*Lostorage/記憶の中の間違ってない景色 ◆7fqukHNUPM 『紅林遊月』は、とっくにその場を去っていた。 しかし。 ――おねえちゃん、たすけて 『ココアおねえちゃん』は、助けにきた。 蛍の身体を押し倒したのは、銃弾では無かった。 チノのことを、思い出した直後。 蛍が静雄の真正面に回り込むことに間に合ったのと、ちょうど同時だった。 蛍の回り込みをちょうど真横から妨害するように、横合いの木陰から飛び出してきた人影に、突き飛ばされたのだ。 人影は、蛍にも見覚えのある――チノの部屋でベッドインする前に見せてもらった、ラビットハウスの制服を着ていて。 急激に傾いていく視界の中で、丈の長いスカートが衝撃で翻って。 そして、蛍の眼には。 飛び出した時にも持ち続けていた両手の灯りが、そのまま少女の背格好を照らしていて。 だから、本来はもっと暗い色をしていたのだろうその制服は、 真っ暗に近い森の中で、白カードの光と、それよりは明るい色をしたスマートフォンからのライトに、集中的に煌々と照らされて、蛍の眼には、もっと鮮やかな色に見えて。 ――そう、『桜色の、ラビットハウスの制服を着た少女』が割り込んできたように、彼女の眼には見えた。 そして。 「オー――!」 少女が、どこか聞き覚えのある声で何かを叫ぼうとして。 蛍の見上げた少女の身体に、血しぶきが爆ぜた。 *時系列順で読む Back:[[Lostorage/記憶の中の間違ってない景色]] Next:[[姉/姉妹と姉弟]] *投下順で読む Back:[[Lostorage/記憶の中の間違ってない景色]] Next:[[姉/姉妹と姉弟]] |190:[[Lostorage/記憶の中の間違ってない景色]]|天々座理世|191:[[姉/姉妹と姉弟]]| |190:[[Lostorage/記憶の中の間違ってない景色]]|紅林遊月|191:[[姉/姉妹と姉弟]]| |190:[[Lostorage/記憶の中の間違ってない景色]]|平和島静雄|191:[[姉/姉妹と姉弟]]| |190:[[Lostorage/記憶の中の間違ってない景色]]|一条蛍|191:[[姉/姉妹と姉弟]]|