⇒『母さんの死んだ理由』の台本です。
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母さんの死んだ理由
母親の命日、何かが変わろうとしていた。
登場人物
人数:♀1人 ♂4人 ナレ1人
| 裕太 |
20歳の若者。 |
| 久司 |
裕輔と晴香の親友。 |
| 晴香 |
裕太の母親。 |
| 裕輔 |
裕太の父親。 |
| 晴雄 |
晴香の父親。 |
0:裕太M『春…。今日は母さんの命日。母さんは俺が生まれて間も無くして亡くなった…。』
1:裕太M『今年で20歳(ハタチ)になる俺。母さんの顔を知らないまま、今日まで過ごしてきた。』
2:裕輔『裕太、母さんに線香を…。』
3:裕太『うん、分かったよ。父さん。』
4:裕太M『母さんが亡くなってからは、父さんとずっと2人で過ごしてきた。父さんからは、母さんは病気で亡くなったと聞いた。』
5:晴雄『裕輔さん…、いつもすまいのお。』
6:裕輔『いえ、お父さん。』
7:裕太M『父さんに、申し訳なさそうに謝っているのは、俺のおじいちゃんでもあり、母さんの父親でもあった。』
8:裕太M『毎年、命日になるとこの3人だけが集まり母さんの墓参りをする。』
9:裕太M『今回も、何気ない1日になると思っていた。』
【歩き寄る足音】
10:久司『随分、仲良さそうに墓参りしてるじゃねぇーか。』
11:裕輔『お前は…。久司っ!?いつ…、アメリカから?』 ※驚く
12:久司『1週間前に…な。相変わらず元気そうだ…なっ!!』 ※最後の『な』にチカラを入れて殴りつけるイメージで
【殴る音】
13:裕太『父さん!?』
14:久司『ほぉ、こいつが息子か。晴香を殺したって言う噂の。』
15:裕輔『久司っ!』
16:裕太『え?』
【OP流れ始める】
17:裕太M『今日は母さんの命日。そして、何かが変わる日。』
18:ナレ『ラジオドラマプレゼンツ・母さんが死んだ理由』
【OP】
【鳥が鳴く音】
19:裕太『ど…どういうこと?俺が殺したって…どういうことだよ?』
20:久司『なんだ、知らなかったのか?父さんや爺さんに教わってなかったのか?あぁ?』
21:晴雄『その子は、知る必要はないと思ったからじゃ…。』
22:久司『爺さんは黙ってろっ!』
23:裕輔『頼む…。裕太には関係ないことだ。話は後で聞く。帰ってくれないか?』
24:久司『あぁ?せっかく墓参りにきてやったのに…直ぐ追い返すなんて酷いなぁ。』
【間】
25:久司『それに…、そこの息子も知りたそうな顔をしてるぜ?』
26:裕太M『いきなり父さんに殴りかかった男は、俺の顔を見つめる。俺は今の状況が分からないままでいた。』
27:裕太M『だけど、これから久司って人が話そうとしていることは、母さんの事だ。これは間違いない。だから…。』
28:裕太『話して下さい。母さんの事を。』
29:裕輔『裕太…。』
30:久司『…ケッ。いいぜ。教えてやるよ。』
【間】
31:久司『お前の母さんはな、お前のせいで自殺したんだ。』
32:裕太『えっ…。』
33:裕輔『まて、晴香が自殺したのは、裕太のせいじゃない!』
34:裕太『どういうこと?』
35:久司『…お前が生まれて間もない頃だった…。』
【子守唄のオルゴール】
36:久司M『裕輔と、お前の母さんの晴香は出来ちゃった結婚だった。晴香の妊娠が発覚してから少しもめたらしいが、結局は結婚することになった。』
37:久司M『裕輔も晴香も愛し合っていた。だから、俺は2人を祝福し、手伝えることは手伝おうと思ったんだ。』
38:久司M『ある日、晴香は俺と2人で会いたいと電話があったので、家に向かった。』
【インタホーンの音】
【赤ん坊の泣く声】
39:晴香『うるさいっ!何で泣き止まないのっ!』
40:久司M『インターホンを押しても聞こえてくるのは赤ん坊の声と晴香が怒鳴る声。俺は慌ててドアを開けて中に入ったんだ。』
41:久司『晴香っ!?』
42:晴香『久司…。久司ぃ…、この子…何やっても泣き止まないの…。どうやっても泣き止まないの…。』 ※泣き出す
43:久司『落ち着け。大丈夫だ。お前が落ち着けば…泣き止むから。先ずはお前が落ち着け。』
44:裕太『…育児…ノイローゼ?』
45:久司『その年になれば、分かるか?そうだ。晴香は極度の育児ノイローゼになっていたんだ。』
46:裕太『知らなかった…。』
47:裕輔『隠したかったわけではない…。いつかは話そうと思って…。』
48:久司『黙れっ!昔からそうだ、そうやって誤魔化してばかりでよ。お前さえ…、お前さえいなければ晴香は…。』
49:裕輔『くっ…。』
【子守唄のオルゴール】
50:晴香『ごめんね。最近、少し取り乱してばかりで…。疲れちゃってるのかもね。』
51:久司『…なぁ、晴香。いつから、苛立つようになった?』
52:晴香『つい最近…かな?でもね、大丈夫。疲れてただけだから…。情けないな…しっかりしないと。奥さんになったんだし。』
53:久司『なぁ、裕輔に相談したのか?育児手伝ってもらうとか…。』
54:晴香『裕ちゃんには相談出来ないし…、ただでさえ仕事で疲れてるのに手伝ってなんて言えないよ。』
55:久司『だけどな、そうして抱え込みすぎるのもどうかと思うぞ?』
56:晴香『えへへ…。久司は優しいね。ありがとう。でも…大丈夫だから。』
57:久司M『晴香は、大丈夫だの一点張りで、裕輔に相談しようとしなかった。』
58:久司M『本当に心配だった俺は、裕輔を呼び出しレストランでさり気無く聞くことにしたんだ。』
【ざわめき】
59:裕輔『どうしたんだ?久司…急に飯誘ったりなんかして…。』
60:久司『いや、たまにはさ…。それに結婚生活どうしてるのかなって…な。』
61:裕輔『いや、順調だよ。晴香も育児頑張ってるみたいだしな。』
62:久司『そう…なのか?』
63:裕輔『あぁ、家事も全部、晴香に任せてる。料理もうまいし、満足な生活してるぞ。』
【間】
64:久司『なぁ…、お前さ。』
65:裕輔『ん?』
66:久司『育児…とか手伝ったりしようって思ったことないのか?』
67:裕輔『なんで?』
68:久司『なんで…って、育児とか大変だって言うからさ…。』
69:裕輔『いや、でも…。』
【間】
70:裕輔『それって女の仕事みたいなものじゃないか。俺だって仕事してるんだし、お互いの仕事をこなして当然だと思うぞ?』
71:久司『…。』
72:裕輔『俺だって、仕事で疲れてるんだから、手伝えって言われたら正直困るよ。でも晴香は違う。いい嫁さんだよ。』
73:久司『お前…。』
74:裕太『…。』
75:久司『裕輔は、晴香が育児ノイローゼだって事を知らなかった。知ろうともしなかった。自分の都合のいいようにしか考えてなかった…。』
76:裕輔『久司…。』
77:久司『俺は、時間があれば晴香の家にいって様子を見に行くようにした。見に行っている間は、晴香もリラックスして笑ってくれていた。』
78久司M『だけど、その日は突然起きたんだ…。』
【赤ちゃんの鳴き声】
79:晴香『また…泣き止まないで…いらいらするっ!』
【赤ちゃんの鳴き声】
80:晴香『泣き止めっ!泣き止んでよっ!』
【平手打ちの音】
【赤ちゃんの鳴き声】
81:晴香『泣き止めっ!泣き止めっ!』
【平手打ちの音】
【赤ちゃんの鳴き声】
【ドアが開く音】
82:久司『今日も来たぞ…って晴香っ!何やってるんだっ!』
83:晴香『だって…泣き止まないんだもん。だから…打って分からせるの…。』
84:久司『バカヤロウッ!』
【平手打ちの音】
85:晴香『いたっ…。』
86:久司『落ち着け晴香。この子が泣き止まないのは…、お前がイライラしてるからだ…。お前が落ち着かないと…この子だって不安になるんだ。』
87:晴香『久司…、私…。あ…、あぁ…私…なんてことを。』
88:久司『晴香、落ち着くんだ。』
89:晴香『いやああああああああ!』
【皿を割る音】
【物を倒す音】
90:久司『晴香!?』
91:晴香『私は…私は…この子を…打って…いやああああああ!』
【皿を割る音】
【物を倒す音】
【赤ちゃんの鳴き声】
92久司M『俺は泣き喚く赤ん坊を…つまり、お前を抱きかかえ落ち着かせながら、暴れる晴香を見守るしか出来なかった。』
93:久司M『どうすることも出来なかった…。既に、晴香は追い込まれていたんだ…。』
94:久司M『数時間後…、疲れきった晴香は涙を流しながら寝ていた。俺は、後片付けをし赤ん坊が寝たのを確認して部屋を一回でた。晴香が起きたときに何か飲ませてやろうと思ったからだ。』
95:久司M『近くのコンビニで飲み物を選んでいるときだった。』
【携帯電話が鳴る音】
96:久司『もしもし』
97:晴香『久司…さっきはごめんね。』
98:久司『あぁ、いいよ。落ち着いたか?』
99:晴香『うん。落ち着いたよ。有難う。片付けもしてくれてたんだね。』
100:久司『いいってこよよ。気にするな。』
101:晴香『ねぇ…久司。私ね…。』
102:久司『ん?』
103:晴香『裕ちゃんに…、母親失格だって電話で言われちゃった。』
104:久司『え?』
105:晴香『さっき、電話でね…私が悩んでることとか、全部話したの。そしたらね…、お前は妻も母親も失格だって。怒られちゃた。』
106:久司『そんなことない。裕輔は…、事情を把握できてないだけだ…。』
107:晴香『いいの…。もう…いいの。』
108:久司『何がいいんだよっ!?』
109:晴香『私も…、失格だと思ってるから…。子供ぶったりして…本当に失格だよね。』 ※泣きながら
110:久司『そんなこと…、そんなことない。』 ※慌てた様子で
111:晴香『久司…、久司がいてくれて助かったよ。久司が旦那さんだったら、私…、少しは変わってたかな?』
112:久司『晴香…?』
113:晴香『生まれ変わったら、久司のお嫁さんになりたいな。そしたら、今度はこんな風にならないように頑張るから…。』
114:久司『おい、何をいってるんだ?』
115:晴香『久司…、最後にお願いがあるんだ…。』
116:久司『最後にお願いって…晴香?』 ※動揺した感じ
【間】
117:久司『えっ!?』
118:晴香『さようなら…久司。』
【電話が切れる音】
119:久司『晴香っ!?晴香っ!?』
【走る足音】
【ドアを開ける音】
120:久司『晴香っ!!』
【子守歌のオルゴール】
【赤ちゃんの笑い声】
121:久司『晴香…って、ハッ!?』
【間】
122:久司『晴香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
【鳥の鳴き声】
123:久司『晴香は、部屋で首を吊って自殺したんだ。』
124:裕太『そ…、そんな。』
125:久司『俺は直ぐに裕輔を呼び出し…、全部話した。』
【殴る音】
126:久司『お前が!お前が晴香を追い詰めたんだっ!』 ※泣きながら
127:裕輔『久司…。』 ※痛そうに
128:久司『お前が、母親失格だなんて言わなければ…晴香は…、晴香は…、うわぁぁぁぁぁ!』 ※泣き叫ぶ
129:裕輔『…すまなかった。すまなかった…。すまな・・・い。』 ※途中で泣く
130:久司M『晴香の葬式が済んだ後、俺はアメリカに転勤になった。晴香の最後のお願いを胸に秘めたまま…。』
131:裕太『じゃ…、俺が殺したんだ…。久司さんの言ってることは…間違いじゃなかったんだね。』
132:晴雄『それは違う。裕太君のせいじゃないんだ。』
133:裕輔『そうだ…。お前は悪くない…。』
134:裕太『じゃぁ、なんでこうなったんだよっ!なんで、こうならないといけなかったんだよっ!』 ※叫ぶ
135:裕輔『そ…それは…。』
136:裕太『父さんも…なんで、母さんを支えてやらなかったんだよ…って思ったけど…でもでも…。』
137:裕太『俺が生まれたから…母さんが死んで…。俺さえ生まれなければ…母さんは…。そうだ…俺が死ねばっ…!』 ※怯えた感じで
138:久司『おい…。』 ※怒った感じ
【殴る音】
139:裕太『何するんだよっ!』
140:久司『お前がいなくなっても、晴香は戻ってこねぇーよ。』
141:裕太『じゃ…、じゃぁ…俺は…俺は…』 ※泣きそうに
142:久司『俺がここに来たのは、晴香の…お前の母さんの約束を果たしに来たんだ。』
143:裕太『約束?』
145:久司『あぁ…』
146(115):晴香『久司…、最後にお願いがあるんだ…。』
147(116):久司『最後にお願いって…晴香?』 ※動揺した感じ
148:晴香『裕太が…大人になったとき、私のテーブルの上にある。手紙を渡して欲しいの。』
149:久司『手紙?』
150:晴香『私がいなくなって…、いつか この子が、その理由を知って、思い詰めてしまった時に読ませて上げたいの…。』
151:久司『いなくなるって…。』
152:晴香『私がいたら、きっと、この子を不幸にしちゃうから…。』
【間】
153:静香『私、死ぬね。』
【間】
154:裕太『そ…そんな…。』
154:久司『まさか、話してなかった…とはな。』
155:裕輔『当然だ。裕太には関係ない。』
156:久司『本当にそれだけか?本当の事を知られて責められるのが怖かっただけだろ?』
157:裕輔『そ…それは。』
158:久司『あの後、言ってたよな?』
【遠くに聞こえる救急車の音】
159:久司『晴香を…病死だってことにする…って?』
160:裕輔『あぁ、無理に医者にお願いした。だから、久司も、そのつもりでな…。』
161:久司『なんで、隠す必要があるんだ?』
162:裕輔『裕太が大きくなった時を考えれば…、今は隠してた方がいい。』
163:久司『隠し通せるわけないだろ。隠し通せたとしても、俺がいつか話すかも知れないぜ。』
164:裕輔『それでも、俺は隠していたいんだ。』
165:久司『お前は…、そこまでして自分の面子を守りたいのか…。』
166:裕輔『働いて、裕太を守る為には世間の事も考える必要があるだろう。』
167:久司『息子の名前を借りて、自分を守ろうとしてるようにしか…聞こえないぜ。』
168:裕輔『…。』
169:久司『お前は、世間体だけ気にして、晴香の苦しみを全く分かろうとしなかった。』
170:裕輔『違うっ!それは違うっ!』
171:久司『じゃぁ、何で隠し続けた?むしろ、晴香の死んだ本当の理由すらも忘れようとしてたんじゃないのか?』
172:裕太『もういいよっ!』
173:裕輔『裕太…。』
174:裕太『もう…、いいから。手紙見せて…。』 ※泣きそうに
175:久司『これだ…。』
【手紙を広げる】
176:晴香(手紙)『この手紙を読んでいるってことは、母さんが死んだ理由を知ってしまったと言うこと…。』
177:晴香(手紙)『これを読んでいる裕太は、どんな姿をしてるのか、想像が付きません。』
178:晴香(手紙)『母さんは、ずっと、泣いている裕太を憎くんでしまいました。そして打ってしまいました。』
179:晴香(手紙)『1回だけじゃない。何回も、何回も。本当は、とっても大好きなのに。とっても愛しているのに。』
180:裕太『か…母さん。』 ※泣きながら
181:晴香(手紙)『このままだと、私は裕太をボロボロにしてしまうかも知れない。無意識に不幸にしてしまうかも知れない。だから、母さんは死ぬことを決めました。』
182:晴香(手紙)『だけど、決して裕太のせいでも、お父さんのせいでも、誰がそうさせたわけでもない。私が、もう少し強かったら…、こんなことにはならなかったのかも知れない。』
183:晴香(手紙)『こんな事になってしまったけど、私は幸せでした。だから、悲しまないで、前を向いて歩いてください。そして、いつまでも優しい子で。お母さんより…。』
【ED曲が流れ始める】
184:裕太『母さん…。母さん…。かあさぁぁぁぁんっ…!』 ※泣く
185:久司『最後の最後まで、晴香は誰を責めようともしなかった。最後の最後まで、抱え込んで死んでいった…。』
186:裕太『どうすれば…いいんだ。俺は…。どう受け止めればいいんだ?』 ※泣きながら
187:久司『俺にも分からない。ただ、今は悩め。晴香の気持ちを…、お前だけでも分かってやれ…。』
188:裕太『…久司さん。』
189ナレ「キャスティング
久司…
裕太…
裕輔…
晴雄…
晴香…
脚本…偽者さん
編集…偽者さん
BGM…
効果音… 」
190:ナレ『育児…、周囲にその大変さや愚痴を聞いてくれたり、褒めてもらったり、励ましてくれる相手がいなかったりすると、ストレスを発散させることができず、時期に苛立ち、育児ノイローゼや虐待に おちいりやすい状態となると言います。育児ノイローゼが続くと、子供が言うことをきかなかったり、泣き出したりなど、ある些細な出来事をきっかけに瞬間的に カッとして子供にひどく当たったり、叩くようになり、虐待に発展する場合があるそうです。
今、虐待や悲しい事件が多い時代、こういった、さり気無い危険信号に気づき手を差し伸べる優しさが…今の時代、必要なのかも知れません。
そして、育児で悩んでいるお母さんも、自分を抱え込まずに誰かにヘルプを出す勇気を…。』
※この話の著作権は台本作成者の『偽者さん』にあります。
最終更新:2008年04月15日 03:02