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**GO MY WAY……? ◆XuryVJUQ9Y sm[[51>ピタゴラ……]]←時列順に見たい人はコチラ→ sm[[56>TAMASHIIのルフラン]]←投下順に見たい人はコチラ→ キャラ順に見たい人はコチラ↓ sm[[05>いわゆる一つの裏技]]←KAS→ sm[[05>いわゆる一つの裏技]]←高槻やよい→ sm[[05>いわゆる一つの裏技]]←永井けいこ→ (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[第五十六話⇔第五十七話]] [[第五十七話⇔第五十八話]] ---- 「それじゃKASさんの支給品は、この『もんすたーぼーる』っていうのと、このいっぱいあるししとうだけだったんですか?」 「そうとも! しかし俺は最速の男KAS! 武器など無くても問題ナシングッ!」 「なんだかよく分からないけどすごいです! ところでこのししとう、どうするんですか? 生じゃ食べられないし……」 「そんなら私が台所探して、腕奮ってししとう料理を作ったるでなぁ」 「すごーい! ししとう祭りができちゃいますよぉ!」 やよい、けいこ、そしてKAS。 噛み合っていないような気もするが、少なくとも殺し合いという過酷な現実を僅かだけでも忘れられるような、とりとめのない会話。 思えば第一印象最悪の遭遇から、こんな普通の会話ができているということが、もはや奇跡同然だ。 突如城の屋上に乱入してきたKASと、やよい達が遭遇したのがしばらく前。 コミュニケーション不可能かと思われたその緊迫状態を崩したのは、けいこだった。 彼女の温かみと人徳溢れる呼びかけが功を奏し、なんとか情報交換という形に漕ぎつけることができたのだ。 ……もっともKASの言ってることはまさしく理解不能で、情報『交換』という名目は果てしなく怪しかったが。 そんなこんなで、支給品の話になっていたわけである。 どうやらKASは「でっていうの卵」というものを探しているらしい。 なんでもでっていうというのは、舌が伸びてなんでも食べる恐竜なんだとか。 けいこが「そんな卵は聞いたこともないでなぁ」と首を振ったので、やよいが持っているかという話になるのだが…… あいにく、やよいはまだ支給品の確認をしていなかった。 ……殺し合いの道具の確認をしてしまえば、この現実を認めざるを得ないことになるような気がして怖かったのだ。 しかし頼まれたら嫌とは言えない。やよいはしぶしぶディパックの中を探した。 やよいの支給品は、持ち手に鎖と鉄球がついた武器、変な腕輪、それから映画とかで吸血鬼が入っていそうな棺桶だった。 あの鉄球付きの武器はともかく、他のものは使い道がよく分からない……というかあの棺桶、どうやってディパックの中に入ってたんだろう。 もしかしたら、あの二つは見かけからは想像もできないような便利な道具だったりするんだろうか? 「でも、KASさんが探していた卵はないみたいですね……」 「腕輪装着! なんというオシャレさん、俺!」 「って、何してるんですかぁ!」 やよいがちょっと目を離していたすきに、勝手に腕輪を嵌めているKAS。 返してくださいよぉ、と飛び跳ねるやよいに、返すのは俺が満足するまでカッコよさを味わわわってからだ!とよく分からないことを言い出す。 そんなやり取りを微笑みを浮かべながら眺めているけいこ。 この殺し合いの場には、不釣り合いなほど平和な光景だった。 ふと、けいこが呟いた。 「そんなもの探して、なんぞするつもりなんなぁ?」 そういえばやよいも気になっていたことだ。 思わずKASの方を見るが…… そのKASはというと、その言葉を聞くと何かを思い出したかのように震えだした。 というよりは焦り出した。何かに追われるかのように、せわしなく体を動かし始めた。 やよいが呆然としている間に、KASは行動する決意を固めたようだった。 「そうだ……ぼーっとしてたらTASの野郎に出し抜かれる! それだけは絶対にダメダメだッ!  装備はなくとも俺には最速のテニクックがある! 負けるはずなどまるでない!  なぜなら……最速クリアして難易度神だって見せつけるのはこの俺だから!」 そういうやいなや、KASは誰にも予想できない行動に出た。 「危ないです! そっち行ったら落ちちゃいますよぉ!」 盛大に助走をつけて…… 「行くぞ! TASが神なら俺はヒマラヤ山脈になる! アイキャンフラァァァァァァァァァァァァイ!」 やよいが制止するのも聞かず、KASは体を独楽みたいに回転させながら、後ろ向きにジャンプした。 これがゲームだったら、もしかしたらKASの行動はうまくいったかもしれない。 ただ、KASは大事なことを失念していた。 失念というよりは、常識に思い当らなかったということだが。 ……本物の城に、すり抜けバグなどありはしないのだ。 KASは後ろを確認せずにスピンジャンプする。 お城にはすり抜けバグは存在せず、そのうえここは屋上だ。 つまり、飛び降りの形になるな……ということは、 これぞ! KAS動画名物『 ス パ イ ラ ル 自 殺 』! 「やったぜバグ成功ってうわああああああああぁああああぁあああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 哀れKASは屋上のの壁を飛び越えて空中に放り出され、そのまま錐揉み回転しながら地面めがけて真っ逆さまに落ちていった。  ▼ ▼ ▼ 「KASさんっ!」 思わず、やよいは駆け出していた。 けいこが制止する声も耳に届かない。ただ、落ちていったKASの安否が気がかりだった。 冷静に考えたら、生きているとは思えない。 それでも藁にもすがるような気持ちで、やよいはKASが落ちていった端の方へと走った。 話したのはわずかな時間。それほど打ち解けたという訳ではない。 だからといって、さっきまで言葉を交わした人間がいなくなってしまうなんて、そんなのは嫌だった。 屋上の端に身を乗り出し……一瞬躊躇する。 もしかしたら、いやきっとたぶん、下に広がっているのは世にも残酷な光景だろう。 でも……と、心のもう一つの部分が告げる。もしかしたら、生きている可能性だって…… しばらく迷った挙句、やよいは思い切って両目を見開き、下界を見下ろした。 赤い帽子が、動いていた。 思わず目をこする。そしてもう一度地上の方に目を凝らす。 赤い帽子の主は、なんだか無駄に元気そうだった。 頭の中でクエッションマークがくるくると回りだす。 普通に考えて、この高さから飛び降りて無事でいられるとは思えない。 だったらどうして怪我ひとつしてないんだろう? 「う~ん……」 彼女の脳内でいくつもの考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えた。 なにがなんだかさっぱり分からない。 ……本当に分からないので、仕方がないから名前を呼んでみた。 「KASさーーーーーーーーんっ!」 元気そうなら、声が聞こえれば戻ってくるだろう。 本当は怪我しているのなら、自分たちが迎えに行けばいい。 やよいは、そう考えていた。 ……そのどちらでもない可能性なんて、考えもしなかった。  ▼ ▼ ▼ やよいが城の屋上で混乱しているその頃。 そこには、元気に走り回るKASの姿が! しかも本来なら地面に叩きつけられて死んでいてもおかしくないはずなのに、かすり傷一つ負っていない状態で。 「このアテイムのおかげで助かった……要するにさすが俺!」 KASが意気揚揚と振り上げた右手に光る腕輪……彼が言う通り、彼が生き残った理由はこの支給品にあった。 この無骨なブレスレットは、格闘技世界チャンピオンにしてキノコ狩りの男ことスパイダーマンが使っていたもの。 KASが落ちる途中で無我夢中で右手を振りまわしているうちに偶然ブレスレットを作動させ、飛び出した蜘蛛の糸が城の壁に張り付いて彼を空中に繋ぎ止めたのである。 まさに神の気まぐれとでもいえるほどの偶然。 とはいえ絶望的な状態から奇跡の生還を果たしたとあって、KASのテンションは最高に「ハイ!」ってやつになりつつあった。 シュバッ シュバシュバッ 「TASが神なら二段熟カレーになる男、KAS!」 チャーチャチャーチャチャチャ(ポコポコポコ…)チャチャッチャチャー 気分がいいのでポーズなぞ決めてみる。 なんだか前述の蜘蛛男っぽい感じだが、たぶん偶然。 そんなこんなで浮かれていたKASは、自分が落ちてくる前に何をしていたかなど頭から放り出してしまっていた。 今、頭にあるのはTASを出し抜き最速クリアする方法のみ。バグが駄目でも、もっと他に裏ワザがあるに決まってる―― 城のことなどすっかり忘れて他の目的地を探そうとする矢先、KASは背後から降りかかる声を聞いた。 「KASさーーーーーーーーんっ!」 見上げれば、先ほどのツインテール少女が声を張り上げている。 KASは立ち止まり、しばらく考えた。そして、ようやく自分がさっきまで何をしていたのか思い出した。 ……でも気にしなかった。何故って、自分の最速クリアへのロードには神の加護が付いているのだから! 「もはやこの俺の最速クリア伝説はママンのゲーム禁止条例以外の何物にも阻めない!  まずは最短ルートを探し出してクリア! それでこそ難易度神な俺! そうと決まればYAHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」 右手を突き上げ、KASは妙なテンションのまま城とは逆方向へ走り出したのだった。 【D-1 城の外/一日目 黎明】 【KAS@KAS動画】 [状態]:健康、絶好調 [装備]:スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1.でっていうはどこだ? 2.城が駄目だったので、他の方法でボスへの最短ルートを探す 3.そしてボス撃破してTASより難易度神だって事を教えてやる  ▼ ▼ ▼ 「うっうー……行っちゃいました……」 やよいは、城の屋上で塞ぎこんでいた。 何か、気に障る事でもしたんだろうか? その考えがぐるぐると回る。 KASの行動原理が常人に推し量れるわけがないのだが……やよいに、そんなことが分かるはずもない。 それよりも、さっきまで普通に話していた相手がなんだか分からないうちに逃げて行ってしまった、その事実が彼女の純真な心を傷つけていた。 話していることはよく分からなかったが、悪い人には見えなかった。 少なくとも、そう信じていた。 もしかして、あの腕輪が欲しかったんだろうか? あの腕輪が惜しいわけではない。あれはやよいが嵌めるにはあまりにもごつい代物だった。 でも欲しいのなら、言ってくれればあげたのに。何も、持ち逃げすることなんてなかったのに。 それとも、そんなことも言い出せないほどに自分達は信頼されていなかったんだろうか? いや……この誰が敵になるかも分からない状況で、自分やけいこさんのように他人を信頼するほうが間違っているのだろうか? 「元気出しやぁ、やよいちゃん。あの人も、ちょっと魔が差しただけかも知れんて」 「けいこさん……」 けいこは、あの人のことは少しも気にしていないようだった。 ただ、そういうこともある、とそう受け止めているだけのようだった。 お母さんになるということは、そうやって子供や若者のすることを理解できるようになるということなんだろうか? だったら、自分はまだまだお母さんになんかなれっこない。 「ほら、持ち物も置いていきよるし、あの腕輪だって元々交換するつもりやったんかもしれんなぁ」 「そうでしょうか?」 「そうやて。あまり心配ばかりしとったら良くないでなぁ」 けいこの言う通り、目の前にはモンスターボールとししとうが放置してあった。 やよいはただ忘れていっただけだと思っていたが、この人にそう言われると本当にそうなのかもしれないと思えてくる。 あのKASって人も、本当に何か事情があっただけなんだろうか。それとも…… 思考はループする。ぐるぐるぐるぐる。いつまでたっても出口は見えない。 「もしかしたら使えるお台所があるかも知れんから、私はもう一度探してみるでなぁ。やよいちゃんも部屋の中に入って休んどきぃ」 けいこはそう言って城の中へと入っていった。KASが置いていったししとうを持って。 やよいにも分かった。さっき話していたししとう料理のことだ。 その話をやよいが嬉しそうに聞いていたから、作って喜ばせようとしているのだろう。 (なんだか、けいこさんには心配かけっぱなし……) なんだか申し訳なくなってきた。ひょっとして、自分はけいこさんの足を引っ張ってるんじゃないだろうか? とりあえずこれ以上結論の出ない考えは止めにして、沈む気持ちのまま立ち上がる。 そして一歩を踏み出そうとした時、やよいのつま先は何かをけっ飛ばしそうになった。 「あれ、そういえば……」 それは、赤と白で色分けされたカプセルを思わせる小さなボール。 傍に落ちていた説明書を拾い上げる。それには『モンスターボール』と書いてあった。 なんでも、主人を守って戦うモンスターが入っているとか。 モンスターと聞くと怖いイメージがあるけど、なんだか気になる。 「ちょっと開けてみようかな……」 思えば、沈みがちな心を少しでも違う方向に向けていたかったというのもあったのかもしれない。 ともかく、やよいは、説明書通りに中のポケモンを外に出すような操作を行った。 そして、すぐに後悔した。 そのモンスターは、少女を思わせる外見をしていた。 白い肌、黒い長髪、同じく黒と白を基調とした制服を連想させる服装。 しかし、その身に纏う気配は少女と呼ぶにはあまりに禍々しいものだった。 それに、その右手に握りしめているものはなんだ? ……ノコギリ? 「それ」から放たれる殺気にも似た威圧感に、やよいは総毛立った。 その瞬間、「それ」は振り向いた。 そしてやよいは見てしまった。どこまでも虚ろな、視線だけで人の不安を掻き立てるその瞳を―― 「ひぃっ!」 やよいは耐えきれずにモンスターボールを向けた。 「それ」は光となって、ボールの中に吸い込まれる。 完全に吸い込まれたのを確認すると、やよいは肩で息をしながら尻もちをついた。 無意識に腕をさすると、まだ鳥肌が立っているのが分かる。 震える手で、やよいは途中までしか読んでいない説明書にもう一度目を通した。 いったい今のは何なのか、それだけが知りたくて。 「えーと……『ことのは』……それが、このポケモンの名前……?」 説明書にはタイプだとか使える技だとかが書いてあったが、やよいの頭には入らなかった。 彼女が理解したのはただ、この『ことのは』が……殺し合いに向いたポケモンだということだけ。 一応持ち主のいうことは聞くようだが、だからといって軽率に戦わせれば、ことのははきっと相手を殺してしまう……! それは、単なる直感だった。それでも、彼女にバトルロワイアルの現実を思い出させるのには十分だった。 このゲームの中にいる限り、自分達は殺し合いから逃げられない……! 「……違う、そんなことない……人殺しなんて、絶対ダメなんだから……」 やよいはモンスターボールをディパックに押し込んだ。 そのまま嫌な考えを払うように大きく首を振り、彼女は立ち上がった。 「……やっぱり、けいこさんの所に行こうかな」 そして彼女は歩き出す。彼女が進む先にあるのは、果たして光か影か。 【D-1 城・屋上/一日目 黎明】 【高槻やよい@THE IDOLM@STER】 [状態]:健康、不安 [装備]:なし [道具]:支給品一式、モンスターボール(ことのは)@ポケットモンスターヤンデレブラック、ゴッドクラッシュ@ゴッドマン     盗賊の棺桶@勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった [思考・状況] 1.けいこさんの後を追う 2.けいこさんと一緒に行動 3.「ことのは」はできるだけ使いたくない 4.人は絶対に殺しません 【D-1 城内/一日目 黎明】 【永井けいこ@永井先生】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式、未確認支給品1~3、ししとう@ビッグブリッジのししとう [思考・状況] 1.台所を探し、やよいに料理を作って元気付けてやりたい 2.やよいと一緒に行動 3.人は絶対に殺さんでなぁ ※ししとうは、量だけはやたらとあるようです。 【ことのは@ポケットモンスターヤンデレブラック】 スクイズポケモン。オーキド博士が最初にくれる三体のヤンデレポケモンの一つ。 言うまでもなく、ゲーム「School Days」に登場する伝説のヤンデレヒロイン・言葉様こと桂言葉をデフォルメしたものである。 武器はノコギリ。現時点での最新動画からの参戦につきレベルは27。 タイプ:あく・ゴースト とくせい:こんじょう(状態異常で攻撃力が上がる) わざリスト:  ふくしゅう:あくタイプ。同ターン中に相手からダメージを受けていると攻撃力が上がる。「リベンジ」に相当。  えいえんに:ひこうタイプ。1ターン目で高いところに上り、2ターン目で落下してダメージを与える。「そらをとぶ」に相当。  のろい:効果はゴーストタイプ仕様。自身の体力を削り、相手の体力を徐々に奪っていく呪いをかける。  いあいぎり:効果は本家と同じ。ノコギリでぶった切る。頸動脈とか。 【スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン】 スパイダーマン(東映版)が右手首に装着しているブレスレット。外見は結構ごつい。 内部で無限に精製されるスパイダー液を元に、ロープ状の糸「スパイダーストリングス」や網状の糸「スパイダーネット」を放つことができる。 マーべラーを呼ぶ機能もあるが、さすがにそれは使えなさそう。 【ゴッドクラッシュ@ゴッドマン】 正義のヒーロー(?)ゴッドマンが使うモーニングスター型の武器。通称「ゴッド鈍器」。 丸腰の相手をフルボッコしたり、鎖部分で首を締め上げたりするのがヒーロー流の使い方である。 余談だが、これを敵に奪われて逆にゴッドマンがフルボッコされる第三話ゴーストン戦は必見。 【盗賊の棺桶@勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった】 冒険中やたらと死ぬ盗賊が、いつも入れられることになる棺桶。 椅子代わりにしてよし、戦闘中に盾にしてよし。というか元動画でもその扱い。 しかしゾーマとの最終決戦では、予想を遥かに超える起死回生の秘策に…… ちなみに、原理不明だがパーティーの後について動く。
**GO MY WAY……? ◆XuryVJUQ9Y sm[[51>ピタゴラ……]]←時列順に見たい人はコチラ→ sm[[56>TAMASHIIのルフラン]]←投下順に見たい人はコチラ→ キャラ順に見たい人はコチラ↓ sm[[05>いわゆる一つの裏技]]←KAS→ sm[[05>いわゆる一つの裏技]]←高槻やよい→ sm[[05>いわゆる一つの裏技]]←永井けいこ→ (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]]  [[KC]] [[スパイラル自殺]] [[第五十六話⇔第五十七話]] [[第五十七話⇔第五十八話]] ---- 「それじゃKASさんの支給品は、この『もんすたーぼーる』っていうのと、このいっぱいあるししとうだけだったんですか?」 「そうとも! しかし俺は最速の男KAS! 武器など無くても問題ナシングッ!」 「なんだかよく分からないけどすごいです! ところでこのししとう、どうするんですか? 生じゃ食べられないし……」 「そんなら私が台所探して、腕奮ってししとう料理を作ったるでなぁ」 「すごーい! ししとう祭りができちゃいますよぉ!」 やよい、けいこ、そしてKAS。 噛み合っていないような気もするが、少なくとも殺し合いという過酷な現実を僅かだけでも忘れられるような、とりとめのない会話。 思えば第一印象最悪の遭遇から、こんな普通の会話ができているということが、もはや奇跡同然だ。 突如城の屋上に乱入してきたKASと、やよい達が遭遇したのがしばらく前。 コミュニケーション不可能かと思われたその緊迫状態を崩したのは、けいこだった。 彼女の温かみと人徳溢れる呼びかけが功を奏し、なんとか情報交換という形に漕ぎつけることができたのだ。 ……もっともKASの言ってることはまさしく理解不能で、情報『交換』という名目は果てしなく怪しかったが。 そんなこんなで、支給品の話になっていたわけである。 どうやらKASは「でっていうの卵」というものを探しているらしい。 なんでもでっていうというのは、舌が伸びてなんでも食べる恐竜なんだとか。 けいこが「そんな卵は聞いたこともないでなぁ」と首を振ったので、やよいが持っているかという話になるのだが…… あいにく、やよいはまだ支給品の確認をしていなかった。 ……殺し合いの道具の確認をしてしまえば、この現実を認めざるを得ないことになるような気がして怖かったのだ。 しかし頼まれたら嫌とは言えない。やよいはしぶしぶディパックの中を探した。 やよいの支給品は、持ち手に鎖と鉄球がついた武器、変な腕輪、それから映画とかで吸血鬼が入っていそうな棺桶だった。 あの鉄球付きの武器はともかく、他のものは使い道がよく分からない……というかあの棺桶、どうやってディパックの中に入ってたんだろう。 もしかしたら、あの二つは見かけからは想像もできないような便利な道具だったりするんだろうか? 「でも、KASさんが探していた卵はないみたいですね……」 「腕輪装着! なんというオシャレさん、俺!」 「って、何してるんですかぁ!」 やよいがちょっと目を離していたすきに、勝手に腕輪を嵌めているKAS。 返してくださいよぉ、と飛び跳ねるやよいに、返すのは俺が満足するまでカッコよさを味わわわってからだ!とよく分からないことを言い出す。 そんなやり取りを微笑みを浮かべながら眺めているけいこ。 この殺し合いの場には、不釣り合いなほど平和な光景だった。 ふと、けいこが呟いた。 「そんなもの探して、なんぞするつもりなんなぁ?」 そういえばやよいも気になっていたことだ。 思わずKASの方を見るが…… そのKASはというと、その言葉を聞くと何かを思い出したかのように震えだした。 というよりは焦り出した。何かに追われるかのように、せわしなく体を動かし始めた。 やよいが呆然としている間に、KASは行動する決意を固めたようだった。 「そうだ……ぼーっとしてたらTASの野郎に出し抜かれる! それだけは絶対にダメダメだッ!  装備はなくとも俺には最速のテニクックがある! 負けるはずなどまるでない!  なぜなら……最速クリアして難易度神だって見せつけるのはこの俺だから!」 そういうやいなや、KASは誰にも予想できない行動に出た。 「危ないです! そっち行ったら落ちちゃいますよぉ!」 盛大に助走をつけて…… 「行くぞ! TASが神なら俺はヒマラヤ山脈になる! アイキャンフラァァァァァァァァァァァァイ!」 やよいが制止するのも聞かず、KASは体を独楽みたいに回転させながら、後ろ向きにジャンプした。 これがゲームだったら、もしかしたらKASの行動はうまくいったかもしれない。 ただ、KASは大事なことを失念していた。 失念というよりは、常識に思い当らなかったということだが。 ……本物の城に、すり抜けバグなどありはしないのだ。 KASは後ろを確認せずにスピンジャンプする。 お城にはすり抜けバグは存在せず、そのうえここは屋上だ。 つまり、飛び降りの形になるな……ということは、 これぞ! KAS動画名物『 ス パ イ ラ ル 自 殺 』! 「やったぜバグ成功ってうわああああああああぁああああぁあああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 哀れKASは屋上のの壁を飛び越えて空中に放り出され、そのまま錐揉み回転しながら地面めがけて真っ逆さまに落ちていった。  ▼ ▼ ▼ 「KASさんっ!」 思わず、やよいは駆け出していた。 けいこが制止する声も耳に届かない。ただ、落ちていったKASの安否が気がかりだった。 冷静に考えたら、生きているとは思えない。 それでも藁にもすがるような気持ちで、やよいはKASが落ちていった端の方へと走った。 話したのはわずかな時間。それほど打ち解けたという訳ではない。 だからといって、さっきまで言葉を交わした人間がいなくなってしまうなんて、そんなのは嫌だった。 屋上の端に身を乗り出し……一瞬躊躇する。 もしかしたら、いやきっとたぶん、下に広がっているのは世にも残酷な光景だろう。 でも……と、心のもう一つの部分が告げる。もしかしたら、生きている可能性だって…… しばらく迷った挙句、やよいは思い切って両目を見開き、下界を見下ろした。 赤い帽子が、動いていた。 思わず目をこする。そしてもう一度地上の方に目を凝らす。 赤い帽子の主は、なんだか無駄に元気そうだった。 頭の中でクエッションマークがくるくると回りだす。 普通に考えて、この高さから飛び降りて無事でいられるとは思えない。 だったらどうして怪我ひとつしてないんだろう? 「う~ん……」 彼女の脳内でいくつもの考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えた。 なにがなんだかさっぱり分からない。 ……本当に分からないので、仕方がないから名前を呼んでみた。 「KASさーーーーーーーーんっ!」 元気そうなら、声が聞こえれば戻ってくるだろう。 本当は怪我しているのなら、自分たちが迎えに行けばいい。 やよいは、そう考えていた。 ……そのどちらでもない可能性なんて、考えもしなかった。  ▼ ▼ ▼ やよいが城の屋上で混乱しているその頃。 そこには、元気に走り回るKASの姿が! しかも本来なら地面に叩きつけられて死んでいてもおかしくないはずなのに、かすり傷一つ負っていない状態で。 「このアテイムのおかげで助かった……要するにさすが俺!」 KASが意気揚揚と振り上げた右手に光る腕輪……彼が言う通り、彼が生き残った理由はこの支給品にあった。 この無骨なブレスレットは、格闘技世界チャンピオンにしてキノコ狩りの男ことスパイダーマンが使っていたもの。 KASが落ちる途中で無我夢中で右手を振りまわしているうちに偶然ブレスレットを作動させ、飛び出した蜘蛛の糸が城の壁に張り付いて彼を空中に繋ぎ止めたのである。 まさに神の気まぐれとでもいえるほどの偶然。 とはいえ絶望的な状態から奇跡の生還を果たしたとあって、KASのテンションは最高に「ハイ!」ってやつになりつつあった。 シュバッ シュバシュバッ 「TASが神なら二段熟カレーになる男、KAS!」 チャーチャチャーチャチャチャ(ポコポコポコ…)チャチャッチャチャー 気分がいいのでポーズなぞ決めてみる。 なんだか前述の蜘蛛男っぽい感じだが、たぶん偶然。 そんなこんなで浮かれていたKASは、自分が落ちてくる前に何をしていたかなど頭から放り出してしまっていた。 今、頭にあるのはTASを出し抜き最速クリアする方法のみ。バグが駄目でも、もっと他に裏ワザがあるに決まってる―― 城のことなどすっかり忘れて他の目的地を探そうとする矢先、KASは背後から降りかかる声を聞いた。 「KASさーーーーーーーーんっ!」 見上げれば、先ほどのツインテール少女が声を張り上げている。 KASは立ち止まり、しばらく考えた。そして、ようやく自分がさっきまで何をしていたのか思い出した。 ……でも気にしなかった。何故って、自分の最速クリアへのロードには神の加護が付いているのだから! 「もはやこの俺の最速クリア伝説はママンのゲーム禁止条例以外の何物にも阻めない!  まずは最短ルートを探し出してクリア! それでこそ難易度神な俺! そうと決まればYAHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」 右手を突き上げ、KASは妙なテンションのまま城とは逆方向へ走り出したのだった。 【D-1 城の外/一日目 黎明】 【KAS@KAS動画】 [状態]:健康、絶好調 [装備]:スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1.でっていうはどこだ? 2.城が駄目だったので、他の方法でボスへの最短ルートを探す 3.そしてボス撃破してTASより難易度神だって事を教えてやる  ▼ ▼ ▼ 「うっうー……行っちゃいました……」 やよいは、城の屋上で塞ぎこんでいた。 何か、気に障る事でもしたんだろうか? その考えがぐるぐると回る。 KASの行動原理が常人に推し量れるわけがないのだが……やよいに、そんなことが分かるはずもない。 それよりも、さっきまで普通に話していた相手がなんだか分からないうちに逃げて行ってしまった、その事実が彼女の純真な心を傷つけていた。 話していることはよく分からなかったが、悪い人には見えなかった。 少なくとも、そう信じていた。 もしかして、あの腕輪が欲しかったんだろうか? あの腕輪が惜しいわけではない。あれはやよいが嵌めるにはあまりにもごつい代物だった。 でも欲しいのなら、言ってくれればあげたのに。何も、持ち逃げすることなんてなかったのに。 それとも、そんなことも言い出せないほどに自分達は信頼されていなかったんだろうか? いや……この誰が敵になるかも分からない状況で、自分やけいこさんのように他人を信頼するほうが間違っているのだろうか? 「元気出しやぁ、やよいちゃん。あの人も、ちょっと魔が差しただけかも知れんて」 「けいこさん……」 けいこは、あの人のことは少しも気にしていないようだった。 ただ、そういうこともある、とそう受け止めているだけのようだった。 お母さんになるということは、そうやって子供や若者のすることを理解できるようになるということなんだろうか? だったら、自分はまだまだお母さんになんかなれっこない。 「ほら、持ち物も置いていきよるし、あの腕輪だって元々交換するつもりやったんかもしれんなぁ」 「そうでしょうか?」 「そうやて。あまり心配ばかりしとったら良くないでなぁ」 けいこの言う通り、目の前にはモンスターボールとししとうが放置してあった。 やよいはただ忘れていっただけだと思っていたが、この人にそう言われると本当にそうなのかもしれないと思えてくる。 あのKASって人も、本当に何か事情があっただけなんだろうか。それとも…… 思考はループする。ぐるぐるぐるぐる。いつまでたっても出口は見えない。 「もしかしたら使えるお台所があるかも知れんから、私はもう一度探してみるでなぁ。やよいちゃんも部屋の中に入って休んどきぃ」 けいこはそう言って城の中へと入っていった。KASが置いていったししとうを持って。 やよいにも分かった。さっき話していたししとう料理のことだ。 その話をやよいが嬉しそうに聞いていたから、作って喜ばせようとしているのだろう。 (なんだか、けいこさんには心配かけっぱなし……) なんだか申し訳なくなってきた。ひょっとして、自分はけいこさんの足を引っ張ってるんじゃないだろうか? とりあえずこれ以上結論の出ない考えは止めにして、沈む気持ちのまま立ち上がる。 そして一歩を踏み出そうとした時、やよいのつま先は何かをけっ飛ばしそうになった。 「あれ、そういえば……」 それは、赤と白で色分けされたカプセルを思わせる小さなボール。 傍に落ちていた説明書を拾い上げる。それには『モンスターボール』と書いてあった。 なんでも、主人を守って戦うモンスターが入っているとか。 モンスターと聞くと怖いイメージがあるけど、なんだか気になる。 「ちょっと開けてみようかな……」 思えば、沈みがちな心を少しでも違う方向に向けていたかったというのもあったのかもしれない。 ともかく、やよいは、説明書通りに中のポケモンを外に出すような操作を行った。 そして、すぐに後悔した。 そのモンスターは、少女を思わせる外見をしていた。 白い肌、黒い長髪、同じく黒と白を基調とした制服を連想させる服装。 しかし、その身に纏う気配は少女と呼ぶにはあまりに禍々しいものだった。 それに、その右手に握りしめているものはなんだ? ……ノコギリ? 「それ」から放たれる殺気にも似た威圧感に、やよいは総毛立った。 その瞬間、「それ」は振り向いた。 そしてやよいは見てしまった。どこまでも虚ろな、視線だけで人の不安を掻き立てるその瞳を―― 「ひぃっ!」 やよいは耐えきれずにモンスターボールを向けた。 「それ」は光となって、ボールの中に吸い込まれる。 完全に吸い込まれたのを確認すると、やよいは肩で息をしながら尻もちをついた。 無意識に腕をさすると、まだ鳥肌が立っているのが分かる。 震える手で、やよいは途中までしか読んでいない説明書にもう一度目を通した。 いったい今のは何なのか、それだけが知りたくて。 「えーと……『ことのは』……それが、このポケモンの名前……?」 説明書にはタイプだとか使える技だとかが書いてあったが、やよいの頭には入らなかった。 彼女が理解したのはただ、この『ことのは』が……殺し合いに向いたポケモンだということだけ。 一応持ち主のいうことは聞くようだが、だからといって軽率に戦わせれば、ことのははきっと相手を殺してしまう……! それは、単なる直感だった。それでも、彼女にバトルロワイアルの現実を思い出させるのには十分だった。 このゲームの中にいる限り、自分達は殺し合いから逃げられない……! 「……違う、そんなことない……人殺しなんて、絶対ダメなんだから……」 やよいはモンスターボールをディパックに押し込んだ。 そのまま嫌な考えを払うように大きく首を振り、彼女は立ち上がった。 「……やっぱり、けいこさんの所に行こうかな」 そして彼女は歩き出す。彼女が進む先にあるのは、果たして光か影か。 【D-1 城・屋上/一日目 黎明】 【高槻やよい@THE IDOLM@STER】 [状態]:健康、不安 [装備]:なし [道具]:支給品一式、モンスターボール(ことのは)@ポケットモンスターヤンデレブラック、ゴッドクラッシュ@ゴッドマン     盗賊の棺桶@勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった [思考・状況] 1.けいこさんの後を追う 2.けいこさんと一緒に行動 3.「ことのは」はできるだけ使いたくない 4.人は絶対に殺しません 【D-1 城内/一日目 黎明】 【永井けいこ@永井先生】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式、未確認支給品1~3、ししとう@ビッグブリッジのししとう [思考・状況] 1.台所を探し、やよいに料理を作って元気付けてやりたい 2.やよいと一緒に行動 3.人は絶対に殺さんでなぁ ※ししとうは、量だけはやたらとあるようです。 【ことのは@ポケットモンスターヤンデレブラック】 スクイズポケモン。オーキド博士が最初にくれる三体のヤンデレポケモンの一つ。 言うまでもなく、ゲーム「School Days」に登場する伝説のヤンデレヒロイン・言葉様こと桂言葉をデフォルメしたものである。 武器はノコギリ。現時点での最新動画からの参戦につきレベルは27。 タイプ:あく・ゴースト とくせい:こんじょう(状態異常で攻撃力が上がる) わざリスト:  ふくしゅう:あくタイプ。同ターン中に相手からダメージを受けていると攻撃力が上がる。「リベンジ」に相当。  えいえんに:ひこうタイプ。1ターン目で高いところに上り、2ターン目で落下してダメージを与える。「そらをとぶ」に相当。  のろい:効果はゴーストタイプ仕様。自身の体力を削り、相手の体力を徐々に奪っていく呪いをかける。  いあいぎり:効果は本家と同じ。ノコギリでぶった切る。頸動脈とか。 【スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン】 スパイダーマン(東映版)が右手首に装着しているブレスレット。外見は結構ごつい。 内部で無限に精製されるスパイダー液を元に、ロープ状の糸「スパイダーストリングス」や網状の糸「スパイダーネット」を放つことができる。 マーべラーを呼ぶ機能もあるが、さすがにそれは使えなさそう。 【ゴッドクラッシュ@ゴッドマン】 正義のヒーロー(?)ゴッドマンが使うモーニングスター型の武器。通称「ゴッド鈍器」。 丸腰の相手をフルボッコしたり、鎖部分で首を締め上げたりするのがヒーロー流の使い方である。 余談だが、これを敵に奪われて逆にゴッドマンがフルボッコされる第三話ゴーストン戦は必見。 【盗賊の棺桶@勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった】 冒険中やたらと死ぬ盗賊が、いつも入れられることになる棺桶。 椅子代わりにしてよし、戦闘中に盾にしてよし。というか元動画でもその扱い。 しかしゾーマとの最終決戦では、予想を遥かに超える起死回生の秘策に…… ちなみに、原理不明だがパーティーの後について動く。

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