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    <title>澪街悪夢Wiki</title>
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    <title>びしゅうものがたり</title>
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    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><hr />
<h4 id="id_520b9c58">きれいなのときたないのと</h4>
<br />
<div>
「…はい、こんなもんで良いでしょ」

</div>
<br />
<div>
ベッドに眠る牢を満足げに見下ろして、黒髪の医者は言う。彼は振り返ると、椅子に座る澪に声をかけた。

</div>
<br />
<div>
「良かったね、僕がたまたま通りかかって。そうじゃなきゃ二人とも倒れてたところだったよ」

</div>
<br />
<div>
からかうように笑ってみせるが、澪は極めて無表情。…それどころか、少し不機嫌そうにも見える。けれどそんなことは意にも介さず、医者は澪に歩み寄ろうとする。

</div>
<br />
<div>
「で。お姉さんの方は怪我とかしてな…」

</div>
<br />
<div>
しかし伸ばされた手は、炎に拒まれた。澪にしてみれば小さな“ひのこ”だったが、医者を怯ませるには十分だったようだ。

</div>
<br />
<div>
「……触らないで、汚い」
<br />
「…でも一応」
<br />
「五月蝿い。汚い奴になんか触られたくないの」

</div>
<br />
<div>
それは澪にとっては、いつも通りの言い訳だった。けれどそれを聞いた医者はどうにも解せないような顔をする。

</div>
<br />
<div>
「……僕よりこっちのお兄さんの方がよっぽど汚れてるとは思うんだけどなぁ。そんなにこのお兄さんは特別…」

</div>
<br />
<div>
ごうっ、と先ほどのよりも一回りほど大きい炎が医者の眼前に現れる。これには医者も思わず慌てた。一方の澪の表情はますます不機嫌さを増している。

</div>
<br />
<div>
「あっつ！あっついよお姉さんちょっと！」
<br />
「…次余計なこと言ったら、今度こそ焼くから」
<br />
「むぅ……ねぇ。もしかしてお姉さん、今までこのお兄さんにも、おんなじ態度取ってたの？」

</div>
<br />
<div>
答える必要もない、とでも言いたげな炎はすぐに引っ込んだ。ふうっと息を吐いた医者はぱんぱんと白衣の裾をはたきながら、どこか呆れた調子で尋ねる。

</div>
<br />
<div>
「お姉さん達の噂は何回か聞いたことあるよ。お姉さん、随分みんなにもお兄さんにもヤリタイホーダイみたいだけど…僕にはあなたの考えてること、よく分かんないなぁ。
<br />
今日なんかこのお兄さん、死んじゃうかもしれなかったんだよ？こんなとこじゃあもしかしたら、十分も後には僕らみんな死んでるかもしれないし」

</div>
<br />
<div>
「ッあんたね、五月蝿いって言って――！」

</div>
<br />
<div>
眉間にしわを寄せた澪が医者の方を振り向いたが、続きは言えなかった。ついさっきまでへらへらしていたようにすら見えた医者の顔に浮かんでいた、真剣な表情。…少しだけ口調が早めになっているのは、彼が何を思っているからだろうか。
<br />
やけに語尾も強く、言う。

</div>
<br />
<br />
<div>
「僕はお姉さんたちのこと全部知ってるわけじゃないし、素直になって全部見せちゃいなよとまでは言わないけど、…言えることは言えるうちに言っておかないと、駄目だよ」

</div>
<br />
<div>
そこまで言って、医者は顔を俯けた。半開きの口のまま言葉を探し、やがてぐっと唇を噛んだ彼は…顔をもう一度上げた。

</div>
<br />
<br />
<div>
「死んだ人は、帰ってこないんだから。帰ってきたお兄さんはお兄さんと同じ物を持ってるかもしれないけど、そのお兄さんは“お姉さんと一緒にいた”お兄さんじゃないもの」

</div>
<br />
<br />
<div>
――澪は何故かその言葉に、ぞっとした響きを感じた。
<br />
それを誤魔化したいかのように、彼女の赤い目はますます不機嫌そうに細められる。
<br />
何かを言おうとして口を開きかけたが、それは叶わなかった。
<br />
ベッドの方から衣擦れの音が聞こえたかと思うと、医者の表情がぱっと変わる。牢が目を覚ましたらしかった。
<br />
再びベッドの方へ向き直った医者の背中を眺めながら、澪は頭の中で言葉を繰り返す。

</div>
<br />
<br />
<div>
◆
<br />
桃色の少女の手をかわしながら澪は思う。

</div>
<br />
<br />
<div>
あの医者のせいだ、そうだ全部そうだ、そうであるはずなんだ、と。
<br />
あの言葉のせいで、何もかもが怖かった。
<br />
今まで何も怖くなかったのに、何も恐れることはなかったのに、どうしてこんなにも。

</div>
<br />
<div>
『死んだ人は、帰ってこない』
<br />
……いや、最初からわかってたはずだった。だからこそ今まで何人も何人も焼いてきたのだ。
<br />
なのに、どうしてだろう。

</div>
<br />
<br />
<div>
その言葉は今、ひどくリアルに澪の頭の中に響いていた。
<br />
鉄パイプと刃がぶつかり合う音を聞く度に、彼女の耳は揺れてしまう。

</div>
<br />
<div>
その耳に飛び込んできた、軽やかで鈴のような声。

</div>
<br />
<div>
「余所見してていいのかしら？」

</div>
<br />
<div>
「えっ――」

</div>
<br />
<div>
一瞬だった。
<br />
澪の身体はくらりと押し倒されてしまい、桃はその身体に馬乗りになっていた。唇はにたりと、三日月型を象る。

</div>
<br />
<div>
「もう終わりだなんて…案外呆気なかったわね。それじゃあさようなら、無様な女狐さん」

</div>
<br />
<div>
言った桃は、澪の首に手をかけた。

</div>
<br />
<br />
<div>
「いち、」

</div>
<br />
<div>
その一言が、彼女の表情が、冷たい手が、置かれた状況が、全てが明確な恐怖となって澪を襲った。澪の全身を、気味の悪い何かがぞわりが撫で上げる。
<br />
思わず振り払うように炎を放った。けれど、炎に包まれて尚、

</div>
<br />
<div>
「にぃ、」

</div>
<br />
<div>
妖精は笑う、
<br />
笑う、

</div>
<br />
<div>
笑う。

</div>
<br />
<br />
<div>
「さん、」

</div>
<br />
<div>
一人分の命を燃し尽くした炎は、やがて空に溶けて消えてしまった。笑う妖精の声に気づいた牢が慌てて刃を弾き、澪の名前を呼ぶが、…彼女には届かない。

</div>
<br />
<br />
<div>
「し、」

</div>
<br />
<div>
そして桃の唇が、

</div>
<br />
<br />
<div>
「ご」

</div>
<br />
<br />
<div>
だけ、が、
<br />
動いた。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
◆◆

</div>
<br />
<br />
<br />
<hr />]]>    </description>
    <dc:date>2012-04-22T17:53:00+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/258.html">
    <title>綻び</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/258.html</link>
    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><hr />
<h4 id="id_e6e9e132">綻び</h4>
<br />
<br />
<br />
<div>
『酒ばっか飲んでるぐうたら親父がそんなに大事？』
<br />
『ほら、わかったらこんな生活とっととやめたら？』
<br />
『覚えやすいとこだけは、アンタの親に感謝してあげる。』
<br />
『い、痛くないってばどこも！ほらもう心配しなくていいから寝よう寝よう！』
<br />
『なっ…ななな何言ってんの！？それは俺をからかって言ってるわけ？』
<br />
『……あー、分かった分かった。寝れば良いんでしょそれで満足なんでしょ？』

</div>
<br />
<br />
<div>
子どもだった。
<br />
自分は何もかもが子どもだった。
<br />
考え方は浅はかで。言葉は無意味にねじくれて。行動は無駄にまみれてて。
<br />
子どもだった。子どもとは即ち幼稚だ。幼稚とは即ち馬鹿だ。馬鹿とは即ち劣っている事だ。
<br />
彼女の一番でありたいのに、
<br />
彼女と居れば居る程劣っていくだなんて。

</div>
<br />
<div>
大人になりたかった。
<br />
子どもを捨てる為に大人になりたかった。
<br />
けれど。子どもの願いから生まれた&quot;俺&quot;はふと気づく。
<br />
大人って、

</div>
<br />
<br />
<br />
<div>
大人って、なんだろう―――

</div>
<br />
<div>
…ふと物思いから戻ってくると、不愉快げな澪と目が合った。

</div>
<br />
<div>
「…何ぼーっとしてんのよ牢。さっき起きたくせに歩きながら寝てるの？」
<br />
「ううん、起きてるよ。ごめんね澪。」
<br />
辛辣な言葉もさらりと流し、素直に謝る牢。そういえば牢は澪の言動に一欠片も苛立ちを覚えたことがなかった。というかそもそも感情が動く事がほとんどない。
<br />
最初からこうだから気づかなかったが、これも願いの効果なのだろうか。だとしたら、大人とは感情に振り回されないという事なのだろうか。
<br />
…変な夢を見てしまったせいか、やたらと物思いにふけってしまう。ふと気がつけば、また澪に睨まれてしまった。
<br />
「あんたねッ！次ぼーっとしてたら今すぐ焼き殺すわよ！？」
<br />
「ごめん澪。気をつけるよ。次もダメだったら焼いていいよ。」
<br />
「なんなのよその発想はッ！誰がアンタなんか焼くもんですか、火が勿体ないものッ！」
<br />
ぷいっ、とそっぽを向く澪は牢と対照的に、いつでも感情の赴くままだ。先程の理屈で言えば彼女は子ども？しかし子どもを嫌がった自分ならば子どもっぽさは不愉快なはず。彼女を見ていて不愉快になった事は一度もない。
<br />
わからない。子どもとは。大人とは。なんだろう…。
<br />
…ぐるぐる、煮詰まってきた物思いが不意に記憶を呼び覚ます。

</div>
<br />
<div>
燃え盛る本棚が、澪へと倒れていく瞬間を見た時の
<br />
胸の中で爆ぜるような、何か。

</div>
<br />
<div>
「………。」
<br />
胸に、思わず手を当てる。どくどく、普段より少し脈が速かった。
<br />
思い出しただけでも胸の中と背筋がざわりとする。
<br />
同時に自分の足元が、ぐらりと揺れるような心地がする。…わからない。わからないけどこの物思いは、そしてあの時感じた何かは、とんでもない劇薬なのではないか。そんな予感がした。

</div>
<br />
<div>
ふと、隣の澪を見た。また睨まれることを想定しながら。
<br />
想定は外れた。澪は大きな目を不安に曇らせて、こちらを覗きこんでいたから。
<br />
「…澪？」
<br />
「ううん…別に。出歩いてて平気なのかなって思っただけよ。あの妙ちきりんな医者に安静とか言われてたくせに。」
<br />
すぐさま澪は目を伏せる。また見上げた時にはいつも通りの強気な目だった。
<br />
「あんたにくたばられると安眠できないんだから、変なへばり方しないでちょうだいよ。」
<br />
「うん。善処する。」
<br />
「善処じゃない！絶対よ、絶対！」
<br />
「…うん、そうだね。」
<br />
くす。意識せず笑みがこぼれた。

</div>
<br />
<div>
「澪の言うことは絶対。守るよ。」

</div>
<br />
<div>
…ちくり。その黄金律を破った右手が、小さく痛んだ。
<br />
本当にどうしてああなったんだろう。今の牢ならああしなくても澪を守れる幾通りもの計画をすぐ立てられるのに。
<br />
微笑している事にはっと気付いた牢はすぐ無表情に戻る。
<br />
なんだろう。なんだろう。口元の綻び。行いの綻び。綻び。綻び。

</div>
<br />
<div>
自分自身に綻びができているような。
<br />
そんな、予感がした。
<br />
子どもを捨てたい。大人になりたい。その願いから生まれた牢。
<br />
彼女にふさわしい大人であるのが、&quot;牢&quot;。

</div>
<br />
<div>
そうでなければ&quot;牢&quot;では無い。
<br />
そうでなくなれば&quot;牢&quot;は&quot;牢&quot;じゃなくなる。&quot;牢&quot;として機能しなくなる。
<br />
確かめたい。確かめたいけどわからない。
<br />
だってわからないから。問いかけたくても願い主は眠りの中。
<br />
ねぇ、　　　。

</div>
<br />
<div>
君は俺に何を望んでいた？
<br />
君が望んでいた&quot;大人&quot;とは、何だ？

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
…ぴた。

</div>
<br />
<div>
牢は突如足を止める。先を歩いていた澪も、険しい顔つきで牢を振り返った。
<br />
「…牢。」
<br />
「うん。わかってる。」
<br />
すらり、と鉄パイプを持ち直した。
<br />
「誰か…来る。」
<br />
五感全てをはりめぐらせる。耳が、鋭い風の音を捕えた瞬間、

</div>
<br />
<div>
がきぃぃぃぃ…ん！
<br />
空中から現れたようにしか見えないほどの素早い刃。それを牢はぎりぎり鉄パイプで受け止めた。
<br />
「…！」
<br />
敵か。少々動じたがこの程度日常茶飯事。目配せを送ろうと澪を見、ぎょっと目を瞠った。
<br />
「澪、危ない…！」
<br />
「えっ…、ッ！」
<br />
ぎりぎりかがんで避けた澪の髪先を、華奢なてのひらがかすめていた。
<br />
澪は即座に距離を取って牢に背を預ける。にぃやり笑んでる女へ、苛立ったように罵声を浴びせた。
<br />
「ッ誰よアンタ！ブスのくせに私に触っていいと思ってんのッ！？」
<br />
澪は覚えていないようだが、牢は彼女に見覚えがある。

</div>
<br />
<br />
<div>
「あら、ごめんなさいね。私達今ゴミ掃除中なの。」
<br />
彼女は…桃は、悪びれもせず笑みを貼りつけている。
<br />
大きな愛らしい目が、獰猛に細まった。
<br />
「お久しぶりね、嘘つきお兄さんと喧しい女狐さん。以前滅茶苦茶に遊んでくれたお礼…させてもらっていいかしら。」

</div>
<br />
<br />
<hr />]]>    </description>
    <dc:date>2012-03-12T01:08:20+09:00</dc:date>
    <utime>1331482100</utime>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/257.html">
    <title>子守唄</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/257.html</link>
    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><hr />
<h4 id="id_97ba16f7">子守唄</h4>
<br />
<br />
<div>
「リヒルト。私、わかったんです。」

</div>
<br />
<br />
<div>
桃が、手を伸ばす。
<br />
大きなエメラルドの眼球に、<a href="http://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/101.html"  title="アノニマス (5201d)">アノニマス</a>が映った。アノニマスは狂犬じみた笑みを浮かべると、形状を変えた。
<br />
彼女のてのひらへと収束する。
<br />
しゅるりと渦巻いて集ったそれは、濃い紫色の球体と成った。
<br />
「敵は、あの女だけじゃないんです。」
<br />
それを携えて桃は、一歩、樹へと歩みよる。
<br />
樹の目に光はなく、目の前の桃さえ映らない。ぼうっと、虚ろに虚空を見つめていた。
<br />
桃は慈しむような微笑みを浮かべて。
<br />
また一歩。樹へと。その身体を、抱きしめた。

</div>
<br />
<div>
「私達を包む世界そのものが、私達の敵なんです。」

</div>
<br />
<div>
そう。桃の瞳からも光が消える。
<br />
この世界の全ての事象が、私達の心を殺ぎ、私達の希望を奪ってゆく。
<br />
貴方がどれだけ楽になりたいと願っても、身勝手な者達が縛りつけ。
<br />
私がどれだけ貴方と逝きたいと願っても、叶える素振りで嘲笑い。
<br />
『なに、君や、あの戦乙女がそう気張らなくても、翠たちが尽力しても、この夢はじきに醒めるのさ。』
<br />
酷い話。桃は目を、細めた。
<br />
なんて、酷い。酷い。まだ私の願いはひとつも叶っていない。甘い淡い夢を嘯いて、叶えもせずに放りだすのね。酷い、酷い。
<br />
嘘つきな&quot;悪夢世界&quot;。放りだされた先は彼と手も触れられない&quot;未来世界&quot;。
<br />
&quot;世界&quot;はみんな、残酷な、敵だわ。

</div>
<br />
<div>
貴方もそうでしょう？私の手を弾いてしまった貴方。
<br />
かわいそうに。呪われているのね。手を取りたくても取れない呪い。
<br />
空を望む貴方を阻む呪いの鎖。
<br />
愛しい人。
<br />
私が手を貸してあげる。

</div>
<br />
<div>
背を抱きしめたそのてのひらから。
<br />
「リヒルト。」
<br />
球体がずるりと、樹へ染み込む。
<br />
「敵を、鎖を、」

</div>
<br />
<br />
<div>
「―――断ちましょう。」

</div>
<br />
<div>
全て染み込んだその瞬間、金色の目が、大きく見開いた。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
―――迸る絶叫も、桃には産声に思える。
<br />
頭を抱えてのたうつ彼に、桃の姿は見えていない。見えているのは桃の言伝を樹へ伝えるアノニマス。アノニマスという、悪夢。

</div>
<br />
<div>
…命じた以上の事は赦さないわよ、アノニマス。
<br />
彼の為に仕方なく、彼を食べさせてあげるだけ。
<br />
今はせいぜい彼から蜜を吸うといいわ。
<br />
あなたの本能を利用して、あなたを、あなたのオリジナルを、私達は壊す。

</div>
<br />
<div>
地に崩れ落ちた樹を、桃は静かに見下ろす。
<br />
やがて叫ぶ声も収まり、気味が悪い程の静寂が訪れた。
<br />
ゆらり、樹が立ち上がる。ぼろぼろに涙を零しながら、表情が無い。
<br />
…よかった。桃がふわりと微笑する。桃の想いは彼に&quot;伝わった&quot;、ようだ。

</div>
<br />
<div>
「さぁ、行きましょうかリヒルト。」
<br />
少し背伸びをして、その涙を指で拭う。

</div>
<br />
<div>
「全てを壊して、逝きましょう。」

</div>
<br />
<br />
<hr />
<br />
<div>
どゆこと：

</div>
<ul><li>アノニマスが体内に入りました。</li>
<li>世界に対する恐怖と絶望を煽る悪夢を脳に直接見せられています。</li></ul>
<br />
<div>
以降樹：

</div>
<ul><li>表情が無くなります。</li>
<li>動揺すれば恐怖やら絶望やら吐露するかもしれない。</li>
<li>目に見える人全てを殺しにかかります。</li>
<li>桃からの強い洗脳を受けているので、桃の殺意に従って動きます。</li>
<li>桃の考えに強く共感している（させられている）状態。</li></ul>
<br />
<div>
以降桃：

</div>
<ul><li>樹と共に目に見える人全てを殺しにかかります。</li>
<li>特に嫌いな人・邪魔な人を殺しに行こうとします。</li>
<li>事実上親衛隊離脱。親衛隊も討伐隊も構わず殺します。</li>
<li>樹に手を弾かれて以降ほとんど誰も殺してないので、心中ストックはありあまってる。</li></ul>
<br />
<div>
以降アノニマス：

</div>
<ul><li>樹の体内にいます。</li>
<li>樹から引きはがす事ができれば桃の洗脳下から解放し、樹の暴走を和らげられる。</li>
<li>少なくとも寄生中は動揺はさせられても桃の洗脳下から逃れられない。</li>
<li>どうやったらひきはがせるのよ→もう少々お待ちください。</li></ul>]]>    </description>
    <dc:date>2012-03-11T22:16:03+09:00</dc:date>
    <utime>1331471763</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/256.html">
    <title>Someday</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/256.html</link>
    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@-->
<hr />
<h4 id="id_8e6b2dcc">Someday</h4>
<br />
<br />
<div>
瓦礫の上に腰掛けて、幻は石像のように考え続けていた。
<br />
時折頭を抱えて深く溜息を吐く。そしてまた、瞑想を続ける。

</div>
<br />
<div>
その背後で、じゃり、と土を踏む音がした。幻は振り返りもせず言い放つ。

</div>
<br />
<div>
「&quot;<a href="http://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/101.html"  title="アノニマス (5201d)">アノニマス</a>&quot;、何の冗談だ？」

</div>
<br />
<div>
色違いの&quot;樹&quot;の姿を借りたアノニマスはゆっくりと抜刀し、いつものように甲高く哄笑した。
<br />
が、それはいつもと違った、完全に正気を失ったものだ。
<br />
さすがに驚いた幻が身を躱した場所を、&quot;リーフブレード&quot;が素早く薙ぎ払う。
<br />
二撃、三撃、連続する太刀筋。幻の黒衣を掠めて、鮮血の花を咲かせる。
<br />
白刃の隙間を縫って一撃を叩き込む。少しよろめいて、アノニマスはにたりと笑う。
<br />
そして、樹の声で――姿で、言った。
<br />
「冬さんは、俺を選んだ」

</div>
<br />
<div>
一瞬、幻の青い瞳が揺らめき、それからまた高純度の炎のように燃え盛る。
<br />
細い眉の眉根を寄せ、アノニマスを――&quot;樹&quot;を、睨みつける。
<br />
「だったら何だ。私は&quot;幻&quot;に過ぎない。あの人の手駒で構わないんだ」
<br />
「本当か？」
<br />
あっという間もない、&quot;樹&quot;は幻を救い上げるようにして組み伏せ、抵抗する幻の細い身体の上へ圧し掛かる。
<br />
噛み付きそうなほどの青い瞳に、自分の金の瞳を合わせて、深く、深く、覗き込む。
<br />
「要らないのなら、俺にちょうだい？」
<br />
「……ふざけるのも大概にしておけ」
<br />
「冬さんはあんたの物じゃないんだろ？ じゃあ、俺が貰ったっていいじゃないか？」
<br />
「冬は私の物じゃない、だが私は冬の物だ。冬は渡さない」

</div>
<br />
<div>
&quot;樹&quot;が力を緩めると、幻はすぐさま&quot;樹&quot;を振り払い脱出する。
<br />
その首に、&quot;樹&quot;は腕を伸ばした。つかみ取って、瓦礫の壁に幻を背中からたたき付ける。
<br />
「っが……！」
<br />
「言ったじゃないか、冬さんは俺を選んだんだって。あんたは冬さんにとってもう、要らない物なんだよ？」
<br />
「違、う……！」
<br />
「冬さんは俺を追いかけて来てる。あんたはほったらかしだね……捨てられたんだ、まるで犬みたいに……それに冬さんは、俺に言ってくれたよ」

</div>
<br />
<div>
幻の耳元へ薄い唇を寄せて、

</div>
<br />
<br />
<div>
「きみが、すきだから」

</div>
<br />
<br />
<div>
そっと囁く。
<br />
幻が息をのむ音がくっきりと響いた。見開かれた青い炎は、急に褪せたように見えた。
<br />
&quot;樹&quot;は満足そうに笑うと、幻の身体を手放す。

</div>
<br />
<div>
幻は、立ち上がろうともしなかった。

</div>
<br />
<div>
&quot;樹&quot;は再び&quot;リーフブレード&quot;を構えると、幻の胸に刃先を添わせる。&quot;樹&quot;を見上げる瞳は、もう何者も映してはいなかった。
<br />
「さようなら、王子様」
<br />
ずぶりと剣が差し込まれ、幻は微かに、悲鳴にならない声を上げる。
<br />
力無くその声は途切れ、腕がだらりと落ちた。

</div>
<br />
<div>
立ち去る&quot;樹&quot;の後ろ姿を、墜とされた空は身動きひとつ、瞬きひとつせずに見送っていた。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
どれくらいの時間が経っただろう。
<br />
幻は指先に力を込めて、這い蹲りながら体を起こした。
<br />
二分されたように重い頭と心。信じたくない心と逃れられない頭。
<br />
「……そうか、捨てられた、か。」

</div>
<br />
<div>
貫かれた心臓は、ぽっかりと穴をあけたまま――。絶望の巣食う、暗い暗い穴。
<br />
つかれた、と一言呟いて、瓦礫を背に座り込む。
<br />
『できないと言えば君の夢が終わるまでさ』
<br />
夢の笑い声が反響した。夢が終わる？ こんなもの、もう残っていないに等しいじゃないか……。

</div>
<br />
<div>
けれど、それよりも強く、激しい感情が、幻をばくりと飲み込んだ。
<br />
醜く歪んでいく憎悪、悔恨、一握りの愛。
<br />
ぎっ、と瞳に色が戻る。
<br />
冷たさを増した、鋼のように冷徹で頑なな炎の色。

</div>
<br />
<div>
立ち上がった幻の視界には、たったひとつの結論だけが映っていた。

</div>
<br />
<div>
「それでも僕は、あなたを愛してる……」

</div>
<br />
<br />
<div>
もう、成すべきことを考える必要はないのだ。

</div>
<br />
<br />
<br />
<hr />
<div>
Someday　/　Nickel Back

</div>

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<br />
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/255.html">
    <title>Grand Guignol</title>
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    <description>
      <![CDATA[<!--@@@@@--><hr />
<h4 id="id_882a9dc7">Grand Guignol</h4>
<br />
<br />
<div>
「クロは死ンじゃっタヨ？」

</div>
<br />
<br />
<div>
真っ白になった樹の頭に、けたたましい笑い声が響いた。

</div>
<br />
<br />
<div>
「ゲームオーバーダネ！ソレともコンティニュー？」

</div>
<br />
<div>
「処刑人はモウイナイ。妖精の手ハ弾いチャッタ。シズハがイル限リ夢かラ出られナイ。」

</div>
<br />
<div>
「ワカッタ？モウ逃ゲ道はなイんダヨ。臆病羊ハ負ケちゃっタ！」

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
「イツキはこの夢ノ中デ、ズゥット死ねナイんだヨ！」

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
＋

</div>
<br />
<br />
<div>
誰かがその足音に振り向いて。
<br />
振り向いた顔のまま首を落とした。

</div>
<br />
<div>
「…ッ！」

</div>
<br />
<div>
落ちた通行人の首を見た、周りの者の首も落ち。
<br />
あっというまにあたりは阿鼻叫喚となった。その真ん中で樹は呆然と立つ。
<br />
こんなに。こんなにやかましくなるほど人がいるのに。

</div>
<br />
<div>
どうして　だれも　俺を　殺さない　の？

</div>
<br />
<div>
「…ッあ゛…」
<br />
がたがた、震える手で剣をひっつかみ、だっと地を蹴った。
<br />
「あ゛あああああああああああああッッ！！！！！」

</div>
<br />
<div>
それはもはや斬るとも呼べない、刃を叩きつけるだけの連続。
<br />
滅茶苦茶に振り回す刃は人に当たり瓦礫に当たり。あっというまに刃零れるのに、次の瞬間には零れる前以上に研ぎ澄まされていた。
<br />
夢の世界は想いの世界。
<br />
振り回す度研ぎ澄まされる刃はまさに。
<br />
樹の想いをそのまま、映していた。

</div>
<br />
<br />
<div>
嫌だ。嫌だ。もう嫌だ。
<br />
何もかもが、嫌だった。
<br />
誰も俺を裁いてくれない。罪から解き放ってくれない。悪夢から、解き放ってくれない。
<br />
この世界が何であろうと関係ない。生きていること、それ自体がもはや悪夢でしかないんだ。
<br />
だから忘却を望んだのに。望んでおきながら忘れた自分は記憶を探し当ててしまった。それが自分の本質だと言うのならいくら願っても永遠に逃げ切れない。考えただけでも、ぞっとする。
<br />
逃げたい。逃げたい。逃げたい。逃げたい。逃げたい。逃げたい。
<br />
逃げられない。
<br />
死なせてくれない。

</div>
<br />
<div>
「けタタッ！ムダだヨォ、イツキ。コレも、ソレも、弱ァい糸。」
<br />
落ちた手をくしゃっと踏みつぶし、樹の姿で<a href="http://w.atwiki.jp/nightmareofmio/pages/101.html"  title="アノニマス (5201d)">アノニマス</a>は笑う。
<br />
「弱ァい糸ジャ、恨ミ言も紡げナイヨ。イツキをコロすにハこンナんジャダーメ。ダッてイツキにハ…。」
<br />
ずる。手に持つ剣が腕ごと溶解する。両腕をおもむろに樹の首元へ絡め、アノニマスはにぃと笑んだ。
<br />
「…２本。強ォい糸が絡ンデるカラ。けたた、首輪ミタイダネ！」
<br />
「…ッ…！」
<br />
ぶんっ、と振りはらえばアノニマスは簡単に剥がれた。アノニマスから逃げるかのように樹は雑踏へ飛び込む。
<br />
「…五月蠅い…ッ」
<br />
剣を突き立てる。見えない何かを叩き斬るかのように、死体も生身も構わずに。
<br />
「五月蠅い五月蠅い五月蠅い、五月蠅い…ッ！！！」

</div>
<br />
<div>
血まみれの両手で、
<br />
『きみ自身がきみを、』
<br />
耳を強く塞いだ。
<br />
『どんなにゆるせなかったとしても』
<br />
もはや樹にはそれが、呪いとしか思えなくなっていた。絡みつく糸。樹を絡め取り、地上へ縛りつける糸。空へ逝きたがる樹を許さない強固な糸。
<br />
もうたくさんだ。聞きたくない。何も聞きたくない。その優しい呪いのせいで、俺はずっと悪夢から醒められない！
<br />
溺れる者が掴む藁のように、樹は目の前の人影の髪をひっつかんだ。
<br />
「ひッ…！！」
<br />
人影の怯える声など聞こえない。そんなものが聞こえる余裕などない。
<br />
樹は掴んだ髪を地に叩きつけると、剣を振りあげた。

</div>
<br />
<div>
もう嫌だ。もう解放されたい。
<br />
この悪夢から解き放たれたい。
<br />
こんな人生から解き放たれたい。
<br />
こんな世界から解き放たれたい。
<br />
こんな世界は、

</div>
<br />
<div>
要らない。

</div>
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div>
＋

</div>
<br />
<br />
<div>
「…いけない子。」

</div>
<br />
<div>
彼に手を出すなんて、身の程知らずね。
<br />
瓦礫塀の上にちょんと腰かけて、桃が歌うように呟く。
<br />
「うふふ。けれどちょっとだけお手柄よ。あなた使えそうだからしばらく許してあげるわ。」

</div>
<br />
<div>
ああ、ごめんなさいねリヒルト。
<br />
とってもとっても痛いでしょうけど、少しだけ我慢してくださる？
<br />
すぐに楽にしてあげますわ。

</div>
<br />
<div>
赤いお人形は使えなくなったけど。
<br />
代わりにその子を使いましょう。夢を模したお人形なんて、素敵ね。

</div>
<br />
<div>
「ねぇ、リヒルト。」
<br />
赤い爪先を唇に当て、大きな目をゆっくり細めた。
<br />
「要らないものは、斬り捨てて仕舞いましょう？」

</div>
<br />
<br />
<br />
<hr />]]>    </description>
    <dc:date>2012-03-06T00:32:52+09:00</dc:date>
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