ピットフォール周辺
・屋敷の裏手、他の建物の影が落ちて暗くなった所の塀に穴があいていた。元々は排水溝かなにかが崩壊してできた穴らしい。
・ざっと見たかぎりではここ数日、人が通った形跡はない。ただし動物が通っていなかったか、といわれると、あまりにも微妙すぎてわからない。
・排水溝そのものは完全に塞がってしまっているように見えるが、水の流れる音そのものは微かにする。
ムカデ以上に大きな生き物が通れそうな隙間などなかったものの、この下の下水溝が分断されてしまってはいないのだろう。
・穴の底のほうの泥には、「草っぽい臭い」がしなくもないが――盗賊の技術には素人であるはずの旦那連中が「汁が混じったような」と判別できそうなほどでは、ないような気もした。
・穴を抜け出た場所から劇所に向かっては「獣道」様のものがある……「劇場を利用している旦那連中」の通っている、あとだろう。
数日前と思われる通行跡も散見されたが、そこには「蔦の汁と土の混ざった」泥は無かった。
・裏口から劇場(の裏手にある旦那衆が使用している通用口に至るまでの間には、這いずった跡の類はない。
・建物を逆時計周りにぐるりと廻るように、薄れかけた足跡があった。
・足跡は、おそらくはかなり大柄な男性。体重もかなりあるか、重い鎧なり武器なりを身に着けていたように見える。
・足跡はいったん、劇場の正面入り口のほうに向かい、そこから更に正面門まで続いている。
・足跡は「往路」のみしか見つからなかった。