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かりそめのメロディ - (2015/09/03 (木) 05:58:41) の1つ前との変更点

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*かりそめのメロディ ◆3LWjgcR03U E-4。この殺し合いの舞台である3つの島のちょうど中心部。 小走りで汗を飛ばしながらそこに現れたのは、小柄ながら一目で只者ではないとわかる体躯を持つ少年。 範馬刃牙。父・範馬勇次郎を超えんとし、地上最強の男を目指す闘士(グラップラー)である。 より強くなるための糧とすべく戦う相手を求め、地図の中心に来てみた・・・・・・ものの。 「結局誰にも会えなかった、か……」 新八、にこの2人に出会ってからここまで来る途上。 刃牙は結局、勇次郎はおろか一人の参加者にも出会うことはなく、ここまで来てしまった。 もっとも、途中で頭上を通った電車の中に人影を見かけだが、話しかけることなどできるわけがない。 「あの人の言ってた人たち・・・・・・、誰か一人くらい、会えるかと思ったんだけどね」 特に神威という男は、人間を遥かに凌駕する力を持つ危険人物だという。 父・勇次郎にもどこか通ずるその男には特に興味を惹かれたのだが、致し方ない。 「にしても・・・・・・」 眼前にそそり立つ奇抜でどこか卑猥な見た目の、大砲らしきものを見上げて呟く。 「完成度高けーな、オイ」 ●●● 「さて、と」 ここに来るまで何度か試したことを、この場でも行ってみることにする。 刃牙の眼前にふと現れたのは、腕。 参加者ならば、忘れもしないだろう。ゲーム開始時に悪魔の少女を葬り去った、あの竜の腕である。 いや、本当に現れたのではない。 眼前に対戦相手を空想し、その相手と架空の試合を行う。多くの格闘技において一人稽古、あるいはシャドーと呼ばれる練習法。 腕を想起した刃牙は、そのままその先にあるであろう巨体をも、眼前に出現させようとするが-- 「っ」 その巨体は僅かに輪郭を形作るのみで、霞のように消え去ってしまう。 本来の刃牙ならば、後には巨大な蟷螂や超古代の恐竜まで眼前に想起しうる境地に至る。 だが、この時点では、そこまでの水準には至っていなかった。 「来い……」 腕に相対し、構える。 その瞬間、腕が猛然と襲いかかった。 「くっ!」 この場にいるのは紛れもなく刃牙一人。 しかし、もしこの場に他の参加者がいたならば、竜の腕の存在を確かに感じ取っただろう。 極限まで研ぎ澄まされ、他者にもその実感を感じさせるほどの、眼前に敵がいるという「思い込み」の力。 幻の中で繰り広げられる極限の闘争は、しかし。 (速いっ!) 腕の攻撃は至極単純。武芸も技術もなく、ただただ大振りの殴打を振るうのみ。 しかしその一発一発が異常なほど速く、そしてあまりにも重い。 幻の戦いは、瞬く間に一方的な様相を呈することになる。 (何なんだ、これは) 野生生物との戦いなら、刃牙には経験がある。 夜叉猿。飛騨に住まう、人智を凌駕した類人猿。 しかし、これは野生とは何かが決定的に違った。 まるで、生物を相手にしているはずなのに、機械と闘っているかのような、圧倒的な違和感。 「ぐあっ--ッ!」 爪の先端が刃牙を捉えた。 殴打を回避するのに精いっぱいだった彼は、それだけで大きく体勢を崩される。 その隙を突き、大きく開いた手が全身を握らんと迫る。 「ぐおおおおおお!!」 掴み殺すとでも言うべき、圧倒的な締め付け。 異常握力を誇る喧嘩師、花山薫。あの腕をさらに上回る力で五体を掴まれたような錯覚。 刃牙は全身の筋肉に力を込め、身をよじり拘束から逃れようとするが、全くびくともしない。 あまりの力に皮膚が裂け、血が吹き出し-- そこで、幻想は消えた。 ●●● 「はは・・・・・・」 幻の戦いは、あまりにも一方的な帰結に終わった。 たまらず荒い息をつきながら卑猥な大砲らしきものにもたれかかり、青のカードから出したスポーツドリンクのペットボトルを傾ける。 (ドラゴン、ってか……? まいった、ね、こりゃ・・・・・・) どうやっても、勝てるビジョンが浮かばない。 恐ろしいことに、自分が相手をしたのは腕一本でしかない。 もしも全身が姿を現せば、あの勇次郎ですら・・・・・・ (世界は、広い、か……) スポーツドリンクをさらに口に含み、考える。 10年とそこそこの人生だが、多くの強者と闘い、倒してきた。 空手、医者、野生生物、ヤクザ、軍人、バーリトゥード、プロレス、中国拳法、そして自分と同じ血を持つ兄。 それでも、範馬勇次郎には届かない。 父を超える生物などこの世にはいないのではないか、とも思っていた。 (オヤジを、超える、か……) だが、その父を葬り去るしれない化け物が、何の前触れもなく現れた。 (強くなりてぇな……) (強く……) 地上最強の生物を倒すことを夢見る少年は、しばし黙考する。 ●●● (行くか) しばし体を休め、再度炭水化物中心の食事を取るうちに、腹は決まった。 目指す場所は、ここから真西にある放送局。 ここからなら「分校」や橋を渡ったすぐ先の「研究所」も近かったが、何となくこちらの方に人が多そうな気がした。 それに、誰にも会えないようなら、そこにあるだろう機材を使って呼びかけるつもりでいた。 身に覚えのある者はここに来いと。 (ま、危険極まりない、ってやつだろうけどね) しかし、危ない橋は何度も渡ってきた身。 それ以上に、この血は強者を求め滾っている。 (オヤジを超える。俺以外の誰かがオヤジを超えるなら、そいつも超えてみせる) 決意を胸に、闘士(グラップラー)の少年が歩む。 ●●● だが。範馬勇次郎は、ここからそう遠くない場所で、ヴァニラ・アイスの暗黒空間に呑まれた。 何もかもが歪められたこの場においては、史上最大の親子喧嘩に決着が付く可能性は、もうどこにも存在しない。 範馬刃牙がそれを知る方法は、この時点ではまだない。 【E-4/ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲付近/一日目・黎明】 【範馬刃牙@グラップラー刃牙】 [状態]:疲労(小)、体に擦り傷・切り傷多数 [服装]:普段着 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10) [思考・行動] 基本方針:勇次郎を倒す    1:放送局を目指す    2:出会った人が強い奴なら戦う    3:勇次郎を探す    4:銀時、神楽、桂、土方、神威に興味    5:勇次郎より強いやつがいる・・・・・・? [備考] ※参戦時期は最大トーナメント終了後 *時系列順で読む Back:[[優勝をめざして]] Next:[[]] *投下順で読む Back:[[スマイルメーカー]] Next:[[墜落する悪]] |030:[[にこぷり♥刃牙道]]|範馬刃牙|:[[]]|
*かりそめのメロディ ◆3LWjgcR03U E-4。この殺し合いの舞台である3つの島のちょうど中心部。 小走りで汗を飛ばしながらそこに現れたのは、小柄ながら一目で只者ではないとわかる体躯を持つ少年。 範馬刃牙。父・範馬勇次郎を超えんとし、地上最強の男を目指す闘士(グラップラー)である。 より強くなるための糧とすべく戦う相手を求め、地図の中心に来てみた・・・・・・ものの。 「結局誰にも会えなかった、か……」 新八、にこの2人に出会ってからここまで来る途上。 刃牙は結局、勇次郎はおろか一人の参加者にも出会うことはなく、ここまで来てしまった。 もっとも、途中で頭上を通った電車の中に人影を見かけだが、話しかけることなどできるわけがない。 「あの人の言ってた人たち・・・・・・、誰か一人くらい、会えるかと思ったんだけどね」 特に神威という男は、人間を遥かに凌駕する力を持つ危険人物だという。 父・勇次郎にもどこか通ずるその男には特に興味を惹かれたのだが、致し方ない。 「にしても・・・・・・」 眼前にそそり立つ奇抜でどこか卑猥な見た目の、大砲らしきものを見上げて呟く。 「完成度高けーな、オイ」 ●●● 「さて、と」 ここに来るまで何度か試したことを、この場でも行ってみることにする。 刃牙の眼前にふと現れたのは、腕。 参加者ならば、忘れもしないだろう。ゲーム開始時に悪魔の少女を葬り去った、あの竜の腕である。 いや、本当に現れたのではない。 眼前に対戦相手を空想し、その相手と架空の試合を行う。多くの格闘技において一人稽古、あるいはシャドーと呼ばれる練習法。 腕を想起した刃牙は、そのままその先にあるであろう巨体をも、眼前に出現させようとするが-- 「っ」 その巨体は僅かに輪郭を形作るのみで、霞のように消え去ってしまう。 本来の刃牙ならば、後には巨大な蟷螂や超古代の恐竜まで眼前に想起しうる境地に至る。 だが、この時点では、そこまでの水準には至っていなかった。 「来い……」 腕に相対し、構える。 その瞬間、腕が猛然と襲いかかった。 「くっ!」 この場にいるのは紛れもなく刃牙一人。 しかし、もしこの場に他の参加者がいたならば、竜の腕の存在を確かに感じ取っただろう。 極限まで研ぎ澄まされ、他者にもその実感を感じさせるほどの、眼前に敵がいるという「思い込み」の力。 幻の中で繰り広げられる極限の闘争は、しかし。 (速いっ!) 腕の攻撃は至極単純。武芸も技術もなく、ただただ大振りの殴打を振るうのみ。 しかしその一発一発が異常なほど速く、そしてあまりにも重い。 幻の戦いは、瞬く間に一方的な様相を呈することになる。 (何なんだ、これは) 野生生物との戦いなら、刃牙には経験がある。 夜叉猿。飛騨に住まう、人智を凌駕した類人猿。 しかし、これは野生とは何かが決定的に違った。 まるで、生物を相手にしているはずなのに、機械と闘っているかのような、圧倒的な違和感。 「ぐあっ--ッ!」 爪の先端が刃牙を捉えた。 殴打を回避するのに精いっぱいだった彼は、それだけで大きく体勢を崩される。 その隙を突き、大きく開いた手が全身を握らんと迫る。 「ぐおおおおおお!!」 掴み殺すとでも言うべき、圧倒的な締め付け。 異常握力を誇る喧嘩師、花山薫。あの腕をさらに上回る力で五体を掴まれたような錯覚。 刃牙は全身の筋肉に力を込め、身をよじり拘束から逃れようとするが、全くびくともしない。 あまりの力に皮膚が裂け、血が吹き出し-- そこで、幻想は消えた。 ●●● 「はは・・・・・・」 幻の戦いは、あまりにも一方的な帰結に終わった。 たまらず荒い息をつきながら卑猥な大砲らしきものにもたれかかり、青のカードから出したスポーツドリンクのペットボトルを傾ける。 (ドラゴン、ってか……? まいった、ね、こりゃ・・・・・・) どうやっても、勝てるビジョンが浮かばない。 恐ろしいことに、自分が相手をしたのは腕一本でしかない。 もしも全身が姿を現せば、あの勇次郎ですら・・・・・・ (世界は、広い、か……) スポーツドリンクをさらに口に含み、考える。 10年とそこそこの人生だが、多くの強者と闘い、倒してきた。 空手、医者、野生生物、ヤクザ、軍人、バーリトゥード、プロレス、中国拳法、そして自分と同じ血を持つ兄。 それでも、範馬勇次郎には届かない。 父を超える生物などこの世にはいないのではないか、とも思っていた。 (オヤジを、超える、か……) だが、その父を葬り去るしれない化け物が、何の前触れもなく現れた。 (強くなりてぇな……) (強く……) 地上最強の生物を倒すことを夢見る少年は、しばし黙考する。 ●●● (行くか) しばし体を休め、再度炭水化物中心の食事を取るうちに、腹は決まった。 目指す場所は、ここから真西にある放送局。 ここからなら「分校」や橋を渡ったすぐ先の「研究所」も近かったが、何となくこちらの方に人が多そうな気がした。 それに、誰にも会えないようなら、そこにあるだろう機材を使って呼びかけるつもりでいた。 身に覚えのある者はここに来いと。 (ま、危険極まりない、ってやつだろうけどね) しかし、危ない橋は何度も渡ってきた身。 それ以上に、この血は強者を求め滾っている。 (オヤジを超える。俺以外の誰かがオヤジを超えるなら、そいつも超えてみせる) 決意を胸に、闘士(グラップラー)の少年が歩む。 ●●● だが。範馬勇次郎は、ここからそう遠くない場所で、ヴァニラ・アイスの暗黒空間に呑まれた。 何もかもが歪められたこの場においては、史上最大の親子喧嘩に決着が付く可能性は、もうどこにも存在しない。 範馬刃牙がそれを知る方法は、この時点ではまだない。 【E-4/ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲付近/一日目・黎明】 【範馬刃牙@グラップラー刃牙】 [状態]:疲労(小)、体に擦り傷・切り傷多数 [服装]:普段着 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10) [思考・行動] 基本方針:勇次郎を倒す    1:放送局を目指す    2:出会った人が強い奴なら戦う    3:勇次郎を探す    4:銀時、神楽、桂、土方、神威に興味    5:勇次郎より強いやつがいる・・・・・・? [備考] ※参戦時期は最大トーナメント終了後 *時系列順で読む Back:[[優勝をめざして]] Next:[[芸風ノーチェンジ]] *投下順で読む Back:[[スマイルメーカー]] Next:[[墜落する悪]] |030:[[にこぷり♥刃牙道]]|範馬刃牙|:[[]]|

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