須田恭也


「お前らみたいなのがいる限り…、俺は…何度でも現れる」

ソニー・インタラクティブエンタテインメントのホラーゲーム、『SIREN』および『SIREN2』に登場する人物。
プレイアブルキャラクターで、主人公の一人でもある16歳の高校生。
本作は複数のキャラの視点が交錯する群像劇だが、その中でも事実上のメイン主人公に相当する。
SIRENシリーズは3Dモデルと声の両方を同じ演者が担当する方式が採られており、恭也の演者は篠田光亮氏が担当している。

ファンからの愛称は「SDK」
自身が書き込んでいた掲示板「オカルトランド」で「SuDa Kyoya」を略した「SDK」をハンドルネームとしていた事に由来する。
なお、この掲示板はゲーム公式によって実際に作られており、現在でもアクセスしてSDKの書き込みを閲覧する事が可能。
この現実とゲームの世界を融合させる試みは続編でも行われており、他には登場人物の公式サイトやブログなども作られている。
また、この愛称にかけて同行者や屍人などにわざとドSな振る舞いをするプレイヤーを「ドSDK」と呼ぶ事もあるとか。

オカルト好きな部分を除けばごく普通の少年であり、凄惨な事件が起きたという伝説の残る廃村・羽生蛇村に興味を持ち、
夏休みを利用して訪れていた所、無人のはずの村内で不気味な儀式を目撃した。
更に村人が目から血を垂れ流す不死身の怪物・屍人と化して襲い掛かってくるという怪異に巻き込まれてしまう。

屍人から逃げ惑う道中、愛犬を失い途方に暮れていた盲目の美少女、神代美耶子(かじろ みやこ)と知り合うが、
この村の異変に深く関わる存在であった彼女と同道したばかりに、トゥルーエンドルートでは羽生蛇村を覆う闇の中、
最も深い闇の底に挑む事となる……。

+ 以下ネタバレ
異界からの脱出方法を求めて彷徨う内に、恭也と美耶子の間には強い信頼関係が生まれていくが、
美耶子の兄・神代淳の妨害により、恭也はライフル銃で胸を撃ち抜かれて崖から転落。
攫われた美耶子も一連の事態の元凶である異形の神・堕辰子(だたつし)の生贄として殺害されてしまう。

しかし、通常なら死ぬような重傷を負ったにも拘らず恭也は生きていた。
これは異界に降り注ぐ赤い雨に「人間を不死化する代わりに思考能力を失わせる(屍人化する)」効能があった事に加え、
神代家の血には「肉体が朽ち果てても精神は滅びず、生き地獄を味わう」という堕辰子の呪いがかけられており、
恭也が屍人化の初期症状で苦しむ様子を見た美耶子は、密かに自身の血液を彼に輸血していたため。
つまり恭也は、肉体・精神共に不滅化した完全な不死者になっていたのである。
隠れ切支丹の信仰を続ける山奥の寒村で起こる「不死の村人達」の怪異という大筋からして、
諸星大二郎氏の漫画『妖怪ハンター』などからのオマージュが明白な今作だが、赤い水(=生命の実)と神代の血(=知恵の実)の両方を得た恭也は、
正しく神に等しいものとなってしまった事になる。

霊魂と化した美耶子と夢の中で再会した恭也は、彼女から「全部消して。この村も、あいつらも、全部。」と懇願される。
彼はその願いを叶えるべく、異界の最深部である堕辰子の世界「いんふぇるの」へと突入していった……。

+ 異界ジェノサイダー
トゥルーエンドルートにおいて堕辰子を打倒するという偉業を成し遂げた恭也だが、エンディングムービーにて、
美耶子との約束のままに屍人の徘徊する異界を渡り歩き、その手の神器と刀と猟銃で屍人を狩り殺す存在になった事が語られる。
本来使うだけで命を燃やし尽くす神器を平気で振りかざし、どんな傷を受けても死ぬ事はないものの、
愛する美耶子といつか再会出来ると思い込んだまま、魔を狩り尽くすべく永遠に闇を彷徨う存在となった……。

という悲壮なエンディングなのだが、両腕には神の力を宿した武器を持ち、二丁の猟銃を背負い、
肩には弾帯をぶら下げた完全武装状態で、本編では滅ぼす事も出来ず必死に逃げ回るしかなかった屍人共を、
ハードなロックミュージックに乗ってノリノリでジェノサイドするという絵面のインパクトが凄まじかった。


更に続編『SIREN2』にまで出張。
本作でゲームクリア後に出現するおまけステージのプレイアブルキャラとして登場し、
手にした刀で新たな敵・闇人とその進化形態である甲、乙式どもをバッタバッタと斬り倒し、神器の力で焼き払っていく。
おまけに不死者である恭也は闇人から攻撃されても全くダメージを受けないため、
制限時間内に何匹の闇人を狩れたかを競うボーナスステージ的な扱いになっている。
ちなみにエンディングスタッフロールでは「SDK」表記でクレジットされており、
ファンの間ではこの「異界ジェノサイダー」としての彼を指して「SDK」と称する事もある。

なお、恭也が羽生蛇村に訪れるきっかけとなった凄惨な事件とは、
彼が屍人を虐殺している姿を、別の人物が目撃した事によって広まった噂である。
これは、様々な事情により羽生蛇村の異界は時空が混乱してループ状に閉じてしまっているためであり、
つまり恭也は「未来の自らの行い」に導かれて村を訪れてしまった、という事になる。

また、異界ジェノサイダーと化した恭也の姿は、現実に起きた大量殺人事件「津山事件」の犯人をモチーフにしている。
事件を基に執筆された推理小説やその映画版『八つ墓村』を思い出した方も多いだろう。

リメイク作『SIREN:New Translation』では、ハワード・ライト(演者はステファン・フィッシャー氏)という少年が、
自身のブログに送られてきた不可解なメッセージに誘われて羽生蛇村にツーリングで訪れ、恭也とほぼ同じ立場に置かれている。
このブログも「オカルトランド」と同じく実際に制作されており、彼が村に辿り着くまでの道のりを追う事が出来る。
また、ファンからはSDKにあたるポジションのアメリカ(USA)人なので「USDK」とも呼ばれる。誰が上手い事言えと
ちなみに『New Translation』は登場人物の大半を外国人に変更し再構成したものだが、
こうなったのはサム・ライミ監督の実写映画の企画と連動する予定だったためだとか(映画は没になってしまったが)。


SIREN作中における須田恭也

プレイアブルキャラクターの中では標準的な生命力やスタミナを持つキャラクター。
……なのだが、他のキャラに非力な女性や子供が多いので相対的に優秀な部類に入る。
異界の影響により、他人の視界を覗き見る「視界ジャック」という全キャラ共通の特殊能力を使用出来る。

ゲーム開始当初は何の武器も持っておらず、屍人と遭遇しても逃げ惑う事しか出来ないが、
村を探索する中で近接武器の火かき棒、38口径警察銃、狩猟用狙撃銃などを入手し、戦闘が可能になっていく。
特に彼のシナリオでのみ序盤に半強制入手でその後もしばらく初期装備になる火かき棒は、リーチが長く使いやすい恭也を象徴する武器として知られており、
ファンの間ではヒカキボルグの異名で親しまれている。
(また、これに準えバールをエクスカリバールと呼ぶ事も)。

また、ラスボス戦では宇理炎・盾および焔薙という特殊な武器が使用可能になる。
+ 以下ネタバレ
◆宇理炎(うりえん)・盾
羽生蛇村付近で発見された剣・盾一対の土偶。
その実体は手にした者の生命エネルギーを青い炎に変換して発射する「神の武器」であり、
通常の武器では殺害出来ない屍人や堕辰子をも滅ぼすほどの力を持つ。
しかし、常人が使うと生命力を奪い尽くされるほど強力なので、
不死者である恭也以外が使えば命を落とす事になる(実際、「剣」を使った者は一発で瀕死となった)。
攻撃手段は前方に炎の柱を発生させる「煉獄の炎」と無数の火球を空から降らせる「鉄の火」。

その名の出典元と思しき大天使ウリエルは、焔の剣を手にエデンの園の門を守っていると伝えられている。

◆焔薙(ほむらなぎ)
神代家に伝わる隕鉄を精錬して作られた日本刀。
普段はただの日本刀だが、伝説の聖獣「木る伝(ケルビム)」が青い炎として宿る事で真の力を発揮。
宇理炎では倒しきれなかった堕辰子の首を斬り落とし、異界を完全に滅ぼすことが出来る。
ただし、青い炎は構えてから数秒待たないと出ないうえに剣を振ると消えてしまう。
おまけに堕辰子は不可視の存在なので闇雲に振り回しても意味がない。
堕辰子にトドメを刺す際には、霊魂だけの存在になった美耶子の手を借りる必要があるだろう。

また、木る伝の力を宿す為には全ステージでただ生き延びるだけの「終了条件1」とは異なる、
何らかの特殊な行動をとって別の場面にも影響を与える「終了条件2」を満たす必要がある。
これは全ての主人公たちが、時に非合理的にも見える行動を取り、無意識に運命に抗った結果の集大成と言える。

なお、美耶子の愛犬の名に使われているケルブはヘブライ語における智天使ケルビムの単数形である。
「神の玉座」「神の乗騎」としても記述される獣の相を持つ天使で、神の姿を見る事が出来る故に、
智天使という訳語があてられた。
旧約聖書において、楽園を追放されたアダムとエバがエデンの園の東に立つ生命の樹に近付かぬよう、
回転する炎の剣と共にケルビムが置かれたとされる。


上記二つの武器は『SIREN2』でも登場。
焔薙は正面からの攻撃を無効化する闇人の強化態すらも問答無用で斬り倒す事が出来る。
青い炎も消えなくなっているので遠慮なく振り回せるようになった。
ただし、背中の猟銃は弾切れなのか使用出来ない。


MUGENにおける須田恭也

海外製作者のBlankly Rabbit Brody氏によるSDKが存在していたが、現在は氏のOneDriveが消滅しており入手不可。
姿は「異界ジェノサイダー」と化した後のもので、『MELTY BLOOD』キャラのドットを改変して作られている。
飛び道具の猟銃は硬直が長いため遠距離戦は不得手なものの、通常攻撃はリーチが長い上に発生も早く、コンボ性能は高い。
ゲージ3+体力3分の1以下の時に発動出来る即死技も搭載されている。

出場大会



最終更新:2022年12月14日 12:30