「ライフスタイル」(2010/07/08 (木) 12:08:37) の最新版変更点
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禁止エリアに印をつけ、呼ばれた名前に×をつける。
再戦したい相手もまだまだ残っているようで、今しばらくは愉しめそうだと彼は感じる。
放送でやや勢いを削がれた感覚もあったが、気を取り直して呂布は目前に居るであろう敵の気配に向かった。
向こうも呂布に気がついたようだ。気配はピタリと動きを止める。
構わず足を運び、道を曲がった。
車一つ通らない、青白い外灯に照らされた見晴らしのいいアスファルト。
そして、唐突に鳴り響く、一つの足音と車輪の転がる音。
そこで呂布は不思議と周りの空気が軽くなっていくのを感じた。
先ほどまで遠くからでも感じられた濃密な気配は今や無い。
ただ、知覚できるのはおそらく戦場で感じるものと同じ気配。
得物を取り出しながら前を睨む。そのヴィジョンに映る者は、やはり奇妙な者だった。
◆◆◆
こうしてお互いは殺人鬼に捕捉された。
他の素性など知る由も無い。だが、出会えばお互いのことは自然と理解できる。
こいつは、奪う者だ、と。
片や他人の自由意志を奪い、もう一人は純粋に命を奪う。
「なんだハズレかぁ。まあいいや、一応目的は果たせるだろうし」
期待していた人物ではなかったのだろう。
赤髪の道化は残念そうにアフロを掻く。それに対する不満は呂布にはない。
彼にしてみれば呼びかけに応えただけなのだ。この程度は考慮してしかるべき、と。
とりあえず勝手に心の中で持論を押し付け、呂布は静かに方天画戟を構えた。
「ドナルド・マクドナルドって言うんだ。君の名前は?」
唐突な自己紹介。
酔狂な奴だと思いながらも、呂布は自分の名を名乗る。
大して因縁の相手でもなかったようで、ドナルドはそうかと頷くと顔に笑みを浮かべた。
「逃げずに来たってことは、戦う気があるってことだよね。勝てると思うかい?」
「負ける気で戦いに臨む者などいるのか?」
当然、とドナルドはまたも頷く。
「時と場合によりけり、だね。でもまあ君は純粋そうだ」
ふと、呂布はドナルドの後ろにある手押し車のような物が気になった。
ドナルドもそれを察したようだが、隠す気は無いらしい。
呂布はすん、と鼻を鳴らすと、それが何であるかを理解した。
死臭。比喩ではなく、正真正銘の。
生物は死後数分で細胞の腐敗が始まり、その時点で腐敗臭は発生しているのだ。
既に数時間経過している『箱の中味』は戦場慣れしている呂布に微かにその臭いを感じさせた。
「退けておいたほうがいいのではないか?」
「そうだね。これ以上破壊されるのはあまり趣味じゃないからな」
ガラガラと音を立てて滑っていく荷車。
20m程離れたところでようやく静止した。
「さあ、始めようか」
姿勢を変えないままドナルドは宣言する。
柔和な笑みを浮かべたまま、魔力の流れも緩やかで行動に移るようには見えない。
だが、それですでに『出来上がって』いるのだ。余分な動作は必要ない。
構えを取らないドナルドを見て、呂布は大降りの一閃を放った。
半月を描く刃先は確実にドナルドを捉えている。
が、それは半歩下がるだけの動作で躱された。掠りもせずに方天画戟は空を切る。
あくまでもこの程度ならば避けられて当然、と。
だが、小手調べで収まるほど生温くはない。ドナルドの服はちょうど軌跡の延長上にある
胸の部分が横一文字に裂かれていた。
間合いを誤ったか。否、ドナルドは確かに当たっていない。
特殊な能力は一切使わず、技量のみで真空を発生させるに至ったようだ。
ドナルドは少しばかり驚嘆し、
(成程…今まで生き残ってきただけのことはあるな)
表情を変えずに、静かに眼を光らせた。
チルノ達を探すにあたってしなければならないこと。
この広大な敷地から上手く見つけ出すのは至難の業だ。あちら側も今のところは自発的に
向かってくる可能性は低い。身体を休めながら機をうかがっている筈だ。
特に急ぐつもりはないが、見つけるのが長引くと興が削がれる。
やはり目がいくらか必要だ。そう思い至り、挑発する程度の魔力を洩らしておいた。
この程度なら血気盛んな者は挑戦と受け取り、ホイホイ近づいてくれるだろう。
案の定、それは当たったのだが。
ドナルドとしては必要以上の戦闘は好ましくない。
だが、無限の魔力を徴集出来るようになった今、自分がどれだけ出来るのかを把握する必要がある。
先の戦闘では愉しさを優先するあまりそこら辺を測っていなかった。
それを思い出したドナルドは自らを測るためにテストを行うことにした。
そう、この時点で、呂布はドナルドの実験体となることが決定したのだ。
死なぬ程度までに痛めつけ、あわよくばその最後に……
「いいね、かかってきなよ」
「……!」
見せるのはあくまでも余裕。
舐められている、と呂布が判断するのにそう時間はかからなかった。
ならばとばかりに彼はさらに間合いに踏み込む。
手加減は要らない。していい相手ではない。
「フッ!」
両腕で以って、目にも止まらぬ速度で刺突を繰り返す。
その槍捌きはドナルドでも到底一朝一夕で身につくものではない。
長年の研鑽と鍛錬を以ってして到達できる武の極みなのだ。
そう、ドナルドには辿り着けない。
だからと言って、避けられない道理がどこにあるだろうか。
眉間、こめかみ、喉笛、鎖骨下、心臓、鳩尾、ありとあらゆる急所を的確に狙った突撃は
悉く外れていた。まともに当たらない。
既に呂布の表情には焦りが見え始めている。
持てる全てを出し尽くしても、この男には届かないのではないか。
そういう脅威が、心の内から。
「うおおおおおおおおおおお!」
自身を奮い立たせるために呂布は吼える。
狙うはあくまでも一撃必殺。緩急をつけ、さらにフェイントを交えることで鮮やかな斬戟はさらに鋭さを増す。
と、ドナルドは僅かにバランスを崩した。足が縺れたのか知らないがこれは明らかな好機。
そしてそれを逃す呂布ではない。首筋に向けて今度こそ回避不能の一撃を放つ。
が。
「な………」
思わず驚きの声が呂布の口から零れる。
放った一撃は確かにドナルドを捉えていた。それは揺るぎのない事実。
それでも、目の前の光景に唖然とした理由は。
その必殺が、ドナルドに捕らえられていたということだ。
(指二本で…ッ!?)
そう。方天画戟の刃は、ドナルドの片手の指二本で摘むようにして静止させられていた。
今もなお力を込めているにも関わらず、ピタリと、微塵も動かない。
呂布にとって攻撃を防がれるのは珍しいことではない。得物で貫けないレベルの装甲や盾ならば止められて当然。
だが、現状はそれとは全く次元が違う別物だ。
ギシギシと槍が軋む。
余分な力がかかっているのだろう。折れることは多分ないにしても、痛みは出てくる。
ドナルドは表情を変えない。呂布の顔つきは何かよくわからない感情に歪められる。
その時、ドナルドは後方に飛び退いた。離された槍はそのまま空回りして呂布の手元に収まる。
間合いは遭遇したときと同じくらいになった。
その行為は明らかに不審だ。
怖気づく要素はどこにもないし、ましてや間合いを取る必要などなかったというのに。
――何か仕掛けるつもりか。
胸の中に少しずつ湧き始めている不安を払うように、彼はドナルドの出方に集中した。
その行為が、命取りになるとは夢にも思わずに。
ドナルドは呂布と10m程の距離をとると、右手を掲げて魔力を集中させた。
すると一秒も経たずに黄金色の長い棒がドナルドの手の上に形成されていた。
言うまでもなくその正体はフライドポテト。長さは四尺三寸。
呂布には理解できるわけもないが、実態は鋼並みの高度を持ち且つ軽量。
ドナルドの魔力を極限まで練りこんだ得物だ。維持できるのは一時的とはいえ、武器としての
質は方天画戟と同じくらいだろう。
だが、ドナルドの棒術の技術は呂布のそれよりも劣る。
むしろ素手のほうが上手く立ち回れるだろう。
それを知らない呂布は当然警戒に入るだけなのだが、真相はすぐに知れることとなった。
「そうだ。ここで言わないとフェアじゃないから言っておくよ」
呂布の無言を返事と受け取り、ドナルドは話を続ける。
「君には降参する権利がある。そうしたなら傷つけずにこのまま逃がしてもいいよ。
まあ、ドナルドの頼みを幾つか聞いてもらうことになるだろうけどね」
ますます馬鹿にしているとしか思えない発言。
だが、呂布は顔を顰めるだけで動かない。
降伏という選択肢はあり得ない。
戦いの情勢も決まらぬまま逃げ出すような臆病では断じて無い。
だが、彼が今感じている気持ちは―――
(……大概だな)
そう、この程度の不安でたじろいではならないのだ。
何としてでも目の前の敵を討ち倒し、残りの決着をつけたい。
無論、ここで死んだとしても後悔はないが、それでもこの戦いは勝つ。
そう自身に言い聞かせ、否とドナルドに告げた。
沈黙。
後。
「そうかい」
ドナルドは静かに眼を閉じて、
「それじゃあ、メインに移るとしようかな」
言い終わると、周りの空気が一変した。
平然とした感触が急速に異質なものへと入れ換えられている。
まるで、全身の肌を蟲が這っていくような、吐き気を催すほどの邪悪を孕んだ気質が。
その発信源が何処にあるかを呂布は一瞬判別できなかった。
周りを覆う気配は意志を持つかのように全方向から呂布という存在を圧迫し、背筋が凍るほどのおぞましさと
息が詰まるほどの重圧感を兼ね備えたこのオーラが、あまりにも濃密だったためだろう。
無論、その源はドナルドで間違いない。
呂布には知る術もなかったが、このときドナルドの魔力は彼を中心に半径数百メートル程までに広がっており、その
魔力ドームの中に呂布はすっぽり包まれていた。その影響を受けてか、彼の身体からは汗がどっと噴出していた。
密度を限界まで下げれば4エリアを網羅できるほどに拡大できる故にこの魔力の網から逃げることは出来ない。
それに気づかぬまま、ドナルドから目を離せない呂布の耳は、ザリと何かが地を摺れる音を聞いた。
ドナルドが踏み込んだのではないことは呂布は理解している。いや、考えるまでもない。
ただ、その事実は、
(……後退?)
彼の頭にとっては当然なことで、彼の心には驚くべきことで、
(この俺が後退した?)
半歩下がった彼の足が、その事実をありありと示していた。
(馬鹿な……胆で圧倒されるなど…)
認めない。認めてはならない。
その現実に準じてしまえば、自らの心が瓦解してしまうことを容認することになると確信してしまったから。
「有り得ん…」
方天画戟を持つ手に力が篭る。
「……有り得ん!」
目には未だかつて無いほど炎が宿り、全身の筋肉が怒張して呂布の大きな体格をさらに膨大に魅せる。
狂おしいほどの殺気に飲まれてなお、彼は立ち向かおうとしていた。
「あああああああああああああああああ!!!」
猛り狂った牛の如く敵に向かい突進するさまは鬼気迫るものだった。
今までにない気迫。ドナルドはそれを予想していなかったのか思わず身を強張らせて反応が遅れたようだ。
結果、ドナルドの腹部は、いとも容易く貫かれることになった。
呂布の放った一撃はそれほどまでに手応えが無く――
後方。
目の前の敵の姿が消えていくのと、本物の存在に気づいたのは同時だった。
(幻…か――ッ)
だが、もう遅い。
メキリ、と呂布の背側の肋骨が軋みを上げた瞬間に、彼の身体は宙に投げ出されていた。
流れていく視界。体勢を立て直すことなど以ての外。
為すがままに延長上にある電信柱に叩きつけられ、そのまま滑るように地面に墜ちた。
ドナルドはくるくると手持ちの凶器を弄びながら呂布に近づく。
一方の呂布は僅かに痙攣するのみでそれ以上は動かない。
ただの一撃、いや、二撃で彼は完全に沈黙してしまった。
「うん、まあこんなものかな。魔力運用も出来てるし…ところで、生きてるよね?」
衝撃の所為か、呂布の耳にはドナルドの声はあまり入らない。
それより、どうしてこうなったのか、彼の頭はその現実が占有していた。
おそらくかけられたのは幻術。
だが、そのタイミングがわからない。
別の者にとはいえ一度喰らった系統の技には注意しているつもりだった。
そう思うも、意識が朦朧とした彼の頭では考え付かない。
この場合、ドナルドが何をしたか語る方が説明になるだろう。
そう、呂布がかかったのはドナルドが馬岱からラーニングした幻術。
かけた内容は単純な自分の幻像――身代わり程度のものだ(自分の姿の隠蔽も含めるが)。
しかし前述どおりであるならばそう易々とかかるものではない。
故に、ドナルドは前準備を行っていた。
この類の幻術は相手が術者に集中していなければかからない。
もちろん戦闘では一定以上の集中が必要だが、呂布はそれだけ以外にも割ける実力はあった。
けれども相手は予想外の強さで、かつ言いようのない不安に駆られていたために全力で臨まざるを得なかった。
しかしかけられた後でもそれに気付くだけの力は持ち合わせていた。
そうさせなかったのが、第二の理由。
魔力は濃度が高ければ純粋な気配と同等にまで感じられる。
もっと離れていたならまだしも、そのときの彼らの間合いはたった10mにも満たない。
この場合の魔力占有領域と密度を考えれば、流動的なドナルド数十人分の気配が呂布を囲んでいたようなもの。
これでは気の探知に長けた者でなければ本体がどこにいるのかは気配だけでは察知できない。
故に幻術をかけられた目(脳)で動きを追うしかなかったので魔力本体の流れを捉えられず、幻術にも気がつけなかったのだ。
反応の無い呂布の頭をドナルドは鷲掴みにして持ち上げた。
呂布の口から洩れたのは微かな呻き声だけだ。
「おかしいねぇ…君にはまだ余力が残っている筈だけど。あぁそうか、反撃する気も失せたのかな」
それをしたのはドナルド自身に他ならない。
圧倒的な力の差と原初的な恐怖を植えつけることで、『絶対に勝てない』というイメージを呂布に与えたのだ。
これはどんなに気丈な者でもそう簡単に拭い去れるものではない。ドナルドはそう自負していた。
服従とまではいかないが、その前段階には叩き込めている。
射命丸もこの方法で壊してもよかったのだが今一風味が欠ける。
やはり現状としてはチルノを標的にするのが尤もだろう、ということで彼女はその素材になったのだ。
そして呂布に対しては、今から『理解』をさせる。
「さて、君はドナルドに完全に負けたわけだけど、これからどうするつもりだい?」
「何…を……」
自分はこのまま殺されるのではないのか。
逃げる余裕など在りはしない。敗北すると感じてしまった時点で既に勝敗は決している。
それは揺るがしようのない事実で、必然なのだから。
呂布はそう思っていた。
ドナルドは手を離し、呂布を地面に落とす。
ぐしゃりと座るようにして倒れた呂布は、頭を上げずに俯いている。
「君は強い。ドナルドが参加していなかったら、もしかしたら最後の生き残りになっていたかもしれない」
それがどうしたというのだ。
仮定の話を持ち出したところで現実は変わりはしない。
むしろ、そう考えたいのは呂布の方ではないだろうか。
「だが君は倒された。誰に倒されたかは分かっているよね。つまり君の命はドナルドが握っているも同然なんだ」
だから、
「だから、ドナルドは君を生かそう」
「な……――」
死を覚悟していた呂布にとってそれは異常な発言だった。
戦場で捕虜にするならまだしも、ここは完全な殺し合いの場。
生かしたところで生き残るのはたった一人だけ。
ということは、ドナルドは生き残る気がないということか。
「おっと勘違いは困るよ。ドナルドもきっちりと生き残るつもりさ♪」
「ならば…どういうつもりだ」
「実は脱出の手立てが見つかりそうでね。それを見つけたらこのゲームを運営してる糞野郎共に制裁を加えたいのさ。
その時に君にも協力して欲しいんだ。そうなった場合君の命は保障するし、元の世界に帰れるようにもしてあげよう。
何も悪い話じゃないと思うよ。ドナルドにとっても、君にとってもいい話だ。デメリットはどこにもない」
「…それが本当ならばな」
呂布自身は気付いていない。
いつの間にか、ドナルドの言葉に惹きつけられている自分がいるということを。
「断る理由はないだろうに。…戦ってみてよく分かった。君には力があり、才能があり、未来もある。
ここで否定してそれら全てを捨てるのはあまりに無意味だと思わないか?」
心を抓む。
呂布が当初受け入れることを否定した提案。
自分には戦いがある。五里霧中に等しいくだらぬ馴れ合いなどするつもりは無い、と。
だが、今になって拒否する理由はあるのか。
負けた存在が自分のアイデンティティを通す意味などあるのか。
無意識に生まれた感情がドナルドの言葉によって次第に表面に浮き彫りになってくる。
そうだ。断る理由など何処にもない。
今までだって戦場では誰かの下に就いたこともあったではないか。
それを今更尊厳だの志だのと言ってなんの意味がある。
自身でも思ったはずだ。『生きていれば勝ちだ」と。
何をためらうことがある。自分は自分の道を歩めばいい。
(うんうん。やっぱりこうでなくちゃ)
当のドナルドは呂布の考えなどお構い無しだ。
最終的な目標は主催に成り代わり残った参加者を殺し合わせるというもの。
呂布のこともどうでもよく、主催を倒した後はまた会場に放り込もうかと思っているほどだ。
既に図式は出来上がった。後は呂布が首を縦に振るだけで第一段階が完了する。
「断る」
「そうだよね♪君ならそう言ってくれると思ったよ。さて、その傷を――」
ドナルドの表情がにこやかなまま固まった。今、この男は何と言った?
「断る」
「…なんで?」
「理由を訊かねば受け入れられんか、下郎」
「……」
「事実だけを理解しろ。お前の目的が真であるならば、このような方法は採らぬ筈。
あそこに箱詰めになっている死体も、お前に従わなかったからそうなったのだろうよ」
「……」
「そもそも俺はそういった呼びかけには応じなかった。その呼びかける気持ちは真であったがな。
ならばお前程度に靡く道理は無い。それでは未だ生きている奴等に呆れられる。此処で生き残ったとしても
俺の名は逃げ道を選んだ雑魚としか称されぬだろう。武人は命より名を惜しむ」
どれだけ痛めつけられようとも、どれだけ心を壊されそうになろうとも。
一度準じた道を違えることは無い。もはや芯にまで刻まれた信念は、あの程度の甘言で平伏すことは無い。
武に殉ずるならばそれは本望。生き延びて恥を受けることは無い。
例えその事実を他の誰もが知らずとも呂布自身は知っている。
その屈辱を抱えながら生きていくことに、それこそ何の意味があるのだろうか。
「もういいだろう、道化師の者よ。遠慮なく俺を殺すがいい。無論、タダでは殺られてやらんがな」
「お前、壊れろよ」
ガキィン、と鉄がぶつかり合う音が響く。
一瞬にして体勢を立て直した呂布と、ドナルドが振るった得物が打ち合った音だ。
間髪入れずに呂布はさらに方天画戟をドナルドに突き入れる。
だが、その刹那。呂布は確かに、ドナルドの声を聞いた。
「そうだ。やり忘れていたことがあったな」
ドナルドのつまらなさそうな表情。
呂布が目にし、耳にした音はそれが最後だった。
◆◆◆
ふぅ、と溜め息をつく。
「やっぱりすぐ殺すべきかなぁ。でもそれだと残り人数が少ないし…困ったところだね」
ドナルドに疲れは全く見えない。
既に使用した魔力も能力で補填しており、万全の状態だ。
デイパックを拾い上げると普通にその場から立ち去り、荷車を回収した。
彼の後ろには直径数十メートルはあると思われるクレーターが出来上がっている。
その範囲内ではあらゆるものが平面と化しており、家も数軒巻き込まれていた。
凶器は既に消失している。ドナルドが作り出したものはドナルドが消せるからだ。
瓦礫、木片、砕けて凹んだアスファルト。
その中心に、赤黒い物体が一つ。
生き物の挽肉とも形容できる。少なくとももとの生物のカタチは残っていない。
この肉片が呂布だと言う事実は、もはや語るまでもないだろう。
結果として呂布の攻撃はドナルドに届かなかった。
だが、この戦闘で間違いなく、呂布はドナルドに何かを与えた筈だ。
それをどう思ったのかは、ドナルド自身にしか分からない。
「さて、それじゃあ探すか」
ロードローラーがないということはそれに乗って逃げられた。
ならばその跡を辿っていけば、少なくとも何らかの手掛かりにはたどり着く。
道中の参加者は基本無視。ここでふと、ドナルドはリンの事を思い出した。
あまり役には立たないが、洗脳は容易くできる筈。見つけたら使い捨ての仕事でも与えよう。
そう思い、ドナルドは…
◆◆◆
「あぁ……んっ………はぁあっ」
放置されてから何時間経ったか。
放送は聞いていたがきちんと覚えていない。
一応禁止エリアがこの辺りではないことは把握しているが。
ゴロゴロと情けなくのた打ち回るが、そんなことは気にしていられない。
ここにいても死ぬだけだ。それが殺人鬼によるものだったとしても制裁だったとしても。
チルノ達のメンバーは全く期待できない。チルノはともかく、他の奴らは適当に因縁をつけて死に繋がるような選択をするだろう。
それだけは嫌だ。こんなところで終わりたくない。
リンは、その思いで必死に蠢いていた。
所々に身体をぶつけ、階段を転がり落ちながらもどうにかして一階に辿り付く。
一階なら鋏やら包丁やらがあるからそれを利用してガムテープを切るしかない。
身体が傷つくのを構いはしなかった。とにかく此処にいてはいけない。
壁に擦り寄るようにして身体を立たせ(ガムテープの縛りがきつかったが)、ジャンプして台所に到着する。
取っ手を噛んで棚を開ける。一般的にはこの中に包丁やらその他の台所用品が入っているはずだが…
「…ない」
既にときちく達が取った後だった。と言っても先程ではなく、前にだが。
流石にここまで這いずって行くとは想像もしていなかっただろうが結果的にときちく達には運がよく、リンには運が悪かったのだろう。
「じゃあ、別のでなんとかしないと」
とは言っても何重にも巻かれたガムテープを切るには流石に鋭利さがないと難しい。
ガラスを割って使おうか、とも思ったが不用意に音を立てるのは拙い。
もっと別の方法を、と考えたその時。
「――え」
ゾクリ、と。
舐めるような寒気がリンの全身を走った。
これは、少し違うにしても今までに感じたことのある――
(ドナルドだ)
直感的に感じ取る。彼女には気配察知や気の判別のスキルは持っていないが、なんとなく理解したのだ。
この場合、どうすべきかリンは迷った。
ドナルドはリンを直接的に手をかけるようなマネはしないかもしれない。
だが、彼女は一度ドナルドに仕向けられたことによる結末を経験していた。
それがまさに今の状況だ。つまり、またドナルドに出会ったとしても同じように扱われるだろう。
今度そうなった時、生きていられるかはわからない。
それだけは嫌だ。
僅かに残留していたリンのプライドが、そう呟かせた。
既に味方は何処にもいない。信じられるのは自分しかいない。
動かずに考える時間を与えられたからだろうか。
世界全てが敵といった状況でリンは逆に冷静さを取り戻しつつあった。
いや、本人は気づいていないが彼女を守ってくれるだろう者はまだ残っている。
しかしそんな存在はもういない、と思考停止してしまったために、リンは良くも悪くも落ち着いてしまった。
そして考えることは、
(こんなところで、私は終わらない)
どうやって生き延びるか。
当然無様に生を求めるような真似はしない。
因縁を断ちつつ、過去の出来事を清算していく。
「何だ、芋虫ごっこでもしてるのか?」
ドアが開く。
入ってきたのは予想通りの人物。
リンの姿を認めると、にんまりと笑った。
「違うわよドナルド……解いて」
「もちろんさぁ♪ ところで、君をそんな目に合わせた奴は何処に行ったんだい?」
ベリベリとガムテープが剥がれていく。
再びリンの予想通り、ドナルドはチルノ達の情報を欲しがった。
教えない理由はない。だが、完全に服従する気は更々無い。
「多分デパートに行ったと思う」
「そりゃまた唐突だな…」
ドナルドは考えるような仕草を見せた。
草原についたロードローラーの跡。東にずっと延びていけば確かに延長上にはデパートがある。
だが、真っ直ぐ目指すにはいささか妙と言える目的地ではないだろうか。
そう判断したドナルドは、改めてリンの顔を見た。
(嘘をついているようには見えない……けれど、心情に何か変化があるな。
下手に反抗されても面倒だし、情報を引き出したら置いていくか…?)
表情からドナルドはリンの心構えを視た。
以前とは違う、澄ました顔つきだ。
反抗的というわけでもなく、かといって依存するような感じでもない。
(まあいいや。猫の手よりはマシだろうし使えるだけ使っておこう)
「ところで、チルノ達は他に何かするとか言ってなかったかい?」
「……いいえ」
ドナルドはそれ以上リンに聞かなかった。
おそらくそれ以上の情報は洩らされていないと思ったからだ。
リンは顔に殴られた痕があり、それがつけられたのはドナルドと分かれた後。つまりチルノ達に連れて行かれてからだ。
ならば暴行したのは当然ながらその四人の中の誰かということになり、そんな奴の利益になる――情報を明け渡さない――ことは
しないだろうと推察しての事だ。場所の情報があったことについてはおそらく惑わせるための時間稼ぎだろうと理解して。
それならばどのようにして探せばいいかといえば、彼には今だから出来る方法があった。
前のドナルドならもっと根掘り葉掘り訊いたことだろう。
しかし、状況のこともあってかそこまでに気を回さなかった。
その理由はもはや語るまでもない。
一方のリンは、これでいいとばかりに目を閉じた。
積極的に仕返しは行わない。参加者が残っているうちにそんなことをしてしまったらしっぺ返しが来るに決まっている。
だがら自分が望む展開になるように全力を尽くすだけで彼女にとっては充分なのだ。
そう、彼女にとってはそれが最善かつ十全。
その因果律が、矛盾していると気づかぬまま。
「じゃあ行こうか。第二段階の始まりだ」
目的はチルノ達の殺害及びタケモトからの情報搾取。
ドナルドは後ろにリンを従えて、悠然と前に進み出た。}
&color(red){【呂布@iM@S演義 死亡確認】}
【A-3 館前/二日目・朝】
【ドナルド・マクドナルド@ドナルド動画(現実)】
[状態]:左腕骨折(割と治癒)、魔力ほぼ無限状態
[装備]:改造段ボール箱(荷台つき、中に文の死体)
[道具]:支給品一式×2(一食分水・食料消費) ランサーアサルトライフル(213/350)@Gears of War2 工作に使った道具の余り
魔法の石@Heart Of Darkness
『呂布の支給品』基本支給品×2(食料・水-2)三国志大戦カード(UC董白)@三国志大戦、 葉団扇@東方project 包丁@現実 射命丸文のカメラ@東方project
サバイバルナイフ@現実 拳銃(0/6予備弾24)@デスノート、 方天画戟@三国志Ⅸ、イージス@FF11
スナック菓子×3 飴×3袋、時計型麻酔銃の予備針(残り2発)@名探偵コナン、果物ナイフ
[思考・状況]
基本思考:教祖として信者を沢山作りつつ、信者を指揮してバトルロワイアルを盛り上げ主催者になりかわる
1:まずチルノ達をどうにかする。十六夜咲夜を洗脳し対主催の足がかりにする。首輪をどうにかしておきたい。会場の端が気になる。
2:文の死体はチルノやタケモトに突きつけるために運ぶ。恐怖を与える細工はしたけどね。
3:言葉を駒として徹底的に利用する。逃がすつもりは毛頭ない。
4:チルノは弄んだ上で殺す
5:タケモトの首輪解除及び無力化のための手伝いをする。利用した後は……
6:藤崎や馬岱等が楽しみ。
7:リンを同行させる。
※僧侶のネガキャンを聞きました。
※馬岱から妖術と幻術をラーニングしました。
※藤崎が生きていることを知りました。また、藤崎が何らかの形で変化が起こったと推測しています。
※首輪解除班の情報を得ました。誰得の部屋については知りません。
※ときちくから情報を得ました。
※タケモトと文はグルだと判断しました。
※自分の能力を大体把握しました。
※荷台に改造した段ボール箱を固定し、その中に文の死体を入れて運んでいます。
※文の死体は両目を潰され、内臓が露出しています。ただし、知人が見れば文と一発で判断できます。
【鏡音リン@VOCALOID2(悪ノ娘仕様)】
【状態】顔がぼこぼこ(行動には痛み以外での支障なし)、軽度の疲労、
右腕骨折(応急手当済み) 精神疲労
【装備】なし
【持物】なし
【思考・行動】
基本思考:最後まで生き残る。
1、ドナルドのいいなりになるつもりはない。
2、直接的に仕返しはしない。
3、バトルロワイアルに恐怖。元の世界に帰りたい
※色々と現実逃避しています
※タケモトらの話を聞きました。
※持ち物はときちくに奪われました
|sm235:[[経営方針]]|[[時系列順>第六回放送までの本編SS]]|sm:[[]]|
|sm235:[[経営方針]]|[[投下順>201~250]]|sm236:[[]]|
|sm229:[[闇が降りてくる]]|&color(red){呂布}|&color(red){死亡}|
|sm235:[[経営方針]]|ドナルド・マクドナルド|sm:[[]]|
|sm228:[[焦燥]]|鏡音リン|sm:[[]]|
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*ライフスタイル ◆WWhm8QVzK6
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#aa(){放送終了。
禁止エリアに印をつけ、呼ばれた名前に×をつける。
再戦したい相手もまだまだ残っているようで、今しばらくは愉しめそうだと彼は感じる。
放送でやや勢いを削がれた感覚もあったが、気を取り直して呂布は目前に居るであろう敵の気配に向かった。
向こうも呂布に気がついたようだ。気配はピタリと動きを止める。
構わず足を運び、道を曲がった。
車一つ通らない、青白い外灯に照らされた見晴らしのいいアスファルト。
そして、唐突に鳴り響く、一つの足音と車輪の転がる音。
そこで呂布は不思議と周りの空気が軽くなっていくのを感じた。
先ほどまで遠くからでも感じられた濃密な気配は今や無い。
ただ、知覚できるのはおそらく戦場で感じるものと同じ気配。
得物を取り出しながら前を睨む。そのヴィジョンに映る者は、やはり奇妙な者だった。
◆◆◆
こうしてお互いは殺人鬼に捕捉された。
他の素性など知る由も無い。だが、出会えばお互いのことは自然と理解できる。
こいつは、奪う者だ、と。
片や他人の自由意志を奪い、もう一人は純粋に命を奪う。
「なんだハズレかぁ。まあいいや、一応目的は果たせるだろうし」
期待していた人物ではなかったのだろう。
赤髪の道化は残念そうにアフロを掻く。それに対する不満は呂布にはない。
彼にしてみれば呼びかけに応えただけなのだ。この程度は考慮してしかるべき、と。
とりあえず勝手に心の中で持論を押し付け、呂布は静かに方天画戟を構えた。
「ドナルド・マクドナルドって言うんだ。君の名前は?」
唐突な自己紹介。
酔狂な奴だと思いながらも、呂布は自分の名を名乗る。
大して因縁の相手でもなかったようで、ドナルドはそうかと頷くと顔に笑みを浮かべた。
「逃げずに来たってことは、戦う気があるってことだよね。勝てると思うかい?」
「負ける気で戦いに臨む者などいるのか?」
当然、とドナルドはまたも頷く。
「時と場合によりけり、だね。でもまあ君は純粋そうだ」
ふと、呂布はドナルドの後ろにある手押し車のような物が気になった。
ドナルドもそれを察したようだが、隠す気は無いらしい。
呂布はすん、と鼻を鳴らすと、それが何であるかを理解した。
死臭。比喩ではなく、正真正銘の。
生物は死後数分で細胞の腐敗が始まり、その時点で腐敗臭は発生しているのだ。
既に数時間経過している『箱の中味』は戦場慣れしている呂布に微かにその臭いを感じさせた。
「退けておいたほうがいいのではないか?」
「そうだね。これ以上破壊されるのはあまり趣味じゃないからな」
ガラガラと音を立てて滑っていく荷車。
20m程離れたところでようやく静止した。
「さあ、始めようか」
姿勢を変えないままドナルドは宣言する。
柔和な笑みを浮かべたまま、魔力の流れも緩やかで行動に移るようには見えない。
だが、それですでに『出来上がって』いるのだ。余分な動作は必要ない。
構えを取らないドナルドを見て、呂布は大降りの一閃を放った。
半月を描く刃先は確実にドナルドを捉えている。
が、それは半歩下がるだけの動作で躱された。掠りもせずに方天画戟は空を切る。
あくまでもこの程度ならば避けられて当然、と。
だが、小手調べで収まるほど生温くはない。ドナルドの服はちょうど軌跡の延長上にある
胸の部分が横一文字に裂かれていた。
間合いを誤ったか。否、ドナルドは確かに当たっていない。
特殊な能力は一切使わず、技量のみで真空を発生させるに至ったようだ。
ドナルドは少しばかり驚嘆し、
(成程…今まで生き残ってきただけのことはあるな)
表情を変えずに、静かに眼を光らせた。
チルノ達を探すにあたってしなければならないこと。
この広大な敷地から上手く見つけ出すのは至難の業だ。あちら側も今のところは自発的に
向かってくる可能性は低い。身体を休めながら機をうかがっている筈だ。
特に急ぐつもりはないが、見つけるのが長引くと興が削がれる。
やはり目がいくらか必要だ。そう思い至り、挑発する程度の魔力を洩らしておいた。
この程度なら血気盛んな者は挑戦と受け取り、ホイホイ近づいてくれるだろう。
案の定、それは当たったのだが。
ドナルドとしては必要以上の戦闘は好ましくない。
だが、無限の魔力を徴集出来るようになった今、自分がどれだけ出来るのかを把握する必要がある。
先の戦闘では愉しさを優先するあまりそこら辺を測っていなかった。
それを思い出したドナルドは自らを測るためにテストを行うことにした。
そう、この時点で、呂布はドナルドの実験体となることが決定したのだ。
死なぬ程度までに痛めつけ、あわよくばその最後に……
「いいね、かかってきなよ」
「……!」
見せるのはあくまでも余裕。
舐められている、と呂布が判断するのにそう時間はかからなかった。
ならばとばかりに彼はさらに間合いに踏み込む。
手加減は要らない。していい相手ではない。
「フッ!」
両腕で以って、目にも止まらぬ速度で刺突を繰り返す。
その槍捌きはドナルドでも到底一朝一夕で身につくものではない。
長年の研鑽と鍛錬を以ってして到達できる武の極みなのだ。
そう、ドナルドには辿り着けない。
だからと言って、避けられない道理がどこにあるだろうか。
眉間、こめかみ、喉笛、鎖骨下、心臓、鳩尾、ありとあらゆる急所を的確に狙った突撃は
悉く外れていた。まともに当たらない。
既に呂布の表情には焦りが見え始めている。
持てる全てを出し尽くしても、この男には届かないのではないか。
そういう脅威が、心の内から。
「うおおおおおおおおおおお!」
自身を奮い立たせるために呂布は吼える。
狙うはあくまでも一撃必殺。緩急をつけ、さらにフェイントを交えることで鮮やかな斬戟はさらに鋭さを増す。
と、ドナルドは僅かにバランスを崩した。足が縺れたのか知らないがこれは明らかな好機。
そしてそれを逃す呂布ではない。首筋に向けて今度こそ回避不能の一撃を放つ。
が。
「な………」
思わず驚きの声が呂布の口から零れる。
放った一撃は確かにドナルドを捉えていた。それは揺るぎのない事実。
それでも、目の前の光景に唖然とした理由は。
その必殺が、ドナルドに捕らえられていたということだ。
(指二本で…ッ!?)
そう。方天画戟の刃は、ドナルドの片手の指二本で摘むようにして静止させられていた。
今もなお力を込めているにも関わらず、ピタリと、微塵も動かない。
呂布にとって攻撃を防がれるのは珍しいことではない。得物で貫けないレベルの装甲や盾ならば止められて当然。
だが、現状はそれとは全く次元が違う別物だ。
ギシギシと槍が軋む。
余分な力がかかっているのだろう。折れることは多分ないにしても、痛みは出てくる。
ドナルドは表情を変えない。呂布の顔つきは何かよくわからない感情に歪められる。
その時、ドナルドは後方に飛び退いた。離された槍はそのまま空回りして呂布の手元に収まる。
間合いは遭遇したときと同じくらいになった。
その行為は明らかに不審だ。
怖気づく要素はどこにもないし、ましてや間合いを取る必要などなかったというのに。
――何か仕掛けるつもりか。
胸の中に少しずつ湧き始めている不安を払うように、彼はドナルドの出方に集中した。
その行為が、命取りになるとは夢にも思わずに。
ドナルドは呂布と10m程の距離をとると、右手を掲げて魔力を集中させた。
すると一秒も経たずに黄金色の長い棒がドナルドの手の上に形成されていた。
言うまでもなくその正体はフライドポテト。長さは四尺三寸。
呂布には理解できるわけもないが、実態は鋼並みの高度を持ち且つ軽量。
ドナルドの魔力を極限まで練りこんだ得物だ。維持できるのは一時的とはいえ、武器としての
質は方天画戟と同じくらいだろう。
だが、ドナルドの棒術の技術は呂布のそれよりも劣る。
むしろ素手のほうが上手く立ち回れるだろう。
それを知らない呂布は当然警戒に入るだけなのだが、真相はすぐに知れることとなった。
「そうだ。ここで言わないとフェアじゃないから言っておくよ」
呂布の無言を返事と受け取り、ドナルドは話を続ける。
「君には降参する権利がある。そうしたなら傷つけずにこのまま逃がしてもいいよ。
まあ、ドナルドの頼みを幾つか聞いてもらうことになるだろうけどね」
ますます馬鹿にしているとしか思えない発言。
だが、呂布は顔を顰めるだけで動かない。
降伏という選択肢はあり得ない。
戦いの情勢も決まらぬまま逃げ出すような臆病では断じて無い。
だが、彼が今感じている気持ちは―――
(……大概だな)
そう、この程度の不安でたじろいではならないのだ。
何としてでも目の前の敵を討ち倒し、残りの決着をつけたい。
無論、ここで死んだとしても後悔はないが、それでもこの戦いは勝つ。
そう自身に言い聞かせ、否とドナルドに告げた。
沈黙。
後。
「そうかい」
ドナルドは静かに眼を閉じて、
「それじゃあ、メインに移るとしようかな」
言い終わると、周りの空気が一変した。
平然とした感触が急速に異質なものへと入れ換えられている。
まるで、全身の肌を蟲が這っていくような、吐き気を催すほどの邪悪を孕んだ気質が。
その発信源が何処にあるかを呂布は一瞬判別できなかった。
周りを覆う気配は意志を持つかのように全方向から呂布という存在を圧迫し、背筋が凍るほどのおぞましさと
息が詰まるほどの重圧感を兼ね備えたこのオーラが、あまりにも濃密だったためだろう。
無論、その源はドナルドで間違いない。
呂布には知る術もなかったが、このときドナルドの魔力は彼を中心に半径数百メートル程までに広がっており、その
魔力ドームの中に呂布はすっぽり包まれていた。その影響を受けてか、彼の身体からは汗がどっと噴出していた。
密度を限界まで下げれば4エリアを網羅できるほどに拡大できる故にこの魔力の網から逃げることは出来ない。
それに気づかぬまま、ドナルドから目を離せない呂布の耳は、ザリと何かが地を摺れる音を聞いた。
ドナルドが踏み込んだのではないことは呂布は理解している。いや、考えるまでもない。
ただ、その事実は、
(……後退?)
彼の頭にとっては当然なことで、彼の心には驚くべきことで、
(この俺が後退した?)
半歩下がった彼の足が、その事実をありありと示していた。
(馬鹿な……胆で圧倒されるなど…)
認めない。認めてはならない。
その現実に準じてしまえば、自らの心が瓦解してしまうことを容認することになると確信してしまったから。
「有り得ん…」
方天画戟を持つ手に力が篭る。
「……有り得ん!」
目には未だかつて無いほど炎が宿り、全身の筋肉が怒張して呂布の大きな体格をさらに膨大に魅せる。
狂おしいほどの殺気に飲まれてなお、彼は立ち向かおうとしていた。
「あああああああああああああああああ!!!」
猛り狂った牛の如く敵に向かい突進するさまは鬼気迫るものだった。
今までにない気迫。ドナルドはそれを予想していなかったのか思わず身を強張らせて反応が遅れたようだ。
結果、ドナルドの腹部は、いとも容易く貫かれることになった。
呂布の放った一撃はそれほどまでに手応えが無く――
後方。
目の前の敵の姿が消えていくのと、本物の存在に気づいたのは同時だった。
(幻…か――ッ)
だが、もう遅い。
メキリ、と呂布の背側の肋骨が軋みを上げた瞬間に、彼の身体は宙に投げ出されていた。
流れていく視界。体勢を立て直すことなど以ての外。
為すがままに延長上にある電信柱に叩きつけられ、そのまま滑るように地面に墜ちた。
ドナルドはくるくると手持ちの凶器を弄びながら呂布に近づく。
一方の呂布は僅かに痙攣するのみでそれ以上は動かない。
ただの一撃、いや、二撃で彼は完全に沈黙してしまった。
「うん、まあこんなものかな。魔力運用も出来てるし…ところで、生きてるよね?」
衝撃の所為か、呂布の耳にはドナルドの声はあまり入らない。
それより、どうしてこうなったのか、彼の頭はその現実が占有していた。
おそらくかけられたのは幻術。
だが、そのタイミングがわからない。
別の者にとはいえ一度喰らった系統の技には注意しているつもりだった。
そう思うも、意識が朦朧とした彼の頭では考え付かない。
この場合、ドナルドが何をしたか語る方が説明になるだろう。
そう、呂布がかかったのはドナルドが馬岱からラーニングした幻術。
かけた内容は単純な自分の幻像――身代わり程度のものだ(自分の姿の隠蔽も含めるが)。
しかし前述どおりであるならばそう易々とかかるものではない。
故に、ドナルドは前準備を行っていた。
この類の幻術は相手が術者に集中していなければかからない。
もちろん戦闘では一定以上の集中が必要だが、呂布はそれだけ以外にも割ける実力はあった。
けれども相手は予想外の強さで、かつ言いようのない不安に駆られていたために全力で臨まざるを得なかった。
しかしかけられた後でもそれに気付くだけの力は持ち合わせていた。
そうさせなかったのが、第二の理由。
魔力は濃度が高ければ純粋な気配と同等にまで感じられる。
もっと離れていたならまだしも、そのときの彼らの間合いはたった10mにも満たない。
この場合の魔力占有領域と密度を考えれば、流動的なドナルド数十人分の気配が呂布を囲んでいたようなもの。
これでは気の探知に長けた者でなければ本体がどこにいるのかは気配だけでは察知できない。
故に幻術をかけられた目(脳)で動きを追うしかなかったので魔力本体の流れを捉えられず、幻術にも気がつけなかったのだ。
反応の無い呂布の頭をドナルドは鷲掴みにして持ち上げた。
呂布の口から洩れたのは微かな呻き声だけだ。
「おかしいねぇ…君にはまだ余力が残っている筈だけど。あぁそうか、反撃する気も失せたのかな」
それをしたのはドナルド自身に他ならない。
圧倒的な力の差と原初的な恐怖を植えつけることで、『絶対に勝てない』というイメージを呂布に与えたのだ。
これはどんなに気丈な者でもそう簡単に拭い去れるものではない。ドナルドはそう自負していた。
服従とまではいかないが、その前段階には叩き込めている。
射命丸もこの方法で壊してもよかったのだが今一風味が欠ける。
やはり現状としてはチルノを標的にするのが尤もだろう、ということで彼女はその素材になったのだ。
そして呂布に対しては、今から『理解』をさせる。
「さて、君はドナルドに完全に負けたわけだけど、これからどうするつもりだい?」
「何…を……」
自分はこのまま殺されるのではないのか。
逃げる余裕など在りはしない。敗北すると感じてしまった時点で既に勝敗は決している。
それは揺るがしようのない事実で、必然なのだから。
呂布はそう思っていた。
ドナルドは手を離し、呂布を地面に落とす。
ぐしゃりと座るようにして倒れた呂布は、頭を上げずに俯いている。
「君は強い。ドナルドが参加していなかったら、もしかしたら最後の生き残りになっていたかもしれない」
それがどうしたというのだ。
仮定の話を持ち出したところで現実は変わりはしない。
むしろ、そう考えたいのは呂布の方ではないだろうか。
「だが君は倒された。誰に倒されたかは分かっているよね。つまり君の命はドナルドが握っているも同然なんだ」
だから、
「だから、ドナルドは君を生かそう」
「な……――」
死を覚悟していた呂布にとってそれは異常な発言だった。
戦場で捕虜にするならまだしも、ここは完全な殺し合いの場。
生かしたところで生き残るのはたった一人だけ。
ということは、ドナルドは生き残る気がないということか。
「おっと勘違いは困るよ。ドナルドもきっちりと生き残るつもりさ♪」
「ならば…どういうつもりだ」
「実は脱出の手立てが見つかりそうでね。それを見つけたらこのゲームを運営してる糞野郎共に制裁を加えたいのさ。
その時に君にも協力して欲しいんだ。そうなった場合君の命は保障するし、元の世界に帰れるようにもしてあげよう。
何も悪い話じゃないと思うよ。ドナルドにとっても、君にとってもいい話だ。デメリットはどこにもない」
「…それが本当ならばな」
呂布自身は気付いていない。
いつの間にか、ドナルドの言葉に惹きつけられている自分がいるということを。
「断る理由はないだろうに。…戦ってみてよく分かった。君には力があり、才能があり、未来もある。
ここで否定してそれら全てを捨てるのはあまりに無意味だと思わないか?」
心を抓む。
呂布が当初受け入れることを否定した提案。
自分には戦いがある。五里霧中に等しいくだらぬ馴れ合いなどするつもりは無い、と。
だが、今になって拒否する理由はあるのか。
負けた存在が自分のアイデンティティを通す意味などあるのか。
無意識に生まれた感情がドナルドの言葉によって次第に表面に浮き彫りになってくる。
そうだ。断る理由など何処にもない。
今までだって戦場では誰かの下に就いたこともあったではないか。
それを今更尊厳だの志だのと言ってなんの意味がある。
自身でも思ったはずだ。『生きていれば勝ちだ」と。
何をためらうことがある。自分は自分の道を歩めばいい。
(うんうん。やっぱりこうでなくちゃ)
当のドナルドは呂布の考えなどお構い無しだ。
最終的な目標は主催に成り代わり残った参加者を殺し合わせるというもの。
呂布のこともどうでもよく、主催を倒した後はまた会場に放り込もうかと思っているほどだ。
既に図式は出来上がった。後は呂布が首を縦に振るだけで第一段階が完了する。
「断る」
「そうだよね♪君ならそう言ってくれると思ったよ。さて、その傷を――」
ドナルドの表情がにこやかなまま固まった。今、この男は何と言った?
「断る」
「…なんで?」
「理由を訊かねば受け入れられんか、下郎」
「……」
「事実だけを理解しろ。お前の目的が真であるならば、このような方法は採らぬ筈。
あそこに箱詰めになっている死体も、お前に従わなかったからそうなったのだろうよ」
「……」
「そもそも俺はそういった呼びかけには応じなかった。その呼びかける気持ちは真であったがな。
ならばお前程度に靡く道理は無い。それでは未だ生きている奴等に呆れられる。此処で生き残ったとしても
俺の名は逃げ道を選んだ雑魚としか称されぬだろう。武人は命より名を惜しむ」
どれだけ痛めつけられようとも、どれだけ心を壊されそうになろうとも。
一度準じた道を違えることは無い。もはや芯にまで刻まれた信念は、あの程度の甘言で平伏すことは無い。
武に殉ずるならばそれは本望。生き延びて恥を受けることは無い。
例えその事実を他の誰もが知らずとも呂布自身は知っている。
その屈辱を抱えながら生きていくことに、それこそ何の意味があるのだろうか。
「もういいだろう、道化師の者よ。遠慮なく俺を殺すがいい。無論、タダでは殺られてやらんがな」
「お前、壊れろよ」
ガキィン、と鉄がぶつかり合う音が響く。
一瞬にして体勢を立て直した呂布と、ドナルドが振るった得物が打ち合った音だ。
間髪入れずに呂布はさらに方天画戟をドナルドに突き入れる。
だが、その刹那。呂布は確かに、ドナルドの声を聞いた。
「そうだ。やり忘れていたことがあったな」
ドナルドのつまらなさそうな表情。
呂布が目にし、耳にした音はそれが最後だった。
◆◆◆
ふぅ、と溜め息をつく。
「やっぱりすぐ殺すべきかなぁ。でもそれだと残り人数が少ないし…困ったところだね」
ドナルドに疲れは全く見えない。
既に使用した魔力も能力で補填しており、万全の状態だ。
デイパックを拾い上げると普通にその場から立ち去り、荷車を回収した。
彼の後ろには直径数十メートルはあると思われるクレーターが出来上がっている。
その範囲内ではあらゆるものが平面と化しており、家も数軒巻き込まれていた。
凶器は既に消失している。ドナルドが作り出したものはドナルドが消せるからだ。
瓦礫、木片、砕けて凹んだアスファルト。
その中心に、赤黒い物体が一つ。
生き物の挽肉とも形容できる。少なくとももとの生物のカタチは残っていない。
この肉片が呂布だと言う事実は、もはや語るまでもないだろう。
結果として呂布の攻撃はドナルドに届かなかった。
だが、この戦闘で間違いなく、呂布はドナルドに何かを与えた筈だ。
それをどう思ったのかは、ドナルド自身にしか分からない。
「さて、それじゃあ探すか」
ロードローラーがないということはそれに乗って逃げられた。
ならばその跡を辿っていけば、少なくとも何らかの手掛かりにはたどり着く。
道中の参加者は基本無視。ここでふと、ドナルドはリンの事を思い出した。
あまり役には立たないが、洗脳は容易くできる筈。見つけたら使い捨ての仕事でも与えよう。
そう思い、ドナルドは…
◆◆◆
「あぁ……んっ………はぁあっ」
放置されてから何時間経ったか。
放送は聞いていたがきちんと覚えていない。
一応禁止エリアがこの辺りではないことは把握しているが。
ゴロゴロと情けなくのた打ち回るが、そんなことは気にしていられない。
ここにいても死ぬだけだ。それが殺人鬼によるものだったとしても制裁だったとしても。
チルノ達のメンバーは全く期待できない。チルノはともかく、他の奴らは適当に因縁をつけて死に繋がるような選択をするだろう。
それだけは嫌だ。こんなところで終わりたくない。
リンは、その思いで必死に蠢いていた。
所々に身体をぶつけ、階段を転がり落ちながらもどうにかして一階に辿り付く。
一階なら鋏やら包丁やらがあるからそれを利用してガムテープを切るしかない。
身体が傷つくのを構いはしなかった。とにかく此処にいてはいけない。
壁に擦り寄るようにして身体を立たせ(ガムテープの縛りがきつかったが)、ジャンプして台所に到着する。
取っ手を噛んで棚を開ける。一般的にはこの中に包丁やらその他の台所用品が入っているはずだが…
「…ない」
既にときちく達が取った後だった。と言っても先程ではなく、前にだが。
流石にここまで這いずって行くとは想像もしていなかっただろうが結果的にときちく達には運がよく、リンには運が悪かったのだろう。
「じゃあ、別のでなんとかしないと」
とは言っても何重にも巻かれたガムテープを切るには流石に鋭利さがないと難しい。
ガラスを割って使おうか、とも思ったが不用意に音を立てるのは拙い。
もっと別の方法を、と考えたその時。
「――え」
ゾクリ、と。
舐めるような寒気がリンの全身を走った。
これは、少し違うにしても今までに感じたことのある――
(ドナルドだ)
直感的に感じ取る。彼女には気配察知や気の判別のスキルは持っていないが、なんとなく理解したのだ。
この場合、どうすべきかリンは迷った。
ドナルドはリンを直接的に手をかけるようなマネはしないかもしれない。
だが、彼女は一度ドナルドに仕向けられたことによる結末を経験していた。
それがまさに今の状況だ。つまり、またドナルドに出会ったとしても同じように扱われるだろう。
今度そうなった時、生きていられるかはわからない。
それだけは嫌だ。
僅かに残留していたリンのプライドが、そう呟かせた。
既に味方は何処にもいない。信じられるのは自分しかいない。
動かずに考える時間を与えられたからだろうか。
世界全てが敵といった状況でリンは逆に冷静さを取り戻しつつあった。
いや、本人は気づいていないが彼女を守ってくれるだろう者はまだ残っている。
しかしそんな存在はもういない、と思考停止してしまったために、リンは良くも悪くも落ち着いてしまった。
そして考えることは、
(こんなところで、私は終わらない)
どうやって生き延びるか。
当然無様に生を求めるような真似はしない。
因縁を断ちつつ、過去の出来事を清算していく。
「何だ、芋虫ごっこでもしてるのか?」
ドアが開く。
入ってきたのは予想通りの人物。
リンの姿を認めると、にんまりと笑った。
「違うわよドナルド……解いて」
「もちろんさぁ♪ ところで、君をそんな目に合わせた奴は何処に行ったんだい?」
ベリベリとガムテープが剥がれていく。
再びリンの予想通り、ドナルドはチルノ達の情報を欲しがった。
教えない理由はない。だが、完全に服従する気は更々無い。
「多分デパートに行ったと思う」
「そりゃまた唐突だな…」
ドナルドは考えるような仕草を見せた。
草原についたロードローラーの跡。東にずっと延びていけば確かに延長上にはデパートがある。
だが、真っ直ぐ目指すにはいささか妙と言える目的地ではないだろうか。
そう判断したドナルドは、改めてリンの顔を見た。
(嘘をついているようには見えない……けれど、心情に何か変化があるな。
下手に反抗されても面倒だし、情報を引き出したら置いていくか…?)
表情からドナルドはリンの心構えを視た。
以前とは違う、澄ました顔つきだ。
反抗的というわけでもなく、かといって依存するような感じでもない。
(まあいいや。猫の手よりはマシだろうし使えるだけ使っておこう)
「ところで、チルノ達は他に何かするとか言ってなかったかい?」
「……いいえ」
ドナルドはそれ以上リンに聞かなかった。
おそらくそれ以上の情報は洩らされていないと思ったからだ。
リンは顔に殴られた痕があり、それがつけられたのはドナルドと分かれた後。つまりチルノ達に連れて行かれてからだ。
ならば暴行したのは当然ながらその四人の中の誰かということになり、そんな奴の利益になる――情報を明け渡さない――ことは
しないだろうと推察しての事だ。場所の情報があったことについてはおそらく惑わせるための時間稼ぎだろうと理解して。
それならばどのようにして探せばいいかといえば、彼には今だから出来る方法があった。
前のドナルドならもっと根掘り葉掘り訊いたことだろう。
しかし、状況のこともあってかそこまでに気を回さなかった。
その理由はもはや語るまでもない。
一方のリンは、これでいいとばかりに目を閉じた。
積極的に仕返しは行わない。参加者が残っているうちにそんなことをしてしまったらしっぺ返しが来るに決まっている。
だがら自分が望む展開になるように全力を尽くすだけで彼女にとっては充分なのだ。
そう、彼女にとってはそれが最善かつ十全。
その因果律が、矛盾していると気づかぬまま。
「じゃあ行こうか。第二段階の始まりだ」
目的はチルノ達の殺害及びタケモトからの情報搾取。
ドナルドは後ろにリンを従えて、悠然と前に進み出た。}
&color(red){【呂布@iM@S演義 死亡確認】}
【A-3 館前/二日目・朝】
【ドナルド・マクドナルド@ドナルド動画(現実)】
[状態]:左腕骨折(割と治癒)、魔力ほぼ無限状態
[装備]:改造段ボール箱(荷台つき、中に文の死体)
[道具]:支給品一式×2(一食分水・食料消費) ランサーアサルトライフル(213/350)@Gears of War2 工作に使った道具の余り
魔法の石@Heart Of Darkness
『呂布の支給品』基本支給品×2(食料・水-2)三国志大戦カード(UC董白)@三国志大戦、 葉団扇@東方project 包丁@現実 射命丸文のカメラ@東方project
サバイバルナイフ@現実 拳銃(0/6予備弾24)@デスノート、 方天画戟@三国志Ⅸ、イージス@FF11
スナック菓子×3 飴×3袋、時計型麻酔銃の予備針(残り2発)@名探偵コナン、果物ナイフ
[思考・状況]
基本思考:教祖として信者を沢山作りつつ、信者を指揮してバトルロワイアルを盛り上げ主催者になりかわる
1:まずチルノ達をどうにかする。十六夜咲夜を洗脳し対主催の足がかりにする。首輪をどうにかしておきたい。会場の端が気になる。
2:文の死体はチルノやタケモトに突きつけるために運ぶ。恐怖を与える細工はしたけどね。
3:言葉を駒として徹底的に利用する。逃がすつもりは毛頭ない。
4:チルノは弄んだ上で殺す
5:タケモトの首輪解除及び無力化のための手伝いをする。利用した後は……
6:藤崎や馬岱等が楽しみ。
7:リンを同行させる。
※僧侶のネガキャンを聞きました。
※馬岱から妖術と幻術をラーニングしました。
※藤崎が生きていることを知りました。また、藤崎が何らかの形で変化が起こったと推測しています。
※首輪解除班の情報を得ました。誰得の部屋については知りません。
※ときちくから情報を得ました。
※タケモトと文はグルだと判断しました。
※自分の能力を大体把握しました。
※荷台に改造した段ボール箱を固定し、その中に文の死体を入れて運んでいます。
※文の死体は両目を潰され、内臓が露出しています。ただし、知人が見れば文と一発で判断できます。
【鏡音リン@VOCALOID2(悪ノ娘仕様)】
【状態】顔がぼこぼこ(行動には痛み以外での支障なし)、軽度の疲労、
右腕骨折(応急手当済み) 精神疲労
【装備】なし
【持物】なし
【思考・行動】
基本思考:最後まで生き残る。
1、ドナルドのいいなりになるつもりはない。
2、直接的に仕返しはしない。
3、バトルロワイアルに恐怖。元の世界に帰りたい
※色々と現実逃避しています
※タケモトらの話を聞きました。
※持ち物はときちくに奪われました
|sm235:[[経営方針]]|[[時系列順>第六回放送までの本編SS]]|sm236:[[水面下にて]]|
|sm235:[[経営方針]]|[[投下順>201~250]]|sm236:[[水面下にて]]|
|sm229:[[闇が降りてくる]]|&color(red){呂布}|&color(red){死亡}|
|sm235:[[経営方針]]|ドナルド・マクドナルド|sm236:[[水面下にて]]|
|sm228:[[焦燥]]|鏡音リン|sm236:[[水面下にて]]|
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