*きっと青春が聞こえる ◆0safjpqWKw 「いやぁぁぁぁ! 来ないでぇぇぇぇ!」 「はっはっはっ。元気なお嬢さんですねえ」 前回のラブライブ! スクールアイドルμ'sのメンバーとしてレッスンに励んでいた私を待っていたのは、最後の一人になるまで殺し合えという女の子の命令。 最初は夢とか何かのイベントって思ったけど、ピンク色の髪の女の子がカードにされたのは夢じゃない! 急いで周囲を見渡したら、私以外にもことりちゃん、にこちゃん、絵里ちゃん、希ちゃんがいた! みんなを呼ぼうとしたら地面が崩れて、目の前が真っ白になって…… 気がついたら、目の前になんかドロドロした顔の人をいっぱい引き連れたギョロ目のおじさんが立ってたの! 「おやおや、いけませんねえ。こんな時間にあなたのような婦女子が一人で出歩いては。私が家まで送って差し上げましょう」 「い、いえ……あの……うち、ここから近いんで結構です!」 「そう遠慮なさらず。ほら、彼らもあなたとお友達になりたいと申しておりますし」 彼らってどう見てもゾンビじゃないですかぁぁぁ! に、逃げないと……でも夜だしここお墓だし、うまく走れないよ! 「怖がることはありません。さああなたも、めくるめく甘美な死の指先に身を委ね、新たな次元へとその魂を解き放つのです」 「それって結局死ねってことでしょぉおお!?」 いやああああ、映画とかゲームで見たようなゾンビが私を追っかけてくるよぉぉ! 夢だと思いたいけどやっぱり夢じゃない。心臓がバクバクして破裂しそう。 「あうっ」 足元をよく見ていなかったから、石にひっかかって転んでしまった。 私の周りをゾンビが取り囲み、手を伸ばしてきた。 そのとき! 「相も変わらず下卑た真似をしているな、キャスター。これが聖杯戦争ではないことは貴様もわかっているだろうに」 光が走ったかと思うと、私を取り囲んでいたゾンビが一瞬でバラバラになった。 思わず目をつぶる。次に目を開けたとき、私の前には一人の男の人が立っていた。 漫画で見たような剣を構えた、長身の……スラっとした体格の……とてもかっこいい横顔の……黒子に眼が……吸い寄せられ…… 「……はぅ」 「貴様……ランサー! また私の邪魔立てをするというか! この凡愚め!」 「愚かなのはどちらだ、キャスター。このような無力な少女を弄ぼうなど、英霊の風上にもおけぬ所業。 掲げるべき矜持もなく、あの化性の少女に言われるがまま殺戮に興じる。 ハッ、ほとほと見下げ果てた奴よ。セイバーに袖にされるのもむべなるかな」 「貴様ァァ……! 我が聖女に剣を向けただけでなく、この私と聖女との絆をも愚弄するとは! その罪、万死を以っても償えぬぞ!」 「ふん、何が絆か。彼女は貴様のことなど知らぬと何度も言っていただろう」 「ええい、口の減らぬやつめ! もうよい、貴様の素っ首引き抜いて我が死人の兵団に加えてくれるわ!」 ハッ!? いけないいけない、気を失ってる場合じゃない! おじさんとランサーと呼ばれたカッコいい男の人は知り合いだったみたい。 でも友だちじゃないみたいで、ギョロ目のおじさんはランサーさんにゾンビをけしかけてきたの! ランサーさんは剣で戦ったけど、ゾンビがあんまりにも多すぎて剣はすぐ折られてしまった! 「ハハハハ! 自慢の槍がなければランサーも形無しだな!」 「ぬう、言わせておけば……!」 ランサーさんは素手でゾンビに殴りかかるけど、ゾンビは殴られても殴られても全然止まらない! あの人、あの壊れた剣しか武器がないんだ……! 「くっ、離せ!」 「手間を掛けさせてくれたが、これまでのようですね。貴様の首級を眼にすればジャンヌも目を覚まされるであろう…… ああ、ジャンヌ! このジル・ド・レェ、武功を上げていますぐ貴女の元へ馳せ参じまするぞ!」 ゾンビがどんどんあの人に飛びかかって……! いけない! あの人を助けないと! 何か、何かないの!? ランサーさんを助けられる何か……あの人の力になる何か! ……そうだ、カード! あの女の子が言ってた、武器が出てくる……黒いカード! これを使えば……お願い! あの人を助けられる武器、出てきて! 「……! あの! これを使ってください!」 私がカードに願ったのは、強い武器。ランサーさんを助けられる武器。 そして、出てきたのは……武器だ! 私はその武器を、ゾンビに羽交い締めにされたランサーさんに放り投げた。 「……これは! かたじけない、少女よ!」 男の人の手が伸びて、その武器……「剣」を掴む。 次の瞬間、剣が光のように閃いてゾンビがバラバラになっていく! 「むう……!?」 「いい切れ味だ。征服王の剣、さすがに業物だな!」 私のカードに入っていたのは、世界史の教科書に見たような覚えがある、幅広の剣だった。 パロディ……いや、グラディウスだっけ? そんな感じの名前の。 剣を手にしたランサーさんはあっという間に逆転した。瞬きの間にそこにいたゾンビがすべて切り倒される。 「チィ、粘りおって。だがここでは私には勝てんぞ、ランサー!」 ギョロ目のおじさんが手に持った本を開くと、周りの墓がぼこぼこと盛り上がってきた! 出てきたのは……やっぱりゾンビだ! 「死霊術か! 厄介なものを……!」 「フハハハ! 我が方の兵は無限! さあランサー、慣れぬ武器でどこまでやれるものか見せてみよ!」 「舐められたものだな。ランサーだからといって、騎士たる者が剣に不慣れとでも思っているのか」 「貴様はそうかもしれんな? だがそこの少女はどうです? 騎士の誇りとやらは無力な者を見捨てられぬでしょう!」 「……チッ。外道め……!」 ランサーさんは舌打ちすると、近くにいたゾンビをなぎ倒してジャンプした。 私の隣に降りてきて……ええっ! ちょ、っちょ、お、お姫様抱っこ!? 「この場は預けるぞ、キャスター。だがここに宣言しよう。貴様の首は俺が落とす。セイバーの手を煩わせるまでもない」 「減らず口を。逃げられると思うか!」 「キャスターごときが、ランサーの足に追いつけるものか!」 ランサーさんが私を抱えたままジャンプする。景色が流れ……て……って、高い高い高い! これちょっと何十メートルか跳んでるっていうか飛んでるっていうかああああ落ちる落ちてる落ちるうううう! あ、これ死んだ…… ……。 「もう目を開けてもいいぞ」 ひゃっ!? 「手荒な真似をしてすまなかったな。だがあの場はああするしかなかった。許してくれ」 「いいええ、あの、その……助けてくれてあのがとうございましゅ!」 噛んだ……。恥ずかしい……。 目を開けると、ギョロ目のおじさんはどこにもいなかった。さっきいたお墓からかなり移動したみたいだ。 お姫様抱っこされたままランサーさんの顔を見上げる。 うう、なんだかさっきとは違う意味で胸が破裂しそう。かっこ良すぎるよぅ……。 「……すまん」 「え? なんで謝るんですか?」 「……いや、こっちの話だ。俺はディ……ランサーだ。君の名を教えてくれるだろうか?」 「こ、高坂穂乃果です! スクールアイドルやってます!」 「穂乃果、だな。あいどる……現代における踊り子だったか?」 「は、はい! 踊ります! あと歌います! 良かったらライブ見に来てください!」 「ああ、機会があればな。あと、この剣。助かったよ、ありがとう」 ほわああぁぁ……。笑いかけられた! なにこれ、すごくドキドキする! ライブがうまくいった時みたいな……なにこれ……! 「い、いえ。私じゃどうせ使えないですし。良かったら差し上げますよ」 「助かる。さて聞くまでもなかろうが、君はこの殺し合いとやらでどうするか決めているか?」 「あ、それはですね、私μ'sのみんなを……友達を探したいです! みんなすごくいい娘で、殺し合いなんてできる人じゃないんです! だからその、みんなが危険な目に遭う前に探し出して、あの、その!」 「μ's……ギリシャの女神の名を冠した踊り子か。うむ、気品を感じさせる名だ。 承知した、穂乃果。この剣にかけて、君と君の仲間を守ると誓おう」 「あ……」 あ……これ、なんだろう…… ランサーさんの顔から目が離せない…… 「穂乃果、君の友人たちがいそうな場所に心当たりはあるか?」 「あ、ええと……地図、地図。あ、……ええ!? 音ノ木坂学院がある! なんで!? 知らない間に移転したの!?」 「落ち着け。その音ノ木坂学院とやらに、君の仲間はいそうなのか?」 「あ、はい。私たちの学校なので、みんなここに集まると思います」 「では急ごう。幸い、ここからならさほど距離はない」 こうして私は、ランサーさんと一緒に行動することになりました。 お姫様抱っこされたまま音ノ木坂学院に向かう私は、まるで本物のお姫様みたい……とか思っちゃったりして。 大変な事態に巻き込まれたっていうのに、何故か私の鼓動は高鳴っていて、何かが始まりそうな気がしていたの。 でも、不思議。なんだかランサーさんが私を見る目は、なんだか申し訳なさそうで。 それを問い質すこともできず、私はずっと、ランサーさんの黒子を見つめていたの…… 【C-2/一日目・深夜】 【高坂穂乃果@ラブライブ!】 [状態]:健康、ランサーへの好意(軽) [服装]:音ノ木坂学院の制服 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:不明支給品0~2枚 [思考・行動] 基本方針:誰も殺したくない。生きて帰りたい。 1:μ'sのメンバーを探す。 2:ランサーさんを見てるとドキドキする……。 3:音ノ木坂学院を目指す。 [備考] ※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか。 ※ランサーの「愛の黒子」の効果により、無意識にランサーへ好意を抱いています。時間進行により、徐々に好意は強まっていきます。 【ランサー@Fate/Zero】 [状態]:健康 [装備]:キュプリオトの剣@Fate/zero [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:不明支給品0~2枚 [思考・行動] 基本方針:騎士道に則り、戦う力のない者を守る。 0:穂乃果に「愛の黒子」の呪いがかかったことに罪悪感。 1:俺が穂乃果と仲間たちを守護らねばならぬ……。 2:セイバーは信用できる。しかしそのマスターは……? 3:キャスターはいずれ討伐する。 [備考] ※参戦時期はアインツベルン城でセイバーと共にキャスターと戦った後。 ※「愛の黒子」は異性を魅了する常時発動型の魔術です。魔術的素養がなければ抵抗できません。 【D-2/墓地/一日目・深夜】 【キャスター@Fate/Zero】 [状態]:健康 [装備]:リタの魔導書@神撃のバハムート GENESIS [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:なし [思考・行動] 基本方針:ジャンヌ・ダルクと再会する。 1:ジャンヌ(セイバー)を探す。 2:名簿にはセイバー以外にもジャンヌの名がある……? [備考] ※参戦時期はアインツベルン城でセイバー、ランサーと戦った後。 支給品説明 【キュプリオトの剣@Fate/zero】 高坂穂乃果に支給。 征服王イスカンダルの剣。 名のある宝具ではなく特別な効果もないが、軽量かつ頑丈。他のサーヴァントとの宝具とも十分に渡り合える。 【ファバロの剣@神撃のバハムート GENESIS】 ランサーに支給。ただの鉄の剣。 【リタの魔導書@神撃のバハムート GENESIS】 ネクロマンサーの少女リタが使っていた魔導書。 死体をゾンビ化して操ることができる。生きている人間をゾンビ化することは不可能。 一度に連れ歩けるゾンビの数は5体まで。しかし墓地や戦場など、遺体が多数存在するフィールドでは倍以上の数を操れる。 ゾンビの筋力や瞬発力は素体となった生前の強さに比例するが、技術や思考力は失われる。 *時系列順で読む Back:[[姉]] Next:[[前途多難]] *投下順で読む Back:[[姉]] Next:[[前途多難]] |高坂穂乃果|034:[[Anemone Heart]]| |ランサー|034:[[Anemone Heart]]| |キャスター|032:[[たとえ明日を見失おうとも]]|