黄巾党を立ち上げてみた。
今のところ、諸勢力が攻め入ることも無く平和な日々だ。
暫くは民の救済に専念できそうだ。
張梁に恋人が出来たらしい。
張宝が酒場で「何で俺には出来ない・・・」などと愚痴を漏らしていたそうだが、顔に落書きしてれば当前だと言いたくなる。
それと、地公将軍が民に迷惑をかけるな。
ましてや女絡みで管を巻くなど、黄巾党の威信に関わる。
張宝は先月の一件からまだ立ち直っていないらしい。
見ているこっちの気が滅入るので、
「張梁は女が出来てから神通力が衰えた。
その証拠に、鬼門を開く事が出来ない。
だから、女を作らないお前は偉い」
と適当に慰めたら本気にした。
まさかここまで馬鹿だったとは・・・こんなのが地公将軍で大丈夫だろうか?
街を巡察していると、浅黒い肌をした異国風の男が倒れていた。
まだ息があったので、急ぎ連れ帰って手当てを行う。
どうでもいいが、張梁がフラれたらしい。
ただ、欲求不満を幻影兵相手に発散するのは精神が病んでるとしか言いようがない。
やってて虚しくならないんだろうか?
先月の男が漸く目を覚ました。
ナイ・・・という名前らしい。
神父なる職に就いているとの事。
「自分は別の世界からやってきた」
と言っている。まだ混乱しているようだ。
『死霊秘本』なる妖術書を見せて貰う。
文字も内容も、この世界の物とは異なる雰囲気が漂っている。
信じ難いが、ナイ神父は異世界から来たと信じるしかあるまい。
元の世界に戻る為には、この本に書いてある“門”とやらを開かなければならないそうだ。
「妖術に通じた人間がいるのか」とナイ神父が嘆いていたので、私が協力しようと思う。
人一人救えなくて、どうして黄巾の世が作れようか。
・・・それに、異世界の術にも興味がある。
私は何と恐ろしい事をしたのだ…
死霊秘本にしたがって門を開いたら、そこには…そこには…
輝く虹色の球体の群れ、出鱈目な横笛の音…
…よそう、思い出したくもない。
ナイ神父は門の中に突き飛ばした。
全ては終わったのだ。
ただ──最後までナイ神父の嘲笑は途絶えることがなかった。
死霊秘本を燃やし、鍵を破壊した。
これでもう、大丈夫だろう。
…疲れた。
…何だアレは?
…あああ!そんな!まさか!
鍵は確かに破壊したはずだ!
門は誰にも開けないはずだ!
では、アレは何だと言うのだ!?
窓に!窓に!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!
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