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さよなら絶望黒花 - (2007/12/19 (水) 02:06:48) の編集履歴(バックアップ)


さよなら絶望黒花 ◆OZbjG1JuJM


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sm117←谷口→
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「ワッちゃねーーーー!!!!!!! ……ぜぇ、ぜぇ」
 この島に呼ばれたその時から変わることのなかったテンションも、流石に半日も暴れては下がらざるを得なくなった
……というよりはどうやら少々の疲れが出てきたようである。
 おまけに現在のKASはチビマリオ状態ゆえ、身体能力がやや下がっているのだ。無理もないといえよう。

 そして彼は今現在何をしてるのかと言えば、何のことはない。相変わらず走り続けているのである。
 ……ただし、花畑の周囲を、延々と。それもジャンプしながら。常人たったら間違いなくすぐへばるだろう。

「くっそー!! ブラックパックンといえばAIBOの孔明がいると思ったのによ……
分かってないぜ! こういう所には孔明の中にでっていうないしスイッチでも入ってるもんじゃいなー!!
その孔明を華麗にヌルーしてアイテムゲット、そしてフィニッシュァァァァァァ!!! なのによぉ」
 やがてKASは最初のブラックパックン地帯に腰を降ろし、ひとまずの休息を取ることにした。
 こんなとこで休息してたら襲われた時にどうなるか分かったもんじゃないが、こいつにいってもせん無いことである。
「YOSHI! 十分だけ、十分だけテケテケ休んだらスーパーKASKASタイムの復活だぜぇーい!!!
ここにないならば、ひょっとしたら孔明の産地・城や塔にあるかもしれんぜ!! 城はレムーもでっていうもまだいるかもしれぬし……
……あん? おおっと、誰か向こうからくるではアルマイオ!!!」
 傍目からは無防備極まりない体勢で北方からの人影を見やる。そこそこのスピードで近づいてることからすると、
どうやら走って来てるらしい。だが恐らく疲れてるだろうなとなんとなくKASは判断した。しかしどうも剣っぽい
シルエットも見える。
 折角休み始めたのにYO! 仲間ならいいがなぁーッ!!! とKASはゆっくり降ろしたばかりの腰を上げた。



 二人が落ちたあと、あれから谷口はずっと走り続けていた。
 もう向こうへは戻れない。あんな詐欺師の塊のような山になんかいられるわけがないと判断した彼は三人が落ちた崖を真っ青な顔で見つめ続けたあと、やがて脱兎のごとく南へ駆け出したのだ。
 あれからどうやって、どんな道を走って行ったかは分からないが、気付いたら予想よりも早く山を抜けていた。
 下り坂だからスピードがついてたのか、近道でも通ってたのか、はたまたこの剣が力でもくれたのか。
 山を抜け、草原を走り、やがて花畑が見えても谷口はまだ走り続けていた。

 最早山にいる連中だけじゃない。他の連中の信用できない。
 信用できるのはやっぱり知り合いのみだ。キョンも長門由希も朝倉さんも死んでしまじまったけど、
涼宮ハルヒとキョンの妹はまだ生きている。涼宮は変な野郎だが殺し合いにのるような下種じゃない。
妹は俺が助けられなかったキョンの代わりに守ってやらなきゃならない。

 谷口はただ、ひたすらに知人のことだけを考え続け、日が沈もうとしても直走り続けた。
 まるで、知人が見つかるまで走ることを止めないとでも言うかのように。


 そして、二人は遭遇する。
──最悪な形で。





 あれだけ走ってなお谷口のスピードは余り落ちていなかった。一般人とは思えないその持久力は
まるでアイスソードの力というよりも、アイスソードに身体を支配されているかのようである。
「ヘーイユー!!! あーのよー!!! おまえさん銀色のスイッチとか見てなーいかーい!!!」
 KASが声を掛けるも、谷口の足は止まらない。聞こえてないのかと、ひとまずKASは彼に足をかけて
転ばすことにしようとしたが足の長さが足りなかったので、不本意だが体当りで止まって貰うことにした。

 谷口は決して他のどんな声もが聞こえない分けではなく、注意力が散漫になっているだけである。
従って、KASぐらいの大声ならもう少し近寄ってきてから再度声を変えればひょっとすると聞こえたかも
しれないのだ。
 しかしKASは銀スイッチの在り処を第一と考えていており、かつこういう人格のためそこまで頭が回らなかったのだ。
もしかすればこの行動の転換こそがこの人格による、ただの気まぐれなのかもしれない。

 そして、いずれにせよこの行動は間違いだった。それも、結果的に致命的な。


「のぅあっ!!」
 KASのジャンピング体当りによって、彼に気付いて居なかった谷口は完全に不意を疲れて尻をつく。

 動きを止めて、ようやく彼の足に疲労が押し寄せて来る。加えて、思うように立てない状況が更に彼を焦らせた。
「手荒なことしてすまんぜ!!! だが俺があるものがほしくてね!!!」
 KASは余り気にも止めてないかのように倒れる谷口に近づいた。
 小柄で不審かつテンションの高い男の接近とその言動は谷口の思考をますます混乱させた。

 ただでさえ今しがたの四人の死と孤独な現状、そしてアイスソードによって蝕まれた頭である。
 KASの考え無しの行動によるコンボはあっさりと彼に単純な判断を下してしまった。

(こ、殺される……こいつ、俺の剣を狙ってんだ……!!)
 既に続けざまに繰り広げられるKASのマシンガントークも耳に入っていない。
 谷口は震える腕と限界に近い脚を強引に動かす。
「う、おああああああああ!!!!」
 そしてKASをアイスソードで斬りつけた。


 しかし、ほとんど正常でない思考の彼から繰り出される太刀筋をKASが交すのは容易なことだった。
「うおっあぶねっ!! やっぱり殺人ヤローだってのか……およ?」
 横に飛んで避けたKASはここであることに気付いた。
「そういやブラックパックンが後ろに…………なななななんと!! 
ブラックパックンが弱ってるジャマイカァァァ!!!!にゃーるほど、植物は寒さに弱いっつーもんな!!! 
にしてもあの一振りのとばっちりを喰らって耐えるとは流石TASとは別ベクトルの我がライバルッ!!!!!」

 こんな名剣(?)を持ってるのであればたとえ敵でも仲間に引き入れねばならぬとKASは
谷口の説得をしようと向き直る。しかしKASが驚いている間に体勢を立て直していた谷口はTASに向けて今まさに斬りかからんといった瞬間だった。
「おわー!!!!!」
 反射的にKASは小さい体を使って剣のギリギリ射程外である谷口の足元に潜りこんだ。

「あぶ……ってしまった!!」
 難を逃れた、と思った直後に彼は後ろを振り向いた。
 剣を攻撃を避けられたのは良かったが、KASが足元に潜ったために勢いづいていた谷口は
彼の身体に足をひっかけ、ブラックパックンの集団に剣ごと吹っ飛んでしまったのだ。
 即座に伸ばした手も、谷口と剣のどちらにも届くことは無かった。

 獲物の到着に歓喜する黒い花たちは待ちかねていたかのように谷口の身体を貪り始めた。
 一緒に飛んできた剣が仲間を弱らせ、さらに谷口の体重でほんの一部の仲間を潰す。
潰れたブラックパックンの根元に黒い氷のようなものがあり、さらにそれに別の花のようなものが
顔を出していたのをKASは気付いていた
 それでももとより殆ど知能のない彼らは気にすることなくひたすらに獲物を食べ続け、
さらに凍気から復活したブラックパックンがアイスソードまでもを食べ始めた。
 獲物の吠えるような絶叫があのKASの身体までもを凍りつかせる。
 それも数十分で止み、地獄のような食事が終わった時には既に花畑には無残な肉塊と、
殆ど柄しか残って居ない剣しか残されていなかった。


 こうして、一人の少年は史上最凶の死の象徴と共に殺し合いの舞台から退場した。 




「なんてこった……」
 目の前のカニバリズムの衝撃からなんとか回復したKASは普段とは真逆のローテンションで
呆然とブラックパックンの花畑を見つめていた。
 落ち着いた脳裏にあの絶叫が蘇る。
 殆ど意味をなさいない、ただの悲鳴とも取れる絶叫だったが、その死に際に漏らされた最期の言葉をKASは確かに聞き取っていた。
『キョン』『魅音』の二人の人名を。
 キョンは第一放送の時に呼ばれた名前だ。そして、魅音というのは現在呼ばれてはいないものの
名簿にあったはずの名前である。位置は近くなかったはずだが、もしかすればKASからした霊夢達
のようにこの地で知り合った仲間なのかもしれない。

「……お前、本当はいいヤツだったんだな?」
 KASは最早原型を止めていない肉塊に向かって話掛ける。
「……済まねえ。そして…………お前の無念はこのKAS様が絶対に晴らして見せる」
 心に自分でも考えられないような感情が湧きあがってくるのを感じる。
 これが後悔なのか、悲しみなのか、何でもないのか、そんなのは分からない。

「決めたぜ。何としてでもよ、このクソゲーをクリアして……あのスットンキョーをぶっ潰し……
あの連中にころしてでも願いを叶えさせてやるぜ。お前含めて、ここで死んだ悪いやつ以外
全員生き返らせろってな」

 決意を語り終え、今度は熱いなにかが心に宿った。
 いつものハイテンションでは感じられない、不思議な感情。でも、消して悪い気はしない。
 むしろ、この感情を消してはならないとKASは感じていた。


 遺体の代わりにブラックパックンの牙から逃れていた支給品を埋葬し、柄だけになった
アイスソードを墓標の代わりに立てる。
 その時風に煽られ一枚のカードが宙を舞った。埋め忘れていた支給品かと思い、手に取って
それを眺める。
 表面には力を煮やす騎士の絵。そして裏面には謎の文章。
 だが、意味が分からなくともKASはこれが彼の仲間に渡さなくてはならないのものと分かった。
「さて……ちょっと休んだし、そろそろ出発すっか。それに……」
 バーサーカーソウルのカードをポケットに忍ばせ、KASは再び立ち上がる。 


──そして、

「やっぱアンニュイ気分は俺には似合わないぜえええええええええええええ!!!!!!!!」
 いつものテンションを取り戻し、TASは来た道を猛スピードで引き返し始める。
 新たな決意と熱き闘志を燃え上がらせ。



「……ってあ! 俺あいつの名前知らないし仲間も誰だかわかんねー!!!!!」
 そんでもって、結局いつも通りに落ち着くのだった。


【谷口@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】
【残り42人】


【D-3 花畑/一日目・夕方(放送直前)】
【KAS@KAS動画】
[状態]:チビマリオ、右拳骨にヒビ、お尻に火傷、やや疲労、やっぱりハイテンション、強い決意と熱い闘志(?)
[装備]:スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン、バーサーカーソウル@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1.あいつ(谷口)の死の責任を取る!!
2.あの黒い氷っぽいのを調べたいけど、ブラックパックンに囲まれて近づけんぜ!
3.銀のPスイッチを見つけてブラックパックンをコインにし、ブラックパックンの下に何があるのか調べる
4.城に戻ってスイッチIN孔明がないか調べる。なかったら塔の孔明をあたる。
5.このカード、あいつの仲間に渡したけどどいつが仲間なんだろ?
6.今度はTASにもケラケラにも負けない。
7.カイバーやレムー達みたいな仲間キャラがいればいーなー
8.このクソゲーをぶち壊してボスのスットコドッコイを倒して土下座させて
悪い奴以外全員生き返らせるぜ!!!!
※危険人物についてくらいは聞いていました。
※チビマリオ状態ですがマント、フラワー、キノコの何れかを手に入れれば元の大きさに戻ります。
※谷口の支給品はD-3花畑付近に埋葬されました。アイスソードは柄だけになって墓標代わりになっています。
※花畑の一部のブラックパックンが潰れました。中に変な花が入ってる黒い氷のようなものが
あるようです。
※強い冷気を与え、かつ瞬時に攻撃を加えればブラックパックン倒せる可能性がありますが、かなりリスクが高いです。