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第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars - (2008/08/27 (水) 23:42:30) の編集履歴(バックアップ)


第二次ニコロワ大戦Ⅰ ――War to End All wars ◆qwglOGQwIk


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キャラ順に見たい人はコチラ↓
sm226←博麗霊夢→sm230
sm227←竜宮レナ→sm230
sm228←KAS→sm230
sm227←柊つかさ→sm230
sm227←武藤遊戯→sm230
sm227←日吉若→sm230
sm226←カービィ→sm230
sm229←涼宮ハルヒ→sm230
sm228←マルク→sm230
sm227←ピエモン→sm230
sm227←アイスデビモン→sm230



「これは一体どういうことなのサ……」

食堂に戻ったマルクは、その惨状を見てそう呟かざるを得なかった。
大量に散らかった料理の皿だけがそこにあって、食堂であれほどやかましく作業していたデジモン達の姿は一人も確認することが出来なかった。
周りに声をかけても、やはり誰も反応しなかった。
ここで何かあったのは間違いないが、それは既に全て終わっているのだ。
ならば、何があったか考える。

一番最初に思いつくのは既に対主催がクッパ城に到達していて、何かの目的があって食堂を襲撃した場合。
しかしそれにしても全てのデジモンが居なくなるのはおかしいし、皿の量も尋常ではない。
そして厨房に整理されているお皿は何故か殆ど手付かずである。つまりこの皿は何者かが用意したものと考えていい。
ここまでの監視の結果、対主催にそんなアイテムを支給した覚えはないし、グルメテーブルかけがあるならわざわざ食堂を襲撃して料理を略奪する理由はひとつも無い。
したがって、この可能性はまず無いと考えていい。

第二は逃げ出したKASだが、こちらも対主催と同じで襲撃する理由も、大量の皿に説明は付かない。
第三の可能性は霊夢が到着した場合だが、やはり同じだ。

となると第四の可能性、イレギュラーの介入以外にはありえない。
そしてそれに当てはまる不振人物はあのピンクの少女以外にはありえない。
デジモンが居なくなり、代わりに大量の汚れた料理皿。
ならば、あの少女の能力はデジモンを料理に変える程度の能力だとでもいうのか。
それはまるでカービィのコピー能力、コックのようで…………

そこまで考えた時点で、マルクに電流が走るッ………!!!
あれは……、カービィだ。マルクはそう確信した。
変幻自在の能力を使いこなすピンクの少女、その能力はカービィのコピー能力に酷似していた。
というよりはそのものだった。実際に戦ったことがあるのだから間違い無かった。
ペイントの前例を考えれば、この惨状がコック以外に説明が付かないことに納得がいった。
何故あの時気が付かなかったのか、それを今更後悔するが、時は既に遅かった。
萌えモンパッチが阿部さんに没収された時点でカービィが人型になれたことは完全に失念していたし、そもそもジアース戦でカービィは死亡していたはずなのだ。
それが何の偶然に助けられたのか生きてクッパ城までたどり着いてしまったから、生体反応が検知できず死亡扱いにしてしまったのだ。
今なら分かる、あの少女はカービィだ。
となると、カービィはあの後素直に宇宙ポッドで脱出しようとはせず、デジモン達を生贄にして料理を作り、食らったというわけなのだ。

「やってくれるじゃないか……」

ロリコンでゆとりとはいえ、大事な部下を全滅させられて怒らないマルクではなかった。
ふるふると震え、怒りを顔に漲らせながらその場を立ち去った。

「次にあった時は必ず殺してやるのサ…………」


マルクがオペレータールームに入り、出迎えにやってきたデジモン達はマルクの表情を見て畏怖していた。
狂気と言って差し支えない、歪んだ笑いをしたマルクがそこにいた。

「マ、マルクたん、報告します……。対主催が、こちらにやってきました」
「映像を出すのサ」

オペレーター達が慌てて映像を出す。
そこには対主催ご一行4人と、見慣れない幼女が一人。
「あの幼女は一体何なのサ?」
「わ、分かりません……」

一息ついて思慮をめぐらすマルク、とはいえ幼女の正体には見当が付いていた。
見覚えのある道化衣装をつけていることから、萌えモンパッチを適用したピエモンでまず間違いないだろうと予想した。
会場の方はといえば、もう生存者はいないようだ。
全ての役者はここ、クッパ城に集結しているのだ。

「さて、そろそろ放送を行うのサ、最後のね」

そう言うとマルクはマイクを手に取り、最後の放送を始めた。


 ▼ ▼ ▼



ピ、
ピ、
ピ、
ポーン。

『午前0時をお知らせします』

いつものように始まった放送は、最後なので少々風変わりに始まった。
もはや恒例となっていた、マルクの笑い声はそこには無い。

『みんなよく頑張ったね、よくここまでたどり着いてくれたのサ!おめでとう!!!!!』

マルクは放送の先に居る参加者を褒め称え、拍手を送っていた。
パチパチパチと音だけが響く、笑い声も無ければ笑いも無かった。

『さて、それじゃ放送と行きたい所だけど……
 やっぱりボクにはシリアスキャラは似合わないのサ!



 キャハ、キャーハハハハハハハハハッ!!

 やっぱりこうでなくっちゃね。
 でもボクは大切な部下を皆殺しにされてちょ~っとばかりトサカに来てるのサ。
 もちろん犯人は大方予想が付いてるよ。カービィ、君だろう。
 なんで死んだはずの君が生きてるのかはおいておいて、死人が歩き回ってちゃ放送の意味が無いのサ!

 だから、楽しかった放送はもうこれでおしまい。ここまでの死者も教えてあげないのサ!
 みんなここ、クッパ城に到着したみたいだから余計な邪魔は無し。
 本当は霊夢と弾幕勝負したかったけど、面倒くさいからカービィも霊夢も逃げ出したKASも少数派も、みんなまとめて相手をしてやるのサ!

 ボクはクッパ城最深部、みんなを最初に集めたあのホールで待ってるのサ!
 ボクを倒せば全部これでおしまいにしてあげるよ。ピエモン君が見当たらないみたいだけど、どうせこっちに来るだろうしね。
 ま、ボクは負ける気なんてさらさら無いから、余計な遠慮は無用ッサ!

 それじゃ、待ってるからね~』


放送を終えたマルクが、その辺りにいたオペレーターの一匹に声をかける。
「例のものは用意してくれたかい?」
「はいマルクたん!最高級の一番茶を用意しておきました」

マルクは一番茶と湯飲み、それに急須を受け取り、オペレーター室から出ようとした所、特徴的な声が響く。

「ぷるあああああぁぁぁぁマルクさまああああああぁぁぁぁ」
「アイスデビモン君!」
「そうですマルク様、実は報告しなければいけないことがあるのですってヴぁ! 聞いてくださあああああぁぁいいい!!!」
「ま、まぁ分かったから落ち着いて報告するのサ……」

アイスデビモンからの報告を簡単にまとめるとこうだ。

1、ピエモン君、もといピーちゃんはあの幼女で間違いない
2、ピーちゃんはボク達が裏切って自分を落としいれようと勘違いしている
3、ボクを倒すまでの間対主催と共闘している



「…なるほど、良く分かったのサ」
「マルク様!どうか貴方の手でピエモン様の目を覚まして……」
「めんどくさいから嫌なのサ」

アイスデビモンの哀願は、哀れにも一蹴された。

「ボクだって暇じゃないのサ、もうここに来ているはずの霊夢のお出迎えに対主催の相手にカービィ……
 そうだ、アイスデビモン君、丁度いいから対主催とピエモン君改めピーちゃんの足止めをお願いしたいのサ!」
「そ、そんなマルク様ああああああぁぁぁぁ!!!!!!!」

アイスデビモンはマルクの足に抱きつき、嘆いている。
その様子を見たオペレーター達の目線が、同情から殺意に変わったことには気が付いていない。

「たしかにピエモン君との付き合いは結構長くなるし、敵対するのも嫌なのサ。
 でもラスボスの座を奪われるのはもっともーっと嫌なのサ!
 だからアイスデビモン君はボクがピエモン君と敵対なんか全然していないことをきちんと伝えて、こっちに戻ってくるよう説得するのサ!
 でもそれができないなら、邪魔だから倒しちゃっても構わないのサ。
 もちろん説得は、正直に報告したアイスデビモン君を信頼しているからこそまかせたのサ」

「マ、マルク様あああああぁぁぁぁ!!!
 わかりましたああああああぁぁぁぁ、不肖のアイスデビモンですが、喜んでお役目を果たしてまいりますううぅぅぅぅ!!!!!」

「じゃ、頑張ってくるのサ、と言いたい所だけど、これを持っていくといいのサ」

そう言うと、マルクは紅黒く、綺麗な宝石とノートパソコンをアイスデビモンに渡す。
「マルク様、ノートパソコンは分かりますがこれは何ですかってヴぁ?」
「魔血痕さ、これを使えば君はもっと大きな力を手にして進化できるようになるのサ!
 ちょっと強すぎかもしれないけど、これぐらいで負けるような対主催とは相手をする気は無いのサ」
「わかりましたああぁぁぁ!!!それでは行ってまいりますうううううぅぅぅ!!!」

アイスデビモンは勢いよく走り出し、あっという間に姿は見えなくなった。
「いい子なんだけど、ちょっと暑苦しいのは玉に傷かな……。
 さて、そろそろ行かないと遅刻しちゃうのサ!」

マルクはジャンプ機能の行き先をホールに設定し、ほくそ笑む。

「ちょっとばかり邪魔者が入りすぎたけど、これで無事弾幕ゴッコが出来るのサ」

そして、マルクの姿はオペレータールームから消えた。


◆   ◆   ◆

「……本当に結界が解除されていやがる。本当に結界なんてあったのか」
「間違いなくあったはずだ。こうしてワープゾーンまで辿りつけたのが何よりの証拠だ」
「あの個性的な演奏うまく行ったのは、ちょっと信じられないかな?かな?」


線路の先にあった駅に辿り着いた少数派一行、つかさは演奏のことを未だに話題に出され、orz状態になっていた。
その一行がピエモンに案内された先にあったワープゾーン。
霊夢を飛ばしたジャンプ機能と同一のものらしく、これを使えばクッパ城の玄関へいけるらしい。

「それじゃあ、いっちょ乗り込むとしますか」
「ちょっと待って」

日吉が我先にと進もうとした所で、レナがその足を止めさせる。

「おいレナ、どうしてここで立ち止まる必要がある」
「それはね……」

「この先にすぐアイスデビモンやマルクが待ち構えてるかもしれないのに、何の準備もせずに乗り込むなんてねぇ」

レナが説明しようとした所で、遊戯が代理の言葉を口にする。

「アイスデビモンか……、そういえば何故奴はあそこで暴走なんて……」
「あの場所だからでしょ、考えればすぐ分かることだよ」
「どういうことだ、遊戯?」

ピエモンが遊戯に続きを催促する。それに皆も耳を傾ける。

「簡単なことだよ、どうしても結界を越えて城の中に皆で来て欲しくなかったからさ。
 あのタイミングは本当に絶妙だったよ。つかさが居なかったら僕達はあそこで立ち往生して、何も出来なかったはずだからね」
「何故、結界を越えて欲しくないと?」
「霊夢のことを思い出して欲しい、どうして霊夢だけ招待なんてしたのか。
 あんな回りくどいことまでして、なんで霊夢だけを?」

遊戯は疑問を口に出し、答えは出さない。
つかさはあうあう言っていて、自分だけ答えが分からないのが不満のようだ。
レナや遊戯に催促を促している。

「……各個撃破かっ!」
「そう、よく分かったね」

かかった、と遊戯は思った。
本当に各個撃破を望んでいるのかどうかは定かではないが、ピエモンがそう結論付けて貰えさえくれれば真実などどうでもいいのだ。
とにかく離反をさせないことが重要であり、そのためには集団で行動する理由付けを与えなければいけないのだ。

「もしやつらが僕達が城に入ったとする、その時出てくるのは間違いなくアイスデビモン。
 ピエモンの離反に気が付いたら、まずピエモンが騙されてないというように説得を始めるんだと思う」
「それも、あのマルクの作戦のうちというのかッ……!!!」

ここまでうまく騙されてくれるとは思わなかったが、これでアイスデビモンが何か言おうとも耳を貸す気は無いだろう。
もしこれから何かあるようなら、この先も適当に言いくるめて最後まで利用すればよい。
少なくとも、霊夢がここには居ない今、貴重な戦力であることには間違いないからだ。
ちなみにつかさも、遊戯君頭いい~とばかりにすっかり言いくるめられている。
真意を知るレナは押して黙り、日吉はイマイチ納得し切れていないようだ。

「そういうわけだから、まずは装備を整えようかな?かな?」

レナの提案で装備を順次出しながら、装備をいつでも使えるように順次譲渡していった。
戦闘力の少ないつかさにたいやきとオクタン、それに毒針とスタンガン、宝石のようなものを譲渡し、マジックシリンダー・攻撃誘導アーマー、光の護封剣はDMカードをうまく使える遊戯に譲渡。
すっかり冷めたきしめんは日吉が平らげ、傷の深い遊戯、日吉、ピエモンにオボンの実を一つずつ与えた。
遊戯はトランプソードをピエモンにしぶしぶ返却し、日吉はレナの分も含めて3つのテニスボールを受け取った。
そしてドーピングコンソメスープを全員に配り、いつでも使えるよう携帯することにした。
日吉はプラスパワーをポケモン持ちのつかさに3つ譲渡し、残りの二つは自分用として持つことにした。
ことのはさんが使うとつかさが言ったため、ことのは用の鋸も一緒に渡した。
そして、予備弾薬を全ての火器に充填した。
その途中でつかさはSIG P210を使いたいという旨があったため、つかさに予備弾ごとそれを譲渡した。
そんなこんなで、装備品譲渡は順調に進んでいたのだが……

「なにこれぇ?銃?」
「うっ……」

遊戯が取り出したそれを見て、日吉が絶句する。

「日吉君、これは一体どういう武器なの?」
「ああ、それはな……」

『素晴らしいティアナ専用デバイス、クロスミラージュだぜティアナっぽいお嬢さん』

「……まぁ、こんな感じの変態だ。一応魔法の素質があれば魔法が使いこなせるらしい」
「へぇ……」

『お、そこのピンクの髪の子もおっぱいがちっこいみたいだけど可愛いじゃないの
 おいそこのツンツン頭! てめぇ何よさげなょぅじょを捕獲してやがるんだ貴様ぁぁぁぁああ!!!』
「あ、あうううう……」
「わ、私を幼女呼ばわりするなぁああ!」

思わぬセクハラ発言に、つかさは再び心に深いダメージを受ける。ピエモンはぷんぷんと可愛く怒っている。

「圭一君より、ずっとずっと酷いねこれ……」
『お、なんだか酷い言われようだが、これでも凄い役に立つんだぞ!』
「本当に役に立つの?」
『魔法の素質さえあればな、と言うわけでそこの白帽子のお嬢さん、早速私を手にとって下さい』

レナは意を決したようにして、クロスミラージュを手に取る。

『これは……当たりだ!』

突然レナの体が光だし、そして裸になった。
その様子を見てきゃあと叫んで目を隠しながら、こっそり見ているつかさ、恥ずかしくなって横を振り向く日吉と遊戯。
そして呆然としているピエモンの前で、レナの発光は止まった。
水着のような、女騎士のような姿のレナがその場に現れたが、何やら様子がおかしい。
というか顔がニンマリと笑っている。

「ぱぱぱぱ、パンツめくりしたいんですぅ~~~」
「き、きゃぁぁぁぁああああああ!!!」

その言葉が放たれたとほぼ同時に、つかさのスカートが重力に逆らうかのように上向きになった。
そしてレナはつかさの下腹部に顔をこすりつけ、お持ち帰り~やらパンツめくり~やら呟いていた。
フヒヒヒヒとウハウハ、天国じゃあ~と叫ぶ銃が、この惨状の犯人を明確にあらわしていた。
日吉は顔を赤らめ、悪態を付きながら事態の収拾を図りだした。
遊戯とピエモンは呆然としている。というかピエモンはなんだか嬉しそうだ。
いい加減にしないと、遊戯が恥ずかしさでぶっ倒れてしまいそうな光景が目の前には広がっている。
服がめくれてだらしない格好になっているレナと、それに劣らず、制服の殆どを脱がされて恥ずかしい所を晒しているつかさ。
もう、パンツに手を掛けている。このままでは間違いなくヤバイ。やばすぎる。

「こんなことにKIを無駄使いしたくないし、さっきの新技でも試してみようかね……」

日吉は右拳に気合を入れ、クロスミラージュめがけてフタエノキワミを思いっきり放った。
最悪、壊れるかもしれない全力の力で。

『あqwせftgyふじこlp;@……って何しやがるんだ!お楽しみ中だったのに!』
「はっ……ってつかさちゃん、どうしてそんな格好を」
「れ、レレレナちゃんの不潔ぅぅぅぅううううう!!!!」

つかさは泣きながら遊戯と日吉の影に隠れてしまう。
レナが疑問符を浮かべてさっぱり何のことやら分からないと言った所だったが、日吉の指先にあるものを見て納得する。
そこには卑語を思いっきり喚き、気味悪い笑い声を上げるクロスミラージュがあったからだ。

『そういうことよ、まさか本当にちょっとばかりとはいえ魔法の才能があったとは驚きだったけどな。
 フヒヒヒヒ……ちょっとばかりなじんでたから、ティアナみたいに操らせてもらったぜ。
 それにしてもさっきは天国みたいだったなぁ、かわいい女の子のやわらかい太股の間で擦られて
 フヒ、フヒ、フヒヒヒヒ…………』

その笑い声が心底煩いと言った様子のレナは、鉈をクロスミラージュの横に思いっきり叩きつける。
その打撃音を聞いて、ようやくトリップ中だったクロスミラージュの笑い声が止まった。

「…嘘を付いてたんだね」
『い、いや嘘じゃなくて、そのバリアジャケットもちゃんと効果が……』

「嘘だッッッ!!!!!!」

レナの怒声が響く、クロスミラージュは怯えた声で先を話す。

『いやいやいや本当に本当だって、なんかつい最近目覚めたような変な感じだったけど、バリアジャケット展開はうまくいったんだって!
 そのバリアジャケットは俺と竜ちゃんの趣味の結晶だけど、ちゃんと銃弾ぐらいは軽く弾ける強度はあるって!』
「じゃあ、なんであんなことしたのかな?かな?」
『そ、それはだな、最近溜まってたからついついやっちゃっただけでして。
 もう二度とやらないから許して……お願いします…………』

クロスミラージュの哀願に対してレナはもう一度怒声を浴びせる。



「嘘だッッッ!!!!!!」


『いやああああああ、なんでバレてるのおおおおお、本当に勘弁してください。
 壊さないで頼むから壊さないでいやああああ、今度こそ本当に何もしませんしませんしません、命に誓います!』
「うん、分かった」
『あ、ありがとうございます』
「でも、本当に困ってるなら相談してくれていいよ、たしかにちょっと……恥ずかしいけど、勝つためならしょうがないし…………」

『な、なんだってー!それじゃこんどはレナちゃんの……』
「まだ話は終わってないの、黙って」

レナはクロスミラージュを脅しつけ、まず言葉をつむがせる。

「それは全ての戦いが終わってから、そしたら少しぐらいなら貴方の望みを叶えてあげてもいい。
 でもね、もし戦いの途中ふざけなんかしたら…………わかるよね?」
『わ、わかりましたああああああ。漢クロスミラージュ、全力でレナ様に仕えますッ!!!!!』

クロスミラージュの調教が終了した所で、ニコニコしてレナは皆に全てが終わったことを告げる。
その様子を見ていた全員が、レナに対して戦々恐々といった様子のようだ。
その後レナはつかさに平謝りをし、クロスミラージュに乗っ取られないよう、手に包帯をぐるぐる巻きにした。
効果はあるか分からないが、とりあえずクロスミラージュと接触するのはもう御免といったレナだった。

「なんか……まだ戦っても居ないのに疲れたぜ……」
「日吉君、ごめんね……」
「いや、頼むからその話はもうやめてくれ……。後、こいつも返す」

日吉はレナにフタエノキワミ書を突っ返し、はぁと溜息を付きながらレナに先のことを促せる。
気を取り直した一行はというと、まずピエモンと日吉、次につかさ、最後にレナと遊戯という順番でワープゾーンに飛び込むことにした。

「そういえば遊戯君」
「うん?」
「どうしてピーちゃんのことをビーちゃんって呼ぶの?」
「え、といわれても……ビーちゃんのほうが語呂がいいからかな?」
「Bちゃんねぇ、なんだか不思議としっくりくるよね、なんでかな?」
「さぁ、僕にはよく分からないかな?」
「まあいいや、聞きたかったのはそれだけ」

そして、最後に残った遊戯とレナもワープゾーンに入り、ジャンプ機能でクッパ城入り口に飛ばされた。
レナと遊戯が到着し、一時的に変えていたピエモンのお守りを変更した後、全員で周りの様子を確認する。
ピエモンが言っていた見張りのデジモンも、懸念事項のアイスデビモンともとりあえず遭遇はしなかった。


「それにしても、拍子抜けするほど警備が甘いね」
「ああ、私もこれはおかしいと思っている。
 友人涙目の鬼畜ステージがクッパ城全域に張り巡らされていたはずなのにそんなものは全然存在しない。
 いくら部下どもが役に立たないからと言っていくらなんでもここまで酷いとは……。まさかゆとり以下の警備になっているとはおもわなかった。
 そうか……これもマルクの奴が…………」

ピエモンが再び疑心暗偽モードに突入しているが、それはレナたちにとっては好都合であったので止めはしなかった。
ピエモンが一息ついたところで、基地のことを聞く。

「それでピーちゃん、さっき言ってたハルバードはどこにあるの?」
「場所は良く分からないが、あれだけの巨大戦艦だ。大方格納庫にでもあるんだろう。
 その格納庫の場所なら私でも分かる。案内しよう」

そう言ってピエモンは前に躍り出ようとするが、結局日吉の包丁に遮られてしまった。
主導権をとることに失敗したピエモンは、しぶしぶ道を指差しながら歩く。
途中デジモンの集団に何度か出くわすことがあったものの、その時はレナがすかさず始末をしている。
周り中から敵が集まってくるかと思ったが、ピエモンも言うように警備が異常に甘いとなっている。
ピエモン曰く、マルクが部下を使って何やらよからぬことを企んでいるせいだ。もしくは私達を始末する戦力を招集しているんだなど。
話半分に聞いた方がよさそうな説ばかり飛び出てきた。
しかし、それを差し引いても警備の甘さの正体に説明は付かず、堂々巡りを辿っていた。

と、クッパ城を進んでいたレナ達少数派一行の前に、再びマルクが現れた。
その表情はいつもと違い強張り、甲高い笑い声は無かった。
と思ったが結局いつもの笑い声と共に放送が始まった。




……それじゃ、待ってるからね~』

放送は全て終了したが、一番重要だった死者情報は手に入らなかった。
しかし、代わりにカービィが生きていることが分かった。
何故カービィが生きているのかは分からなかったが、とにかく貴重な情報だった。
カービィを探し出して合流すれば、期待以上に戦力を得ることが出来る。
それどころか、捕まっていたはずのKASが脱走したことまで明らかになっている。
兎にも角にも重要な情報だらけの放送であった。
ピエモンはというと部下の失踪がカービィのせいと知って、一時はマルクの真意を測りかねていた。
しかし放送中でマルクは、まるでピエモンが裏切って行動するかのような言動を見せていた。
それを聞いて、ピエモンはますますマルクを疑い始めていた。

「カーくんが生きてたんだ……よかった……」
つかさは放送を聴いて涙を流し、死んだはずの仲間の思いがけない復活に喜ぶ。
一方のピエモンはというと、

「油断するな、カービィが生きていると言うのは嘘かもしれん、確かめるまでは油断するな」

あいかわらず疑心暗偽に陥っていた。

そんなピエモンに一行は適当に相槌を打ちながら、ピエモンに先の案内を促せた。
この城のどこかにカービィとKASがいるかもしれないとはいえ、放送だけでは何処にいるのかが分からない。
ここに居ないKASにカービィがマルクの誘いに乗ってホールまで行くとも思えない。
霊夢にしても、救出するべきKASが居ない以上わざわざマルクと弾幕勝負をする必要は無い、ならばハルバードの入手を優先するべきだと考えていた。
その後も特段変わったことは無く、ピエモンの案内通りの場所に巨大な格納庫があった。
格納庫の中は巨大な滑走路になっていて、クッパ城の中でも特段広い天井が上には広がっていた。


その格納庫の中にはお目当てのハルバード、そして前に仁王立ちをするアイスデビモンの姿が見えた。

「ピエモン様、やはりこちらに来ると思っていましたてヴぁ……」
「アイスデビモン……何故お前はあの時私を裏切ったのだ……」

アイスデビモンに対し、ピエモンはあの時の真意を問うべく言葉を紡ぐ。
ここで余計なことを言われてはたまらない遊戯は、すかさず次の句を差し込む。

「そんなの決まってるじゃないかビーちゃん、マルクがビーちゃんごとまとめてあそこに隔離したかったからさ」
「それは違うってヴぁ!!! マルク様はちゃんとこうおっしゃられたってヴぁ!
 ボクはピエモン君と仲良くしたいって言ってたってヴぁッッッ!!!!」

アイスデビモンはノートパソコンを取り出し、動画を再生する。
そこにはマルクの姿が映っていた。
動画の中でマルクは、ピエモン君は何か勘違いをしているみたいだけど、ボクはピエモン君と敵対する気なんか全然無いよ。
と言いながら笑っている動画が再生されていた。
遊戯とレナは確信する、間違いなくマルクは裏切ってなどいないことに。
そして、この動画を見たピエモンの思考を早く誘導しなければ、今の状況を疑ってしまうことにも。

だが、ピエモンから発せられた一言は完全に彼らの予想を超えたものであった。

「くだらんな」

ピエモンの第一声はそれだった。
対主催を疑っていない、むしろ動画に懐疑的なニュアンスさえ感じるその言葉。
だが、何故ピエモンは疑っている。

「どうせ私を懐柔して、こいつらと同士討ちでもさせる気なのだろうマルクよ。
 私と仲良くしたいみたいだが、お前がどんなことを考えてるのか手に取るように分かるぞ。
 いつもいつも馬鹿にしくさって……部下のデジモンたちがBだとか、(笑)だとか……」
「ピエモン様!何故ですかぷるああああぁぁぁぁぁ!!!!」
「やかましいわ! どうせお前も心の底では私を馬鹿にしているんだろう!」
「そんなことありませんってヴぁ! 私は心底マルク様とピエモン様のことを敬愛してるってヴぁ!」
「ええい、減らず口を!」

ピエモンに何があったか知らないが、どうやら主催者達の中でピエモンの扱いが微妙によろしくなかったことだけは分かった。
この疑心暗偽状態というのも、そういうのが積もり積もった結果なのだろう。ピエモンに人望、カリスマが足りなかったせいだろうが。
むしろこの幼女状態で泣き喚いてる姿を見れば、かりすまがだだ漏れと言わざるを得ないような末路でさえあった。

「そうでかってヴぁ……、ならば私はマルク様から命じられた第二の命令を果たさなければいけないってヴぁ……
 第二の命令、それはピエモン様達の足止め、むしろ倒してこいと言われたってヴぁ!!!!」
「やはりマルクの奴は私を殺す気だったのか、懐柔に失敗した途端にそれとは片腹痛いわ!」

もはや恒例とかしたピエモンの超推理に誰もツッコミを入れるものは無く、目の前のアイスデビモン戦に全てを傾けていた。
アイスデビモンは赤い宝石を取り出し、それを掲げて何やら言葉を紡ぐ。

「アイスデビモン、ワープ進化ああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

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