*私は人間じゃないから(後編) ◆wC9C3Zbq2k sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←時列順に見たい人はコチラ→sm[[209>MEKAS GEAR SOLID KASS OF THE QUALITY]] sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←投下順に見たい人はコチラ→sm[[208>今日の私はかわいいのよ!]] キャラ順に見たい人はコチラ↓ sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←八意永琳→sm[[208>今日の私はかわいいのよ!]] sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←古泉一樹→sm[[208>今日の私はかわいいのよ!]] sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←涼宮ハルヒ→sm[[208>今日の私はかわいいのよ!]] sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←チューモン→ sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←永井博之→ sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←KAS→sm[[209>MEKAS GEAR SOLID KASS OF THE QUALITY]] sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←武藤遊戯→ sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←双葉亜美→ sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←矢部野彦麿→ sm[[207>私は人間じゃないから(前編)]]←ピエモン→ (非登録タグ) [[パロロワ]] [[ニコニコ動画バトルロワイアル]] [[第207話]] [[超☆融☆合]] ---- ハルヒの乗っていた神人は滅びた。だから彼女は落下中に代わりの神人を喚び出した。 たとえ顕在化できるのが1体だとしても昔見た夢の中で校舎を叩き潰していた神人は複数だったことを彼女は覚えている。死んだ場合いくらでもかわりはいると思ったのだ。 予想通り神人は現れた。眼に耐えがたい激痛が走ったが転落死は免れたし、KASが落ちたであろう場所に確実に一撃を叩き込めた。いくらあの白いコートが硬くともあれだけしっかり手ごたえがあれば動けるはずはない。 「眼が痛い、体も……痛すぎるわ。まさかこのままあたし死ぬのかしら。古泉はあたしを見つけたら神は死んだなんてニーチェばりのことを言って笑うのかしら。 いやよ。絶対に死んでなんてやるもんですか。味方ごと皆殺しにしてでも、あたしは新しい世界に君臨してみせる」 一時的に視界はブラックアウトしている。脳がかき回されているかのような不快感が全身を巡っている。こんな気分になったのはマラソン大会の直後に強壮剤をチャンポンで一気飲みしたとき以来だ。 あのときを基準とするならおそらくあと数分も持たずこのまま自分は気絶する。ハルヒはそう理解していた。 だからもし敵が生きていても簡単には見つからない場所に行かなければいけない。体の調子にはかまわず、木々のあったはずの方向へととにかく走った。 「はぁ……はぁ……」 何も見えない状態で疲労の極みにある健常者が走れる距離などほんのちっぽけなものでしかない。体感では200メートル以上全力で駆けていたしても実際に進んだ距離はせいぜい15メートル。 ただ、その現実を彼女に伝えられる人間はここには誰もいない。 「デーモンはどこまで行ったのよ……派手に吹っ飛ばされていったのは見えてたけど、もう戻ってきてたっていいじゃない」 そういえば博之を弾き飛ばした方向もデーモンが吹っ飛んでいった方向と同じだった。もし博之が生きていたとしてもデーモンのほうが回復が遅いなんてわけはないのだから出会っていればとどめをさしていていくれるだろう。 きっとそのせいで遅いに違いない。あの破壊の権化は本当に壊すことが大好きなのだから。 考えがまとまらない。ハルヒはもう限界だと思った。 倒れる瞬間、巨大な赤い光球が現れ彼女を受け止めたことなど、彼女には知るよしもなかった。 受け止めた赤い光球だった青年はため息をつく。 「やれやれですよね。結局僕はどれだけ否定されても彼女に従うほかない」 「何度聞いてもよくわからない理屈ね。超能力の使えない友達としての古泉一樹が存在意義を強く否定されたから、閉鎖空間ではないここでも超能力を行使できるようになったって」 「わからなくてもいいんですよ。僕が嫌おうとどうしようと、涼宮さんはそういう絶対的な存在なんです」 古泉を支えて神人から飛び降りた永琳は、やはり期待したほども飛べなかった。 いまにも墜落しようとする永琳を救ったのは古泉。首輪が外れたことでついに彼も超能力者として目覚めたのかと彼女は喜んだ。そうではないと古泉は説明したが理屈はどうあれ超能力が使えるようになったことはありがたい。 二人は満身創痍ながらも戦闘が終わればすぐ合流できるよう、期せずして巨大な目印となっている神人を目指して近くまで歩いてきていたのである。そして気を失ったハルヒを岩に頭を打ちつける寸前で保護した。 「退きましょう。ここにいては全員が危うい」 「デーモンはどうするの? どこにいるのかわからないけど」 「八意さんを殺そうとした奴なんてこちらから探そうとは思いません。それに、奴は僕や涼宮さんにも殺意があったような気がしてならないんです」 「神が有希って呼んでた人格の部分のことかしら。暗黒長門……」 「ご明察。襲われないうちに行きましょう。彼女……なら放っておいても冷静でさえあればエリアサーチなりなんなりのせこい魔法で戻ってくるはずですからね」 どれだけ疲れていても、どれだけ傷だらけでも、明確な目的のある彼らの意志は揺るがない。気絶したハルヒをオタチに抱えさせ、三人と小さな一匹はなるべく人の気配を感じない静かな方向へと歩いていった。 (それはそれとして、やっぱり神に命令された通り彼女のセーラー服を着なきゃいけないのかしら……いくら忠誠を誓ったとはいえ、ねぇ?) 永琳の複雑な心境を知るものは、誰もいない。 【D-2 草原/二日目・日中】 【八意永琳@東方シリーズ&新世紀 東方三国志~ひぐらしの憂鬱~】 [状態]:首輪なし、疲労大、重傷(少しずつ回復中)、左腕欠損(デーモンの情報操作で一応くっつけて貰ったが、まだ全然馴染んでいない)、 肩に怪我(手当て済み)、体力消耗・中、背中に火傷(手当て済み)、古泉を信頼 [装備]:王者の剣@DQ3(刃毀れ)、小型爆弾*1、ベレッタM92F(12/15) 、ヲタチ(残りHP60%)@ポケットモンスター [道具]:支給品一式*3(食料四食分・水二食分消費)、ゾンビマスク@現実(ゾンビーズ)、蒼星石のローザミスティカ、萌えもんパッチ@ポケモン言えるかなで擬人化してみた、ミニ八卦炉@東方project、 クロスミラージュ@リリカルなのは、ゴム@思い出はおくせんまん、自動ぶんなぐりガス(残り1/5)@ドラえもん、ヴェルタースオリジナル*1@ヴェル☆オリ 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、くんくん人形@ローゼンメイデン、ヤクルト@乳酸菌推進委員会、水銀燈の体、 包丁、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー 、北高の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、テニスボール、毒入りパン、千年パズル、DCS-8sp*6、予備弾薬各100発@現実(ベレッタM92F用26発消費、トカレフTT-33用16発消費) 【DMカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 使用可:プチモス、カタパルト・タートル 午後まで使用不可:魔導戦士ブレイカー 夕方まで使用不可:ブラックマジシャン 夜まで使用不可:真紅眼の黒竜 次の朝まで使用不可:聖なるバリアミラーフォース [思考・状況] 1.対主催、運営の様子を見極めた結果、一時撤退でハルヒの回復待ち。 2.ハルヒの能力で全て元通りにしてもらう。そのためハルヒを神と仰ぎ、命を賭けてハルヒを守る。 3.言いつけ通り北高制服を着なきゃいけないのかしら……ハァ…… 4.遊戯の信頼を得たい。いずれ本当の仲間になってもらう。 5.どうにかしてハルヒとデーモンに遊戯の事を本当の意味で信頼させる。 6.遊戯から生前のニートの様子を聞きたかったけど、気まずくて聞けなかった…… 7.古泉一樹と武藤遊戯、ハルヒ、デーモンの五人で協力して全てを元通りにする。ハルヒの邪魔をする対主催、運営には容赦しない。 ※ハルヒの能力を完璧に信じました。 ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:首輪なし、超能力者として覚醒、重傷、頭部鈍痛、ろっ骨を骨折(応急処置済み)、疲労極大、八意永琳を信頼 [装備]:ゆめにっき@ゆめにっき(手の形に血が付着) 、トカレフTT-33(8/8) 、逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式*16(食料6食、水15食分消費)、 赤甲羅@スーパーマリオシリーズ、笛@スーパーマリオ3 糸(あと二メートルほど)、裁縫針、武器になりそうな薬物、DCS-8sp、退魔の剣@怪~ayakashi~化猫、アニマルマスク・サラブレット@現実、ダンボール@メタルギアシリーズ、ヴェルタースオリジナル@ヴェル☆オリ、携帯電話@現実、 庭師の鋏@ローゼンメイデン、おたま@TOD、 カワサキのフライパン@星のカービィ、ワイン(残り半分)、傘@現実 、A.C.E.3@現実(少し詩音の血がついている)、塔組の推理メモ、塔の『バグ』について纏めた紙 、バルサミコ酢@らき☆すた、 グルメテーブルかけ(残り19回)@ドラえもん、時計型麻酔銃(予備針残り0本)@名探偵コナン、アイスソード@ロマンシング・サガ、スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン、ケンジのカメラ@ポケットモンスター、 うまい棒、津田英治ブロマイド(音声付き)@大変な途中下車シリーズ、ビー玉(30個ほど)@ピタゴラスイッチ、 黄色甲羅@スーパーマリオシリーズ、 【DMカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 使用可:死者蘇生、黒騎士の魔剣少女、セイバー 深夜まで使用不可:ブラック・マジシャン・ガール、ホーリーエルフの祝福、ゴキボール、強制脱出装置 次の朝まで使用不可:オレイカルコスの結界、オシリスの天空竜、オベリスクの巨神兵】 次の午前まで使用不可:エネミーコントローラー [思考・状況] 1.対主催、運営の様子を見極めた結果、一時撤退でハルヒの回復待ち。 2.千年パズルを人質にして遊戯を無理やり従わせる。 3.三つ巴の状況を上手く利用する。 4.ゆめにっきを上手く使って闘う。 3.殺し合いにのっていない参加者を優先的に始末。相手が強い場合は撤退や交渉も考える。 4.八意永琳、涼宮ハルヒ、デーモンと協力する。八意だけかなり信頼 5.仕方ないので涼宮ハルヒに従い、彼女を生かすため、守る。 6.全てが終わった後、ハルヒに「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を実現させてくれと頼む。 9.遊戯うぜぇ……でも遊戯が無事に帰ってきたらもう邪魔者扱いしない。永琳にも謝るつもり 10.支給品を配分しないといけませんね。 ※古泉は絶対に脱出なんて出来ないと考えていましたが、クッパ城を見て考えを改めました ※ゆめにっき@ゆめにっき 本編には出てこない日記、絵本の形式で書かれています。 2m以内で最後のページを見た人は強制的にゆめにっきの世界に飛ばされます。出てくるには日記が開いている状態で頬を抓れば出てこられます。 一部監視が行き届いていない所がありますが2人は知りません。あと薬が塗られているので並大抵の事じゃあ燃えません。 ※主催者側に強い疑いを持っています。そのため、永琳と共にハルヒを神とし、彼女を守ります。 ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:神への覚醒、首輪なし、気絶、左肩に銃創、左脇腹と顔面と首に殴られた傷、腕から出血、脇腹に弾丸がかすった傷、古泉達を信頼 [装備]:陵桜学園の制服@らき☆すた、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、バーサーカーソウル@遊戯王DM [道具]:支給品一式*3(食料・水一食分消費)、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、 テニスボール*2、雛見沢症候群治療セット1.5日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に 、マウンテンバイク@GTASA、花粉防止用マスク、ドリルアーム [思考・状況] 1. (気絶中) 2. 対主催、運営の様子を見極めた結果、対主催の掃討を優先。 3.古泉と永琳に従い、遊戯を利用する。許す気は今のところない。 4.三つ巴の状況をうまく利用し、勝利する。 5.主催者や対主催を皆殺しにして新世界を創造する。神である私が絶対である世界に。 6.能力が復活したら、世界の破滅を救う神として、すべての世界に名を残す。 その際、世界を破滅に導くため、ヴァンデモンを更に強化する。 ※狂いました。それを自覚していません。 ※自分の能力を信じました。神人を召喚したりなど、能力を使えるようになりましたが、 会場全体にかけられた制限があるためまだ完璧ではありません。 ※神なので古泉も呼び捨てにします。 ※小さな神人を呼び出せます。ハルヒの意思に応じてすぐに大きくなります。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 大金星をあげた亜美に駆け寄ろうとしたKASが見たものは、衝撃とともに眼前に落ちてきた青白い柱と赤い霧。 「おい、なんだよこれ。ルイー……亜美はどこにいるんだよ?」 コートに付着しねとつく赤い霧をシルバースキンがきらめきながら粒子に変え自動的に浄化してゆく。毒ガスや硫酸などからも体を守ることのできる最強の防具は、その驚きの白さも決して譲ることはない。 すぐそばにいたはずの少女がいない。KASの動悸が加速する。あの柱はなんだったのか、そして一瞬で立ち込めたこの霧はなんなのか。考えてはいけないと理性が警告したが、本能がそれを理解するほうが早かった。 「うわぁあああああああ!!」 神人の腕が再度姿を消し、開いた穴から陽が差し込むと同時に霧も晴れてゆく。そこにあったのは浅い血溜まり。離れた先に見えるのは倒れた胸像。否。半身を失なった裸体の少女。何のためらいもなくKASはただその小さな身体を抱え上げる。 「わがまま言って、ごめんね……」 「メッじゃねーのかよ! ヒアウィーゴーだろ? ポジティブになれ亜美! そして俺!」 まだ生きている。助ける方法はないか。普段使わない脳みそをフル回転させる。しかし医療技術のない場所で半身を失ってなおも生き続ける方法などこの核鉄以外に思いつかない。 そして核鉄は既に己自身の心臓。もう外すことなどできはしない。他に何かなかったか。KASは歯噛みした。 「伝言……ピヨくんに。事務所に行って社長にみんなのこと……伝えてって。場所は教えてあるの」 「わかった! ピヨシートに必ず伝えるっ! だからお前もそれに同行してやれっ!」 嘘をついた。 ニコニコ動画のことを思い出したKASは既に二人がそれぞれ別の日本から来ていることももう知ってしまっている。元の世界に戻ってしまえば彼こと日吉若が彼女の世界の高木社長に会うことなどできはしないのだ。決して。 「それから……やっぱいいや」 「諦めんなこのスットコドッコイ! 俺が一瞬で別の核鉄を見つけてきてやる!」 考えてもいないのに口から解決策が出た。核鉄が他にもあれば助かるかもしれない。 だが、亜美は目を閉じて微笑んだ。それっきり口を開こうともしない。 KASの抱えていた半身が、急激に軽くなった。 「……ここからが奇跡を呼ぶ男の本領発揮! T∀Sが神なら俺はザラキを使わないクリフトになる!」 嫌な予感を吹き飛ばすように大声をあげ、長い地下壕をひた駆ける。未探索のこの場所なら隠し部屋相応の重要アイテムが眠っている可能性は高い。ひたすらに亜美を抱えたまま走る。走る。力の限り。 そしてついに何もない通路を抜ける。その先でKASを待っていたのは割れたガラスを片付けた跡のある水びたしの大部屋と、その中央の壁近くに浮かぶ鍵穴のような黒い小さな謎の穴だった。 (まさかこれって、鍵クリアか?) 自問自答する。どこへ繋がっているかわからない上にこれはほぼ間違いなく大切なアイテムである鍵を消費する場面。ただし迷っている暇はない。すでに大量出血者が生命を維持できる限界は過ぎてしまっている。 「ままよ!」 ディパックから秘密の鍵を取り出し、鍵穴へ突っ込む。ニコニコで聴きなれた人工の歌声が何故か聞こえてくると同時に、いつもの鍵クリア同様暗い空間が拡大してゆく。すぐ正面にはワープスターの存在も確認できた。 「あれこそ俺にとってのスタートスター! もう少しだから死ぬな亜美!」 が、彼の手にしていた亜美は元の空間に取り残されようとしていた。 「ちょ、どういうことだよ!? あいつを連れていけないなら俺だけ行くわけにはいかねーって!」 広がった空間が今度は縮小してゆく。もう手を伸ばしても戻れない。何故、なんで一緒に入れなかった? ……認めるしかないとでもいうのか。彼女が既に生を止めていたことを。 (いってらっしゃい) 空間が閉じる最後の瞬間、KASはその優しげな言葉を確かに聞いた気がした。 「ああもう……。行ってくるぜ!」 &color(red){【双海亜美@THE IDOLM@STER 死亡】} 【D-2 ワープスター/二日目・日中】 【KAS@KAS動画】 [状態]:重症(少しずつ回復中)、右拳粉砕骨折、お尻に火傷、全身に切り傷、強い決意と熱い闘志 [装備]:シルバースキン@真赤な誓い、洞爺湖の木刀@銀魂、レムーのリボン [道具]:首輪探知機(残り電池80%)@バトルロワイヤル 、ルイージの帽子、 【DMカード】コカローチナイト(深夜に二度、昼に一度、日中に一度使用) [思考・状況] 1.ワープする 2.ハルヒは絶対に許さない。 3.城に戻れたら、ハルヒ達の事を皆に話しつかさに木刀を渡す 4.でっていうを殺した大馬鹿野朗を倒す! 5.閣下の分も生きる。絶対に生き残る。 6.時間ができたら地下壕へ戻って亜美の遺体を回収する 7.谷口…………アリーヴェデルチ! 8.このクソゲーをぶち壊してボスのスットコドッコイを倒して土下座させて悪い奴以外全員生き返らせるぜ!!!! 9.笛が気になる。 ※ニコニコ動画に関する記憶が完全に戻りました。 ※核鉄 使用時以外は持ち主の治癒力を向上させる。 ある程度の制限がかかっているが、2個、3個と使用すれば、回復力は上昇する。 KASの核鉄は心臓を担っているため、核鉄状態では取り出せない。 ※亜美の遺体はアンダーグラウンド・サーチライト大部屋内にとり残されました ※オメガブレードは剣の形態のまま同通路内に放置されています 「……生きとる。普段の般若心経のおかげやな。感謝感謝」 切り株にだらりともたれかかったまま博之がつぶやく。 もう動き回れるほどの余力は残っていない。例の気持ち悪い巨人の気配は遠くに感じるので空を飛べばまだ暴れているところを見られるかもしれないが、KASなら手伝わなくともあんなものに捕まらず逃げ切ってくれると信じたい。 あれだけ驚異的な移動速度を持つ熱い男がハルヒのような馬鹿女に負けるはずはないのだ。 「悪いけどな。俺はもうしばらく動けんぞ」 言って苔だらけの草むらに寝転がる。どこを骨折したかも自覚できないほど体全体の疲労が酷い。光の巨人といえば再放送の初代ウルトラマンかはたまたティガかという世代の博之だが、怪獣はあんなパンチを受けながら戦っていたのかと今更ながら尊敬した。 見上げる空は人の気も知らないでと思いたくなるほど、何事もないかのように青い。 その空を、見たくなかったものが横切った。 「だあっ!」 無理やり跳ね起きて血と永久歯が1本ほど混じった唾を吐く。痛みをこらえながら再び翼を広げる。飛べた。なら戦うことだってきっとできる。この心が砕けぬ限り。だから叫ぶ。 「待てやそこのグレーターデーモンっ!!」 彼方へ吹っ飛ばされたあと頭を強打しようやく意識を取り戻したデーモンは、神ハルヒと合流すべく空を飛び東へ向かっているところだった。そんなところへ突然地上から呼び止められたのだから驚く。その結果、全ての人格で返事をした。 「あらあら。博之さんじゃないですか。今度こそ殺してあげますよ」 「敵性因子の生存を確認。これより排除に移る。つーか今すぐ死ね」 「でもデーモンでいいよ。みんなそう呼んでるから」 「あなたを壊して、師匠はそのあとですね」 意見はよほどのことがない限り常に一致。すなわちそれ破壊衝動の趣くままに。鈴仙の人格がまた表に出てきていようと、困る状況でないなら急いで再封印しようなどとは考えない。 壊せる悦びは、分け合える幸福なのだから。 呼び止めた博之に実は勝算はなかった。ただ、KASが神人だけなら華麗にかわしきれても、この厄介な攻撃を仕掛けてくる化物まで一度に相手させては間違いなく命を落とす。そう思っただけだ。 「まずったかもしれんな……これ勝てんぞ」 こちらの純戦力は博之本人に戦えるだけの力が残っていないことを考慮すると青眼の白龍2枚だけ。詩音といいジーコといい妹ちゃんといい、このDMカードというものでデカブツを召喚した人間は大概近いうちに命を落としている。 使用者の精神力や運のよさをごっそり奪い取る効果があってそれが死亡フラグを呼んでいる。そんな気がしてならない。 「来ないならこっちから行くよ!」 「使いたくないもんを無理に使うよりはまあね、逃げるとしますか!」 神人とは逆、すなわち西へ飛ぶ。相手も見たところ体力はあまり残っていないようなのだ。運がよければ相手が先に力尽きてくれるかもしれないし、城から神人を倒すための増援が来てくれているかもしれない。 どちらも無理だったならそのときはカードからこの強そうな龍を一気に召喚してしまえばいい。そう思うと少し気が楽になった。 巨大な強化セラミックかと思われる太い槍の飛来を急激な飛行速度の低下でかわし、詠唱とともに発せられるディバインバスターなる悪魔が使うのはおこがましい意味の極太魔法ビームは顔面を蹴りつけて射線をそらす。 ついでに飛んできた座薬はかわせそうな気がしたのでチョイ避けする。赤い瞳に怒りの色が見えた。 「頑張りますねー。うちの姫様にも見習ってほしいくらいですよ。だからとっととくたばれって言ってんだよこのクズがっ!!」 「ふざけんなこの多重人格デーモンが!」 多重人格。何かがひっかかった。 けれど相手に今以上に疲弊する様子はなく、援軍が来て助けてくれる気配もない。 「使うしかないようやの、この切り札を!」 「なにかな?」 距離を確保しながら二枚のカードを天に掲げる。 「出でよ! ブルーアイズ!」 しかし なにも おこらなかった 「え?」 「アーッハッハッハッ。ざまあないねぇ。惜しかったけどここまでだね」 カード使用失敗の隙をついてデーモンは巨大な爪を博之の胴に叩き込む。ズンと深い衝撃を内蔵に受け、博之は膝元へ胃液を大量に吐き出した。 「な、なんで……」 続いて両腕でこちらの両腕をものすごい握力で潰しにくる、骨の折れた音こそしなかったが皮膚から肉が弾け大量に血が滲み出す。こちらに切り札など使わせるものかという強い意思表示。 もう神経が生きていないはずだ。手は固まったまま全く動かせない。 「もう一度見てみるといい。貴方は波長を操られ正常な認識を妨害された。だからとっとと惨たらしく薄汚い屍さらせやっ!」 手にしていたカードを再確認する。ユニットカード「進化の繭」・魔法カード「融合」。何度見ても5枚持っていたDMカード中の戦闘力のなさそうな2枚だ。駄目すぎる。 デカブツを呼び出してもいないのにそれを使おうとしただけで死亡フラグになってしまった。嫌な予感大的中だ。戦力を出せなかった以上勝ち目は残されていない。 ……いや、本当に駄目か? お互いもう首輪はしていない。相手はデーモンで、ほぼ間違いなく多重人格。つまり一体の悪魔でありながらその意思はバラバラ。やってみる価値はあるかもしれない。 「魔法カード発動、融合。対象は永井博之・デーモン!」 メガテン名物、悪魔合体。 ただし悪魔と悪魔の通常合体ではなく、魔人と悪魔。かの有名なデビルマンを生み出すことのできるTRPG版くらいでしか使わない特殊ルールが適用されるかもしれない。それでもかまわない。 合体ができさえすればたかだか25%ずつの意思になど負けるつもりはない。そして可能かどうかはこの魔法カードの性能にかかっている。 「え、だめ、そんな、ちょっと待」 「よっしゃ、ざまあwww」 緑色の閃光が、人ならざる二人を包んだ。 空中でデーモンの放ったディバインバスターは博之以外の目にも届いていた。 「なんという邪悪な波動! これを看過するはもはや罪であるとしかいえぬ!」 「あっちの方角からでした! KASさんか博之さんが戦っているのかも」 彦麿と遊戯。彼ら二人はあれがハルヒであれば永琳と古泉が近くにいるはずであり、暴れる謎の巨人も彼らが協力者だと信じている遊戯の説得であれば止めさせられるかもしれないと信じて危険を顧みずここまで歩いてきていた。 マリオとルイージのあまりの速さに呆気に取られていたり、お目当てのコンビを見つけてからの対処を覚えの悪い彦麿と打ち合わせしていたりしているうちに遅れを取ってしまっていたわけでもあるが……。 「僕たちは非力だけど、それでも敵から逃げ続けてちゃいけないんだ! 月の頭脳とも称される人に真っ向から頭脳戦を挑むことになりそうな今、不謹慎かもしれないけど僕はワクワクしてる!」 「うむ。その意気だ少年。我々は武力においては不利かもしれぬ。だがそれを補って余りある勇気と知恵と団結心を持っている。そのことを奴らに見せつけようでないか」 そして、二人は博之のもとへ辿り着く。 「なんということだ……」 「……おえっ」 人が、立ったまま溶けかけていた。 拒絶反応。異常な融合に体組織がついてこれなかったその結果。 「博之どの……なのだな?」 首肯する異形の魔人。背中の漆黒の翼だけが変わらずそれが彼であることを示していた。途切れ途切れになるしわがれた声を遊戯たちは懸命に聞き取る。 「俺はもうここまでみたいやな。家に戻って最後の配信をするまで何をしてでも生き抜いたるって思ってたけど……無理。できるだけ人として恥ずかしくないよう頑張ってきたつもりやから、ジーコも水銀燈も俺を責めたりせんと思う。 というか先に行ったあいつらに俺を責める資格なんてないよな。考えてみたら……腹、立ってきた」 「博之さん……」 「悪魔に勝てるとはなぁ……人間の意地捨てたもんやないな。荷物はそこに落ちてるから持ってけ。今手に引っかかってる分は棺桶代わりに使わせてもらうから」 遊戯が示された方向を見る。4枚中1枚は融合。そばのもう1枚は……ラーの翼神龍! その存在に目を見開く。あれがラーなら、残り2枚の裏返ったカードも全て神のカードなのかと。そのせいで反応が遅れた。 「進化の繭を装備。じゃーな」 「ちょ! それダメ!」 止めきれなかった。博之の融解しつつある体が急速に白い糸で包まれ楕円形の繭が形作られてゆく。遊戯が膝をついた。 「何かこの繭のようなものに問題があるのか? 墓標としては堅牢そうであるし、立派だと思うのだが」 「たぶんそうならないとは思うんだけど、最悪巨大な蛾のモンスターになって出てきますよこれ!」 「なんと! 巷で噂のパピ☆ヨンというものであったか」 「……いや、パピヨンは蝶ですよ? それにどこの巷ですかそれ」 彦麿の知識を訝しみながらも残りのDMカードを確認する。まずは青眼の白龍。 「じゃあこっちは?」 また青眼の白龍。全世界に3枚しか存在しないはずの海馬のカードがここに2枚も揃ってしまった。予想とは違ったが大当たりにも程がある。 色から判断してモンスターカードは全て使用可能。遊戯が手にしたこの4枚のDMカードだけでさっき出てきた城を破壊しつくすことすらできかねない。これなら誰が立ち塞がろうとも必ず渡り合える。遊戯は博之に深く感謝した。 「ところで遊戯よ、そのポケットの尻から出ている手紙のようなものは何だ?」 「んー? 何これぇ。いつのまに」 折りたたまれた武藤遊戯様と書かれた手紙。いつどこでポケットに差し込まれたのだろうか。不審に思いながらも開けて読んでみる。 「誰からであった?」 目を通し、遊戯は彦麿に告げた。 「……今はちょっと、言えません」 マルクからの内通を誘う手紙。ばかばかしい。こんな殺人ゲームに無理やり呼びつけた張本人がいまさらどんな甘言を使ってこようと信じるはずがない。 ……その余白に、作戦に応じ城の南部に位置する指定の場所まで来てもらえれば千年パズルはすぐにでも返却すると汚い文字で書かれてさえいなければ! 今度は主催者にまで捕らわれたというのか、あの馬鹿ファラオはっ! 「そうか、それならそれでよい。己を信じまっすぐに生きる。遊戯、お主はそれができる男だ。わしが心配するほどのことでもない」 彦麿の反応はあまりに甘かった。いや違う、信頼されている。彦麿のその態度に遊戯は救いを見た気がした。 どれだけ見た目がうさんくさくとも、彼は間違いなく人々の心の闇にはびこる魑魅魍魎を祓うという陰陽師なのだ。今も多くのことを見抜いた上で助言をくれているに違いない。そう感じた。 「ありがとうございます。……決めました。僕は彼らの誘いに決して乗ったりしない」 「ほう」 「犠牲は覚悟の上です。彼も僕の決断を信じてくれると思います」 千年パズルとの決別を覚悟する。それが遊戯の出した答えだった。 古泉に捕まっているなら詐術で取り戻せたかもしれないが、あの笑い声が不快な魔術師、本人が来るとは思えないがもしかするとその分身―――の手に渡ってしまったのなら素直に従うふりを見せたところでも返してもらえるとは思えない。 こんな反吐の出るようなゲームの主催者を信用しろというほうが無茶なのだ。 それに、彼だってよく貸しているだけのぼくの体を使って命懸けのデュエルをしていた。お互い様だ。少し我慢していてもらおう。そう、彼の肉体はもうはるか昔に滅びていてすでに人間なんかじゃないただの霊魂なんだから。 今は生きている仲間をこそ優先すべきとき。みんなと違って撃たれようと斬られようと、最後に奪回しさえすれば組み直すだけで彼は蘇ってくれるはずだ。行かなかっただけで粉砕されるということさえなければ、必ずチャンスは巡ってくる。 「逸る気持ちは失敗の元ともいう。わかっているであろうが何事も慎重にな」 「はいっ!」 パズルが古泉の元にないのならば作戦を実行する必要もない。永琳が説得できそうだというのもまだ彼女をこちらに引き込める確証がない今はただの危険な推論だ。 「神人はこの近くには見当たりません。危険な集団もどこにいるかわからないし……これからどうしますか?」 「私は船の仲間と合流するつもりだ。その千年パズルというものを奪い返す機会がなくなったのであれば、結界の分析に時間を費やさねばならない。首輪を見事解除してくれた彼らの助けを借りれば順調に進むだろう」 「なら僕は、もう少しここで博之さんが目覚めるのを待ってみます。……6ターンほど」 「ありがとう。彼をよろしく頼む」 ターン数に突っ込まず、彦麿は船へと歩き出していった。遊戯は廃れた道の脇で魔人の復活を待つ。 彼はもしかすると既に永遠の眠りについてしまっているのかもしれない。もしくは完全究極態の蛾となって天空を舞い始める可能性もある。それとも、遥かな強さの高みへと昇った魔神として目覚めてくれるのだろうか。 または……融合相手に精神を乗っ取られ邪悪な姿へと中で変貌しているのか。最後の想像だけはあってほしくなかった。 なんにせよそれがわかるのはもう少し先のことだ。何が起こっても自分には最強と名高いDMカードが3枚持手元にある。 遊戯は繭の傍に座り、この世界へ連れてこられてからは初めてかもしれない―――心穏やかな独りでの休息をとった。 &color(red){【チューモン@デジタルモンスター 死亡】} 【D-2 平地/二日目・日中】 【矢部野彦麿@新・豪血寺一族-煩悩解放-レッツゴー!陰陽師】 [状態]:全身に打撲によるダメージ(痛みは引きました) [装備]:孔明ブロック(大)@スーパーマリオワールド [道具]:支給品一式、ネギ@ロイツマ、長門の首輪、コイン*2@スーパーマリオワールド [思考・状況] 基本.主催を含む悪霊退散 1.船組の安否を確かめ、結界分析への協力を要請。 2.亜美やKASも心配なので誰かに探しに行かせたい 3.アリスは……大丈夫とは思うがやはり心配だな 4.つかさの体調が心配。 5.琴姫の意思を継いで、悪霊を退散させる。 6.悪霊退散の為の修行を積む 7.猿の物の怪を改めて退散する 【武藤遊戯@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 [状態]:軽度の精神疲労、全身に傷と火傷(手当て済み)、それでもまだ闇AIBO、マーガリンに対する殺意 [装備]:小型爆弾 [道具]:支給品一式、睡眠薬一包み、 【DMカード】使用可:青眼の白龍*2、ラーの翼神竜(遊戯、海馬のみ) 使用不可:融合(次の日中まで) [思考・状況] 基本行動方針:自分に危害を加える者は容赦なく殺す 1.魔人博之の復活を待つ。危険な存在になっていれば退治する。 2.マルクの指定した場所ヘは向かわず因縁の敵、古泉を探し出して殺す 3.千年パズルが主催の手に渡っているという情報をある程度信用し、ひとまず奪還作戦を中断。古泉たちがまだパズルを持っていたとすれば偽物でないかと疑う。 4.どうにかして永琳だけを引き離し、ブレそうなところを突いて手駒にしたい 5.彦麿さんはいい人だし海馬を含む船の仲間は首輪を解除してくれた。城組と船組は信頼できそう。 6.つかさのことは千年パズルを取り返せたらもう一人の僕に任せよう 7.ゲームを終わらせ、主催者を倒す 8.あの夢についての情報を得る ※千年パズルの本物はまだ永琳たちの手元です。主催には渡っていません ※闇AIBO ニコニコの闇AIBOタグで見られる、腹黒AIBO。 AIBOの持ち味である優しさが欠損して、笑顔で毒舌を言ってくれます。 ルールとマナーを守らずに楽しくデュエルしますが、過度の僕ルールは制限されるかも。 ※古泉に命令された内容は『可能な限りの範囲で撹乱された所を突き、騙すなりして城組の誰かを こちら側に引き込むか離反させる(撹乱できた人的証拠を持ってくる)』です。 【永井博之@永井先生】 [状態]:der変態っ!(生物学的な意味で)、魔人ピロ(色不明)、翼が生えた [装備]:なし [道具]:【DMカード】 次の日中まで使用不可:進化の繭 [思考・状況] 1.みっともない死に方かもしれんが、上出来やろ…… X.少数派による運命の打開 X.城に行き、ハルヒ達の事を皆に話す。 X.ハルヒ達をいつか絶対に倒す X.水銀燈の入ったディパックとクロスミラージュを取り戻したい X.水銀燈の右足を見つけたい X.生還し、水銀燈を直して再会する。 ※デーモンと悪魔合体しました。荒業すぎたようで拒絶反応で体が自己崩壊し始めましたが…… ※進化の繭に包まれ肉体が再構成を始めました。彼はプチモスではないのでグレートモスにはならないかもしれません ※ローザミスティカの力を得て魔人覚醒をしました。身体能力は遥かに向上、そしてどうやら水銀燈の力は行使出来る様です。しかし、まだ魔人の能力を行使出来るか不明です。 ※水銀燈の見てきた全ての記憶・感情を得ました ※水銀燈の能力のおかげで翼が生えています。イメージ的にはローゼンメイデン2期、アニメ本編の最終回の真紅みたいな感じです。 ※塔組の推理メモ、塔の『バグ』について纏めた紙の内容を完璧に覚えています 「ええい! 天海春閣下はどこへ運ばれたというのだ!」 ピエモンはピンクの痛車で舗装路を移動しながらやさぐれていた。殺されたはずの場所にはもう閣下の遺体はなく、近隣を探して回ろうにも暴れまわる神人はジアースでも出さないと手に負える存在ではないから近づこうにも近づけない。 こんなことなら偵察員のように自分も気付かれず動けるようにしておくべきだった。価値があるうちに魔法をかけて人形として保管しておかねば生贄として役に立たなくなるというのに! 人気のない場所まで飛ばし、車を止めて無線を繋ぐ。まだ混乱状態が続いているのか、クッパ城への連絡は未だにつかない。連絡はハッキングとは関係の薄い場所なのでおそらくは係の者がいないだけだ。嘆かわしい。城内の指揮系統があまりに乱れている。 「こんなことではマルクの思うままだ! 誰かいないのか!」 一人きりの車内でのけぞりながら叫ぶ。だが正気に返れば痛車であることを含めて傍目には間違いなく奇行。誰も見ていなかったことにピエモンは安堵しため息をついた。 コン コン 窓ガラスが叩かれる。 「(見られていたのかっ!)」 石ころ帽子を脱ぎ、ピエモンに何かを伝えようとしているイビルモンがそこにいた。 「ご言いつけ通り、武藤遊戯におてまみを渡してきましキャハハッ!」 「手紙だと? どういった用件の手紙だ」 「やーですようむぅ。遊戯くんを呼び出して寝返ってもらおうってマルクさん言ったじゃないでちかームヘヘヘッ! ぐゎんばって説得しちゃいますよぉーっ!」 クルモンでもないくせにどこかの34歳児のような甲高い声を出し、あろうことかマルクへの活動報告をピエモンで済ますイビルモン。叱責して蹴り飛ばしたいところだがマルクの動向がわかったのは正直ありがたかったので衝動を抑えこむ。 「報告ありがとう。私が代わりにそこに向かおう。城から南へ行けばよいのだな?」 「はいなのれす!」 「それから……念のために尋ねるが、死亡した天海春香の行方を知らないか?」 ピエモンがそう言うと、イビルモンはニタっと笑った。 「城の近く。地図のねー、このへんに埋葬されてましゅたよぉお~。チャイナ! チャイナ!って感じで。美人れすよねー脂身春香しゃんって人。しかも語感が美味しそう!」 「あー、いいから黙ってろ」 イビルモンを置き去りに、示された場所へ他の参加者に気付かれても仕方のないスピードで急ぐ。その速さはまさにピンクの弾丸。メンテナンス班の言ったとおりこの痛車は性能面では申し分ない働きを見せてくれていた。帰ったら職人の無駄遣いだと誉めてやらないといけない。 「ここですかっ!!」 あった。盛り土の下から出てきたのは間違いなく絶命した天海春香の身体。さっそく人形にするために白く大きな布に魔力を通わせ包みこむ。 「そぉれ」 布をめくればあら不思議、天海春香はかわいいお人形に……なっていなかった。 何故だろう。もう一度同じように布に自らの魔力を通わせ強く願いながら覆い被せる。 ……やっぱり元の死体のまま。人形には変わってくれない。ピエモンはそれが主催である自分にまで課せられた能力制限のせいであることに気付かない。 「何故だッ!!」 もうすぐ時間切れ。その単語が頭をよぎる。何故力を振るえないかはわからないが、生贄は文字通り生きているものを捧げなければいけない。形だけでも蘇生に近いことが可能であるいま人形にしておかなければ計画は全て終わってしまうのだ。 九度目の試行のおち、ピエモンはゆっくりと膝をついた。 「ふん。そこまで安らかに眠りたければそうするがいい」 律儀に見栄えよく埋め直して土を盛る。決してツンデレではなく、テスト前日に大掃除をしてしまう、そんな血液型A型にありがちな行為の一種である。 ピエモンは次にやるべき事を考える。 神になる道が途絶えた以上、できることはマルクの暴走をやりたがっていることを潰していく形で妨害しながらバトルロワイアルを正常な形で再開すること。ただしまた全員眠らせて首輪を付け直すくらいしないと奴の企みは阻止できそうにない。 だからまずは武藤遊戯だ。マルクが単独で呼び出すほどの相手、この局面で鍵となる存在なことは間違いない。 場合によっては千年リングが彼を選び面白くしてくれるかもしれないが、マルクが望む結末に近づけさせないためにはそんなことでもない限り情報を引き出せるだけ引き出して殺しておくべきだろう。所詮は不安要素なのだ おびき出された遊戯を殺すため、彼は城から南へ行った場所の庭園で待ち続けた。 遊戯がここへは来ないと知っているものは、ここにはいない。 &color(red){【残り18名】} 【D-1 城の近く/二日目・日中】 【ピエモン@デジモンアドベンチャー】 [状態]:健康 [装備]:トランプソード [道具]:千年リング、アシストフィギュア×3 [思考・状況] 基本:ノヴァを手に入れるため、なんとしてもバトロワを完遂させる。 1:ここへ来る武藤遊戯を、知っていることを洗いざらい吐かせてから殺す 2:生贄確保を諦め、対主催とマーダーの同士討ちが起こるよう画策する 3:電脳戦の方はマルクとコイヅカに任せる。 4:バトロワが完遂できなかった場合マルクが裏切ると予想。今の惨状を改善し、まともなロワが再開できるよう努力する。 5:神になるのは諦めた。生贄が足りないんですよ皆さん…… ----