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    <title>夜間飛行まとめ@Wiki</title>
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    <description>夜間飛行まとめ@Wiki</description>

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    <title>夜間飛行-本編</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/20.html</link>
    <description>
      *夜間飛行-本編

-[[夜間飛行-予感・その１-]]
-[[夜間飛行-予感・その２-]]
-[[夜間飛行-予感・その３-]]
-[[夜間飛行-予感・その４-]]

-[[夜間飛行-上条靖子・その１-]]
-[[夜間飛行-上条靖子・その２-]]
-[[夜間飛行-上条靖子・その３-]]
-[[夜間飛行-上条靖子・その４-]]

-[[夜間飛行-ヴィジュアルⅢ・その１-]]
-[[夜間飛行-ヴィジュアルⅢ・その２-]]
-[[夜間飛行-ヴィジュアルⅢ・その３-]]
-[[夜間飛行-ヴィジュアルⅢ・その４-]]
-[[夜間飛行-ヴィジュアルⅢ・その５-]]

-[[夜間飛行-ダークネス・その１-]]
-[[夜間飛行-ダークネス・その２-]]
-[[夜間飛行-ダークネス・その３-]]
-[[夜間飛行-ダークネス・その４-]]

-[[夜間飛行-レディ・ファントム・その１-]]
-[[夜間飛行-レディ・ファントム・その２-]]
-[[夜間飛行-レディ・ファントム・その３-]]

-[[夜間飛行-ダークメルヒェン・その１-]]
-[[夜間飛行-ダークメルヒェン・その２-]]
-[[夜間飛行-ダークメルヒェン・その３-]]
-[[夜間飛行-ダークメルヒェン・その４-]]
-[[夜間飛行-ダークメルヒェン・その５-]]
-[[夜間飛行-ダークメルヒェン・その６-]]

-[[夜間飛行-砂漠から来たキラーチューン・その１-]]
-[[夜間飛行-砂漠から来たキラーチューン・その２-]]    </description>
    <dc:date>2010-09-23T15:13:45+09:00</dc:date>
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  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/44.html">
    <title>夜間飛行-砂漠から来たキラーチューン・その２-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/44.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～砂漠から来たキラーチューン・その２～

二人がそちらを向くと、長い黒髪と褐色の肌、そして煌びやかな衣装と装飾品に身を包んだ人物がこちらを見ていた。
思わず身を硬くする二人だったが、その人物はにこりと微笑んで軽く首を傾げて二人に声を掛ける。

｢ドウシマシタ？小サナオ嬢サン達？｣
｢え、えっと…｣
｢…アァ｣

その人物は、二人の後ろの戸を見て何か納得したように頷く。

｢…スミマセン、私ノ責任デスネ｣
｢｢？？？｣｣

相手の言葉に、靖子と真衣は顔を見合わせる。
そんな二人の様子に苦笑を浮かべ、その人物は言葉を続ける。

｢私二憑イテイル者ノ仕業デショウ…｣
｢憑いている…？｣

不意に、視界の隅に何かが写る。
それは、ものすごい速さで二人の周りを回った後、天井に上って消えた。

｢…これって｣
｢まさか…｣

■■■

ローランと名乗ったその男性は、中東のとある国から来たと言う。
実家の決まりで、花嫁を見つけるまでは世界中を旅して回らなければならないらしく、その関係で日本にはやってきたのだと。
そう、ローランが語っている間、ローランのスタンドと思しきそれは天井をうろうろと歩き回り、靖子と真衣を見ては唸り声のような声を漏らす。

｢あ、あの…｣
｢彼ノ事デスカ？｣

ローランは顔を上に向ける。
それはしばらく唸っていたが、不意に動くと天井の柱の陰に隠れた。

｢彼ハ、私ガ幼イ頃カラ側ニイマシタ…｣
｢…そうなんだ…｣
｢貴方タチモ、不思議ナ力ガアルデショウ？｣

琥珀色の瞳で、ローランは靖子と真衣を見つめる。
全てを見透かすようなその視線に、靖子と真衣は顔を見合わせ、ふるっと体を震わせる。

｢恐ラク、貴方タチノソノ力ニ警戒シテ、彼モ力ヲ強メタンデショウ…｣

部屋がさらに広がっていくのを感じ、二人はお互いの手をぎゅっと握り合う。

｢大丈夫デスヨ、彼ハソコマデ気性ガ…ン？｣

不穏な空気を感じる。
ローランだけでなく、靖子と真衣もその空気を感じ、さらに強く手を握り合った。

―ギギギギギ…

立て付けの悪い扉を、無理やり開くような音が聞こえる。
それが、ローランのスタンドから発せられている声だということに気づくのに、そう時間は掛からなかった。

｢ヤメ…！｣

ローランがそう言い掛けたのと同時に、それは靖子たちに向かって飛び掛ってきた。

｢っ！｣

とっさに、ナイトアウトがそれを弾く。    </description>
    <dc:date>2010-08-13T13:35:02+09:00</dc:date>
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  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/43.html">
    <title>夜間飛行-砂漠から来たキラーチューン・その１-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/43.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～砂漠から来たキラーチューン・その１～

ダークメルヒェンとの交戦から数日。
あのときの少女のことで考え込むことが多くなった靖子は、その日は真衣と共に下校していた。

｢靖子ちゃん、大丈夫？｣
｢え？…うん、真衣ちゃん、大丈夫だよ？｣

空元気なのは、笑顔を見ればすぐに分かった。
しかし、真衣はそれにあまり触れず、｢無理しないでね｣とだけ声を掛けた。
しばらく歩いていくと、真衣は不思議な感覚を覚えた。

｢…ねぇ、靖子ちゃん｣
｢？｣

真衣に呼び止められ、靖子は不思議そうな顔で歩みを止める。
しかし、すぐに何かを感じ取ったように辺りを見回した。
この感覚は、いったいどこからくるのだろう。
靖子が茂みの向こうを覗くと、小さな掘っ立て小屋がある。
…そこから、不思議な気配が漂ってくる。

｢真衣ちゃん、あそこ｣
｢え？あ…あそこからかなぁ｣

恐る恐る、その小屋に二人が近づく。
と、そこで一度靖子が立ち止まった。

｢ねぇ、一応仗助さんたちとかに知らせたほうがいいよね？｣
｢あ、そうだよね…ちょっと待ってね…｣

そういうと、真衣はランドセルの中から和柄の巾着袋を取り出す。
そして、その中からケータイを取り出した。

｢あ、ケータイ！｣
｢えへへ…内緒ね？｣

そういいながら、真衣はケータイの電話帳を開くと、縁へと電話を掛け始めた。

『はいはーい？真衣ちゃん、どうかした～？』
｢あ、あの…帰り道で変なとこに出くわしちゃって…もしかしてスタンドとか関係してたらいけないからと思って…｣
『え、ほんと？…今、どこら辺にいるかできるだけ詳しく』

■■■

縁に電話をした後、靖子と真衣は扉の前に立っていた。
縁には、仗助たちとそっちに行くまで何もしないようにといわれたものの、所詮好奇心旺盛な小学生。
どうしても中を覗きたくなっていたのだ。
丁度よく、隙間がある。
二人は、その隙間からこっそりと中を覗いた…。

｢｢！！？｣｣

思わず驚いて、二人は後ろの後ずさる。
そして、今見たものを二人でこそこそと話し出す。

｢今…見た？｣
｢見た！｣
｢中…｣
｢うん｣
｢｢ものすごく広かった！！｣｣

そう、明らかに四畳半もないように見えるその小屋の中が、その小屋の中に納まっているのがおかしいくらいの広さの部屋に見えたのだ。

｢…気のせいかなぁ｣
｢うーん…｣

そういいながら、再び中を覗く。
やはり、中は広い部屋が広がっている。
しかも、なにやら甘い香りが漂っている。

｢…なんだろう、この匂い｣
｢いい匂いだね…？｣

こそこそと話しながら覗く二人。
すると…

｢え！！？｣
｢きゃああ！？｣

不意に扉が勢いよく内側に開き、二人は部屋の中に放り込まれる。
二人が中に入った途端、扉はまた勢いよく閉じた。

｢…オヤ？｣

二人が額をさすっているとき、自分たちの正面から、テノールの優しい声が聞こえてきた。    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:43:37+09:00</dc:date>
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  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/42.html">
    <title>夜間飛行-ダークメルヒェン・その６-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/42.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～ダークメルヒェン・その６～

｢なっ…｣

いきなりの音に、瑞希は驚いて起き上がり、辺りを見回す。
床に積もっていた埃が舞い、一定の間隔で付いている窓から注ぐ光できらきらと輝いている。
その舞い上がった埃の向こうから、黒い何かが瑞希に向かって飛び掛ってきた。

｢グゥゥゥアアアアアア！！｣
｢ッ…｣
｢ギィィィィィ｣

飛び掛ってきたそれを、ダークメルヒェンが払いのける。
空中でくるくると回転し、すたっと離れた場所にそれが降り立つ。

｢グゥゥゥゥ…｣
(ッ…真衣ちゃ…)

それは、ヴィジュアルⅢで獣化した真衣だった。
牙をむき出し、低く唸りながらダークメルヒェンと瑞希と対峙する。
じりじりと、真衣へダークメルヒェンが迫る。
すると－…

｢ドラァァァア！！｣
｢なっ…！｣

背後からいつの間にか近づいていた仗助が、瑞希に殴りかかる。
とっさにダークメルヒェンが瑞希を抱え、二人から離れた場所に飛びのく。
その間に、真衣がその牙で縁の腕を拘束していた布を引きちぎり、肌を傷つけないよう慎重に、するどい爪で轡を切り裂く。

｢ふは…っ｣
｢縁…大丈夫か？｣
｢なんとか…｣

その光景を見ると、瑞希の顔が険しくなる。
それに呼応するように、ダークメルヒェンの身にまとっている外套も段々と黒さを増していく。

｢どうして…どうしてよ…どうして、邪魔するのよ！！｣

その叫びと共に、ダークメルヒェンは仗助と真衣に迫っていく。
あと少しでダークメルヒェンの腕が真衣に届く。
その時、背後で違う声が上がった。

｢オラァ！！｣
｢！？｣

慌てて振り返る。
背後には誰もいない。
しかし、瑞希の目は空に釘付けにされた。
黒髪をなびかせ、少女が自分に向かって、砲丸のように飛んできていた。

■■■

時間は、突入前にさかのぼる。
靖子の思いつきで、獣化した真衣が縁の落としていった櫛の匂いをたどり、縁がいるであろう、今は使われていない古びた倉庫の前にたどり着いた。

｢んー…内側から、しまってますね…｣

真衣と一緒に倉庫の周りを一周して見て来た靖子は、承太郎と仗助を見上げてそう呟く。
たった一つの入り口は、どうやら内側から閉じられているらしく、押しても引いても開く気配が無い。

｢ここを壊すしかないみたいだね…｣
｢うん…あ、そうだ！｣

真衣とそう話していた靖子は、くるりと承太郎たちのほうを振り向く。
不思議そうな顔で見下ろす二人と、隣で見つめる真衣に、靖子は思い付きを話し始めた。

｢えっと、一気に突入しても駄目だと思うんです…で、扉を壊したら…｣

身振り手振りを交えて、靖子は突入の方法を説明していく。

｢で…どうでしょう？｣
｢…やってみる価値はあるだろう｣

そう、今まで黙って聞いていた承太郎がそう呟く。
その一声で、靖子以外の全員がこくんと頷いた。

｢さ、て…とりあえず、扉をぶっ飛ばすか…｣
｢はいッ｣
｢それなら…いくぞ…ッ｣

承太郎、靖子、仗助の順で倉庫の扉の前に立つ。
そして－…

｢ドララララララララララァァァツ！！｣
｢無駄ッ！無駄無駄無…ッ駄ァ！｣
｢オラオラオラオラオラオラァッ！！｣

三人の叫びと共に、三体のスタンドの拳が扉に叩き込まれる。
何度も叩き込まれるうちに、扉がゆがみ、轟音を立てて吹き飛んだ。
それを見計らうと、再び獣化した真衣がその中へと飛び込んでいく。
それから間をおいて仗助が真衣の後を追うように中へと飛び込んでいく。

｢あ、承太郎さん｣
｢ん…？｣

突入しようとしていた承太郎のコートを、靖子がくいくいと引っ張る。
何事かと思い、承太郎は立ち止まって靖子を見下ろす。

｢たぶん、今までのパターンは読まれてると思うんです…だから｣

そういうと、靖子は瑞希をまっすぐに指差し、こう告げた。

｢私のこと、あの人のところまでぶん投げてくれませんか？｣
｢…何？｣

突拍子も無い発言に、承太郎は僅かに顔をしかめる。
しかし、靖子はまっすぐに承太郎を見上げて訴える。

｢それなら、あのスタンドも、あの人をガードできないかもしれないから｣
｢いや、それは確かにそうだが…｣
｢そうじゃないと、埒が明かないんです…あのままじゃ、また逃げられちゃうかもしれないし…｣

そういいながら見つめてくる、真剣な靖子の目に、承太郎は軽く息を吐くと、靖子を抱えあげる。

｢いいか、靖子…チャンスはたった一度きりだ｣
｢はい！｣
｢決して、相手を見失うな…そして、絶対に空中でぐらつくな｣
｢はい！｣

子供に要求するには、あまりにも難しすぎること。
しかし、今はやるしかない。
靖子はしっかりと、瑞希を見据えている。

｢オラァ！！｣

その掛け声と共に、靖子は空中に投げ出された。
ぐらつきそうになる体を、ナイトアウトが抱えるように支え、アーチを描くように飛んでいく。
そして、瑞希のほぼ真上に来たとき、ナイトアウトはぐっと拳を握った。

■■■

｢なんで…ッ！！？｣

その、瑞希の声も耳に届かないまま、靖子は瑞希に向かってナイトアウトの拳を突き出した。

｢無駄！｣
｢ッ…！｣

一発目が、見事に頬に入る。
間髪いれずに、次の拳が瑞希へと降り注ぐ。

｢無駄！無駄無駄無駄無駄無駄…ッ…無、駄…ァッ！｣

落下しながら、何度も拳を叩き込む。
鼻から血が迸り、瑞希は思わずその場に倒れこんだ。

｢ギィィィィィィ！！｣

瑞希の下へと戻ろうとするダークメルヒェン。
しかし－…

｢ドラァ！！｣
｢ギィッ！？｣
｢簡単によォー、逃がすと思うのかよ？｣
｢グゥゥゥゥゥ｣

仗助と真衣に阻まれ、ギリギリと尖った歯を軋ませる。

｢あーあ…｣

不意に、倉庫の中に誰のものでもない声が響き渡った。
その声に、全員が動きを止める。

｢…誰の、声だ…？｣

ようやく、承太郎が口を開く。
すると、瑞希とダークメルヒェンの周りに黒いもやのようなものが這い寄ってきていた。

｢やっぱり、目覚めたばっかりだと使えないなぁ…｣

倉庫の置くから、誰かが歩いてくる。
確かに、自分たちしかいなかったはず。
それなら、この｢誰か｣はいつの間にここに来たのだろう。

｢…でも、まだ使えるよね｣

ようやく明るい場所に現れた｢それ｣を見て、縁は息を呑んだ。
今まで、夢の中に出てきていた、あの少女だ。
明るい金髪が、窓から挿し込む日差しの中できらきらと輝いている。

｢テメー…誰だ…｣
｢…｣

仗助の問いに、少女は答えず、靖子をじっと見つめていた。
一方、見つめられている靖子の胸には、不安が湧き上がってきていた。

(何…この、感覚…すごく…この子が、怖い………！)

そして、それは承太郎も感じていた。

(この、プレッシャー…まさ、か……ッ！？)

そんなことを知ってかしらずか、少女はにっこりと靖子に微笑みかける。
愛らしい微笑み。
しかし、靖子の胸の不安は段々と大きくなっていく。

｢逢いたかったよ、靖子ちゃん｣
｢な…｣
｢でも、今日はもう帰るんだ｣

黒いもやが、瑞希とダークメルヒェンを包み、消えていく。

｢…ッ！逃がすかよッ！！｣

それを見た仗助が、その少女に殴りかかる。

｢無駄！｣
｢何…ッ｣
｢え！？｣

ナイトアウトに似た…いや、確かに似ているが相手はほとんど黒く、そして髪も長い…スタンドが、クレイジー・ダイヤモンドをはじき返す。

｢…靖子ちゃん、また会いましょうね？｣

楽しげな笑いを一つ残し、少女は煙のように消えていった。
その場に残された５人は、しばらくの間呆然と立ち尽くしていたが、緊張の糸が切れたのか、靖子がその場に座り込む。

｢…いったい、あいつは…｣

仗助がそう呟くと、承太郎は少し、考えるような仕草をし、そして靖子を見下ろした。
靖子は、呆然としてその場に座り込んでいた。

｢…いったい…どういうことだ…｣

先ほど感じたあの感覚。
あれはあの男…DIOのものに酷似していた。
そして、靖子のスタンドに似た、スタンド－…

｢…調査を、早く進めなければならないようだな…｣

承太郎は小さく、そう呟いた。

■■■

｢駄目だねぇ、ほんと｣

ぐったりと倒れている瑞希を、先ほどの少女は見下ろしていた。
その目には、冷たい輝きが宿っている。
しばらくすると、瑞希を見飽きたのか、瑞希から視線をはずして空を仰ぐ。
そして、愛らしく、それでいて何処か恐ろしい笑みを浮かべて、言葉をつむいだ。

｢…次は、もぉっと楽しいことしようねぇ…靖子ちゃん｣

からからと漏れる笑いには、とても寒々しい響きが含まれていた…。

―ダークメルヒェン・完―    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:41:41+09:00</dc:date>
    <utime>1261842101</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/41.html">
    <title>夜間飛行-ダークメルヒェン・その５-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/41.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～ダークメルヒェン・その５～

瑞希の足は、無意識のうちに縁たちの宿泊している南黄ホテルへと向かっていた。
まるで導かれるように、瑞希はそちらへと向かっていく。

｢あれぇ？｣

不意に聞こえた声に、瑞希は顔を上げる。
そこには、髪をまとめながらホテルから出てきた縁の姿があった。
縁は、瑞希の姿を見とめると、不思議そうに首をかしげながら言葉を紡ぐ。

｢瑞希ちゃん？あれ、今日学校…？｣
｢あ、ちょっと…休んで…｣
｢あ、そうなの？大丈夫？｣
｢はい…あの、縁さん｣
｢なに…ッ…！！｣

瑞希に呼ばれ、気を緩めた瞬間、ダークメルヒェンの拳が縁の鳩尾に叩き込まれる。
思ってもいない攻撃に、縁は簡単に崩れ落ちた。

｢ごめんなさい、縁さん…手荒な真似は、したくなかったんですけど…｣

ダークメルヒェンに縁を担ぎ上げさせながら、瑞希は言葉を紡ぐ。

｢でも、こうでもしないとあの男も一緒に来ちゃいそうだから｣

そういいながら来た道とはまた別のほうへと歩き出した瑞希。
その光景を薄れ行く意識の中で見つめながら、縁は手にしていた櫛をその場に落とした。
それを少し離れた場所から、息を潜めて、メモリーが見つめていた。

■■■

｢縁ー？…ありゃ…？｣

それから10分ほどして、戻ってくるのが遅い縁を心配し、外へ仗助がやってきた。
しかし、そこにいるであろう縁の姿が何処にもない。

｢すれ違ったか…ん？｣

そういって戻ろうとした仗助の足元を、ちょろちょろと黒いものが動いている。
しゃがんでみてみると、それは縁のスタンドのメモリーだった。

｢あぁ？おま…俺んとこ来ても意味ねーだろ…っておい？｣

仗助がそう声を掛けた途端、メモリーは｢ついてこい｣と言わんばかりにちょこちょこと歩き出す。
何事かと思い、仗助が付いていくと、目の前に見覚えのある櫛が落ちていた。

｢…こりゃあ…縁の…って、まさか！｣

慌てて周囲を見回す。
しかし、縁の影も形も周りには見えない。
メモリーはその櫛の周りをぐるぐると回り、そして仗助を見上げる。

｢…奴の狙いは…縁…？｣

そうなのだとしたら、かなり迂闊だった。
何故さっき、一緒に外に出てやらなかったんだろう。
そんな思いにとらわれていると、背後で聞き覚えのある声がした。

｢あ、仗助さんだ｣
｢あ、ほんとだー｣

振り向くとそこには、靖子と真衣が立っていた。
二人とも、不思議そうな顔で仗助を見上げている。

｢…何かあったんですか？｣

何かを感じ取ったように、靖子が仗助に尋ねる。
靖子の言葉に、仗助は縁がいなくなった事を二人に告げた。

■■■

(う…ううん…？)

そのころ、縁はぼんやりとだが覚醒していた。
見える天井は見慣れないものだ。
そして、微かに埃の臭いが鼻につく。

(此処は…て、あれ？…声が…でない…？)

此処が何処か確かめようとするが、なぜか体が鉛のように重く感じ、動くことが出来ない。
それどころか、声が一言も発せられないのだ。
必死に、先ほどのことを思い出そうとする。
しかし、霞が掛かったようにぼんやりとして、思考がはっきりしない。

｢起きました？｣

不意に、声がした。

｢手荒なまねして、ごめんなさいね…縁さん｣

暗がりから現れたのは、瑞希だった。
背後には、その動きに合わせるように濃い紫色の外套を羽織った何者かが付き従っている。

｢ッ…｣
｢あ、あんまり騒がれないように轡をはめさせて貰ってます…ごめんなさいね｣

そういいながら、瑞希は縁の上に覆いかぶさる。

｢！！？｣
｢細いだけじゃないんですね…すごい、しっかりしてる…｣

そう呟く瑞希の指が、縁の腰のラインをなぞる。
そして、喉仏の辺りに、瑞希の唇が押し当てられた。

(ッ…ゃ…だ…！…誰、か…助けて…仗助…ぇ！)

縁が仗助の名を心の中で叫んだのと同時に、縁たちのいる空間に轟音が響き渡った。    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:39:33+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/40.html">
    <title>夜間飛行-ダークメルヒェン・その４-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/40.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～ダークメルヒェン・その４～

着地した仗助は、僅かにふらつきながら相手のほうへ向き直る。
相手に拳を叩き込んだのはいいものの、相手のヒレがその腕を切り付けていった。
押さえる手の間から、血がぽたぽたと零れ落ちる。

｢ギィィ…｣

再び、それが手を高く掲げて狙いを定める。
仗助は、押さえる腕を放し、痛みに顔をしかめつつ相手と対峙した。
その時－…

｢仗助…！？｣

部屋の戸が開かれ、そこから縁が飛び出してきた。
先ほどのドアが壊れる音で目を覚ましたようだ。

｢ばっ…来るな！縁！｣
｢で、でも…！！｣

そのやり取りを見ていた、それは、顔を悲しげにぐしゃりと顰める。
そして－…

｢ギィィィィ…｣

悲しげな響きを含んだ声を上げると、窓へ向かって猛スピードで動き、それを追いかけようとした仗助たちを振り切り、窓のガラスをすり抜けて、外へと消えていった。

｢な…？｣
｢…逃げた、の…？｣
｢縁の能力を知らないから、不利だと思って逃げたのか…？｣
｢…あ！それより…腕…｣
｢あぁ？これくらいへーきだっつの…とりあえず、戻ろうぜ…｣

■■■

次の日、敵スタンド思しきものに襲われたということを、仗助は承太郎に伝えた。

｢…まだ目覚めたばかりなのかもしれないな…｣
｢まだ、うまく扱えないってことっすか？｣
｢その可能性はあるだろうな…｣

仗助たちがそんな会話をしているころ、瑞希は自室で横たわっていた。
学校へ行く時間は当に過ぎている。
しかし、学校へ行く気力は皆無だった。
親には、体調が悪いから休むとだけ告げ、少しだけ朝食を食べて部屋に戻ってからは、一度も部屋から動けずにいた。
－昨日の夢は最悪だった。
あの男を…仗助を追い詰めたと思ったのに、寸でで出てきてしまった縁を見ると、どうしても体が動かなくなり、思わずその場を飛び出していた。

｢あれは、現実…？｣

実際、夢だとは思わなくなってきていた。
大体、仗助という男は名前と声は知っていても、姿は知らなかった。
なのに、夢の中ではその姿を見て、そしてそれが仗助だと認識していた。

｢…いるの…？｣

僅かに体を起こし、背後に目を向ける。
すると、壁際にあの黒い影のようなものがたたずんでいるのが分かった。
怖さは無い。
むしろ、安心した。
そして、理解した。

｢あの子が言っていた力…『ダークメルヒェン』…それは…あなただったのね…｣

その呟きに答えるように、それは｢ギィィ｣と返事をした。
そして、瑞希は再び昨日の光景を思い出す。
もう少しで、勝てたかもしれない。
あのとき、縁さんが出てこなければ、勝機はあったかもしれない。
そう思うと、再び胸の中にどす黒い思いがこみ上げてくる。
それに呼応するように、ダークメルヒェンは黒く、そして大ききなっていく。
瑞希はゆらりと起き上がり、そっと部屋を出る。
父親は仕事だし、母親もパートに出ていて、家には瑞希しかいない。
それを確認すると、瑞希は家を出る。
その後ろを、ダークメルヒェンはゆっくりと付いていく…。    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:38:17+09:00</dc:date>
    <utime>1261841897</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/39.html">
    <title>夜間飛行-ダークメルヒェン・その３-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/39.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～ダークメルヒェン・その３～

それは、ゆっくりと部屋の中に忍び込んできた。
黒い影のようなその体は、ベッドの上で寝ている縁と仗助の顔を覗き込むと、さらに体色の黒が鮮やかになっていく。
そして、仗助に狙いを定めると、口の部分が笑っているかのように開く。
血のように赤い口が、嗤う。
その時－…

「ドラァ！」
「ギッ」

寸での所で拳をかわし、それはまるで爬虫類のように壁に張り付く。

「ったく…安眠妨害だっつーのよぉ…」
そういいながら、仗助は軽く首を回しながら起き上がり、それを見据える。
それは、再び赤い口を大きく開く。
今度は嗤っていない。
むしろ、怒っている様であった。

「ったくよぉ…何なんだオメーは…」

そういいながら身構えると、それは大きく腕を広げる。
その腕からヒレのようなものが伸びる。

「ギィィィィィィィィィッ」
「っ…！？」

古いドアの軋むような鳴き声を上げ、それはそのヒレを大きく振るう。
それは空気を切り裂き、僅かにかすった仗助の頬を傷つけた。
「ってぇ…」

思わず声を漏らすも、その目はしっかりとそれを捉えていた。
それは壁から降り、その腕のヒレを仗助に向けたまま身じろぎ一つしない。
じりじりとにじり寄るそれから、一定の位置を保つように仗助は後退する。
しかし、後ろには縁が寝ている。
あまり後ろへは下がり続けられない。

(どーすっか…な…)

不意に、ドアが視界の隅に入る。

(あそこまで…なんとか、いければ…)

相手に気づかれないよう、後退しながら進路をドアのほうへと少しずつ変更していく。
相手はまだ気づいていないようで、時折短く鳴きながら仗助へじりじりとよってくる。
だんだんと背後に扉が近づく。
そして、ついには背中がドアに付く。

「(来た…ッ！)ドラァ！！」
「ギッ…！？」

ドアを破り、外へ飛び出す。
すかさず、相手も仗助を追って部屋から飛び出した。
その間に、ドアはクレイジーダイヤモンドの力によって元通りに収まっていた。

「ギィィ…」

それの目が爛々と輝き、仗助をにらむ。
仗助は再び身構えると、それと対峙する。

「縁に近づけさすわけにいかねーからな…」
「ギィィィィ…」

それは腕のヒレの切っ先を仗助に向け、姿勢を低くし、一気に飛び掛る。
それにあわせるように、仗助は拳を繰り出した。

「ギィィィィィィィィィィッ！！」
「ドララララララララァーッ！！」

二つの影が交差する。    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:37:02+09:00</dc:date>
    <utime>1261841822</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/38.html">
    <title>夜間飛行-ダークメルヒェン・その２-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/38.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～ダークメルヒェン・その２～

次の日、学校にやってきた瑞希はある事に気づいた。

(…朱実…来てない…？)

あの朱実が教室にいない。
ただ、よく一時限目が始まってから悪びれる様子も無くやってくることもあるので、そのときは瑞希は気にしなかった。
むしろ、いない方が気が楽である。
しばらくして、ＨＲのために担任が教室へやってきた。

「出席を取る前に…昨日、月岡が何者かに襲われて重傷だそうだ…」

その担任の言葉に、瑞希は目を丸くした。
まさか、そんなことになっていたとは。
…瑞希は、昨晩その夢を見ていた。
自分は、上空からそれを見ている。
朱実は恐怖の表情を浮かべ、目の前の「何か」を見つめている。
「何か」はずりずりと、朱実との間をつめていく。
朱実は恐怖で声が出ないのか、口をぱくぱくさせている。
－愉快だった。
あの、人の前では「私はこのクラスの女王です」といった風に振舞っているあの女が、目の前の「何か」に対して恐怖をあらわにしている。
そう思うと、段々と心が満たされていくのを感じた。
不意に、「何か」の左腕と思われる部位が高く翳され、朱実目掛けて一気に振り下ろされる。
「ぎゃっ！？」という短い悲鳴がしたあと、傍らの壁に朱実の血が飛び散る。
それを皮切りに、「何か」は朱実を攻撃していく。
それを夢の中で見つめる瑞希は、満たされた気分を感じ、そのまま意識は深く沈んでいった。

■■■

放課後、瑞希は朱実のグループの何人かに呼び出されていた。

「あんたでしょ」
「は…？」

何のこと見当も付かず、不機嫌そうな表情を浮かべて瑞希は尋ね返す。
その様子にいらいらしたように、その中の一人が瑞希に歩み寄り、その胸倉を掴む。

「あんたが、朱実のことやったんだろっつってんの！」
「…へぇ」

はん、と鼻で笑いながら答える。
瑞希のその態度に、その少女はカッとなり、瑞希の頬を張る。

「っー…」
「いいなよ！あんたがやったんでしょ！」
「証拠は？」
「ッ…」

瑞希の言葉に、だんだんと背後の「それ」は黒々と色が濃くなっていく。
しかし再び少女が手を振り上げたとき、背後から声が響いた。

「おーっと、少女たち何してる～？」

無駄に明るく、そして間延びした声に、全員が振り向いた。
そこには、見たことの無い女性が立っていた。

「暴力はいけんね～」
「な…あ、あんたには関係ないだろ！！」
「ふーん…まぁ、何だっていいけど…此処で110番しても」
「ッ！！…瑞希、覚えてなね！！」

捨て台詞を吐いて走っていく少女たちを見送り、その女性は瑞希のほうへ振り向く。
身構える瑞希に、その女性はにこりと微笑んで語りかけてきた。

■■■

「大丈夫？」
「あ…は、はい」
「そ、よかったわ…一人によってたかっては無いわよね～」

気さくに話しかけてくる女性に、瑞希の警戒心が解けていく。
そんな瑞希の頭をぽんぽんと撫で、女性はもう片方の手で前髪をかき上げる。

「ま、なんかあったら言わなきゃ…」
「は、はい」
「私でよかったら聞くけどね…」
「…あの」

思い切って瑞希はその女性に声をかけ、その声に女性は不思議そうに瑞希を見下ろす。

「…電話番号とか…教えてもらって…も」
「あぁ！いいわよ」

そういうと、女性はポケットからメモ帳のようなものを取り出すと、サラサラと自分の携帯の電話番号を書き記していく。
そして、それをメモ帳からはがずと、瑞希に手渡した。

「いつでも電話していいわよ。出れるときは必ず出るから。」
「え、私のは…」
「名前言ってくれればいいわ。えっと…」
「瑞希です」
「そう、瑞希ちゃんね。そう言ってくれればいいわ」

にこりと微笑むと、その女性は立ち去っていく。
そんな彼女を見送り、瑞希はそのメモに視線を降ろす。
電話番号と、「縁」という名前が書かれていた。
瑞希は家に帰り、８時を過ぎたころ思い立ったようにその電話番号に掛けてみた。
幾度かの呼び出し音の後、通話状態になった音が響く。

「もしも…」
「もしもし？」
「…？」

電話の向こうから聞こえたのは、あの女性の声ではなく男性の声だった。
少し固まっていたが、電話の向こうであの女性の声が響く。

「ちょ、仗助！なんで私の電話に出てるのよ！」
「あ～？お前が風呂入ってたからよォ～」

二人の間にある関係を感じ取り、瑞希はぎゅっと下唇をかむ。
すると、受話器の向こうからあの女性の声が聞こえてきた。

「もしもし…えっと…瑞希ちゃん？」
「ぁ…え…」
「どうかした？何かあった？」
「い、いえ…ただ、確認のためにです！それじゃ！」

思わずそういうと、瑞希は電話を一方的に切ってしまった。
心のどこかに芽生えた、憧れとも言うべき思い。
そこにいきなり出てきた「仗助」という男。
瑞希の思いは、「仗助」という男へと向かっていく。

「…くっそ…」

そう呟くと、瑞希はベッドにうつぶせに倒れこんで声を押し殺し、微かに震えながら涙を零す。
その思いに呼応するように、背後の「それ」が揺らめく。
「それ」は、瑞希が泣き止んだころに、窓を通り抜けて闇の中を進んでいった…。    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:35:31+09:00</dc:date>
    <utime>1261841731</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/37.html">
    <title>夜間飛行-ダークメルヒェン・その１-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/37.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～ダークメルヒェン・その１～

少女は憤っていた。
必ず、自分を邪魔するものへ、復讐してやろうと考えていた。
そんな少女に、金色の髪の少女が近づき、囁く。

「私が力を貸してあげようか？」

その、甘く誘うような響きを持つ囁きに、少女は簡単に頷く。
それを見て、金髪の少女はこの上ないくらいの可愛らしい笑顔を作り、背中に隠していた『それ』を高く翳す。
それをみて少女は身を硬くし、次いで逃れようとしたがそれよりも早く、金髪の少女が『それ』を振り下ろし、少女の胸へ突き刺す。
その痛みに声を上げる間もなく少女はそこに崩れ落ちるが、すぐに生きていることを感じて不思議そうに金髪の少女を見上げた。

「これで、あなたは力を手に入れた」

先ほどと変わらぬ笑顔のまま、金髪の少女は言う。
そして、少女の胸に突き刺した『それ』を引き抜き、血をぺろりと舐める。

「すぐに実感するわ、あなたの力…ダークメルヒェンを」

その言葉を聞くと、少女はまるで操られているように立ち上がり、そのまま自宅のほうへと歩き出す。
それを見送り、金髪の少女は笑みを浮かべたまま呟く。

「さぁ、新しい『おもちゃ』だよ、靖子ちゃん…あなたはこれを、どう乗り切るの？」

思わず笑いが口から漏れる。
その笑いは、無邪気な、そして残酷な笑い声だった。

■■■

「古賀さァ～ん、ちょっと来てくれるゥ？」

そのわざとらしすぎる明るい声に、帰り支度をしていた古賀瑞希(こが みずき)は体をこわばらせ、その声のしたほうへ顔を向ける。
そこには、クラスの女子同士のグループの中で一番大きいグループのリーダー的な存在である、月岡朱実(つきおか あけみ)が、数名の取り巻きと共に立っていた。
相手に気づかれないようにため息をつき、瑞希は席を立つ。

「ちょっとさぁ、今日の委員会代わりに出てよォ～…ね？」

有無を言わせない、その高圧的な物言いに瑞希は僅かに顔をしかめるが、すぐに小さく頷いた。
それを見ると、朱実はクスクスと笑いながら「ありがとねェ～」とだけ言うと、取り巻きの女子と共に教室を出て行く。
それが見えなくなると、瑞希はギリッと歯軋りをし、カバンを持つと委員会の行われている旧校舎へと走っていく。
委員会の間、瑞希は下唇をかみ締めて噴出しそうになる怒りを押さえ、委員会が終了するとすぐに部屋を飛び出し、旧校舎の奥にある、誰も使わないトイレへと駆け込み、一番奥の個室に入る。

「あンの…クソアマぁぁぁぁぁぁぁあぁ！！」

個室の中で、瑞希は叫ぶ。
その声は、表まで届くことはない。
瑞希は落ち着くまで、罵詈雑言を吐き続けた。
しかし、瑞希は気が付かなかった。
罵詈雑言を吐けば吐くほど、自分の背後にいる「誰か」が黒々と大きくなり、目を爛々と光らせているということに…。
やっと落ち着いた瑞希は個室を出、もう人もまばらになった旧校舎から出ると自宅へと向かって歩き出した。
しかし、その背後にいた「誰か」は瑞姫のいくほうとは反対のほうへ、夕闇の中を泳ぐように進んでいった。    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:33:47+09:00</dc:date>
    <utime>1261841627</utime>
  </item>
    <item rdf:about="https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/36.html">
    <title>夜間飛行-レディ・ファントム・その３-</title>
    <link>https://w.atwiki.jp/nightout001/pages/36.html</link>
    <description>
      *夜間飛行～レディ・ファントム・その３～

かほりの耳から抜けたそれは、風に舞う紙のような動きで、どこかへと向かって飛んでいく。
仗助たちはそれを懸命に追いかける。
すると、それが不意に路地裏へと入る道へ曲がった。

「そっち曲がった！」
「こっちか！」

その道に飛び込むと、電柱の影に誰かがうずくまっている。
用心しながら、その人物に近づくと、うずくまってうな垂れている少女の姿が仗助たちの目に入った。

「…おい…？」

あまりにも拍子抜けした仗助は、短く声を掛ける。
その声にびくっと震え、その少女はおずおずと仗助たちを見上げた。

「…！？」

少女の顔を見て、仗助たちは息を飲んだ。
その顔は、包帯に覆われて表情が読み取れない。
しかし、その包帯から覗く目には僅かに涙が浮かんでいる。

「…お前が…やってたのか…？」
「…さい…」
「え？」
「ごめん…なさい…」

そういうと、少女はその包帯から覗く目を手で覆い、なき始めてしまった。
それに戸惑い、仗助と縁、康一は顔を見合わせる。

「見つかったのか？」

３人が戸惑っていると、かほりの手を引いて露伴がやってきた。
そして、３人の間から泣いているその少女を見ると、次いで３人を見る。

「…なんでこいつは泣いてるんだ？」
「さぁ…？」

■■■

ようやく落ち着いたころに、かほりが少女に問いかける。

「どうしてあんなことを…？」

その声に、目を擦りながら少女は震える声で答える。

「…外を見たくて」
「外を…？」

不思議そうに、かほりは後ろで聞いている仗助たちのほうを向いて首を傾げる。
そんな様子を気にすることなく、少女は言葉を続ける。

「…私、顔がきれいじゃないから…外に出るのが怖くて…でも、外が見たくなると…たまに…こういうことしちゃって…いけないって、分かってるけどでも…」

また泣き出しそうな少女の背中を撫でながら、かほりはゆっくり語りかける。

「…その力、いつからあるの…？」
「分からない…気が付いたら…出来るようになってたの…」
「そう…それを、こういう風に使うのはいけないって分かってるのね？」
「うん…」

うな垂れたまま返事をする少女の肩を、そっとかほりは抱き寄せる。
それにびくっと震え、かほりを見上げる。

「きっとね、自信がないからそういう使い方をしちゃうんだと思うの…どうして、自分をきれいじゃないって思うの？」
「…だって…お継母さんが…」

その言葉を聞くと、かほりはこれは何か根深いものがあると理解した。
そして、にっこりと微笑んで少女に語りかける。

「…ねぇ、ちょっと付いてきてくれる？」
「え…？」
「あなたがこういう使い方をしなくなるためには、自信をつけることだと思うから」

■■■

「先生、仗助さんたちの部屋で待っててくださいね？」
「あぁ…何をするつもりだ？」
「あの子の顔、見てみようかと思って…最初、私だけが見たほうがいいんじゃないかと思って」
「あぁ…なるほどな」

少女を連れてホテルに戻ってきたかほりは、自分の部屋で少女の素顔を見ることにした。
しかし、やはり長い間顔を隠してきた少女はなかなか踏ん切りがつかないのか、包帯を解こうとしない。

「…やっぱり怖いです…」
「大丈夫よ！」

ぽん、と少女のとなりに腰かけ、にっこり微笑む。
そして、優しく少女の頭を撫でながら語り掛ける。

「おかあさんに、ずっと言われてきたらそう思うのも仕方ないと思う…でもね…それを克服するのって、大事だと思うの」
「克服…？」
「そう…あんな風に力を使うと、悲しいでしょう？」
「うん」
「自分の力で、外を見たほうがずっと嬉しいと思う」
「…うん」
「大丈夫、あなたならきっと乗り越えられる…私が手伝うよ」
「…分かりました…やって、みます…」

意を決したように包帯に手を掛ける。
震える手で、ゆっくりと包帯を解いていく。
はらりはらりと包帯が膝の上に落ちていき、少しずつ少女の顔があらわになっていく。

「…え…」

かほりは思わず息を呑んだ。
そこには、幼さが残る美しい顔があった。

「あなた…綺麗よ…」
「え？」
「すごい綺麗！美少女じゃない！」

そういうと、呆気に取られている少女の手を取り、部屋を飛び出す。
そして、仗助たちの部屋の扉をノックした。

「？？」
「皆もそう言うわ。絶対よ」

にっこり微笑んでそう語りかけたのと同時に、部屋の扉が開いた。
その扉を開けた縁は、その少女の顔を見て目を丸くした。

「うっそぉ！？美少女じゃん！？」

縁のその声に、仗助たちが入り口までやってくると思わず固まってしまう。

「…グレート」
「ほー…」
「隠す必要ないよ…」

その言葉に、恥ずかしそうに俯く。
そんな少女の肩を、ぽんとかほりが叩く。

「ね…？あなた、綺麗なんだよ」
「知らなかった…」
「これからは、胸張って外に出ていいのよ」

そのかほりの言葉に、ようやく少女は顔を上げてはにかんだ笑みを浮かべ、小さく頷く。
そして、少女に名前を聞くのを忘れていたのを思い出し、かほりは問いかけた。

「そういえば…あなた、お名前は？」

その言葉に、少しきょとんとした顔をしたが、少女はすぐにそれに答える。

「…黒沢まほろです…」
「そう、まほろちゃん…これからは、もう大丈夫よね？」
「はい！」

嬉しそうに頷くまほろに、かほりは笑みを浮かべてそれを見つめていた。
そして、ホテルの下までまほろを送るために部屋を出て行った。
それを見送った仗助たちだが、不意に思ったことを縁が露伴に尋ねた。

「…そういえば、先生はそんなにすごい反応じゃなかったですね」
「かほりのほうがいい」
「…ああ、そうですか…」



－レディ・ファントム完－    </description>
    <dc:date>2009-12-27T00:32:10+09:00</dc:date>
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