渇望の魔女

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渇望の魔女 - (2007/08/27 (月) 23:30:56) のソース

*渇望の魔女

「女」
ねぇ...お兄ちゃん知ってる?
丘の上に針葉樹の木があるでしょ・・・ほら 髪の毛みたいなのがついてる奴
雪の降った日にその木に往くと魔女が出るって噂...知らなかったでしょ?
その魔女はどんな願いも叶えてくれるらしいよ
「男」
そんな話があったのか・・・魔女が出たらどうするんだい?
「女」
どうしようかな...お兄ちゃんは何がいい?
「男」
そうだね...僕は――

「語り」
吹き荒ぶ粉雪 兄妹に降りかかる白雪は何か

「歌」
薄幸の妹(おんな)は魔女に何を願う? 雪の降る日を何時までも願う
雪化粧(いろどられた)された村には魔女の伝説? 真偽を問う者は誰もいなく
丘の上の針葉樹(Common Witch's Hair) 少女は魔女に会いに往く
白雪に侵された丘には魔女が 真偽を確かめる者は唯一人

「語り」
穏やかな雪の日 妹は朝早く出かけた
誰にも内緒の願いを胸に秘めて

「歌」
穢れた雪に跡をつけて少女は往く 私の夢を叶えるために
嘘つき(エピメデス)のパラドックス 魔女を語る者は嘘つきであると魔女を語る者がいった(魔女を語る者は嘘つきである)
ヘンペルのカラス 魔法を使えない者は魔女ではない
雪原の魔女...齎した魔法は何か 

「語り」
雪と髪の毛で装飾された樹には黒い姿が…

「会話」「魔女と女」
「貴方が魔女?」 「そうね」
「私を魔女にして!」 「私と同じになりたいの?」
「だって魔女になったら何でも出来るでしょう?」 「ふふ...そうね、何でも出来るわよ」

「女」「語り」
起きたら私しかいなかった 辺りには針葉樹と雪だけだった
私は何でここにいるのだろう 早く帰らなくては

「男」
どうしたんだ、遅かったじゃないか
「女」
ごめんね...丘に往ってたの
「男」
そうか 魔女の話だね
「女」
魔女...?
「男」
君がこの間言ってたろう?忘れたのかい?
「女」
・・・ううん!忘れてなんかないよ!

「男」「語り」
少女の夢の話は不思議なものだった 魔女が私に乗り移ったという

「歌」
意地悪な魔女は少女に何を想う? 少女の夢を何時までも願う
雪化粧された(いろどられた)村には魔女の伝説? 真偽を問うた者は誰か
魔女の髪の毛(Common Witch's Hair) 少年は魔女に会いに往く
白雪に侵された丘には魔女が 真偽を確かめる者は唯一人

「語り」
激しい雪の日 兄は朝早く出かけた
誰にも内緒の想いを胸に秘めて

「歌」
穢れた雪に跡をつけて少年は往く 最愛の妹のために
悪魔の証明 魔女の存在は闇の中
アキレウスと亀 魔女には辿りつけない
雪原の魔女...齎した魔法は何か

「歌が出来るなら歌で、無理なら下全部語り」
崩れ落ちた男は嘆いた 己の過ちを
逝かせてしまった女も嘆いた 己の過ちを
魔女までも嘆いた 己の過ちを 

「女」
魔女は私に問い掛ける...

「語り」
男を助ける為に自らの死を選ぶか
それとも自らの命を尊び生きるか
君はどちらを選ぶ?