメカ?」

「食料も一応調達してきたよ。
 これで今の半分くらいの人数なら希望崎学園まで養えるんじゃないかな」

そして彼らの視線の先からも、2つの影が現れる。
長細い空き缶状の物体は、合体魔人高性能外道アキカン ペプシ月(ライト) カロリーオフ700ml。
割烹着を纏った美形の少年は、料理研究会副部長、武烏照月。
この4人は全員、れっきとした希望崎学園の生徒である。 

しかしそれを認めるには、やや奇妙な事実もあった。

「これだけ減ってもまだ、希望崎学園に着くまでに半分減るんだ……
 最終的には新入生の数一桁になるよこれ」

「まったく、新歓遠足の引率としてあるまじき失態ですね!
 でも安心してください! 白金君の責任追求はある程度マイルドな特番を組んであげます!」

「いや、4分の3は木村さんが殺したようなものじゃないかな」

「無能な魔人はゴミと同じ 僕らを責める人間なんていないメカ
 (メカカカカ……正確には いなくなる メカ)」

「まあ、帰ってからの事を今のうちから気にしても始まらないよ。ハムカツでも食べよう」

どうやら彼らは――
自分達の今いるこの学園を、『希望崎学園』として認識していないようなのだ。
その理由は、彼らが学園を出発した目的であり……
そして今も継続中の『新歓遠足』で引き起こされた異常現象にまで遡る。

彼ら4人は、AD2009年における希望崎学園の魔人学生である。
第四次ダンゲロス・ハルマゲドンも記憶に新しいこの時代、荒廃した関西へと出発したはずの彼らは、
その旅路の途中、AD2004年……すなわち希望崎学園の修学旅行が行われた時代の、
希望崎と羅漢の東西抗争前夜へと迷い込んでしまった。
そしてその時の彼らの行動は東西の抗争、ひいては関西滅亡の遠因にもなったのだ。

「東京から大阪までは さすがに遠すぎたメカ
 学園側に迷惑をかけないよう ペースを早めて帰るべきメカ
 (デスメモ用紙の裁きは 23日先が限界……それまでに帰らなければ メカ)」

「だけど関西に来て得るものも沢山あったよ。
 滅亡したって聞いてたけど意外にみんな食料持ってたし、
 厨房の設備にも困らなかった。これは発見だな」

彼らの奇妙な現状の原因は恐らく、同じ希望崎の魔人、矢塚一夜の能力だろう。
希望崎学園付近に集中して何度も発動された時空操作能力は周囲の時間因果律とのずれを生み、
この『ルンビニー』世界における時間支配能力『ヴァイシャリー』のバグを誘発した。
『時の裂け目』とでも呼ぶべきそれらの見えない特異点は、学園の付近にも点々と存在していた。

そして偶然にもその裂け目を通り抜けてしまった新歓遠足の面々は
関西への旅路の途中で時空の漂流者と化してしまい、
ここまででも既に、様々な地域と時代を渡り歩いてきたのだ。

もっとも彼ら自身は、それを知る由もない。
このAD2012年の希望崎学園の事を、自分達が元いた学園の未来の姿だと気付いてもいない。
だが国際生徒会機構とWBFの手で原型を留めぬほどにかき乱された国際色豊かな学園と
自分達の元いた学園の姿を見比べたなら……それもある意味当然の認識ではある。

「それでもやっぱり関西は危険なところですよ!
 張遼でしたっけ? あの武将に襲われたときなんか、
 (主に白金君が)大ピンチでした! まったく、関西は新世紀早々世紀末です!」

「日本語も通じてなかったっぽいしね。
 もしかしたら関西人は、日本人とは別系統の進化を遂げているのかもしれない」

「メカカ 新入生も何十人か 殺されたメカ」

「……あれの話はやめてくれないかなぁ。
 本当、思い出すだけでトラウマになりそうだ」

過酷な状況とはいえ、遠足の引率たる4人の生存能力の高さは新歓遠足の行軍を助けていた。
白金一族に伝わる剣技の数々を継承した戦闘要員、白金虹羽。
報道部仕込みの霍乱および陽動技術、そして情報操作能力を持つ木村沃素。
(アキカンレベルの)天才的頭脳で戦略戦術を立案する、ペプシ月(ライト)。
生活に必要な物資調達や食料の調理等を専門とする武烏照月。

だが彼らが渡り歩いた数多の時代の中には、
彼らの能力でも到底太刀打ちできない恐るべき敵も少なからず存在したのだ。
例えばAD215年の江東へ辿りついた際に襲撃を受けた張遼などは、その一人である。
なお虹羽達は、張遼の事を単なる関西人だと認識していた。 

「あの時の白金君はいつもにまして情けなかったですね!
 秘剣乃十三・五刑水鏡の型・叛禍月天討(笑)は使えなかったんですか?」

「あれを使うにはそれなりのDPが必要なんだよ……
 それまでは木村さんが羅漢学園に乗り込んでいった後に何故か持ち帰ってきた、
 行方不明になった新入生達のDPストックを使ってたけど」

「ああ、せっかく私が作った預金を使い果たしたという事ですね!」

「つまり 役立たずメカ」

「人肉でハムカツは作れるかなあ」

「……え? ちょっと待って、3人して何その視線……?
 いやいや、あの時俺十分頑張ったでしょ!?
 むしろ木村さんとかライト先輩とか、俺を盾代わりに使ってませんでした!?」

沃素は報道内容の捏造で相手を愚弄する事しか考えていない悪意の塊だ。
ペプシ月は歯向かう相手の尻には即座にアキカンをぶち込む外道である。
武烏は飄々とした態度を崩さないものの、明らかに虹羽の味方をするつもりがない。
この3人の中に虹羽を擁護する人格と良識を持った人間は、皆無と言ってよかった。

「大丈夫です白金君! DPが足りないなら作ればいいんです!
 この学園の番長グループが抗争のための人員を募集しているみたいですよ!
 ちょうどいいタイミングですね!」

「魔人を大量に殺せばDPも手に入るね。
 少なくとも新入生の体力が回復するまでは、
 この学園に恩を売っておく必要もあるし」

「メカカカ さらに新世界に不要なゴミ共も 掃除できる
 計画通りメカ」

「つまり……その……
 …………俺に抗争に参加しろと……?
 誰か協力してくれる人は……」

「……? 何言ってるんですか?
 ですから、ちゃんと稼いできてくださいね?」

「もしもDPを減らしてきたら 覚悟するメカ」

「帰ったら料理だけは用意しておいてあげるよ」

虹羽は悟った。ここに自分の味方はいない。
今回は自分一人の力で生き残ればならない……
そして、最低でも叛禍月天討を使える程度のDPを稼がなければならないと―― 

「……」

「大丈夫ですよ白金君! 番長グループが私達に接触してきたという事はつまり、
 私達の引率してきた新入生も大量に番長グループの新人として入っているはずですよ!
 彼らとうまく協力して、恨みはなくとも生徒会をブッ倒してきてください!」

「もしかしたらあの張遼 もう追いついてきてるかもしれないメカ
 あの武将どことなく 虹羽君の尻を狙ってた気がするメカ」

「いやライト先輩……この期に及んで
 これ以上不吉な想像をさせないで欲しいんだけどなぁ……」

「メカカカ あんなのが出てきたら 新入生も大混乱メカw
 虹羽君にすら 強烈なトラウマを植えつけているみたいメカ」

「遼来遼来(笑)」

――時はAD2012年。

『新人達(ルーキーズ)』がその戦力の大部分を占めるダンゲロス・ハルマゲドンが勃発した。
生徒会と番長グループは無差別に人員をかき集め、来る抗争への準備に奔走した。
その時集められた魔人は『新人』であったが故に、それ以前の素性が定かでない者も多い。

「しかし俺って立場が弱いよなぁ。
 どうしてこんな事やってるんだろう」

それは例えば、AD2009年から時空の裂け目を越えて訪れた、
過去の希望崎学園の新入生かもしれない。
彼らだけではない。それぞれの時代でその混沌の旅路を追った者もまた、
時空を越えてこの時代に現れたのだろう。

「いえいえ、とんでもない。応援してますよ、白金君!」

「叛禍月天討を撃てるDPがあれば、新入生の護衛にも役立つからね。
 引率の仕事の一環だよ、うん」

遥かな未来、AD30482年を生きたMTGプレイヤーの同級生かもしれない。
企業の支配する世界から逃走し、時の裂け目を通り抜けた傭兵かもしれない。

「こうなると本当にダンゲロス・ハルマゲドンみたいだ。
 そういえば……魔人草野球はともかく、
 実際に魔人同士で抗争するのは、初めてだな」

あるいは無数の世界で死んでいった転校生の最後の一人や……
AD215年の江東の武将であるかもしれない。


学園に新たな戦の風が巻き起こる。

――ダンゲロスルーキーズ。




「……えーと。ちょっといいかな、木村さん」

「せっかくいい感じに締めたのに、今更どうしたんですか?
 白金君は空気が読めないんですか……?」

「いや、なんか凄い嫌な予感がするんだけどさ、
 あの人達ってまさか……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あああ 吸い殻あJをとられたわ!!どうしよう」

「うるせー お前は黙ってケツのAJ(アナルジャスティス)ひらいてりゃいいんだよ!!」

「僕の『イランマッカ レタル カムイ』(誇り高き白の神)はZOC無視だけどね!!」

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「まさかも何も、これから白金君と一緒に戦ってくれる番長グループの仲間達ですよ!
 実に頼もしそうな人達じゃないですか! 頑張ってくださいね!」

「いやだから、なんでこんなオチなんだよ!!
 それこそ台無しじゃないのか!?」

「なんでって、ここがBLスレだからなんじゃないですか?
 大目に見てくださいね☆」

「あ、言い忘れていたけど番長グループの男達は全員、
 新島マリアさんのBL作品に感化されて白金君を狙ってるって話だよ。
 気をつけてねー」

「くッ……! やっぱり俺はこんな抗争降り――」

「脱走は許さないメカ」 カキカキ(白金…虹…)

「アッー! 白金君の尻に極太の空き缶が!」

「だから勝手に変なナレーション入れないでほしいな!」


ギャフン END